JP2600558B2 - 磁気記録再生装置における磁気ヘッド位置制御装置 - Google Patents

磁気記録再生装置における磁気ヘッド位置制御装置

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JP2600558B2
JP2600558B2 JP4097565A JP9756592A JP2600558B2 JP 2600558 B2 JP2600558 B2 JP 2600558B2 JP 4097565 A JP4097565 A JP 4097565A JP 9756592 A JP9756592 A JP 9756592A JP 2600558 B2 JP2600558 B2 JP 2600558B2
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  • Adjustment Of The Magnetic Head Position Track Following On Tapes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ビデオテープレコー
ダ、ディジタルテープレコーダなどの磁気記録再生装置
において、アクチュエータによって磁気テープの長さ方
向の位置を制御される可動磁気ヘッドを回転ドラムに備
えた磁気記録再生装置における磁気ヘッド位置制御装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】VTRなどの磁気記録再生装置において
磁気テープに記録されたデータを正確に再生するために
は、磁気ヘッドは記録トラックに忠実に追従しなければ
ならない。従って、この記録トラックに忠実に追従する
目的のために、従来の改良されたVTRにおいては、磁
気ヘッドの位置を制御してトラッキングをとることが行
われていた。
【0003】そしてこのために、磁気ヘッドは、回転ド
ラム上にアクチュエータを介してトラッキング方向に偏
向自在に設けられることによってトラックずれが防がれ
ているとともに、早送り再生などの特殊再生時において
も、大きな振幅でトラッキング方向への磁気ヘッド移動
を行うことによって各種の良好な早送り同期再生が行わ
れる。
【0004】図47はピエゾ電気バイモルフ素子500
の一例を示す外観図である。ピエゾ電気バイモルフ素子
500は、回転ドラム520の直径方向反対側に対称的
に一対設けられ、それぞれ磁気ヘッドHが搭載されてい
る。
【0005】図48は、図47に示すバイモルフ素子5
00の改良例で、バイモルフ素子500の有効長が図4
7に示すものより長く取れるよう回転ドラム520の周
囲に沿ってそれぞれ半周分アーク状に延びた形状を有す
る。図49も同様に、図47に示すバイモルフ素子50
0の改良例で、バイモルフ素子500の有効長が図47
より長くなるよう各バイモルフ素子500は回転ドラム
520の弦と平行に配置されている。
【0006】図50はバイモルフ素子500が磁気ヘッ
ドHを駆動するときの状態を示したもので、半径Rの実
効長をもったバイモルフ素子500が角θだけ屈曲する
と、ξで示されるよう磁気ヘッドHが移動する。図51
は、バイモルフ素子500が駆動されるときの磁気ヘッ
ドHの傾き量(図50におけるθ)とバイモルフ有効長
との関係を、幾何的に求めたもので、横軸はバイモルフ
有効長を、縦軸は磁気ヘッドHの傾き量を表している。
また、図52は、ピエゾ電気バイモルフ素子500の周
波数特性の一例を示した図である。
【0007】そして、このようなバイモルフ素子の屈曲
によってトラッキングを行うための磁気ヘッドの位置制
御においては、磁気ヘッドおよび駆動アクチュエータの
バネ質量系の機械的共振のダンピングを含めて正確に制
御しなければならない。
【0008】図53は、例えば、特開昭52−1171
07号公報に示された、従来のバイモルフアクチュエー
タを用いた磁気ヘッド駆動装置のブロック回路図であ
る。この従来のバイモルフアクチュエータを用いた磁気
ヘッド駆動装置は次の構成要素を備えている。
【0009】磁気ヘッドHをテープの走行方向に直交し
て所定位置に移動させて所望のトラッキング制御を行う
ために印加された電圧に応じて曲がり動作を行う上述し
たピエゾ電気バイモルフ素子500:ピエゾ電気バイモ
ルフ素子500の一部に形成されたピエゾ電圧発生器か
らなるセンサ501:このセンサ501に負荷をほとん
ど与えることなく検出電圧を増幅する高入力インピーダ
ンスの増幅器502:高インピーダンス増幅器502か
らの出力と、後に述べるポテンショメータ509からの
出力を加算する加算器503:加算器503からの出力
を微分する微分器504:微分器504からの出力信号
の中で、ピエゾ電気バイモルフ素子500の2次共振特
性および高次共振特性に寄与する信号のみを減衰させる
ように選択されたカットオフ周波数を有するローパスフ
ィルタ505:ローパスフィルタ505からの出力の位
相遅れを補償するための位相進み回路506:位相進み
回路506からの出力を可変反転増幅するゲイン可変増
幅器507:後述する周波数補償器511からの出力信
号とゲイン可変増幅器507からの出力信号を加算する
加算器508:加算器508からの出力信号が供給され
るポテンショメータ509:加算器508からの出力信
号を増幅して前記バイモルフアクチュエータ500に所
望の駆動電圧を印加する駆動増幅器510。
【0010】さらに、片持ち支持されたピエゾ電気バイ
モルフ素子500の自由端に支持された磁気ヘッドHか
らの出力をビデオ処理するビデオ信号処理回路514:
ウオブリングサーボ系を構成するために磁気ヘッドHの
出力信号からトラッキング補正信号を出力するヘッド位
置調整制御回路513:ヘッド位置調整制御回路513
からの出力信号および後述する変換器リセット信号発生
器512からの出力信号を受けて周波数補償を行なう周
波数補償器511:必要に応じて磁気ヘッドHをトラッ
キングの初期位置に選択的にリセットするために、偏向
可能な支持アーム、すなわち、ピエゾ電気バイモルフ素
子500に与えるリセット信号を発生する変換器リセッ
ト信号発生器512とを備える。
【0011】この従来のバイモルフアクチュエータを用
いた磁気ヘッド駆動装置の動作に付いて説明する。ピエ
ゾ電気バイモルフ素子500と一体に構成されたセンサ
501は磁気ヘッドHの瞬間偏向位置を表す信号を発生
する。この出力信号は、ピエゾ電気バイモルフ素子50
0を駆動する信号に対して90度の位相遅れを有してい
る。
【0012】この出力信号は高入力インピーダンスの増
幅器502に供給される。なお、この増幅器502を高
インピーダンス入力のものとした理由は、センサ501
がコンデンサとこれに直列な電圧源と等価であるため、
センサ501からの低周波数信号を効果的に結合するた
めにセンサ501上の電気的負荷は小さくなくてはなら
ないからである。
【0013】高インピーダンス増幅器502の出力は加
算器503に与えられる。加算器503の他の入力は、
後に述べるポテンショメータ509からの出力信号であ
る。加算器503からの出力信号は微分器504に与え
られる。この微分器504はセンサ501からのヘッド
位置信号を微分して、この瞬間ヘッド位置を表すヘッド
位置信号から瞬間ヘッド速度を表す信号に変換する。
【0014】微分器504はハイパスフィルタと同様の
周波数特性を有するため、通過した信号には位相進みが
生じる。この微分器504によって生じたヘッド速度信
号はローパスフィルタ505に供給される。このローパ
スフィルタ505のカットオフ周波数は、バイモルフ素
子500の2次共振特性および高次共振特性に寄与する
信号を実質的に減衰させるように選ばれている。
【0015】ローパスフィルタ505はそれを通過する
信号にある位相遅れを与えるため、共振位置近くの信号
がこのローパスフィルタによって受ける全位相遅れを補
償するための位相進み回路506が設けられており、こ
の位相進み回路506はバイモルフ素子500の共振点
付近の周波数の信号成分が位相進み回路506から出力
されるときに0度の位相となるように移相する。
【0016】この位相進み回路506の出力信号はゲイ
ン可変増幅器507に入力され、ゲイン可変増幅器50
7の反転した出力信号はバイモルフ素子の共振振動を減
衰させるために、後述する周波数補償器511からの出
力信号と加算器508で加算される。
【0017】この加算器508の出力は、駆動増幅器5
10で増幅されてバイモルフ素子500に偏向駆動信号
として与えられる。上記ゲイン可変増幅器507はバイ
モルフ素子500の特性のばらつきに対応できるように
ゲインが調整できるように構成される。
【0018】他方、反共振点付近の信号成分は、バイモ
ルフ素子500に供給される駆動信号の一部を結合する
ことで効果的に零に調整される。加算器508の偏向信
号はポテンショメータ509に供給され、このポテンシ
ョメータ509の出力は加算器503の他方の入力端に
供給されて、高インピーダンス増幅器502から入力さ
れるセンサ501で検出された偏向位置信号と加算され
る。
【0019】この偏向信号の位相は、バイモルフ素子5
00を介してセンサ501で検出される際に180度の
移相を受けるので、偏向信号のうち反共振点付近の周波
数成分は加算器503において零調整され、そのためル
ープは反共振点付近の周波数に対して安定化される。以
上のようにしてバイモルフ素子500のダンピング動作
が行われるので、安定なトラッキング制御が可能となる
はずである。
【0020】しかしながら、図53におけるバイモルフ
素子500は、図47について説明したように回転ドラ
ム520上に配置されているため、VTRの特殊再生時
などにおける大振幅動作時においては図50について説
明したように図の上方に変位し、磁気ヘッドHに傾きθ
が発生することになる。これは、磁気ヘッドHと磁気テ
ープとの接触状態を劣化させ、特に記録再生信号の高周
波数特性を劣化させる重要な要因となる。
【0021】この欠点を改善するため、先に引用した図
48および図49に示したようにバイモルフ素子500
の有効長を大きくすることが提案されているが、有効長
を長く取ると図50におけるヘッド傾きは小さくなる
が、図52における共振周波数および反共振周波数は低
い方に移動する。
【0022】一般的なバイモルフ素子においては、1次
共振周波数より高い帯域では位相が180度シフトする
特性を有しているため、可動ヘッドを用いたトラッキン
グシステムにおいては、制御帯域を共振周波数より十分
低い周波数に設定する必要がある。
【0023】もし、1次共振周波数と2次共振周波数も
しくは反共振周波数とが十分離れている場合は、位相進
み補償を行なうことによって、1次共振周波数と2次共
振周波数もしくは反共振周波数との間に制御帯域を設定
することも可能である。しかしながら、有効長があまり
に大きいバイモルフ素子500ではこの制御帯域が十分
取れず、磁気テープのトラック曲がりにまで十分追従可
能な制御システムを構成することが難しいという問題が
ある。
【0024】もちろん、上述のような微分回路を用いて
バイモルフ素子500の共振ピークゲインをある程度小
さくすることはできるが、微分動作が入るために偏向位
置信号に含まれるノイズが相対的に大きくなることから
ダンピングループのゲインを大きく取ることができな
い。
【0025】以上のように、バイモルフ素子500を用
いた磁気ヘッド駆動装置では、トラッキング動作時にお
いて磁気ヘッドHと磁気テープとの良好なコンタクトを
取る(すなわち、ヘッド傾きを小さくする)ことと、こ
のバイモルフ素子500の機械共振を高い周波数にシフ
トさせあるいは共振ピークゲインを小さくすることとが
トレードオフの関係にあって、これらを両立させること
は困難である。
【0026】さらに微分回路を用いたダンピング制御回
路においては、位置センサのノイズ成分を増大させてし
まうために性能を向上させるには限界があった。加え
て、ダンピングループを構成する際に位置信号を取出す
ことが必要であるため、回転ドラム内にダンピング用の
回路基板を搭載するか、もしくはスリップリングなどで
位置信号を取り出さねばならないという機械的な制約も
あった。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】従来の磁気ヘッド駆動
アクチュエータのダンピング方法は、先に説明したよう
に、アクチュエータの位置信号を微分してアクチュエー
タの速度を得ていたために、位置信号に含まれるノイズ
が増大してしまうことからダンピング性能が不十分であ
った。
【0028】また、上記の位置信号を取出す必要がある
ことから位置センサを必要とすることや、位置信号を回
転ドラム外に取り出す場合はスリップリングのチャンネ
ルを増やす必要があるなど、機械的にも複雑な構成とな
るという問題点があった。
【0029】そしてさらに、共振周波数が機械的なバネ
・質量系で決まってしまうために、アクチュエータの応
答特性の大幅な改善は不可能であった。
【0030】これに加えて、ドラム回転に起因する負荷
外乱(テープ・ヘッド間の周期的な衝突)に対する剛性
は、バネ・質量系の機械的剛性および磁気回路系の磁気
ダンパ効果によってのみ決まっていたため、機械設計に
は充分な考慮を必要とし、それがアクチュエータ設計の
制約条件となっていた。
【0031】本発明は上記のような問題点を解消するた
めになされたもので、位置センサや微分器を不要にし、
機械的な変更をすることなしに、安価な電気回路のみに
よって、大きな機械共振を有するアクチュエータにおい
ても、安定した大きなダンピングをかけることのできる
磁気記録再生装置のヘッド駆動アクチュエータのダンピ
ング手段を得ることを目的としている。
【0032】また、この発明は、バネ・質量系の機械剛
性の低い制御性の劣悪なアクチュエータに対しても、位
置フィードバックループを設けることにより、安価な電
気回路によってアクチュエータ位置信号を正確に検出
し、制御性の良好な、応答性のよいアクチュエータ特性
が得られるように改善することを目的とする。
【0033】また、この発明は上記のようなバネ・質量
系の機械剛性の低い制御性の劣悪なアクチュエータに対
しても外乱フィードフォワードループを設けることによ
り、安価な電気回路によってアクチュエータにかかる負
荷外乱を正確に検出し、剛性の高いアクチュエータに改
善することを目的とする。
【0034】さらに、本発明は、従来の可動ヘッド位置
制御装置では可動磁気ヘッドの位置をデッキベースから
の絶対高さによって制御しようとすると、可動磁気ヘッ
ドの位置を検出するための交流磁界発生用コイルの取付
精度がきびしくなり、また、この交流磁界発生用コイル
による交流磁界の検出に回転ドラムに設けられている固
定ヘッドを利用すると、可動磁気ヘッドの高さをこの固
定ヘッドと同じ高さに制御することしかできない。
【0035】また、上記の交流磁界発生用コイルによる
交流磁界の検出は、回転ドラムの1回転につき1個所で
しか行なわれないので、アクチュエータの可動部剛性を
考慮しないと、振動などにより回転ドラムの1回転の期
間に記録される記録トラックが曲がってしまうなどの問
題があった。
【0036】この発明は、上記のような問題点を解消す
るために、交流磁界発生コイルの取付精度に無関係に、
可動磁気ヘッドを所定の絶対高さ(デッキベースからの
ヘッド高さ)に維持し得るようにするとともに、回転ド
ラムの1回転内での可動磁気ヘッドの高さずれや振動を
も抑えて、様々なトラックフォーマットの磁気テープ装
置に適用できる、理想的な記録トラックパターンを形成
することができる磁気ヘッド位置制御装置を得ることを
目的とする。
【0037】
【課題を解決するための手段】磁気ヘッドをトラッキン
グ方向に移動させるための電磁駆動型アクチュエータを
備える磁気記録再生装置において、上記電磁駆動型アク
チュエータに供給されるアクチュエータ駆動電圧とアク
チュエータ駆動電流とから上記電磁駆動型アクチュエー
タの移動速度を推定した推定速度信号を出力するための
ものであって、上記電磁駆動型アクチュエータのモデル
化された各特性をそれぞれ電気的に模擬する等価回路の
組合わせによって構成された状態推定器を設けるととも
、この状態推定器により推定された推定速度信号を
記電磁駆動型アクチュエータに上記アクチュエータ駆動
電圧および上記アクチュエータ駆動電流を供給するドラ
イブアンプの入力にフィードバックするダンピング制御
ループを設けてアクチュエータのダンピングを制御する
ようにした。
【0038】態推定器は、電磁駆動型アクチュエータ
の駆動コイル抵抗とインダクタンス特性,磁気回路の力
定数,慣性,バネ定数および逆起電力をそれぞれ電気的
に模擬する等価回路を含んで構成することができる。
【0039】状態推定器は、アクチュエータ駆動電圧を
アクチュエータの駆動コイル抵抗とインダクタンス特性
を電気的に模擬した等価回路を介して逆起電力を含まな
いアクチュエータ駆動電流を推定するとともに、この推
定したアクチュエータ駆動電流と逆起電力の影響を受け
たアクチュエータ駆動電流とを比較することによって、
電磁駆動型アクチュエータの速度を推定することができ
る。
【0040】態推定器は、電磁駆動型アクチュエータ
のコイルリアクタンスを含むインピーダンス特性を模擬
した等価回路であってもよい。さらに、電磁駆動型アク
チュエータのコイルリアクタンスを含むインピーダンス
特性を模擬した等価回路としてローパスフィルタを用い
ることができる。そして、状態推定器の出力を電磁駆動
型アクチュエータの共振周波数を中心周波数とするバン
ドパスフィルタを含むダンピング制御ループを介してフ
ィードバックすることができる。
【0041】また、ダンピング制御ループの内側にアク
チュエータ駆動電流をフィードバックする電流帰還ルー
プを設けることによって、上記電磁駆動型アクチュエー
タの温度変化などによる経時変化を補償することができ
る。
【0042】状態推定器によって逆起電力を含まないア
クチュエータ駆動電流を推定し、この推定したアクチュ
エータ駆動電流をフィードバックすることによって電磁
駆動型アクチュエータの温度変化などによる経時変化を
補償するようにすることができる。
【0043】また、状態推定器によって電磁駆動型アク
チュエータの位置を推定した位置推定信号を生成し、こ
の位置推定信号をアクチュエータ駆動電圧にフィードバ
ックすることによって上記電磁駆動型アクチュエータの
見掛けの共振周波数を高くすることができる。
【0044】さらに、状態推定器によって電磁駆動型ア
クチュエータの負荷外乱を推定した推定外乱信号を生成
し、この推定外乱信号をアクチュエータ駆動電圧にフィ
ードフォワードすることによって上記電磁駆動型アクチ
ュエータの負荷外乱を打ち消すようにしてもよい。
【0045】可動磁気ヘッドと、この可動磁気ヘッドを
トラッキング方向に移動させるための電磁駆動型アクチ
ュエータとを内部に備える回転ドラムと、この回転ドラ
ムに近接して設けられて所定周波数の交流磁界を発生す
る交流磁界発生手段と、上記可動磁気ヘッドが検出した
上記交流磁界発生手段からの交流磁界によってこの可動
磁気ヘッドの高さ位置を検出して検出位置信号を出力す
る位置検出手段と、上記電磁駆動型アクチュエータの移
動速度を上記電磁駆動型アクチュエータに供給されるア
クチュエータ駆動電圧とアクチュエータ駆動電流とから
上記電磁駆動型アクチュエータの速度を推定した推定速
度信号を出力するためのものであって、上記電磁駆動型
アクチュエータのモデル化された各特性をそれぞれ電気
的に模擬する等価回路の組合わせによって構成された状
態推定器と、この状態推定器により推定された推定速度
信号を上記電磁駆動型アクチュエータに上記アクチュエ
ータ駆動電圧および上記アクチュエータ駆動電流を供給
するドライブアンプの入力にフィードバックするダンピ
ング制御ループと、上記位置検出手段からの検出位置信
号に基づいて上記電磁駆動型アクチュエータを制御して
上記可動磁気ヘッドの高さ位置を制御する可動磁気ヘッ
