JPH05128652A - 磁気記録再生装置 - Google Patents

磁気記録再生装置

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JPH05128652A
JPH05128652A JP4114703A JP11470392A JPH05128652A JP H05128652 A JPH05128652 A JP H05128652A JP 4114703 A JP4114703 A JP 4114703A JP 11470392 A JP11470392 A JP 11470392A JP H05128652 A JPH05128652 A JP H05128652A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 広帯域でのDTF制御と数十倍速といったノ
イズレス高速再生を画像の劣化なく実現するとともに、
高精度広帯域なテンション制御によって常に最適なヘッ
ドとテープとのコンタクトを得ることを目的とする。 【構成】 回転ヘッドHを備えるヘッドシリンダの磁気
テープTが供給される入口側に一対の入側固定ピン10
a1, 10a2と入側テープアクチェータ11aによって駆
動される入側可動ピン9aを設け、この入側テープアク
チェータ11aを制御して入側可動ピン9aを移動させ
ることによって磁気テープTのヘッドシリンダ部分での
テンションを制御することができる。また、記録時のテ
ープ速度とは異なる速度での再生を行う際には、上記入
側テープアクチェータ11aと出側テープアクチェータ
11bとを互いに差動的に移動させることによってトラ
ッキングを行わせることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、磁気再生装置、主と
してビデオテープレコーダ等の回転ヘッドを用いた磁気
テープを使用する形式の磁気再生装置において、テープ
テンション、トラッキングおよび磁気ヘッドと磁気テー
プ間のスペーシング量を制御する手段を提供するもので
あり、これによって、特に高密度記録、高速再生などを
可能にした磁気再生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図48は例えば「磁気記録技術入門」
(横山著、総合電子出版社刊、187ページ)に記載さ
れているテープ式のビデオテープレコーダ(以下、VT
R、と略称する)などの回転ヘッドを用いた磁気記録再
生装置における一般的なテープ走行系の概略構成図であ
る。この走行系における磁気テープTの走行経路は次の
とおりである。
【0003】供給リール15;磁気テープTの走行系に
よるテンションを検出するためのバックテンションポス
ト36;磁気テープT上の少なくとも回転ヘッドによっ
て記録される部分に既に記録されている磁気記録を消去
するための全幅消去ヘッド37;磁気テープTの走行系
を安定化させるためのインピーダンスローラ55および
ガイドローラ17;上シリンダD1 および下シリンダD
2 によって構成されるヘッドシリンダDの周上に導入さ
れる磁気テープTに傾きを与える傾斜ポスト18;回転
ヘッド(この図では磁気テープTの蔭になって見えてい
ない)を備えるヘッドシリンダDの周縁;このヘッドシ
リンダDから導出された磁気テープTの傾きを取るため
の傾斜ポスト20;ガイドローラ21;インピーダンス
ローラ70;磁気テープTの縁と平行に設けられて音声
情報やコントロール情報などを記録するためのリニアト
ラックに記録された情報を消去するための消去ヘッド7
3;このリニアトラックに音声情報やコントロール信号
などの情報を記録したり再生する記録再生ヘッド74;
磁気テープTを所定の速度で走行させるために図示しな
いキャプスタンモータによって駆動されるキャプスタン
22およびこのキャプスタン22との間で磁気テープT
を一定の押圧力で挟み込むピンチローラ75;ガイドロ
ーラ80;巻取りリール23。
【0004】以上述べたような構成においては、磁気テ
ープTが所定速度で回転しているキャプスタン22とピ
ンチローラ75とによって挟まれた部分におけるキャプ
スタン22の回転力により引っ張られることによって、
供給リール15からバックテンションポスト36に始ま
りガイドローラ80に至る走行系を走行して最終的に巻
取りリール23に巻き取られるが、この走行経路の途中
のヘッドシリンダDにヘリカル状に一定角度巻きついた
部分において上シリンダD1 と共に回転する回転ヘッド
によってヘリカル状のトラックへの情報の磁気的な記録
または再生が行なわれる。
【0005】また、磁気テープTには、上記回転ヘッド
以外にも全幅消去ヘッド37,消去ヘッド73および記
録再生ヘッド74などの磁気ヘッドによる記録・再生あ
るいは消去がこの走行経路の途中で行われる。すなわ
ち、ビデオ信号,オーディオ信号およびコントロール信
号などの磁気テープに記録する全情報が新規な場合には
磁気テープT上の全幅中に存在する情報を全幅消去ヘッ
ド37によって消去した後に、回転ヘッドと記録再生ヘ
ッド74とによってビデオ信号、オーディオ信号および
コントロール信号などを記録し、また、音声のアフター
レコーディング時やコントロール信号だけを書換える場
合には消去ヘッド73によって磁気テープのリニアトラ
ック領域のみを消去するとともに、記録再生ヘッド74
によって新しい音声情報やコントロール情報をこのリニ
アトラックに記録する。
【0006】なお、上記のようなビデオ信号,オーディ
オ信号,コントロール信号などをヘリカルトラックやリ
ニアトラックに記録するための記録フォーマットとして
は、VHS方式ないしはβ方式として一般に知られてい
るビデオ信号記録方式や一般にDATと呼ばれているデ
ィジタル音声信号記録方式などにおいて定められている
記録フォーマットに適合させることができる。
【0007】この種の磁気記録再生装置において、高密
度での記録・再生を行う場合には磁気ヘッドと磁気テー
プ間のスペーシング量を一定に保つことが必要であり、
さらに、高速再生,スチル再生などの特殊な再生をノイ
ズを発生させることなく行うためにはスペーシング量を
一定に保つほかに記録されているヘリカルトラックに磁
気ヘッドを追随させることが必要になる。
【0008】すなわち、磁気記録再生装置において特に
高い周波数の領域で良好な特性で磁気テープの記録・再
生あるいは消去を行うためには、この記録・再生あるい
は消去を行うための磁気ヘッドのギャップ部分と磁気テ
ープとの間隔、すなわちスペーシング量を一定の小さな
値に保つことが必要なことは広く知られており、この条
件が満足されないとスペーシングロスによって所要の特
性が得られない。
【0009】図48について説明した磁気記録再生装置
においては、磁気テープTのインピーダンスローラ55
とガイドローラ17とに挟まれている個所とキャプスタ
ン22とピンチローラ75とに挟まれている個所との間
でのテンションを大きくすると磁気テープTと回転ヘッ
ドおよび消去ヘッド,記録再生ヘッドとの間の空気層を
挟んだ間隔、すなわちスペーシング量が小さくなって高
周波特性が向上するが、このテンションを小さくすると
磁気テープTとこれら磁気ヘッドとの間隔が大きくなっ
て高周波特性が悪化することになる。
【0010】しかしながら、この間隔が小さくなり過ぎ
て磁気テープと磁気ヘッドとが直接接触するようになる
と、この接触によって磁気ヘッドの摩耗が大きくなって
耐久性を低下させたりテープに傷がついたりするばかり
でなく、スチル再生の場合には同一のトラックを連続し
て再生するために磁気テープの耐久性を損なうことにな
る。
【0011】したがって、磁気テープと磁気ヘッド間の
スペーシング量を一定に保つことが従来から要求されて
おり、その要求に応える方法の1つとして磁気テープに
与えるバックテンションを制御する方法が知られてい
る。
【0012】図49は、図48図示のような磁気記録再
生装置に適用して、バックテンションを制御することに
よってスペーシング量を一定に保つようにしたバックテ
ンション制御装置の例を示したもので、供給リール台1
5a上に載置された供給リール15から磁気テープTを
引出すために要する力、すなわちバックテンションを制
御して上記した磁気テープTのテンションを一定に保つ
ようにしたものであって、符号15で示した供給リール
および符号36で示したバックテンションポストは図4
8にも示されている。
【0013】供給リール台15aの周縁にはその回転を
抑えるために一端が固定されたバンドブレーキ76が設
けられており、その他端は軸77aを軸として回動可能
なテンション制御アーム77に設けられたピン77bに
係合している。このテンション制御アーム77の上記軸
77aの反対端には磁気テープTが係合する上記バック
テンションポスト36が設けられるとともに、その中間
部分に設けた結合部77cにはその一端がテンション調
整レバー79の先端部に結合しているテンションバネ7
8の他端が取付けられている。
【0014】なお、このテンション調整レバー79は軸
79aを軸として回動し得るように構成されており、こ
の調整レバー79を回動させることによってテンション
バネ78によるテンション制御アーム77の引っ張り力
を変化させて、このテンション制御装置の基準テンショ
ンを調整することができる。
【0015】この図49のテンション制御装置では、磁
気テープTのテンションが増加するとテンション制御ア
ーム77はテンションバネ78の引張り力に抗して図の
時計方向に回動し、供給リール台15aの周縁に設けら
れているバンドブレーキ76の他端が係合されているピ
ン77bは図の右方向に移動してこのバンドブレーキ7
6が緩むので、供給リール台15aの回転を規制する力
が弱くなって磁気テープTの送り出し量が増加し、磁気
テープTのテンションは減少する。
【0016】逆に、磁気テープTのテンションが減少す
るとテンション制御アーム77はテンションバネ78が
縮むことによって反時計方向に回動し、供給リール台1
5aの周縁に設けられているバンドブレーキ76の他端
が係合されているピン77bは図の左方向に移動してこ
のバンドブレーキ76のブレーキ力を強めるので、磁気
テープT送り出し量が減少して磁気テープTのテンショ
ンも増加する。なお、この基準となるテンション量は上
記調整レバー79を回動することによって調整すること
ができることは前述のとおりである。
【0017】従来の磁気記録再生装置では上記のような
機構を用いて磁気テープのテンションを調節することに
よって、テープの供給元で緩やかなテープテンション量
の変動を吸収し、結果として磁気テープとヘッドの間の
スペーシング量を一定に保持するようにしている。
【0018】このような従来の系では磁気テープとヘッ
ドの間のスペーシング量をテープテンション量と関連付
けて制御するには至っておらず、スペーシング量の制御
はもっぱら磁気テープの表面精度の均一化を図ったり、
ヘッドシリンダの表面性や窓形状あるいは磁気ヘッドの
突出し量や先端形状などを製造工程で厳重に管理するこ
とによりスペーシング量を一定に保ち、ヘッドコンタク
トを確保していた。
【0019】しかしながら、磁気テープ上の線記録密度
の高い高密度記録を行う場合に要求される精度でスペー
シング量の制御を行うことは極めて困難であり、また、
高速で磁気テープを走行させて再生や検索などの特殊再
生を行う装置では、テープ走行速度の変動が激しくなっ
てテープには過渡的なテンションが発生するので、上記
のような機械的な制御系でテープテンションやスペーシ
ング量を一定に保つことは事実上不可能に近い。
【0020】すなわち、このような機械的な構成に頼っ
たスペーシング量の制御は低い制御帯域で済むシステ
ム、つまり記録密度のそれ程高くないシステムには適用
可能であるが、線記録密度を向上させ高密度記録しよう
とすると大きな問題となってくる。
【0021】また、磁気テープ装置では、蒸着テープの
ように表面性の極めて良いテープが使用されるようにな
ってくると、スペーシング量つまりヘッドコンタクトに
要求される精度もまちまちになってきており、より高精
度で精密な制御が必要になってきており、機械的な構成
に頼ったヘッドコンタクトの制御だけでの対応は困難と
なりつつある。
【0022】一方、高速検索等の特殊再生では、テープ
走行速度の変動が激しくなるが、これに伴いテープには
過渡テンションが発生する。このような場合、機械的な
制御系でテープテンションを一定に保ち、スペーシング
量を保つことは困難であり、どうしてもヘッドコンタク
トを劣化させてしまう。
【0023】次に、磁気ヘッドがヘリカルトラックをト
レースするためのトラッキングについて説明する。通常
速度(1倍速)再生時における磁気ヘッドによる磁気テ
ープ上のトレースは、磁気テープの走行速度と回転ヘッ
ドの回転速度とを記録時と同一に保つことによって行わ
れるので、磁気ヘッドのトレースと磁気テープの縁部と
の間の角度は記録されているトラックの角度と同じにな
る。
【0024】しかしながら、回転ヘッドの回転速度を記
録時と同一にした状態で磁気テープの走行速度だけを記
録時とは異なる速度として再生を行うと、磁気ヘッドが
トレースする角度は記録トラックの角度と一致しなくな
るためにトラックずれ(以下、傾斜エラー、という)が
生じ、再生画面上にノイズを発生してしまう。
【0025】上述のようなヘリカルスキャン方式のVT
Rにおいて磁気ヘッドの軌跡を記録トラックと一致させ
るための従来のオートトラッキング再生装置では、通
常、映像信号再生用磁気ヘッドが電気−機械変換素子
(以下、ヘッドアクチュエータ、と略称する)に取り付
けられ、再生時にこのヘッドアクチュエータが磁気ヘッ
ドを記録トラックの走行方向に対して垂直ないしは垂直
成分を有する方向に駆動して、磁気ヘッドが記録トラッ
クをトレースするように自動追尾制御することが行われ
ている。
【0026】ヘッドアクチュエータに取り付けられた磁
気ヘッドを記録トラックに自動追尾させるいわゆるオー
トトラッキング制御技術については、種々の方法が提案
されており、既に実用化されている。
【0027】トラッキングエラーの検出についていえ
ば、例えば8mmVTRフォーマットで公知であるよう
に、映像信号帯域外の数種類(例えば4種類)の低い周
波数トラッキング用パイロット信号を映像信号に重畳し
て、数トラック(4トラック)にわたって別々のパイロ
ット信号が隣り合うように記録される。このパイロット
方式では、再生時に左右トラックからのクロストークレ
ベルの違いによってトラッキングエラー信号が検出され
る。
【0028】また、アンペックス社の1インチVTRや
ソニー社のD−2フォーマットデジタルVTR DVR
−10等で実用化されたウォブリング方式では、磁気ヘ
ッドがトラック幅方向に一定周波数のいわゆるウォブリ
ング周波数で強制的に微少振動される。そのときの磁気
ヘッドからの再生エンベローブ信号はウォブリング周波
数で同期検波され、トラッキングエラー信号が検出され
る。
【0029】更に、松下電器産業(株)製のNV−10
000型VHS−VTRや、三菱電機(株)製VHS−
VTRのHVシリーズやF75型等で実用化されている
いわゆる山登り方式では、磁気ヘッドからの再生エンベ
ロープ信号を読み出されたフィールドの中央部でサンプ
ルホールドし、次にアクチュエータに与える印加電圧も
しくはキャプスタンモータの回転位相を1ステップ変化
させて(たとえば増やして)、次にフレームのエンベロ
ープレベルと前記サンプルホールド値とを比較するとい
う一連の動作が、次のフレームのエンベロープが小さく
なるまで続けられる。そして、次フレームのエンベロー
プが小さくなれば、印加電圧の方向を反転させて同様の
動作を続けることにより、再生エンベロープを最大値に
向って収斂させる。
【0030】従来のオートトラッキング再生装置は、上
述したような種々のトラッキングエラー検出法によっ
て、トラッキングエラーを検出してヘッドシリンダに内
蔵されたヘッドアクチュエータにトラッキングエラーを
フィードバックすることによって、実現されている。
【0031】一般にこの様な可動ヘッドは、通常速度再
生時のトラッキングエラー補正のためのDTF制御に使
用されるだけではなく、高速再生,スロー再生,スチル
再生などの特殊再生時にも使用されることが多い。
【0032】そこで、このような可動ヘッドをノイズレ
ズ特殊再生に利用した一例として、図50に、ナショナ
ル・テクニカル・レポート(NationalTechnical Repor
t)Vol.28,No.3 (1982年6月)の第41ページに掲
載されたシステム概略図を示す。
【0033】これらの従来技術による高速特殊再生方法
を簡単に説明すると、図51のブロック図において、回
動する磁気ヘッドHはヘッドアクチュエータ14にてテ
ープ走行方向と垂直方向に駆動される。磁気ヘッドHの
再生エンベロープ信号からはトラッキングエラー量がト
ラッキングエラー検知器16にて検知される。
【0034】傾斜補正パターン発生器18は、磁気ヘッ
ドHがテープ上を走査する角度が記録トラックの角度と
一致するように、例えばキャプスタンの回転速度を示す
周波数発生器などからのテープ速度情報を用いて傾斜補
正を行い、磁気ヘッドHにトラックのトレースを行わせ
るための傾斜補正パターンを発生する。
【0035】上記のトラッキングエラー検知器16から
のトラッキングエラー信号とこの傾斜補正パターン発生
器18からの傾斜補正パターンとは加算器410により
加算されて、この磁気ヘッドを磁気テープの走行方向に
移動させるためのヘッドアクチェータを駆動する。
【0036】より詳細に説明すると、通常速度(1倍
速)再生時に、磁気ヘッドHがテープ上をトレースする
角度は、記録トラックの角度と同じであるが、異速度再
生を行うと磁気ヘッドHがトレースする角度は記録トラ
ックの角度と一致しなくなるため、トラックずれ(以
下、傾斜エラーという)が生じ、再生画面上にノイズを
発生してしまう。
【0037】一例として、図52、図53に磁気テープ
上の記録トラックパターンと磁気ヘッドの軌跡との関係
を表した概略図を示してあり、回転ヘッドの回転速度は
記録時と同一のままで、図52は正方向、図53は逆方
向にそれぞれテープの走行速度を記録時の5倍にして再
生する5倍速再生の場合を示している。
【0038】図52のAは記録時および通常再生時の磁
気ヘッドの軌跡を示しているが、磁気テープの走行速度
を正方向に5倍にした場合には、磁気ヘッドの軌跡はそ
の角度がBに示すように大きくなって磁気ヘッドが磁気
テープの幅を横切る期間内に〜の5本のトラックと
交叉するようになる。
【0039】また、図53は通常再生時の磁気ヘッドの
軌跡に対して逆方向に5倍の速度で磁気テープを走行さ
せたときの磁気ヘッドの軌跡を示すものであるが、−
〜−のトラックと交叉する角度の小さい軌跡Cを描く
ようになる。
【0040】この5倍速再生のような、記録時と異なる
速度で磁気テープを走行させる特殊な再生モードにおい
ても再生画面上にノイズを発生しないノイズレス再生を
