JP2726810B2 - 磁気再生装置 - Google Patents

磁気再生装置

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JP2726810B2
JP2726810B2 JP7326887A JP32688795A JP2726810B2 JP 2726810 B2 JP2726810 B2 JP 2726810B2 JP 7326887 A JP7326887 A JP 7326887A JP 32688795 A JP32688795 A JP 32688795A JP 2726810 B2 JP2726810 B2 JP 2726810B2
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  • Adjustment Of The Magnetic Head Position Track Following On Tapes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気再生装置に係
り、特にヘリカルスキャン方式のビデオテープレコーダ
(以下、VTR という)の高速特殊再生方式及びトラッキ
ング制御方式及びテンション制御方式に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ヘリカルスキャン方式のVTR における、
従来のオートトラッキング再生装置では、通常、映像信
号再生用磁気ヘッドは電気−機械変換素子(以下、ヘッ
ドアクチュエータと略称する)に取り付けられていた。
再生時にヘッドアクチュエータは記録トラックの走行方
向に対して垂直方向に駆動され磁気ヘッドが記録トラッ
クからオフトラックしないように自動追尾制御がかけら
れていた。
【0003】ヘッドアクチュエータに取り付けられた磁
気ヘッドを記録トラックに自動追尾させる、いわゆるオ
ートトラッキング制御技術については、種々の方法が提
案されかつ既に実用化されている。たとえば8mmVTR フ
オーマットで公知であるように、映像信号帯域外の数種
類(例えば4種類)の低い周波数トラッキング用パイロ
ット信号を映像信号に重畳して、数トラック(4トラッ
ク)にわたって別々のパイロット信号が隣り合うように
記録される。このパイロット方式では、再生時に左右ト
ラックからのクロストークレベルの違いによってトラッ
クエラー信号が検出される。
【0004】また、アンペックス社の1インチVTR やソ
ニー社のD−2フォーマットディジタルVTR DVR −10等
で実用化されたウォブリング方式では、磁気ヘッドがト
ラック幅方向に一定周波数のいわゆるウォブリング周波
数で強制的に微小振動される。そのときの磁気ヘッドか
らの再生エンベロープ信号はウォブリング周波数で同期
検波され、トラックエラー信号が検出される。
【0005】更に、松下電器産業(株)社のVHS VTR ,
NV−10000 や、三菱電機(株)のVHS VTR ,HV,F75等で
実用化されている山登り方式では、磁気ヘッドからの再
生エンベロープ信号が読み出されたフィールドの中央部
でサンプルホールドされる。次にアクチュエータに与え
る印加電圧もしくはキャプスタンモータの回転位相を1
ステップ変化させて(たとえば増やして)、次フレーム
のエンベロープレベルと前記サンプルホールド値とが比
較され、この一連の動作が、次フレームのエンベロープ
が小さくなるまで続けられる。そして、次フレームのエ
ンベロープが小さくなれば、印加電圧の方向を反転させ
て同様の動作を続けることにより、再生エンベロープレ
ベルが上登り式に最大値に向って収れんされる。
【0006】従来のオートトラッキング再生装置は、上
述したような種々のトラックエラー検出法によってトラ
ックエラーを検出して、回転ドラムに内蔵されたヘッド
アクチュエータにトラックエラーをフィードバックする
ことによって実現されている。
【0007】一般にこの様な可動ヘッドは、通常速度再
生時のトラックエラー補正のためのダイナミック・トラ
ック・フォローイング(以下、DTF と略称する)制御に
使用されるだけはなく、特殊再生時(高速再生・スロー
再生・スチル再生)にも使用されることが多い。そこ
で、このような可動ヘッドをノイズレス特殊再生に利用
した一例として、ナショナル・テクニカル・レポート
(National Technical Report )Vol.28,No.3 1982年6
月号の第41ページに掲載されたものを図75にシステ
ム概略図で示す。
【0008】これらの従来技術による高速特殊再生法を
簡単に説明すると、図76のブロック図で示すようにな
る。図76において、回転する磁気ヘッド(1)はヘッ
ドアクチュエータ(2)にてテープ走行方向と垂直方向
に駆動される。磁気ヘッド(1)の再生エンベロープ信
号からはトラッキングエラー量がトラッキングエラー検
知器(3)にて検知され、トラックエラー信号が出力さ
れる。磁気ヘッド(1)がテープ(図示しない)上を走
査する角度を、記録トラック(図示しない)の角度と一
致するように、傾斜補正パターン発生器(4)はテープ
速度情報から傾斜補正を行い、磁気ヘッド(1)のトラ
ックトレースパターンを発生する。トラッキングエラー
検知器(3)からのトラックエラー信号と傾斜補正パタ
ーン発生器(4)からの傾斜補正パターンとは加算器
(5)により加算される。
【0009】次に従来方式の動作について説明する。通
常速度再生(1倍速)時に、磁気ヘッド(1)がテープ
上をトレースする角度は、記録トラックの角度と同じで
ある。しかしながら、異速度再生を行うと磁気ヘッド
(1)がトレースする角度は記録トラックの角度と一致
しなくなるため、トラックずれ(以下、傾斜エラーとい
う)が生じ、再生画上でノイズを発生してしまう。一例
として、図77に正方向、図78に逆方向の5倍速再生
時のテープ上の記録トラックパターンと磁気ヘッド
(1)のヘッド軌跡との関係を表した概略図を示す。両
図において、Aは通常再生時の磁気ヘッド(1)の軌
跡、Bは5倍速再生時の磁気ヘッド(1)の軌跡、Cは
5倍速逆再生時の磁気ヘッド(1)の軌跡を示す。両図
を見るとわかるように、ノイズレス再生を行うために
は、磁気ヘッド(1)の軌跡をB及びCからAに補正し
なければならない。
【0010】図79はn倍速再生(nは任意の実数)時
における磁気ヘッド(1)の傾斜エラーパターンの概略
図を示す。
【0011】今、アジマス・ロスの利用によるガードバ
ンドレス記録方式のVTR を想定し、Tを回転ドラムの1
/2周期、tp をトラックピッチとすると、n倍速再生
時における傾斜エラーはtp (n−1);(nは整数)
で表される。このように傾斜エラーパターンは、nをパ
ラメータとする関数として表される。換言すれば、傾斜
エラーパターンはテープ走行速度に依存して変化するこ
とがわかる。図76中の傾斜補正パターン発生器(4)
では、テープ速度情報、例えば、キャプスタンFG信号
等を利用することによって傾斜補正パターンを発生する
構成になっている。
【0012】この傾斜補正パターンをヘッドアクチュエ
ータ(2)に加えると、磁気ヘッド(1)は異速度再生
時においても記録トラックの軌跡に対して平行に動くよ
うに傾斜が補正されることになる。しかしながら、単に
磁気ヘッド(1)を記録トラックの角度に追従して変位
させただけでは、記録トラックと磁気ヘッド(1)の軌
跡の直線性、あるいはトラックの位相ずれ等により、更
にトラックずれが生じる。このトラックずれを防止する
ために、通常、図75の点線で囲んだ閉ループによるオ
ートトラッキング制御系が付け加えられる。
【0013】このオートトラッキング制御系の制御方法
として、前述したパイロット方式、ウォブリング方式、
山登り方式等いかなる方式でも良いが、異速度再生時に
おいても高品位な映像を得たい場合には、記録トラック
の非直線性(以下、トラック曲りという)に追従させる
必要があるため、制御帯域が比較的広くとれるパイロッ
ト方式、もしくはウォブリング方式をとることが望まし
い。また、このオートトラッキング制御系の制御方法及
び動作は、すでに公知になっているので、ここでは詳細
な説明を省略する。
【0014】次に従来のテープテンション制御について
説明する。
【0015】図80は例えば横山著磁気記録技術入門総
合電子出版社編の187ページに記載された磁気記録再
生装置としてのVHS 方式ビデオテープレコーダの磁気テ
ープ走行系の構成図である。
【0016】図80においてビデオテープ(磁気テー
プ)は供給リール(6)から送り出され、磁気テープ走
行系のテンションがバックテンションポスト(7)で検
出される。ビデオテープ上に記録された情報は一旦全幅
消去ヘッド(8)で消去される。磁気テープ走行系はイ
ンピーダンスローラ(9)、(10)で安定化されてい
る。回転ドラム(11)は上シリンダ(12)と下シリ
ンダ(13)を含み、上シリンダ(12)にはビデオヘ
ッド(14)が固定されている。ビデオテープ上のリニ
アトラックの音声信号は音声消去ヘッド(15)にて消
去され、次に音声コントロールヘッド(16)により上
記リニアトラックに音声及びコントロールパルスが記録
される。キャプスタン軸(17)とビデオテープをある
一定の押圧ではさみ込むためにピンチローラ(18)が
設けられ、ビデオテープを走行させビデオテープ上のビ
デオトラックと、ビデオヘッド軌跡とのトラックずれを
コントロールするために、キャプスタン(17)がピン
チローラ(18)と対向して設けられている。ビデオテ
ープを巻き取るために巻き取りリール(19)が設けら
れてる。
【0017】図81は従来のテンション制御機構(テン
ションサーボ機構)の構成図である。図81において供
給リール(6)の回転はバンドブレーキ(20)により
抑えられている。磁気テープ走行系の張力すなわちテン
ションはテンション制御アーム(21)にて検出され
る。テンション制御アーム(21)の変位量に比例した
力がバネ(22)によりバンドブレーキ(20)に印加
され、このバネ(22)はテンション制御アーム(2
1)に加える力を可変する。そして、テンション制御機
構の基準テンションを調整するためにテンション調整レ
バー(23)がバネ(22)に接続されている。
【0018】次にこの従来例の動作について説明する。
【0019】供給リール(6)から供給されるビデオテ
ープは、ピンチローラ(18)とキャプスタン軸(1
7)で挟まれ、キャプスタン軸(17)の回転により引
っ張られる。この後ビデオテープは巻き取りリール(1
9)に巻き取られる。この際、ビデオテープは、全幅消
去ヘッド(8)、ビデオヘッド(14)、音声消去ヘッ
ド(15)、音声コントロールヘッド(16)に対し
て、スペーシング量が最適になるように磁気テープ走行
系のテンションが一定値に制御されなければならない。
【0020】当然その走行系テンションを強くするとヘ
ッドとテープ間のスペーシング量は少なくなり、記録再
生系の高周波特性は向上するが、テープの傷が増加し、
また同一トラックを連続して再生するスチル状態の耐久
性が劣化する。またヘッドの磨耗等が増加する。逆に走
行系テンションを弱くすると、スペーシグ量が増加する
ため、記録再生系の高周波特性が劣化する。このため従
来のVTR においては、図81に示すようなテンション制
御機構が装備されている。
【0021】図81において、例えば磁気テープ走行系
のテンションが増加すると、テンション制御アーム(2
1)とバネ(22)のつり合い点がずれるためバネ(2
2)がのびる方向に移動する。この時バンドブレーキ
(20)がゆるみ、供給リール(6)の回転はフリーに
なり、ビデオテープの送り出し量が多くなるため、磁気
テープ走行系のテンションが元にもどり、このようにし
て磁気テープ走行系のテンションが一定に保たれる。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】ハイビジョンや、映像
信号及び音声信号をディジタル化して記録再生するディ
ジタルVTR 等においては、記録する信号の情報量が大幅
に増大するため、限られたサイズのカセットテープに対
しても長時間記録を可能にするためには、高密度記録及
び高精度DTF 制御による再生技術が不可欠となる。
【0023】従来のVTR におけるDTF 装置は、トラック
エラー補正手段がドラムに内蔵された可動ヘッドのみで
あったので、DTF 制御性能は可動ヘッドを移動させるヘ
ッドアクチュエータの性能で決定されていた。
【0024】そこで、一般に高精度広帯域なDTF 制御に
用いるヘッドアクチュエータ(2)としては、比較的高
周波数、例えば1KHz 〜数KHz 付近まで位相シフトがな
いものが、制御性が良いので選ばれる。高い周波数まで
位相シフトが生じないためには、高い周波数まで共振し
ない機械特性が要求される。一般にアクチュエータの機
械特性の一次の共振周波数はアクチュエータバネ定数を
アクチュエータ可動部質量で割ったものの平方根を2π
で割ったもので与えられるので、一次共振周波数を高く
するには、可動部質量を軽くするか、もしくはアクチュ
エータバネ定数を高くするという方法によって実現でき
る。
【0025】また、前述した様に、一般に可動ヘッド
は、通常速度再生時のDTF 制御に使用されるだけではな
く、特殊再生にも使用されることが多い。従来のVTR に
おける高速ノイズレス再生装置は、磁気ヘッドをヘッド
アクチュエータで記録トラックの幅方向に移動させるこ
とによってトラックエラーを補正している。従って、補
正可能なトラックエラー量はヘッドアクチュエータの可
動範囲内に限定されてしまう。そのため、磁気ヘッドを
駆動するヘッドアクチュエータの可動範囲はできる限り
広い方が望ましい。しかし、従来構成ではヘッドアクチ
ュエータは規格によって外径が定まっている回転ドラム
に内蔵されなくてはならず、必然的に小型のものが要求
される。
【0026】そこで、小型でかつ、可動範囲が広くとれ
るように、貼り合せ型圧電素子(以下バイモルフと略称
する)や、積層型圧電素子にテコや座屈バネといった変
位拡大機構を取り付けたものや、磁気回路中にバネ支持
されたムービングコイルを電磁駆動するもの(以下、電
磁アクチュエータと略称する)がヘッドアクチュエータ
として提案され、あるものは実用化されている。
【0027】以下にそれぞれのヘッドアクチュエータを
DTF 制御用及び高速ノイズレス再生用に使用した場合を
考える。
【0028】まず、ヘッドアクチュエータをバイモルフ
に想定した場合を考えてみる。バイモルフは前述のとお
り、圧電素子の中でも駆動電圧の割に振幅量が大きくと
れる素子として知られている。そしてバイモルフの変位
量ξは次式で与えられる。
【0029】
【数1】 ただし ξ:変位,V:印加電圧,d31:圧電定数 L:有効長,t:圧電体1枚当りの厚み Sk :電極係数(0.94〜0.95) R:ロスファクタ(0.9 ) ここで、圧電定数d31は印加電圧Vの関数であり、Vが
大きいときにはd31も大きくなる関数になっている。ま
た、Sk ,Kはバイモルフの電極形状で決まる定数であ
る。
【0030】さて、バイモルフの変位量ξは、このよう
にさまざまな要因によって決まるものであることがわか
った。
【0031】ここで、DTF 制御用としてバイモルフを見
ると、機械的な一次共振周波数を高くするためには、圧
電体1枚当りの厚みtを大きく、有効長Lを小さくす
る、すなわちL/tを小さくする必要がある。しかし、
L/tを小さくすればバイモルフの変位量ξはL/tの
2乗で小さくなる。これは振幅量を必要とする高速特殊
再生用としてのバイモルフの使用の立場から見ると、相
反する要求であり、問題がある。そこで、一般には、DT
F 制御用、高速特殊再生用のどちらかを重視してシステ
ム構成する場合が多い。
【0032】例えば現行民生VTR の方式であるVHS や
β、8ミリといったトラックピッチが広いテープフォー
マットにおいては比較的高精度なDTF 制御を必要としな
いので、ヘッドアクチュエータは主に従来例で示したよ
うに高速特殊再生用として使用される。
【0033】この場合は、大振幅でかつ機械的共振ゲイ
ンが低くとれるように、圧電定数d31の大きいものが選
ばれる。しかしながら、変位ξに主に影響するのは2乗
の項であるバイモルフの有効長Lであり、Lを長くすれ
ばそれだけ変位量ξは大きくとれることになる。
【0034】前述したようにヘッドアクチュエータは限
られた回転ドラム系内に内蔵されるため、有効長Lも制
限されてしまう。そこで有効長Lを長くする様々な工夫
がなされることになる。例えば特開昭55-22285号公報に
開示されかつ図82の平面図で示されたヘッド(14
a)、(14b)を担持したリング状バイモルフ(2
a)や、特公昭63-41130号公報に開示されかつ図83の
平面図で示されたリーフ状バイモルフ(2b)、(2
c)等がある。しかし、このようにして有効長Lを長く
して変位ξをかせいだとしても、次のような問題点があ
る。
【0035】図84はバイモルフの有効長と磁気ヘッド
の傾きとの関係を示す図である。このように、大振幅時
にはヘッド傾きが大きくなるため、画質の劣化はまぬが
れない。
【0036】また一方、ハイビジョンVTR やディジタル
VTR といったトラックピッチの狭いテープフォーマット
においては、高精度広帯域なDTF 制御が必須となるた
め、上述した高速特殊再生における可能な倍速速度を下
げても、機械的一次共振周波数の高いバイモルフが選定
される。
【0037】以上のように、バイモルフにおいては、高
精度広帯域DTF 制御性能と高速特殊再生性能の両者を同
時に満たすことは不可能であった。
【0038】次に、積層型圧電素子に変位拡大機構を取
り付けたヘッドアクチュエータの場合を考える。このヘ
ッドアクチュエータの一例として、例えばNEC 技報、Vo
l.40,No.5(1987年)の第118 〜122 ページに掲載された
ものが挙げられる。この例では、バイモルフのように変
位時にヘッド傾きが生じることはなくなるが、駆動素子
として変位量が小さい積層型圧電素子を用いているた
め、変位量が大きくとれないという問題がある。テコや
座屈バネによって変位を大幅に拡大したとしても、VTR
の回転ドラムに内蔵させた場合、拡大機構が機械的に行
われているため遠心力の影響をうけて変位にオフセット
が生じてしまうという問題がある。
【0039】次に、電磁アクチュエータの場合を考え
る。電磁アクチュエータの例としては、例えば特開昭63
-173219 号公報に開示されたものがある。電磁アクチュ
エータは、上述した2つのアクチュエータと比べて、比
較的変位量が大きくとれるアクチュエータとして知られ
ている。その構成を図85に示す。
【0040】図において、ヘッド(14)は可動コイル
(24)に担持され、この可動コイル(24)が永久磁
石(25)の周囲に軸方向移動自在に支持されている。
従って、可動コイル(24)に適当な駆動電流を供給す
ることによって、ヘッド(14)の位置を任意に調整可
能である。