ド高さ位置制御手段と、を設けて磁気記録再生装置にお
ける磁気ヘッド位置制御装置を構成することができる。
【0046】
【作用】この発明の主要な構成要素の1つである状態推
定器は、電磁駆動型アクチュエータの特性を電気的に模
擬するものであって、このアクチュエータに供給される
駆動電圧および駆動電流をこの状態推定器にも供給する
ことによって実際のアクチュエータの動作状態を模擬し
て、このアクチュエータの速度,位置,駆動電流および
外乱などを予測することができる。
【0047】このため、本発明によれば、回転ドラム内
に磁気ヘッドの位置を検出するための例えば光ダイオー
ドと光検出器からなるセンサを設ける必要がないので、
構成が簡単になるばかりでなく、回転ドラム内に設けら
れる上記センサに対する導電接続手段も必要が無くなる
という格別の効果が得られる。特許請求の範囲の各請求
項に記載した発明の構成およびこの構成に基づく作用効
果については、以下に述べる各実施例の説明によって順
次明らかにされる。
【0048】
【実施例】以下、この発明の好適な実施例を説明するに
先立って、本発明の可動ヘッド位置制御系の制御対象と
なる電磁駆動型アクチュエータについて図を参照しなが
ら説明する。なお、このような電磁駆動型アクチュエー
タは、前述した図47、図48、図49のようなバイモ
ルフ素子アクチュエータを用いた時のように磁気ヘッド
に傾きを生じることのないヘッドアクチュエータとして
有用であった。
【0049】図4はこの発明の対象となる電磁駆動型ア
クチュエータの例を概略的に示した断面図であり、図
5、図6には若干詳細にその構造の例が示されている。
図5において、磁気ヘッドHは板バネ200によってコ
イルボビン201に支持され、このコイルボビン201
には駆動コイル202が捲回されている。
【0050】コイルボビン201はその両端がジンバル
バネ203,204により円筒状ヨーク205および円
板状ヨーク206,207に軸方向に移動自在なように
支持されている。コイルボビン201と各ジンバルバネ
203,204の結合部には高分子材料からなるマウン
ト部材208が設けられている。
【0051】前記コイルボビン201の内部には円柱形
永久磁石209,210が前記ヨーク206,207の
間に固定され、また両永久磁石間にはセンターヨーク2
11が設けられている。
【0052】このアクチュエータの磁気回路は、2つの
永久磁石209,210を互いに反発するように設置し
ているので、図6に示すように駆動コイル202を横切
る磁束密度を高くとれる構造となっている。従って、駆
動コイル202に適当な駆動電流を供給することによっ
て、磁気ヘッドHの位置を任意に調整可能な構成であ
る。
【0053】この構成においては、磁気ヘッドHは平行
移動するため、磁気ヘッドとテープとのコンタクトは大
振幅動作時においても良好に保たれる。しかし、このよ
うな電磁駆動型アクチュエータCにおいても、ジンバル
バネ203,204や板バネ200の機械的共振による
位相シフトが発生し、図52のように1次共振以上の帯
域において位相が180度以上シフトするため、バイモ
ルフ素子500の場合と同様に、トラッキング制御帯域
が1次共振より十分低い周波数にしか設定できなかっ
た。
【0054】そこで、ジンバルバネ203,204およ
び板バネ200の剛性を上げて、共振周波数を上げてや
ればよいが、共振ピークゲインが高くなるため、バイモ
ルフ素子500で述べた場合と同様に、位置センサを設
けてその出力に基づいてダンピングをかけなくてはなら
ないという問題がある。
【0055】図7は図5における電磁駆動アクチュエー
タの周波数特性である。以上のような電磁駆動型アクチ
ュエータが本発明においても用いられる。図4に戻る
と、図中aは磁束発生用の永久磁石がないもの、bは永
久磁石があるものを示す。図4a,bに同じ駆動電圧V
(s) を加えた場合を想定し、その際コイル202に流れ
る電流をaの場合はI(s) 、bの場合はI′(s) とす
る。
【0056】まずaの場合は、駆動コイル202を横切
る磁束が存在しないので、コイルのインピーダンス特性
の逆特性をZ(s) とすると I(s) =Z(s) V(s) となる。
【0057】次にbの場合を考える。この場合は駆動コ
イル202を横切る磁束が存在するので、コイル202
に電流が流れるとコイルを横切る磁束とコイル202を
流れる電流との間に力が発生する。結果としてこの力は
駆動コイル202をv(s)なる速度で移動させる。ま
たこの際、磁束中をコイル202がv(s)なる速度で
横切ることになるので、コイル202中に逆起電力が生
じる。その際の逆起電力定数をKG( A・sec/m)とする
と、コイルに流れる電流I′(s)は I′(s) =I(s) −v(s) KG となる。
【0058】よって、上記2つの電流I(s) およびI′
(s) を正確に測定することができれば、コイル202の
速度に比例した逆起電力v(s) KG を次の式に基づいて
取出すことが可能になる。 v(s) KG =I(s) −I′(s)
【0059】この逆起電力、すなわちコイル202の速
度をアクチュエータ制御電圧にフィードバックすること
によって、ダンピングが安定にかかることになる。
【0060】しかし、以上の説明は、あくまでI(s) お
よびI′(s) が正確に測定された場合であって、実際は
電流検出に用いる抵抗などの電気的特性のバラツキなど
によってI(s),I′(s) を正確に測定することができ
ず、各々にゲイン変動が生じてしまう。
【0061】逆起電力v(s) KG は、上式のようにI
(s) とI′(s) の差として検出されるので、ゲイン変動
が生じるとコイル移動による純粋な逆起電力の情報にコ
イルを駆動する電流情報が混入してしまう。この情報が
混入した逆起電力を単純にフィードバックすると、アク
チュエータの低域ゲインが変動したり、不安定になった
りする問題がある。
【0062】〔第1実施例〕この第1実施例は、上記の
ような電磁駆動アクチュエータを用いた可動ヘッドの位
置制御を、現代制御理論の同一次元オブザーバによって
構成された状態推定器を用いて精度よく実行し得るよう
にしたものである。
【0063】図1は本発明に係る磁気記録再生装置のヘ
ッド駆動アクチュエータ制御装置の第1実施例を示した
ものであり、この図1において、Hは図示していない回
転ドラムに搭載された磁気ヘッドであり、この磁気ヘッ
ドHは電磁駆動型のアクチュエータCにより移動制御さ
れてトラッキングを行う。
【0064】Mは回転ドラム外から回転ドラム内のアク
チュエータCに電流を供給するためのスリップリング、
DはアクチュエータCに駆動電流を供給するためのドラ
イブアンプ、Qはアクチュエータ制御電圧信号から後述
する推定速度信号を減算する減算器である。
【0065】RはアクチュエータCに流れる電流を検出
する電流検出用抵抗であり、本実施例においてはドライ
ブアンプDとアクチュエータCとの電流経路中に設けら
れているが、アクチュエータCと接地間の電流経路中に
設けてもよい。Oはこの電流検出用抵抗の両端の電圧差
を検出する差動アンプであり、アクチュエータCに流れ
ている電流値に相当する電圧を出力する。
【0066】Pは本発明の1つの特徴とする状態推定器
であって、電流検出用抵抗のドライブアンプD側の電圧
(すなわちアクチュエータの駆動電圧)と差動アンプ出
力(すなわちアクチュエータ駆動電流)とを入力してア
クチュエータCの速度を推定し、推定速度信号として出
力するものである。
【0067】図2は、図1の模式図を制御理論のブロッ
ク線図で表したものであり、各ブロック内には伝達関数
あるいは伝達係数の値を示してある。この図2におい
て、ブロック2はアクチュエータCの特性を伝達関数で
表わしたものであり、ここに含まれるブロック300は
アクチュエータCのインピーダンス特性を表す伝達係
数、ブロック301はアクチュエータCの磁気回路の力
定数を表す伝達係数である。
【0068】ブロック302,303,304はアクチ
ュエータCの機械特性を示す伝達関数および伝達係数で
あり、mはアクチュエータCの可動部質量、kはアクチ
ュエータCのバネ定数、Sはラプラス演算子を示す。
【0069】305はアクチュエータCの逆起電力定数
を表す伝達係数、306はアクチュエータCの磁気回路
中で物理的に生じている駆動電流と逆起電力との関係を
演算ブロックで表したものである。307はアクチュエ
ータCの機械的に行われている磁気回路が発生する
ジンバルバネ反発力との力のつりあいを減算ブロックで
表したものである。
【0070】状態推定器Pは上述のようにアクチェータ
の伝達特性を模擬するもので、ここに含まれる各ブロッ
クはそれぞれ下記の性格を有する。ブロック400は上
記伝達係数300を電気的に模擬した伝達係数、ブロッ
ク401は上記伝達係数301を電気的に模擬した伝達
係数、ブロック402,403は上記伝達関数302,
303を電気的に模擬した積分器からなる伝達関数、ブ
ロック404,405は上記伝達係数304,305を
電気的に模擬した伝達係数、ブロック406,407は
上記減算ブロック306,307を電気的に模擬した減
算ブロックである。
【0071】減算器410はアクチュエータCの逆起電
力を含むアクチュエータ駆動電流と電気回路にて推定さ
れた逆起電力を含むアクチュエータ駆動電流とを比較す
る減算器である。ブロック408,409は減算41
0からのエラー信号をフィードバックする際のゲインを
示す伝達係数、減算器411はアクチュエータCのアク
チュエータ駆動電圧から上記ブロック409からのフィ
ードバック信号を減算するための減算器である。
【0072】ブロック412は状態推定器Pによって推
定された推定速度をアクチュエータ制御電圧にフィード
バックするゲインを表す伝達係数である。
【0073】図3に示した回路構成における図2の状態
推定器Pの各伝達係数は、図3の回路を構成する各差動
増幅器の特性とその入力端子側に設定されている抵抗値
とをそれぞれ選択することによって所要の値に設定する
ことができる。
【0074】この実施例の図1に示した状態推定器Pは
現代制御理論の同次元オブザーバによって構成された
ものであり、その詳細を伝達関数表示すると図2のよう
になる。
【0075】図2において、一点鎖線で囲まれたCは電
磁駆動型アクチュエータを伝達関数表示したもの、Pは
本発明の状態推定器である。この状態推定器Pは、アク
チュエータCの駆動電圧,駆動電流,駆動トルク,速
度,変位,逆起電力,外乱間の特性を模擬する等価回路
400〜411で構成されている。
【0076】実際のアクチュエータCの動作は次のよう
に考えられる。アクチュエータ駆動電圧はアクチュエー
タCの駆動コイル202のインピーダンス特性の逆特性
Z(s) (ブロック300)によって電流に変換される。
この電流から後に述べる逆起電力を引いた電流値に力定
数KA (N/A)301を乗算したものが、アクチュエ
ータCのバネ・質量系で構成される機構部302,30
3に加わる力となる。
【0077】この力がアクチュエータCに加わり、アク
チュエータCの駆動コイル202に速度変化および位置
変化をさせる。アクチュエータCのコイル202がある
速度で動くとこの速度に比例した逆起電力が生じる。逆
起電力定数をブロック305に示したようにKG( A・se
c/m)とすれば、この逆起電力はアクチュエータ駆動電流
にフィードバックされるのと等価であることが理解でき
る。
【0078】また、アクチュエータCの可動部は、図5
に示したジンバルバネ203,204によってバネ支持
されているためにフックの法則によりバネ定数k(N/
m)304に比例した反発力が生じるので、これを伝達
関数表示すると力フィードバックに相当することが理解
できる。
【0079】アクチュエータCの動作は以上のように伝
達関数表示が可能なので、この特性を電気回路にて模擬
し、逆起電力に相当する信号をとりだせば、アクチュエ
ータCの速度信号v(s) を模擬することができる。
【0080】状態推定器Pでは、実際のアクチュエータ
Cの特性300〜307を電気的に400〜407で模
擬している。電気的に推定した逆起電力を含むアクチュ
エータ駆動電流と実際に検出された逆起電力を含むアク
チュエータ駆動電流(図1においては電流検出用抵抗R
によって検出される)とを減算器410によって比較
し、その誤差信号が零になるように積分器402の手前
にF1 なるゲインでフィードバックする。
【0081】このような構成の状態推定器Pは、周波数
特性が実際のアクチュエータCと等しいだけでなく、動
特性(時間軸での特性)をも等しくすることができる。
【0082】すなわち、動特性の誤差である指定された
逆起電力を含むアクチュエータ駆動電流と実際の信号と
の誤差が零に収束するようにF1,2 なるゲインで誤差
信号をフィードバックさせているので、ある時間経過後
は状態推定器のフィードバックゲインの作用によって推
定誤差が零に収束する。この状態で状態推定器の逆起電
力に相当する部分を出力すれば、それは実際のアクチュ
エータの速度と等価な信号となる。
【0083】また、このように状態推定器Pを構成する
と、前述の電流検出抵抗Rのバラツキによる検出ゲイン
変動やアクチュエータCの温度変化や経時変化による特
性変動が生じた場合においても、状態推定器内のフィー
ドバックゲインF1 (ブロック408),F2 (ブロッ
ク409)によるフィードバックループによってその変
動を安定に吸収する効果があるため、逆起電力に相応す
る推定速度信号には寄与しないという特徴がある。
【0084】よって、以上のように構成された状態推定
器Pは、アクチュエータ駆動電流の検出系のゲイン変動
や電磁駆動型アクチュエータC自身の特性変動があって
も正確な速度を推定することが可能であり、この推定速
度をブロック412のKF なるフィードバックゲインに
てアクチュエータ制御電圧にフィードバック制御するこ
とにより、低域においてゲイン変動のない効果的なダン
ピングを行うことが可能になる。
【0085】図3は、前記図1および図2に示した本発
明の第一実施例に係る磁気記録再生装置のヘッド駆動ア
クチュエータ制御装置をアナログ回路によって構成した
具体的な回路の一例を示した電気回路図である。
【0086】この図3図示の回路においては、図2で示
した伝達関数ブロック間の演算をオペアンプによるアナ
ログ演算回路で実現している。なお、この図3におい
て、各オペアンプに付けられた番号は図2に示したブロ
ックの番号を示しており、当該オペアンプは対応するブ
ロックに相当する役割を果たしているものであるから、
詳細な説明は省略する。
【0087】また、図3で示した回路は、あくまでも一
例であって、図2の考え方を実現させるものであれば他
の如何なる構成であってもよい。また、図3の実施例で
は、アナログの電気回路にて構成したが、マイクロプロ
セッサやDSPなどを用いてデジタル演算を行うように
構成してもよいことはいうまでもない。
【0088】この前記第1実施例は、電磁駆動型アクチ
ュエータCの電流検出用抵抗Rのバラツキや、電磁駆動
型アクチュエータC自身の特性変動に対して対応力の強
いシステムであった。
【0089】原理的に言えば、状態推定器のフィードバ
ックゲインF1 (ブロック408)は、電流検出抵抗お
よびアクチュエータCの駆動コイル202のコイル抵抗
(直流分)のバラツキを補償する役割がある。
【0090】一方F2 (ブロック409)は、アクチュ
エータCのジンバルバネ203,204のバネ定数やコ
イルボビン201および駆動コイル202の質量などの
機構特性のバラツキや経時変化、および、アクチュエー
タCの可動部に加わる外乱力による機構特性の変化を補
償する役割がある。
【0091】しかしながら、フィードバックゲインF1
(ブロック408)を含むループ(以下、ループA、と
いう)のループゲインを限りなく大きくすれば(F1
∞)、本来フィードバックゲインF2 (ブロック40
9)のループ(以下、ループB、という)が補正すべき
アクチュエータ機構部の経時変化や外乱力による機構特
性変動をも補正してしまう結果となる。
【0092】したがってこの時、状態推定器Pの推定測
定信号はループBの一部であるから、推定速度信号は当
然アクチュエータの速度を正確に表すことができないと
いう問題がある。
【0093】ところが、逆に、ループBのループゲイン
を限りなく大きくすれば(すなわちF2 →∞)、電流検
出用抵抗のバラツキが無い理想的な場合においては、現
代制御理論でいう完全オブザーバ構成となるために、非
常に正確な速度,位置,外乱などの状態の推定が可能に
なる。
【0094】ところが実際には、電流検出用抵抗の値が
バラツクため、本来ループAが補正すべき電流検出用抵
抗のゲインのバラツキをループBが補正してしまう結果
になる。
【0095】このバラツキを状態量の次元で言えば加速
度(=アクチュエータに流れる電流値)であるから、ル
ープBの本来速度(=逆起電力)を示す部分に加速度情
報が混入してしまうという問題がある。
【0096】このように、本発明の状態推定器において
は、2つのフィードバックゲインの各々補正すべき状態
量が決まっているため、両方同時にゲインを無限大にす
ると上記の理由から正常な状態推定ができなくなる。そ
こで、2つのフィードバックゲインF1 (ブロック40
8),F2 (ブロック409)のゲインのみならず、そ
の比が、状態推定器設計の重要なポイントになる。
【0097】本発明のヘッドアクチュエータの構成は、
前述の通り図5のようであり、その変位/周波数の特性
は図7のようになっている。
【0098】ここで、負荷外乱に対して振動しやすいの
は1次共振周波数であるのは明らかなので、前記ループ
Bが支配的に補正すべき帯域は1次共振周波数を中心に
したその付近の帯域であることがわかる。
【0099】また、ループAが支配的に補正すべき帯域
は、電流検出用抵抗のバラツキ、すなわち直流成分を含
む1次共振周波数以下の帯域であれば十分であることが
わかる。
【0100】以上のことから、ループAおよびループB
は各々補正する状態量が異なっており、また補正すべき
帯域が各々異なっているため、各々のループが支配的に
働く帯域を分割すればこの問題は解決する。
【0101】例えば、ループAを全周波数についてハイ
ゲインしたときには、ループBは1次共振周波数を含む
その付近の帯域がループAよりハイゲインになるように
構成すれば良い。
【0102】〔第2実施例〕図8はこの問題を解決する
ために、上記ループBは誤差信号を補償フィルタ413
を介してフィードバックするようにした第2実施例を示
すものである。図9〜図11は、この第2実施例におい
て用いられている上記補償フィルタ413の周波数特性
をそれぞれ示したものである。
【0103】この実施例では、ループBは外乱力によっ
て引き起こされる1次共振周波数の励起振動のダンピン
グを受け持てば良いので、補償フィルタ413は、図9
に示すようなアクチュエータCの1次共振周波数が中心
周波数であるバンドパスフィルタであることが好適であ
り、1次共振周波数での位相シフトがないものであるこ
とが望ましい。
【0104】また、場合によっては、補償フィルタ41
3はハイパスフィルタによって構成されても良い。この
場合においてもF(s) (ブロック413)の特性として
は図10に示したようにアクチュエータCの1次共振周
波数においても位相シフトがないように構成することが
望ましい。
【0105】また、ループBを全周波数についてハイゲ
インにしたときには、ループAは直流成分を含む低周波
帯域がループBよりハイゲインになるように構成すれば
よく、この場合には、ループAは補償フィルタ413を
介してフィードバックする構成とする。この補償フィル
タ413としては、図11図示のように、カットオフ周
波数が1次共振周波数より低く選ばれたローパスフィル
タを用いるのが好適である。
【0106】よって以上のように構成された状態推定器
Pは、アクチュエータ駆動電流の検出系のゲイン変動や
アクチュエータC自身の特性変動に対しても、また負荷