行うためには、記録されているトラックを磁気ヘッドの
軌跡がトレースするように上記B及びCの軌跡を補正し
なければならない。
【0041】図54には、隣接トラック間にスペースを
設けないで隣接するトラック間の信号をアジマス・ロス
を利用して分離するいわゆるガードバンドレス記録方式
のVTRであって、2つの磁気ヘッドを互いに180度
離れた対向位置に有する回転ヘッドを用いた再生装置で
n倍速再生(nは任意の実数)をしたときの傾斜エラー
パターンの概略図を示してある。
【0042】今、Tを可動ヘッドの回転の1/2周期、
tpをトラックピッチとすると、n倍速再生時における
傾斜エラーはtp(n−1)となり、この傾斜エラーの
値は再生速度比nをパラメータとする関数として表され
る。換言すれば、傾斜エラーはテープ走行速度に依存し
て変化することになる。
【0043】前記の図51中の傾斜補正パターン発生器
18では、このテープ走行速度情報として、例えばキャ
プスタン周波数発生器などからのFG信号等を利用する
ことによって傾斜補正パターンを発生する。この傾斜補
正パターンを図51のヘッドアクチュエータ14に加え
ると、磁気ヘッドHの軌跡は、異速度再生時においても
記録トラック対して平行に動くように傾斜が補正される
ことになる。
【0044】しかしながら、単に磁気ヘッドHを記録ト
ラックの角度に追従して変位させただけでは、記録トラ
ックと磁気ヘッドHの軌跡の直線性、あるいはトラック
の位相ずれ等により更にトラックずれが生じるので、こ
のトラックずれを防止するために、通常、図51に点線
で囲んだ閉ループによるオートトラッキング制御系が付
け加えられる。
【0045】このオートトラッキング制御系の制御方法
としては前述したパイロット方式、ウォブリング方式、
山登り方式等いかなる方式を適用しても良いが、異速度
再生時においても高品位な映像を得るためには記録トラ
ックの非直線性(以下、トラック曲り、という)にも追
従させる必要があることから、制御帯域が比較的広くと
れるパイロット方式やウォブリング方式をとることが望
ましい。なお、このオートトラッキング制御系の制御方
法及び動作はすでに公知であるので、ここでは詳細な説
明は省略する。
【0046】
【発明が解決しようとする課題】ハイビジョン信号や、
映像信号及び音声信号をデジタル化して記録再生するデ
ジタルVTR等においては、記録する信号の情報量が大
幅に増大するため、限られたサイズのカセットテープに
おいても長時間記録を可能にするためには、高密度記録
及び高精度DTF制御による再生技術が不可欠となる。
【0047】従来のVTRにおけるDTF装置は、トラ
ッキングエラー補正手段がヘッドシリンダに設けられた
可動ヘッドのみであったので、DTF制御性能は可動ヘ
ッドを移動させるヘッドアクチュエータの性能で決定さ
れていた。
【0048】そこで、一般に高精度広帯域なDTF制御
に用いるヘッドアクチュエータとしては、比較的高い周
波数、例えば1KHz〜数KHz付近まで位相シフトが
ないものが制御性が良いので選ばれる。高い周波数まで
位相シフトが生じないためには、高い周波数まで共振し
ない機械特性が要求される。
【0049】一般にアクチュエータの機械特性の一次の
共振周波数はアクチュエータバネ定数をアクチュエータ
可動部質量で割ったものの平方根を2πで割ったもので
与えられるので、一次共振周波数を高くするには、可動
部質量を軽くするか、もしくはアクチュエータのバネ定
数を高くすることが行われる。
【0050】また、前述した様に、一般に可動ヘッド
は、通常速度再生時のDTF制御に使用されるだけでは
なく、特殊再生にも使用されることが多い。従来のVT
Rにおける高速ノイズレス再生装置は、磁気ヘッドをヘ
ッドアクチュエータで記録トラックの幅方向に移動させ
ることによってトラッキングエラーを補正している。従
って、補正可能なトラッキングエラー量はヘッドアクチ
ュエータの可動範囲内に限定されている。
【0051】そのため、従来の構成ではヘッドアクチュ
エータは規格によって外径が定まっているヘッドシリン
ダに内蔵されなくてはならず、必然的に小型のものが要
求され、しかも前述したように広帯域DTFに必須な共
振周波数の高いバネが高剛性なものが選定されるので、
その可動範囲は狭く制限される。よって、高速特殊再生
性能は低くなる。
【0052】以上のように、従来の装置では、例えば制
御帯域が数百Hzであるような高精度広帯域なDTF制
御と、数十倍速といったノイズレス高速再生性能の両者
を同時に実現することは物理的に不可能であるという問
題があった。
【0053】
【発明が解決しようとする課題】従来の磁気記録再生装
置におけるテープテンション制御機構は前述のように構
成されているので、高速テープ走行時はテープ送り方向
と逆方向にある一定の負荷をかけるのみで特別なテープ
テンション制御を行っていない。従って、過渡的なテン
ション変動には応答できずにテープに損傷を与えたり、
またテンション変動に伴う磁気ヘッドとテープとの接触
状態変化により出力変動が発生し情報の劣化が起こり易
い等の問題点があった。
【0054】更に、従来のテンション制御装置は、テン
ション制御帯域が狭く、数Hz以下のテンション変動し
か抑圧することができなかった。よって、デジタルVT
R等の高密度記録再生を行うVTRにおいては、磁気ヘ
ッドと磁気テープとの間の最適なスペーシング量を常に
所望の値に保つことは不可能であり、良好な記録再生が
行えないという問題があった。
【0055】従来の磁気記録再生装置は以上のように構
成されているので、テープの送り出し側の低い帯域での
テープテンションの保持とヘッドコンタクトの確保は可
能であるが、テープ走行系の負荷変動等により発生する
ヘッドシリンダ部のテープテンションの変動までは除去
することができないという問題点がある。ヘッドシリン
ダ部でのテープテンションの変動により発生する磁気テ
ープとヘッドの間のスペーシング量の変動は高密度記録
の実現を妨げ、またテープ傷やヘッド摩耗の原因ともな
る。
【0056】一方、このスペーシング量の変動はヘッド
シリンダの偏心によっても発生し、問題点をさらに悪化
させる原因ともなっている。同様に、磁気ディスク装置
等においてもディスクの面振れ等に起因するスペーシン
グ量の変動は大きな問題となっている。このように、従
来の磁気記録再生装置ではスペーシング量を一定に保
ち、高密度記録を可能にすると共に装置や記録媒体の信
頼の向上が大きな課題とされてきた。
【0057】本発明は上記のような問題点を解消するた
めになされたもので、制御帯域が数百Hzといった広帯
域でのDTF制御を高速度で行いながら、かつ数十倍速
といったノイズレス高速再生を画像の劣化なく同時に実
現した磁気再生装置を提供することを目的とする。
【0058】また、本発明の他の目的は高精度広帯域な
テンション制御によって常に最適なヘッドとテープとの
コンタクトを実現し、良好な記録再生が可能な磁気再生
装置を得ることにある。
【0059】さらに、磁気ヘッドが記録再生用の媒体か
ら受ける面圧力量を一定に制御することにより、磁気ヘ
ッドと記録再生用媒体の間のスペーシング量を常に一定
に管理することにより、高密度記録を実現すると共に装
置や記録媒体の信頼性を大幅に向上することを可能とし
た磁気記録再生装置を得ることを目的とする。
【0060】
【課題を解決するための手段】図1は本発明の基本的な
原理の1つを示す概念図であって、回転ヘッドHを備え
るヘッドシリンダ(この図では、ヘッドシリンダの回転
ヘッドの回転面のみを符号1として示した)の磁気テー
プTが供給される入口側に一対の入側固定ピン10a1,
10a2と入側可動ピン9aを設け、また、このヘッドシ
リンダの出口側に2つの出側固定ピン10b1, 10b2
出側可動ピン9bを設ける。
【0061】この入側可動ピン9aには上記一対の入側
固定ピン10a1, 10a2を結んだ線に対してこの入側可
動ピン9aの距離を変化させるための入側テープアクチ
ェータ11aを設け、また、出側可動ピン9bには上記
一対の出側固定ピン10b1,10b2を結んだ線に対してこ
の出側可動ピン9bの距離を変化させるための出側テー
プアクチェータ11bを設ける。
【0062】この入側テープアクチェータ11aを制御
して入側可動ピン9aを移動させることによって磁気テ
ープTのヘッドシリンダ部分でのテンションを制御する
ことができる。
【0063】また、記録時のテープ速度とは異なる速度
での再生を行う際には、上記入側テープアクチェータ1
1aと出側テープアクチェータ11bとを互いに差動的
に移動させることによってトラッキングを行わせること
ができる。
【0064】さらに、上記の入側テープアクチェータ1
1aおよび出側テープアクチェータ11bを制御するた
めに、これらテープアクチェータ11a,11bの特性
をそれぞれ模擬する状態推定器を含む制御系を用いるこ
とによって、極めて精度の高い制御を行うことができ
る。
【0065】また、記録媒体の記録面に向かう突出方向
に移動可能な磁気ヘッドを用いる場合には、この磁気ヘ
ッドの変位量に基づいてこの磁気ヘッドの面圧を推定す
る面圧推定器を設けて、この面圧推定器によって推定さ
れた面圧推定値と基準面圧との差に基づいて得られる面
圧制御信号によって磁気ヘッドの面圧を制御することが
できる。
【0066】これらの本発明の構成要素を制御する制御
系の構成、特に本発明の他の特徴である、テープアクチ
ェータの特性を模擬する状態推定器、および、磁気ヘッ
ドの面圧を推定する面圧推定器については、以下に述べ
る実施例の説明においてその構成および作用が明らかに
される。
【0067】なお、本発明におけるヘッドシリンダとし
ては、磁気ヘッドが設けられて回転する上シリンダと回
転しない下シリンダとによって構成される型式のもの、
磁気ヘッドが固定されて回転するドラムあるいは円板を
2つの回転しないシリンダの間に設ける型式のもの、あ
るいは、回転するヘッドシリンダに磁気ヘッドを設ける
ものなど、各種の既知の型式のものを用いることができ
る。また、固定ピン10および可動ピン9としては、い
ずれもローラを用いることができる。
【0068】
【作用】再び図1を引用すると、上記2つのテープアク
チェータ11a,11bを非差動的に、例えば出側テー
プアクチェータ11bを駆動せずに入側テープアクチェ
ータ11aだけを駆動すれば、入側可動ピン9aの上下
移動方向と量とにしたがってヘッドシリンダ部における
磁気テープのテンションが変化することは明らかであ
り、この磁気テープのテンションを制御することによっ
て、例えばヘッドタッチの制御や磁気記録再生装置に与
えられる加速度の補償などを行うことができる。
【0069】また、この入側テープアクチェータ11a
と出側テープアクチェータ11bを差動的、すなわち互
いに上下反対方向に駆動すれば、上記2つのループ間に
あるヘッドシリンダ部における磁気テープTをその長手
方向に進ませたり引き戻したりすることになり、走行系
の他の領域に影響を及ぼすことなく、ヘッドシリンダ部
における磁気テープの走行速度が変化するので、トラッ
キングエラーの量に基づいて上記テープアクチェータ1
1a,bを差動的に駆動すればトラッキングエラーを補
正できることになる。
【0070】すなわち、磁気テープがVC なる速度で走
行しているとき、入側の可動テープピン9aを速度VB
で上(+VB )または下(−VB )に移動させるととも
に、出側の可動テープピン9bを同じ速度VB で下(+
B )または上(−VB )に差動的に移動させると、2
つのローラ間におけるテープ速度、即ちヘッドシリンダ
部でのテープ速度VA は下記(1)式に示すとおりの線
形な関係式によって表される。 VA =VC +2VB …(1)
【0071】従って、(1)式に基づいて開ループ的に
入側および出側の可動テープピン9a,9bを磁気ヘッ
ドの回転周波数に同期した周波数Fsの三角波または鋸
歯状波で強制的に差動動作させることによって、ヘッド
シリンダ部のテープ速度を周期的に通常再生速度Vに対
してV±VB の範囲で間欠的に早くしたり遅くしたりし
て、特殊再生時にもトラッキングが維持される期間Tを
得ることができる。なお、この期間Tは、三角波を用い
た理想的な場合にはFs/2、すなわち三角波の半周期
の期間となる。
【0072】もし、テープアクチュエータの応答速度の
限界などから安全を見込んでこの期間をFs/2より小
さくした場合には、例えば三角波の立上がり期間である
トラッキングが維持される1つの期間Tの間に少なくと
も1画面分の信号再生を行って画像メモリにこの再生信
号を記憶しておき、次の三角波の立下がり期間などのト
ラッキングがとれない期間である再生不可能な期間には
この画像メモリからの映像信号を画面に出力するように
すれば、多少間欠的な動きにはなるけれども良好な信号
再生が可能となる。
【0073】この方法によって再生速度を変化できる倍
速の範囲は、入側および出側の可動テープピン9a,9
bのストローク及び上記三角波の周波数(以下、サイク
ル周波数、という)Fsによって定まる。例えばマルチ
ヘッドを用いて回転ヘッドが1回転する期間に1フレー
ム分の画像データが読出されるようにしたテープフォー
マットの場合、再生可能倍率N,入側および出側可動テ
ープピン9a,9bのストロークt,及びサイクル周波
数FS との関係は、期間Tを安全率を見込んでFs/4
として計算すると次の(2)式のようになる。 N=(4FsXP-P /V)+1 …(2)
【0074】
【実施例】
[第1実施例の概略]本発明の第1実施例を概略的なブ
ロック図として示した図2を参照しながら説明する。
【0075】この図2において、Dはヘッドシリンダ、
Tは磁気テープ、Ha,HbはヘッドシリンダDに取り
付けられた1個もしくは2個の磁気ヘッド、4は磁気テ
ープTをヘッドシリンダDに供給する供給リールモー
タ、5は磁気テープTをヘッドシリンダDから巻取る巻
取りリールモータ、6は磁気テープTをその長手方向に
定速で送るためのキャプスタンを駆動するキャプスタン
モータ、7は磁気テープTをその長手方向に送るために
上記キャプスタンに押し付けてキャプスタンモータ6の
駆動トルクを磁気テープTに伝達するピンチローラ、8
aはヘッドシリンダDの磁気テープTの入口側のスラン
トポール、8bはヘッドシリンダDの磁気テープTの出
口側のスラントポールである。
【0076】スイッチ3は、DTF制御の対象をキャプ
スタンモータとリールモータとに切換えるために設けた
ものである。すなわち、通常の記録再生ないしは数倍速
までの再生の際のテープ送りはキャプスタンモータによ
って行われるが、数十倍速での再生を行う際にはキャプ
スタンによってこのような高速なテープ送りを行うこと
は不可能なことから巻取側のリールモータによってテー
プ送りが行われる。
【0077】このため、DTF制御系によるトラッキン
グエラーの制御対象となるのは、数倍速までのテープ速
度ではキャプスタンモータであり、数十倍速以上の速度
のときには巻取側のリールモータとなるので、上記スイ
ッチ3はこのようにDTF制御の対象をキャプスタンモ
ータとリールモータとに切換えるために設けられたもの
である。
【0078】なお、上記のような数十倍速の場合にはキ
ャプスタンと磁気テープとが離れるためにキャプスタン
モータには必ずしも電力を供給する必要はない。また、
リールモータには録音・再生などのモードに応じた直流
電力が常に供給されているものであるが、この図では複
雑になるのを避けるためにこの直流電力供給回路につい
ては図示を省略してある。
【0079】9aはヘッドシリンダDの磁気テープTの
入口側に移動可能に設けられた入側可動テープピン、1
0aはヘッドシリンダDの磁気テープの入口側で互いに
対向して設けられた2つの入側固定テープピンを一括し
て示すものであり、これら2つの固定テープピン10a
の間隔が入側可動テープピン9aの最大径より若干大き
めになるように、かつ、可動テープピン9aの移動軌跡
が上記2つの入側固定テープピン10aを結んだ線に対
して距離を変化し得るように取り付けられている。
【0080】同様に10bはヘッドシリンダDの出口側
で互いに対向して移動可能に設けられた2つの出側固定
テープピンであり、それらの間隔が出側可動テープピン
9bの最大径より若干大きめになるように、かつ、上記
2つの出側固定テープピン10bを結んだ線に対して距
離を変化し得るように取り付けられている。
【0081】11bは上記出側可動テープピン9bを駆
動するためのアクチュエータ(以下、出側テープアクチ
ュエータ、という)、11aは入側可動テープピン9a
を駆動するためのアクチュエータ(以下、入側テープア
クチュエータ、という)、12aは入側テープアクチュ
エータ11aの回動によって上記可動テープピン9aを
移動させるアーム、12bは出側テープアクチュエータ
11bの回動によって出側可動テープピン9bを移動さ
せるアーム、13bは出側テープアクチュエータ11b
の回動角を検知するポジションセンサ、同様に13aは
入側テープアクチュエータ11aの回動角を検知するポ
ジションセンサ、14は磁気ヘッドHを磁気テープTの
幅方向(図の上下方向)に移動させるためのヘッドアク
チュエータである。
【0082】更に図2において、状態推定器15aは入
側テープアクチュエータ11aの入力電圧と変位回転角
度との関係を示す“変位/入力電圧”伝達特性を電気的
に模擬する状態推定器であり、入側テープアクチュエー
タ11aの入力電圧とその(回転)変位角度から入側可
動テープピン9aにかかるテンション力、すなわち、入
側テープアクチュエータ11aにかかる加速度や速度及
び位置を推定するものであり、出側テープアクチュエー
タ11bからの入力を受ける状態推定器15bもこの入
側テープアクチュエータ11aの状態推定器と実質的に
同じ構成と機能を有する。
【0083】DTF回路16は、磁気ヘッドHa(H
b)によって再生された信号の再生エンベロープ信号か
らトラッキングエラー信号を生成し、このトラッキング
エラー信号の高周波成分(図中には“AC”で示した)
によってヘッドアクチュエータ14を、また、その低周
波成分(図中には“DC”として示した)によって出側
テープアクチュエータ11bをそれぞれ駆動することに
よってトラッキングエラーを補正するためのものであ
る。
【0084】テンションサーボ回路17は、上記入側の
状態推定器15aから与えられる入側テープアクチュエ
ータ11aの加速度が一定の基準値になるようにリール
モータ4及び入側テープアクチュエータ11aに制御信
号を出力するテンションサーボ回路である。
【0085】特殊再生用信号発生器18は、リールモー
タ4及び5からのリールモータの回転速度を示すリール
モータ回転周波数発生器からの信号(以下、リールモー
タFG信号、という)を演算することによって、あるい
はキャプスタンモータ6の回転速度を示すキャプスタン
回転周波数発生器からの信号(以下、キャプスタンFG
信号、という)を周波数−電圧変換することによって得
られるテープ速度から両テープアクチュエータ11a,