【0041】このような電磁アクチュエータを高速特殊
再生用として使用すれば駆動電圧は数Vですむこと、ヒ
ステリシスがないこと、ヘッド傾きも生じないこと、高
信頼性が確保されること、経時劣化がないこと、安価で
あること等、利点が多い。特に最後に述べた安価である
ことから民生用VTR の実用化に適している。しかしなが
ら一般に特殊再生用としての電磁アクチュエータは、図
86のような周波数応答特性をしている。すなわち、特
殊再生用として電磁アクチュエータを使用する場合は、
コイルで発生する力に対して、変位量がかせぐためバネ
定数を弱く設定するので機械的1次共振周波数は低く、
また駆動時の駆動コイルから発生する磁界の影響をさけ
るため、駆動コイルと磁気ヘッドをある部材を介して十
分に離す必要がある。その部材に起因する2次共振周波
数が上述した1次共振周波数の比較的近くにあるため、
1次共振周波数より低い帯域で制御をかける共振外補償
によってDTF 制御系を構築せねばならず、結局、制御帯
域が広くとれないため、高精度広帯域なDTF 制御系は実
現できない。
【0042】そこで、DTF 制御用として、バネ定数を高
くしてやれば、高精度広帯域なDTF制御系の構築は可能
となる。しかし、これを特殊再生用に使用することを考
えると、大振幅の変位を得るには駆動コイルが発生する
力を大きくする必要があり、そのためには大きな電流を
流さなければならなくなり、発熱等の点から大きな問題
となる。
【0043】結局、電磁アクチュエータにおいても、DT
F 制御性能と高速特殊再生性能とを両立させることは困
難である。
【0044】以上の説明をまとめると、従来の装置で
は、例えば制御帯域が数百Hzであるような高精度広帯域
なDTF 制御と数十倍速といったノイズレス高速再生の両
者を同時に実現することは不可能であるという問題があ
った。
【0045】次に、従来の磁気記録再生装置におけるテ
ンション制御装置の問題点について説明する。
【0046】図87及び図88は実開昭64-56036号公報
で示された従来の磁気記録再生装置、特にテープテンシ
ョン制御装置を示す図である。図87は記録再生状態、
図88は高速テープ走行状態である。
【0047】磁気テープがテープカセットから引き出さ
れて図87に示すようなテープ走行経路が形成される。
テンションレバー(28)、アーム(29)及びアーム
(30)は回転支点(31)を支点として一体的に回転
可能である。
【0048】記録、再生時には、スライダ(32)によ
り、図87に示すように、テンションポスト(33)を
磁気テープに当接させると同時に、テンションバンド
(34)が供給側リール(35)に接触される。磁気テ
ープはキャプスタンにより一定速度で巻取側リール(3
6)方向に送られ、供給側リール(35)より送り出さ
れる。この時、テンション解除レバー(37)とテンシ
ョンレバー(28)のアーム間にあるスプリング(3
8)によって発生するテンションレバー(28)のモー
メントと、テープガイド(39),(40)間の張力に
よりテンションポスト(33)に加わる力によって発生
するテンションレバー(28)のモーメントとテンショ
ンバンド(34)と供給側リール(35)間の摩擦力に
よって発生するモーメントの合力とはつりあっている。
磁気テープのテンションは、主に、テンションバンド
(34)により供給側リール(35)に与えられる摩擦
力によって制御される。
【0049】例えば、外乱によりテープテンションが上
記つりあい値より大きくなった場合、テンションポスト
(33)から見て供給側のテープガイド(39)と巻取
側のテープガイド(40)間のテープテンションも大き
くなる。この結果、テンションポスト(33)は図87
に示すつりあいの位置より左側へ押し出される。する
と、テンションレバー(28)は回転支点(31)を支
点として反時計方向に回転し、同時にアーム(30)も
反時計方向に回転し、テンションバンド(34)と供給
側リール(35)との接触力の減少に伴い摩擦力が小さ
くなり、その結果テンションは緩み、ついにはつりあい
位置まで復帰する。
【0050】一方、外乱によりテープテンションがつり
あい値より小さくなった場合には、上記とは逆に、テン
ションバンド(34)と供給側リール(35)との摩擦
力が大きくなり、その結果テンションは増えてつりあい
位置まで復帰する。
【0051】上記のようにして記録、及び再生時にはテ
ープテンションが一定に保たれる。
【0052】次に、高速テープ走行時には、スライダ
(32)により、図88に示すように、テンションポス
ト(33)は磁気テープと当接しない位置まで移動され
る。また、テンションバンド(34)は供給側リール
(35)と当接しない位置まで緩み、上述のようなテン
ション制御機構がテープ走行系から切り離される。また
キャプスタン(41)とピンチローラ(42)も離され
る。供給側リール(35)から巻取側リール(36)に
高速テープ走行させる場合、巻取側リール(36)を所
望の速度で回転させて磁気テープを巻き取り、供給側リ
ール(35)には磁気テープがたるみを発生しない程度
に一定の負荷をかける。逆に巻取側リール(36)から
供給側リール(35)に高速テープ走行させる場合、供
給側リール(35)を所望の速度で回転させて磁気テー
プを巻き取り、巻取側リール(36)の磁気テープがた
るみを発生しない程度に一定の負荷をかける。
【0053】従来の磁気録再生装置におけるテープテン
ション制御機構は以上のように構成されているので、高
速テープ走行時はテープ送り方向と逆方向にある一定の
負荷をかけるのみで特別なテープテンション制御を行っ
ていない。従って、過渡的なテンション変動には応答で
きずにテープに損傷を与えたり、またテンション変動に
伴う磁気ヘッドとテープとの接触状態変化により出力変
動が発生し情報の劣化が起こり易い等の問題点があっ
た。
【0054】更に、従来のテンション制御装置は、テン
ション制御帯域が狭く、数Hz以下のテンション変動しか
抑圧することができなかった。よって、ディジタルVTR
等の高密度記録再生を行うVTR においては、磁気ヘッド
と磁気テープとの間の最適なスペーシング量を常に保つ
ことは不可能であり、良好な記録再生が行えないという
問題があった。
【0055】本発明は上記のような問題点を解消するた
めになされたもので、制御帯域が数百Hzといった広帯域
でのDTF 制御を高速度で行いながら、かつ数十倍速とい
ったノイズレス高速再生を画像の劣化なく同時に実現し
た磁気再生装置を提供することを目的とする。
【0056】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る磁気再生装置は、磁気テープが巻かれ
た供給リールを回転駆動するリール駆動手段と、磁気ヘ
ッドを前記磁気テープ上の記録トラックの幅方向に変位
させるヘッドアクチュエータ手段と、前記ヘッドアクチ
ュエータ手段を搭載した回転ドラムを介して前記磁気テ
ープを前記供給リールから所定速度で引き走行させるテ
ープ送り手段と、前記回転ドラムと前記テープ送り手段
間の前記磁気テープ走行経路中に設置された前記回転ド
ラムと前記テープ送り手段間の前記磁気テープ走行経路
長を可変する可動ピン手段と、前記可動ピン手段を駆動
する可動ピンアクチュエータ手段と、前記磁気ヘッドと
前記記録トラックとの相対位置誤差を検出するトラック
エラー検出手段と、前記トラックエラー検出手段の出力
信号に基づき前記テープ送り手段と前記可動ピンアクチ
ュエータ手段と前記ヘッドアクチュエータ手段とを協動
させて前記トラックエラーを補正するトラッキング制御
手段とを具備し、前記トラッキング制御手段は、前記可
動ピンアクチュエータ手段の位置を検出する位置検出手
段と、前記位置検出手段の出力信号と前記可動ピンアク
チュエータ手段の駆動電圧もしくは駆動電流信号とを演
算することによって前記可動ピンが前記磁気テープから
受けるテンション変動並びにデッキ本体の移動によって
引き起こされる前記可動ピンアクチュエータ手段に作用
する外乱トルクを検出する外乱検出手段と、前記外乱検
出手段の出力を前記可動ピンアクチュエータ手段の駆動
電圧もしくは駆動電流に前記可動ピンアクチュエータ手
段に作用する外乱トルクを打ち消すように正帰還する外
乱抑圧制御手段とを具備することを特徴とする。
【0057】この構成によれば、トラッキングエラーの
高周波成分の補償をヘッドアクチュエータ手段に受け持
たせ、トラッキングエラーの低周波成分の補償を可動ピ
ンアクチュエータに受け持たせ、トラッキングエラーの
直流に近い成分の補償をテープ送り手段に受け持たせる
ことにより、補正可能なトラッキングエラー量の大き
く、しかも高精度のトラッキングエラー補償が可能な磁
気再生装置を得ることができる。そして、この構成で
は、外乱検出手段にて可動ピンアクチュエータ手段に作
用する外乱力を検出し、これを可動ピンアクチュエータ
手段にフィードバックすることにより、外乱に強い安定
したトラッキング制御を行うことができる。
【0058】本発明に係る磁気再生装置は、磁気ヘッド
をテープ走行方向と直交する方向に移動させる従来のヘ
ッドアクチュエータに加えて、磁気テープ走行路中のヘ
ッドが設けられた回転ドラムの磁気テープ出口側と入口
側のそれぞれにテープ引きアクチュエータ及びテープテ
ンションアクチュエータを設けることもできる。
【0059】これらの両テープアクチュエータは互いに
差動的に動作し、テープのヘッド面での走行速度を自由
に変化させることができる。
【0060】従って、このようなテープアクチュエータ
を用いることにより、本発明によればDTF 制御とテンシ
ョン制御をそれぞれ単独にあるいは組合わせて広周波数
帯域で高精度のトラック制御及びテンション制御を可能
とする。
【0061】前記両テープアクチュエータは、それぞれ
テープを引きあるいは押しするローラと、このローラを
所定回転軸に対して回動自在に担持するアームと、この
アームを駆動する駆動部と前記アーム駆動部の変位位置
を検出する位置センサを含むことが好適である。また、
本発明における前記両テープアクチュエータはそれぞれ
の電気的特性及び機械的特性を等しく設定することが前
記差動的な働きを得るために好ましい。
【0062】また、本発明において、前記ヘッドアクチ
ュエータとテープ引きアクチュエータとは共通のDTF 制
御系の中で結合され、可動ヘッドのトラッキングエラー
信号を両アクチュエータに負帰還させて両アクチュエー
タの協働によってトラッキングエラーを解消する制御ル
ープを構成することもできる。
【0063】そして、本発明においては、ヘッドアクチ
ュエータはトラッキングエラーの高周波帯域の小振幅補
償を行い、一方においてテープ引きアクチュエータが低
周波帯域における大振幅補償を受け持つ。
【0064】また、前記DTF 制御にテンション制御を組
合わせれば、前述したテープ引きアクチュエータのトラ
ッキング制御ループから発生する制御電圧は前記テープ
テンションアクチュエータに供給され、両テープアクチ
ュエータの差動動作によって所望の安定したテープテン
ションを得、テープとヘッドとの良好なコンタクトを実
現することができる。
【0065】前記テープテンションアクチュエータを正
しく制御するため、このテープテンションアクチュエー
タの動特性が電気的に推定され、このためにテンション
アクチュエータへの入力電圧とテンションアクチュエー
タの変位との関係を電気的に模擬したテンション推定器
を設けることが好ましい。この関係は(入力電圧)/
(変位)伝達特性として示され、これによって、テンシ
ョンアクチュエータに加わる外乱テンションを推定する
ことができる。
【0066】従って、この推定テンションがあらかじめ
定められた基準テンションと一致するようにテンション
エラー信号の高域成分をテープテンションアクチュエー
タに負帰還し、また前記テンションエラー信号低域成分
を磁気テープ送り側のリールモータに負帰還させ、広帯
域にテンション制御を行うことができる。
【0067】従って、本発明によれば、通常の再生モー
ド時に、大きな高周波数帯域ゲインを持ったヘッドアク
チュエータと大きな低周波数帯域ゲインを持ったテープ
アクチュエータとの協働によって高精度、広帯域かつ広
ダイナミックレンジのトラッキング制御を可能とする。
この周波数帯域分割により、トラックピッチの狭いテー
プフォーマットにおいても、広帯域のトラッキング制御
が実現できた。
【0068】また、本発明において、テープ引きアクチ
ュエータとテンションアクチュエータの差動動作によっ
てテープの走行速度を変化させれば、テンション変動を
両テープアクチュエータによって抑制することが可能と
なる。
【0069】そして、テープアクチュエータ対が往復動
作するときにアクチュエータ自体の電気的あるいは機械
的な特性及び外乱により生じるテンション変動はテンシ
ョン推定器から発生する信号をテープテンションアクチ
ュエータ及びテープ巻出しリールモータにフィードバッ
クすることにより抑制される。
【0070】従って、このようなDTF 制御とテンション
制御を同時に行うことによって、通常の再生動作時にト
ラッキングエラーがなくまたテープとヘッドとの良好な
コンタクトが得られ、高品質の信号再生が可能となる。
【0071】また、高速再生モードにおいては、テープ
を高速走行させながら、前記テープアクチュエータテン
ション対で回転ドラムの入口出口間でテープに揺動運動
を与え、ヘッドに対して相対的にテープ速度が低下した
状態で信号再生を間欠的に行う。
【0072】従って、テープの高速走行状態において
も、高品質の再生画像を間欠的に見ることができる。
【0073】前記テープアクチュエータ対に揺動運動を
与えるため、両アクチュエータには回転ドラムの回転周
波数の1/m倍(mは正の整数)に同期した周波数の三
角波が与えられる。
【0074】このような特殊高速ノイズレス再生時に
も、テープテンションアクチュエータ及びテープ巻出し
リールモータにはテンション制御をかけることが好適で
ある。
【0075】また、さらに前述したテープテンションア
クチュエータを用いて記録あるいは再生時におけるテン
ションを最適値に制御することをも可能である。
【0076】従って、この場合は、DTF 制御とは別個に
前記テープテンションアクチュエータによるテンション
制御が独立して実現可能である。このために、テープテ
ンションアクチュエータは回転ドラムのテープ入口側に
おいてテープに所望のテンションを与え、このテンショ
ン制御系はテンションアクチュエータの(入力電圧)/
(変位)伝達特性を用いる。従って、このテンション制
御系は、テープテンションアクチュエータがテープ走行
系からうけるテンションを推定し、この推定テンション
が基準テンションと一致するようにテープテンションア
クチュエータ及びテープ巻出しリールモータをフィード
バック制御する。
【0077】
【発明の実施の形態】以下に本発明の好適な実施例を図
を参照して説明する。
【0078】第1実施例の概略構造 図1には本発明に係る磁気再生装置の好適な第1実施例
が概略的に示されている。図において、磁気テープ(5
0)に巻き付けられる回転ドラム(51)は2個の磁気
ヘッド(52a)、(52b)を内蔵している。前記磁
気テープ(50)は巻出しリール(53)から巻き出さ
れ、巻取リール(54)に巻き取られ、両リール(5
3)、(54)はそれぞれモータ(55)、(56)に
よって駆動されている。磁気テープ(50)をその走行
方向に一定速度で送るため、キャプスタン(57)とこ
のキャプスタン(57)と共にテープ(50)を挟むピ
ンチローラ(58)が設けられ、前記キャプスタン(5
7)はキャプスタンモータ(59)によって駆動されて
いる。テープ(50)を回転ドラム(51)に対して所
定の傾斜角で巻き付けるため、回転ドラム(51)の入
口側及び出口側にはそれぞれスラントポール(60
a)、(60b)が設けられている。
【0079】本装置において特徴的なことは、前記回転
ドラム(51)の出口側及び入口側にそれぞれテープ引
きアクチュエータ(61)、テープテンションアクチュ
エータ(62)が設けられていることにある。
【0080】テープ引きアクチュエータ(61)はテー
プ(50)と接触する可動テープパスローラ(63)を
含み、このパスローラ(63)を担持したローラアーム
(64)は駆動部(65)によって揺動されている。前
記ローラアーム(64)の揺動角は位置センサ(66)
により検出される。
【0081】前記可動パスローラ(63)の揺動軌跡の
両側には固定テープパスローラ(67)、(68)が設
けられ、両ローラ(67)、(68)間を可動テープパ
スローラ(63)が通り抜けられるように、両固定テー
プパスローラ(67)、(68)間の間隙が定められて
いる。本実施例において、パスローラ(63)は固定パ
スローラ(67)、(68)の中間点を通過し、このと
きにローラ(63)と固定ローラ(67)、(68)と
のギャップが等しくなる。
【0082】前述したテープ引きアクチュエータ(6
1)と同様に、テープテンションアクチュエータ(6
2)も可動テープテンションローラ(69)、(7
0)、駆動部(71)そして位置センサ(72)を含
み、前記可動テンションローラ(69)の通過軌跡両側
には固定テープパスローラ(73)、(74)が設けら
れている。
【0083】高速特殊再生の動作原理 図2は高速特殊再生時における動作原理を説明するため
の斜視図である。
【0084】図において、装置各部の速度と磁気テープ
の速度が模式的に表されており、VA は回転ドラム(5
1)上での磁気テープ(50)の速度、VB はテープ引
きアクチュエータ(61)の可動テープパスローラ(6
3)の移動速度、VC はキャプスタンモータ(59)も
しくは巻き取りリールモータ(56)によって駆動され
た磁気テープ速度である。
【0085】高速特殊再生は、任意の倍速走行を行いな
がら、画面を間欠的に再生するものであり、従来におい
ては、この倍速再生時のヘッドのトラック追従をヘッド
アクチュエータのみで行っていたので、再生可能なテー
プ倍速度が低く制限されていた。
【0086】この課題を解消するために、回転ドラム
(51)の出側及び入り側にそれぞれ設けられたテープ
引きアクチュエータ(61)、テープテンションアクチ
ュエータ(62)を差動的に動かすことにより、高速走
行時においてもヘッド(52)に対して相対的にテープ
(50)の走行速度が低い期間を作り、この期間中に再
生を行うので、高速走行中でありながら品質の良い再生
を可能とする。
【0087】今、仮に固定テープパスローラ(67)、
(68)と可動テープパスローラ(63)の位置関係が
図3の概略図のようになっている場合を考える。すなわ
ち、図は2つの固定テープパスローラ間(67)、(6
8)の距離d´が可動テープパスローラ(63)の直径
dと等しい場合を示す。
【0088】まず最初に、理解しやすいように静止系を
考える。すなわち図3のように、仮に磁気テープ(5
0)の一端を固定し、可動テープパスローラ(63)を
時間Δt内に距離Δxだけ移動させた場合を想定する。