外乱振動が加わっても、正確な速度を推定することが可
能であり、この推定速度をブロック412のKF でフィ
ードバックすることにより、低域のゲイン変動のない効
果的なダンピングが可能になる。
【0107】前述のように、図7はダンピングを施す前
のアクチュエータCの変位/電圧の周波数特性図を示す
ものであるが、この第2実施例によるダンピングを施す
と図12図示のように改善される。
【0108】すなわち、低域ゲインの変動はなく、1次
共振周波数だけが効果的に制振されていることが確認さ
れる。また、上述の通り、アクチュエータ駆動電流の検
出系のゲイン変動が50%以上あっても、何ら特性変化
なく同様にダンピングをかけることが可能である。
【0109】また、本発明は、図13で示すように、負
荷外乱による励起振動についても、効果的にダンピング
可能である。このようなアクチュエータダンピングを実
現させる電気回路は図14に示されている。
【0110】この図14において、図8に示した伝達関
数ブロック間の演算をオペアンプによるアナログ演算回
路で実現している。各オペアンプに付けられた番号は、
図8に示したブロックの番号に相当する役割をする。
【0111】なお、図14で示した回路はあくまでも一
例であって、図8の考え方を実現させるものであれば他
の如何なる構成をとってもよい。また、この例ではアナ
ログ回路で構成した例を示したが、マイクロプロセッサ
やDSPなどを用いてディジタル演算を行うように構成
することができることはいうまでもない。
【0112】もし、電流検出用抵抗Rの精度が高く、電
磁駆動型アクチュエータC自身の特性変動が少ない場合
や、その変動によるダンピング後の特性変動が実際の動
作上問題ないレベルである場合は、さらに安価で簡単な
システム構成とすることが可能である。
【0113】〔第3実施例〕図15は、そのような場合
における本発明の第3実施例を示す図である。図15に
おいて、可動ヘッド位置制御装置は、電磁駆動型アクチ
ュエータCの磁束が無い場合もしくは可動コイル固定時
の電圧−電流特性、すなわち、逆起電力を含まないアク
チュエータの駆動電流を推定するための電磁駆動型アク
チュエータCのインピーダンス特性を電気的に模擬した
LPF400′と、逆起電力を含んだアクチュエータ駆
動電流と推定された逆起電力を含まないアクチュエータ
駆動電流とを比較する差動アンプ410′とを含んでい
る。
【0114】図16は、図15に示したこの第3実施例
を制御理論のブロック線図で表したものである。図16
において、等価回路400´のインピーダンス特性の逆
特性Z'(S)は駆動コイル202のコイルリアクタンスを
含むインピーダンス特性を電気回路にて模擬した1次フ
ィルタで構成される。
【0115】もし、コイルリアクタンスによる位相シフ
トのカットオフ周波数が制御したい帯域より、例えば1
0倍以上のように充分高い場合には、上記インピーダン
ス特性の逆特性Z'(S)は単なるゲインとなり、周波数特
性を持たない構成とすることも可能である。
【0116】また、減算器410′は上述した差動アン
プOを減算ブロックで表したものであり、伝達係数KF
(ブロック412′)は推定速度をフィードバック制御
する際のゲインを示す伝達係数である。なお、この第3
実施例において、前述した第2実施例の構成要素と同一
の構成要素には同一符号を付して、説明を省略する。
【0117】図15、および図16に示すヘッド駆動ア
クチュエータダンピング装置においては、アクチュエー
タ駆動電流検出系の誤差が少ないことを前提としている
ので、検出された逆起電力を含むアクチュエータ駆動電
流と電気回路400′にて推定された逆起電力を含まな
いアクチュエータ駆動電流とを単純に減算器410′で
比較すれば、逆起電力を小さな誤差で取り出すことがで
きる。
【0118】この逆起電力(すなわち、推定速度)を第
1実施例と同様に、あるフィードバックゲインKF (ブ
ロック412′)によってフィードバックすれば、前述
した第1実施例と同様の効果が得られる。
【0119】図17は、図16のヘッド駆動アクチュエ
ータダンピング装置の構成を、電気回路にて実現した実
施例である。図3の場合と同様、オペアンプに付与され
た番号は図16における同一番号のブロックの働きに相
当する部分を示す。
【0120】また、図3の場合と同様に、これは単なる
実施例であって、図16の構成を実現するいかなる電気
回路構成でもよく、例えば、デジタル回路で実現しても
同様の効果が得られることはいうまでもない。
【0121】〔第4実施例〕次に、電流検出用の抵抗の
抵抗値のバラツキにも対応できるようにした第4実施例
に付いて説明する。なお、上記した第3実施例で示した
システムにおいても、ある程度まで(例えば、10%〜
20%程度)の電流検出用抵抗のバラツキについては許
容することができる。
【0122】図18において、BPF413は電磁駆動
型アクチュエータCの1次共振周波数を中心周波数に持
つバンドパスフィルタである。このBPF413の構成
を制御理論の伝達関数表示によるブロック線図にすると
図19のようになる。
【0123】この実施例では、前記第3実施例における
推定速度を、中心周波数が電磁駆動型アクチュエータC
の共振周波数のバンドパスフィルタF(s) (ブロック4
13)を介して、ブロック412′のゲインKF でフィ
ードバックする構成になっている。
【0124】このバンドパスフィルタF(s) (ブロック
413)は、例えば、カットオフ周波数が電磁駆動型ア
クチュエータCの共振周波数、もしくはその共振周波数
付近に選ばれた一次のハイパスフィルタと一次のロース
パスフィルタによって実現することができる。
【0125】例えば、電流検出用抵抗のパラツキによっ
てゲイン変動が生じて、推定速度信号にアクチュエータ
駆動電流の情報が混入する場合を以下考える。この場
合、推定速度の共振周波数より十分低い帯域である低域
成分は、低域では速度情報が小さいことから、主にアク
チュエータ駆動電流の成分が支配的になる。さらに低域
においては位相シフトがないため、推定速度の誤差は位
置の情報を表すことになる。よって、この情報をそのま
まフィードバックすると前述の通り低域にてゲイン変動
が生じてしまう。
【0126】ここで、低域では推定速度は位置情報に置
き換っていることは明らかなので、低域のみを微分する
ハイパスフィルタによって、速度情報に補正してやれば
よいことがわかる。
【0127】さらに、ダンピングに直接関係しない1次
共振周波数より高い帯域の推定速度は直接ダンピングに
寄与しないので、電磁駆動型アクチュエータCの1次共
振周波数をカットオフ周波数とするローパスフィルタに
て積分してやることが安定性向上のために効果的であ
る。すなわち、ハイパスフィルタおよびローパスフィル
タの機能を同時に行うバンドパスフィルタ413によっ
て推定速度を補正することが効果的である。
【0128】このバンドパスフィルタ413の中心周波
数は電磁駆動型アクチュエータCの1次共振周波数と同
様に選択し、1次共振周波数での位相シフトがないよう
に構成することが望ましい。
【0129】また、場合によっては、バンドパスフィル
タ413はハイパスフィルタのみによって構成されても
よい。この場合においても、バンドパスフィルタ413
の特性F(s) は電磁駆動型アクチュエータCの1次共振
周波数においても位相シフトがないように構成すること
が望ましい。
【0130】このように補正された推定速度をフィード
バックすれば、部品バラツキが少々あっても、第1の実
施例と同様に、低域ゲインの変動が少ないダンピング効
果が得られる。但し、電磁駆動型アクチュエータCの1
次共振周波数付近の特性は多少変動するが、低域特性が
支配的な使用例、例えば特殊再生にのみ電磁駆動型アク
チュエータCが用いられる場合などは、使用上にはまっ
たく問題が無い。
【0131】図20は、図18、および図19に示すヘ
ッド駆動アクチュエータダンピング装置の構成を電気回
路にて実現した一実施例である。図3の場合と同様、オ
ペアンプに付加された番号は、図19に示す同一番号の
ブロックの働きに相当する部分を示す。また、同様にこ
れは単なる実施例であって、図19の構成を実現するも
のであるならば、いかなる電気回路構成でもよく、デジ
タル回路で実現しても同様の効果が得られることはいう
までもない。
【0132】以上に説明した実施例におけるアクチュエ
ータのダンピングに付いては、特殊再生時などアクチュ
エータを大振幅で駆動する場合、大きな電流が駆動コイ
ルに流れるために駆動コイルが発熱してしまう。この場
合、発熱により駆動コイルのインピーダンスが変化する
ために、アクチュエータの変位/電圧の感度が変化する
という問題があった。
【0133】〔第5実施例〕そこで、これを補償するよ
うにした第5実施例に付いて説明する。先に説明した実
施例では制御信号を電圧として与えていたが、実際電磁
駆動型アクチュエータCを動作させる状態量は電流であ
るから、電磁駆動型アクチュエータCの駆動電流を制御
電圧に倣うように制御系を構成すればよい。
【0134】これは一般に電流ドライブと呼ばれる方法
であって、アクチュエータ駆動電流を測定し、その信号
をアクチュエータ制御電圧にハイゲインでフィードバッ
クすることで実現される。
【0135】ここで注意しなくてはならないことは、例
えば、電流検出用抵抗Rによって、アクチュエータ駆動
電流を検出すると、検出されたアクチュエータ駆動電流
は逆起電力を含んでいるという点である。
【0136】この逆起電力を含んだアクチュエータ駆動
電流をアクチュエータ制御電圧にフィードバックする
と、コイルインピーダンス変化は補償されるが、同時に
電磁駆動型アクチュエータC自身の逆起電力によるダン
ピング効果をも補償してしまうようになる。
【0137】従って、逆起電力を含んだアクチュエータ
駆動電流をフィードバックすると、アクチュエータの逆
起電力によるダンピング効果がなくなるため、機械共振
ピークゲインが逆に大きくなる。
【0138】この大きくなった機械共振ピークゲインを
効果的にダンピングするには、前述した実施例で説明し
たダンピングループの内側に電流帰還ループを付加すれ
ばよい。このように構成すれば、これら2つのループの
相関がほぼ無視できる。
【0139】この実施例の構成を図21,図22,およ
び図23に示す。この図21,図22,図23では、前
述の実施例のシステムを示した図1,図15,図18図
示の構成にそれぞれアクチュエータ駆動電流をフィード
バックする電流帰還ループがダンピングループの内側に
増設されている。
【0140】図21,図22,図23を各々制御理論の
伝達関数表示によるブロック線図で表すと、図24,図
25,図26に示すようになる。図において、ブロック
701の伝達係数KI は電流帰還ループフィードバック
ゲインを表すものであり、減算ブロック702は減算器
である。
【0141】図24,図25,図26の各々の実施例の
ダンピング方法についての詳細は既に述べたので省略す
る。
【0142】この実施例のシステムは、電流帰還ループ
を新たにダンピングループの内側に設けたので、アクチ
ュエータの駆動コイル202の発熱などによるコイルイ
ンピーダンス変化に伴う変位/電圧直流感度変動を補償
可能で、かつ、大きなダンピングをかけることが可能と
なる。
【0143】なお、上記実施例のドライブアンプDは電
流駆動型のものを用いたが、電圧駆動型のドライブアン
プ構成にしても同様の効果が得られる。
【0144】図27,図28,図29は、図24,図2
5,図26の構成をそれぞれアナログ電気回路にて実現
した実施例である。これらのアナログ回路のオペアンプ
にそれぞれ付加された番号は、図24,図25,図26
に示される同一番号のブロックの働きに相当する部分を
示す。また、これらは単なる実施例であって、図24,
図25,図26の構成を実現するものであるならばいか
なる構成でもよく、デジタル回路で実現しても同様の効
果が得られることはいうまでもない。
【0145】以上に述べた第5実施例では、電流検出用
抵抗Rによって検出された逆起電力を含むアクチュエー
タ駆動電流をフィードバックすることによって、アクチ
ュエータ自身の加熱などによる経時変化を補償する方法
に付いて述べた。
【0146】〔第6実施例〕この第6実施例では、第1
実施例の状態推定器Pが逆起電力を含まないアクチュエ
ータ駆動電流を推定可能なことに着目して、この推定電
流がアクチュエータ制御電圧指令値にならないように、
電流としてフィードバックされるフィードバック制御ル
ープを構成する。
【0147】この場合、フィードバックする電流信号に
は逆起電力の情報が含まれていないため、電流帰還する
ことによって電磁駆動型アクチュエータCのダンピング
特性に何等の影響も与えない。
【0148】図30はこの第6実施例の概略図であっ
て、状態推定器Pからの逆起電力を含まない電流をダン
ピング信号が混入したアクチュエータ制御電圧にフィー
ドバックする構成となっている。
【0149】図31はこの図30図示の実施例を制御理
論による伝達関数表示したブロック線図であり、その構
成は、図1で示した実施例のダンピングシステムに、新
たに電流帰還ループが設けられた構成となっている。
【0150】状態推定器Pからの逆起電力を含まないア
クチュエータ駆動電流にコイルインピーダンス変化の逆
数をかけた信号、これはすなわち状態推定器のアクチュ
エータ駆動電圧になるが、これを取り出し、ダンピング
信号が混入したアクチュエータ制御電圧と減算器700
において比較されて誤差信号が作られる。
【0151】誤差信号はブロック701のゲインKIに
よって増幅され、加算器702にてダンピング信号が混
入したアクチュエータ制御電圧に加算される。
【0152】上記のように電流ループを構成すると、図
31中にAで示した逆起電力を含まないアクチュエータ
駆動電流が同図中のBのダンピング信号が混入したアク
チュエータ制御電圧に倣うために、結果として電磁駆動
型アクチュエータCは電流ドライブと等価となって、コ
イルのインピーダンス変化を補償することが可能とな
る。またその際、この電流帰還ループはダンピングルー
プに何等影響しないため、電磁駆動型アクチュエータC
のダンピング特性は何等変化しないという効果がある。
【0153】図32は、図31の構成を電気回路にて実
現した実施例である。図3の場合と同様、オペアンプに
付加された番号は図31に示される同一番号のブロック
の働きに相当する部分を示す。また同様に、これは単な
る実施例であって、図31の構成を実現するものである
ならば、いかなる電気回路構成でもよく、デジタル回路
で実現しても同様の効果が得られることはいうまでもな
い。
【0154】〔第7実施例〕上述の実施例において制御
対象となったアクチュエータは、図5で示したような特
性の比較的制御性の良好な物であったが、本発明を適用
すれば、より制御性の劣悪なアクチュエータについても
実用化が可能となる。
【0155】図33に示した様な構成のアクチュエータ
に、本発明を適用した実施例を以下に説明する。なお、
図33図示のアクチュエータの構成において、図5と同
一の構成要素については同一符号を付して、その説明を
省略する。
【0156】図33に示すアクチュエータは、図5で示
したアクチュエータから永久磁石209もしくは210
を取り去った構成となっている。高価な永久磁石が一つ
不要になったこと、ならびに組立性の向上からの歩留り
の向上によって、図5の構成と比べ、かなり安価に生産
することが可能である。
【0157】しかしながら、本来2つあった永久磁石を
1つにしたため、センタヨーク211と円筒状ヨーク2
05間の磁束密度、即ち、駆動コイルを横切る磁束密度
が低くなり、逆起電力による磁気的なダンピング効果が
少なくなる。結果として、このアクチュエータの変位/
電圧の周波数特性は、図34に示されるように、1次共
振のピークゲインが非常に高くなり、制御性が劣化す
る。
【0158】この大きくなった共振ピークゲインを効果
的にダンピングするには、前記した第2実施例で説明し
た電気的なダンピングループを付加すれば良い。こうす
れば、従来不可能であった大きなダンピングが可能にな
るため、このような制御性の劣悪なアクチュエータにお
いても、高価な制御性の良いアクチュエータかのように
使用することができる。この実施例のアクチュエータダ
ンピング方法については、第1ならびに第2実施例につ
いて既に詳細に述べたと同様であるので、説明を省略す
る。
【0159】図35は、上述した電磁駆動型アクチュエ
ータと同様に使用することができる電磁駆動型アクチュ
エータの他の例を示すものである。
【0160】また、このアクチュエータの問題として、
上記のように磁束密度が減少し、駆動コイル202が従
来の物と同等であれば駆動力が減少するために電流感度
が劣化する。この様なアクチュエータを特殊再生の様な
大振幅動作を必要とする用途に用いる場合には大電流を
流さねばならず、発熱の点から問題となる。
【0161】この問題を解決するには、アクチュエータ
のバネ/質量系のバネ剛性を弱くすれば良い。こうすれ
ば小さい電流でも、換言すれば小さい駆動力でも、大き
な振幅を得ることができる。しかしながら、バネ剛性が
弱くなれば、図36に示すようにバネ・質量系で決まる
共振周波数が低くなるために応答性が劣化する。通常再
生時のトラッキング制御にアクチュエータを使用する場
合には、前述の通り制御帯域が狭くなるため問題にな
る。
【0162】このように電磁駆動アクチュエータにおい
ては、振幅(可動範囲)と応答性(制御帯域)とはトレ
ードオフの関係にあるため、従来の制御方式では両者を
両立させることは不可能であった。
【0163】この実施例においては、アクチュエータの
位置をフィードバックして、見かけの共振周波数を電気
的に高く設定することでこの問題を解決した。しかも、
アクチュエータの位置センサは不要で、安価な外付けの
電気回路からの推定位置を用いて制御することができ
る。
【0164】図37は、この実施例によるアクチュエー
タ制御装置を示す概略図である。Pは状態推定器であ
り、図8に示した第2実施例の状態推定器と同一の構成
を有している。
【0165】この実施例のアクチュエータ制御装置は、
状態推定器Pからの推定位置をアクチュエータ制御電圧
にフィードバックすることで、見かけの機械共振周波数
を高く設定可能な構成になっている。
【0166】図38は、図37を制御理論の伝達関数表
示したブロック図である。414は状態推定器Pからの
推定位置をKI 倍する増幅器、Qはアクチュエータ制御
電圧と第2実施例で説明した推定速度増幅器412から
の信号ならびに増幅器414からの信号との差をとる減
算器である。
【0167】ここで、位置フィードバックによって共振
周波数を高く設定する原理を図39を参照しながら説明
する。図39において、アクチュエータCの伝達関数を
G(s) とすると、この図39から次式のように表わされ
る。 G(s) =Z(s) ・KA /(mS・S+KA ・KG S+
k)
【0168】いま仮にアクチュエータCの位置が検出で
き、KI なるゲインでフィードバックした場合の伝達関
数をG1 (s) とすると、次式となる。 G1 (s) =Z(s) ・KA /(mS・S+KA ・KG ・S
+(k+Z(s) ・KA・kI ))
【0169】上記2式を比較すれば、分母多項式のsの
零次の項が変化することがわかる。この項は、アクチュ
エータCの機械特性のバネ剛性を表わすものであるか
ら、電気的に位置をフィードバックすることで、機械特
性であるバネ剛性が見かけ上(Z(s) ・KA ・KI )だ
け高くなることがこれらの式から容易に理解できる。
【0170】機械共振周波数fは、アクチュエータCの
可動部質量をm,バネ定数をkとすれば、 f=(1/(2π))・(k/m)1/2 で与えられる。ここで位置フィードバックによって見か
けのバネ定数を大きく設定できるので、機械共振周波数
も高く設定でき、アクチュエータの機械的な応答特性を
電気的に改善することができる。
【0171】図38は、アクチュエータCの機械特性
を、電気的な位置ならびに速度フィードバックによって