11bを差動動作させて倍速再生などの特殊再生の際の
トラッキングを制御するために先に説明した三角波形を
出力するものである。
【0086】加算器19はDTF回路16からの出側テ
ープアクチュエータ11bの制御信号と上記特殊再生用
信号発生器18からの特殊再生のための三角波形信号と
を加算する加算器、減算器20は基準位置信号と状態推
定器15bからの出側テープアクチュエータ11bの推
定位置信号とを比較して位置エラー信号を出力する減算
器、加算器21は出側テープアクチュエータ11bへの
DTF信号と状態推定器15bからの推定加速度とを加
算する加算器、加減算器22は加算器21の出力に減算
器20からの位置エラー信号を加算するとともに状態推
定器15bからの推定速度を減算する加減算器、加算器
23は入側テープアクチュエータ11aの基準位置信号
を反転した信号に出側テープアクチュエータ11bのD
TF信号と状態推定器15aからの推定位置信号とを加
算する加算器、減算器24はテンションサーボ回路17
からの入側テープアクチュエータ11aへのテンション
制御信号に加算器23からの信号と状態推定器15aか
らの推定速度信号とを減算する減算器である。
【0087】なお、上記減算器23および減算器20に
入力されている基準位置電圧は、例えば0Vなどの固定
電圧であり、次に説明するように、入側および出側のテ
ープアクチュエータ11a,11bがバネ支持でないた
めに基準となる固定位置がないことからその基準位置を
定めるためのものであって、テープテンション制御アー
ム77(図49)を機械的なバネ支持によらずに電気的
に位置制御を行うことによって、いわば電気的に制御ア
ーム77を支持をしているものである。
【0088】[テープアクチェータの説明]図3は本発
明の実施例に使用しているテープアクチュエータの概略
斜視図である。図4はその断面図、図5はその駆動原理
を説明するための概略図であり、図2のアクチェータ部
に図示されている部分に対応する部分には図2と同一の
符号を付してある。
【0089】このテープアクチュエータはバネ支持のな
いボイスコイル型電磁駆動アクチュエータであって、こ
れはハードディスクドライブ装置のトラッキングアクチ
ュエータであるスイングアームアクチュエータとして実
用化されていると同様なものである。
【0090】これらの図において、11は前記可動テー
プピン9が設けられたアーム12を回動駆動させるため
の電磁駆動方式によるテープアクチュエータ駆動部であ
り、401は回動軸の延長方向に着磁され、さらに左右
でその着磁方向が逆になっている永久磁石、402は軟
磁性体からなるヨーク、403は上記回転軸を中心とし
て回動する可動コイルである。
【0091】このボイスコイル型電磁駆動アクチュエー
タは図5(b)に明らかなように、可動コイル403の
回動面と垂直な方向に着磁されるとともに可動コイル4
03の回動円周方向に対しては着磁方向が逆に2分割さ
れた永久磁石401とヨーク402によって閉じた磁気
回路が構成されており、この永久磁石401と平行に配
置される可動コイル403の回動面と垂直な方向に高い
磁束密度が得られるようになっている。
【0092】この可動コイル403に電流を流すと、図
5(b)にイ,ロで示したこの可動コイル403の側縁
に相当する部分にフレミングの左手の法則によって発生
する力によって回動軸を中心に可動コイル403は回動
する。このような構成のテープアクチュエータの“変位
角/周波数”特性は図6に示すようなものであり、この
図で、縦軸はゲイン及び位相、横軸は周波数を示してい
る。
【0093】この図からも明らかなように、このアクチ
ェータは高い周波数域まで機械共振がないので制御性を
極めて良好にすることができるが、機械的な基準位置が
定まらないことから、図2について説明したような、基
準位置を定めるための信号を与えることが必要である。
【0094】なお、上記例ではボイスコイル型電磁駆動
アクチュエータにより可動ピン9を動かす構成を例示し
たが、圧電バイモルフやその他の駆動手段でこの可動ピ
ン9を回動または直線移動させることで所期の動きをさ
せるような構成も適用可能なことはもちろんである。
【0095】[アクチェータの変位量測定手段の説明]
図7には、可動テープピン9の変位量(回転角)を求め
るためにテープアクチェータ11のアーム12の変位量
を測定する光学的センサの例が示してある。404はレ
ーザダイオード404aから発生した光をコリメータレ
ンズ404bによって平行光にし、さらに光束径を絞り
によって規制するように構成した発光部、405aはテ
ープアクチュエータ11の回動軸405′を含む面を切
断して鏡面にした反射部、406は光スポットの位置を
検出するリニアポジションセンサで構成された受光部で
ある。なお、この回転軸405′は、図4の軸405の
延長として設けるか、あるいは、外部の軸受によって支
持される回転軸に代えて構成することができる。
【0096】この図7で示したような光学的センサ40
6は、テープアクチュエータ11の回動範囲が大きい場
合に好適ではあるが高価なため、例えばこの回動範囲が
小さい場合には光源をレーザダイオードより安価なLE
Dにしたり、リニアポジションセンサに代えてより安価
な受光素子を2分割して光束位置がそのいずれにあるか
を検知するようにした2分割検知器を用いることができ
る。
【0097】すなわち、上記のようにテープアクチュエ
ータ11の回動範囲が小さい場合には、図8(a)ある
いは(b)に示すように、図3ないし図5に示したボイ
スコイル型電磁駆動アクチュエータの可動コイル403
の回動軸405にこの軸とともに回転するホールセンサ
410を設け、互いに磁化極性が反対な2つの磁化領域
からなる永久磁石411をこのセンサ410と対向する
ように基板に取付けておき、このホールセンサ410の
出力によってテープアクチュエータ11の回動位置を検
知するようにした安価な磁気的手段を用いることができ
る。
【0098】[第1実施例のDTF制御系の説明]図2
に戻ってこの実施例のDTF制御系について説明する。
この実施例では、前記のような回動型のテープアクチェ
ータを用いているために、入側および出側のテープアク
チュエータ11a,11bによってそれぞれ駆動される
入側可動テープピン9aおよび出側可動テープピン9b
の移動経路は直線ではなくて円弧となるので、精度の高
いトラッキングを行うためにはこの非線形誤差をDTF
制御系で吸収しなくてはならない。
【0099】したがって、従来のDTF制御よりも高精
度・広い周波数帯域かつ広いダイナミックレンジを有す
るフィードバック制御系を使用する必要がある。なお、
もし開ループ的な制御を行うと原理的に非線形誤差が生
じてしまうことからフィードバック制御を行うことが必
要となる。
【0100】そこでこの実施例では、主にトラッキング
エラーによって発生するトラッキングエラー信号の低周
波成分によるDTF制御を可動範囲が広く低周波域での
ゲインが高くとれる出側テープアクチュエータ11bに
よって行わせる。そして、上記可動テープピン9bの移
動経路が上記のように非直線であることに基づいて生じ
るトラッキングエラー信号の高周波成分によるDTF制
御は、磁気ヘッドを磁気テープ上の記録トラックと垂直
方向に駆動するヘッドアクチュエータ14によって行わ
せるようにしている。
【0101】このように、DTF制御を出側テープアク
チュエータとヘッドアクチュエータとの2段結合によっ
て構成し、また直流成分はキャプスタンモータ6あるい
はリールモータ5で応答させるように構成することによ
って、広い動作範囲を有するとともに安定化された高精
度なDTF制御を実現させることができる。
【0102】図9は、図2図示の実施例におけるトラッ
キング制御系を物理量のフローに基づくブロック図とし
て示したものであり、また図10はこれを制御理論の伝
達関数によって表示したものであるので、これらの図を
参照しながらこの実施例のDTF制御系の動作を説明す
る。
【0103】なお、図9および図10中で図2に示した
要素に対応する要素には図2と同一の符号を付してあ
り、また、図10図中のSはラプラス演算子である。ブ
ロック25はヘッドアクチュエータ14を安定にトラッ
キング制御動作させるための補償器であって、その構成
要素の1つであるバンドパスフィルタ25a(図10)
はトラッキングエラー信号の直流成分をカットするとと
もに高域では1次の積分特性を示すバンドパスフィルタ
であり、増幅器25bはトラッキング制御系の制御帯域
を決める増幅器である。
【0104】ブロック26は出側テープアクチュエータ
11bをヘッドアクチュエータ14とともに安定してト
ラッキングを共働させるための補償器であって、その伝
達関数の一部に相当する関数26a(図10)は上記ヘ
ッドアクチュエータ14の“変位/電圧”の周波数特性
を電気的に模擬した2次フィルタの伝達関数であり、ま
た26bは増幅器のゲインを示す伝達係数である。
【0105】ブロック28は2次のローパスフィルタか
らなる補償器であって、そのブロック28a(図10)
はトラッキングエラー信号の低域成分だけを通過させる
ためのローパスフィルタの特性を示す伝達関数、ブロッ
ク28bはゲインを示す伝達関数である。なお、これら
の補償器25,26,27は、図2においてはDTF回
路16中に含まれるものである。
【0106】ブロック27は磁気テープの長さ方向の変
位に対する記録トラック幅方向の変位比を示す機械特
性、ブロック29はリールモータ5の回転角に対する記
録トラック幅方向の変位比を示す機械特性である。ブロ
ック29はリールモータ5の回転角(またはテープアク
チュエータ11bの変位角)に対する記録トラックの幅
方向の磁気テープの変位量との比を示す伝達関数を示す
ものである。
【0107】図9にヘッドアクチュエータ14として示
したブロックはヘッドアクチュエータ14の“駆動電圧
−変位”特性であって、図10ではこれを伝達関数によ
って示してあり、KH τはトルク定数、RH はコイル抵
抗、mH は可動部質量、CH は粘性係数、RH は弾性係
数をそれぞれ表す伝達係数である。
【0108】図9のブロック11bは、アーム12b、
可動テープピン9b(図2)を含む出側テープアクチュ
エータ11bの実際の駆動電圧に対する変位角度(変位
角度/駆動電圧)特性を表すものであって、図10のブ
ロック11bではこの特性を伝達関数で示してあり、5
0はこのテープアクチュエータの“トルク/電圧”特性
を表す伝達関数、51はテープアクチュエータの“変位
角度/トルク”特性を表す伝達関数であって、KT τは
トルク定数、RT はコイル抵抗、JT は回動部の慣性、
T は回動部の粘性係数である。
【0109】減算器20は、出側テープアクチェータ1
1bの基準位置と状態推定器15bからの推定位置とを
比較してこのアクチェータ11bの位置誤差信号を出力
する減算器であり、出側テープアクチュエータ11bと
して前述したバネ支持されていない形式のアクチェータ
を用いていることから、直流成分を図2のキャプスタン
モータ6やリールモータ5に印加するとDTF動作にお
いてこのアクチェータの位置が決まらない系となってし
まうので、出側テープアクチュエータ11b位置と基準
位置とを比較してフィードバックする位置制御系を構成
して電気的にアクチェータの位置を固定するようにした
ものである。
【0110】ブロック15bはテープアクチュエータ1
1bの“変位角度/駆動電圧”の周波数特性及び動特性
を電気的に模擬する現代制御理論による同一次元オブザ
ーバで構成される状態推定器であって、後に詳細に説明
する。
【0111】図10において、ブロック32は出側テー
プアクチュエータ11bの位置制御系のループゲインを
示す伝達関数、ブロック33は状態推定器15bからの
推定加速度をフィードフォワードするループゲインを示
す伝達関数、ブロック34は状態推定器15bからの推
定速度をフィードバックするループゲインを示す伝達関
数、加減算器19,21,221,222 はそれぞれ加減
算を表す伝達ブロックである。
【0112】ブロック5は、リールモータ5あるいはキ
ャプスタンモータ6の入力電圧に対する変位角度の特性
を示す伝達関数であり、ここで、KC τはトルク定数、
C はコイル抵抗、JC は回転部の慣性である。加算器
31は、ヘッドアクチェータ14,出側テープアクチェ
ータ11bおよびリールモータ5(あるいはキャプスタ
ンモータ6)によって定められる磁気テープの長さ方向
の位置を得るためのものである。
【0113】減算器30は、磁気テープ上のトラッキン
グをとろうとするトラックの位置に相当する目標トラッ
ク位置と上記加算器31からのトラッキング位置との差
を得るための減算を概念的に示したものであるが、実際
にはこの減算器30の出力に相当する誤差を示す値をト
ラッキングエラー信号として得ることができる。
【0114】上記のような要素により構成され、トラッ
キングエラー信号の低周波成分によるDTF制御を出側
テープアクチュエータ11bによって行わせるとともに
可動テープピン9bの移動経路が非直線であることに基
づくトラッキングエラー信号の高周波成分によるDTF
制御をヘッドアクチュエータ14によって行わせるよう
にした2段結合系において、出側テープアクチュエータ
11bとヘッドアクチェータ14との2つのアクチュエ
ータに対する各々の制御ループのゲインが等しくなる周
波数である結合周波数は、例えば7.5Hzであるサイ
クル周波数Fs付近にとることが望ましい。
【0115】これは、広いトラッキング動作範囲が必要
な5倍速再生のような高速特殊再生時における非線形誤
差を含んだトラッキングエラー信号の基本周波数はテー
プアクチュエータ11の駆動パターン信号であるサイク
ル周波数Fsとなるので、このサイクル周波数以下の周
波数となる大振幅なエラーはこのテープアクチュエータ
11自体を制御して補正するのが合理的であることによ
るものである。
【0116】逆に、このように結合周波数をサイクル周
波数Fs付近にとれば、トラッキングエラーの高域成分
は主に高い周波数成分の信号に対する追従能力の高いヘ
ッドアクチュエータ14に、また、低域成分は主に低域
トルクが大きく低域追従能力の高いテープアクチュエー
タ11に、それぞれ分担させる2段結合系を構成するこ
とができる。
【0117】このような2段結合系は、1つの制御目標
に対してテープアクチェータおよびヘッドアクチェータ
の2つのアクチュエータが同時に追従し、目標追従のた
めの制御能力が2つに周波数帯域に分割された構成にな
るので、結合周波数において各々のアクチュエータ制御
系の位相差が180度であると全体のゲインが−∞dB
となる(反共振という)問題があるので、この実施例に
おいては、テープアクチュエータに対して現代制御理論
の同一次元オブザーバで構成された状態推定器15bに
よってアクチュエータ11の速度を推定して高いゲイン
34でフィードバックすることによって、テープアクチ
ュエータ11の“変位/電圧”周波数特性の低域特性を
安定な一次形に改善して全体の系の安定化を図ってい
る。
【0118】加えて、出側テープアクチュエータ11b
にかかる外乱力すなわちテンショントルクによる位置変
動を極力さけるため、上記状態推定器15bによって推
定した外乱トルクをフィードフォワードする構成にし
て、テープテンションにかかわらず常に安定に動作する
ように構成してある。
【0119】[状態推定器の説明]そこで本発明の1つ
の特徴的な構成要素である上記の状態推定器15bにつ
いて図10を参照しながら説明する。
【0120】この状態推定器15bは、出側テープアク
チュエータ11bの伝達特性及び動特性を電気的な等価
回路として模擬するものであり、このテープアクチュエ
ータ11bの加速度、速度、位置、外乱力等を高精度か
つ広い周波数帯域に汎って推定することができる。な
お、後述するテンション制御などのために入側テープア
クチェータ11aを制御する状態推定器15a(図2)
も、この状態推定器15bと同様な構成と機能を有する
ものである。
【0121】図10において、100は上記出側テープ
アクチェータ11bの実際の“トルク/駆動電圧”特性
を表す伝達関数50を電気的に模擬した伝達関数、10
1は伝達関数103と共に制御理論の等価変換により上
記テープアクチェータ11bの実際の“トルク/駆動電
圧”特性を表す伝達関数51を電気的に模擬した伝達関
数である。
【0122】ブロック105及び106は、上記テープ
アクチュエータ11bの特性を電気的に模擬した上記伝
達関数100,101,103から得られた動特性を実
際の出側テープアクチュエータ11bの特性と一致させ
るために、出側テープアクチェータを表すブロック11
bの出力dに相当するポジションセンサ13b(図2)
からの基準位置信号と伝達関数100,101,103
による出力との差が“0”に収束するようにフィードバ
ックされるオブザーバのフィードバックゲインを示す伝
達関数であり、102,104,107は減算器であ
る。
【0123】この状態推定器の原理を説明すると、上記
状態推定器15bにおける各要素の伝達関数は図10の
ブロック中に示した値となっており、出側テープアクチ
ュエータ11bに実際に入力した駆動電圧をコイル抵抗
R、力定数Kを模擬したブロック100に入力として与
えると、このブロック100の出力b′は出側テープア
クチュエータ11bの駆動力bを推定した値となってい
る。
【0124】ブロック101及び103の値をまとめる
と (1/J′S)・(1/S)=1/(J′S2 ) …(3) となるから、伝達関数101及び103は出側テープア
クチュエータ11bの機械特性伝達関数51を電気的に
模擬しており、このブロック101の入力として上記伝
達関数100の出力であるb′を入力すればブロック1
03の出力d′は出側テープアクチュエータ11bの回
転角dを推定した値となるはずである。
【0125】しかしながら、上記伝達関数101及び1
03は内部にそれぞれ積分器をもっており、周波数特性
上では出側テープアクチュエータ11bの伝達関数51
の特性と同じであっても、その動特性は上記積分器の初
期値の違い等によって同じにならない。
【0126】そこで、この実施例では、図示しないポジ
ションセンサで検出した実際の出側テープアクチュエー
タ11bの変位量dと状態推定器15bによる推定値
d′との差eをゲインF1 及びF2 でフィードバックし
て、周波数特性のみならず、動特性も実際のテープアク
チュエータの回転と一致するように構成してある。
【0127】以上述べた状態推定器15bの構成は、現
代制御理論の同一次元オブザーバの構成としてよく知ら
れており、この実施例で、テープアクチュエータ11b
の電気的モデルである状態推定器15bにおける積分器
(ラプラス変換における1/S)を含む伝達関数101
と103の手前にそれぞれF1,2 のゲインを含む2つ
のループでフィードバックしているのは、オブザーバの
収束性を自由に決定するためである。
【0128】一般的に、制御対象の駆動電圧と変位を入
力とする同一次元オブザーバはその対象内部での推定速