自由端側の磁気テープ(50)の任意の点D0 は、2×
Δx離れた点D1 に移動する。よって、その時の点D0
の移動速度は、可動テープパスローラ(63)の速度の
2倍となる。すなわち、可動テープパスローラ(9b)
の速度をVB とすると、自由端側の磁気テープ(50)
の速度は2×VB という関係になることがわかる。な
お、図1を見るとわかるように、テープローディングを
行うために、2つの固定テープパスローラ(67)、
(68)間のすきまを可動テープパスローラ(63)が
通過しなければならないので d´>d でなければならない。ただし、dとd´の差をΔdとす
ると、Δdはできるだけ小さい方が望ましい。というの
は、Δdが大きくなればなるほど、先ほど述べた、自由
端側の速度と可動テープパスローラ(63)の移動速度
の線形性がくずれ、制御性が劣化するためである。よっ
て、本実施例の原理説明においてはΔd≒0とし、線形
性がくずれないものとして説明し、後にΔdを考慮した
説明を行う。
【0089】次に、図4の概略図で示すように、キャプ
スタンモータ(59)によって磁気テープ(50)が定
常速度VC で動かされている場合を考える。これは先ほ
ど図3について述べた磁気テープ(50)の固定端が速
度VC で動いていると考えられるので、他端側の磁気テ
ープ(50)の速度VA は、 VA =VC +2×|VB | と表される。また、回転ドラム(51)の入り側におけ
る固定テープパスローラ(73)、(74)及び可動テ
ンションローラ(69)についても、前記出側と同様の
関係を満たすようにする。
【0090】以上から、図2の可動テープパスローラ
(63)、(69)の速度VB と回転ドラム(51)の
磁気テープ(2)の速度VA との関係がわかった。
【0091】もう一度図2に戻って説明を進めると、テ
ープ速度VC が回転ドラム(51)内の従来例で説明し
たヘッドアクチュエータによるダイナミックトラックフ
ォローイング(DTF )追従可能速度より大きくなった場
合、磁気テープ(50)の速度を下げるために、テープ
をゆるめる方向に可動テープパスローラ(63)を、ま
たテープを引張る方向に可動テープパスローラ(69)
を動作させる。すなわち可動テープパスローラ(63)
と(69)を逆相に同量ずつ差動動作させることによ
り、ある一定の期間だけ速度VA をヘッドアクチュエー
タがDTF 追従可能な速度に低下できる。可動テープパス
ローラ(63)と(69)を逆相に同量移動させること
によりテンション変動を防止できる。
【0092】次に、可動テープパスローラ(63)、
(69)をそれぞれテープ引きアクチュエータ(6
1)、テープテンションアクチュエータ(62)で駆動
して、回転ドラム(51)上での磁気テープ(50)の
速度VA を、ヘッドアクチュエータによるDTF のノイズ
レス再生可能速度に抑制する方法について述べる。
【0093】VTR 記録フオーマットの一例が図5の概略
図に示され、通常再生時の磁気テープ速度をvとする
と、 v=fα (m/sec) となる。
【0094】ただし、fは回転ドラム(50)の回転周
波数(Hz)である。また、α=(2×Tp )/(sin
θ)である。
【0095】ただし、Tp はトラックピッチ、θはトラ
ック角である。回転ドラム(51)に搭載されたヘッド
・アクチュエータによる従来のDTF サーボ系が追従可能
なテープ速度V´を仮にn倍速すると、 V´=nv (nは整数) となる。前述したように、VC >>V´のとき、すなわ
ち高速再生時、可動テープパスローラ(63)、(6
9)と、速度VB で互いに同量ずつ逆相に動かすことに
より、回転ドラム(51)上での磁気テープ(50)の
速度VA を間欠的に低くし、この速度VA を従来のDTF
が追従可能な速度V´まで落とす。こうすることによっ
て、従来ノイズレス再生が不可能であった高速再生が間
欠的に可能となる。
【0096】尚、本実施例のテープアクチュエータ(6
1)、(62)の変位角とトルクの特性は図6に示され
るように若干の非直線性を有する。
【0097】テープ引きアクチュエータ(61)、テー
プテンションアクチュエータ(62)の駆動速度V
B は、再生可能期間ができる限り長くなるように、また
回転ドラム(51)上でのテープ速度の減速比を考える
と、図7の概略図で示すようなデューティ50%の三角
波信号による駆動が望ましい。
【0098】この場合、上式VA =VC +2×|VB
から回転ドラム(51)上での磁気テープ(50)の速
度VA は、図7の概略図に示すようになる。
【0099】図7において、回転ドラム(51)上での
テープ速度VA がヘッドアクチュエータによるDTF 追従
可能速度V´になるよう、VA を選べばVA は最小とな
り最も効率が良い VA (min)=VC −2×VB =V´ この場合、VB は図4において逆方向を向くので、−V
B になる。ただし、そのときのノイズレス再生可能期間
T´、すなわち図7で示した矩形状波形VA がVA <V
´となっている期間は、少なくとも磁気ヘッド(52)
が1画面を再生できる期間、すなわち1/f秒以上必要
である。よって、ノイズレス再生可能期間T´中に必ず
1画面以上の再生を可能にするには、図7で示した矩形
状波形の1サイクルタイムTを、ドラム回転周期1/f
の整数倍(少なくとも2倍以上)にしなくてはならな
い。これによりテープアクチュエータ駆動とドラム回転
駆動が同期される。
【0100】以上のようにして、高速再生時に間欠的に
ノイズレス再生できることが原理的にわかった。またノ
イズレス再生した画面を画像メモリーに記憶しておき、
ノイズレス再生できない期間に前記記憶した画像を出力
するようにすれば、飛ばし見的ではあるが、画面中断の
ない連続的なフルタイムノイズレス高速再生が可能にな
る。
【0101】高速再生のサーボシステム 次に、本発明の磁気再生装置における、上記動作原理を
実現するためのサーボシステムについて説明を行う。図
1を参照するとわかるように、テープ引きアクチュエー
タ(61)及びテープテンションアクチュエータ(6
2)は、動作原理で説明したような直線運動ではなく、
円弧運動するアクチュエータから成る。よってこの構造
では、原理的に円弧運動を直線運動に近似させるときに
非線形な誤差が生じる。この誤差を示すため、本発明の
第1実施例のテープパスローラ(63)、(69)と固
定テープパスローラ(73)、(74)、(67)、
(68)の位置関係を表した模式図を図8に示す。ここ
で、rはアーム(70)(64)のうで長さ、βはアー
ム変位角度を示す。
【0102】各要素が図8のように位置関係にある場合
の可動テープパスローラ(69)の変位角度βとテープ
(50)の引き出し長さとの関係を図9に示す。図9か
ら、Δd=0mmのアイディアルの場合はほぼ線形特性
が得られるがΔdが大きくなるにつれ、可動テープパス
ローラ(69)が固定テープパスローラ(73)、(7
4)に近い領域(図9でいえば変位角度βが0〜10°
程度の領域)において非線形性が顕著となる。よって本
発明の実施例においては、Δd=1mmに設定してシス
テムを構成し、非線形性がほぼ無視できるようにしてい
る。
【0103】しかしながら、デッキの機械的制約や、機
械的取付け精度のバラツキ等によってこの非線形誤差量
が増大する場合が一般的であり、これを考慮した制御シ
ステムの構築をする必要がある。例えば図10は、図9
の特性と比べて非線形誤差量が大きい実施例を示す。こ
のときの機械的特性Eを図11の符号(75)で示し、
これが図10のような非線形であると、図11のDTF 制
御系では、その非線形誤差がヘッドアクチュエータ(7
6)の追従補正可能範囲を超えてしまう危険性がある。
よって、従来例のDTF 制御よりも、本発明ではより高精
度広帯域広ダイナミックレンジなDTF 制御方式が必要と
なる。
【0104】そこで本発明では、トラックエラーをダイ
ナミックレンジの狭いヘッドアクチュエータだけ補正す
るのではなく、このヘッドアクチュエータに加えてダイ
ナミックレンジの広いテープアクチュエータを設け、こ
れら両者で分担して補正するようにした。
【0105】図12は本発明のサーボシステムの簡単な
ブロック図を示す。
【0106】図12に、図1の装置に高速再生制御・DT
F 制御テンション制御を施した場合の具体的な信号の流
れを含む概略図を示す。
【0107】DTF 制御の構成を簡単に以下に述べる。磁
気ヘッド(52a)、(52b)で再生されたエンベロ
ープ信号はDTF 回路に供給される。DTF 回路でエンベロ
ープ信号からトラックエラー信号を得、その高周波成分
をヘッドアクチュエータ(76)に、同じくその低周波
成分をテープ引きアクチュエータ(61)に、また直流
成分はキャプスタンモータ(59)またはリールモータ
(56)にフィードバックする。また、テープ引きアク
チュエータ(61)のDTF 動作に基づくテンション変動
を防止するため、テープ引きアクチュエータ(61)の
駆動信号は加算器(91)を介してテープテンションア
クチュエータ(62)にも供給される。
【0108】テンション制御の構成を簡単に以下に述べ
る。可動ローラ(69)の位置を検出するポジションセ
ンサ(72)からの可動ローラ位置信号と、テンション
アクチュエータ(62)に供給される駆動信号は、テン
ション推定器(92)に供給される。テンション推定器
(92)では、上記2つの信号から可動ローラ(69)
部でのテープテンションを推定し、推定テンション信号
を出力する。この信号はテンションサーボ回路(83)
に供給される。テンションサーボ回路(83)では、上
記推定テンション信号と基準テンション信号との比較を
し、テンションエラー信号を得る。そしてテンションエ
ラー信号の低周波成分はリールモータ(55)に、高周
波成分はテープテンションアクチュエータ(62)にフ
ィードバックされる。
【0109】また、高速再生制御の構成を簡単に以下に
述べる。テープ走行速度を表すキャプスタンFG信号
(高速再生時等、リールモータ駆動時にはリールFG信
号)とドラムPG信号の2つの信号は特殊再生用信号発
生器(80)に供給される。特殊再生用信号発生器(8
0)ではこの2つの信号から、テープ引きアクチュエー
タ(61)及びテープテンションアクチュエータ(6
2)を動作させる特殊再生信号を出力する。
【0110】なお、各々の制御の詳細については後述す
る。
【0111】次に動作について説明する。まず、通常再
生時の説明をする。磁気テープ(50)が通常再生速度
で走行している場合には、特殊再生用信号発生器(8
0)は特殊再生用信号を発生せず、テープ引きアクチュ
エータ(61)は所定の位置に固定される。この固定方
法としては、機械的に行ってもよいが、テープ引きアク
チュエータ(61)にポジションセンサ(図示しない)
を設け、クローズドループによるポジション制御回路に
て、電気的に位置を固定することが望ましい。
【0112】テープテンションアクチュエータ(62)
は、アクチュエータ(61)と同様に、初期状態におい
ては所定の位置に固定されるが、磁気テープ(50)の
テープテンション変動を抑えて一定値にするためのクロ
ーズドループによるテンション制御を行う。
【0113】このように、テンション制御をクローズト
ループによって構成したので、従来の機械的テンション
制御より広帯域となり、性能が向上している。なお、テ
ンション制御の原理の構成の動作の詳細は後述する。
【0114】次に、磁気テープ(50)の速度がヘッド
アクチュエータ(76)によって補正可能な速度の領域
でのDTF 動作は、いわば従来行われてきた高速特殊再生
と全く同様の方法で行われるので、その説明は省略す
る。この場合も、特殊再生用信号発生器(80)は特殊
再生用信号を出力しない。ただ、従来例と異なるのは、
トラックエラー補正をヘッドアクチュエータ(76)と
テープ引きアクチュエータ(61)の両者で協働して行
うためダイナミックレンジの広いDTF 制御となっている
点である。
【0115】さて、次に磁気テープ(50)の速度がヘ
ッドアクチュエータ(76)によって補正不可能な高速
度の領域での動作について説明する。磁気テープ(5
0)の速度がヘッドアクチュエータ(76)によって補
正不可能な高速度で動作している場合、従来の装置で
は、ノイズバーもしくはモザイクが再生画面に生じてい
た。
【0116】そこで、テープ引きアクチュエータ(6
1)及びテープテンションアクチュエータ(62)を、
前述した原理に従って動作させることにより、回転ドラ
ム(51)上での磁気テープ(50)の速度を、ヘッド
アクチュエータ(76)が補正可能な速度の領域まで、
同期的に落とす。磁気テープ速度がヘッドアクチュエー
タ(76)の補正可能な速度の領域になっている期間、
すなわち、原理説明で前述した再生可能期間T´の間、
図12中の後に詳しく述べる広ダイナミックレンジなDT
F で囲まれた一点鎖線、例えばウォブリング法やパイロ
ット法等の方式で構成された従来のオートトラッキング
制御系により、磁気テープ(50)上の記録トラックと
磁気ヘッド(51)との相対位置ずれ量、すなわちトラ
ッキングエラーを補正する。なお、トラックエラー信号
は、既に公知であるウォブリング法やパイロット法等に
よって得る。こうすることにより、再生可能期間T´に
おいては、トラックずれによるノイズのない、良好な再
生画面が得られることになる。
【0117】なお、再生可能期間T´においては、少な
くとも1画面を再生できる期間、すなわち1/f(秒)
以上となっていることは原理説明で既に述べたとおりで
ある。
【0118】テープ引きアクチュエータ(61)及びテ
ープテンションアクチュエータ(62)を駆動するため
の特殊再生用信号は特殊再生用信号発生器(80)から
出力されている。例えばキャプスタンFG信号等のキャ
プスタンのテープ速度信号とドラムPG信号を入力とし
て、この2つの入力から、特殊再生用信号発生器(8
0)は磁気テープ速度がヘッドアクチュエータ(76)
の補正不可能な速度になった場合を検知する。そして、
原理説明で述べた原理に基づいて、図7に示したような
速度パターンになるように、テープ引きアクチュエータ
(61)及びテープテンションアクチュエータ(62)
を動作する駆動電圧パターンを出力する。
【0119】また、再生可能期間T´以外の期間では、
再生画像が得られないため、1サイクル周期毎に再生可
能期間T´で再生した良好な画面を画像メモリ等に再生
しておき、再生可能期間T´以外の期間中、記憶した画
像を出力し続ければ連続的な高速再生を可能とする。こ
のようにすれば、飛ばし見的、紙芝居的ではあるが、従
来のサーボシステムではノイズレス再生不可能であった
テープ速度においても、ノイズのない良好な再生画面が
連続的に得られる。
【0120】また、前述したようにテープテンションア
クチュエータ(62)は、クローズドループにより、従
来の機械式のものより広帯域なテープテンションサーボ
で常に動作し続けているので、どのような状態において
も磁気テープ(50)が最適なテープテンションに保た
れている。その効果もあって、この発明の磁気再生装置
は、低速から高速まで広いテープ速度範囲において良好
な再生画像を得ることが可能となる。
【0121】なお、テープアクチュエータ(61)、
(62)の運動は図13に示すように円弧状の運動をす
る構成になってもかまわない。
【0122】DTF 制御 以下に、この発明のDTF 制御の動作を説明する。
【0123】図14は本発明によるDTF 制御の一例を示
すブロック図である。本発明では、磁気ヘッド(52)
から得られる再生信号から、従来例で示したパイロット
方式によってトラックエラー信号を検出し、このトラッ
クエラー信号にてヘッドアクチュエータ(76)及びテ
ープ引きアクチュエータ(61)を電気的に結合させて
トラッキング制御する2段結合制御方式を用いている。
【0124】図14において、アクチュエータ(7
6)、(61)によるDTF 制御出力は目標トラック位置
と加算器(85)により加算され、トラッキングエラー
信号が補償器(86)を介して両アクチュエータへ供給
される。
【0125】前記補償器(86)の出力はヘッドアクチ
ュエータ(76)へ直接供給されると共に、図14にお
いて、ヘッドアクチュエータ等価回路(87)及び補償
器(88)そして加算器(89)を通ってテープ引きア
クチュエータ(61)へ供給される。従って、等価回路
(87)の出力はヘッドアクチュエータ(76)の推定
値を示すこととなる。また、加算器(89)の他の入力
には特殊再生信号が供給されている。
【0126】一方、テンション制御系は、図12に示し
たテンション推定器(92)及びテンションサーボ回路
(83)を含み、テンション推定器(92)による推定
テンション信号がテンションサーボ回路(83)に供給
され、また前記DTF 制御系のテープ引きアクチュエータ
(61)への駆動信号がテンションサーボ回路(83)
の出力と共に加算器(91)に供給されている。
【0127】加算器(91)の出力はアクチュエータ
(62)へ供給されると共にアクチュエータ(62)の
テンションローラがテープから受ける推定テンションを
出力するためのテンション推定器(92)へ出力されて
いる。このテンション推定器(92)の出力が前記減算
器(90)に供給されている。
【0128】テンション推定器(92)はテープテンシ
ョンアクチュエータ(62)の入力電圧とテンションロ
ーラ(69)の変位との関係を電気的に模擬し、実施例
においては(入力電圧)/(変位)伝達特性を用いて模
擬が行われている。
【0129】このような2段結合制御方式は、例えば19
85年12月12−13日に開催された光メモリシンポジウム’
85の論文集P203〜P208で公知となっており、光ディスク
のトラッキング制御の分野では、高精度広帯域で広ダイ
ナミックレンジな制御として知られている。
【0130】しかしながら、VTR のトラッキング制御の
分野においては、従来ではトラックエラー補正がドラム
(50)に内蔵されたヘッドアクチュエータ(76)の
みで行われていたため、このような2段結合制御方式は
応用不可能であった。本発明では、トラックエラー補正
手段として新たにテープ引きアクチュエータ(61)を
設けたので、2段結合制御方式の応用が可能となり、高
精度広帯域かつ広ダイミナックレンジなDTF 制御系の構
築が可能となった。
【0131】図14で示した実施例は、本発明をディジ
タルVTR に適用した場合である。ディジタルVTR は記録
情報量が増大するため、高画質化、多機能化、長時間記
録化といった要求を実現するには、狭トラックピッチ化
による高密度記録が不可欠となる。一般に記録トラック
は、主に機械的要因によって生じるトラックの非直線性
(以下、トラック曲りという)をもっており、このよう
な狭トラック化が進むと、トラックピッチがトラック曲
り量より小さくなるため、狭トラックを正確にトレース
するためには、少なくともトラック曲りの基本周波数の
10倍以上の制御帯域を持ったDTF 制御に要求される。
