JPH05132367A - 無機接合材 - Google Patents

無機接合材

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JPH05132367A
JPH05132367A JP29584591A JP29584591A JPH05132367A JP H05132367 A JPH05132367 A JP H05132367A JP 29584591 A JP29584591 A JP 29584591A JP 29584591 A JP29584591 A JP 29584591A JP H05132367 A JPH05132367 A JP H05132367A
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昌明 桝田
Keiichiro Watanabe
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 SiO2を主成分とする無機接合材に、アル
ミナ、ムライト及びアルミナ・シリカ混合粉末からなる
群より選ばれる少なくとも一種の添加材を添加してなる
無機接合材。 【効果】 この無機接合材を用いてセラミック部材を接
合することにより、従来に比べて接合強度が大幅に向上
したセラミック接合体を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はセラミック部材を接合す
る際に用いる無機接合材に関し、さらに詳しくは、接合
強度が強く、且つ接合部の気密性の高いセラミック接合
体を作製するに適した無機接合材に関する。
【0002】
【従来の技術】セラミックスは、その成分組成が酸化
物、非酸化物に拘らず、高度の耐熱・断熱性が有り、絶
縁性、導電性、磁気的・誘電的性質等の電気的・電子的
機能を有し、また耐摩耗性等の機械的性質も優れ、各種
構造物の材料として既に使用され、研究開発されてい
る。セラミックスを機械部品材料や構造物材料として使
用する場合、種々の形状の機械部品や構造材料が要求さ
れ、また各部品や部材の組み合わせも求められることに
なり、一体成形により製造されるものは別として、セラ
ミックスを接合固定する必要が生じる。
【0003】従来、このようなセラミックスを接合する
方法として、各セラミック部材を接合材により接合する
方法が提案されている。セラミック部材の接合に用いら
れる接合材としては、いわゆる耐熱ガラスの商品名パイ
レックスガラスとして知られる酸化硼素(B23 )成
分を含むホウケイ酸ガラスが一般に用いられており、そ
の粉末やスラリーをセラミック部材の接合部に塗布し、
大気や真空中で加熱して接合していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記したホウ
ケイ酸ガラスを用いたセラミック接合においては、接合
部に気孔及びクラック等の接合欠陥が生じ易く、接合強
度やシール性が劣る等の問題があった。そこで、本発明
者は、かかる問題を解消し、接合部に気孔が少なく接合
部全体が均質で、接合強度やシール性に優れた接合材を
得るべく、種々検討を行なった結果、本発明を完成した
ものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明によれば、
セラミック部材を接合させるための無機接合材であっ
て、SiO2 を主成分とする無機接合材に、アルミナ、
ムライト及びアルミナ・シリカ混合粉末からなる群より
選ばれる少なくとも一種の添加材を添加したことを特徴
とする無機接合材が提供される。本発明において、Si
2 を主成分とする無機接合材としてはホウケイ酸ガラ
スが好ましい。また本発明では、添加材の添加量が5〜
30重量%で、添加材とSiO2 を主成分とする無機接
合材とが湿式混合法にて混合されることが好ましい。
【0006】
【作用】本発明の無機接合材は、SiO2 を主成分とす
る無機接合材に、アルミナ、ムライト及びアルミナ・シ
リカ混合粉末からなる群より選ばれる少なくとも一種の
添加材を添加して構成され、この接合材を用いてセラミ
ック部材を接合することにより、高接合強度のセラミッ
ク接合体を得ることができる。本発明において用いるS
iO2 を主成分とする無機結合材としては、SiO2
50重量%以上含有する接合材で、例えば、セラミック
ス接合に一般的に使用されているホウケイ酸ガラスや、
アルミノホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ケ
イ酸ガラス等のガラス接合材を挙げることができる。こ
れらのガラス接合材から、各セラミック被接合部材に使
用するセラミックスの種類の機能的性質に応じて、ま
た、得られる接合体の使用条件に応じて選択すればよ
い。
【0007】また、本発明において上記無機接合材に添
加する添加材としては、アルミナ、ムライト及びアルミ
ナ・シリカ混合粉末からなる群より選ばれる少なくとも
一種のセラミックスであるが、このうちムライトが好ま
しい。上記した添加材の添加量は5〜30重量%が好ま
しい。その添加量が30重量%を超えると接合が困難と
なり、また、5重量%未満では添加の効果が少なく、接