改善できる制御方式のブロック線図である。図38にお
いて、Pは第2実施例で説明した状態推定器と同一の構
成の状態推定器である。
【0172】既に述べたようにこの状態推定器Pは速度
のみならず位置も推定可能であるため、第2実施例の制
御系に新たに状態推定器Pからの推定位置をフィードバ
ックするループを設けた構成となっている。よって、状
態推定器Pならびに速度フィードバックによるダンピン
グ制御の詳細な説明は省略する。
【0173】ここで、前述の通り、状態推定器P内の積
分器403の出力はアクチュエータCの位置に相当して
おり、推定位置信号として取り出すことができる。よっ
て、この推定位置信号を増幅器414にてKI 倍して、
アクチュエータ制御電圧から減算器Sで引いてやれば、
位置フィードバックループが構成できる。
【0174】前述のように、この位置フィードバックに
よって、バネ定数を(k) から(k+Z(s) ・KA ・KI
)に大きくすることができる。例えば、図36は図3
3で示されたアクチュエータの位置/電圧の周波数特性
である。小さい駆動力で大振幅動作できるようにバネ剛
性を下げたために、共振周波数が低く、制御性が悪い特
性をしている。
【0175】この様なアクチュエータに本実施例の電気
的な位置フィードバックを施せば、図40のように共振
周波数を高く設定することが可能となる。位置フィード
バックだけでは機械的なバネ剛性が見かけ上高くなるだ
けなので、共振ピークゲインは高くなり振動し易いアク
チュエータとなる。そこで第2実施例で示したダンピン
グを施せば、図41のような非常に制御性の良好なアク
チュエータに特性を改善できる。
【0176】図42は、図38で示した制御系をOPア
ンプによるアナログ電気回路で実現した一例である。な
お、同図において、図38の各ブロックに対応する回路
構成には同一の符号を付してある。
【0177】この回路は、OPアンプによる簡単な加算
器,減算器,積分器,一次フィルタで構成されており、
各OPアンプの抵抗値ならびにコンデンサ容量値を図3
8に示した関係を満足するように予め所定値に選択する
ことで、任意のアクチュエータに対しても良好に設定可
能である。
【0178】図42で示した回路は、あくまで一例であ
って、図38の方式を実現させる物であれば、他の如何
なる構成であっても良く、例えばマイクロプロセッサや
DSPなどを用いてソフトウェアでディジタル演算にて
実現できることはいうまでもない。
【0179】〔第8実施例〕前記した第7実施例は、可
動範囲を広くするためにアクチュエータバネ剛性を弱く
して電気的にバネ剛性をあげ、加えて電気的にダンピン
グすることで特性改善する方法について説明した。この
第8実施例は第7実施例を含む電磁駆動方アクチュエー
タの負荷外乱に対する剛性を改善できるように構成した
ものである。
【0180】図43は、この実施例の構成を示す図であ
る。図37に示した第7実施例に新たに外乱フィードフ
ォワードループを設けた構成になっている。図44は、
図43の模式図を制御理論のブロック線図で示したもの
である。ブロック415はKD なるゲインの増幅器であ
り、その他の構成ブロック要素は前述した実施例と同一
であるため同一符号を付して説明を省略する。
【0181】まず、状態推定器PがアクチュエータCの
負荷外乱を推定する原理を図44を参照しながら説明す
る。アクチュエータCに作用する負荷外乱の次元は加速
度(もしくは力)であるから、図44で言えば力定数3
01の出力ノードの部分となる。要するに負荷外乱は減
算ブロック307に加算される形になる。すなわち、磁
気回路に電流が流れることによって発生する力とアクチ
ュエータバネ剛性による反発力と負荷外乱力との力の釣
合が減算ブロック307にて表わされている。
【0182】前述の第2実施例で説明した状態推定器P
(図8参照)をみると、アクチュエータの特性を示した
ブロック2における減算ブロック307に対応するの
は、状態推定器Pの減算ブロック407であり、負荷外
乱に相当するノードは伝達係数F1 (ブロック408)
の出力ノードであることは容易に理解できる。
【0183】すなわち、状態推定器Pを電気回路にて実
現し、伝達係数F1 (ブロック408)の出力ノードに
相当する場所の信号を取り出せば、負荷外乱がセンサを
用いることなく容易に検出できる。
【0184】したがって、この実施例では、状態推定器
Pにて検出された推定外乱を増幅器415にてKD なる
ゲインで、アクチュエータ制御電圧から減算ブロックQ
にて引き、外乱フィードフォワードループを構成する。
【0185】このループはアクチュエータCに作用する
負荷外乱を打ち消すように電気的に負荷外乱と逆相の信
号をフィードフォワードするので、アクチュエータCは
あたかも負荷外乱が作用していないかのように動作させ
ることが可能となる。なお、外乱ループのループゲイン
はフィードフォワードループであるから、増幅器415
のゲインKD は1未満になるように選択される。
【0186】この第8実施例の効果を図45に示す。こ
の図45の(a) 図はアクチュエータCに第2および第7
実施例で示したダンピング制御を十分施した系に、30
Hzの周期的な負荷外乱力を作用させたときのアクチュ
エータCの位置変動の様子を示した特性であり、同図
(b) はこの実施例によって得られた特性である。
【0187】外乱制御を施さない(a) 図の場合は周期外
乱によってアクチュエータCは周期振動しているが、こ
の実施例によって外乱制御を施すと、(b) 図のように周
期振動の振幅が大幅に減少し、負荷外乱に対する剛性が
増したことが確認できる。
【0188】このように、この第8実施例によれば、機
械的剛性の低いアクチュエータを電気的に剛性の高い特
性に改善することが可能になる。
【0189】図46は、図44で示した制御系をOPア
ンプによるアナログ電気回路で実現した一例である。な
お、同図において、図44の各ブロックに対応する回路
構成には同一の符号を付してある。
【0190】この回路は、OPアンプによる簡単な加算
器,減算器,積分器,一次フィルタで構成されており、
各OPアンプの抵抗値ならびにコンデンサ容量値を図2
8の関係を満足するように予め所定値に選択すること
で、任意のアクチュエータに対しても良好に設定可能で
ある。
【0191】図46で示した回路は、あくまでも一例で
あって、図44の制御系を実現させる物であれば、他の
如何なる構成であっても良く、例えばマイクロプロセッ
サやDSPなどを用いてソフトウェアでディジタル演算
にて実現できることはいうまでもない。
【0192】〔第9実施例〕従来の可動ヘッド位置制御
装置は、磁気ヘッドのデッキベースからの絶対高さを制
御しようとすると、交流磁界発生用コイルの取付精度が
きびしくなる。また、可動ヘッドアクチュエータの可動
部剛性を考慮しないと、1回転のうちの1箇所でしかヘ
ッド高さを検出していないため、振動などにより1回転
内の可動ヘッドの軌跡が曲がってしまうなどの問題があ
った。
【0193】この第9実施例は、上記のような問題点を
解消するためのもので、可動ヘッドが位置決めされるべ
き絶対高さ(デッキベースからのヘッド高さ)に、交流
磁界発生コイルの取付精度に無関係に制御でき、1回転
内の可動ヘッドの高さずれや振動をも抑えて、様々なト
ラックフォーマットの磁気テープ装置において可動ヘッ
ドに理想的なトラック軌跡を形成させることができる可
動ヘッドの位置制御装置を得るためのものである。
【0194】これによって、可動磁気ヘッドを記録のた
めと特殊再生を含めた再生のためとに兼用させることが
できるので、この実施例は、回転ドラムに設けるべきヘ
ッドの数を減少させて価格を低下させることができるば
かりでなく、小型化が容易になるなどの優れた効果が得
られるものである。
【0195】最初に従来の可動ヘッドの構造例について
説明する。図82は従来の磁気記録再生装置の主要部を
示す断面図、図83は台座を取り除いた図82の83−
83線での断面図である。
【0196】図において、1は固定ドラム、2はこの固
定ドラムに取り付けられた軸受、3はこの軸受2に支承
されて回転する回転軸、4はこの回転軸3の一端に嵌着
された台座、5はこの台座4にネジ6を用いて取り付け
られた回転ドラム、7は回転ドラム5にネジ8を用いて
取り付けられたアクチュエータ、9は固定ドラム1に取
り付けられた下トランス、10は台座4に取り付けられ
た上トランス、11は回転ドラム5に取り付けられた配
線板、12はアクチュエータ7に制御電流を供給するた
めの回転しない接触子、13は接触子12に摺接するよ
うに台座4の一部に設けた回転する電極、14は接続部
で、前記電極13から接続部15および配線板11を経
由してアクチュエータ7に電気接続する接続部、Hはア
クチュエータ7に取り付けられている磁気ヘッド(以
下、「可動ヘッド」、という)であり、接続部17、配
線板11、接続部15を経てアクチュエータ制御部に電
気的に接続されている。
【0197】18はアクチュエータ7を収納するため回
転ドラム5の一部に設けた凹所であり、可動ヘッドHの
位置調整ができるようにアクチュエータ7より大きく形
成されている。19は可動ヘッドHの位置調整のための
複数の位置調整用孔、20は磁気テープで、固定ドラム
1および回転ドラム5の外周面に巻きつけられて走行
し、可動ヘッドHと摺接する。
【0198】図84はアクチュエータ7の平面図、図8
5は図84の85−85線での断面図、図86は図84
の86−86線での側面図で、21は磁性材料からなる
第1ヨーク、22は第1ヨーク21に固着された柱状の
第1永久磁石、23は内周の一部に凸形状部23bを有
していて第1ヨーク21に取り付けられた磁性材料から
なる第2ヨーク、24は第2ヨーク23に取り付けられ
た磁性材料からなる第3ヨーク、25は第1永久磁石2
2と同一の磁極を対向させて第3ヨーク24に固着され
た柱状の第2永久磁石、26は第2永久磁石25と第1
永久磁石22の間にあって、いずれか一方に固着された
磁性材料からなるポールピース、27は薄板の非磁性材
料からなる板バネであって、第1ヨーク21と第2ヨー
ク23で周縁が挟持されて保持されるとともに、その延
在部27aが第1ヨーク21および第2ヨーク23に設
けられている窓21a,23aを通って外方に突出して
おり、その先端に可動ヘッドHが取付けられている。
【0199】28は薄板の非磁性材料からなる板バネ
で、第2ヨーク23と第3ヨーク24で挟持されて保持
されている。29は板バネ27、28にそれぞれ保持さ
れている固定部材、30はボビンで、内周が第1永久磁
石22、第2永久磁石25およびポールピース26の外
周との間にギャップを有する位置において固定部材29
に接着剤32を用いて固着されている。31はこのボビ
ン30に巻回された被覆材を有する電線からなるコイル
で、第2ヨーク23の凸形状部23bとの間で形成され
ている環状のギャップG内に保持されている。
【0200】図87は、回転ドラム5に搭載されている
磁気ヘッドを現行VHSフォーマットに基づいた磁気テ
ープ装置の場合についてみたもので、可動ヘッドHは記
録されている映像情報を早送り再生したり、スロー再生
したりする特殊再生モード専用の一対の磁気ヘッドとし
て用いられる。
【0201】35はビデオテープに長時間の映像情報を
録画するため、狭いトラック幅の長時間モード用の一対
のEPヘッド、36は、通常の映像情報を録再用のトラ
ック幅の広い一対のSPビデオヘッド、37はオーディ
オ情報を録再するための一対のオーディオヘッド、38
は、つなぎ録りの時に記録トラックを1本づつ消去する
ためのフライングイレーズ(FE)ヘッドである。
【0202】図88は第1の従来の制御系のブロック回
路図、図89はこの従来例の磁界発生装置の配設位置を
示す斜視図である。図において、40は可動ヘッドHに
周波数の異なる2つの磁界Bf1,Bf2 をあたえる交流
磁界発生装置であって、この交流磁界発生装置40は磁
気テープ20が巻き付けられていない側の回転ドラム5
と固定ドラム1の外周面に沿う位置に配設されており、
その位置は調整可能に構成されている。
【0203】この交流磁界発生装置40は回転ドラム5
の軸方向に2つの交流磁界発生コイル45、45aが回
転軸方向に配列されており、それぞれ異なった周波数f
1 ,f2 の磁界Bf1,Bf2 を発生するように構成され
ている。42はf1 の成分を通過させるバンドパスフィ
ルタ、43はf2 の成分を通過させるバンドパスフィル
タ、44は差動アンプである。
【0204】可動ヘッドHは、交流磁界発生装置40の
近傍を通過するたびに交流磁界発生コイル45,45a
によって形成されている磁界Bf1,Bf2 を検出し、そ
の磁界の強さに比例した検出信号を出力する。バンドパ
スフィルタ42は周波数f1 の信号成分Sを通過させ、
バンドパスフィルタ43は周波数f2 の信号成分Tを通
過させる。
【0205】この2つの信号成分S,Tのレベルは、図
90に示すように、可動ヘッドHを回転ドラム5の軸方
向に移動させたとき、つまり可動ヘッドHの高さ位置の
変化に伴って変化する。
【0206】いま、この2つの信号成分S,Tが同じレ
ベルとなる可動ヘッドHの高さ位置をmとし、そのとき
の両信号成分S,TのレベルをUとする。図88の減算
器44はこの2つの信号成分S,Tを減算してその差を
とり、その差分信号をアクチュエータCにフィードバッ
クし、その差分が零となる方向に可動ヘッドHを移動さ
せる。
【0207】つまり、図90において2つの信号成分S
とTが同じレベルとなるように、すなわち可動ヘッドH
の高さ位置がmになるように可動ヘッドHを移動させ
る。交流磁界発生コイル45,45aの位置などを変え
ることによって2つの信号成分SとTの交点Uの位置を
変えることができ、可動ヘッドHの高さ位置mを変える
ことができるので、可動ヘッドHの高さの基準位置を自
由に定めることができる。
【0208】なお、上記従来例では一つの可動ヘッドの
制御について説明したが、複数の可動ヘッドHa,Hb
を備えた装置では、各可動ヘッドHa,Hbについて同
様の制御動作を行うことによって各可動ヘッド記録時の
チャンネル間の段差をなくすことができる。
【0209】図91は第2の従来例のブロック回路図で
あって、46は発振コイル45に電流を供給するドライ
バ、47は交流電圧を発生するための発振回路である。
48,49は回転ドラム内の磁気ヘッドと信号を受けわ
たしするためのロータリートランス、50,51はオー
ディオヘッドおよびビデオヘッドからの信号を増幅した
り記録電流を供給するための録音再生アンプ、52は回
転ドラム5内に固定されたヘッドであるオーディオヘッ
ド37から再生される発振コイル45からの電磁誘導に
よる信号のみを通過させるバンドパスフィルタ、53は
可動ヘッドHから再生される発振コイル45からの電磁
誘導による信号のみを通過させるバンドパスフィルタ、
54は回転ドラム5の1回転おきに再生されるオーディ
オヘッド37からの発振コイル45の電磁誘導出力の増
幅値をホールドするためのサンプルホールド回路、55
は回転ドラム5の1回転おきに再生される可動ヘッドH
からの発振コイル45の電磁誘導出力の増幅値をホール
ドするためのサンプルホールド回路、56はサンプルホ
ールド回路54,55の差を取るための差動アンプ、5
7は位置固定制御ループにおける安定性を確保するため
のローパスフィルタなどで構成されるサーボ補償回路、
58はアクチュエータ7に駆動電流を供給するためのド
ライバである。
【0210】図92は交流磁界発生コイル45の断面図
で、45cはコイル磁束を集中させるための磁心、45
Uは交流電流を流し磁心45cに交流磁束を発生させる
ためのコイル、45Lはコイル45Uと磁界の発生の向
きが逆になっているコイル、45bはコイル45Uおよ
び45Lを収納するためのコイルホルダ、100は交流
磁界発生コイル45を固定するための取付け部材であ
る。図93はこの交流磁界発生コイル45の発生磁束方
向を図示したものである。
【0211】第2の従来例は、図94に示すように、交
流磁界発生コイル45の2つのコイル45U,45Lで
発生した周波数f1 の交流磁束は対向する部分で反発
し、上下方向に対して磁束密度の高い部分と低い部分と
が形成される。
【0212】この交流磁束は、可動ヘッドHやオーディ
オヘッド37がその交流磁界内を通過したとき再生さ
れ、ロータリートランス48,49を介して再生アンプ
50,51より再生される。
【0213】このとき、発振回路47の発振周波数f1
は、ロータリートランス48,49の低周波側の周波数
特性に起因する減衰周波数限界以上で、かつ交流磁界発
生コイル45のインダクタンスにより駆動電流が供給し
にくくなる周波数以下の周波数に選定される。
【0214】一般的にはロータリートランス48、49
の減衰周波数限界は数10kHz〜100kHzとなっ
ており、例えばコイル45U,45Lの巻数が数百ター
ンでインダクタンスによる減衰開始周波数が1MHzあ
るとすると、発振周波数f1は、例えば100KHz<
1 <1MHzの間に選定される。
【0215】図91において、磁気ヘッドH,37が交
流磁界発生コイル45の近傍を通過するときに再生アン
プ50、51から出力される周波数f1 の再生信号の振
幅は次のようになる。
【0216】仮に交流磁界発生コイル45の2つのコイ
ル45U,45Lの中間の位置がオーディオヘッド37
のヘッド高さ位置もしくは可動ヘッドHの中立位置にお
けるヘッド固定高さよりも高い位置に取り付けてある場
合、可動ヘッドHを上方向(デッキベースよりはなれる
方向)に動かすと大きくなり、可動ヘッドHを下方向に
動かすと小さくなり、取付位置が上記と逆の場合は再生
信号の減衰方向も逆になる。
【0217】いま、固定ヘッド(オーディオヘッド)3
7からの再生信号として再生アンプ50から出力される
信号検出感度と、可動ヘッドHからの再生信号として再
生アンプ51から出力される信号検出感度とが等しい
か、または、再生アンプ50または51のゲイン調整に
より等しくなるように調整されているものとする。
【0218】再生アンプ50と51の再生出力は、周波
数f1 のみを通過させるバンドパスフィルタ52,53
を通されて不要なノイズが除去され、この2つの再生出
力レベルが最大になる値をサンプルホールド回路54,
55でサンプルホールドされるかピークホールドされた
後、そのレベル差が差動アンプ56で取り出され、可動
ヘッドHと固定ヘッド37のヘッド段差が電圧の関数と
して取り出される。
【0219】これを、ローパスフィルタなどの制御系位
相補償回路57に通した後、ドライバ58によってヘッ
ド段差がなくなる方向に制御ループが閉じられることに
よって記録時においても可動ヘッドHと固定ヘッド37
との段差が生じないように保持される。
【0220】同様に、2つの可動ヘッドHa,Hbが回
転ドラム5上に180度対向に取り付けられている場合
には、それぞれのチャンネル間のヘッド段差もそれぞれ
のアクチュエータにおいて上述したヘッド高さ位置固定
制御系を構成することにより実現できる。
【0221】この場合、位置固定制御ループのサーボ帯
域は、可動ヘッドHと固定ヘッド37のヘッド段差や2
つの可動ヘッドHの間の高さずれを補正するだけである
のでそれほど広くする必要はなく、ヘッド高さや段差ず
れの検出も、回転ドラム5の1回転おきに行われるた
め、ドラム回転数が1800rpmの場合には30Hz
のサンプリングによる無駄時間があることから、制御帯
域を数Hz以下に設定しないと制御系が発振する。
【0222】そのため補償回路57にて、制御帯域が数
Hzで位相余裕が60度以上確保されるように補償回路
57のローパスフィルタの時定数やゲインが決定され
る。
【0223】なお、当然ではあるが、記録時におけるヘ
ッド高さの制御は、可動ヘッドHがドラム5に磁気テー
プ20が巻き付けられている側を走行中はアンプ51が
記録アンプとして働き、可動ヘッドHが磁気テープ20
が巻き付けられていない交流磁界発生コイル45の近傍
を走行中には再生アンプとして動作するようにしなけれ