度を取り出すために使用されるが、この同一次元オブザ
ーバは、制御対象と動特性及び静特性(周波数特性)が
一致した状態において、オブザーバフィードバックゲイ
ンF1,2 を制御対象の極に比べてオブザーバの極が十
分大きく(負の実数の値が大きく)なるようにハイゲイ
ン(F1,2 の値を大きく)にすると、テンションを推
定でき、動特性が一致しているため制御対象の変位出力
d′と実際の変位量dについて d′≒d …(4) が成立する。
【0129】また、伝達関数及びそのモデル100には
積分器が含まれていないために、駆動力 b′≒b …(5) が成立しており、制御対象と、オブザーバ内モデルの動
特性が一致している事から、変位のみならず、速度及び
加速度も一致している。このことから、加速度をJT
した値であるテープアクチュエータ11のアームにかか
る力についても c′≒c …(6) が成立する。
【0130】もともとのテープアクチュエータ11bに
おいては、 “駆動力b”+“テンションによるトルクa” =“テープアクチュエータ機構部に加わるトルクc” …(7) が成立しているため、式(4)〜式(7)より b′+a=c′ となり b′−c′=a′ …(8) すなわち a′=a …(9) となる。
【0131】このことは、オブザーバ内の信号経路a′
はテンションによる外乱トルクを表している事になり、
これを取り出す事によりテンションによる外乱トルクを
検出することができる。以上述べたように、この状態推
定器15を用いることによって、テープアクチュエータ
11の位置、速度、加速度および外乱を高精度広帯域に
検出することができる。
【0132】[第1実施例のDTF制御に関する動作の
説明]次に上記のような状態推定器を用いて構成してい
る第1実施例におけるDTF制御系の動作についてこの
図10を参照しながら説明する。図10の左上に示され
た減算器30の出力に相当するトラッキングエラー信号
は、例えば磁気ヘッドによって再生された信号のエンベ
ロープからパイロット方式等の前述した公知の方法によ
って得られる。
【0133】このトラッキングエラー信号は、補償器2
8のカットオフ周波数が数Hzのローパスフィルタ28
aを経て、後述する出側テープアクチュエータ11bを
含む第3の制御ループと数Hzの周波数でゲインが等し
くなるように選ばれたゲインを有する増幅器28bにて
増幅された後、図示しないドライブアンプによって、テ
ープの走行速度に応じてリールモータ5もしくはキャプ
スタンモータ6を駆動し、リール径やトラック傾斜角な
どにより定まる機械特性29を介して磁気テープを長手
方向に移動させることによってトラッキングエラーの直
流成分を含む低域のエラーを補正する。
【0134】この第1の制御ループは、トラッキングエ
ラーに基づくトラッキングエラー信号によってこのトラ
ッキングエラーがなくなるように動作していることから
明らかなように、この制御ループは閉じたループを構成
している。
【0135】また、上記トラッキングエラー信号は、補
償器25の例えば1次のハイパスフィルタとローパスフ
ィルタとで構成される中心周波数が0.数Hzといった
バンドパスフィルタ25aによって位相補償されて増幅
器25bにて所定のゲインに増幅された後、ヘッドアク
チュエータ14の図示しないドライブアンプに供給され
てこのヘッドアクチュエータ14をドライブし、磁気ヘ
ッドHをトラック幅方向に移動させる。したがって、こ
の第2の制御ループも、上記の第1の制御ループと同様
に閉じたループを構成している。
【0136】また、補償器25の上記増幅器25bの出
力は、上記第2の制御ループとこの第3の制御ループと
が安定に結合するように、例えば制御系の極がすべて左
半面に配置されるように定められた位相進み遅れフィル
タで構成される補償器26aを介して、前述の第2のル
ープのゲインとある周波数でゲインが一致するように増
幅器26bによって増幅された後、特殊再生信号加算器
19、速度ダンピング信号減算器22、外乱除去信号加
算器21などを介して出側テープアクチュエータ11b
の図示しないドライブアンプに供給されて出側テープア
クチュエータ11bを駆動し、機械特性27を介して磁
気テープTを長手方向に移動させることによってトラッ
キングエラーを補正する。
【0137】したがって、この第3の制御ループも、上
記の第1の制御ループ、第2の制御ループと同様に閉じ
ている。この実施例では以上述べたような3つの互いに
電気的に結合されたDTF制御ループによって、高精度
・広帯域かつ広いダイナミックレジンを有するDTF制
御が実現されており、そのオープンループ特性を図11
に示した。
【0138】[第1実施例におけるテンション制御系の
説明]しかしながら、この実施例においては、トラッキ
ングエラーの低域成分を出側テープアクチュエータ11
bにフィードバックして磁気テープをその長さ方向にダ
イナミックに移動させてDTF制御を行っているため、
原理的に磁気テープのテンションにも変動が生じる。
【0139】そこで本発明の実施例においては、図2に
も示されているように、出側テープアクチュエータ11
bのドライブ電圧を入側テープアクチュエータ11aの
位置制御ループの基準位置信号に加えることによって、
例えば通常再生モードや高速特殊再生モードなどのいか
なる動作モードにおいても2つのテープアクチュエータ
11a,bが互いに差動動作して回転ヘッド部分でのテ
ンションの変動が生じないように構成している。
【0140】しかしながら、これら2つのテープアクチ
ュエータ11の電気−機械特性や磁気テープの走行路に
よる機械的抵抗などが完全に等しい場合には、これら2
つのテープアクチュエータ11a,bに等しい電圧を加
えることによって上記のテンションの変動を完全に抑え
ることができるにしても、実際は種々の電気的・機械的
なバラツキによって2つのテープアクチュエータに等し
い電圧を加えたとしても全く同じように動作させること
は不可能である。
【0141】したがって、上記のように出側テープアク
チュエータ11bのドライブ電圧を入側テープアクチュ
エータ11aの位置制御ループの基準位置信号に加えて
もテンション変動が生じるので、この実施例ではクロー
ズドループによるテンション制御方式によって上記テン
ション変動を補正してどのようなモードの場合でも最適
なテンションを維持するように制御している。
【0142】図12は、このテンション制御系を示すブ
ロック図であり、図13はこのテンション制御系を制御
理論の伝達関数で表示したものであるので、これらの図
を参照しながら説明する。なお、図12および図13中
で図2に示した要素に対応する要素には図2と同一の符
号を付してあり、また、図13図中のSはラプラス演算
子である。
【0143】図12において、ブロック50は入側テー
プアクチュエータ11の“発生トルク/入力電圧”の周
波数特性を示す電気特性、ブロック51は入側テープア
クチュエータ11aの“変位角度/供給トルク”特性を
示す機械特性であり、出側テープアクチュエータ11b
と同一の特性である。
【0144】ブロック52はテープの長さ方向の“応力
/歪”特性を示すテープ剛性、ブロック53は走行パス
機械特性であって、固定テープピン10aと入側可動テ
ープピン9aとの幾何学的位置、磁気テープTと上記入
側可動テープピン9aとの力の釣り合い、および、可動
テープピン9aとテープアクチュエータ駆動部11a回
動軸との幾何学的位置関係などの諸特性によって定まる
ものである。
【0145】ブロック15aは入側テープアクチュエー
タ11aに入力される駆動電圧もしくは駆動電流とポジ
ションセンサ13aからの検出変位量によりテープの加
速度や速度等を電気的に推定する状態推定器、ブロック
55及び56はテンション推定器15aからの推定テン
ション値と基準テンション値との差出力、すなわち外乱
テンション量をループが安定になるように入側テープア
クチュエータ11a及び供給リールモータ4にフィード
バックするための補償器、テープ剛性52’はリールモ
ータ4の回転角度変化が及ぼすテープテンション変動特
性を示すテープ剛性、減算器54は上記状態推定器15
aからの推定テンション値と基準テンション値との差を
とる減算器である。
【0146】加算器57,58および減算器59はトル
クの物理的な力のつりあいを示す加減算ブロックであ
り、加減算器24は状態推定器15aからの推定速度や
位置誤差を加速度制御ループに減算及び加算するための
ものである。
【0147】入側テープアクチュエータ11aの回転角
度変化によって検出される磁気テープのテンション値変
動とリールモータ回転角度の変化によるテンション変動
とを合計したものにテンション外乱(テープが受ける軸
及びヘッドシリンダからの動摩擦や、テープの摩擦係数
変動によって発生するもの、及び外部からのテープ長さ
方向の外乱力)を加えたものが磁気テープの走行系のテ
ンションの合計となり、これによって入側テープアクチ
ュエータ11aを変位させる。
【0148】このテンション制御系を制御理論の伝達関
数で表示した図13において、TGはテンション外乱を
示すものであり、ブロック11aは入側テープアクチュ
エータ11aの実際の“変位角度/入力電圧”特性を伝
達関数で示したものであり、その特性は図10の11b
と同じである。
【0149】ブロック52は入側テープアクチュエータ
11aの回動角度変化に対するテープテンション変動の
伝達特性を示す伝達関数、ブロック53はテープテンシ
ョンが入側テープアクチュエータ11aに与えるトルク
の伝達特性を示す伝達関数である。
【0150】ブロック15aは図10に図示し先にDT
F制御系に関して説明した状態推定器15bと同じ構成
の状態推定器であり、テープアクチュエータ11aの位
置、速度、加速度、外乱トルクを高精度広帯域に推定す
るものであり、その詳細は既に述べたのでここでは省略
するが、ブロック108は上記テープテンションが入側
テープアクチュエータ11aに与えるトルクの伝達特性
を示す伝達関数53の逆特性を示す伝達関数である。
【0151】ブロック55aはテンション制御系におけ
る制御帯域内の比較的高い周波数成分を入側テープアク
チュエータ11aにフィードバックするための補償器5
5の一部であるバンドパスフィルタを示す伝達関数、ブ
ロック55bは入側テープアクチュエータ11aに対す
るフィードバックループのループゲインを定めるための
アンプゲインを示す伝達関数である。
【0152】ブロック56aは上記テンション制御系に
おける制御帯域内の比較的低い周波数成分を供給リール
モータ4にフィードバックするための補償回路56の一
部である2次のローパスフィルタを示す伝達関数、ブロ
ック56bはリールモータ4に対するフィードバックル
ープのループゲインを定めるためのアンプゲインを示す
伝達関数ある。ブロック4は、リールモータ4のコイル
抵抗RL とトルク定数KL τと回転部の慣性JL とを含
む伝達関数である。
【0153】加減算器23は状態推定器15aからの推
定位置信号と基準位置信号とを比較し、また、出側テー
プアクチュエータ11bの駆動電圧を加算する演算ブロ
ックであり、ブロック61はこの演算ブロック23から
の位置誤差信号をフィードバックするループゲインを示
す伝達関数、ブロック60は状態推定器15aからの推
定速度をフィードバックするループのゲインを示す伝達
関数、加減算器24はテンション制御ループに位置制御
ループ及び速度制御ループ信号を加算及び減算する演算
ブロックである。
【0154】先に従来例として説明した図49図示の従
来のテンション制御系においては、バネ78の力と磁気
テープのテンションとでテンション制御アーム77がつ
り合って停止したときのテンション制御アーム77の変
位量がテンションに相当するものとして、この変位量を
テープテンション信号としてリールモータ4にフィード
バックしている。
【0155】しかしながら、バネ支持されたテンション
制御アーム77の変位がテンションに比例するのはバネ
支持されたテンション制御アーム77の変動周波数がバ
ネ共振周波数より低い場合であって、テンションの変動
の周波数がバネの共振周波数を越えるとテンション制御
アーム77に加わるテンション変動とテンション制御ア
ーム77の位置変動の位相がずれてくる。実際にはバネ
共振周波数において90度、さらに高い周波数では18
0度ずれる。
【0156】このため従来のテンション制御は、テンシ
ョン制御アーム77を含むバネ支持系の位相回りにより
制御周波数帯域が制限されていた。これは、すなわち、
テンション制御アーム77で検出できるテンションが、
テンション制御アーム77を含むバネ支持系のバネ共振
周波数以下でなければならないことを示している。
【0157】このバネ共振周波数を上げるためにテンシ
ョン制御アームを軽くしたり、バネ定数を強くしたりす
る事が考えられるが、テンション制御アームを軽くする
には限界があり、また、バネ定数を大きくするとテンシ
ョン変動があってもテンション制御アーム12があまり
動かなくなるために検出精度が劣化する。
【0158】そこで、この実施例では先に図3ないし図
5によって説明したようなバネ支持のないアクチェータ
を用いており、図2の左上部にある減算器23および右
側にある減算器20に入側および出側のテープアクチュ
エータ11a,11bの基準位置を定めるための電圧を
供給することによって、テープテンション制御アーム7
7を機械的なバネ支持によらずに電気的に位置制御を行
うことによって、いわば電気的にバネ支持している。こ
れによって、電気的な位置制御の制御帯域と無関係にテ
ンションが広帯域に検出可能で、テンション制御も高精
度に行なえるようになる。
【0159】ここで、状態推定器15aからの外乱トル
ク信号は入側テープアクチュエータ11aに結合された
入側可動テープピン9aにかかるテープテンションにほ
かならないので、この外乱トルク信号をテンション信号
として扱うことができる。
【0160】なお、状態推定器15aのテンション推定
可能な周波数帯域は、オブザーバがモデルマッチングし
ているとき2つのフィードバックゲインF1,2 に依存
する関数となり、 aa′=F1 /(JT 2 +F2 T S+F1 )・aa …(10) となるので、このゲインF1,F2 を十分高く選べば、こ
の周波数帯域を1KHz以上にすることが可能となる。
【0161】上記のようにして推定されたテンションa
a′はテンションの最適値である基準テンションTNと
比較器54にて比較され、テンションエラー信号TGが
検出される。
【0162】このテンションエラー信号TGをカットオ
フ周波数が数Hzと制御周波数帯域より十分低い1次の
バンドパスフィルタにて構成される補償器55aによっ
て位相補償してから増幅器55bで所定のゲインで増幅
した後、テープアクチュエータ位置制御信号加算器及び
速度ダンピング信号減算器24を介して図示しないドラ
イブアンプを経て入側テープアクチュエータ11aをド
ライブする。このように、テンションを基準値とする第
1の制御ループは閉じている。
【0163】同時に上記テンションエラー信号TGは2
次のローパスフィルタにて構成される補償器56aにも
供給され、上述した第1の制御ループと数Hzで安定化
結合するように増幅器56bにて増幅され、図示しない
ドライブアンプを介してリールモータ4をドライブして
テンションを一定にする。このように、第2の制御ルー
プも閉じている。
【0164】ここで上記のように周波数帯域を分割した
のは、前述したように、一般的に入側テープアクチュエ
ータ11aはリールモータ4に比べ機械的時定数が小さ
く高い周波数帯域での制御に向いている反面、可動量が
制限されており、また、直流付近の大きなテンション変
動の制御には不向きなためである。
【0165】この実施例においては、入側テープアクチ
ュエータ11aの特性を2次形から安定な1次形に改善
するため、DTF制御について説明したと同様に、状態
推定器15aの推定速度を増幅器60で増幅し、ハイゲ
インで入側テープアクチュエータ11aにフィードバッ
クしており、その際に1次形に改善される帯域がテンシ
ョン制御帯域と同程度もしくはそれ以上になるように上
記増幅器60のゲインを定める。
【0166】また、入側テープアクチュエータ11aの
位置固定のために、状態推定器15aからの位置信号も
しくはポジションセンサ13aからの位置信号を基準位
置信号と減算器23によって比較して位置誤差信号をつ
くり、その位置誤差信号を増幅器61によってゲインG
8 で増幅してから、入側テープアクチュエータ11aに
フィードバックする。
【0167】このフィードバックループゲインG8 は、
テープテンション基準値TNに対する入側テープアクチ
ュエータ11aの位置制御ループの定常偏差が例えば数
十〜数百μm程度とさほど大きくならないように選ぶの
が望ましい。
【0168】また、この位置制御ループで位相補償が行
われていないのは、前述した速度ダンピングループにて
入側テープアクチュエータ11aの特性が安定な1次形
に改善されているためである。
【0169】以上のようなテンション外乱を推定する方
法を用いてテンション制御すると、推定された磁気テー
プのテンションが従来のテンション検出機構によるもの
よりもはるかに広帯域で正確に検出されるため、きわめ
て広帯域なテンション制御が実現される。
【0170】この実施例におけるテンション制御系によ
れば、入側テープアクチュエータ11aによってテンシ
ョン変動の高周波成分を抑圧するとともに、リールモー
タによってテンション変動の低周波成分を抑圧するの
で、テンション制御精度が向上し、高精度広帯域かつ広
いダイナミックレンジを有するテンション制御系を得る
ことができる。
【0171】このように、図2ないし図13に示した本
発明の第1実施例によれば、高精度広帯域かつ広いダイ
ナミックレンジをもつDTF制御及びテンション制御が
実現されるので、通常再生モード時だけでなく高速特殊
再生モード時においても良好な再生が可能となる。
【0172】[第2実施例]図14ないし図16に示し
たこの第2実施例は、磁気ヘッドと磁気テープの間隔で
あるスペーシング量を一定に保つためにヘッドタッチ制
御回路200とこのヘッドタッチ制御回路200からの
ヘッドタッチ制御信号をテンション制御ループ中の状態
推定器15aからの推定加速度信号に加算するための加
算器201が設けられている。
【0173】また、トラッキングを行うために磁気ヘッ
ドをトラックの垂直方向に移動させるためのヘッドアク
チェータおよびこれに関連する手段については、システ
ムを安価に構成するため、ないしはヘッドシリンダの小
型化に対応するために省略されている。
【0174】そこで先ずヘッドタッチ制御について説明
すると、実施例1で示したテンション制御回路において
は、入側可動テープピン9aの部分での磁気テープTの
テンションは高精度でかつ広帯域に最適テンションに保
たれるが、ヘッドタッチ制御の観点からすると実際にテ
ンション制御したいのは磁気ヘッドHの部分のテンショ
ンである。
【0175】すなわち、ヘッドシリンダDの偏心やテー