合強度が向上しない。
【0008】また、SiO2 を主成分とする無機接合材
と上記添加材の混合は、湿式混合法または乾式混合法に
より行うことができるが、湿式混合法が好ましい。湿式
混合法は、例えば、ホウケイ酸ガラスにムライトと水を
添加し、アルミナ玉石を用い振動ミルで所定時間粉砕す
ることにより行うことができる。また、乾式混合法は、
例えば、ホウケイ酸ガラスとムライトを所定量ビニール
袋に入れ、所定時間袋混合することにより行うことがで
きる。
【0009】尚、本発明の無機接合材を用いて接合され
るセラミック部材は、酸化物及び非酸化物等いずれのセ
ラミックスを用いてもよく、接合体が使用される構造部
材の種類、機械的強度等必要な使用条件に応じ適宜選択
すればよい。例えば、産業機械及び熱交換器等に使用す
る場合は、高強度・高耐熱性の窒化珪素や炭化珪素が用
いられる。また、各々同種または異種のセラミックスで
構成されてもよい。
【0010】また、接合するセラミック部材の形状、厚
み及び大きさは、特に限定されるものではない。例え
ば、単なる平面同士の接合でもよく、また、平板状体に
多数の孔を形成した多孔板の各孔に管状体を挿入して平
板表面と孔部とに連続的接合層を形成する接合でもよ
い。この場合、管状体は、円形、楕円、矩形、多角形、
星形等のいずれでもよく、また、平板の孔をテーパー
状、段形状やネジ構造等に形成し、管状体の端部を孔の
形状に合わせて形成することもできる。
【0011】さらに、接合に先立って、被接合部材をN
2 処理または酸化処理しておくことが好ましい。N2
理は、被接合部材を窒素ガス雰囲気中、約1400〜1
550℃で約1〜2時間静置することにより行なう。ま
た酸化処理は、被接合部材を大気中、約800〜100
0℃で約1〜2時間静置することにより行なう。このN
2 処理または酸化処理は、被接合部材の各セラミック部
材の全体を処理してもよく、また、接合部分のみ処理し
てもよい。
【0012】次に、本発明の無機接合材を用いた接合方
法の例を説明する。まず、被接合部材の接合面を酸化処
理又はN2 処理する。接合に先立ち、このような処理を
行なうことは、さらなる接合強度向上及び濡れ性向上の
ために好ましい。次いで、酸化処理又はN2 処理された
2以上の被接合部材の接合面の少なくとも一方の表面
に、本発明の無機接合材からなるペーストを塗布し、各
被接合部材の接合面を合わせた後、大気中で約100〜
150℃で約1〜2時間乾燥し、更に約400〜500
℃で約0.5〜3時間乾燥した後、窒素雰囲気中におい
て加熱処理して無機接合材を溶融させ、その後冷却固化
することにより行うことができる。
【0013】この場合の加熱処理温度及び時間は、使用
するSi02 を主成分とする無機接合材の種類や接合部
の形状や厚さにより適宜選択することができる。例え
ば、ホウケイ酸ガラスを用いる場合は、約1400〜1
550℃で約1〜3時間静置するのが好ましい。この場
合、加熱処理温度が1400℃未満の場合は、接合部を
形成する塗布した無機接合材全体が均一に溶融されない
ため、均質な接合部を得ることができない。また、15
50℃を越えた場合は無機接合材及び被接合部材の構成
成分の一部が著しく蒸発するため、接合部及び被接合部
材の接合界面がポーラスになり易く、気密性が劣り、強
度も低下するため好ましくない。塗布する無機接合材の
厚さは特に限定するものではない。通常は、約0.05
〜5mmの厚さにすればよい。接合部材の形状、材質、
接合部の構造、接合部に求められる強度等により適宜選
択することができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳し
く説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。 実施例1〜3 (接合材の調製)市販の粉末状ホウケイ酸ガラス90重
量%とムライト10重量%を所定量ビニール袋に入れ、
約5分間袋混合を行なうことにより、ムライト添加量1
0重量%の微粉末接合材を得た。得られた微粉末と水を
1:1に混合してスラリー状とした。更に、得られたス
ラリー状のホウケイ酸ガラスとムライトの混合物100
重量部に対し、バインダー4重量部を添加して混合し、
接合材ペーストを調製した。
【0015】(被接合部材の酸化処理)被接合部材のS
34 製円柱(直径20mmφ、高さ20mm)を、
大気雰囲気中の電気炉内で約800℃に1時間放置し酸
化処理して、酸化処理Si34製被接合部材を得た。
【0016】(接合)得られた酸化処理Si34 製被
接合部材それぞれ2体ずつを図1の断面説明図に示した
ように、接合部Aとなる各被接合部材1の底面部に調製
したペースト状接合材を約100μm塗布して各板状体
を押しつけて合わせた。その後、120℃の電気炉内で
約1時間乾燥し、更に温度を上昇し、約500℃で約1
時間仮焼した後、電気炉内を窒素雰囲気とし、温度を更
にそれぞれ表1に示した接合温度に上昇させて1時間加
熱処理した後、そのまま放置して冷却して接合体を得
た。冷却後、接合体を取り出しJISR 1601に従
って、接合部の、室温、800℃及び1000℃での4
点曲げ強度を測定した。その結果を表1に示した。更に