トラック曲りの基本周波数は、ドラム回転周波数に依存
するため例えばドラム回転周波数が1800rpm の場合、DT
F 制御系の要求される制御帯域は300Hz 以上となる。
【0132】そこで、制御帯域を広くとるために制御性
の良いヘッドアクチュエータ(76)が必要となり、本
実施例では図15で示した電磁アクチュエータを用いて
いる。
【0133】磁気ヘッド(52)は板バネ(93)によ
ってコイルボビン(94)に支持され、このコイルボビ
ン(94)には励磁コイル(95)が巻回されている。
【0134】コイルボビン(94)はその両端がシンバ
ルバネ(96)、(97)により円筒状ヨーク(98)
及び円板状ヨーク(99)、(100)に軸方向移動自
在に支持されている。コイルボビン(94)と各ジンバ
ルバネ(96)、(97)の結合部には高分子材料から
なるマウント部材(101)が設けられている。
【0135】前記コイルボビン(94)の内部には円柱
型永久磁石(102)、(103)が前記ヨーク(9
9)、(100)の間に固定され、また両永久磁石間に
はセンターヨーク(104)が設けられている。
【0136】従って、図示したヘッドアクチュエータ
(76)は図85に示した従来のアクチュエータと同様
に励磁コイル(105)への励磁電流を適当に制御する
ことによって所望のヘッド(52)の移動を行うことが
できる。
【0137】また、図から明らかなごとく、ヘッド位置
検知手段(105)によってヘッド(52)の位置が常
時光学的あるいは電磁的に検出されている。
【0138】図15において、制御性が良ければヘッド
アクチュエータ(76)として、バイモルフや他の素子
を用いても何ら問題はないが、本実施例は民生用ディジ
タルVTR であるので、安価なこと、信頼性が高いこと等
を重視して電磁アクチュエータを用いる。従来例で前述
したように、電磁アクチュエータを用いてもDTF 性能と
特殊再生性能の両立は不可能である。ここで用いた電磁
アクチュエータはDTF性能に重点をおいて構成となって
いる。すなわち、図15でいうジンバルバネ(96)、
(97)の弾性係数を大きくすることによって、機械的
1次共振周波数を上げて、1KHz 程度の周波数まで位相
0°フラットの特性を得ている。しかしながら、このよ
うにジンバルバネ(96)、(97)の弾性係数を高く
すると、共振ピークゲインが大きくなってしまい、制御
性が劣化する。そこで、本実施例においては図15で示
すようなヘッドアクチュエータ可動部の位置情報を位置
検知手段(105)によって検知する。この位置信号と
ヘッドアクチュエータ駆動電圧とを、ヘッドアクチュエ
ータの(入力電圧)/(変位)伝達特性を電気的に模擬
した回路による速度推定器に入力して、電磁アクチュエ
ータ可動部の速度を推定する。そして、この推定速度を
電磁アクチュエータ駆動コイル(95)に負帰還して電
気的にダンピングをかけることによって、高い周波数ま
で制御性のよいアクチュエータとしている。
【0139】このようなアクチュエータをヘッドアクチ
ュエータ(76)として従来のようなDTF 制御性を構築
すれば、たしかに高精度広帯域なDTF 制御系が実現され
るが、DTF 制御性能を重視してジンバルバネの弾性係数
を上げたため、大振幅駆動時には大電流が必要となり、
その時の発熱等の問題から可動振幅は狭く制限されてし
まう。換言すれば、ダイナミックレンジは下がってしま
う。
【0140】そこで、本発明では、ヘッドアクチュエー
タには小振幅補償を主として受け持たせ、新たに設けら
れたテープアクチュエータが大振幅補償を受け持つよう
に、テープ引きアクチュエータ(61)の構成を低域ゲ
インが大きくとれる図16に示すような支持バネのない
ボイスコイル型電磁駆動アクチュエータとした。このテ
ープ引きアクチュエータ(61)の構成はハードディス
クドライブ装置のトラッキングアクチュエータであるス
イングアームアクチュエータで実用化されている磁気回
路と同様なものである。図17にテープ引きアクチュエ
ータ(61)の磁気回路、図18に駆動原理そして図1
9にはテープ引きアクチュエータの断面が示されてい
る。
【0141】ローラアーム(64)は駆動部(65)の
ヨーク(106)に回動自在に軸支されており、このヨ
ーク(106)には永久磁石(107)が固定されてい
る。
【0142】図17、18から明らかなように、永久磁
石(107)は左右の着磁方向が逆となるように着磁さ
れている。前記アーム(64)の一端には可動コイル
(108)が固定されており、このコイル(108)が
永久磁石(107)の着磁方向と垂直に移動可能であ
る。
【0143】従って、コイル(108)に適当な電流を
供給すれば、コイル(108)と永久磁石(107)と
の電磁作用によってパスローラ(63)を任意位置へ回
動することができる。
【0144】図には、テープ引きアクチュエータ(6
1)を例示しているが、テープテンションアクチュエー
タ(62)も同様の構造とすることが好ましい。
【0145】図20にはアクチュエータのローラ位置セ
ンサの一例が示されている。図において、アクチュエー
タの回動軸(109)には鏡面部(109a)が設けら
れ、光源(110)からの光を鏡面(109a)にて反
射し受光器(111)にてこれを受光する。
【0146】前記光源(110)はレーザ発振器とコリ
メータとの組合わせ等から構成することが好適である。
【0147】従って、図20から明らかなように、アク
チュエータ回動軸の回動角度が受光器(111)によっ
て検出され、これによってローラ(63)の位置を知る
ことができる。
【0148】このような構成のテープアクチュエータの
トルク特性は、図6に示すように、変位角によらずほぼ
フラットで、また、図21のようにテープアクチュエー
タの(変位角)/(電圧)周波数特性は高域まで機械共
振がなく、制御性が非常に良好となる。
【0149】本発明では以上のような、ヘッドアクチュ
エータ(76)とテープアクチュエータ(61)とを共
通の制御系で制御してトラックエラー補正を行うわけだ
が、この2段結合制御の結合周波数(両アクチュエータ
による各々の制御ループのゲインが等しくなる周波数)
は以下のように決定される。広ダイナミックレンジが必
要な高速特殊再生時における機械的特性E(75)に起
因する非線形誤差によるトラックエラーの基本周波数
は、主にテープ引きアクチュエータ(61)の駆動パタ
ーン周波数によって決定される。テープ引きアクチュエ
ータ(61)は前述したように特殊再生時においてドラ
ム回転周波数に同期した周波数、例えばXHzの三角波信
号で駆動されるため、トラックエラーのXHz以下の低域
成分の振幅は大きくなり、よってこの成分は主に可動範
囲の広いテープ引きアクチュエータ(61)が補正する
ようにしなくてはならない。
【0150】以上の理由から本実施例においては、結合
周波数をXHz付近にとる構成にした。本実施例において
X=7.5Hz である。逆に言えばこのように共通周波数を
選べば、トラックエラーの高域周波数成分は主に高域追
従能力の高いヘッドアクチュエータ(76)に、低域周
波数成分は主に低域トルクが大きく低域追従能力が高い
テープ引きアクチュエータ(61)に分担させることが
できる。このように、2段結合制御系は、1つの制御目
標に対し、2つのアクチュエータが同時に追従し、目標
追従のための制御能力が2つに周波数分割された構成に
なるので結合周波数において各々のアクチュエータ制御
系の位相差が180 deg であると全体のゲインが−∞dBと
なる(反共振という)問題がある。本実施例において
は、テープ引きアクチュエータ(61)の動きをヘッド
アクチュエータ(76)の動きに追従させる構成とし、
さらに結合周波数での位相補償量を極配置によって決定
し系の安定化を図っている。
【0151】なお、図14に示した制御システムでは、
トラックエラー信号の直流成分あるいは低周波成分をテ
ープ引きアクチュエータ(61)のみが補正するので、
補正量が制約される場合がある。図22は低周波成分の
補正をテープ引きアクチュエータ(61)とキャプスタ
ンモータ(59)またはリールモータ(56)で分担し
た実施例である。図の制御システムでは、可動テープパ
スローラ(63)の位置を検知し、その基準位置(例え
ば可動範囲の中心点)からの誤差の直流成分をキャプス
タンモータ(59)もしくはリールモータ(56)にフ
ィードバックする構成となっている。こうすれば、2段
結合系の2つのアクチュエータ(76)、(61)はそ
れらのの可動範囲内で常に動作することになる。
【0152】DTF 制御の動作 以上本発明のDTF 制御の原理について述べたが、次に動
作について図14のDTF 制御系を書き直した図23のブ
ロックダイヤグラムを参照しながら述べる。
【0153】図23は本発明の実施例におけるDTF 制御
を伝達関数で表示したブロック図であり、sはラプラス
演算子である。
【0154】図において、(120)はトラックエラー
信号を低域周波数成分と高域周波数成分に帯域分離する
手段を表す伝達関数であり、高域成分はDTF 制御系へ、
低域成分はキャプスタンモータ(59)またはリールモ
ータ(56)へフィードバックされる。符号(86)は
補償フィルタを表す伝達関数でありf1 (s)=1/
(1+T1 S)で表される一次のローパスフィルタから
なる。符号(121)はDTF 制御のサーボゲインを調整
するアンプゲインを表す伝達関数である。ヘッドアクチ
ュエータ(76)は(入力電圧)/(変位)特性を表す
伝達関数で示され、KHzはトルク定数、RH はコイル抵
抗、mH は可動部質量、CH は粘性係数、RH は弾性係
数を示す伝達係数である。(87)はヘッドアクチュエ
ータ(76)の周波数特性を電気的に模擬したフィルタ
の伝達関数であってアクチュエータ(76)の等価回路
を表す。(88)は補償器を示す伝達関数であり、 f2 (s)=(1+n2 2 S)/(1+T2 S) で表されるリード・ラグフィルタである。(122)は
アンプゲインを示す伝達係数である。テープ引きアクチ
ュエータ(61)は(入力電圧)/(変位角度)特性を
表す伝達関数で示され、KHzはトルク定数、RT はコイ
ル抵抗、JT は回動部イナーシャ、CT は回動部の粘性
係数を示す。(75)は図10で示したテープ引きアク
チュエータ(61)の変位角と記録トラック幅方向の変
位量との関係を示す回動角βに関する非線形関数であ
り、回動角が限定された狭い範囲例えばアクチュエータ
(76)の変位角と記録トラック幅方向のβ0 付近で使
用する場合、f3 (β)={df3 (β0 )}/dβ=co
nstantと近似可能である。ポジションセンサ(66)は
(電圧)/(変位角度)特性を表すセンサゲインを示す
伝達係数で表される。(124)はテープ引きアクチュ
エータ(61)を電気的に位置固定するためのポジショ
ン制御ループを安定化するための補償フィルタを表す伝
達関数であり、f4 (s)=(1+n4 4 S)/(1
+T4 S)で表されるリード・ラグフィルタである。
(125)は上記ポジション制御ループのループゲイン
を決めるアンプのアンプゲインを表す伝達係数である。
【0155】DTF 制御の動作 磁気ヘッドの再生信号からパイロット方式等によって得
られたトラックエラー信号は、カットオフ周波数が数Hz
のローパスフィルタ(120)を通って、その低域成分
がキャプスタンモータ(59)またはリールモータ(5
6)へフィードバックされる。また、同時にトラックエ
ラー信号は数Hzの低域カットオフ周波数をもった一次遅
れフィルタからなる補償器(86)によって位相補償さ
れ、増幅器(121)によって増幅され、ヘッドアクチ
ュエータ(76)のドライブアンプ(図示しない)に供
給され、ヘッドアクチュエータ(76)をドライブす
る。この結果、磁気ヘッド(52)が移動され、第1の
制御ループが閉じている。また増幅器(121)の出力
はヘッドアクチュエータ(76)の(入力電圧)/(変
位)特性を電気的に模擬したフィルタ、ここではカット
オフ周波数がヘッドアクチュエータ(76)の一次共振
周波数となる2次遅れフィルタであるヘッドアクチュエ
ータ等価回路(87)に入力される。その出力信号は、
第1の制御ループを含む2段制御ループが安定になるよ
うに、補償器(88)へ送られる。
【0156】例えばこの信号は図24に示すように制御
系の極がすべて負のリアル軸領域に配置されるように
(収束ポールポジッショニング)、伝達係数T2 及びn
2 を定められたフィルタ、f2 (s)=(1+n2 2
S)/(1+T2 S)からなる補償器(88)に送られ
る。補償器(88)の出力は前述した第1のループとX
Hzで結合するようなゲインに増幅器(122)によって
増幅される。そして、この出力はテープ引きアクチュエ
ータ(61)の位置制御ループの加算器(123)、特
殊再生用信号加算器(89)を介してドライブアンプ
(図示しない)に供給され、テープ引きアクチュエータ
(61)をドライブする。この結果、図14で示した機
械的特性E(75)を介して磁気テープ(50)が送行
方向に移動されトラックエラーが補正されるように第2
の制御ループが閉じていることが理解される。
【0157】以上の2つの電気的に結合された2段階結
合制御ループによって、高精度広帯域かつ広ダイナミッ
クレンジなDTF 制御が実現される。そのオープンループ
特性を図25に示す。
【0158】図23のシステムにおいては、トラックエ
ラーの直流成分の一部をテープ引きアクチュエータ(6
1)が補正する構成になっている。そして、テープ引き
アクチュエータ(61)の可動範囲が限られているた
め、トラックエラーの直流成分の残りはキャプスタンモ
ータ(59)もしくはリールモータ(56)にフィード
バックされている。もちろん、その際のサーボゲインは
テープ引きアクチュエータ(61)のみの2段結合制御
系よりもハイゲインになるように構成される。
【0159】こうすれば2段結合制御系の2つのアクチ
ュエータ(76)、(61)は、直流成分の補正をほと
んどしなくてすむため常に可動範囲内で動作する。
【0160】しかしながら、本装置によれば、トラック
エラーの低域成分をテープ引きアクチュエータ(61)
にフィードバックして磁気テープ(50)を走行方向に
移動させてDTF 制御を行うため、原理的にテンション変
動が生じる。そこで、図14に示すようにテープ引きア
クチュエータ(61)のドライブ電圧をテープテンショ
ンアクチュエータ(62)にも加える。これによってい
かなるモード(例えば通常再生モードや高速特殊再生モ
ード)においても2つのテープアクチュエータ(6
1)、(62)が差動動作するように構成している。こ
れは、すなわちテープ引きアクチュエータ(61)のト
ラッキング動作に起因するテンション変動を抑圧するた
めである。しかし2つのテープアクチュエータ(6
1)、(62)の電気−機械特性及び各ローラ、ガイド
ピン配置が完全に等しい場合には正しい抑圧ができる
が、実際は種々の電気的、及び機械的なバラツキによっ
て2つのテープアクチュエータ(61)、(62)に等
しい電圧を加えたとしても一般的には全く同じように動
作させることは不可能である。よって実際にはテンショ
ン変動が生じる。本装置ではこの後に詳細に説明を行う
クローズドループによるテンション制御方式によって上
記テンション変動を補正し、いかなるモードにおいても
最適テンション値に制御する。
【0161】テンション制御動作 次にテンション制御の動作について説明する。
【0162】従来のテンション制御においては、図84
のテンション制御アーム(21)がバネ(22)の力と
テープのテンションとでつり合う事により、テンション
制御アーム(21)の変位量がテンションに相当すると
して、この変位量を検出テンション値としてリールモー
タ(6)にフィードバックしている。
【0163】しかし厳密に言うと、バネ支持されたテン
ション制御アーム(21)の変位がテープテンションに
比例するのは、バネ支持されたテンション制御アーム
(21)のバネ共振周波数までで、バネ共振周波数を超
えると、テンション制御アーム(21)に加わるテンシ
ョン変動と、テンション制御アーム(21)の位置変動
の位相がずれてくる。実際にはバネ共振周波数において
90度、さらに高い周波数では180 度ずれる。このため従
来のテンション制御は、テンション制御アーム(21)
を含むバネ支持系の位相シフトにより制御帯域が制限さ
れていた。これは、すなわち、テンション制御アーム
(21)で検出できるテンションが、テンション制御ア
ーム(21)を含むバネ支持系のバネ共振周波数以下で
あることを示している。もちろんこのバネ共振周波数を
上げるためにテンション制御アームを軽くしたり、バネ
定数を強くしたりすることが考えられる。しかしなが
ら、テンション制御アームを軽くするには限界があり、
また、バネ定数を大きくすると、テンション変動があっ
ても、テンション制御アーム(21)があまり動かなく
なるため、検出精度が劣化する。
【0164】そこで、本実施例ではテンション制御アー
ムを機械的なバネ支持をせず、電気的に位置制御をかけ
ることによって、いわば電気的なバネ支持をした。ま
た、電気的な位置制御の制御帯域と無関係にテンション
を広帯域に検出可能とし、この結果、テンション制御も
高精度に行った。この方法を図26に示した。
【0165】図26はこのテンション制御方式を示すブ
ロック図である。図において、(126)は(発生トル
ク)/(入力電圧)特性を示すテンションアクチュエー
タ(62)の電気的特性である。(127)は(変位角
度)/(供給トルク)特性を示すテンションアクチュエ
ータ(62)の機械特性である。(128)はテンショ
ンアクチュエータ(62)のアーム(70)のうで長さ
やテンションローラ(69)と固定テープパスローラ
(73)、(74)との幾何学的位置関係及び磁気テー
プ(50)の長さ方向の(応力)/(ひずみ)特性及び
磁気テープ(50)の断面積等の諸特性によって定まる
テーア機械特性Fである。(129)は固定テープパス
ローラ(73)、(74)とテンションローラ(69)
との幾何学的位置関係及び磁気テープ(50)とテンシ
ョンローラ(69)との力のつりあい及びテンションロ
ーラ(69)とテンションアクチュエータ駆動部(7
1)の回動軸との幾何学的位置関係等の諸特性によって
定まる走行パス機械特性である。
【0166】(130)はテンションアクチュエータ
(62)を基準位置に電気的に固定するための位置制御
回路である。(131)はテープテンションアクチュエ
ータ(62)を駆動するためのドライバである。(13
2)はテープテンションアクチュエータ(62)に入力
される駆動電圧もしくは駆動電流とポジショセンサ(7
2)からの検出変位量よりテープテンションを電気的に
推定するテンション推定器である。(133)及び(1
34)はテンション推定器(132)からの推定テンシ
ョン値と基準テンション値との差出力、すなわち外乱テ
ンション量をループが安定になるようにテンションアク
チュエータ(62)及び供給リールモータ(55)にフ