プTとヘッドHとの接触などの機械的・部分的なテンシ
ョン変動などによって、磁気ヘッドHに対向する部分で
の磁気テープのテンションが変動するとテープとヘッド
間の間隔が変化して再生出力の高周波成分が変動するこ
とになるが、これは今後予想される機械系の簡素化や部
品の低価格化、あるいは高密度の記録を行なう場合には
重要な問題となる。
【0176】図14はこの第2実施例を概念的なブロッ
ク図によって示したものであり、図15はそのDTF制
御系の物理量の流れを示す説明図、図16はこの図15
を制御理論の伝達関数で示した図、図18はヘッドタッ
チ制御回路を示すブロック図である。
【0177】ヘッドアクチェータを使用しないことによ
って変更された、この実施例のDTF制御系について先
ず説明する。この実施例のDTF制御系を示した図1
5,図16を第1実施例のDTF制御系を示した図9,
図10と対比すると明らかなように、この実施例ではヘ
ッドアクチェータを備えていないことから図10でヘッ
ドアクチェータの伝達関数を示していたブロック14を
備えておらず、また、図9にブロック5で示されるよう
に巻取リール5のリールモータを制御していたのに代え
てこの実施例ではキャプスタンモータ6を制御するよう
に変更されている。
【0178】そして、この実施例のDTF制御系は、実
施例1と同様に、トラッキングエラー信号の高域成分と
低域成分とによる制御を出側テープアクチュエータ11
bとキャプスタンモータ6とにそれぞれ分担させるよう
に構成されている。この実施例も第1実施例と同様に状
態推定器15bを備えており、速度フィードバックによ
って出側テープアクチュエータ11bの低域特性を1次
形に改善しており、また位置制御及び外乱除去制御につ
いても第1実施例と同様な処理が行われている。
【0179】すなわち、図16において、磁気ヘッドH
の再生エンベロープ信号からパイロット方式等の方法に
よって得られたトラッキングエラー信号(減算器30の
出力に相当する)は、補償器28のカットオフ周波数が
数Hzのローパスフィルタ28aを経て、後述する出側
テープアクチュエータ11bによる第2の制御ループと
数Hz〜10Hzの周波数にて結合するように選ばれた
増幅ゲインを有する増幅器28bにて増幅され、図示し
ないドライブアンプによって通常は図示したようにキャ
プスタンモータ6を駆動し、また高速再生時にはリール
モータ5をドライブする。なお、上記ローパスフィルタ
28aは必ずしも用いる必要はない。
【0180】キャプスタンモータ6(あるいはリールモ
ータ5)は、それぞれの機械特性を介して磁気テープT
を長手方向に移動させることによってトラッキングエラ
ーの直流成分を含む低域のエラーを補正するので、トラ
ッキングエラーを介してこの第1の制御ループは閉じて
いることになる。
【0181】また、上記トラッキングエラー信号は、カ
ットオフ周波数が0.数Hzといった補償器28のロー
パスフィルタ28aのカットオフ周波数より低い周波数
に選定されたハイパスフィルタ25aを介して増幅器2
5bにて所定の振幅になるように増幅され、特殊再生信
号加算器19、速度ダンピング信号減算器221 、外乱
除去信号加算器21、位置制御信号加算器222 を介し
て図示しないドライブアンプから出側テープアクチュエ
ータ11bをドライブする。
【0182】この出側テープアクチュエータ11bはそ
の機械特性を介して磁気テープTを長手方向に移動させ
てトラッキングエラーを補正するよので、この第2の制
御ループもトラッキングエラーを介して閉じている。
【0183】この第2実施例では、以上の2つの電気的
に結合されたDTF制御ループによって高精度広帯域か
つ広いダイナミックレンジなDTF制御が実現されてお
り、そのオープンループ特性の例を図17に示す。
【0184】この実施例のDTF制御系において特徴的
なのは、前述した通り、DTF制御帯域より高い周波数
まで速度フィードバックによって出側テープアクチュエ
ータ11bの低域特性を1次形に改善し安定化させた点
にある。こうすることによって2次形であるキャプスタ
ンモータ6との結合を容易に行うことが可能となり、か
つ、DTF制御を安定に行うことが可能となる。
【0185】この実施例のヘッドタッチ制御について説
明する。図18はヘッドタッチ制御回路200の一例を
示すブロック図であって、202は検波回路、203は
ピークホールド回路、204は減算器、205はリミッ
タ、206は絶対値回路、207はレベル判定器、20
8はアナログスイッチである。なお、図中のa〜dの各
点における信号を図19に示した。
【0186】磁気ヘッドから再生された再生信号aを検
波器202によって検波することによってエンベロープ
信号bが得られ、このエンベロープ信号bのピーク値を
記憶するピークホールド回路203によってピークホー
ルドするとcのようなピークレベル信号が得られる。
【0187】なお、このピークホールド回路203とし
ては、アナログ電圧メモリなどを用いることができ、記
録条件などが変わらない限りこのピーク値は実際上変動
しないことからヘッドシリンダDの数回転ごとにこのピ
ークホールド回路をリセットしてピーク値を更新すれば
足りるものであり、この図では、ピーク値cはほぼ一定
の電圧として示されている。
【0188】このピークレベル信号cからエンベロープ
信号bを減算器24で減算するとスイッチ208の固定
接点にはdのような信号が得られ、この信号dの空走期
間(ヘッドHがテープTを走査してない期間)の出力を
カットするために、磁気ヘッドの回転位相を示すデュー
テイ比が50%の回転ヘッド位相信号で切替えることに
よってスペーシングエラー信号eが得られる。
【0189】このスペーシングエラー信号eは、いわば
エンベロープ信号の出力が落ち込んだ量を表したもので
あり、この落込みがトラックずれによるものなのか、ス
ペーシングによるものなのかを分離しなくてはならな
い。
【0190】この実施例では、上述のように高精度なD
TFがかけられているので原理的にはトラックずれはほ
とんど零であり考慮しなくていいレベルとなっているは
ずであるが、安全を見込んでこの実施例においてはトラ
ッキングエラー信号の絶対値を絶対値回路206で作
り、その出力レベルが例えばトラックピッチの10%に
相当する規定値を超えたときはレベル判別器207の出
力によってスイッチ209を遮断して、ヘッドタッチ制
御回路の制御ループが切れるようにしてある。
【0191】リミッタ205は、このヘッドタッチ制御
回路からのスペーシングエラー信号eの出力があまり大
きいとテープのテンションが急激に変化してテープに大
きなダメージを与える虞れがあるため、あるレベル以上
の出力を生じないようにするためのものである。
【0192】このリミッタ205の出力であるスペーシ
ングエラー信号eは、図14に示されているように、上
記したDTF制御系の状態推定器15aからの推定テン
ション信号に加算器201で加算される。
【0193】なお、図18に鎖線で示したのはこのヘッ
ドタッチ制御回路を変形した例であって、エンベロープ
信号の出力が落ち込んだ量を示す上記のスペーシングエ
ラー信号eからトラッキングエラー信号fを差し引くこ
とによって純粋なスペーシングエラー信号gを取り出す
ようにしたものであり、図20に図18のe,f,g点
における信号の一例を示す。なお、このヘッドタッチ制
御方法はDTF制御を用いていない場合にも有効であ
る。
【0194】この第2実施例のその他の構成は、前述し
た第1実施例と同等なものであるので説明を省略する。
【0195】なお、第2実施例についてテンション制御
系をクローズドループとして構成した場合について説明
したが、スペーシングエラー信号gのエラーパターンを
メモリに記憶させておいて、閉ループ的に加算する方法
も考えられることはいうまでもない。この際加算するゲ
インをスペーシングエラー信号gのエラーパターンを見
ながら適応的に切り替えればばなお一層の効果を挙げる
ことができる。
【0196】以上に説明した第2実施例によれば、簡単
な構造によって安価にDTF制御、テンション制御およ
びヘッドタッチ制御を行うことができるので、テープは
常に最適なテンションに保たれて良好な信号再生が可能
となる。
【0197】[第3実施例]図21に示した第3実施例
は、第1実施例に実施例2で説明したヘッドタッチ制御
回路を付加したものであり、その動作と効果については
第1実施例および第2実施例について説明したところか
ら明かであるから、説明を省略する。
【0198】[第4実施例]図22は本発明の第4実施
例を示す概略図であり、図中250がこの第4実施例に
よって第3実施例に付加された加速度検出器であり、こ
の加速度検出器は可動ピンの可動方向の磁気記録再生デ
ッキの加速度を検出するものである。
【0199】この第4実施例は、前記の第1〜第3実施
例によるテープ駆動系(以下においては便宜上、デッ
キ、という)が安定した場所に設置された場合を想定し
たシステムであったのに対し、この実施例はシステム自
身が車載等の用途で動いたり衝撃を与えられた場合のよ
うな、加速度を与えられたときにも良好な動作を維持で
きるものとするために、上記の加速度検出手段250を
設けたものである。
【0200】前記の第1〜第3実施例のシステムにおい
てはテープテンションを入側テープアクチュエータ11
aにかかる外乱トルクとして検出していたが、これはデ
ッキが静止している場合はよいとしても、この実施例で
想定しているように、デッキがある加速度でもって動く
とこの外乱トルクにデッキ自体の加速度が加わってしま
い、前記の実施例においては、入側テープアクチュエー
タ11aからの外乱トルクの情報からテンションの変動
によるものとデッキの加速度によるものとを分離するこ
とが不可能であった。
【0201】この実施例では、上記加速度検出器250
は可動ピン9に加わる加速度ないしはこの可動ピン9が
取付けられているアームの加速度を検出するものであっ
て、入側テープアクチェータ12aにおける角加速度、
詳しくは入側テープアクチュエータ11aのアーム12
dが基準位置にある場合のアーム12aの回動方向の加
速度、を測定するものである。そして、得られた加速度
を表す検出信号を推定テンション信号から減算すること
によって、加速度の影響を除くことができる。
【0202】なお、この加速度を測定する装置として
は、基台と重錘との相対移動を圧電素子などによって検
出するようにした市販の加速度計を用いることができ
る。このようにシステムを構成すれば、例えばデッキが
車載されて突発的な外乱加速度が生じた場合でも正確な
テンションを検出することができるため、安定なテンシ
ョン制御を実現することができる。
【0203】なお、この実施例のその他の構成及び動作
や効果については第1〜第3実施例と同様なので説明を
省略する。
【0204】[第5実施例]図23に概略図、図24に
物理量によって示したブロック図、図25に伝達関数で
示した実施例5は、システムをさらに安価にするため、
出側テープアクチュエータを省いた実施例である。この
実施例においても、そのテンション制御は第1〜第3実
施例で用いた方式と類似の構成によって実現することが
できる。
【0205】この実施例の機械的構成は、図23に示す
ように、軸300aを回転軸として回転するテンション
検出アーム300の先端に設けられた可動テープピン3
09とヘッドシリンダDの入側に設けた一対の固定テー
プピン310a,310bとに磁気テープを係合させて
ループを形成させており、このテンション検出アーム3
00はバネ301によって磁気テープにバックテンショ
ンを与える方向に付勢されるとともにその回転位置がセ
ンサ302で検出される。
【0206】一方、上記供給リール314を載置するリ
ール台315にはブレーキ306が設けられており、こ
のブレーキ306を駆動するブレーキアクチェータ30
5を制御することによってこのブレーキ306によるブ
レーキ力を変化させて磁気テープのバックテンションを
制御するように構成される。
【0207】この実施例におけるテンション制御を図2
5を参照しながら説明する。ブロック300はテンショ
ン検出アームの“回転変位/トルク”特性を示すもので
あって、その内部に示したブロック310はテンション
検出アームのトルクを速度に変換するブロックであっ
て、JS はアーム回動部の慣性、Cは粘性係数を示して
いる。
【0208】図23に示したように、バネ301によっ
て支持されたテンション検出アーム300のテープテン
ションとバネ301の復元力とによる釣合位置を位置セ
ンサ302によって観測し、ブロック300の出力とし
て得られたこの位置情報は、状態推定器303の減算器
354に入力される。
【0209】この状態推定器303はテンション検出ア
ーム300の“回転変位/トルク”周波数特性及びバネ
301の動特性を電気的に模擬するものであって、この
テンション検出アーム300及びバネ301を含めたテ
ンション検出機構の加速度,速度,位置外乱力等を高精
度広帯域に推定できるものであり、その構成および動作
原理は基本的には第1〜第4実施例で示したものと実質
的に同じである。
【0210】状態推定器303の内部に示したブロック
350,352及び353は上記テンション検出アーム
300及びバネ301の伝達関数310,311,30
1をそれぞれ模擬した伝達関数であり、減算器354は
上述のようにポジションセンサ302(図23)からの
出力と上記伝達関数350〜353からの出力との差を
求める減算器、356及び357はテンション検出アー
ム300の特性を電気的に模擬した伝達関数350〜3
53での動特性を実際のテンション検出アーム300と
一致させるために減算器354の出力差が零に収束する
ようにフィードバックするオブザーバフィードバックゲ
インを示す伝達関数である。
【0211】図13図示の第1実施例の状態推定器と比
較すると、この実施例の状態推定器においては、テンシ
ョン検出アームに駆動用部材がないことから図13にお
けるブロック50が省略され、また、バネ支持に変更さ
れていることから新たにバネ剛性を示す伝達関数301
が追加されるとともにこのバネを模擬するブロック35
3が追加されている。
【0212】テンション検出機構のテンション検出アー
ム300に加わる力はテープのテンションによる力とバ
ネ301による力との合力であって、ブロック310,
311,301,312で表される伝達特性を介したブ
ロック300の位置を示す出力は上記のポジションセン
サ302によって検出されて減算器354の減算入力端
子に印加され、一方、基準テンションに基づいてこのブ
ロック300を電気的に模擬した状態推定器303のブ
ロック350,352,353,355によって得られ
た伝達関数352の出力はこの減算器354の加算入力
端子に加えられている。
【0213】この伝達関数352の出力は実際のポジシ
ョンセンサ302の位置を推定しているはずであるが、
伝達関数350,352は内部に積分器を持っているた
めに周波数特性上ではテンション検出機構300,30
1,302の伝達特性が同じであっても動特性は上記積
分器の初期値の違いによって同じにならない。
【0214】そこで前述した実施例におけると同様に、
ポジションセンサ302によって検出した実際の変位置
(ブロック図300の出力に相当する)と状態推定器3
03で推定した変位置との差を減算器354で減算して
求め、ブロック356及び357によってゲインF1
びF2 でフィードバックすることによって周波数特性の
みならず、動特性も実際の機械特性と一致するようにし
ている。
【0215】以上の構成は、現代制御理論の同一次元オ
ブザーバの構成としてよく知られているものであり、フ
ィードバックゲインF1,2 はオブザーバの収束性を自
由に決定する定数であり、制御対象の極に比べてオブザ
ーバの極が例えば10倍程度大きく(負の実部の値が大
きく)なるようにハイゲインに選ばれる。
【0216】こうすれば、状態推定器303の特性は実
際のテンション検出機構300,301,302の周波
数特性だけではなく動特性も一致しているので、外乱に
基づく加速度によるテンション変動をテンション検出機
構の機械的な共振周波数の影響を受けずに広帯域で検出
することが可能となる。
【0217】このようにして検出されたテンション変動
は、補償器304にてテンション制御系が安定になるよ
うに位相補償ゲイン補償されるが、仮にブレーキアクチ
ュエータ305が高い周波数まで位相まわりなく動作可
能とすると、この位相補償は一次のローパス特性とな
る。
【0218】図23に戻って、状態推定器303からの
推定テンション信号は、実施例4について説明した加速
度検出器250からの加速度信号が減算された後にテン
ションサーボ回路304に入力され、その出力であるテ
ンションコントロール信号は図示しないドライブアンプ
を経てブレーキアクチュエータ305を駆動する。
【0219】これによって、ブレーキ306は作動して
供給リール台315にブレーキを動作させてテンション
が基準値になるように維持する。なお、ブレーキトルク
特性は一般的にはブレーキアクチュエータ305の変位
に対して非線形の特性となるので、線形とみなせる範囲
を利用して系を構成することが望ましい。
【0220】このようにテンション制御系を構成すれ
ば、テンション検出が広帯域に可能なだけでなくテンシ
ョン制御をアクチュエータを用いた閉ループで構成して
いるために従来のテンション制御より高性能なものが実
現できる。
【0221】[第6実施例]ところで、磁気ヘッドと磁
気テープのスペーシング量を常に所定の値に保つことが
高密度記録などの際に重要なことは前述したとおりであ
る。上述の各実施例においてもこのスペーシング量の安
定化について配慮されているが、このスペーシング量は
テープのテンションを介して間接的に制御されているこ
とから、必ずしも充分なものとはいえない。
【0222】このため、磁気ヘッドを磁気テープ面の垂
直方向に移動させて、スペーシング量を直接的に制御す
ることが望ましい。そこで、先ず、磁気ヘッドを磁気テ
ープ面の垂直方向に移動させる機構を備える回転ヘッド
の構成例について説明する。
【0223】図26および図27に平面図および斜視図
をそれぞれ示す構成例は、ヘッドシリンダに設けた磁気
ヘッドを磁気テープの面と垂直方向、すなわちヘッドシ
リンダの直径方向に移動し得るようにした、この実施例
に用いられる可動ヘッド機構の構成を示すものである。
【0224】5191,5192 はこの可動ヘッドHを設
けたヘッドシリンダの断面を示すもので、5191 は回
転駆動部を含む軸部、5192 は磁気テープ516が巻
付く壁部であって、可動ヘッドHはヘッドベース525
上に載置されており、このヘッドベース525はパンタ
グラフ状の板バネ524を介して上記ヘッドシリンダの
軸部5191 に保持されているので、可動ヘッドHは常
時磁気テープ516の面に空気層を介して圧接されるこ
とになる。なお、磁気ヘッドHは上記板バネ544によ
って矢印以外の方向への移動の自由を規制されているの
で、磁気テープ面と垂直な方向以外には動かない。