また、接合体を大気中で800℃で10時間酸化処理
し、その後の4点曲げ強度の変化を測定した。その結果
を表1に示した。
【0017】比較例1 接合材の調製において、ムライトの粉末を添加せず、接
合を真空中で行った以外は実施例1と同様にして接合体
を得た。得られた接合体の4点曲げ強度を実施例1と同
様に測定し、その結果を表1に示した。
【0018】比較例2 接合材の調製において、ムライトの粉末を添加しないこ
と以外は実施例2と同様にして接合体を得た。得られた
接合体の4点曲げ強度を実施例1同様に測定し、その結
果を表1に示した。
【0019】
【表1】
【0020】実施例4〜7 (接合材の調製)ホウケイ酸ガラス70〜95重量%と
ムライト5〜30重量%を所定量ビニール袋に入れ、約
5分間袋混合を行うことにより、ムライト添加量5重量
%(実施例4)、10重量%(実施例5)、20重量%
(実施例6)、30重量%(実施例7)の接合材を得
た。
【0021】(被接合部材の酸化処理)実施例1〜3で
用いたものと同じ被接合部材を、大気雰囲気中の電気炉
内で約800に1時間放置して酸化処理して、酸化処理
Si34 製被接合部材を得た。
【0022】(接合)得られた酸化処理Si34 製被
接合部材を実施例1〜3と同様にして接合温度1500
℃で接合し、接合体を得た。この接合体をJIS R
1601に従って、接合部の、室温と800℃における
4点曲げ強度、及び10時間アニール処理及び100時
間アニール(アニール温度は800℃)処理後の4点曲
げ強度を測定し、その結果を表2に示した。
【0023】比較例3、4 接合材の調製において、ムライト添加量をそれぞれ50
重量%(比較例3)、70重量%(比較例4)とした以
外は、実施例1〜3と全く同様にして接合体を作製した
が、最終的に接合させることができなかった。
【0024】
【表2】
【0025】実施例8、9 市販の粉末状ホウケイ酸ガラスの粉末28〜36重量%
に、ムライトの粉末4〜12重量%と水60重量%を添
加して、アルミナ玉石を用い、振動ミルにて約3時間粉
砕し、平均粒度3μmの、ムライト添加量が10重量%
(実施例8)、30重量%(実施例9)の接合材を得
た。実施例1〜3と同様に被接合部材を酸化処理し、得
られた酸化処理Si34 製被接合部材を実施例1〜3
と同様にして接合温度1500℃で接合し、接合体を得
た。得られた接合体の4点曲げ強度を実施例4〜7と同
様に測定し、その結果を表3に示した。
【0026】比較例5、6 実施例1〜3と同様に、ムライトとホウケイ酸ガラスと
の混合を乾式混合法により行った以外は実施例8、9と
全く同様にして接合体を作製した。得られた接合体の4
点曲げ強度を実施例8、9と同様に測定し、その結果を
表3に示した。
【0027】
【表3】
【0028】実施例10 被接合部材を、窒素ガス雰囲気中、約1450℃に1時
間放置することにより、N2 処理Si34 製被接合部
材を得たこと以外は、実施例1と同様にして接合体を得
た。得られた接合体の4点曲げ強度を実施例1と同様に
測定したところ、酸化処理Si34 製被接合部材の場
合に比して特段の相違はなかった。
【0029】実施例11〜17、比較例7 添加材としてアルミナ、シリカまたはアルミナ・シリカ
混合粉末を用い、その添加量、アルミナ・シリカ組成比
を変化させた以外は、実施例1〜3と同様にして接合体
を得た。この接合体をJIS R 1601に従って、
接合部の室温と800℃における4点曲げ強度及び酸化
(800℃×10時間)後の室温強度を測定し、その結
果を表4に示した。
【0030】
【表4】
【0031】上記実施例及び比較例より、本発明の無機
接合材を用いて接合されたセラミック接合体は、従来の
接合材を用いて得られたセラミック接合体に比して、接
合強度が大幅に向上し、軟化点も高くなっていることが
分かる。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の無機接合
材を用いることにより、従来に比べて接合強度が大幅に
向上したセラミック接合体を得ることができる。また、
軟化点も高くなっており、広い温度範囲において安定し
た接合強度が得られるため、本発明の無機接合材を用い
て得られたセラミック接合体は、熱的、機械的に、より
苛酷な条件下で使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により得られたセラミック接合体の一例
を示す断面説明図である。
【符号の説明】
A 接合部 1 円柱被接合部材

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミック部材を接合させるための無機
    接合材であって、SiO2 を主成分とする無機接合材
    に、アルミナ、ムライト及びアルミナ・シリカ混合粉末
    からなる群より選ばれる少なくとも一種の添加材を添加
    したことを特徴とする無機接合材。
  2. 【請求項2】 SiO2 を主成分とする無機接合材がホ
    ウケイ酸ガラスである請求項2記載の無機接合材。
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