ィードバックするための補償回路である。(135)は
供給リールモータ(55)を駆動するためのドライバで
ある。
【0167】(136)はリールモータ(55)の回転
角度変化がおよぼすテープテンション変動特性を表すテ
ープ機械特性Gである。(137)はテンション推定器
(132)からの推定テンション値と基準テンション値
との差をとる減算器である。(138)はポジション制
御回路(130)からの位置制御信号と補償回路(13
3)からのテンション制御信号とを加算する加算器であ
る。
【0168】図26において、テンションアクチュエー
タ(62)の角度変化によるテンション値変動とリール
モータ(55)の回転角変化によるテンション変動との
合計したものに、テンション外乱(テープが受ける軸及
びドラムからの動摩擦や、テープの摩擦係数変動によっ
て発生するもの、及び外部からのテープ長さ方向の外乱
力)を加えたものがトータルの磁気テープ走行系のテン
ションとなる。従って、このテンションに基づいて、テ
ープテンションアクチュエータ(62)が変位される。
【0169】テープテンションアクチュエータ駆動部
(71)の磁気回路は既に図17で示したが、以下に更
に詳しく説明する。可動コイル(108)の回動面と垂
直な方向に着磁され、可動コイル(108)の回動アー
ク方向に対して着磁方向が逆に2分割された永久磁石
(107)とヨーク(106)によって磁気回路が閉じ
ている。従って可動コイル(108)の回動面と垂直な
方向に高磁束密度が得られる。この可動コイル(10
8)に電流を流すと図18の(108a)、(108
b)で示した部分に生じたフレミングの左手の法則によ
る力によって可動コイル(108)は回動する。さらに
アーム(70)あるいはテンションローラ(69)の変
位量を計測するために、前述した図20のような光学的
な位置センサが設けられている。
【0170】この図20で示した構成は、テンション変
動基本波が高周波でかつ広ダイナミックレンジな場合に
好適である。テンション変動基本波が比較的低周波でか
つ振幅が小さい場合は発光部(110)をより安価なLE
D にしたり、受光部(111)をより安価な2分割検知
器にしたりしてもよいことはいうまでもない。また、図
27、28に示すようにより安価な磁気的手段によって
位置を検知してもよい。
【0171】図27において、励磁コイル(108)と
一体にホール素子(140)がアームに設けられ、図1
2に示した永久磁石(107)と協働してテンションロ
ーラ(63)の回動位置を電気的に検出することができ
る。
【0172】また、図28においては、前記駆動コイル
(108)には回動軸(109)の反対側でホール素子
(141)が設けられ、位置検出用に固定された永久磁
石(142)と前記ホール素子(141)とが協働して
テンションローラ(63)の位置を電気的に検出するこ
とができる。
【0173】以上のような構成によってテープテンショ
ンアクチュエータ(62)は電磁力により駆動されかつ
自身の変位量を検出することができる。
【0174】本発明の実施例では、上記テンションアク
チュエータ(62)の伝達特性(駆動電流/変位)を電
気的に内含する(現代制御理論)同一次元オブザーバを
構成する(以下テンション推定器と称する)ことによ
り、上記テンションアクチュエータ(62)に加わるテ
ープテンションを従来の図81に示すような機械式テン
ション検出機構に比べ十分広帯域に検出することが可能
となる。
【0175】以上の原理をさらに詳しく説明する。上記
テンション推定器(132)の伝達関数が図29に示さ
れる。
【0176】図29は図26のテンション制御装置のブ
ロック図を制御理論の伝達関数に直したものであり、s
はラプラス演算子である。
【0177】(126)はテンションアクチュエータ
(62)におけるコイル抵抗Rと電磁駆動部の力定数K
τとを含む伝達関数、(127)はテンションアクチュ
エータ(62)の可動部イナーシャJ粘性係数Cを含む
伝達関数、(128)はテンションアクチュエータ(6
2)の回転角変動に対するテープテンション変動の伝達
特性を示す伝達関数、(131)はテープテンションが
テンションアクチュエータ(62)に与えるトルクの伝
達特性を示す伝達関数である。
【0178】(130a)はテンションアクチュエータ
を基準位置に電気的に固定するためのポジション制御ル
ープの位置センサ(72)からの位置信号と基準位置信
号PN との差である位置誤差信号を補償するための補償
回路である位相進みフィルタ、(130b)はポジショ
ン制御フィードバックループのループゲインを定めるア
ンプゲインである。(133a)はテンション制御系に
おける制御帯域内の比較的高い周波数成分をテンション
アクチュエータ(62)にフィードバックするための補
償回路(133)の1部であるハイパスフィルタ、(1
33b)はテンションアクチュエータ(62)に対する
フィードバックループのループゲインを定めるためのア
ンプゲインである。(134a)は上記テンション制御
系における制御帯域内の比較的低い周波数成分を供給リ
ールモータ(55)にフィードバックするための補償回
路の1部であるローパスフィルタ、(134b)はリー
ルモータ(55)に対するフィードバックループのルー
プゲインを定めるためのアンプゲインである。(55
a)はリールモータ(55)のコイル抵抗RL とトルク
定数KLZとを含む伝達係数、(55b)はリールモータ
(55)の回転イナーシャJL を含む伝達関数である。
(136)はリールモータ(55)の角度変化がテープ
テンションに及ぼす影響を表す(テープテンション)/
(角度)特性を示す伝達関数である。
【0179】(150)は上記伝達関数(126)を電
気的に模擬した伝達関数、(151)は伝達関数(15
2)と共に制御論理の等価変換により上記伝達関数(1
27)を電気的に模擬した伝達関数である。(153)
及び(154)はテープテンションアクチュエータ(6
2)の特性を電気的に模擬した伝達関数(150)、
(151)、(152)の動特性を実際のテンションア
クチュエータ(62)と一致させるためにポジションセ
ンサ(72)の出力と伝達関数(150)、(15
1)、(152)の出力との差が零に収束するようにフ
ィードバックされたオブザーバ(テンション制御系)の
フィードバックゲインである。(155)は伝達関数
(131)の逆特性で表される伝達関数である。
【0180】図29において、テンションアクチュエー
タ(62)に入力される駆動電圧を、コイル抵抗R、力
定数Kτを模擬したブロック(150)に入力すると、
テンション推定器(132)内の出力b´は実際のテン
ション制御機構の駆動力bを推定した値となっている。
伝達関数(151)及び(152)をまとめると
【数2】 となる。伝達関数(151)及び(152)はテンショ
ンアクチュエータ(62)の機械特性伝達関数(12
7)を模擬しており、伝達関数(150)の出力である
b´を入力すると(152)の出力であるd´はテンシ
ョンアクチュエータ機構部(127)の回転角dを推定
した値となるはずである。しかし伝達関数(151)及
び(152)は内部に積分器をもっており、周波数特性
上ではテンションアクチュエータ(62)内の伝達関数
(127)の特性と同じであっても、動特性が、上記積
分器の初期値の違い等によって同じにならない。そこで
ポジションセンサ(72)で検出した実際の変位量d″
とテンション推定器(132)内の推定値d´との差e
をゲインF1 及びF2 でフィードバックして、周波数特
性のみならず、動特性も実際のテンションアクチュエー
タ(62)に一致するように構成した。
【0181】以上の構成は、現代制御理論の同一次元オ
ブザーバの構成としてよく知られている。テンションア
クチュエータ(62)のモデルにおける積分器(ラプラ
ス変換における1/S)を含む伝達関数(151)と
(152)の入力にそれぞれF1 、F2 のゲインのルー
プでフィードバックしているのは、オブザーバの収束性
を自由に決定するためである。一般的に、制御対象の駆
動電圧と変位を入力とする同一次元オブザーバは、その
内部の推定速度を求めるために使用される。制御対象に
オブザーバの動特性及び静特性(周波数特性)が適合し
た状態において、同一次元オブザーバのフィードバック
ゲインF1 、F2 を、制御対象の極を示す図30の(1
56)に比べてオブザーバの極(157)が十分大きく
(負の実数の値が大きく)なるように、ハイゲイン(F
1 、F2 の値を大きく)にすると、テンションを推定で
きる。この時、動特性が一致しているため変位出力であ
るd´は d´≒d …(2) が成立する。
【0182】図30は本制御系の極配置を示す図で、
(156)はテンションアクチュエータ(62)の極、
(158)は本制御系の位置制御フィードバックループ
の極、(159)は本制御系のリールモータ(55)へ
のフィードバックループの極、(160)は本制御系に
おけるテンションアクチュエータ(62)へのフィード
バックループの極、(157)はテンション推定オブザ
ーバの極であり、横軸は実数値、縦軸は虚数軸を示す。
【0183】また伝達関数及びそのモデル(150)に
は積分器が含まれないため駆動力b´は b´≒b …(3) が成立している。また制御対象と、オブザーバ内モデル
の動特性が一致していることから、変位のみならず、速
度及び加速度も一致しており、このことより加速度をM
倍した値であるテンションアクチュエータ(62)のア
ームに加わる力c´も c´≒c …(4) が成立する。
【0184】もともとのテンションアクチュエータ(6
2)においては、駆動力bにテンションによるトルクa
を加えるとテンションローラ(69)に加わるトルクc
と成る b+a=c …(5) が成立しているため式(2)〜式(5)より b´+a=c´ …(6) となりb´−c´=a すなわち a´=a …(7) となる。このことは、オブザーバ内の信号経路a´はテ
ンションによるトルクを表していることとなり、これを
取り出すことにより、テンションによるトルクを検出す
ることができる。
【0185】テープテンションと、テープテンションが
テンションアクチュエータ機構部に与えるトルクとの関
係は図31、及び図32に示すようになる。
【0186】図31はテンションローラ(69)と磁気
テープ(50)との力のつりあいを示す概略図であり、
図中K1 は磁気テープ(50)の長手方向の縦弾性係
数、C1 は磁気テープ(50)の粘性係数を示す。また
N はテンション値、TG は外乱テンション値を示す。
【0187】図32はテンションローラ(69)と固定
テープパスローラ(73)、(74)との位置とアーム
(70)のうで長さの機械的位置関係を示す図である。
【0188】静的にみれば、図31に示すように、可動
テンションローラ(69)がテープ(50)から受けめ
る力は2(TN +TG )で与えられる。しかし、実際の
磁気テープ(50)は剛体ではなく、粘弾性体と考えら
れるので、テープテンション値も時間と場所をパラメー
タとして変化する関数として考える必要がある。本発明
の実施例の場合、このようなテープの長さ方向の動特性
の影響をできる限り受けないように図1に示すようにテ
ンション制御したい回転磁気ヘッド(52)と実際に制
御する作用点であるテンションローラ(69)間のテー
プ長さを短くする構成をとっていることも特徴の1つで
ある。また実際のテンションローラ(69)と磁気テー
プ(50)との関係は図31のように180 °巻き付けで
かかっているのではなく図32のように180 °未満の巻
き付け角でかかっている。この巻き付け角を180 °−2
θ1 (θ1 は正の角度)とすると、テンションローラ
(69)にかかる力は2 cosθ1 (TN +TG )とな
る。また同図に示すようにテンションローラ(69)は
うで長さrのアーム(70)を介してアクチュエータ駆
動部(71)の回転軸に連結されているので、このテン
ションローラ(69)にテープテンションによってかか
るトルクは
【数3】 で表される。よって図29の外乱テンションを含むテー
プテンション値aa(=TN +TG )とテープテンショ
ンがアクチュエータ(62)に与えるトルクaとの関係
は a=2r cos θ1 aa …(9) で与えられる。逆に推定テープテンショントルクa´に
よるテープテンション推定値a´a´はa´に(13
1)のf8 の逆特性をかけてやれば良いので、
【数4】 となる。
【0189】以上のようにして、テンションを推定によ
って検出することができる。なお、テンション推定器
(132)のテンション推定能力はオブザーバがモデル
マッチングしているとき、2つのフィードバックゲイン
1 、F2 に依存し、
【数5】 となる。主にF1 は推定可能な周波数を定めF2 はオブ
ザーバループの安定性を定める。本実施例のテンション
推定器(132)のテンション推定能力を図33に示
す。この場合外乱推定能力は約1KHz 程度となってい
る。
【0190】推定したテンションaa´はテンションの
最適値である基準テンションTN と比較され、テンショ
ンエラーすなわち外乱テンションTG が検出される。外
乱テンションTG の高周波成分のみをハイパスフィルタ
(133a)によって取り出し、位相補償及び増幅を含
んだ伝達関数f5 でテンションアクチュエータ(62)
にフィードバックする。また同時に低域成分をローパス
フィルタ(134a)で取り出し、ゲインG6 で供給側
リールモータ(55)にフィードバックする。ここで以
上のように周波数帯域を分けたのは、一般的にテンショ
ンアクチュエータ2(62)はリールモータ(55)に
比べ機械的時定数が小さく高帯域な制御に向いている反
面、可動範囲が制限されており、直流近くの大きなテン
ション変動の制御ができないからである。この際の上記
伝達関数f5 (S)及びf6 (S)は図30の極配置に
おいて例えばテンションアクチュエータ(62)へのテ
ンション制御ループ極(160)、リールモータ(5
5)へのテンション制御ループ極(159)がオブザー
バの極(157)よりも原点に近い位置になるように選
ばれる。
【0191】またこの時の推定外乱量の過渡的な挙動は
図34のようになり、一定時間後に実際のテンション値
(Tr)と推定値(Tp)とが一致する。
【0192】図34はテンション推定器(132)の推
定テンション量(Tr)と実際のテープテンション変動
(Tp)とを、テンション推定器(132)の動作開始
からの過渡特性を見たもので、横軸は時間、縦軸はテン
ション力を示す。
【0193】図35は本テンション制御系のオープンル
ープ特性図であり、図35(a)は縦軸がゲイン、横軸
が周波数、図35(b)は縦軸が位相、横軸が周波数を
示す。
【0194】以上、本発明の実施例に係るテンション制
御の原理及び説明を行った。
【0195】以上のようなテンション外乱を推定する方
法を用いてテンション制御すると、推定テンションが従
来のテンション制御機構におけるテンション制御アーム
の変位量で代用するよりも、はるかに高い周波数まで正
確に検出していることになるため、極めて広帯域なテン
ション制御が実現できる。
【0196】また、このようなテンション制御は、単純
な1入力1出力のフィードバックループと異なり、ルー
プが複雑にからみあっているため演算量が多い。もちろ
んオフセットやドリフトの少ないオペアンプ等を用いて
積分器、アンプ、加減算器をアナログ回路で構成するこ
とも可能であるが、オフセットやドリフトの少ないオペ
アンプが高価であることや、回路規模が大きくなること
からマイクロコンピュータ等でディジタル的に演算する
方が望ましい。
【0197】そこで図29の制御システムをマイクロコ
ンピュータで構成した場合、ハードウェア構成は図36
のようになり、きわめて少ないハードウェアで実現でき
る。図36において(161)はセンサーアンプ、(1
62)はセンサーアンプ(161)からのアナログ信号
をディジタル信号に変換するためのアナログ/ディジタ
ル変換器、(163)は図29の伝達関数に基づいてテ
ンション推定や補償をディジタル的に行うマイクロコン
ピュータ等で実現される高速演算回路である。(16
4)はテンション制御機構の駆動電流を電圧として取り
出すための電流/電圧変換回路、(165)は電流/電
圧変換回路(164)のアナログ出力をディジタル信号
に変換するためのアナログ/ディジタル変換器である。
(166)、(167)は高速演算回路にて演算された
結果をアナログ出力に変換するためのディジタル/アナ
ログ変換器である。
【0198】図36で示した構成において、高速演算回
路(163)でのディジタル演算において演算されるテ
ンション推定のアルゴリズムを示すフローチャートの一
例を図37に示す。なお、図37で示した積分要素Σは
図38のブロック図の構成でもって実現される。
【0199】以上説明したように上記実施例によれば、
テンションアクチュエータ(62)によりテンション変
動の高周波領域を抑圧し、リールモータ(55)により
テンション変動の低周波領域を抑圧するのでテンション
制御精度が向上し、高精度広帯域かつ広ダイナミックレ
ンジなテンション制御系が実現できる。
【0200】このように、本発明では、図14に示すよ
うに2段結合制御方式によるDTF 制動と外乱オブザーバ
を用いたテンション制御を用いて、各々の制御系を高精
度広帯域かつ広ダイナミックレンジ化しているので、通
常再生モード時だけでなく高速特殊再生モード時におい
ても良好な再生が可能である。
【0201】なお、上記実施例においては、テンション
アクチュエータ(62)はVTR デッキの表側(回転ドラ
ムがある側)に設置されている例を示したが、デッキサ
イズの制約等を考慮して、図39に示すようにデッキの
裏面に設置しても良い。またテンションアクチュエータ
(62)の磁気回路をデッキ内蔵にして、コンパクトな
構成にしても同様の効果が得られる。
【0202】次に、この発明の主要部となる磁気テープ
(50)の速度がヘッドアクチュエータ(76)によっ
て補正不可能な高速特殊再生時の動作について説明す
る。
【0203】磁気テープ(50)の速度がヘッドアクチ
ュエータ(76)によって補正不可能な高速度で動作し
ている場合、従来の装置では、ノイズバーが再生画面に
生じる、もしくはモザイク画面となっていた。そこで、
テープ引きアクチュエータ(61)及びテープテンショ
ンアクチュエータ(62)を、前述した原理に従って動
作させることにより、回転ドラム(51)上での磁気テ
ープ(50)の速度をヘッドアクチュエータ(76)が
補正可能な速度の領域まで、例えば通常再生速度まで間
欠的に落とす。磁気テープ速度がヘッドアクチュエータ
(76)の補正可能な速度の領域になっている期間、す
なわち、原理説明で前述した再生可能期間T´の間、例
えば図10の機械特性によって速度が変動し、トラック
エラーパターンがヘッドアクチュエータ(76)の補正
可能領域を超える最悪の場合においても、前述した本発
明の2段結合によるDTF 制御方式によってトラックエラ
ーの補正が可能となる。