ばならない。
【0224】図95は、第3の従来例のブロック回路図
で、各々のヘッドの感度バラツキなどの影響を受けない
ように構成した2つの交流磁界発生コイル45,45a
を回転ドラム5の周方向に配設したもので、59は第1
の割算器で2つの交流磁界発生コイルからの固定ヘッド
再生出力振幅の比を求めるためのもの、60は第2の割
算器で、2つの交流磁界発生コイル45,45aからの
可動ヘッドHの再生出力振幅の比を求めるためのもので
ある。
【0225】次に、磁気ヘッドアクチュエータ7の動作
を説明する。図85において、第1永久磁石22はポー
ルピース26,第2ヨーク23および第1ヨーク21で
作る閉磁路により磁束Dを発生する。同様に、第2永久
磁石25はポールピース26,第2ヨーク23および第
3ヨーク24で作る閉磁路により上記磁束Dと逆向きの
磁束Eを発生する。
【0226】このように発生された磁束Dおよび磁束E
はともに環状ギャップGを同一の方向に横切るので、コ
イル31に関しては上記第1永久磁石22と第2永久磁
石25の合計した磁束が横切ることになる。
【0227】この状態でコイル31に接触子12から電
極13,接続部14,15を経て電流を流すと、コイル
31とボビン30と可動ヘッドHは一体となって図85
の上下方向軸方向に移動する。これにより、可動ヘッド
Hは磁気テープ20の幅方向に変位し、磁気記録跡を精
度よくトレースできる。
【0228】図96は磁気ヘッドアクチュエータ7の駆
動電流と可動ヘッドHの変位量の間のヒステリシス特性
を示すものであり、図97はこのようなヒステリシス特
性を有する磁気ヘッドアクチュエータ7を用いて記録し
た時の磁気テープ20上の記録トラックパターンを示し
ている。
【0229】図96、図97から明らかなように、初期
段階で磁気ヘッドアクチュエータ7を調整しただけの場
合は、図96のようなヒステリシス特性により可動ヘッ
ドHの基準位置が変化し、記録トラックTがαだけ重な
り合ってしまう。
【0230】このようにヘッド高さ位置制御系が構成さ
れているが、図91の従来例では、各ヘッドH、37か
らアンプ50,51までの検出感度が等しいか、等しく
調整されなければならない。
【0231】これは実際には、固定ヘッド37と可動ヘ
ッドHとのヘッドのターン数の違いやヘッドコアの透磁
率の違いや、アンプゲインのバラツキや温度特性の差な
どにより等しくすることができない場合が多い。
【0232】第3の従来例においては、2つの交流磁界
発生コイル45、45aを配設して各々の発振周波数を
変えてf1,2 とし、更に図95の拡大図Aに示すよう
に、一方の交流磁界発生コイル45は2つのコイル45
Uと45Lの中間高さ位置が固定ヘッド37の高さ位置
より高い位置に、他方の交流磁界発生コイル45内の2
つのコイル45U、45Lの中間高さ位置が固定ヘッド
37の高さ位置よりも低い位置に固定する。
【0233】この時、固定ヘッド37によって再生され
る発振コイル45aからの電磁誘導による再生アンプ5
0からの周波数f1 の再生出力と、発振コイル45aか
らの周波数f2 の再生出力との振幅比が、可動ヘッドH
の再生出力の振幅比と等しくなるように可動ヘッドHの
高さを制御すれば、各ヘッドから再生アンプまでの周波
数f1,2 における周波数特性に固定ヘッド系と可動ヘ
ッド系が大きくずれていないかぎりヘッドターン数の違
いやヘッドコアの透磁率の違い、アンプゲインのバラツ
キや温度特性などにかかわらず、可動ヘッドHと固定ヘ
ッド37の段差をなくすることができる。
【0234】そのため、可動ヘッド再生出力周波数f1
またはf2 のみを通過させるバンドパスフィルタ53と
53aの再生信号振幅をサンプルホールド回路55,5
5aもしくはピークホールド回路により取り出し、割算
器60に入力して取り出した割算信号と、同様に固定ヘ
ッド37の再生出力中の周波数f1 またはf2 の信号成
分の振幅の比をバンドパスフィルタ52,52a、サン
プルホールド回路54,54aで取り出して割算器59
に入力して取り出した割算信号との差を、差動アンプ5
6で取ることにより可動ヘッドHと固定ヘッド37との
段差ずれの方向と量を検出することができる。
【0235】例えば可動ヘッドHのヘッド高さが、固定
ヘッド37のヘッド高さよりも高い方にずれている(デ
ッキベースより遠ざかる方向にずれている)場合、可動
ヘッドHの再生信号は固定ヘッド37の再生信号より周
波数f1 の成分の方がf2 の成分よりも振幅が大きく再
生される。従って、差動アンプ56の出力信号は負とな
り、可動ヘッドHを下方向に動かして段差が無くなる位
置に固定する。
【0236】以上のようにして、可動ヘッドHと固定ヘ
ッド37間やヘッドアンプ50と51間の感度バラツキ
があっても正確なヘッド高さ制御が行われるわけである
が、図95の従来例の場合は、精度の良い割算器59,
60を必要とするので、コストアップになる場合があ
る。
【0237】図98は割算器を用いない第4の従来例の
ブロック回路図で、図において、61はスイッチ回路、
62はサンプルホールド回路55,55aのホールドタ
イミングを制御するためのタイミングコントロール回路
である。
【0238】この第4の従来例は、固定ヘッド37の再
生アンプ50aの出力を周波数f1,2 のみを通すバン
ドパスフィルタ52,52aの出力として、調整用端子
で見ながら、周波数f1 (=150KHz)とf2 (=
200KHz)の出力信号の振幅が等しくなるように交
流磁界発生コイル45,45aの取付位置やドライバ4
6,46aの駆動出力電圧を調整する。
【0239】このようにすれば、可動ヘッドHによる再
生出力の周波数f1 とf2 の再生信号成分の振幅が等し
くなるように高さ位置を制御すれば、割算器を用いずと
も、可動ヘッドHと固定ヘッド37のヘッド段差がなく
なるように制御することができる。
【0240】可動ヘッドHが回転ドラム5に180度対
向して2つ取り付けられているこの従来例においては、
バンドパスフィルタ53,53aの後にアナログスイッ
チ61で4つのサンプルホールド回路55,55aに各
々のチャンネルの再生信号を分配することにより対応す
ることが可能であって、このときは差動アンプ56,5
6a、補償回路57,57a、ドライバ58,58a
は、それぞれ2個ずつ必要である。
【0241】このような多チャンネルに対する対応は、
上述の第2および第3の従来例においても同様に適用で
きる。制御帯域の設定については、第2および第3の従
来例もこの従来例と全く同じであって、補償回路57,
57aにてゲイン、位相が補償される。
【0242】なお、一般に磁気ヘッドは回転ドラム5の
円周の接続方向の磁束を拾うため、交流磁界発生コイル
45,45aの形状が、図92のような場合、図99の
ような再生エンベロープとして取り出される。
【0243】なお、図98の構成の場合、固定ヘッド3
7の再生出力はf1 とf2 が等しくなるよう調整されて
いるために図99(a) のようになり、可動ヘッド系との
ヘッド−ヘッドアンプ間感度がずれていても制御後は、
図99(c) のようにf1,2成分のレベルが等しくなる
とヘッド段差がなくなる。
【0244】なお、図98の従来例では、交流磁界発生
コイル45の取付位置の調整や、駆動電圧レベルの調整
によって固定ヘッドの再生出力の周波数f1 とf2 の再
生信号振幅が等しくなるようにすることが可能である場
合を示したが、取付位置の調整や駆動電圧レベルの調整
によっては等振幅に追い込めない場合、あるいは、温度
特性、経時変化などにより初期調整だけでは実用できな
い場合がある。
【0245】図100は第5の従来例のブロック回路
で、一般的に微小変位計測器として用いられている差動
トランスの構成と同じように、交流磁界発生コイル45
の2つのコイル45U,45Lの中間高さ位置が、可動
ヘッドHの高さと等しくなるように配置し、可動ヘッド
Hが上下方向にずれたとき、図101に示すように再生
信号の振幅とともに位相がずれることを同期検波回路6
3により検出することによりヘッド段差の方向とずれ量
とを検出するようにしたものである。
【0246】この場合も同期検波サンプルホールド後の
処理は、第2ないし第4の従来例と同じである。
【0247】このように、記録時において、可動ヘッド
Hと固定ヘッド37のヘッド段差が常になくなるように
制御できれば、記録専用の固定ヘッド35,36を回転
ドラム5に取り付ける必要がなくなり、アクチュエータ
7に搭載された可動ヘッドHで例えば映像信号の記録、
再生、特殊再生が可能になるほか、固定ヘッド37との
高さが調整されるため、図102に示すように、VHS
フォーマットにおけるハイファイオーディオ37やつな
ぎ取りのためのイレーズヘッド38を回転ドラム5上に
配置し、EPヘッド35、SPヘッド36をアクチュエ
ータ7に搭載してもよく、従来の図87に示したヘッド
配置構成に比べきわめて簡略化された構成とすることが
できる。
【0248】図103は、第6の従来例のブロック回路
図で、交流磁界発生コイル45,45aの取付位置の調
整によっては固定ヘッド37の再生出力の振幅が等しく
ならない場合に、これを電気的に自動調整し、再生出力
の振幅が等しくなるようにする交流発生磁界制御系を設
けたブロック回路図で、図において65,65aは、コ
イル45,45aが発生する交流磁界のレベルを制御す
るための可変ゲインコントロールアンプである。
【0249】この従来例は、可変ゲインコントロールア
ンプ65,65aを挿入して、固定ヘッド37の再生出
力のバンドパスフィルタ52,52aの出力信号振幅レ
ベルが常に一定になるようにサンプルホールド回路5
4,54aの出力を可変ゲインコントロールアンプ6
5,65aのゲインコントロール入力端に入力して、固
定ヘッドの再生出力のf1 およびf2 の振幅が常に一定
になるように制御するものであり、交流磁界発生コイル
45,45aの機械的位置調整のバラツキや温度特性、
経時変化などに対しても常に振幅が一定(この場合、固
定ヘッドの再生出力のf1 とf2 の再生振幅が常に等し
く)に制御される。
【0250】図104は第7の従来例のブロック回路図
で、図103の従来例における磁界レベル制御を一方の
交流磁界発生コイル45aのみの調整で行う構成とした
もので、66は差動アンプである。
【0251】この従来例は、固定ヘッド37の再生出力
のうち周波数f1,2 の信号成分をバンドパスフィルタ
52,52aで抜き出してそれぞれサンプルホールド回
路54,54aでサンプルホールドした値を差動アンプ
66にて差分を取ることにより、一方の交流磁界発生コ
イル45aの駆動電圧レベルを可変ゲインコントロール
アンプ65に入力し、他方の交流磁界発生コイル45か
らの再生出力のレベルと一方の交流磁界発生コイル45
aからの再生出力のレベルとが、等しくなるよう制御し
たもので、図103の従来例と同様の効果が得られる。
【0252】以上のような交流磁界発生コイル45,4
5aの発生磁界制御系を新たに加えたことにより、第4
の従来例において交流磁界発生コイル45,45aの取
付位置の調整のバラツキや、電磁誘導レベルの経時変
化、温度特性による変化などがあっても、可動ヘッドの
高さ位置制御系の追従精度を維持することができる。
【0253】なお、前述の第2ないし第7の従来例につ
いてはアナログ回路で構成した例を示したが、再生アン
プ50,51の出力もしくはバンドパスフィルタ52,
53の出力をアナログ−デジタル変換してから、ディジ
タル回路やマイクロコンピュータ内のソフトウェアなど
による処理を行った後、ディジタル−アナログ変換して
アクチュエータ7をドライブする構成としても良いこと
はいうまでもない。
【0254】次に、上記のような磁界を発生させるため
の交流磁界発生コイル45の構成について詳しく述べ
る。
【0255】磁束密度を場所によって急激に変化させる
ためには、まず、磁束を集中させることが必要となる。
磁束を集中させることが可能な例として、図93に示す
ようにコイルを対向させて、お互いに反発しあうような
電流を通電する方法がある。
【0256】図94に示すように2個のコイル間の領域
において磁束が集中し、さらにコイル磁心から距離が離
れると急激に磁束は発散するため、磁束密度は小さくな
り、位置によって磁束密度が急激に変化するので都合が
良い。
【0257】ここでいう磁束密度の変化は、その位置に
おける磁束の本数の変化ではなく、可動ヘッドの移動方
向すなわち回転ドラムの回転軸方向に関して可動ヘッド
が検知できる方向の磁束の磁束密度の変化としているの
は前述した通りであるから、交流磁界発生コイル45の
磁束の方向について検討を行う必要がある。
【0258】図105は交流磁界発生コイル45の磁界
分布を調べるための座標面を示す模式図であって、45
U,45Lはコイル、45cは軟鉄などの軟磁性体で造
られた磁心、46は2つのコイルに通電するための交流
電源であり、A面は磁心45cの中心軸Lを法線に持つ
面であり、かつ、2つのコイル45U,45Lの間の中
心を横切る面である。
【0259】B面はA面と平行であり、A面から微小距
離d離れた面、C面はA面、B面と平行でありB面から
更に微小距離d、A面から微小距離2d離れた面であ
る。D面は磁心45cの中心軸Lと同一方向に中心軸を
持つ半径Rの円筒側面の一部である。なおD面は回転ド
ラム5の側面を表し、D面と他の平面との交線は、可動
ヘッドの軌跡を表すものとして考える。
【0260】コイル45Uおよび45Lには、実際は、
交流電流を通電するのであるが、ここでは原理説明のた
め、直流電流を通電した場合を考えてみる。図106に
コイル45Uおよび45Lにお互いに極が反発しあうよ
うに直流電流を通電した時の各平面上の磁束をベクトル
表示した模式図を示す。なお、図中の円は磁心45cの
断面を、X−X′の曲線は各面と曲面D面との交線を表
す。
【0261】まず、A面を見ると、磁心45cに近い領
域においてはA面上の磁束ベクトルの大きさは大きく、
磁心45cから離れるにつれ、磁束がまわり込むため、
A面上の磁束ベクトルは急激に小さくなってゆく。
【0262】A面からdだけ離れたB面においては、磁
束がまわり込む効果のため、B面上の磁束ベクトルは磁
心45cからある程度離れた領域で最大となる。
【0263】C面もB面で述べた状態と同様であるが磁
束がまわり込み、C面上の磁束ベクトルは次第に零に近
づくためベクトルの絶対値はB面よりは小さくなる。
【0264】さて、先ほど述べたように図106の各面
における曲線X−X′は可動ヘッドの軌跡を表してお
り、また、可動ヘッドが検知可能な磁束の方向は曲線X
−X′上の点の接線となる。
【0265】図106中の磁束を交流磁束とし、曲面D
面を平面に展開したものが図107である。図中の矢印
はD面と各面との交線でのD面上の磁束ベクトルを表
す。交流磁束なので矢印の向きは逆転したものが一対と
なっている。
【0266】図108は、同図左側の磁束分布の場合に
おける可動ヘッドがA面およびB面およびC面とD面と
の交線を通過した場合の可動ヘッドの誘導起電力による
出力波形である。この出力波形を見てわかるように、各
面においてピークレベルが異なり、この例ではB面のピ
ークレベルが最大となっている。
【0267】換言すれば、ピークレベルは可動ヘッドの
回転ドラムの回転軸方向の変位量に依存する非線形関数
となっている。よって、出力波形のピークレベルを検知
することによって、可動ヘッド自信の絶対位置を知るこ
とができる。
【0268】なお、可動ヘッドを位置センサとして位置
制御をかけることを考慮すると、センサ感度を高くとる
ためにヘッド高さの変化に対する出力波形のピークレベ
ル変化率の大きい領域、図107でいえばA面とB面の
間の領域もしくはB面とC面の間の領域に可動ヘッドを
固定できるように交流磁界発生コイル45を取り付けれ
ばよい。
【0269】また、いままで説明してきた磁界分布のよ
うすは、ある特定の交流電圧で交流磁界発生コイル45
を駆動した場合を示したが、この磁界分布の関係は電圧
振幅値にも依存する関数となっている。そのためこの電
圧値は、先ほどのべたヘッド高さ変化に対する出力波形
のピークレベル変化率が最大になるように調整すればよ
い。
【0270】また、このように交流磁界発生コイル45
を、ドラムデッキ中に設けると、リニアオーディオヘッ
ドにノイズとして飛び込んだり、磁気テープの情報を消
去したりという悪影響をおよぼす恐れがある。そこで図
109に示すように磁界発生素子の一部を軟磁性体45
sで包むことによって磁気シールドすることができる。
図110は図109の110−110線での断面図で、
このようにすれば、上記のような悪影響は解消される。
【0271】なお、上記従来例では、交流磁界発生コイ
ル45の構成を磁束を集中させるために図110のよう
にした例を示したが、他に、例えばセンサ感度は落ちる
が、図111または図112に示すような構成であって
もよい。
【0272】以上のように従来の実施例においては、例
えば図89における磁界発生コイル40の機械的取付精
度は、経時的、温度的変化を考慮にいれた十分な精度で
取付られる。すなわち、磁界発生コイル40の取付位置
に可動ヘッドの高さを上記のように一致させることがで
きるから、可動ヘッドHの位置固定許容精度よりもコイ
ル40の取付精度の方を高くすることが必要である。
【0273】もしコイル40の取付精度が悪い場合で
も、図89のように可動ヘッドが複数個存在する回転ド
ラムを用いる場合にも、各々の可動ヘッドの相対的高
さ、もしくは回転ドラム上の他の固定ヘッドとの高さを
等しくすることは可能であるが、回転ドラム5を支持し
ているデッキベースからの可動ヘッドの絶対高さを制御
することはできない。
【0274】このような従来の方法においては、磁界発
生コイル40の取付高さもしくは、他の固定ヘッドの絶
対高さに等しい絶対高さ位置に制御するか、もしくは、
各々のヘッドの相対高さを等しくするように制御するこ
とが可能である。
【0275】しかしながら、例えばVHSフォーマット
かβフォーマットなどの現行システムにおいては、他の
固定ヘッドに対し同じ高さになるよう可動ヘッド高さを
制御するのではなく、他の固定ヘッドの高さから少しず
れた高さに可動ヘッドを位置制御しなければならない場
合がある。
【0276】また、例えば8mmビデオや、D−1、D
−2などのディジタルVTRなどの他のシステムにおい
ても、可動ヘッドをデッキベースからの絶対高さを所定
の高さに制御することができれば、記録時に各々のテー
プフォーマットに基づいた正確な記録トラックを形成す
ることが可能となる。
【0277】しかも、コイル40の取付精度は、温度特
性や経時変化を考慮して、あまり厳密な精度を必要とし
ない方がコイル40の工作精度や調整の容易さなどを考
えると安価にシステムが構成できるため、可動ヘッドが
所定の高さにあるかどうか検出する手段が望まれてい
た。
【0278】さらに、従来のシステムでは、ドラム1回
転毎に、決まったポイントでのヘッド高さしか検出でき
ないため、装置振動や、テープのテンション変動などに
よるテープヘッド間の摺動摩擦の変化により、ドラム1
回転内で可動ヘッドが動いてしまったり、機械振動を起
すなどの問題があるため、可動ヘッドアクチュエータの
ジンバルバネの剛性を上げ、機械共振を小さく抑えるな
どの考慮が必要であった。
【0279】以下に述べる実施例における可動ヘッドの
絶対高さ基準値の検出は、回転ドラム上に配置された交
流磁界検出手段により検出され、この交流磁界検出手段
と同じ高さに可動ヘッドの高さが制御される。
【0280】また、この発明におけるドラム1回転以内
の可動ヘッドの位置固定は可動ヘッドアクチュエータ内
に配置された可動ヘッドの位置検出手段により、位置固
定されると同時に、電気的に速度を推定する状態推定器
によりアクチュエータにダンピングがかけられ、振動な
どによる位置ずれが防止される。
【0281】図54は本発明の第9実施例における回転
ヘッド部の構成を示すもので、図82に示した現行のV
TRシステムの回転ヘッド部における可動ヘッドとし