【0225】同図の構成において、ヘッドHの摺動面が
磁気テープ516によって面圧力を受けると、磁気ヘッ
ドは板バネ544の力に抗してその面圧力に応じてヘッ
ドシリンダの内方に変位するが、この変位量は上記ヘッ
ドベース525に取付けられたマグネット512の位置
とホール素子511の位置との関係で定まるホール素子
の出力として検出される。
【0226】なお、この明細書および図面における「面
圧力」とは、磁気ヘッド摺動面が記録媒体から空気層等
の一定のスペーシング量を隔てこの磁気ヘッドの突出方
向に受ける圧力をいうものである。
【0227】また、マグネット512として図27に示
したような2極のものを用いると、ホール素子511の
出力としてマグネット512の位置に応じて正負の信号
を得ることができるので、このホール素子511の出力
が“0”となる位置をつり合い位置として制御系を構成
すれば、ホール素子511の感度の変化による影響を受
け難い制御系を構成することができる。
【0228】[第7実施例]図28は可動ヘッド機構の
構成の他の例を示す斜視図であって、583は例えばヘ
ッドシリンダ内の図示しないヘッドシリンダに固定穴5
45を通じてのねじ止めにより取付けられた固定ヘッド
ベースであり、ヘッドHを載せるヘッドベース525は
板バネ544により固定ヘッドベース583から突き出
す方向のみに移動可能なように付勢されており、ヘッド
ベース525のヘッド取付部と反対側の面には反射面5
48が形成されている。
【0229】固定ヘッドベース583には発光部546
と受光部547が設けられており、この発光部546か
ら出た光がヘッドベース525の反射面548で反射さ
れて受光部547で受光されるように配置されている。
したがって、受光部547として図で左右に2分割され
た受光素子を用い、ヘッドベース525の基準位置での
反射光がこの受光素子の分割部に投射されるように配置
することによって、ヘッドベース525の変位量を2つ
の受光素子の出力の差として検出することができる。
【0230】図29は図28図示の構成例で示した可動
ヘッド機構において、磁気ヘッドの変位量を制御可能に
した他の構成例を示す斜視図である。549はヘッドベ
ース525と固定ヘッドベース583の間に設けられた
圧電バイモルフであり、この圧電バイモルフに印加する
電圧を制御することによって板バネ544で固定ヘッド
ベース583に支持されているヘッドベース525を移
動させて、ヘッドHの突出量を制御することができる。
【0231】このような構成によれば、ヘッドHの突出
し量を積極的に制御することができるので、ヘッド面圧
もヘッド側から制御することが可能になる。なお、圧電
バイモルフ549の代わりにボイスコイル等のアクチェ
ータを用いても同様の動作を実現することができること
は言うまでもない。
【0232】図30は上記のような可動ヘッドを備えて
磁気ヘッドの面圧を制御し得るようにするとともに、前
記実施例におけると同様に、リールモータまたは磁気テ
ープの走行系に設けた可動ピンによりテープのテンショ
ン量を制御するようにした、この発明の第6実施例を物
理量に流れとして示した図である。
【0233】前述した第1ないし第5実施例について説
明したような、磁気テープを供給する供給リールを駆動
するリールモータあるいは磁気テープの走行系に設けら
れた可動ピンである制御対象501を制御するとテープ
のテンションが変化し、これに伴って磁気ヘッドの面圧
が変化するために可動ヘッドの突出量も変化する。
【0234】この図30のテンション面圧変換ゲイン部
502は、テンションTtの変化量とこのテンションの
変化によって生じる磁気ヘッドの面圧Phの変化量との
関係を示したものであり、また、可動ヘッド機械特性5
03はこの面圧Phの変化量とこの面圧の変化によって
生じる可動ヘッドの変位量Hmの関係を表したものであ
り、この機械特性は次の式で与えられる。 Hm=1/(mS2 +cS+k) ……(11)
【0235】上式において、mは可動ヘッドの質量、k
は可動ヘッドを保持するバネのバネ定数、cは可動ヘッ
ドを保持する系の粘性、Sはラプラス演算子である。こ
の可動ヘッド機械特性503の出力Hmは、可動ヘッド
の実際の変位であって、先に説明したような可動ヘッド
の変位量測定手段によって測定される。
【0236】この変位量測定手段によって測定された可
動ヘッドの変位量Hmは面圧推定部505に入力されて
面圧が推定されて、減算器559の減算入力端子に入力
される。なお、この面圧推定部505は、磁気ヘッドの
実際の面圧を測定するのが困難なことから、上記可動ヘ
ッドの変位量に基づいてこの面圧を推定するためのもの
であり、後に詳細に説明する。
【0237】この減算器559の加算入力端子には基準
面圧値Prが供給されているので、この減算器の出力と
して基準面圧Prと推定された面圧Pgとの差である面
圧誤差値Pdが得られる。面圧制御系補償部504は、
この面圧誤差値Pdに相当する面圧の補償を行うに必要
な制御量Ctを算出して前記したような供給リールを駆
動するリールモータあるいは磁気テープの走行系に設け
られた可動ピンを移動させるためのアクチェータなど制
御対象501に送り、その制御を実行する。この実施例
では、このようなフィードバック制御系を用いることに
よって、磁気テープによる磁気ヘッドの面圧を常に良好
な値に保つことができる。
【0238】[面圧推定器]上記のような面圧制御系を
構成するために非常に重要な役割を果たしている面圧推
定部505は、先に説明した状態推定器、特にバネを用
いた第5実施例における状態推定器と同様な構成と機能
を有している。
【0239】図31は図30の構成における面圧推定部
505の構成の一例を示すブロック図である。図におい
て、ブロック530,531,534は、それぞれ可動
ヘッド機構526の機械特性を等価回路として模擬した
もので、これらのブロック中には模擬した機械特性の要
素が示されており、バネ定数ブロック530ではバネ定
数k、質量粘性ブロック531では質量mおよび粘性c
をそれぞれ模擬していることが示されている。なお、S
はラプラス演算子であり、したがって、1/Sとして示
されたブロック534は積分器である。
【0240】ブロック532及び333は可動ヘッド機
構526の特性を電気的に模擬した上記ブロック53
0,531,534の動特性を実際の可動ヘッド機構5
26と一致させるために、減算器354の出力が零に収
束するようにフィードバックするオブザーバフィードバ
ックゲインF1,2 を示すものである。
【0241】これらのブロック530,531,534
からの可動ヘッドの面圧を推定した出力は減算器564
の加算入力端子に送られるが、この減算器の減算入力端
子には可動ヘッド機構526の面圧センサ出力量Psが
入力しているので、この減算器564からは実際の面圧
と推定された面圧との差が出力される。そして、この差
出力はゲインF1,2 でフィードバックされているの
で、ある時間後にはこの差出力が“0”になる。
【0242】このような状態においては、この状態推定
器内に可動ヘッド機構526における力の釣り合いが再
現されており、フィードバックゲインブロック533の
出力を外に取り出すことで、ヘッド面圧推定量Pgを得
ることができる。
【0243】以上のような構成はマイクロコンピュータ
等により容易に構成することができるが、次に説明する
ようにアナログ回路で構成することも可能である。図3
2は図31の構成をアナログ回路によって構成した場合
のブロック図である。図における演算増幅器531,5
34,563,564は、それぞれこれらと同一の符号
で示した図31の質量粘性ブロック531、積分ブロッ
ク534、演算器563,564に対応している。
【0244】この質量粘性ブロック531ではラグリー
ドフィルタが構成され、積分ブロック534では積分器
が構成されている。そして、フィードバックゲインブロ
ック532,533等のフィードバックループやバネ定
数ブロック530に相当する部分が接続された構成とな
っている。
【0245】しかしながら、図31に示した面圧推定部
の構成では、ヘッド位置センサの出力に含まれる観測ノ
イズがフィードバックゲインブロック533のゲインで
あるF2 倍されてヘッド面圧推定量Pgに含まれてしま
うため、このセンサの観測ノイズを除去する必要があ
る。
【0246】図33は、このようなセンサの観測ノイズ
の影響を受けないように構成した面圧推定部の構成例を
示すブロック図であって、584は擬似微分回路であ
る。面圧センサ出力量Psを減算器564に入力する
と、質量粘性ブロック531の出力として可動ヘッド機
構の速度に相当する信号が得られるが、この信号には面
圧センサ出力量Psに含まれる観測ノイズが質量粘性ブ
ロック531のローパスフィルタ特性を介して含まれて
いる。
【0247】質量粘性ブロック531の出力であるこの
速度信号出力は制御理論におけるゴビナスの最小次元オ
ブザーバで構成された外乱推定オブザーバに入力され
る。一般に、この外乱推定オブザーバは駆動電流と検出
速度を入力してトルク外乱量もしくは外乱力量を推定す
るものであるが、可動ヘッド機構が可動ヘッドを能動的
に駆動するアクチェータなどの手段を持たない場合に
は、駆動電流量“0”として簡素化できる。この擬似微
分回路584は、このようにして簡素化された外乱推定
オブザーバである。
【0248】この擬似微分回路584は、mG2 (ここ
で、Gは外乱推定帯域を表すものである)の特性を有す
るブロック5841 の出力をブロック5842 における
1/(S+G)のローパスフィルタ特性を介して出力す
るものであるから、面圧センサからのノイズを含む信号
は、質量粘性ブロック531の1/(mS+c)および
ブロック5842 の1/(S+G)という2つのローパ
スフィルタ特性を経ることになり、上記面圧センサから
の観測ノイズを含まない面圧の推定値を加算器5841
に出力することができる。
【0249】なお、特性mGのブロック5844 は、上
記のようにこの疑似微分回路584を制御理論における
ゴビナスの最小次元オブザーバで構成したことによって
示されたものであるが、このブロック5844 を含む経
路は、G≫1であることからmG2 ≫mGとなってこの
ノイズ除去については無視できることから、説明を省略
する。
【0250】図34は、この図33に伝達関数で示した
構成をアナログ回路によって構成した例を示すものであ
る。図33、図34に示した面圧推定部は、例えば図3
5に示したような2ヘッド構成のVTRに面圧推定部5
05、Ch1ヘッド面圧推定部561、Ch2ヘッド面
圧推定部562として適用することができ、この図35
の2ヘッド構成ではその構成の複雑さと観測ノイズに対
する性能向上という部分を除けば全く同様の機能を果た
すものである。
【0251】[第8実施例]図35は、供給リールモー
タを用いて面圧を制御するようにした本発明による面圧
制御系の実施例を示すものであり、ヘッドシリンダの互
いに180度離れた位置に2つの磁気ヘッドが設けら
れ、これら磁気ヘッドが交互に再生を行うようにした2
ヘッド型の記録再生装置についてのものである。
【0252】これら2つの磁気ヘッドをそれぞれCh1
ヘッド、Ch2ヘッドと呼び、これらヘッドには例えば
図27で示したようなホール素子511とマグネット5
12の組み合わせによりそれぞれのヘッドHの磁気テー
プ516側への変位量を検出するように構成されてお
り、これらのホール素子511からは各可動ヘッドごと
にヘッド面圧センサ出力量Ch1S,Ch2Sが出力さ
れる。
【0253】さて、同図において、527はCh1ヘッ
ド面圧センサ出力量Ch1Sを増幅するCh1センサ増
幅器、528はCh2ヘッド面圧センサ出力量Ch2S
を増幅するCh2センサ増幅器、561はスリップリン
グ529を介して得られるCh1センサ増幅器27から
のCh1ヘッド面圧センサ出力量Ch1Sに基づいてC
h1ヘッドの面圧量を推定するCh1ヘッド面圧推定
部、562はスリップリング529を介して得られるC
h2ヘッド面圧センサ出力量Ch2Sに基づいてCh2
ヘッドの面圧量を推定するCh2ヘッド面圧推定部であ
る。
【0254】なお、Ch1ヘッド面圧推定部561とC
h2ヘッド面圧推定部562とは同一の構成を有するも
のであるので、ここではCh1ヘッド面圧推定部561
の構成のみを詳細に示してある。
【0255】切換スイッチ535はCh1ヘッド面圧推
定部561の出力またはCh2ヘッド面圧推定部562
の出力を選択する切換スイッチ、減算器559は切換ス
イッチ535を介して与えられる面圧推定量Pgから基
準面圧量Prを減算して面圧誤差量Pdを得るための減
算器、ブロック580は演算器559からの面圧誤差量
Pdのゲイン補償を行なうゲイン補償部、ブロック58
1はゲイン補償部580からの出力に位相補償を与える
位相補償部、増幅器538は位相補償部581の出力で
ある制御量Ctでリールモータ539を駆動するための
電力増幅器である。
【0256】Ch1ヘッド面圧推定部561の、ブロッ
ク530は可動ヘッド機構526における板バネ524
のバネ定数に相当する値kを係数とするバネ定数ブロッ
ク、ブロック531は可動ヘッド機構526の質量およ
び粘性に相当する値1/(mS+c)を構成する質量粘
性ブロック、ブロック534は上記バネ定数ブロック5
30および質量粘性ブロック531とともに可動ヘッド
機構526の機械モデルを構成する積分ブロック、ブロ
ック532および533はCh1ヘッド面圧推定部56
1におけるオブサーバを構成するためのフィードバック
ゲインF1,2 を係数とするフィードバックゲインブロ
ック、減算器564は積分ブロック534の出力からC
h1センサ増幅器527からのCh1ヘッド面圧センサ
出力量Ch1Sを減算して上記フィードバックゲインブ
ロック532,533に供給する減算器、減算器563
はフィードバックゲインブロック533の出力とバネ定
数ブロック530の出力のつり合いを検出して得られた
結果を上記質量粘性ブロック531に与える演算器、減
算器585は質量粘性ブロック531の出力からフィー
ドバックゲインブロック532の出力を減算して積分ブ
ロック534に与える減算器である。
【0257】前記のように、この実施例においては、ヘ
ッドシリンダ上の互いに180度対向する位置にそれぞ
れヘッドHを含む可動ヘッド機構526が搭載されてい
るので、Ch1ヘッドHが磁気テープ516に摺動して
いる期間での面圧推定量を得るためにCh1ヘッド面圧
推定部561の出力を切換スイッチ535を経て前記減
算器559に供給し、また、図示されていないCh2ヘ
ッドが磁気テープ516に摺動している期間にはCh2
ヘッド面圧推定部562の出力が前記減算器559に供
給されるように、切換スイッチ535をヘッドシリンダ
の半回転ごとに切換える。
【0258】切換スイッチ535によりCh1ヘッド面
圧推定部561側の入力が選択されているものとしてこ
の実施例の動作を説明する。磁気テープによってヘッド
Hに与えられる面圧によりヘッドHの突出量が変化する
が、この突出量はホール素子511とマグネット512
の組み合わせにより検出され、Ch1ヘッド面圧センサ
出力量Ch1SとしてCh1センサ増幅器527に与え
られ増幅される。
【0259】Ch1センサ増幅器527を介して得られ
たCh1ヘッド面圧センサ出力量Ch1Sに基づいてC
h1ヘッド面圧推定部561ではヘッド面圧推定量Pg
を演算によって求め、これを切換スイッチ535を通じ
て減算器559に与える。
【0260】減算器559ではこのヘッド面圧推定量P
gを基準面圧量Prから差し引き、面圧誤差量Pdをゲ
イン補償部580でゲイン補償すると共にローパスフィ
ルタで構成される位相補償部581で位相補償し、結果
として得られた制御量Ctを電力増幅器538を介して
リールモータ539に供給する。これによって、磁気テ
ープ516のテンション量Ttが制御されるので、結果
として磁気テープによってヘッドHに与えられる面圧が
一定になるようにフィードバック制御されることにな
る。
【0261】上記ヘッド面圧推定部561,562は、
第1〜第6実施例で説明した状態推定器と同様な演算処
理を行うものであって、バネ定数ブロック530、質量
粘性ブロック531、積分ブロック534は、可動ヘッ
ド機構526のバネ定数、質量、粘性、速度−変位量変
換係数を模擬した電気的回路を構成しており、これによ
って可動ヘッドの機械特性を模擬している。
【0262】なお、この実施例においては、可動ヘッド
Hの突出量を制御するためのアクチュエータを搭載して
いないので、ヘッド面圧推定部561,562における
オブザーバは入力がない形となっている。しかしなが
ら、面圧推定出力である推定変位量は常に実際の変位量
と比較されており、この比較結果である推定誤差がオブ
サーバの動作後に収束するようにフィードバックゲイン
ブロック532と533が設けられている。ちなみに、
フィードバックゲインブロック532は推定誤差の収束
の速度に関する項に対応し、フィードバックゲインブロ
ック533はオブザーバの安定性に関する項に対応して
いる。
【0263】また、ヘッド面圧推定部561において、
バネ定数ブロック530の出力とフィードバックゲイン
ブロック533のヘッド面圧力の推定値に相当する出力
が減算器563を通じて質量粘性ブロック531にフィ
ードバックされる部分は、可動ヘッド機構526におけ
る板バネ524の反力とヘッドHが磁気テープ516か
ら受けるヘッド面圧力との力のつり合いをそのまま再現
している。
【0264】なお、上記の説明ではCh1ヘッド面圧推
定部561の動作を中心に説明したが、Ch2ヘッド面
圧推定部562の動作も全く同様であり、切換スイッチ
535によってCh2ヘッド面圧推定部562の出力を
演算器559に与えることによりCh2ヘッド側のヘッ
ドコンタクトを良好に制御することができる。
【0265】以上のような動作を通じて磁気テープ51
6のテンション量を変化させることによりヘッドHの面
圧量を制御し、結果的にヘッド面圧力が一定となるよう
に制御することができ、ヘッドコンタクトを良好に維持
することができる
【0266】[第9実施例]図36は、図29に示した
ように可動ヘッドの突出量がアクチュエータによって制
御し得るように構成されている場合の制御系である本発
明の第9実施例を示したものである。
【0267】ブロック506は可動ヘッドを突出方向に
移動させるアクチェータのトルク定数を与えるアクチュ
エータトルク定数、ブロック566はヘッド面圧量Ph
とアクチュエータトルク定数506の出力を加算する加
算器である。なお、この面圧制御アクチュエータは等価
的にアクチュエータトルク定数506と加算器566と
可動ヘッド機械特性503により構成される。
【0268】同図の構成において、面圧制御系補償部5
04からの制御量Ctはアクチュエータに与えられてブ
ロック506で示したアクチュエータのトルク定数50
6に応じて可動ヘッドを移動させる力が加えられるが、