【0204】こうすることによって、再生可能期間T´
においては、トラックずれによるノイズのない良好な再
生画面が得られる。なお、再生可能な期間T´において
は、少なくとも1画面を再生可能な期間、すなわちm0
/f(m0 は2以上の整数)(秒)以上となっているこ
とは原理説明で既に述べたとおりである。また、テープ
アクチュエータ(61)、(62)を駆動するための特
殊再生用信号を出力するのが特殊再生用信号発生器(図
示しない)である。ここでは例えばキャプスタンFG信
号等のキャプスタン部でのテープ速度情報とドラムPG
信号を入力して、この2つの入力信号から原理説明で述
べた原理に基づいて、図7に示した速度パターンになる
ように、ディジタル的にテープアクチュエータ(6
1)、(62)を動作させる駆動電圧パターンを出力す
る。この特殊再生用信号発生器のハード構成は簡単なデ
ィジタル回路にて実現できるがここではその説明は省略
する。
【0205】また、再生可能期間T´以外の期間では、
再生画像が得られないため、1サイクル周期毎に再生可
能期間T´で再生した良好な画面を画像メモリに記憶し
ておき、再生可能期間T´以外の期間中、記憶した画像
を出力し続ければ良い。このようにすれば、飛ばし見
的、紙芝居的ではあるが、従来のサーボシステムではノ
イズレス高速再生不可能であったテープ速度において
も、ノイズのない良好な再生画面が連続的に得られるこ
とになる。また、前述したようにテープテンションアク
チュエータ(62)は、クローズドループにより、従来
の機械式のものより広帯域なテープテンションサーボで
常に動作し続けている。従って、どのような状態におい
ても磁気テープ(50)が最適なテープテンションに保
たれているのはいうまでもない。その効果もあって、こ
の発明の磁気再生装置は、低速から高速まで広いテープ
速度範囲において良好な再生画像を得ることが可能とな
る。
【0206】第2実施例 次に、本発明の第2の実施例について説明する。
【0207】図40は本発明の第2の実施例を示すDTF
制御系のブロック図である。本発明の第1の実施例と異
なる点はテープ引きアクチュエータ(61)に、本発明
の第1の実施例でテンション検出に使用した現代制御理
論の外乱オブザーバで構成されるテンション推定器(1
32)と同じものを設けた所である。
【0208】この外乱オブザーバをテープ引きアクチュ
エータ外乱推定器(170)とする。この外乱推定器
(170)の原理・構成は図41に示すように、第1の
実施例でのテンション推定器(132)と全く同じであ
るのでその説明を省略する。
【0209】テープ引きアクチュエータ外乱推定器(1
70)の出力であるアクチュエータ駆動部(65)に加
わる推定外乱トルクは、その外乱トルクが打ち消される
ように回路(171)でテープ引きアクチュエータ電気
特性KT τ/RT の逆特性回路(149)で(R´T
/(K´T τ)倍されて正帰還される。その時の外乱抑
圧特性は図42に示すようになる。
【0210】このようにテープ引きアクチュエータ(6
1)に外乱を打ち消すように新たに外乱抑圧ループを構
成すると、VTR デッキが例えば車載されて揺すられる場
合等の外部からの外乱に対して、外乱抑圧ループの抑圧
制御帯域までの外乱(図42の例では約1KHz )に対し
てはテープ引きアクチュエータ(61)はあたかも外乱
がないかのように位置固定される。テープ引きアクチュ
エータ(61)はヘッドアクチュエータ(76)に比
べ、可動部質量も大きく、また外乱を受けやすい片持ち
アーム方式であり、かつバネ支持されていないので、外
部外乱に対して弱い系であるので、この方式は特に有効
である。
【0211】このように制御系を構成すれば、デッキが
揺すられるといった突発的な外乱に対してもテープアク
チュエータ(61)は振れることがなくなるのでDTF 制
御が常に安定に動作する。
【0212】以上のように、この発明によればトラック
エラー補正手段を新にドラム外のテープ走行経路中の可
動ローラとして設けられている。また、DTF 制御方式を
高精度広帯域でかつ広ダイナミックレンジな2段結合方
式で行っている。更にテンション検知を外乱オブザーバ
によって行い高精度広帯域かつ広ダイナミックレンジな
テンション制御を構成している。従って、通常再生にお
いて良好な再生が可能なだけでなく、広範囲の異速度再
生においても同様に良好な再生が可能なシステムが得ら
れる利点がある。
【0213】第3実施例 前述した各実施例において、テープ引きアクチュエータ
とテープテンションアクチュエータによって、磁気ヘッ
ドのDTF 制御を補助し、あるいは高速ノイズレス再生動
作を行うことが理解されたが、本発明は、前記テープテ
ンションアクチュエータのみを用いて最適なテンション
制御を行うことができ、以下にこのテープテンション制
御の好適な第3実施例を説明する。
【0214】第3実施例においても、テープテンション
アクチュエータの構造は前記各実施例と同様であり、ま
たテンション制御も前記各実施例と同様に入力電圧と変
位の関係を推定した、フィードバック系を作ることによ
り広帯域でかつ高精度の制御が行われる。
【0215】テープテンションアクチュエータの構造 図43には前述した実施例におけるテープテンションア
クチュエータ(62)と同様の構成が示されている。
【0216】図において、テープ供給リール(200)
から巻き出されたテープ(201)は固定パスローラ
(202)、(203)を通って回転ドラム(204)
に導かれている。
【0217】テープテンションアクチュエータ(20
5)は揺動アーム(206)を含み、その一端に設けら
れたテンションローラ(207)が図の矢印方向に移動
してこれに接触するテープ(201)のテンションを任
意に調整することができる。
【0218】揺動アーム(206)の回転軸は符号(2
08)で示されており、またその他端には永久磁石(2
09)が接続されており、この永久磁石(209)の周
囲には励磁コイル(210)が固定配置されており、こ
の結果、励磁コイル(210)に所定の励磁電流を供給
することによって、永久磁石(209)は任意位置に移
動制御される。
【0219】図において、励磁コイル(210)はヨー
ク(211)に固定されており、このヨーク(211)
が外部への洩れ磁束を防ぐ磁気シールド効果も有する。
前記揺動アーム(206)はジンバルバネ(212)等
によって揺動自在に支持されている。
【0220】図において、このようなテンションアクチ
ュエータ(205)は模式的に示されているが、その具
体的な構造は、前述した図15、16、19と同様の構
成とすることができる。
【0221】図44には本実施例の他の変形例が示され
ている。この変形例は、永久磁石(209)にテンショ
ンアーム(212)が直接接続されていることであり、
テンションアーム(212)及びテンションローラ(2
07)は図示の如く直線運動をする。
【0222】本実施例においても、テンションローラ
(207)の位置は常に検出され、これを基準値あるい
は外乱推定出力と比較して所定のテンション制御が行わ
れる。図45は前記図43に示したテープテンションア
クチュエータ(205)の位置センサを示す。
【0223】位置センサ(214)はレーザダイオード
あるいはLEDなどからなる発光器(215)とフォト
ダイオードなどからなる二分割受光器(216)を含
む。
【0224】また、揺動アーム(206)には前記発光
器(215)からの光を反射する反射ミラー(217)
が設けられており、この反射光がレンズ(218)によ
って平行光に変換され受光器(216)に入射する。
【0225】従って、揺動アーム(206)の揺動によ
って、受光器(216)への入射光量あるいは位置が異
なり、これによってテンションローラ(207)の位置
を電気的に検出することができる。
【0226】図46は位置センサの他の実施例であり、
位置センサ(214)は発光器(219)、コリメータ
レンズ(220)そして受光器(221)を含み、これ
らの各部はホルダ(222)によって固定支持されてい
る。
【0227】一方、揺動アーム(206)には光遮蔽部
(207a)が設けられ、この光遮蔽部(207a)が
発受光器間をインタラプトすることによって電気的な位
置検出を行うことができる。
【0228】前記位置検出は磁気センサによっても可能
であり、図47にはこのような磁気的位置センサの一例
が示されている。
【0229】図において、揺動アーム(206)には永
久磁石(223)が固定されており、この磁石(22
3)近傍には2個のホール素子(224)、(225)
が固定され、両素子の出力を差動アンプ(226)によ
って比較することにより、所望の位置信号を得ることが
できる。
【0230】このような磁気的位置センサは図48に示
されるようにテンションアクチュエータ(205)に組
み込まれる。
【0231】すなわち、図のアクチュエータ(205)
は図44と同様であり、そのテンションアーム(21
3)に固定されたテンションローラ(207)の一部に
磁石(223)が固定される。
【0232】テンション制御系 以上のテープテンションアクチュエータ(205)及び
位置センサ(214)を用いてテンション制御を行う制
御系の一例が図49に示されており、前述した第1実施
例を示す図26と類似する。
【0233】本図において特徴的なことは、テンション
アクチュエータ(205)の入力電圧と位置センサ(2
14)から検出されるテンションローラ変位とによって
テンション外乱量を電気的に推定することであり、この
ために、外乱テンション推定器(230)が設けられて
いる。
【0234】本発明においてさらに特徴的なことは、前
記推定値と基準テンション値とが比較された後のテンシ
ョンエラーを高周波数成分と低周波数成分とに分け、前
者をテンションアクチュエータ(205)へ供給しまた
後者をテープ供給側リールモータへ供給することであ
る。
【0235】前記広域エラーは補償回路及びドライバ
(231)からテンションアクチュエータ(205)へ
供給され、また低域エラーは補償回路及びドライバ(2
32)からリールモータ(233)へ供給される。
【0236】また、前記テンションアクチュエータ(2
05)及びリールモータ(233)がエラー修正を行う
と、これらのテンション変動はそれぞれ特性回路(23
4)、(235)により置換され、これらの変動がテン
ションアクチュエータ(205)にフィードバックされ
る。
【0237】従って、図49において、テンションアク
チュエータ(205)の変位によりテンション変動と、
リールモータ(233)の変位によるテンション変動と
がまず加算され、次にこれらの加算値にテンション外乱
例えばテープがうける軸やドラムとの摩擦、テープの摩
擦係数の変動により発生する外乱を加え、テンションア
クチュエータ(205)にフィードバックされることが
理解される。すなわち、これらのフィードバック合計値
が磁気テープ走行系の全テンションを表すこととなり、
このようなすべての要素を考慮したテンションエラーに
よって本発明では広帯域高精度のテンション補正が可能
となる。
【0238】(236)はテンションアクチュエータ
(205)のコイル抵抗Rと電磁駆動部の力定数Kτ
を含む伝達係数、(237)はテンションアクチュエー
タ(205)のバネ定数k及び可動部質量Mを含む伝達
関数である。
【0239】(238)は上記伝達関数(236)を電
気的に模擬した伝達関数、(239)は伝達関数(24
0)、(241)と共にフィードバックループを構成
し、制御理論の等価変換により上記伝達関数(237)
を模擬した伝達関数である。(242)、(243)
は、テンションアクチュエータ(205)の特性を模擬
した伝達関数(238)〜(241)までの動特性を実
際のテンションアクチュエータ(205)と一致させる
ために、位置センサ(214)の出力と、伝達関数(2
36)〜(241)の出力との差がゼロに収束するよう
にフィードバックされたオブザーバ(テンション制御
系)のフィードバックゲインである。
【0240】(244)は本制御系における制御帯域内
の比較的高い周波数成分をテンションアクチュエータ
(205)にフィードバックするための補償回路の1部
であるハイパスフィルタ、(245)は上記帯域内の比
較的低い周波数成分をリールモータ(233)にフィー
ドバックするための補償回路の1部であるローパスフィ
ルタである。(246)はテンションアクチュエータ
(205)に対するフィードバックループのループゲイ
ンを定めるためのアンプゲインである。(247)はリ
ールモータ(233)に対するフィードバックループの
ループゲインを定めるためのアンプゲインである。(2
48)はリールモータ(233)のコイル抵抗RL とト
ルク定数Ktlを表す伝達関数、(249)はリールモー
タ(233)の回転イナーシャJを表す伝達関数であ
る。
【0241】第3実施例の動作 次に本発明の第3実施例の動作について説明する。従来
のテンション制御においては、図81のテンション制御
アーム(21)がバネ(22)の力とテープテンション
とがつり合うことを想定する。このため、テンション制
御アーム(21)の変位量がテンションに相当するとし
て、この変位量を検出テンションとしリールモータ(6
1)にフィードバックしている。
【0242】しかし厳密に言うと、バネ支持されたテン
ション制御アーム(21)の変位がテンションに比例す
るのは、バネ支持されたテンション制御アーム(21)
のバネ共振周波数までである。バネ共振周波数以上で
は、テンション制御アーム(21)に加わるテンション
変動と、テンション制御アーム(21)の位置変動の位
相がずれてくる。実際にはバネ共振周波数において90
度、さらに高い周波数では180 度ずれる。このため従来
のテンション制御は、テンション制御アーム(21)を
含むバネ支持系の位相回りにより制御帯域が制限されて
いた。これは、すなわち、テンション制御アーム(2
1)で検出できるテンションが、テンション制御アーム
(21)を含むバネ支持系のバネ共振周波数以下である
ことを示している。
【0243】もちろんこのバネ共振周波数を上げるため
に、テンション制御アームを軽くしたり、バネ定数を強
くしたりすることが考えられるが、テンション制御アー
ムを軽くするには限界があり、また、バネ定数を大きく
すると、テンション変動があっても、テンション制御ア
ーム(21)があまり動かなくなるため、検出精度が劣
化する。
【0244】本実施例では、テンション制御アームのバ
ネ共振周波数に無関係にテンションが広帯域に制御でき
ることを特徴とする。
【0245】本実施例は、上記テンションアクチュエー
タ(205)の伝達特性(駆動電流または入力電圧/変
位)を電気的に模擬した、現代制御理論で言う、同一次
元オブザーバを構成(以下テンション外乱推定器と称す
る)することを特徴とする。この結果、上記テンション
アクチュエータ(205)に加わるテープ走行系テンシ
ョンを、従来の図81のような機械式テンション検出機
構に比べて十分広帯域に検出することができる。
【0246】以上の原理をさらに詳しく説明する。上記
テンション外乱推定器の伝達関数は、図50に示されて
いる。図において、テンションアクチュエータ(20
5)に入力された駆動電圧を、コイル抵抗R、力定数K
t を模擬した回路に入力すると、テンション外乱推定器
(230)内のb´は、実際のテンション制御機構の駆
動力bを推定した値となる。フィードバックループを構
成している伝達関数(239)、(240)、(24
1)は制御理論により等価変換すると
【数6】 となるため、伝達関数(239)、(240)、(24
1)は、テンションアクチュエータ(205)の伝達関
数(237)を模擬することとなる。従って伝達関数
(238)の出力であるb´を入力すると、伝達関数
(239)、(240)、(241)を伝達した出力d
´は、テンションアクチュエータ(205)の出力dを
推定した値となるはずである。しかし伝達関数(23
9)、(240)、(241)は、内部に積分器を持っ
ており、周波数特性上ではテンションアクチュエータ
(205)の伝達関数(237)の特性と同じでも動特
性が上記積分器の初期値の違いにより同じにならない。
そこで位置センサ(214)で検出した実際の変位量
d″と、テンション外乱推定器(230)の推定変位量
d´との差eをゲインf1 及びf2 でフィードバックし
て、周波数特性のみならず、動特性も実際のテンション
アクチュエータ(205)に一致させた。
【0247】以上の構成は、現代制御理論の同一次元オ
ブザーバの構成としてよく知られている。テンションア
クチュエータ(205)のモデルにおける積分器(ラプ
ラス変換における1/S)を含む伝達関数(239)と
(240)の入力側にそれぞれf1 、f2 でフィードバ
ックしているのは、オブザーバの収束性を自由に決定す
るためである。一般的に、制御対象の駆動電圧と変位を
入力とする同一次元オブザーバは、その内部の推定速度
を取り出すために使用される。この同一次元オブザーバ
は、制御対象及び動特性(周波数特性)が一致した状態
において、オブザーバフィードバックゲインf1 、f2
を制御対象の極に比べてオブザーバの極が十分大きく
(負の実数の値が大きく)なるように、ハイゲイン(f
1 、f2 の値を大きく)にすると、テンション推定でき
る。この場合、動特性が一致しているため d´≒d …(21) が成立する。
【0248】前記極の関係は第1実施例の図30と同様
である。
【0249】また伝達関数(236)及びそのモデル
(238)には積分器が含まれないため駆動力b´は b´≒b …(22) が成立している。また制御対象と、オブザーバ内モデル
の動特性が一致していることから、変位のみならず、速
度及び加速度も一致しており、このことより加速度をM
倍した値であるテンションアクチュエータ(205)の
テンションローラに加わる力c´も c´≒c …(23) が成立する。
【0250】もともとのテンションアクチュエータ(2
05)においては、駆動力bにテンションによるトルク
aを加えるとテンションローラに加わる力cとなるの
で、 b+a=c …(24) 式(21)〜(24)より b´+a=c´ …(25) となり、 b´−c´=aすなわち a´=a …(26) となる。このことは、オブザーバ内の信号経路a´はテ
ンションを表していることとなり、これを取り出すこと
により、テンション機構のバネ共振等に無関係にテンシ
ョンを検出することができる。
【0251】推定したテンションa´は基準テンション
値と比較され、高周波成分のみを、バイパスフィルタ
(244)を介して取り出し、ゲインf3 でテンション
アクチュエータ(205)にフィードバックする。また
同時に低域成分をローパスフィルタ(245)で取り出
し、ゲインf4 で、リールモータ(233)にフィード
バックする。ここで以上のように周波数帯域を分けたの
は、一般的にテンションアクチュエータは、リールモー
タに比べ機械的時定数が小さく広帯域な制御に向いてい
る反面、可動範囲が制限されており、直流に近い制御値