て、長時間モード用の狭トラックヘッド35と、広トラ
ックピッチ用ヘッド36をジンバルバネ27の上にスペ
ーサ72を介して取り付けたものである。
【0282】図55は、回転ドラム5上に取り付けられ
た絶対高さ検出素子73の外観図であり、74は検出コ
イルである。
【0283】図56は、絶対位置検出回路の検出信号増
幅部の回路図で、図において75はバンドパスフィル
タ、76はスイッチング用トランジスタである。図57
は図56のスイッチング用トランジスタ76の動作モー
ドをドラムの回転角に対応させて示したものである。
【0284】図58は、ホールセンサによるアクチュエ
ータ可動部の位置検出構成例で、図において、501は
磁気ヘッド112への漏れ磁束を小さくするためのマグ
ネットホルダー、502は磁束を発生させるマグネッ
ト、503はマグネット502の磁束の大小を検出する
ホールセンサ、504はホールセンサ503からの微小
信号を増幅して位置信号を得るための差動増幅器であ
る。
【0285】図59は、図58の変形例であって、50
5はマグネット、506はホールセンサ、507はホー
ルセンサ506を固定するための基板である。図60
は、光センサによる位置検出手段をアクチュエータに取
り付けた例であって、601は平行光を出射する発光
部、602はフォトダイオードなどで構成された2分割
検知器(受光部)である。
【0286】図61は図60の変形例で、603はLE
Dなどで構成される発光素子605からの光を平行光に
するためのレベル、604は出射窓(絞り)、606は
レベル603からの平行光を反射するためのミラーであ
る。図62は図61における光センサの可動部変位量の
検出原理を表す図で、607は2分割検知器602にお
ける光電流の差動をとり、増幅するための差動増幅器で
ある。
【0287】図63はこの実施例を制御理論の伝達関数
で表わしたブロック図である。ブロック311ないし3
13はアクチュエータの特性を伝達関数によって示した
もので、311は可動磁気ヘッドHを動かすアクチュエ
ータ機構部の伝達関数表現、312はアクチュエータの
コイル抵抗、313はドライブアンプのゲインである。
【0288】状態推定器420内の等価回路421〜4
28はアクチュエータの速度を推定するためのオブザー
バの伝達関数表現であって、421はアクチュエータモ
デルにおけるバネ定数の等価回路、422はアクチュエ
ータコイル抵抗、アクチュエータトルク定数およびドラ
イブアンプゲインをまとめた等価回路、423はアクチ
ュエータの粘度定数と可動部質量との等価回路、424
は積分特性の伝達関数表現、425は上記421ないし
424からなる状態モデルと実測との誤差が収束するル
ープの安定化を図るために挿入されたオブザーバゲイ
ン、426はオブザーバゲイン425と同様な誤差を収
束させるためのオブザーバループゲイン、427は推定
した速度をフィードバックするための速度フィードバッ
クゲインである。
【0289】図64はオブザーバによるダンピングルー
プをかけた場合と、かけない場合のアクチュエータ伝達
特性(ゲイン特性および位相特性)の比較図である。
【0290】図65は上述のオブザーバの回路構成の一
例である。図において、801はアクチュエータ駆動電
圧の交流成分のみを取り出すためのコンデンサ、802
はオブザーバ内フィードバック信号と駆動電圧とを加算
して増幅するための増幅器、803はオブザーバ内のバ
ネ定数を模擬したループをフィードバックするための増
幅器、804はオブザーバ内のアクチュエータ粘性およ
び質量を模擬した伝達特性を実現するためのフィルタ、
805はオブザーバ内の積分器を構成するフィルタ、8
06は位置情報とオブザーバの推定位置情報との差を取
り出すための比較回路、807は位置情報に含まれる交
流成分のみを取り出すためのコンデンサ、808は推定
速度情報に含まれる交流成分のみを出力させるためのコ
ンデンサである。
【0291】図66は、上述のアクチュエータ可動部の
位置センサ(図58〜図62)と、上述の状態推定器1
03を用いてダンピングループおよび位置ループを構成
し、さらに従来例にある交流磁界発生コイル45と、交
流磁界検出回路(図56)を用いた絶対高さ検出センサ
106の出力に基づいて従来例の図91もしくはこれを
改良した図95、図98、図100、図103における
絶対高さ検出回路105を用いて図66の位置制御ルー
プの低域(直流成分)を補償するように構成した本発明
の実施例のブロック図である。
【0292】図67(a) は、図66のブロック図におけ
るオープンループ特性を表した図で、図67(b) は、図
66のブロック図の図67(a) とは別の補償方式で構成
された場合のオープンループ特性である。図68は、図
66のブロック図における低域補償回路101のブロッ
クの細部を表したもので、(a) 〜(c) は、各々の細部の
ブロックにおける補償フィルタの伝達特性を表したもの
である。
【0293】図69は図66のブロック図における位置
制御補償器102の細部を表したもので(a) 〜(b) は細
部のブロックにおける各々の補償フィルタの伝達特性を
表したものである。図70は、図66のブロック図にお
ける本発明の実施例の制御系をソフトウェアによる演算
によって実現した場合のメインプログラムのフローチャ
ートを表したものである。
【0294】図71は、図66のブロック図における状
態推定器103のソフトウェアによる演算を表した速度
推定オブザーバのサブルーチンプログラムのフローチャ
ートである。図72は図66のブロック図における位置
制御補償器102のソフトウェアによる演算を表した、
位置制御補償器のサブルーチンプログラムのフローチャ
ートである。
【0295】図73は、図66における絶対高さ補正ル
ープのソフトウェアによる演算を表した絶対高さ補正サ
ブルーチンプログラムのフローチャートである。図74
は、上記ホールセンサによる位置検出によって上記オブ
ザーバを用いた制御システムを構成した例で、図におい
て、510はドラム内に内蔵された基板である。
【0296】図75は、光センサによるアクチュエータ
の位置検出を用いて、上述のオブザーバ回路およびドラ
イバ回路を回転ドラムに内蔵しない場合の構成例を示し
たもので、図において、608は検波回路である。
【0297】図76は、アクチュエータおよびトラッキ
ング制御システムおよびオブザーバの極配置表したもの
である。図77は、本発明の実施例における回転ドラム
上の磁気ヘッドおよび絶対高さ検出ヘッドのヘッド配置
を表した図である。
【0298】図78は、本発明の実施例における回転ド
ラム内の信号伝送用の平盤形ロータリートランスのチャ
ンネル配置の一例を表したものである。図79は、図7
7における各ヘッドおよび絶対高さ検出素子の配置によ
るテープとの接触期間をドラム1回転に対し(2HR)
のヘッドを基準に表したものである。
【0299】従来例におけるシステムの場合は、交流磁
界発生コイル45の取付位置が、デッキベースからの可
動ヘッド高さの絶対位置を表していた。
【0300】すなわち、従来においては、磁気ヘッドか
ら再生される2つの交流磁界発生コイル45、45aの
出力レベルが等しくなる位置を所望の磁気ヘッド高さと
した場合、交流磁界発生コイル45,45aのデッキベ
ース上での取付位置精度によって基準の絶対高さがバラ
ツイてしまう。
【0301】また、他の固定ヘッドの高さを可動ヘッド
の絶対高さ基準として用いることも可能であるが、この
場合、他の固定ヘッド例えば、オーディオヘッドなどと
同じ高さにしか制御できない。
【0302】これらは、従来例においても述べたように
交流磁界発生コイル45の発生磁界や、磁気ヘッド−ヘ
ッドアンプの検出感度が温度などによってバラツクた
め、2つの検出信号の差がゼロになる位置に制御するよ
うな構成とすることによって上記バラツキの影響を除去
するようにしたためである。
【0303】次に、現行のVTRにおける様々な記録フ
ォーマットに対応しテープ上にフォーマット通りの記録
パターンを形成させるためには、可動ヘッドの高さを他
の固定ヘッドに対して同じ高さに制御するのではなく、
他の固定ヘッド高さからすこしずれた高さに制御しなけ
ればならない場合も生じる。
【0304】この場合まず考えられることは図54にあ
るように2つの磁気ヘッドの高さをスペーサ72を介し
て取り付け、例えば、広トラックピッチ用ヘッド36で
磁気記録を行う場合狭トラックピッチ用磁気ヘッド35
で従来の高さ検出用交流磁界を再生することで従来の磁
気ヘッド高さ制御系を閉じることにより狭トラックモー
ド用ヘッド35と基準となる固定ヘッド(例えばオーデ
ィオ用磁気ヘッド)を同じ高さにし、図54のスペーサ
72の高さ分だけ広トラックピッチ用ヘッドの制御後の
基準高さをずらすことができる。
【0305】このような方法の他にも、高さ検出用の交
流磁界再生ヘッドは、実際にテープ上への磁気記録再生
を行う必要がないため、図55にあるような簡単な構成
の磁界検出器でも良く、図中のギャップやドラム表面か
らのつき出し量も厳密に定める必要がない。ただし、磁
気テープをいためたりするほどつき出し量を大きくとっ
てはならないのはいうまでもない。
【0306】このような簡単な構成の磁界検出器73を
可動ヘッドが制御されなければならない所望の高さに機
械的に取付調整を行い、記録再生時において上記検出器
73と可動ヘッドの高さが等しくなるよう従来例の制御
方式で制御することによって可動ヘッドの高さを所望の
絶対高さにもってくることができる。
【0307】以上のような手段でもって精度良く所望絶
対高さに可動ヘッドがきているかどうかを検出すること
が可能となる。
【0308】以上のような交流磁界による絶対高さの検
出は外部の磁界発生コイルに流す電流をVTR内のヘッ
ドアンプなどへの電磁的飛び込みによって信号劣化を生
じさせない範囲で大きくすることができる。上記のよう
に磁界発生コイルの発生磁界を大きくすると、検出する
絶対高さの検出感度を高めることができるため、制御シ
ステムの目標値への追従精度が向上する。
【0309】しかしこの場合従来からのVTRシステム
に内蔵されている信号再生アンプを用いると、再生アン
プのダイナミックレンジによって信号が飽和してしまう
場合が生じる。これは、磁気テープから再生される微小
磁界よりも上記交流磁界発生コイルからの磁界の方が極
めて強いためである。
【0310】そのため図56にあるようにロータリート
ランスを介して得られる高さ検出用交流信号を従来の再
生アンプとは別のアンプで増幅する必要がある。図56
は、そのための増幅回路図で、高さ検出信号は、検出ヘ
ッドが、磁気テープと接触していないドラムが裏側で得
られるため、図中76のスイッチング用トランジスタを
介して取り出すことが可能となる。
【0311】さらに図中4個のスイッチング用トランジ
スタ76を図中のモードのように切り換えることによっ
て増幅システムを記録再生、検出、非動作とすることが
できる。なお、記録、再生時の上記スイッチング用トラ
ンジスタのモードは、検出ヘッドの回転位置によって図
57のように切り換えれば良い。なお、上述した高さ検
出信号のみしか再生しない簡単な検出器73の場合の増
幅回路は、図56のような構成にする必要はなく、単に
バンドパスフィルタと位置検出信号アンプの組み合せで
可能となることは当然である。
【0312】また、この時のロータリートランスにおけ
るドラム上の各ヘッドならびに絶対高さ検出用ヘッドの
チャンネル配置は、VTRの記録時においてテープと接
触している側の記録ヘッドに記録電流が流れているた
め、ロータリートランスのチャンネル間クロストークに
より上述の交流磁界発生コイルによる絶対高さ検出信号
が乱される場合が生じる。このため、記録電流を流して
いるチャンネルと絶対高さを検出するチャンネルとをロ
ータリートランス上で離しておく必要がある。
【0313】例えば、現行VHS、VTRにおいて図7
7のようなヘッド配置を有するシステムの場合例えばロ
ータリートランスのチャンネル配置は図78のようにな
る。この時上述した記録電流を流すチャンネルと高さ検
出のチャンネルとの関係をわかりやすくするため、図7
8のヘッド配置におけるヘッドとテープの摺動区間をヘ
ッド2HRを基準に表したのが図79の模式図である。
【0314】図79において、2HR,6HL,ARは
ほぼ同時にテープと摺動しており、2HL,6HR,A
Lもほぼ同時であることがわかる。よって2HR,6H
L,ARが記録中に2HL,6HR,ARが高さ検出で
きるよう(2HL,6HR,ALが記録中は上記の逆)
に2HL,6HR,ALと2HR,6HL,ARとをロ
ータリートランスのチャンネル上で離しておく必要があ
る。
【0315】また一般的にオーディオヘッドとビデオヘ
ッドとはクロストークの影響をさけて離されるのが普通
であるので、通常再生時においては使わないフライング
イレーズヘッドのチャンネルや高さ検出専用の2HS,
6HSのチャンネルとを間に挟み、再生時はこのチャン
ネルのロータリートランス端子をショートさせることに
より現行VTRで用いられているロータリートランスチ
ャンネル間クロストーク防止用のショートリングの代り
として用いることが可能となる。なお、ここにおいて2
HSは、可動ヘッド2Hの基準高さに調整された検出器
で6HSは可動ヘッド6Hの基準高さに調整された検出
器である。
【0316】従来のシステムにおいては、可動ヘッドの
高さを検出する箇所がドラム1回転中1箇所しかないた
め、ドラム1回転につき1回の制御しかかけられない。
例えば、装置全体が外部振動にさらされるように車載の
システムや、携帯用のシステムにおいては、ドラム1回
転内に可動ヘッドが振動したりずれたりしてテープフォ
ーマット通りの記録ができなくなる場合も考えられる。
【0317】特にこれは、今後磁気記録の記録密度が向
上しトラックピッチが極めて狭くなった場合に特に問題
となってくる。
【0318】そこでドラム1回転に1回の絶対高さ制御
以外に通常の可動ヘッド高さを固定し、振動などの影響
を受けにくい構成とする必要が生じる。このためには、
ドラム1回転に1回ではなく、常に可動ヘッドの高さが
検出できる手段が必要である。
【0319】しかしこの場合、上述したドラム1回転に
1回の絶対高さ検出手段をも有していれば特に上記常に
高さが検出できるセンサの絶対値が正確でなくてもよ
い。すなわち、絶対的な高さは、上記の交流磁界発生コ
イルからの磁界再生によって行い1回の絶対高さ検出か
ら次の絶対高さ検出までの間上記常に可動ヘッドの高さ
が検出できるセンサの出力が一定となるようにコントロ
ールすれば、ドラム回転中の振動などに起因するヘッド
の高さずれを防ぐことが可能となる。
【0320】上述のようなドラム1回転内の位置制御系
可動ヘッドのポジションを検出するためのポジションセ
ンサが不可欠である。
【0321】図58はその一例で、可動ヘッドHの動き
を検出するため、可動部203bにマグネット502を
接続し、ホールセンサ503にて、可動部203bにお
けるマグネット502が近づいたり遠ざかったりするこ
とによる磁束密度の値を検出し、増幅器504の出力と
して取り出すことにより、可動部の位置を検出すること
ができる。この際、マグネット502は、透磁率の高い
部材で構成されたマグネットホルダー501にて囲わ
れ、漏れ磁束が磁気ヘッドHへ影響しないような構成と
している。
【0322】さらに、図59は図58の変形例で、アク
チュエータの可動部のうち磁気ヘッドがついていない側
のジンバルバネ203aにマグネット505を固定し、
ヨーク202にあけた穴からアクチュエータ外部に漏れ
てくるマグネット505の磁束を、基板507上に固定
したホールセンサ506により検出する構成としてい
る。
【0323】ここにおいて、マグネット505からの磁
束の強さが可動部の位置を表すことになり、これは図5
8の場合と同じである。この変形例では磁気ヘッドHへ
のマグネット505の漏れ磁束の影響は考えなくても良
い。
【0324】以上のような磁気的な位置検出手段以外に
も、光学的な位置検出手段による方法もある。
【0325】例えば、図60はその一例で、アクチュエ
ータの固定側に取り付けられた発光部601からの光
(この場合は、レンズにより平行光になっている)を、
可動部に取り付けられた2分割フォトダイオードなどに
よる受光部602により検出している。
【0326】可動部が動くと2分割のフォトダイオード
602の片側に当たる光量がもう一方より多くなること
から、それぞれのフォトダイオード602の光電流の差
を取ることにより可動部の位置を検出することが可能で
ある。
【0327】さらに、図60を変形した例が図61で、
可動部には光を反射するミラー606が取り付けられて
いるだけで、発光部601とフォトダイオードなどによ
る受光部602は、固定側に付いている。
【0328】この場合もLEDあるいは半導体レーザな
どにより構成される発光素子605からの光はレンズ6
03により平行光になされる。この時、平行光を得るた
めには発光素子605はレンズ603の後方焦点位置に
配置する必要がある。図61の光学式センサは図62の
ような原理で位置検出がなされる。
【0329】図62において、可動部と一体となってい
るミラー606が平行に移動すると(この図の構成で
は、ジンバルバネなどにより一軸方向のみしか動かない
ように制御されている)出射される平行光は受光部60
2上を可動部の移動とともに平行移動するため、図60
と同様に例えば2分割フォトダイオード602のそれぞ
れの光電流量に差が生じ、差動増幅器607の出力とし
て位置検出信号が得られる。
【0330】光学的位置検出手段は、上述のような方法
以外にも、発光部を可動部に取り付け、受光側が固定部
にあっても同様の効果が得られることはいうまでもな
い。
【0331】また、上述のような磁気的あるいは光学的
位置検出手段の他にも、可動ヘッドアクチュエータの板
バネあるいはジンバルバネに、歪むと磁気抵抗が変化す
る一般的に歪ゲージと呼ばれる素子を貼り付けることに
よって、板バネもしくはジンバルバネの変形を抵抗値の
変化として検出し、例えば、上述の歪ゲージに一定電流
を流した時の電圧の変化を読むか、一定電圧を加えた時
に歪ゲージと直列に挿入した電流検出用抵抗の両端の電
圧を読むなどして、可動部の位置を検出する方法も可能
である。
【0332】また、可動部付近に容量を検出するセンサ
を用意し、さらに上記容量センサと可動部との距離が、
可動部の移動に伴い変化するように配置し、容量センサ
の容量を電気的に検出することにより可動部の位置を検
出することも可能である。
【0333】また、従来のバイモルフ型アクチュエータ
を用いる場合においては、従来例で示すようにバイモル
フの一部を切ることによりバイモルフ変位量における直
流成分以外の量を取り出すことが可能であることもいう
までもない。この場合、変位出力に直流成分は含まれな
いが、ドラム1回転内の可動ヘッドの位置制御において
必ずしも直流成分を必要としないため、位置制御に用い
る位置検出信号として入力することが可能である。
【0334】また、上記のような可動ヘッドの高さを常
に検出できる位置センサの出力を利用し、以下のような
電気的な状態推定器によりダンピングループを構成し、
アクチュエータの有する機械共振を抑圧し、可動ヘッド
の高さを制御する時の制御性を向上させ外部振動に対し
て振動しにくくすることも可能である。
【0335】特に、上述した常に検出できる位置センサ
の出力に基づいて構成した位置制御ループにおいて、可
動ヘッドアクチュエータの機械共振により位置ループの
制御帯域が低く制限されてしまうのを防ぐ効果がある。
【0336】さらにドラム内で磁気ヘッドを動かすに
は、1軸方向すなわちドラムの回転軸と平行な方向にの
み動かしてやることが必要で、従来例で示したバイモル
フ型や電磁駆動型にみられるような片持ち部材もしくは
板バネ形状のような構成とし、駆動部と磁気ヘッドを離
したり、もしくは、板状の先端にヘッドを取り付ける必
要があった。
【0337】このため、従来例のバイモルフ型アクチュ