この可動ヘッドにはヘッド面圧Phも加わっているた
め、これらの力を加算した合力が可動ヘッドに加えられ
ることになる。
【0269】可動ヘッドはこの合力を受けることによっ
て、自己の慣性などの機械特性503による影響を受け
て変位するので、前記変位量測定手段からはその変位に
相当する変位量Hmが出力される。
【0270】前記の実施例におけると同様に、面圧推定
部505ではこの変位量Hmから可動ヘッドが受けてい
る面圧を推定し、加算入力端子に基準面圧値Prが入力
されている減算器559の減算入力端子にその推定値P
gを入力する。
【0271】したがって、この減算器の出力として基準
面圧Prと推定された面圧Pgとの差である面圧誤差値
Pdが得られるので、面圧制御系補償部504は、この
面圧誤差値Pdに相当する面圧の補償を行うに必要な制
御量Ctを算出して可動ヘッドを駆動する前記アクチェ
ータに供給することによって、ヘッド面圧推定値Pgを
基準面圧値Prにしたがって一定に保つような制御が行
なわれる。
【0272】[第10実施例]図37に示す第10実施
例は、磁気ヘッドとして可動ヘッドを用いるとともにそ
のテンション制御系にこの可動ヘッドの変位量から得ら
れる面圧情報を取込んで、より精度の高い面圧制御とテ
ンション制御とを同時を行うように構成したものであ
る。
【0273】542はヘッドシリンダD9の入側に設け
られた前述の可動ピンであり、541はテープのテンシ
ョンを所定値に維持するためにリールモータ539を制
御するテンションサーボ回路、540は可動ピン542
の位置を制御するための可動ピン位置制御回路、565
は面圧制御系補償部504の出力である制御量Ctと可
動ピン位置制御回路540の出力を加算してテンション
サーボ回路541と可動ピン542に与える演算器、5
82は可動ヘッド機構526のホール素子511で得ら
れた面圧センサ出力量Psを増幅し、スリップリング5
29を介して面圧推定部505に出力するセンサ増幅器
である。
【0274】以上述べたような構成において、ヘッドシ
リンダ519内に構成される可動ヘッド機構526のヘ
ッドHの面圧センサ出力量Psをセンサ増幅部582で
増幅し、スリップリング529を介してヘッドシリンダ
外部に導出し、面圧推定部505に与える。
【0275】その結果、面圧推定部505ではヘッド面
圧推定量Pgが得られるが、このヘッド面圧推定量Pg
は演算器559で基準面圧量Prから減算され、得られ
た面圧誤差量Pdは面圧制御系補償部504に入力され
る。
【0276】一方、可動ピン542の位置は図示しない
位置センサにより検出されて可動ピン位置制御回路54
0に与えられる。
【0277】そして、面圧推定部505、面圧制御系補
償部504は可動ピン位置制御回路540と共に位置決
め制御ループを構成するが、この可動ピン位置制御回路
540が位置決め制御している状態では、可動ピン54
2を駆動するアクチェータに加わる印加電圧はテープ走
行系のテープテンション量と可動ピン542の位置制御
系のサーボ帯域内の周波数領域において線形な関係とな
る。
【0278】これは、テープテンション量によって受け
る可動ピン542における外乱量から可動ピン位置制御
回路540を含む制御系の駆動電圧までの周波数特性を
見た場合に、外乱と電圧の伝送特性は位置制御系のクロ
ーズド特性となっている。
【0279】このクローズド特性は一般的に制御帯域付
近までゲイン特性および位相特性共にフラットで、周波
数特性の変化を持たないことから容易に想像できる。し
たがって、可動ピン542に位置制御が行なわれている
状態において可動ピン542を駆動するための印加電圧
をこのテープ走行系の検出テンション量と見なしてもあ
る程度は差し支えない。
【0280】そこで、可動ピン542の印加電圧が一定
になるようにテンション制御回路541にてゲイン増幅
やローパスフィルタ等のゲインや位相や補償を行なった
後にリールモータ539にフィードバックすることによ
りテープテンション量を一定に保つことができる。
【0281】ここで、可動ピン542の位置制御系に面
圧制御系補償部504の出力を演算器565で加算する
ことにより、可動ピン542に位置制御をかけると共に
可動ヘッド機構526におけるヘッドHが受けるヘッド
面圧量が一定となるような制御を行なうことができる。
【0282】つまり、リールモータ539により可動ピ
ン542が受けるテープテンション量を一定に保持する
と同時に可動ヘッド機構526が受けるある程度周波数
の高いヘッド面圧力の変動を可動ピン542を動かすこ
とで抑制することが可能である。
【0283】このような可動ピン542を矢印の方向に
動かすことによりテープ走行系のテープテンション量を
自在に変化させることが可能であると同時にヘッドHと
磁気テープ516の間のヘッド面圧量も変化させること
ができることはいうまでもない。
【0284】またリールモータ539のみを制御する場
合に比べて、可動ピン542の位置制御を含めた制御は
可動ピン542を軽く応答の良い機構で高剛性にするこ
とでより広帯域な制御系を構成することができる。
【0285】[第11実施例]図38はリールモータと
可動ピンによる面圧制御系の他の例を示すブロック図で
あり、アクチュエータトルク定数部506にテンション
制御において可動ピンの位置制御系に加わる外乱量を検
出テンション量として広帯域なテンション制御を行なう
ような構成を例示している。
【0286】図において、ブロック543は可動ピン5
42への位置制御信号と可動ピン542の位置検出信号
に基づいて可動ピン542のテンションを推定して低域
成分制御量Ctlと高域成分制御量Cthを出力する可
動ピンテンション推定回路、加算器567は面圧制御系
補償部504からの制御量Ctと可動ピン位置制御回路
540からの制御信号と可動ピンテンション推定回路5
43からの高域成分制御量Cthとを加算して可動ピン
542への位置制御信号を発生する加算器である。な
お、可動ピンテンション推定回路543からの低域成分
制御量Ctlはリールモータ539に対してテンション
制御信号として与えられる。
【0287】以上のような構成において、可動ピンテン
ション推定回路543は図36のCh1ヘッド面圧推定
部561と略同様の構成を有し、可動ピン542の位置
つまり変位量と可動ピン542への位置制御信号に基づ
いて可動ピン542に加わる磁気テープ516のテンシ
ョン量を推定する。
【0288】その結果、図37の第10実施例の構成で
は可動ピン542の位置制御系のサーボ帯域までしかテ
ンション検出が正確に実施できなかったのに対して、可
動ピン542の位置制御帯域外までも正確にテープテン
ション量を推定することが可能となり、可動ピン542
が受けるテープテンションを広帯域に制御することが可
能となる。
【0289】この場合、可動ピンテンション推定回路5
43で推定されたテープテンション量はフィルタ等によ
り帯域分割され、ローパスフィルタ等で抽出された低域
成分制御量Ct1はリールモータ539に、ハイパスフ
ィルタ等で抽出された高域成分制御量Cthは可動ピン
542にそれぞれ供給され、それぞれの周波数帯域を分
担して制御することになる。
【0290】このように、図38の構成では、リールモ
ータ539で低域のテープテンションを分担し、可動ピ
ン542で比較的周波数の広帯域なテンション制御を分
担することになり、総合的に広い周波数帯域で目標とす
るテープテンション量を維持することができる。
【0291】更に、面圧制御系補償部504からの制御
量Ctに基づいてヘッド面圧を制御する信号を演算器5
67で可動ピン542の位置制御系に加算することによ
り、ヘッドシリンダ519の回転周波数を含む広帯域に
おいてテンション制御を行ないながら、さらにより高周
波なヘッド面圧変動量を可動ピン542を用いてヘッド
面圧制御系により吸収することにより、良好なヘッドコ
ンタクトを保持することが可能である。
【0292】[第12実施例]図39はリールモータと
可動ピンを制御する面圧制御系の更に他の例を示すブロ
ック図であり、特にヘッド面圧制御のみによってテープ
テンションの制御を行ない、可動ピンの受けるテープテ
ンション量を検出または推定して走行系のテンションを
制御する構成を含まない場合を例示するものである。
【0293】同図において、面圧制御系補償部504は
フィルタ処理を通じて低域成分制御量Ctlと高域成分
制御量Cthを発生するが、この中で低域成分制御量C
tlは供給リール515にそのまま制御信号として与え
られ、高域成分制御量Cthは演算器567を通じて可
動ピン542を制御するための可動ピン位置制御回路5
40の出力に加算される。
【0294】この場合、可動ヘッド機構526はヘッド
シリンダ519上で180度対向で2個以上が配置さ
れ、磁気テープ516がおよぼす面圧量が検出できるよ
うになっているか、またはヘッドHが磁気テープ516
に接触していない区間では面圧推定部505のヘッド面
圧推定量Pgをサンプルホールドして利用可能になって
いる必要があるが、図39は図38の構成と比較して構
成が簡単になるという特長を有する。そして、この条件
さえ整えば、ヘッド面圧を一定に広い帯域で制御でき、
良好なヘッドコンタクトを得ることができる。
【0295】図40は図39の構成における面圧制御系
補償部504の具体的な回路構成を示すブロック図であ
る。図において、556は面圧誤差量PdをK0 /(S
+T1 )なる伝達関数によりフィルタするローパスフィ
ルタ、568は前記ローパスフィルタ556の出力を高
域成分制御量Cthとして出力するドライバ増幅器、5
57は前記ローパスフィルタ556の出力をK1 /(S
+T2 )なる伝達関数によりフィルタするローパスフィ
ルタ、569は前記ローパスフィルタ557の出力を低
域成分制御量Ct1として出力するドライバ増幅器であ
る。なお、図39に示したように、高域成分制御量Ct
hは可動ピンの制御系に送出され、低域成分制御量Ct
lはリールモータの制御系に送出される。
【0296】以上述べたような構成は、可動ピンの制御
系とリールモータの制御系を有するシステムの補償を行
なうにあたり、ローパスフィルタ556により可動ピン
制御系の低域ゲインを確保すると共に制御帯域を定める
ものである。
【0297】ここで、ヘッドの面圧制御系は一種の力制
御、つまり加速度制御に相当し、ローパスフィルタ55
6を1段制御ループに挿入してもオープンループ特性に
おける位相が90度しか回らないため、制御システムの
安定性は確保できる。なお、制御帯域よりも高い周波数
領域において制御系のノイズを抑えるために更に数段の
ローパスフィルタを挿入しても位相余裕は大幅に減少し
ない。すなわち、位相余裕が40度〜60度保てるよう
ならば許容できる。
【0298】また、リールモータへの低域成分制御量C
t1は更に1段のローパスフィルタ557を介して、更
に低い周波数に限って制御するように出力される。これ
はリールモータ自身のイナーシャが大きく、あまり早い
応答ができないためで、もっぱら低い周波数帯域での制
御がカバーされる。つまり、周波数帯域に応じて可動ピ
ンとリールモータで2段の制御が行なわれる。
【0299】なお、上記例では、リールモータ制御系が
ローパスフィルタ556の出力を更にローパスフィルタ
557を介して低域成分制御量Ct1を得るような構成
を例示したが、面圧制御系補償部504の入力である面
圧誤差量Pdを2つに分けて、カットオフ周波数の高い
ローパスフィルタを介して高域成分制御量Cthを得、
カットオフ周波数の低いローパスフィルタを介して低域
成分制御量Ct1を得るような構成としてもよい。
【0300】この場合、それぞれの制御系が1段のロー
パスフィルタのみで制御されるために、それぞれの系が
独立で安定に制御できるメリットがある。
【0301】この発明のような面圧制御においてはヘッ
ド面圧変動量もしくは外乱量がヘッドシリンダまたはデ
ィスクの1回転に同期した周期成分を多く含んでいる場
合が多い。このために、図41のブロック図に示すよう
な構成により追従能力を高めることができる。
【0302】図41は図40に示した面圧制御系補償部
の他の例を示すものであり、図中558は面圧誤差量P
dの入力段に介挿される繰返型学習補償器である。以上
のような構成において、周期的な成分については繰返型
学習補償器558により周期成分を学習させるわけであ
るが、1周期分のメモリであるe-LS ブロックにおいて
面圧変動の周期成分がメモリされ、学習条件の安定を満
足させるためにフィルタである1/(1+ST3 )ブロ
ックとアッテネータであるK3 ブロックを介して元の入
力に正帰還させる。
【0303】その結果、面圧誤差量Pdに1周期前の条
件が加味されるため、追従性のよい補償が可能である。
なお、このような構成はメモリブロックを含むためにア
ナログ的な回路では構成することが困難であり、ディジ
タル回路またはマイクロコンピュータを用いたシステム
を適用するほうが効果的である。
【0304】[第12実施例をソフトウェアによって実
現した例]次に、図39の構成の面圧制御系を図40に
例示した面圧制御系補償部504と図33に例示した面
圧推定部505に対応する機能をソフトウエアによる制
御システムで実現した場合について図42から図45の
フローチャートにしたがって説明する。
【0305】図42はソフトウエアのメインプログラム
であり、先ずステップ101でバネ定数、フィードバッ
ク定数、質量、ゲイン、ディジタル的な各種パラメータ
等の定数、および変数の初期化を行なう。次のステップ
102では1クロックサイクルのクロック待ちを行な
い、これに続く一連のサブルーチンであるステップ10
3の同一次元オブザーバのサブルーチン、ステップ10
4の面圧推定のサブルーチン、ステップ105の補償系
のサブルーチンを実行し、ステップ106で制御終了を
検出して終了するまではステップ102に戻り、次のク
ロックをトリガーとしてサブルーチンの実行を繰り返
す。
【0306】図43は図42のフローチャートにおける
オブザーバのサブルーチンの一例を示すフローチャート
である。このサブルーチンは同一次元オブザーバ、すな
わち図31のシステムに相当する機能を実現するための
もので、ステップ107で面圧センサ出力量Psを変数
aにセットし、ステップ108で変数bから変数aを減
算して変数cにセットする。ちなみに、この動作は図3
1の演算器564の動作に対応するもので、変数bには
積分ブロック534の出力に相当する値がセットされて
いる。
【0307】次にステップ109で変数cの値にフィー
ドバック定数F1を掛け算して変数dにセットする。こ
の動作はフィードバックゲインブロック532の動作に
対応する。一方、ステップ110では変数cの値にフィ
ードバック定数F2を掛け算して変数eにセットする。
この動作はフィードバックゲインブロック533の動作
に対応する。
【0308】次に、ステップ111で変数bの値にバネ
定数kを掛け算して変数fにセットする。この動作はバ
ネ定数ブロック530の動作に対応する。そして、ステ
ップ112で変数fと変数eを符号反転で加算して、こ
れを変数gにセットする。この動作は演算器563の動
作に対応する。
【0309】次のステップ113では変数gを入力とす
るディジタルフィルタの計算を実行し出力を変数hにセ
ットする。この動作は質量粘性ブロック531の動作に
対応する。そして、ステップ114で変数hの値から変
数dの値を減算する。この動作は演算器585の動作に
対応する。次のステップ115では変数iの値を入力と
するディジタルフィルタの計算が行なわれ、出力が変数
bにセットされる。この動作は積分ブロック534の動
作に対応する。
【0310】図44は図42のフローチャートにおける
面圧推定のサブルーチンの一例を示すフローチャートで
ある。このサブルーチンは図33の疑似微分回路584
つまり外乱推定ブロックの動作に相当する機能を実現す
るためのもので、ステップ116では変数hにmG2 を
掛け算して変数jにセットする。次に、ステップ117
で変数hにmGを掛け算して変数1にセットする。
【0311】そして、ステップ118で変数jの値を入
力とするディジタルフィルタの計算を行ない、出力を変
数nにセットする。最後に、ステップ119で変数nの
値から変数1の値を引き算し、これを変数oにセットし
てこのサブルーチンを終了する。ちなみに、ここで変数
oの値はヘッド面圧推定量Pgに対応する。
【0312】図45は図42のフローチャートにおける
補償系のサブルーチンの一例を示すフローチャートであ
る。このサブルーチンは図40の構成の動作に相当する
機能を実現するためのもので、ステップ120では変数
oを入力とするディジタルフィルタの計算を行ない、出
力を変数pにセットする。この動作は図40のローパス
フィルタ556の動作に相当する。
【0313】次のステップ101では変数pを入力とす
るディジタルフィルタの計算を行ない、出力を変数qに
セットする。この動作はローパスフィルタ557の動作
に相当する。そして、ステップ122では出力ポート1
に変数pの値を出力するが、この出力値が高域成分制御
量Cthに相当するものである。また、ステップ123
では出力ポート2に変数qの値を出力するが、この出力
値が低域成分制御量Ct1に相当するものである。
【0314】以上のようなソフトウエア的な処理を通じ
て、可動ピン制御系に与えるべき高域成分制御量Cth
とリールモータ制御系に与えるべき低域成分制御量Ct
1を得ることができる。なお、それぞれのサブルーチン
においてのラグリードフィルタつまりローパスフィルタ
は一般的には巡回型のディジタルフィルタで構成するこ
とができる。
【0315】なお、上記のソフトウエアの中には図41
で示した繰返型学習補償器558の動作に相当する部分
が含まれていないが、マイクロコンピュータ上でメモリ
を構成するのは容易であり、図41の面圧制御系補償部
に置換えるのは容易である。
【0316】また、可動ピンの位置制御回路は一般的に
可動ピンに設けられた位置センサを入力とし、ゲインを
持たせた後にローパスフィルタで低域ゲインと制御帯域
を確保することによって実現できるため、ソフトウエア
の1サイクル内に新たにサブルーチンを設けることによ
り容易に実現できる。この場合は可動ピンの位置センサ
のための入力ポートが1つ増えるだけであり、位置制御
出力はヘッド面圧制御出力のうちの可動ピン制御量に加
算すればよい。
【0317】以上述べた各実施例では磁気テープを用い
る記録再生装置を対象とし、可動ヘッドがアクチュエー
タで駆動されない構成の場合を説明したが、磁気ディス
ク装置やリールモータのみで可動ヘッド機構を持たない
磁気テープ装置の場合は磁気ヘッドをアクチュエータで
変位させるような構成にする必要がある。
【0318】この場合、図45のサブルーチンで得られ
る可動ピンに与えるべき信号、つまり高域成分制御量C
thを磁気ヘッド変位機構のアクチュエータに供給する
ことで、同様の効果を得ることができる。
【0319】この場合、磁気ヘッドの周辺の機構が複雑
になるが、可動ピンやリールモータを制御するシステム