となる大きなテンション変動の制御ができないからであ
る。
【0252】この際上記フィードバックゲインf3 、f
4 は、極配置において例えばテンションアクチュエータ
へのループの極、リールモータへのループの極がオブザ
ーバの極よりも虚軸に近い位置になるように選ばれる。
例えば実数部の値が1/10程度に選ばれる。この関係
も第1実施例の図30と同様である。
【0253】またこの時の推定外乱量の挙動も、前記し
た図34のようになり、一定時間後に実際のテンション
外乱と推定値が一致する。
【0254】以上、本発明の第3実施例に係るテンショ
ン制御の原理及び説明を行ったが、実際のテンションア
クチュエータには、図43のマグネット(209)、電
磁コイル(210)、ヨーク(211)等が、スペース
的またはコスト的に搭載できない場合もある。
【0255】本発明のテンション制御においては、この
ように電磁駆動装置でテンションローラを制御できない
場合においても、リールモータの制御のみで、従来のテ
ンション制御に比べて広帯域のテンション制御を行うこ
とが可能である。この時の一例を図51に示す。図51
は、図50におけるテンションアクチュエータの入力電
圧を常にゼロと置き換えたもので、テンション外乱推定
器(230)内においても同様である。
【0256】その動作は図50の場合と同じてあり、式
(20)〜式(26)において、b=0、b´=0としたこ
とに他ならない。この場合でもテンション外乱推定器
(230)内の信号経路a´はテンション外乱を推定し
ている。従って、これを基準テンションと比較した後、
ゲインf4 でリールモータ(233)にフィードバック
することにより磁気テープ走行系のテンション変動を、
従来のテンション機構に比べ広帯域に抑圧することが可
能である。
【0257】以上のようなテンション外乱を推定する方
法を用いてテンションをコントロールすると、推定テン
ションが、従来のテンション機構におけるテンション制
御アームの変位量で代用するよりも、はるかに高い周波
数まで正確に検出していることになる。このためきわめ
て広帯域なテンション制御が実現できる。
【0258】図50のテンション制御における制御系
は、オープンループ特性を、図25のようにすることが
可能である。すなわち、高周波領域にてテンション制御
機構のループをリールモータのループよりハイゲインに
して、20dB/ded とすることにより、位相回り量を制御
帯域内において90度までに抑えて、全体の安定性を確保
するようにすればリールモータループのゲインを低域で
確保することができる。
【0259】このようなテンション制御方式は、単純な
1入力1出力のフィードバックループと違い、演算が複
雑である。もちろんオフセットや、ドリフトの少ないオ
ペアンプ等を用いて積分器、アンプ、加減算器を構成し
アナログ回路で構成することも可能であるが、オフセッ
トやドリフトの少ないオペアンプが高価であることや、
回路規模が大きくなることからマイクロコンピュータ等
の演算で行う方が望ましい。そこで、図50の制御シス
テムをマイクロコンュータで構成した場合、ハードウェ
ア構成は第1実施例の図36のようになり、きわめて少
ないハードウェアで実現できる。
【0260】以上説明したように上記実施例によれば、
テンションアクチュエータによりテンション変動の高周
波領域を抑圧し、リールモータによりテンション変動の
低周波領域を抑圧するので、テンション制御精度が向上
する。
【0261】なお、本実施例のアクチュエータは圧電素
子等のセラミックアクチュエータや回転モータ、超音波
モータ等同等の性能が得られる。
【0262】以上のように、本発明によれば、テンショ
ン制御系によりテンションローラが磁気テープ走行系か
ら受けるテンションを推定し、この推定テンションが基
準テンションに一致するようにテンションアクチュエー
タとリールモータとのいずれか一方または両方に位置セ
ンサの出力信号に基づく駆動信号をフィードバックす
る。従って、テンション制御帯域が広くできるととも
に、テンション変動の抑圧量が大きく取れるようにな
り、テンション制御精度が向上する。これにより磁気ヘ
ッドの記録密度が高く、磁気ヘッドと磁気テープ間のス
ペーシングを常に一定に管理する必要がある。例えばデ
ィジタルVTR やハイビジョンVTR におけるテンション制
御には特に有効的であるという効果が得られる。
【0263】テープアクチュエータの構造 前述した各実施例に用いられるテープ引きアクチュエー
タあるいはテープテンションアクチュエータの具体的な
構造を以下に示す。
【0264】図53〜図56には位置センサが組み込ま
れたテープアクチュエータの具体的な構成が示されてい
る。VTR 基板(250)にはヨークホルダ(251)が
固定され、さらにこのホルダ(251)にはヨーク(2
52)が一体的に固定されている。前記ヨークホルダ
(251)には支軸(253)が植立され、この支軸
(253)に上下の軸受け(255)、(256)によ
ってローラアーム(257)が回動自在に軸支されてい
る。そして、このローラアーム(257)の先端にはテ
ープパスローラ(258)が回転自在に軸支され、図示
していない磁気テープとローラ(258)が接触して、
前述した如くテープに所定の引き/緩めあるいは所望の
テンション値を与えることができる。ローラ(258)
のローラ軸(259)はネジ(260)によって前記ア
ーム(257)にしっかりと固定され、またローラ(2
58)の高さ方向の調整は前記軸(259)に設けられ
たネジ(259a)によって行われている。
【0265】アーム(257)の他端に設けられたコイ
ルホルダ(261)には駆動コイル(262)が固定さ
れており、前記ヨークホルダ(251)に固定された磁
石(263)と協働して、前述した如くローラ(25
8)を軸(253)を中心として任意角度変位させるこ
とができる。
【0266】図において、アーム(257)の変位位置
を知るために、アーム(257)にはレーザダイオード
等の発光器(264)が設けられており、スリット板
(265)を通して絞られた光が図52の矢印のように
エミットされる。
【0267】前記照射された光線(266)は前記ヨー
ク(252)に固定された一次元型受光器(267)に
て受光され、アーム(257)の変位位置を電気的に検
出することができる。
【0268】図54から明らかなように、前記永久磁石
(63)はセクタ形状からなり、コイル(262)の回
動方向に沿って逆極性に2分割されている。
【0269】図55は前記発光器(264)及びスリッ
ト板(265)を示し、レーザダイオード等の発光素子
(268)から放射されたレーザ光はコリメータレンズ
(269)にて平行光線に変換される。そして、この平
行光線はスリット板(265)のスリット(265a)
から細長断面の光線(266)として放出される。
【0270】図56は一次元型受光器(267)の受光
面(267a)に照射されるスリット光(266)を示
し、図から明らかなように、スリット光(266)が図
の左右方向に移動することによって、ローラ(258)
の位置を知ることが可能となる。
【0271】なお、前記発光器としてはレーザダイオー
ドばかりでなくLEDを用いても良い。
【0272】図57には、前記図52と類似するアクチ
ュエータの他の実施例が示されている。図57におい
て、図52と同一部材には同一符号を付して説明を省略
する。
【0273】図57の実施例では、位置センサが光学的
ではなく、磁気的な素子が用いられている。
【0274】すなわち、アーム(257)の尾端(25
7a)にはホール素子(270)が固定されており、こ
のホール素子(270)と対向する基板側には磁石(2
71)が固定されている。従って、アーム(257)の
回動に従ってホール素子(270)と磁石(271)の
相対関係が変位し、これによってローラ(258)の位
置を電気的に検出することができる。図58にはさらに
他の位置センサの例が示されており、アーム(258)
の回動軸上に反射ミラー(272)が固定され、発光器
(273)から放射されたレーザ光がミラー(272)
によって反射され受光器(274)に受光され、アーム
(257)の回動角度が電気的に検出される。
【0275】図59は前述した図54と類似する永久磁
石(263)の他の例を示す。図から明らかなように、
磁石(263)は2個の台形を連結した構造からなる。
【0276】図60は前述した図52と類似した他の例
を示し、前記スリット板(265)及び受光器(26
7)が遮蔽板(275)によって光遮蔽され、外部から
の光ノイズの侵入を防いでいる。
【0277】さらに、図61、62はそれぞれホール素
子(276)と磁石(277)とを組合せた位置センサ
の他の例を示す。図61では、ホール素子(276)は
アーム(257)に固定されている。また図62ではホ
ール素子(267)はアーム(257)の尾端に設けら
れた突出部(257b)に設けられている。
【0278】テープアクチュエータが組み込まれたVTR
の構造 以上説明したように、本発明においては、回転ドラムの
入り側及び出側のいずれか少なくとも一方にテープテン
ションアクチュエータを配置し、DTF 制御、高速ノイズ
レス再生あるいはテープテンション制御を行うことがで
きる。
【0279】前述した各テープアクチュエータをディジ
タルVTR 等に組み込んだ好適な実施例を以下に説明す
る。
【0280】図63には回転ドラムの入り側及び出側に
それぞれテープテンションアクチュエータ及びテープ引
きアクチュエータが設けられたディジタルVTR の概略構
成が示されている。
【0281】VTR デッキの基板(300)にはテープカ
セット(301)が装着され、そのテープ(302)が
磁気ヘッド(303a)、(303b)を内蔵した回転
ドラム(304)にロードされる。
【0282】カセット(301)の供給側リール(30
5)及び巻取側リール(306)を駆動するため、カセ
ットデッキには供給側リールモータ(307)及び巻取
側リールモータ(308)が設けられている。
【0283】図63にはテープがロードされた状態を示
され、供給側リール(305)から巻き出されたテープ
(302)はガイド(309)、(310)から後述す
る固定ピン(311)、テンションローラ(312)、
固定ピン(313)そしてスラントピン(314)から
回転ドラム(304)に導かれる。
【0284】一方、回転ドラム(304)の出側では、
テープ(302)はスラントピン(315)、固定ピン
(316)、テープ引きローラ(317)、固定ピン
(318)を通ってキャプスタン(319)に導かれ
る。キャプスタン(319)にはピンチローラ(32
0)が圧接されており、テープ(302)はさらにガイ
ド(321)、(322)を介して前記巻取リール(3
06)に導かれている。
【0285】テープテンションアクチュエータは符号
(323)で示され、支軸(324)に揺動自在に支持
されたテンションアーム(325)の先端に前述したよ
うにテンションローラ(312)が支持されている。テ
ンションアクチュエータ(323)に内蔵された位置セ
ンサ(326)からの信号は前述したようにテンション
制御回路へ供給され、またリールモータ制御回路(32
7)から供給側リールモータ(307)へ制御信号を供
給している。
【0286】一方、テープ引きアクチュエータ(32
8)は支軸(329)で軸支された揺動アーム(33
0)を有し、このアーム(330)の先端に前記テープ
パルスローラ(317)が固定されている。アクチュエ
ータ(328)に内蔵された位置センサ(331)から
得られた信号はアクチュエータ制御回路及びキャプスタ
ン制御回路に供給されると共に、リールモータ制御回路
(332)へ供給され、巻取側リール(308)を制御
する。
【0287】以下、図63は通常の記録再生時、図6
4、65は両テープアクチュエータを差動的に動作させ
る特殊再生状態を示し、以下にこれらの動作を説明す
る。
【0288】通常の記録再生時には図57に示すよう
に、従来と同様のテープ走行経路が形成され、供給側リ
ール(305)から巻取側リール(306)に向って、
キャプスタン(319)により一定速度で磁気テープ
(302)は送られる。
【0289】テープアクチュエータ(328)の巻取側
可動テープパスローラ(317)は所定の位置に機械的
もしくは電気的に固定される。一方、テンションアクチ
ュエータ(323)のテンションローラ(312)は磁
気テープ(302)に一定の力で押し当てられる。同時
に、磁気テープ(302)のテンションが所望の値とな
るように、供給側リールモータ(307)が制御され、
その結果、テンションローラ(312)は所望のテンシ
ョンとなる位置で釣り合う。なお、上記釣合位置は位置
検出手段(326)によりテンションローラ(312)
の基準位置として検出される。図56に示したように、
発光部からの光を細長あるいは楕円光にすることによ
り、検出感度をあげ、かつ、テンションローラ(31
2)の回動方向と直角方向に対して光線(266)と受
光器(267)との相対位置関係をルーズにできる。磁
気テープ(302)の走行に伴ってリール巻径が変化す
ると、テンションは変化し、それに伴いテンションロー
ラ(312)の位置は上記基準位置からずれる。位置検
出手段(326)は上記移動量を検知しつつ、基準位置
に復帰するよう供給側リールモータ(307)を制御す
る。
【0290】また、外乱によってテンションが変化する
と、力の釣り合いがくずれて、テンションローラ(31
2)が基準位置から移動する。上記移動量も位置検出手
段(326)によって検知され、所定のテンションとな
るように、言い換えればテンションローラ(312)が
基準位置に戻るように、供給側リールモータ(307)
が制御される。
【0291】また、供給側リール(305)から巻取側
リール(306)への高速テープ送り時(早送り時)に
おいても、同様な方法にてテンションの制御が行われ
る。このとき上記記録再生時とは設定テンション値を換
えてもよい。
【0292】巻取側リール(306)から供給側リール
(305)への高速テープ送り時(巻戻し時)において
は、上記早送り時の供給側と巻取側を逆にしてテンショ
ンの制御が行われる。すなわち、テンションローラ(3
12)を所定の位置に固定するとともに、可動テープパ
スローラ(317)の所定位置からの移動量を位置検出
手段(331)によって検知し、巻取側リールモータ
(308)を制御してテンションを一定に保つ。
【0293】次に、磁気テープ(302)を記録時のテ
ープ送り速度から変化させた状態で特殊再生を行う場合
を説明する。
【0294】特殊再生時には、磁気ヘッド(303)自
身をトラック幅方向に移動させて磁気テープ(302)
上の記録トラックをトレースする方法と、上記磁気ヘッ
ド(303)自身を移動させると共に可動ローラ(31
2)、(317)を移動させる方法があり、テープ送り
速度によって切り替えられる。
【0295】磁気ヘッド移動のみの場合、磁気テープ
(302)を供給側リール(305)から巻取側リール
(306)に送る場合は、上記早送り時と同様にテンシ
ョンを制御し、磁気テープ(302)を巻取側リール
(306)から供給側リール(305)に送る場合は上
記巻戻し時と同様にテンションを制御する。
【0296】磁気ヘッド移動と可動テープパスローラ移
動の両方を行う場合には、図58と図59に示すよう
に、テンションローラ(312)と可動テープパスロー
ラ(317)とを、互いに連動して逆相に同距離移動さ
せる。
【0297】以上のようにして、本発明に係るテープア
クチュエータをディジタルVTR デッキに組み込んだ構造
が理解される。
【0298】本発明においては、両テープアクチュエー
タの可動パスローラ及びテンションローラが固定パスロ
ーラに対して移動するので、テープをその走行方向及び
高さ方向に対して正しく位置規制して回転ドラムのシリ
ンダ溝に送り込まなければならない。また、テープカセ
ットから磁気テープを引き出して記録再生のために回転
ドラムにロードするための高精度でかつ簡単な構造が望
まれる。
【0299】本発明においては、このような要求に答え
るため、新たなテープロード機構を提供し、その好適な
実施例が図66〜69に示されている。
【0300】図66は前述した図63の要部を再掲した
ものであり、同一部材には同一符号を付して説明を省略
する。
【0301】図66がテープロード後の記録再生状態を
示し、また図67はテープロード前のカセット挿入時を
示す。
【0302】入り側ガイド(310)、出側ガイド(3
21)そしてピンチローラ(320)は従来と同様にテ
ープロード前後において移動可能であり、この詳細は省
略する。
【0303】同様に、入り側固定テープパスローラ(3
11)、(313)及びスラントピン(314)もテー
プ(302)をカセットから引き出して回転ドラム(3
04)の入り側に導くためにテープロードの前後におい
て移動しなければならず、本発明において特徴的なこと
はこれらの両ローラ(311)、(313)及びスラン
トピン(314)が1個のテープローダ(340)に固
定されており一体的に移動することであり、これによっ
て、各テープガイドの位置決めを正しく行うことができ
る。
【0304】同様に、回転ドラム(304)の出側にお
いても、スラントピン(315)、固定テープパスロー
ラ(316)、(318)は1個の出側テープローダ
(341)に固定されており、一体にテープローディン
グを行うことができ、出側のテープ位置決めを正しく行
うことが可能である。
【0305】図には詳細に示していないが、入り側テー
プローダ(340)及び出側テープローダ(341)は
それぞれ、デッキベース(300)に設けられたガイド
溝(342)、(343)に導かれ、テープ(302)
を回転ドラム(304)に導き、またテープカセット
(301)のテープ(302)を引っ掛けるためにこれ
らのテープローダ(340)、(341)が上下方向に
移動可能である。
【0306】デッキ基板(302)は、さらにに入り側
キャッチ(344)、及び出側キャッチ(345)が設
けられ、それぞれ図63で示されるようにロード後にお
いて固定テープパスローラ(313)及び(316)を
正しく位置決め規制することができる。
【0307】図68にはテープ(302)の走行パスが
展開して示され、図はロード後の状態を示している。
【0308】図から明らかなように、回転ドラム(30
4)の入り側においては、テープテンションアクチュエ
ータのテンションローラ(312)に対してテープ(3
02)を正しく位置決めするため、固定パスローラ(3
11)、(313)及びスラントピン(314)が単一
の入り側テープローダ(340)で位置決めされている
ことが理解される。
【0309】同様に、回転ドラム(304)の出側にお
いても、出側テープローダ(341)がスライドピン
(315)、固定パスローラ(316)、(318)を
正しく位置決めしている。
【0310】さらに、本実施例において特徴的なこと