エータの場合や電磁駆動型アクチュエータの場合におけ
るアクチュエータの伝達特性(変位−駆動電圧もしくは
電流特性)に見られるように、板バネ構成特有の大きな
機械共振が存在していた。
【0338】この大きな機械共振は、共振周波数付近に
おいて位相を180度回すため、例えば位相遅れ補償を
施した位置制御システムを構成する場合、1次共振周波
数より十分低い周波数、一般的には1次共振周波数の1
/10〜1/数10程度までしか制御帯域が取れなかっ
た。
【0339】何故ならば、第1には、上記共振付近の位
相回りの影響によって制御系の位相余裕が十分に確保で
きず、第2に共振ピークゲインが大きいと、制御帯域周
波数以降におけるゲイン余裕量(一般的には、制御帯域
周波数より高い周波数領域における位相が−180度と
なる周波数での制御系オープンループゲインが−10〜
−20dBになる必要がある)が共振ピークゲインによ
り小さくなり、これらにより制御システムが不安定とな
るからである。
【0340】また、位相進み補償を施して1次共振と2
次との間に制御帯域を持ってくる場合は、1次機械共振
周波数と2次共振もしくは反共振周波数が十分に離れて
いる必要があり、VTRの可動磁気ヘッドのアクチュエ
ータに見られるような板バネ形状の可動部を有するシス
テムでは1次共振と2次以降との周波数差が取れず、上
記進み補償はあまり用いられない。
【0341】そこで、VTRの可動磁気ヘッドアクチュ
エータ特有の大きな機械共振特性を電気的にダンピング
して制御性の良いアクチュエータに変える必要が生じ
る。しかし、従来例に見られるように微分回路で構成し
たのでは、位置センサのノイズを増幅し、却ってトラッ
キング制御性能が劣化してしまっていた。
【0342】そこで、図63に示されたように、積分回
路を用いた状態推定器420によってアクチュエータ速
度を推定すれば、ノイズを増幅することもなく、また、
後述する理由で、高次機械共振の影響も取り除くことが
できる。
【0343】図63の伝達関数表現された状態推定器4
20は、現代制御理論における同一次元オブザーバによ
る構成の一例で、この状態推定器内にはドライブアンプ
313,コイル抵抗312,アクチュエータ機構部31
1の特性をそれぞれ模擬する等価回路422,423,
424が設けられている。
【0344】実際のドライブアンプ313に入力する駆
動電圧はこの状態推定器420内の上記ブロックにも入
力され、等価回路424の出力であるa点に状態推定器
の入力から推定したアクチュエータの位置を表わす信号
Iが出力されて、減算器428の減算入力端子に供給さ
れる。
【0345】一方、実際のアクチュエータの変位を後述
するセンサなどで実測した信号Xがb点から上記減算器
428の加算入力端子に出力され、この減算器428か
らはその差であるX−Iが推定誤差Jとして取り出され
る。
【0346】状態推定器420内でアクチュエータの特
性を模擬しているブロック422,423,424の伝
達特性はこの場合2次の積分特性を有しており、初期状
態までも実際のアクチュエータにおける積分特性を模擬
していないことや、実際のアクチュエータには積分特性
の手前に外乱が入力されるにも拘らず、等価回路では外
乱までは模擬できないなどの理由から、周波数特性に関
しては実際のアクチュエータ特性と等価回路が同じであ
っても、等価回路の出力値における各時間経過毎の値で
ある動特性は同じにならない。
【0347】このため、上記推定誤差が収束して“0”
になるように、等価回路425と426のゲインF1
2 を介してフィードバックがかけられている。従っ
て、ある時間経過後は状態推定器内フィードバックゲイ
ンの作用により推定誤差がゼロに収束するため、等価回
路424の出力である推定位置Iと実測位置Xは等しく
なる。
【0348】このとき、1/(C+MS)の機能を果た
す等価回路423は位置の微分を行なっていることか
ら、その出力Fは実際のアクチュエータ速度に等しくな
っている。
【0349】上述のような原理で推定したアクチュエー
タの速度を等価回路427のF3 のゲインで元の制御ル
ープにフィードバックすると、現代制御理論におけるレ
ギュレータの構成と同様に、速度フィードバックループ
が新たに構成されたこととなり、アクチュエータの機械
共振特性にダンピングがかかる。
【0350】図64は、上記のことを証明するアクチュ
エータ周波数特性の実測図で、状態推定器を用いて速度
フィードバックを施した場合のアクチュエータの動作特
性にはダンピングがかかり、共振ピークゲインが小さく
なる。
【0351】以上述べたところは、アクチュエータの速
度を推定する状態推定器420として現代制御理論の同
一次元オブザーバで構成した場合のものであるが、最小
次元オブザーバで構成しても同様の効果が得られること
はいうまでもない。
【0352】この場合には、上述したようなアクチュエ
ータの特性を模擬したブロックは用いられず、アクチュ
エータ特性を状態方程式で表現した式を、一般的な最小
次元オブザーバ構成アルゴリズム(例えばゴピナスの最
小次元オブザーバ)によって解いた結果をそのまま回路
で実現することになる。
【0353】また、ここにおいて、同一次元オブザーバ
における等価回路425,426のゲインF1 およびF
2 の設定は、 M:アクチュエータ可動部 k:アクチュエータ質量 C:アクチュエータ粘性 (x1 〜):アクチュエータ推定位置 (x2 〜):アクチュエータ推定位置 u:入力 Ce:推定誤差 (y〜):状態推定器出力 とすると、アクチュエータ状態方程式は
【数1】 となる。
【0354】現代制御理論における任意極配置の定義に
よりオブザーバの極を−α1,−α2とすると、F1,2
の値は
【数2】 を満たすF1,2 を求めれば良いことになる。
【0355】しかしながら、状態推定器420内におけ
るゲインF1 (ブロック425)を含むループとゲイン
2 (ブロック426)を含むループの収束はトラッキ
ング制御系全体の収束よりも十分速い必要があるため、
式2におけるα1 とα2 の値は、図76の制御理論にお
いてシステムの応答を表現する図の極位置において、レ
ギュレータシステムの極(トラッキング制御システムの
極)よりも十分左側(負の実数値が大きい側=収束が速
い側)に設定する必要がある。
【0356】実際の状態推定器をアナログ回路で構成す
る場合には、例えば図65に示すように実現される。ア
ナログ差動増幅器などでは温度ドリフトなどによりオフ
セットが発生しやすいため、このようにアナログ回路で
構成する場合には、状態推定器420へのアクチュエー
タ駆動電圧入力および位置センサからの位置情報入力に
ついて、直流成分を除去するコンデンサ801,807
を挿入することが望ましい。
【0357】このトラッキング制御システムにおいて主
にダンピングをかける必要がある周波数領域は機械共振
が存在する周波数付近であることから直流分は必要がな
く、したがって、このようにコンデンサを使用しても支
障を生じることはない。
【0358】図65の回路は、図63のオブザーバ伝達
特性をそのまま模擬したもので、図63中のR,Kd,
Kt,k,F1,2 はそのままオペアンプの増幅ゲイン
として図65中に存在し、1/(C+Ms)の等価回路
423はオペアンプ804のアクティブフィルタで構成
され、積分器307はオペアンプ805による積分器と
して構成されている。
【0359】また、図63中のX−Iの減算部分はオペ
アンプ806にて構成され、オペアンプ806の出力が
それぞれ図63のF1,2 に相当するゲインによってオ
ペアンプ802の入力端子にフィードバックされる構成
となっている。また、図65の構成においては、オペア
ンプ803,804を1つのアクティブフィルタとして
構成して、オペアンプを1つ省略することも可能であ
る。
【0360】上記の構成はアナログ回路として状態推定
器を構成した例であるが、後述するようにマイクロプロ
セッサなどのソフトウェアによって図63の伝達関数表
現を記述しても同様の効果が得られる。
【0361】以上のようにして可動ヘッドの高さを検出
するセンサと交流磁界発生コイルを用いた絶対高さ検出
センサの両方を用いて構成される可動ヘッドの高さ制御
方式のブロック図は、図66のように表される。
【0362】アクチュエータの速度を推定する状態推定
器103によるダンピングループによりアクチュエータ
107の制御性が向上され、これに位置制御補償器を有
する位置制御ループが構成される。
【0363】さらに位置制御ループの直流成分である絶
対高さは、交流磁界発生コイルなどで構成される絶対高
さ補正ループにより補正される。
【0364】当然ながら、図66のシステムにおいて、
位置制御ループとダンピング制御ループがない場合、ド
ラム1回転毎の絶対値高さ制御のみとなり1回転中の高
さずれが生じやすくなる。
【0365】また、ダンピングループのみがない場合位
置制御ループの帯域が上げられず、1回転中の高さずれ
抑圧率が弱まり、振動しやすくなる。また、位置制御ル
ープのみがない場合は振動はしにくいが1回転中の高さ
ずれ抑圧率はほとんどなくなる。
【0366】しかし上述したように絶対高さ補正ループ
に対し上記2つのマイナーループが各々削除されても、
アクチュエータ可動部の機械的特性が、剛性が高かった
り、粘性が大きかったりした場合は、問題がなく、上記
したような図66における各々のマイナーループが削除
された場合でも実現できる。
【0367】図66のシステムにおいては、絶対高さの
補正ループと、ダンピングループ込みの位置制御ループ
のオープンループのゲイン特性を、低周波側で絶対高さ
補正ループの方が大きく、高周波側で任意ループ系を大
きくすることにより、可動ヘッドがドラム回転中常に絶
対高さに制御されるシステムが実現できる。
【0368】この場合、図67(a) のように絶対高さ制
御ループのゲインを2次遅れ形として低域補償する方法
と図67(b) のように位置制御ループの直流成分をカッ
トし低域側でゲインを下げる方法とがある。
【0369】例えば図67(a) のようなオープンループ
特性を実現するためには図66の低域補償回路において
例えば図68のような周波数特性を有するフィルタを挿
入する必要がある。
【0370】これは各々の(a)ラグリードフィルタ (b)ローパスフィルタ(1次) (c)ローパスフィルタ(2次) であり、一般的に良く知られているものである。
【0371】また位置制御補償器においても例えば図6
9のように構成する必要があり、図中、 (a)ローパスフィルタ (b)ハイパスフィルタ として良く知られているものである。
【0372】これらはコンデンサと抵抗によるアナログ
回路や、ディジタルフィルタによって容易に実現できる
ことはいうまでもない。また各々の補償器においては、
ゲイン補償用のアンプゲインを記入していないか、図6
7を実現するためには所望のゲイン補償が各々必要であ
ることはいうまでもない。
【0373】図66のシステムはアナログ回路でもって
構成できることは勿論であるが、高速なディジタル演算
器例えばマイクロプロセットなどを用いてソフトウェア
上で制御系を実現することも可能である。
【0374】例えば図70は、図66の位置制御システ
ムをソフトウェアで構成した場合のブロック図のメイン
フローで計算の周期を指令するブロック毎に状態推定器
の速度推定計算サブルーチン、位置制御系特に位置制御
補償器の計算サブルーチン、絶対高さ補正系特に絶対高
さ検出および低域補償の計算サブルーチンを順次計算
し、最初の2つのサブルーチンの計算結果を絶対高さ補
正指令より減算することで、アクチュエータドライブ指
令値を得る構成となっている。
【0375】各々のサブルーチンについては以下のよう
に計算される。まず状態推定器の計算は、図71に示さ
れるように、K1 〜K5 に定数(Kd・Kt)/R,
K, F1,2,3 を設定して、順次変数(A−J,O
1)を計算する手順となっている。変数A〜Jは図63
の状態推定器ブロック図における各信号ライン上の表示
値A〜Jに相当する。
【0376】図72は位置制御補償器102のサブルー
チンで、アクチュエータ高さ情報を2つのディジタルフ
ィルタを通して計算して出力する構成となっている。
【0377】図73は絶対高さ補正のサブルーチンでカ
ウンタ値Pを用いて絶対高さを情報Z1,2 の値をP回
平均した後ディジタルフィルタにより低域補償し、出力
する構成となっている。
【0378】ここにおいて上記のZ1,2 は、従来例の
2つの交流磁界発生コイル出力を実施例の絶対高さ検出
用ヘッド73および可動ヘッドなどで拾い、図56の増
幅回路で増幅後検波し、ピークホールドもしくはサンプ
ルホールドしたものを上記2つの交流磁界発生コイルの
各々につきZ1 およびZ2 として上記マイクロプロセッ
サにA/D変換して入力したものである。
【0379】以上のような可動ヘッドの位置制御システ
ムは、例えば図74のようなハードウェアで構成するこ
とが可能である。
【0380】可動ヘッドのポジションをポジションセン
サで検出する場合、この検出信号がロータリートランス
のチャンネル数の制限や、スリップリングMに介在する
摺動ノイズの影響を考えてドラム外に取り出すことがで
きない場合がある。
【0381】この場合、図74のようにドラム内蔵の回
路基板内にアクチュエータのドライバDと、上述の状態
推定器420を構成し、電気的ダンピング込みのアクチ
ュエータをスリップリングMを介してドラム外から制御
する形として実現することができる。
【0382】一方、位置検出信号を回転ドラム外に取り
出し、位置制御回路およびドライバをドラム外で構成す
ることも可能である。
【0383】例えば、図75がその一例で、光センサの
発光素子605であるLEDもしくはレーザを図中の振
動信号により点滅駆動させる。この際、点滅の周波数
は、オブザーバ帯域よりも十分高く、また、ロータリー
トランス620の通過可能周波数範囲とする。
【0384】図では、スリップリングMにより発光素子
605の駆動信号を送っているが、容量の大きなロータ
リートランスにて駆動信号を伝送するか、電源のみ別の
手段(容量の大きいロータリートランスもしくはスリッ
プリング)にて供給し、指令信号のみを送る方法でも同
様に点滅駆動させることができる。
【0385】このようにして点滅駆動された光は、反射
ミラー606を介して受光部602にて交流の光電流に
変換される。この光電流はロータリートランス通過可能
な周波数領域における光電流信号であるため、容易にロ
ータリートランス620を通過し、回転ドラム外の検波
回路608にて受光部602の受光光量に変換され、差
動アンプ607にてアクチュエータ可動部の変位量とし
て取り出すことができる。
【0386】また、図75のような光センサの場合でな
くても、上述した容量式センサの場合はセンサの持つ容
量とコイルとでLC発振回路となるように構成し、上記
発振回路からの交流信号をロータリートランス外に取り
出した後、周波数−電圧変換(F/V変換)を行い、可
動部位置信号をとり出してもよい。
【0387】またこのような方法以外にも、ドラム内に
用意した電圧−周波数変換(FM変調)回路、もしくは
電圧−パルス幅変換(PWM変調)回路、もしくは電圧
−交流振幅変換(AM変調)回路などにより、ロータリ
ートランス620を介してドラム外に取り出しても同様
の効果が得られることきいうまでもない。
【0388】以上のように可動部の位置信号が常にロー
タリートランスの外部に取り出される場合は、上述した
ソフトウェアのアルゴリズムでも実現できるしアナログ
回路による構成も可能である。
【0389】しかし、回転ドラム上に配置した状態推定
器回路と位置制御回路で実現する場合は、回路規模の制
約からアナログ回路で構成しなければならない場合が生
じ、この時状態推定器アナログ演算値にドリフトなどが
生じないよう状態推定器の位置信号入力の直流成分をカ
ットする必要がある。
【0390】ただし、この時、状態推定器の駆動電圧入
力においても同様に直流分をカットしておかないと、推
定誤差に直流的な予測誤差が生じて、状態推定器が動作
しなくなることはいうまでもない。
【0391】このような構成にしても、上記オブザーバ
は位置制御システムの高周波域を受け持っているため何
ら問題が生じない。これは、図76の極配置がほとんど
変わらないのと等価である。
【0392】この第9の実施例は、アクチュエータのダ
ンピングを実現する為に、ドラム内にアクチュエータの
位置センサを必要とすることや、ドラム内にダンピング
基板を必要とすること、もしくは、ドラム外に位置信号
を取り出すための機構が必要であることなど、機構的に
多少複雑になる。
【0393】そこで、先に説明した第1ないし第8実施
例について説明した制御系をこの第9実施例の制御系と
して適用することによって、この問題を解決することが
できる。なお、ダンピング制御以外の構成は、上記した
第9実施例と同様である。
【0394】ここでは、先に図1ないし図3に図示・説
明した第1実施例によって構成したアナログ回路によっ
て構成した実施例を図80に示し、その詳細な説明は省
略する。なお、この回路を構成する演算増幅器には図2
の対応する等価回路に付したと同一の符号を付してあ
る。
【0395】以上に述べたダンピング制御によって、ア
クチュエータの電気的ダンピングが可能になり、ドラム
回転による周期外乱やその他の無周期外乱に対する可動
ヘッドの励起振動を抑えることができる。
【0396】〔第10実施例〕前述の状態推定器は速度
推定ができるだけでなく、磁気ヘッド位置に相当する信
号も推定し、出力する事ができる。この推定位置信号
は、直流成分の推定ができないためにこの信号のみをフ
ィードバックすることによって位置制御ループを構成す
ることは困難である。
【0397】しかし、第1の実施例と同様に位置制御系
のオープンループのゲイン特性を低周波側で絶対高さ補
正ループの方を大きく、高周波側で推定位置信号に基づ
く位置制御ループ系を大きくすることにより、可動ヘッ
ドがドラム回転中常に絶対高さに制御されるシステムが
実現できる。
【0398】そのブロック図を図81に示す。これは前
述の第9の実施例で述べた図66に相当するものであ
り、その位置制御の補償のやり方などは、同等なので説
明を省略する。
【0399】この実施例に係る可動ヘッドの位置制御装
置は、回転ドラム上に配置された絶対高さ基準値検出器
によりドラムの1回転毎に所定の基準高さを検出し、可
動ヘッド高さを上記所定の基準高さに制御するようにし
たものである。
【0400】また、この発明に係る可動ヘッド位置制御
装置は、可動ヘッドアクチュエータ内に配置された可動
ヘッド位置検出器により、ドラム回転中の可動ヘッドの
動きを検出し、上記検出値による位置制御ループにより
ヘッド高さを固定するとともに、上記検出位置から電気
的に推定した速度推定値による速度制御ループを構成す
ることにより記録時における振動などによる高さずれを
防止するようにしたものである。
【0401】また、この発明に係る可動ヘッド位置制御
装置は、位置信号の直流成分を含む低域成分は上記絶対
高さ基準値検出器からの信号を用い、高域成分は可動ヘ
ッドアクチュエータの位置推定器からの信号を用いるこ
とで、ドラム回転中の可動ヘッドの動きを検出し、上記
検出値による位置制御ループによりヘッド高さを固定す
るとともに、上記検出位置から電気的に推定した速度推
定値による速度制御ループを構成することにより記録時
における振動などによる高さずれを防止するようにした
ものである。
【0402】〔その他の実施例〕以上ではVTRの可動
ヘッドアクチュエータのダンピングについてのみ述べた
が、同様の手法によって例えばボイスコイルスピーカや
ハードディスクのトラッキング用スィングアームアクチ
ュエータ、CDなど光ディスクのトラッキング用リニア
モータなど、ボイスコイル電磁駆動アクチュエータに本
発明が適用可能なことはいうまでもない。
【0403】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、電磁
駆動型アクチュエータの速度,位置,負荷外乱検出のた