に比べれば極めて質量の小さな磁気ヘッドを動かすだけ
でよいので、より広帯域な制御を行なうことが可能であ
る。なお、回転磁気ヘッドを用いる場合、磁気ヘッド部
に対する制御信号はヘッドシリンダとの間を電気的に接
続するスリップリング等を介して供給されることにな
る。
【0320】上述した本発明による面圧制御系は磁気デ
ィスク装置に対しても適用することができる。図46は
磁気ディスク装置に本発明の面圧制御系を適用した第1
3実施例を示す概略構成図、図47は図46の構成に適
用されるヘッドの保持部の斜視図と断面図である。
【0321】図46において、507はヘッドHをディ
スク510に対してアクセスするためのキャリッジ、5
08はジンバルバネ514で保持されまたヘッドHを突
出し方向に移動させるための可動支持部であり、これに
よってヘッドHはキャリッジ507上にジンバルバネ5
14を介してX軸、Y軸に直角な方向、つまり突出し方
向に可動に保持される。
【0322】図47は図46の構成に適用されるヘッド
Hの保持部の斜視図(A)と断面図(A)であり、ヘッ
ドHはキャリッジ507上にジンバルバネ514を介し
てX軸、Y軸に直角な方向、つまり突出し方向に可動に
保持される。
【0323】そして、ヘッドHの突出量はヘッドHの下
方に設けたマグネット512とキャリッジ507上に固
定されるホール素子511によって検出され、面圧セン
サ出力量Psとして面圧推定部505に送出される。
【0324】ヘッドHのディスク510側への押し付け
力が面圧力となるが、この面圧力はヘッドHの可動支持
部508に対する突出し方向の位置から検出できる。こ
のために設けられているのがマグネット512とホール
素子511であり両者の間の距離が面圧力に対応するこ
とを利用して、マグネット512から面圧センサ出力量
Psを得ている。
【0325】513はディスク510を回転させるため
のスピンドルモータ、560はディスク510に対する
ヘッドHの突出量を制御するためのセラミックアクチュ
エータ、559は面圧推定部505からのヘッド面圧推
定量Pgを基準面圧量Prから減算して得た面圧誤差量
Pdを面圧制御系補償部504に出力する演算器であ
る。
【0326】以上述べたような構成において、ディスク
510はスピンドルモータ513により回転させられ
る。一方、キャリッジ507はヘッドHを所定のトラッ
クに対応する位置に制御する。ヘッドHはディスク51
0に対する情報の記録再生を行なうが、この場合のスペ
ーシング量はディスク510とヘッドHの間に発生する
空気流による反力と可動支持部8がジンバルバネ514
を通じてヘッドHをディスク510側に押し付ける力の
バランスによって決定される。なお、可動支持部508
をディスク510側に駆動するのはセラミックアクチュ
エータ560によって行なわれる。
【0327】以上のような構成を通じて得られた面圧セ
ンサ出力量Psは面圧推定部505に与えられヘッド面
圧推定量Pgを得る。このヘッド面圧推定量Pgは演算
器559で基準面圧量Prと突き合わされ面圧誤差量P
dを得るが、この面圧誤差量Pdを面圧制御系補償部5
04に入力し、結果として得られる制御量Ctによりセ
ラミックアクチュエータ560を制御することにより面
圧推定部505によるヘッド面圧推定量Pgを一定に保
持することが可能であり、結果としてヘッドHのディス
ク510に対するヘッドコンタクトを良好に保つことが
できる。
【0328】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、磁気テー
プのテンション制御とDTF制御を広いダイナミックレ
ンジでかつ高精度で広い周波数帯域に汎って行うことが
でき、さらに状態推定器、面圧推定器を用いた制御系を
構成することによってさらに優れた記録再生装置が得ら
れるので、通常再生において良好な再生が可能なだけで
なく、広範囲な異速度再生においても画面上にノイズを
発生することなく良好な再生が安価に実現する利点があ
る。
【0329】さらに、磁気記録媒体から磁気ヘッドに加
わる面圧量が常に一定となるように制御すれば、磁気ヘ
ッドと磁気記録媒体の間のスペーシング量を正確にしか
も応答性よく広帯域で維持することが可能となるので、
線記録密度を高くすることができ、また高密度記録を行
なう場合も磁気テープと磁気ヘッドの接触がないことか
らこれらの摩耗も低減できる。
【0330】そして、異速度再生などの特殊再生の場合
のように、過渡的なテンション変動が激しい場合でもヘ
ッドコンタクトを良好に保つことができるので、磁気ヘ
ッドや磁気テープの耐久性を向上できるという格別の効
果が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的な原理の1つを示す概念図であ
る。
【図2】第1実施例を示す概略的なブロック図である。
【図3】実施例に使用しているテープアクチュエータの
概略斜視図である。
【図4】実施例に使用しているテープアクチュエータの
断面図である。
【図5】上記テープアクチュエータの駆動原理を説明す
るための概略図である。
【図6】テープアクチュエータの“変位角/周波数”特
性を示す図である。
【図7】テープアクチェータのアームの変位量を測定す
る光学的センサの例を示す図である。
【図8】テープアクチェータのアームの変位量を測定す
る磁気的手段の例を示す図である。
【図9】第1実施例のトラッキング制御系を物理量のフ
ローに基づいて示した図である。
【図10】第1実施例のトラッキング制御系を制御理論
の伝達関数によって示した図である。
【図11】第1実施例のDTF制御系のオープンループ
特性を示す図である。
【図12】第1実施例のテンション制御系を物理量のフ
ローに基づいて示した図である。
【図13】第1実施例のテンション制御系を制御理論の
伝達関数によって示した図である。
【図14】第2実施例を示す概略的なブロック図であ
る。
【図15】第2実施例のDTF制御系を物理量のフロー
に基づいて示した図である。
【図16】第2実施例のDTF制御系を制御理論の伝達
関数によって示した図である。
【図17】第2実施例のDTF制御系のオープンループ
特性を示す図である。
【図18】第2実施例のヘッドタッチ制御回路を示すブ
ロック図である。
【図19】図19のヘッドタッチ制御回路における信号
の波形図である。
【図20】図19のヘッドタッチ制御回路の他の動作態
様における信号の波形図である。
【図21】第3実施例を示す概略的なブロック図であ
る。
【図22】第4実施例を示す概略的なブロック図であ
る。
【図23】第5実施例を示す概略的なブロック図であ
る。
【図24】第5実施例を物理量のフローに基づいて示し
た図である。
【図25】第5実施例を制御理論の伝達関数によって示
した図である。
【図26】ヘッドシリンダに設けた可動ヘッド機構の構
成を示す平面図である。
【図27】ヘッドシリンダに設けた可動ヘッド機構の構
成を示す斜視図である。
【図28】可動ヘッド機構の構成の他の例を示す斜視図
である。
【図29】可動ヘッド機構の構成の更に他の例を示す斜
視図である。
【図30】第6実施例を物理量のフローに基づいて示し
た図である。
【図31】第6実施例の面圧推定部を制御理論の伝達関
数によって示した図である。
【図32】第6実施例をアナログ回路によって構成した
例を示すブロック図である。
【図33】第7実施例の面圧推定部を制御理論の伝達関
数によって示した図である。
【図34】第7実施例をアナログ回路によって構成した
例を示すブロック図である。
【図35】第8実施例の面圧制御系の実施例を示すブロ
ック図である。
【図36】第9実施例のブロック図である。
【図37】第10実施例の概略図である。
【図38】第11実施例の概略図である。
【図39】第12実施例の概略図である。
【図40】第12実施例の面圧制御系補償部の回路構成
を示すブロック図である。
【図41】第12実施例の面圧制御系補償部の他の回路
構成を示すブロック図である。
【図42】第12実施例をソフトウエアで実現する際の
メインプログラムのフローチャートである。
【図43】オブザーバのサブルーチンの一例を示すフロ
ーチャートである。
【図44】面圧推定のサブルーチンの一例を示すフロー
チャートである。
【図45】補償系のサブルーチンの一例を示すフローチ
ャートである。
【図46】磁気ディスク装置に本発明の面圧制御系を適
用した第13実施例を示す概略図である。
【図47】第13実施例に適用されるヘッドの保持部の
斜視図と断面図である。
【図48】従来の回転ヘッドを用いた磁気記録再生装置
における一般的なテープ走行系の概略図である。
【図49】従来のバックテンション制御装置の例を示し
た図である。
【図50】可動ヘッドをノイズレズ特殊再生に利用した
システムの概略図である。
【図51】従来技術による高速特殊再生方法の例を示す
ブロック図である。
【図52】正方向5倍速再生の状態を説明する図であ
る。
【図53】逆方向5倍速再生の状態を説明する図であ
る。
【図54】n倍速再生時の傾斜エラーパターンの概略図
である。

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】供給リールから、回転磁気ヘッドが搭載さ
    れたヘッドシリンダ、および、キャプスタンモータによ
    って駆動されるキャプスタンを経て巻取リールに至る走
    行路を有する磁気記録再生装置において、 供給リールからヘッドシリンダへの磁気テープの走行路
    に近接して設けた一対の入側固定ピンと、この一対の入
    側固定ピンを結んだ線に対して距離を変化し得るように
    設けた入側可動ピンと、上記一対の入側固定ピン結んだ
    線と上記入側可動ピンの間隔を制御する入側テープアク
    チェータとを備え、 上記磁気テープを上記一対の入側固定ピン間で上記入側
    可動ピンと係合させてこの磁気テープに入側ループを形
    成させるとともに、上記入側テープアクチェータを制御
    することによって磁気テープのテンションを制御するよ
    うにしたことを特徴とする磁気記録再生装置。
  2. 【請求項2】上記テンション制御信号は、上記入側テー
    プアクチェータの特性を模擬する状態推定器を含むテン
    ション制御系によって生成されることを特徴とする請求
    項1記載の磁気記録再生装置。
  3. 【請求項3】磁気テープのテンションを指示するテンシ
    ョン制御信号の比較的高い周波数成分で上記入側テープ
    アクチェータを制御するとともに、この制御信号の比較
    的低い周波数成分で上記キャプスタンを駆動するキャプ
    スタンモータを制御するようにしたことを特徴とする請
    求項1または2記載の磁気記録再生装置。
  4. 【請求項4】上記供給リールの回転を制御する供給リー
    ル制御手段をさらに備え、磁気テープのテンションを指
    示するテンション制御信号の比較的高い周波数成分で上
    記入側テープアクチェータを制御するとともに、この制
    御信号の比較的低い周波数成分でこの供給リール制御手
    段を制御するようにしたことを特徴とする請求項1また
    は2記載の磁気記録再生装置。
  5. 【請求項5】磁気テープが巻かれた供給リールを回転駆
    動する供給リール駆動手段と、 前記磁気テープを上記供給リールから回転磁気ヘッドが
    搭載されたヘッドシリンダを介して所定速度で走行させ
    る磁気テープ送り手段と、 前記供給リールから前記ヘッドシリンダへの磁気テープ
    の走行経路中に設置され、前記供給リールと前記ヘッド
    シリンダ間の前記磁気テープの走行経路長を変化させる
    入側可動ピンと、 この可動ピンを駆動する入側テープアクチェータと、 上記可動ピンの位置を検出する位置検出手段と、 上記位置検出手段からの出力信号と前記入側テープアク
    チェータの駆動電圧あるいは駆動電流とを演算して前記
    磁気テープのテンションを検出するテンション検出手段
    と、 このテンション検出手段の出力信号に基づいて前記供給
    リール駆動手段単独あるいは前記入側テープアクチェー
    タと協動して磁気テープのテンションを所定の値に制御
    するテンション制御信号を出力するテンション制御手段
    と、 前記磁気ヘッドによって前記磁気テープから再生された
    信号のエンベロープに基づいてスペーシングエラーを検
    出するスペーシング検出手段と、 このスペーシング検出手段から出力されたスペーシング
    エラー信号を前記テンション制御信号に加算する手段
    と、を備えることを特徴とする磁気記録再生装置。
  6. 【請求項6】上記スペーシング検出手段は、このスペー
    シング検出手段から出力されるスペーシングエラー信号
    が制限されたレベルを超えないようにするためのリミッ
    タを経てスペーシングエラー信号を出力するようにした
    ことを特徴とする請求項5記載の磁気記録再生装置。
  7. 【請求項7】上記スペーシング検出手段は、 前記磁気ヘッドによって前記磁気テープから再生された
    信号を包絡線検波する手段と、 前記磁気ヘッドによって前記磁気テープから再生された
    信号に基づいて検出されたこの磁気ヘッドと磁気テープ
    上の記録トラックとの相対位置誤差を示すトラッキング
    エラー信号を得る手段と、 上記包絡線検波手段からの出力と上記トラッキングエラ
    ー信号との差に基づいてスペーシング量を検出する手段
    とを含むことを特徴とする請求項5あるいは6記載の磁
    気記録再生装置。
  8. 【請求項8】上記スペーシング検出手段は、 トラッキングエラーが小さいことがトラッキングエラー
    信号に基づいて判別されたときにスイッチ手段を閉路し
    て上記スペーシング検出手段からのスペーシングエラー
    信号を出力させるための判別手段を更に備えることを特
    徴とする請求項7記載の磁気記録再生装置。
  9. 【請求項9】上記判別手段は、 トラッキングエラー信号の振幅と予め定めた電圧とを比
    較することによってこのトラッキングエラー信号のレベ
    ルを判別するようにしたことを特徴とする請求項8記載
    の磁気記録再生装置。
  10. 【請求項10】磁気テープが巻かれた供給リールを回転
    駆動する供給リール駆動手段と、 前記磁気テープを上記供給リールから回転磁気ヘッドが
    搭載されたヘッドシリンダを介して所定速度で走行させ
    る磁気テープ送り手段と、 前記供給リールから前記ヘッドシリンダへの磁気テープ
    の走行経路中に設置され、前記供給リールと前記ヘッド
    シリンダ間の前記磁気テープの走行経路長を変化させる
    入側可動ピンと、 この可動ピンを駆動する入側テープアクチェータと、 上記可動ピンの位置を検出する位置検出手段と、 上記位置検出手段からの出力信号と前記入側テープアク
    チェータの駆動電圧あるいは駆動電流とを演算して前記
    磁気テープのテンションを検出するテンション検出手段
    と、 このテンション検出手段の出力信号に基づいて前記供給
    リール駆動手段単独あるいは前記入側テープアクチェー
    タと協動して磁気テープのテンションを所定の値に制御
    するテンション制御信号を出力するテンション制御手段
    と、 上記可動ピンの可動方向の磁気記録再生装置デッキの加
    速度を検出する加速度検出手段と、 この加速度検出手段によって検出された加速度信号を前
    記テンション制御信号に加算あるいは減算する加減算器
    と、 を備えることを特徴とする磁気記録再生装置。
  11. 【請求項11】供給リールから、回転磁気ヘッドが搭載
    されたヘッドシリンダ、および、キャプスタンモータに
    よって駆動されるキャプスタンを経て巻取リールに至る
    走行路を有する磁気記録再生装置において、 供給リールからヘッドシリンダへの磁気テープの走行路
    に近接して設けた一対の入側固定ピンと、この一対の入
    側固定ピンを結んだ線に対して距離を変化し得るように
    設けた入側可動ピンと、上記一対の入側固定ピン結んだ
    線と上記入側可動ピンの間隔を制御する入側テープアク
    チェータとを備えるとともに、 ヘッドシリンダと巻取リール間の走行路に近接して設け
    た一対の出側固定ピンと、この一対の出側固定ピンを結
    んだ線に対して距離を変化し得るように設けた出側可動
    ピンと、上記一対の出側固定ピン結ぶ線と上記出側固定
    可動ピンとの間隔を制御する出側テープアクチェータと
    を備え、 記録時のテープ速度とは異なる速度での再生を行う際
    に、上記入側テープアクチェータと出側テープアクチェ
    ータとを互いに差動的に移動させてトラッキングを行う
    ようにしたことを特徴とする磁気記録再生装置。
  12. 【請求項12】トラッキングエラーを検出するトラッキ
    ングエラー検出手段をさらに備え、このトラッキングエ
    ラー信号の比較的高い周波数成分で上記出側テープアク
    チェータを制御するとともに、このトラッキングエラー
    信号の比較的低い周波数成分で上記キャプスタンモータ
    あるいは巻取リールモータを制御するようにしたことを
    特徴とする請求項11記載の磁気記録再生装置。
  13. 【請求項13】上記出側テープアクチェータを制御する
    信号は、この出側テープアクチェータの特性を模擬する
    状態推定器を含むトラッキング制御系によって生成され
    ることを特徴とする請求項12記載の磁気記録再生装
    置。
  14. 【請求項14】磁気ヘッドは記録媒体の記録面に向かう
    突出方向に移動可能であり、この磁気ヘッドの変位量に
    基づいてこの磁気ヘッドの面圧を推定する面圧推定器を
    備え、この面圧推定器によって推定された面圧推定値と
    基準面圧との差に基づいて得られる面圧制御信号によっ
    て磁気ヘッドの面圧を制御するようにしたことを特徴と
    する磁気記録再生装置。
  15. 【請求項15】上記面圧制御信号による磁気ヘッドの面
    圧の制御は、磁気テープのテンションを制御することに
    よって行われることを特徴とする請求項14記載の磁気
    記録再生装置。
  16. 【請求項16】磁気ヘッドを記録媒体の記録面に向かう
    突出方向に移動させるための移動手段と、この磁気ヘッ
    ドの変位量に基づいてこの磁気ヘッドの面圧を推定する
    面圧推定器とを備え、この面圧推定器によって推定され
    た面圧推定値と基準面圧との差に基づいて得られる面圧
    制御信号によって上記移動手段を制御して磁気ヘッドの
    面圧を制御するようにしたことを特徴とする磁気記録再
    生装置。
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