は、テープ(302)の幅方向を位置規制するため、入
り側及び出側において、固定パスローラ対がテープ(3
02)の上下端をフランジによって位置規制しているこ
とであり、これによって、テープ(302)は回転ドラ
ム(304)の所定シリンダ溝に正しく送り込まれ、こ
れによってトラッキングエラーの発生を減少させてい
る。
【0311】図69には出側テープローダ(341)の
拡大図が示されており、固定パスローラ(316)の上
側フランジ(316a)がテープの上側端を規制し、ま
た固定パスローラ(318)の下側フランジ(318
a)がテープ(302)の下側端を規制している。
【0312】従って、テープ(302)は上下方向を正
しく位置決めされた状態で走行パスを通過することがで
きる。
【0313】前記固定パスローラ(316)、(31
8)のフランジ位置を正しく定めるため、各ローラ(3
16)、(318)の固定部には高さ調整ネジ(316
b)、(318b)が設けられており、これによって、
組み立て時の高さ調整が行われる。
【0314】回転ドラム(304)の入り側における入
り側テープローダ(340)に設けられている固定パス
ローラ(311)、(313)も同様にテープ(30
2)の上下端を規制する。このために、図68に示され
るように、固定パスローラ(311)の下側フランジ
(311a)がテープ(302)の下端を規制し、同様
に固定パスローラ(313)の上側フランジ(313
a)がテープ(302)の上側端を規制する。このテー
プローラ(340)における各ローラ高さ調整は図69
に示した出側と同様に行われる。
【0315】以上説明したように、本発明に係るテープ
アクチュエータはディジタルVTR デッキに装着される。
【0316】しかしながら、前記実施例では、各アクチ
ュエータとテープローダとが共にデッキ基板の上側に装
着されるので、これらの部品を狭い空間内に配置するこ
とが困難となる場合がある。
【0317】従って、本発明では、各テープアクチュエ
ータとテープローダとを基板の上下に振り分けて配置す
ることが好適であり、これによってスペースユーティリ
ティを高めることができる。
【0318】図70〜74にはこのようなデッキベース
の両面に配置した本発明の好適な実施例が示されてい
る。
【0319】これらの図において、前述した図66の実
施例と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0320】図70はテープロードが完了した記録再生
状態を示し、また図71はテープカセット(301)が
デッキに挿入されてテープロード前の状態が示されてい
る。
【0321】まず、本実施例におけるテープアクチュエ
ータの構造を説明する。
【0322】図72は本実施例におけるテープテンショ
ンアクチュエータ(350)の好適な実施例が示されて
おり、テープ引きアクチュエータ(351)も同一の構
成を有するもので詳細な説明は省略する。
【0323】図72において、デッキベース(300)
には支軸(352)が固定されておりこの支軸(35
2)に軸受け(353)、(354)を介してテンショ
ンアーム(355)が回転自在に軸支されている。そし
てテンションアーム(355)の先端にはテンションロ
ーラ(356)が設けられている。本実施例において特
徴的なことは、前記テンションアーム(355)がベー
ス(300)の下面に配置されていることにある。そし
て、テンションローラ(356)はベース(300)の
下側から、ベース(300)に設けられたガイド溝(3
57)を通ってベース(300)の上面に突出してい
る。
【0324】従って、本実施例によれば、ベース(30
0)の上面にはテープアクチュエータの駆動部が一切配
置されず、他の部品例えばテープローダ等をベース(3
00)の上面に容易に装着することが可能となる。
【0325】図72から明らかなように、テンションア
ーム(355)には駆動コイル(358)が一体に回動
するように設けられている。一方、ベース(300)の
裏面には、ホルダヨーク(359)が固定され、このホ
ルダヨーク(359)には永久磁石(360)が固定さ
れ、さらにヨーク(361)が設けられている。
【0326】従って、前述した実施例から明らかなよう
に、駆動コイル(358)に所定の電流を供給すること
によって、永久磁石(360)との電磁作用によってテ
ンションローラ(356)を任意に位置決め駆動するこ
とができる。
【0327】なお、図72において、ガイド溝(35
7)は図70に示されるように他の溝部より大きな直径
を有するローラ挿入穴(357a)を形成しており、こ
れによって、直径の大きなローラ(356)を容易にベ
ース(300)の下面から上面に向って組み付けること
が可能となる。
【0328】本実施例において、前記ガイド溝(35
7)がテンションローラ(356)が移動する通路を形
成すると共に、後述するテープローダの支軸が通過する
ガイド溝としても用いられており、両者が連続した溝で
形成され、加工を容易にしている。
【0329】テープ引きアクチュエータ(351)側も
同様の構成からなり、図においてその可動テープパスロ
ーラ(362)が示され、このローラ(362)を通過
させる溝がガイド溝(363)として図示され、またロ
ーラ(362)を組み付けるときの直径の大きなローラ
挿入穴が符号(363a)で示されている。
【0330】出側のガイド溝(363)も後述するテー
プローダの支軸が通過する溝と兼用されている。
【0331】以上説明したように、本実施例によれば、
テープアクチュエータ(350)、(351)はデッキ
ベース(300)の下面に配置されている。
【0332】一方、本実施例におけるテープローダはデ
ッキベース(300)の上面に配置され、図において入
り側テープローダが符号(364)でまた出側テープロ
ーダが符号(365)で示されている。
【0333】テープローダ(364)には前述した各実
施例と同様に固定テープパスローラ(311)、(31
3)及びスラントピン(314)が一体的に固定されて
おり、同様に出側テープローダ(365)にもスラント
ピン(315)、固定テープパスローラ(316)、
(318)が一体的に固定されている。
【0334】入り側テープローダ(364)の支軸(3
66)はガイド溝(357)に沿って移動し、図70、
71で示されるように磁気テープ(302)を確実に回
転ドラム(304)に導くことによって導かれている。
【0335】図から明らかなように、入り側テープロー
ダ(364)にはテンションローラ(356)が移動で
きる逃げ溝(364a)が設けられており、図73、7
4で示される高速ノイズレス再生時にテンションローラ
(356)が移動するスペースを形成している。
【0336】同様に、出側テープローダ(365)にも
可動テープパスローラ(362)が移動可能な逃げ溝
(356a)が設けられている。
【0337】以上のようにして、本実施例によれば、図
73、74のように、テンションローラ(356)と可
動テープパスローラ(362)が差動的に移動するとき
にも、テープローダ(364)、(365)がこれらの
ローラの移動を邪魔することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る磁気再生装置の構成を示す概略
図である。
【図2】 本発明の原理を説明する斜視図である。
【図3】 本発明のテープアクチュエータにより磁気テ
ープの走行速度を変える関係を説明する概略図である。
【図4】 本発明のテープアクチュエータにより磁気テ
ープの走行速度を変える関係を説明する概略図である。
【図5】 VTR の記録トラックパターンを示す概略図で
ある。
【図6】 本発明のテープアクチュエータの変位角/ト
ルク特性を示す図である。
【図7】 本発明の高速ノイズレス再生時の各部の動作
を示すタイムチャートである。
【図8】 本発明の固定テープパスローラと可動テープ
パスローラ及びテープアクチュエータの回動軸との機械
的位置関係を示す模式図である。
【図9】 図8における変位角度とテープ引き出し長さ
との関係を示す図である。
【図10】 テープ引きアクチュエータの変位角と記録
トラック幅方向変位量との関係を示す図である。
【図11】 本発明による理想的な機械特性が実現した
場合の特殊再生時のトラッキング制御系のブロック図で
ある。
【図12】 この発明の磁気記録再生装置におけるサー
ボシステムを示すブロック図である。
【図13】 この発明のテープアクチュエータの他の変
形例の構成を示す概略図である。
【図14】 本発明のDTF 制御方式を示すブロック図で
ある。
【図15】 ヘッドアクチュエータの構成を示す断面図
である。
【図16】 テープアクチュエータの概略斜視図であ
る。
【図17】 テープアクチュエータの駆動原理を説明す
るための磁気回路の概略図である。
【図18】 テープアクチュエータの駆動原理を説明す
るための磁気回路の概略図である。
【図19】 本発明によるテープアクチュエータの断面
図である。
【図20】 テープアクチュエータのポジションセンサ
の一例を示す図である。
【図21】 テープアクチュエータの周波数特性図であ
る。
【図22】 制御システムの他の例を示すブロック図で
ある。
【図23】 本発明のDTF 制御回路を伝達関数で表示し
たブロック図である。
【図24】 本発明によるDTF 制御系の極配置図であ
る。
【図25】 本発明のDTF 制御系のオープンループ特性
図である。
【図26】 テンション制御方式を示すブロック図であ
る。
【図27】 テープアクチュエータのポジションセンサ
の他の構成例を示す図である。
【図28】 テープアクチュエータのポジションセンサ
の他の構成例を示す図である。
【図29】 テンション制御回路を伝達関数で表示した
ブロック図である。
【図30】 テンション推定オブザーバの極配置図であ
る。
【図31】 可動テープパスローラ部の力のつりあいを
示す概略図である。
【図32】 可動テープパスローラ部の力のつりあいを
示す概略図である。
【図33】 テンション推定器のテンション推定能力を
示す周波数特性図である。
【図34】 テンション推定器の過渡特性を示す図であ
る。
【図35】 テンション制御系のオープンループ特性図
である。
【図36】 テンション制御系をマイクロコンピュータ
等の高速演算回路にて構成した場合のハードウェア構成
を示すブロック図である。
【図37】 本発明のテンション推定アルゴリズムのフ
ローチャート図である。
【図38】 図37のΣを実現するためのブロック図で
ある。
【図39】 本発明のテープアクチュエータの実施例を
示す斜視図である。
【図40】 本発明の実施例を示すブロック図である。
【図41】 図40を伝達関数で表示した図である。
【図42】 テープアクチュエータ外乱抑圧ループの外
乱抑圧特性図である。
【図43】 この発明の実施例に係るテンション制御方
式を用いたテンション制御機構の構成図である。
【図44】 図43のテンション制御機構の変形例の構
成図である。
【図45】 図43のテンションアームの変位量を検出
するための光センサを説明するための構成図である。
【図46】 光センサの変形例を説明するための構成図
である。
【図47】 図43中のテンションアームの変位量を検
出するための磁気式センサの説明図である。
【図48】 図44のテンションアームの変位量を検出
するための磁気式センサを説明するための図である。
【図49】 この実施例におけるテンション制御系のブ
ロック図である。
【図50】 図49のテンション制御系を制御理論の伝
達関数で表したブロック図である。
【図51】 この実施例におけるテンション制御機構に
駆動部がない場合のテンション制御系を制御理論の伝達
関数で表したブロック図である。
【図52】 この発明の実施例を示すテープアクチュエ
ータ駆動機構の詳細断面図である。
【図53】 図52の一部破断斜視図である。
【図54】 可動コイル部とマグネットとの位置関係を
示す要部平面図である。
【図55】 発光部の構成を示す要部断面図である。
【図56】 光線と受光素子との位置関係を示す概略平
面図である。
【図57】 他のテープアクチュエータ機構を示す断面
図である。
【図58】 反射ミラー式位置検出手段を搭載した他の
テープアクチュエータを示す断面図である。
【図59】 図54の他のマグネット形状を示す要部平
面図である。
【図60】 遮蔽板を設けた位置センサをもったアクチ
ュエータを示す断面図である。
【図61】 ホール素子を有する位置センサを含んだテ
ープアクチュエータの他の例を示す図である。
【図62】 ホール素子を有する位置センサを含んだテ
ープアクチュエータの他の例を示す図である。
【図63】 記録、再生、及び高速テープ走行時の磁気
記録再生装置を示す平面図である。
【図64】 特殊再生時の磁気記録再生装置を示す図で
ある。
【図65】 特殊再生時の磁気記録再生装置を示す図で
ある。
【図66】 この発明の一実施例による磁気記録再生装
置のロード後を示す要部平面図である。
【図67】 ロード前を示す要部平面図である。
【図68】 この発明の磁気テープの上下方向の規制手
段を示し、磁気テープの走行方向に展開して示した詳細
な側面図である。
【図69】 巻取リール側テープパスローラの上下方向
の移動機構の詳細を示す一部断面図である。
【図70】 この発明の他の実施例による磁気記録再生
装置のロード後を示す要部平面図である。
【図71】 ロード前を示す要部平面図である。
【図72】 この発明のテープアクチュエータをベース
下面に配置した詳細を示す断面図である。
【図73】 この発明の特殊再生時におけるテープアク
チュエータの動作を示す平面図である。
【図74】 この発明の特殊再生時におけるテープアク
チュエータの動作を示す平面図である。
【図75】 従来の磁気再生装置を示すシステム図であ
る。
【図76】 従来の磁気再生装置の高速特殊再生サーボ
系を示す図である。
【図77】 従来の磁気再生装置における5倍速時のテ
ープパターンと磁気ヘッドの走査軌跡との関係を示す図
である。
【図78】 従来の磁気再生装置における逆5倍速時の
テープパターンと磁気ヘッドの走査軌跡との関係を示す
図である。
【図79】 従来の磁気再生装置における磁気ヘッドが
追従すべき傾斜エラーパターンを示す概略図である。
【図80】 従来のVTR の磁気テープ走行系図である。
【図81】 従来のテンション制御機構図である。
【図82】 従来のヘッドアクチュエータを示す平面図
である。
【図83】 従来のヘッドアクチュエータを示す平面図
である。
【図84】 バイモルフの有効長と磁気ヘッドとの傾き
との関係を示す図である。
【図85】 従来のヘッドアクチュエータの断面図であ
る。
【図86】 図85の周波数特性図である。
【図87】 従来のビデオテープレコーダの他の磁気テ
ープ走行系の構成図である。
【図88】 この従来例におけるテンション制御機構の
構成図である。
【符号の説明】
50 磁気テープ、51 回転ドラム、55 巻き出し
側リールモータ、56巻き取り側リールモータ、59
キャプスタンモータ、61 テープ引きアクチュエー
タ、62 テープテンションアクチュエータ、76 ヘ
ッドアクチュエータ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H04N 5/783 H04N 5/783 C D (31)優先権主張番号 特願平2−173545 (32)優先日 平2(1990)6月28日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平2−170815 (32)優先日 平2(1990)6月25日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平2−173571 (32)優先日 平2(1990)6月29日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平2−180125 (32)優先日 平2(1990)7月5日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平2−186485 (32)優先日 平2(1990)7月12日 (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 富田 真巳 京都府長岡京市馬場図所1番地 三菱電 機株式会社 電子商品開発研究所内 (72)発明者 岸川 誠司 京都府長岡京市馬場図所1番地 三菱電 機株式会社 電子商品開発研究所内 (72)発明者 栗原 信純 京都府長岡京市馬場図所1番地 三菱電 機株式会社 電子商品開発研究所内 (56)参考文献 特開 昭57−92420(JP,A) 特開 昭60−175240(JP,A) 特開 平2−185752(JP,A) 実公 昭38−27334(JP,Y1)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気テープを用いた磁気再生装置におい
    て、 磁気テープが巻かれた供給リールを回転駆動するリール
    駆動手段と、 磁気ヘッドを前記磁気テープ上の記録トラックの幅方向
    に変位させるヘッドアクチュエータ手段と、 前記ヘッドアクチュエータ手段を搭載した回転ドラム
    介して前記磁気テープを前記供給リールから所定速度で
    引き走行させるテープ送り手段と、 前記回転ドラムと前記テープ送り手段間の前記磁気テー
    プ走行経路中に設置された前記回転ドラムと前記テープ
    送り手段間の前記磁気テープ走行経路長を可変する可動
    ピン手段と、 前記可動ピン手段を駆動する可動ピンアクチュエータ手
    段と、 前記磁気ヘッドと前記記録トラックとの相対位置誤差を
    検出するトラックエラー検出手段と、 前記トラックエラー検出手段の出力信号に基づき前記テ
    ープ送り手段と前記可動ピンアクチュエータ手段と前記
    ヘッドアクチュエータ手段とを協動させて前記トラック
    エラーを補正するトラッキング制御手段と、 を具備し、 前記トラッキング制御手段は、 前記可動ピンアクチュエータ手段の位置を検出する位置
    検出手段と、 前記位置検出手段の出力信号と前記可動ピンアクチュエ
    ータ手段の駆動電圧もしくは駆動電流信号とを演算する
    ことによって前記可動ピンが前記磁気テープから受ける
    テンション変動並びにデッキ本体の移動によって引き起
    こされる前記可動ピンアクチュエータ手段に作用する外
    乱トルクを検出する外乱検出手段と、 前記外乱検出手段の出力を前記可動ピンアクチュエータ
    手段の駆動電圧もしくは駆動電流に前記可動ピンアクチ
    ュエータ手段に作用する外乱トルクを打ち消すように
    帰還する外乱抑圧制御手段と、 を具備することを特徴とする磁気再生装置。
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