めにアクチュエータからの位置情報を必要としないの
で、回転ドラム内に設けられているアクチュエータに
気ヘッドの位置を検出するための位置センサを設ける必
要がなく、またこの位置信号を回転ドラム外に取り出す
必要がないため、従来の機械構成の変更なしに外付けの
電気回路のみによってダンピング制御および負荷外乱制
御などが実現できる。
【0404】また、速度検出に微分器を用いていないの
で、検出ノイズを増幅する恐れがなく、かつ安価な電気
回路にて、検出系のバラツキや制御対象の経時変化およ
びバラツキに対しても安定なダンピングが得られ、かつ
推定位置をフィードバックすることで、共振周波数を見
かけ上、上げることによって、応答性を改善し極めて制
御性の良好なアクチュエータを安価に得ると言った効果
がある。
【0405】さらに本発明によれば、回転ドラムに近接
して設けられている交流磁界発生手段によって磁気ヘッ
ドに誘起される電磁誘導信号に基づいて動作する位置制
御系により磁気ヘッドの位置を所望の絶対高さに制御す
ることができる。さらに、速度推定状態推定器によりダ
ンピングが制御されるために装置振動などによる可動ヘ
ッドの振動や位置ずれをも防ぐことができる。
【0406】また、交流磁界発生手段によって磁気ヘッ
ドに誘起される電磁誘導信号はロータリートランス上に
おいて記録信号電流からのクロストークに妨害されるこ
とがなく、加えて、電磁誘導信号増幅器のアンプゲイン
を情報信号増幅器のゲインと別々に設定することができ
るため正確な高さ検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による磁気記録再生装置における磁気ヘ
ッド位置制御装置の第1実施例の概略を示すブロック図
である。
【図2】上記第1実施例の磁気ヘッド位置制御装置を制
御理論の伝達関数によって示したブロック図である。
【図3】上記第1実施例を具体的な電気回路として構成
した例を示す回路図である。
【図4】本発明の実施例で使用する電磁駆動型アクチュ
エータの概略断面図である。
【図5】本発明の実施例で使用する電磁駆動型アクチュ
エータの詳細断面図である。
【図6】図5に示した電磁駆動型アクチュエータにおけ
る磁束の状態を示す詳細断面図である。
【図7】図5に示した電磁駆動型アクチュエータの“変
位/電圧”周波数特性を示した図である。
【図8】本発明による磁気記録再生装置における磁気ヘ
ッド位置制御装置の第2実施例を制御理論の伝達関数に
よって示したブロック図である。
【図9】第2実施例において使用する補償フィルタの周
波数特性の例を示す図である。
【図10】第2実施例において使用する補償フィルタの
周波数特性の例を示す図である。
【図11】第2実施例において使用する補償フィルタの
周波数特性の例を示す図である。
【図12】第2実施例によって改善された電磁駆動型ア
クチュエータの“変位/電圧”周波数特性を示す図であ
る。
【図13】第2実施例による負荷外乱特性の改善効果を
説明した図である。
【図14】第2実施例を具体的な電気回路として構成し
た例を示す回路図である。
【図15】本発明による磁気記録再生装置における磁気
ヘッド位置制御装置の第3実施例の概略を示すブロック
図である。
【図16】第3実施例を制御理論の伝達関数によって示
したブロック図である。
【図17】第3実施例を具体的な電気回路として構成し
た例を示す回路図である。
【図18】本発明による磁気記録再生装置における磁気
ヘッド位置制御装置の第4実施例の概略を示すブロック
図である。
【図19】第4実施例を制御理論の伝達関数によって示
したブロック図である。
【図20】第4実施例を具体的な電気回路として構成し
た例を示す回路図である。
【図21】第1実施例に電流帰還ループを付加した第5
実施例の概略を示すブロック図である。
【図22】第3実施例に電流帰還ループを付加した第5
実施例の概略を示すブロック図である。
【図23】第4実施例に電流帰還ループを付加した第5
実施例の概略を示すブロック図である。
【図24】第1実施例に電流帰還ループを付加した第5
実施例を制御理論の伝達関数によって示したブロック図
である。
【図25】第3実施例に電流帰還ループを付加した第5
実施例を制御理論の伝達関数によって示したブロック図
である。
【図26】第4実施例に電流帰還ループを付加した第5
実施例を制御理論の伝達関数によって示したブロック図
である。
【図27】第1実施例に電流帰還ループを付加した第5
実施例を具体的な電気回路として構成した例を示す回路
図である。
【図28】第3実施例に電流帰還ループを付加した第5
実施例を具体的な電気回路として構成した例を示す回路
図である。
【図29】第4実施例に電流帰還ループを付加した第5
実施例を具体的な電気回路として構成した例を示す回路
図である。
【図30】本発明による磁気記録再生装置における磁気
ヘッド位置制御装置の第6実施例の概略を示すブロック
図である。
【図31】第6実施例を制御理論の伝達関数によって示
したブロック図である。
【図32】第6実施例を具体的な電気回路として構成し
た例を示す回路図である。
【図33】第7実施例で使用する電磁駆動型アクチュエ
ータの例を示す断面図である。
【図34】図33に示した電磁駆動型アクチュエータの
“変位/電圧”周波数特性の例を示す図である。
【図35】本発明に使用し得る電磁駆動型アクチュエー
タの他の例を示す断面図である。
【図36】バネ剛性の弱い電磁駆動型アクチュエータの
“変位/電圧”周波数特性の例を示す図である。
【図37】本発明による磁気記録再生装置における磁気
ヘッド位置制御装置の第7実施例の概略を示すブロック
図である。
【図38】第7実施例を制御理論の伝達関数によって示
したブロック図である。
【図39】位置をフィードバックすることによって電磁
駆動型アクチュエータの共振周波数を高くし得ることを
説明するための制御理論の伝達関数によって示したブロ
ック図である。
【図40】位置をフィードバックしたときの電磁駆動型
アクチュエータの“変位/電圧”周波数特性の例を示す
図である。
【図41】第7実施例によって改善された電磁駆動型ア
クチュエータの“変位/電圧”周波数特性を示す図であ
る。
【図42】第7実施例を具体的な電気回路として構成し
た例を示す回路図である。
【図43】本発明による磁気記録再生装置における磁気
ヘッド位置制御装置の第8実施例の概略を示すブロック
図である。
【図44】第8実施例を制御理論の伝達関数によって示
したブロック図である。
【図45】第8実施例にる外乱抑制効果を示すための図
である。
【図46】第8実施例を具体的な電気回路として構成し
た例を示す回路図である。
【図47】従来の磁気ヘッドアクチュエータとして用い
られているバイモルフ素子の例と回転ドラムとの関係を
示す図である。
【図48】従来の磁気ヘッドアクチュエータとして用い
られているバイモルフ素子の他の例と回転ドラムとの関
係を示す図である。
【図49】従来の磁気ヘッドアクチュエータとして用い
られているバイモルフ素子のさらに他の例と回転ドラム
との関係を示す図である。
【図50】バイモルフ素子の変位と磁気ヘッドの傾き角
との関係を幾何学的に示した図である。
【図51】バイモルフ素子の有効長と磁気ヘッドの傾き
角との関係を示した図である。
【図52】従来のバイモルフ素子の“変位/電圧”周波
数特性の例を示す図である。
【図53】バイモルフ素子を磁気ヘッドアクチュエータ
として用いた従来の磁気ヘッド位置制御装置のブロック
図である。
【図54】本発明の実施例に使用し得る、回転ドラムの
例とそのジンバルバネに設けられた2個のヘッドの構造
を拡大して示した断面図および拡大図である。
【図55】本発明の実施例に使用し得る、絶対高さ検出
素子の好適な例を示す拡大平面図である。
【図56】本発明の実施例に使用し得る、絶対位置検出
回路の検出信号増幅部の回路図である。
【図57】図56におけるスイッチング用トランジスタ
の動作モードを回転ドラムの回転角に対応させて表した
説明図である。
【図58】本発明の実施例に使用し得る、絶対高さ検出
器が設けられたヘッドアクチュエータの好適な例を示す
断面図である。
【図59】図58の絶対高さ検出器を変形した例におけ
るホールセンサの要部拡大断面図である。
【図60】絶対高さ検出器を光センサで構成した電磁駆
動型アクチュエータの例を示す断面図である。
【図61】絶対高さ検出器を光センサで構成した電磁駆
動型アクチュエータの他の例を示す断面図である。
【図62】光センサによって可動部の変位量を検出する
原理を説明する図である。
【図63】本発明による磁気記録再生装置における磁気
ヘッド位置制御装置の第9実施例を制御理論の伝達関数
によって示したブロック図である。
【図64】第9実施例による電磁駆動型アクチュエータ
の特性の改善を示す図である。
【図65】第9実施例を具体的な電気回路として構成し
た例を示す回路図である。
【図66】第9実施例の磁気ヘッド位置制御装置の全体
構成を示すブロック図である。
【図67】図66に示した位置制御装置のオープンルー
プ特性を示す図である。
【図68】図66図示の磁気ヘッド位置制御装置におけ
る低域補償回路のブロック図とそのゲイン伝達特性を示
す図である。
【図69】図66図示の磁気ヘッド位置制御装置におけ
る位置制御補償器のブロック図とそのゲイン伝達特性を
示す図である。
【図70】第9実施例の制御系をソフトウェアによって
実現した場合のメインプログラムのフローチャートであ
る。
【図71】第9実施例の制御系をソフトウェアによった
実現した場合の状態推定器のサブルーチンプログラムの
フローチャートである。
【図72】第9実施例の制御系をソフトウェアによった
実現した場合の位置制御補償器のサブルーチンプログラ
ムのフローチャートである。
【図73】第9実施例の制御系をソフトウェアによった
実現した場合の絶対高さ補正サブルーチンプログラムの
フローチャートである。
【図74】第9実施例の磁気ヘッド位置制御装置におけ
る回転ドラムおよび制御部の例を示す説明図である。
【図75】第9実施例におけるアクチュエータ位置検出
装置の全体構成図である。
【図76】アクチュエータおよびトラッキング制御シス
テムおよびオブザーバの極配置を表した説明図である。
【図77】この実施例による磁気ヘッドおよび絶対高さ
検出ヘッドの回転ドラム上のヘッド配置を示す説明図で
ある。
【図78】この実施例における回転ドラムからの信号伝
送のための平板型ロータリートランスのチャンネル配置
の例を示す説明図である。
【図79】図77図示の回転ドラムにおける磁気ヘッド
および絶対高さ検出素子のテープとの接触期間を説明し
た図である。
【図80】第9実施例を具体的な電気回路として構成し
た例を示す回路図である。
【図81】第10実施例の磁気ヘッド位置制御装置の全
体構成を示すブロック図である。
【図82】従来の回転ドラム部の構造を示す要部断面図
である。
【図83】図82の回転ドラム部の83−83線による
断面図である。
【図84】図83におけるアクチュエータの底面図であ
る。
【図85】図84のアクチュエータの85−85線によ
る断面図である。
【図86】図84の86−86線に沿った側面図であ
る。
【図87】従来の回転ドラムに内蔵された複数のヘッド
の配置例を示す図である。
【図88】交流磁界発生装置を用いた従来の磁気ヘッド
位置制御装置の第1の例を示す概念図である。
【図89】従来の交流磁界発生装置と回転ドラムの関係
を示す配置説明図である。
【図90】従来例におけるヘッド高さ位置と検出された
交流信号の振幅との関係を示す図である。
【図91】交流磁界発生装置を用いた従来の磁気ヘッド
位置制御装置の第2の例を示す概念図である。
【図92】交流磁界発生装置の例を示す説明図である。
【図93】図92図示の交流磁界発生装置における磁束
分布の説明図である。
【図94】従来の交流磁界発生装置の磁束分布を更に詳
細に示す説明図である。
【図95】交流磁界発生装置を用いた従来の磁気ヘッド
位置制御装置の第3の例を示す概念図である。
【図96】電磁駆動型アクチュエータのヒステリシス特
性を示す図である。
【図97】図96図示のヒステリシス特性によって生じ
るトラッキングエラーの説明図である。
【図98】交流磁界発生装置を用いた従来の磁気ヘッド
位置制御装置の第4の例を示す概念図である。
【図99】図98に示した従来例における磁気ヘッドの
再生出力を示す図である。
【図100】交流磁界発生装置を用いた従来の磁気ヘッ
ド位置制御装置の第5の例を示す概念図である。
【図101】図100図示の従来例における、ヘッド段
差と同期検波出力の関係を示す図である。
【図102】回転ヘッドに設けられた各ヘッドの従来の
配置を説明するための図である。
【図103】交流磁界発生装置を用いた従来の磁気ヘッ
ド位置制御装置の第6の例を示す概念図である。
【図104】交流磁界発生装置を用いた従来の磁気ヘッ
ド位置制御装置の第7の例を示す概念図である。
【図105】交流磁界発生装置と回転ドラムとの関係を
示す図である。
【図106】図105において交流磁界発生装置によっ
て発生した磁束と回転ドラムとの関係を更に詳細に示し
た説明図である。
【図107】図106の磁束を平面に展開した図であ
る。
【図108】図106,図107に図示した各面での再
生出力波形を示す図である。
【図109】従来の交流磁界発生コイルの一例の斜視図
である。
【図110】図109の110−110線による要部断
面図である。
【図111】交流磁界発生コイルの他の例を示す概念図
である。
【図112】交流磁界発生コイルのさらに他の例を示す
概念図である。
【符号の説明】
H 磁気ヘッド C 電磁駆動型アクチュエータ D ドライブアンプ S 減算器 R 電流検出用抵抗 O 差動アンプ P,420 状態推定器

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気ヘッドをトラッキング方向に移動さ
    せるための電磁駆動型アクチュエータを備える磁気記録
    再生装置において、上記電磁駆動型アクチュエータに供給されるアクチュエ
    ータ駆動電圧とアクチュエータ駆動電流とから上記電磁
    駆動型アクチュエータの移動速度を推定した推定速度信
    号を出力するためのものであって、上記電磁駆動型アク
    チュエータのモデル化された各特性をそれぞれ電気的に
    模擬する等価回路の組合わせによって構成された状態推
    定器を設けるとともに 、この状態推定器により推定され
    た推定速度信号を上記電磁駆動型アクチュエータに上記
    アクチュエータ駆動電圧および上記アクチュエータ駆動
    電流を供給するドライブアンプの入力にフィードバック
    するダンピング制御ループを設けたことを特徴とする磁
    気記録再生装置における磁気ヘッド位置制御装置。
  2. 【請求項2】 態推定器は、電磁駆動型アクチュエー
    タの駆動コイル抵抗とインダクタンス特性,磁気回路の
    力定数,慣性,バネ定数および逆起電力をそれぞれ電気
    的に模擬する等価回路を含むことを特徴とする請求項
    記載の磁気記録再生装置における磁気ヘッド位置制御装
    置。
  3. 【請求項3】 態推定器は、アクチュエータ駆動電
    アクチュエータの駆動コイル抵抗とインダクタンス特
    性を電気的に模擬した等価回路を介して逆起電力を含ま
    ないアクチュエータ駆動電流を推定するとともに、この
    推定したアクチュエータ駆動電流と逆起電力の影響を受
    けたアクチュエータ駆動電流とを比較することによっ
    て、電磁駆動型アクチュエータの速度を推定することを
    特徴とする請求項記載の磁気記録再生装置における磁
    気ヘッド位置制御装置。
  4. 【請求項4】 態推定器は、電磁駆動型アクチュエー
    タのコイルリアクタンスを含むインピーダンス特性を模
    擬した等価回路であることを特徴とする請求項1記載の
    磁気記録再生装置における磁気ヘッド位置制御装置。
  5. 【請求項5】 磁駆動型アクチュエータのコイルリア
    クタンスを含むインピーダンス特性を模擬した等価回路
    がローパスフィルタであることを特徴とする請求項
    載の磁気記録再生装置における磁気ヘッド位置制御装
    置。
  6. 【請求項6】 態推定器の出力を電磁駆動型アクチュ
    エータの共振周波数を中心周波数とするバンドパスフィ
    ルタを含むダンピング制御ループを介してフィードバッ
    クするようにしたことを特徴とする請求項あるいは請
    求項記載の磁気記録再生装置における磁気ヘッド位置
    制御装置。
  7. 【請求項7】 ンピング制御ループの内側にアクチュ
    エータ駆動電流をフィードバックする電流帰還ループを
    設けることによって上記電磁駆動型アクチュエータの温
    度変化などによる経時変化を補償するようにしたことを
    特徴とする請求項1ないし請求項記載の磁気記録再生
    装置における磁気ヘッド位置制御装置。
  8. 【請求項8】 態推定器によって逆起電力を含まな
    クチュエータ駆動電流を推定し、この推定したアクチ
    ュエータ駆動電流フィードバックすることによって電
    磁駆動型アクチュエータの温度変化などによる経時変化
    を補償するようにしたことを特徴とする請求項1ないし
    請求項記載の磁気記録再生装置における磁気ヘッド位
    置制御装置。
  9. 【請求項9】 状態推定器によって電磁駆動型アクチュ
    エータの位置を推定した位置推定信号を生成し、この位
    置推定信号をアクチュエータ駆動電圧にフィードバック
    することによって上記電磁駆動型アクチュエータの見掛
    けの共振周波数を高くするようにしたことを特徴とする
    請求項1ないし請求項記載の磁気記録再生装置におけ
    る磁気ヘッド位置制御装置。
  10. 【請求項10】 状態推定器によって電磁駆動型アクチ
    ュエータの負荷外乱を推定した推定外乱信号を生成し、
    この推定外乱信号をアクチュエータ駆動電圧にフィード
    フォワードすることによって上記電磁駆動型アクチュエ
    ータの負荷外乱を打ち消すようにしたことを特徴とする
    請求項1ないし請求項記載の磁気記録再生装置におけ
    る磁気ヘッド位置制御装置。
  11. 【請求項11】 可動磁気ヘッドと、 この可動磁気ヘッドをトラッキング方向に移動させるた
    めの電磁駆動型アクチュエータとを内部に備える回転ド
    ラムと、 この回転ドラムに近接して設けられて所定周波数の交流
    磁界を発生する交流磁界発生手段と、 上記可動磁気ヘッドが検出した上記交流磁界発生手段か
    らの交流磁界によってこの可動磁気ヘッドの高さ位置を
    検出して検出位置信号を出力する位置検出手段と、 上記電磁駆動型アクチュエータの移動速度を上記電磁駆
    動型アクチュエータに供給されるアクチュエータ駆動電
    圧とアクチュエータ駆動電流とから上記電磁駆動型アク
    チュエータの速度を推定した推定速度信号を出力するた
    めのものであって、上記電磁駆動型アクチュエータのモ
    デル化された各特性をそれぞれ電気的に模擬する等価回
    路の組合わせによって構成された状態推定器と、この状態推定器により推定された 推定速度信号を上記
    磁駆動型アクチュエータに上記アクチュエータ駆動電圧
    および上記アクチュエータ駆動電流を供給するドライブ
    アンプの入力にフィードバックするダンピング制御ルー
    プと 上記位置検出手段からの検出位置信号に基づいて上記電
    磁駆動型アクチュエータを制御して上記可動磁気ヘッド
    の高さ位置を制御する可動磁気ヘッド高さ位置制御手段
    と、 を備えことを特徴とする磁気記録再生装置における磁
    気ヘッド位置制御装置。
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