JP2878080B2 - 回転ヘッドドラム式磁気記録再生装置 - Google Patents

回転ヘッドドラム式磁気記録再生装置

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JP2878080B2
JP2878080B2 JP5218806A JP21880693A JP2878080B2 JP 2878080 B2 JP2878080 B2 JP 2878080B2 JP 5218806 A JP5218806 A JP 5218806A JP 21880693 A JP21880693 A JP 21880693A JP 2878080 B2 JP2878080 B2 JP 2878080B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、回転ヘッドドラムによ
り磁気テープにディジタルデータの記録再生を行なう回
転ヘッドドラム式磁気記録再生装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】VTR等の磁気記録再生装置において
は、テープ走行速度が標準速度に設定された、いわゆる
スタンダードプレーモード(以降、SPモードと称す
る)で記録を行なうと、トラックピッチが広く確保され
て再生される信号の劣化が少なくなる反面、記録時間が
短くなる。これに対し、SPモードよりテープ走行速度
が遅く設定されたロングプレーモード(以降、LPモー
ドと称する)で記録を行なうと、記録時間の長時間化を
図ることができる。
【0003】しかしながら、一般に、上記のような磁気
記録再生装置にてアナログ信号で記録再生を行なう場
合、トラックピッチを縮小することにより再生出力が低
下すると、再生された信号がS/N(信号対雑音比)の
低下に応じて劣化してしまう。したがって、LPモード
で記録再生を行なうと、SPモードでの記録再生に比べ
て再生信号の劣化が増すことになる。このように、アナ
ログ信号を扱う磁気記録再生装置では、信号の質と記録
時間との間に相反する関係がある。
【0004】一方、ディジタルデータで記録再生を行な
う磁気記録再生装置では、記録されるデータに、記録再
生時に生じるデータ誤りの補正を目的とした誤り訂正用
のデータが付加されている。これにより、実際の誤り率
が所定の誤り率以下であれば、トラックピッチを縮小す
ることによって再生出力が低下してS/Nが低下して
も、元の信号を復元することができる。
【0005】以下に、ヘリカルスキャン方式でディジタ
ルデータのマルチチャンネル記録を行なうディジタルV
TR等の磁気記録再生装置について説明する。
【0006】この種の磁気記録再生装置は、図8に示す
ように、回転ドラム41を備えている。この回転ドラム
41には、ヘッドベース42・43が180°対向する
位置に取り付けられている。これらのヘッドベース42
・43には、それぞれSPモード用の磁気ヘッドA41
41からなるコンビネーションヘッド44と、SPモー
ド用の磁気ヘッドA42・B42からなるコンビネーション
ヘッド45とが固定されている。
【0007】また、回転ドラム41のテープ入口側と出
口側とには、それぞれガイドポスト46・47が設けら
れている。磁気テープ48は、ガイドポスト46・47
により所定角度(図では、ほぼ180°)回転ドラム4
1に巻き付けられている。
【0008】この磁気記録再生装置は、図9に示すよう
な記録再生部を備えている。この記録再生部における記
録側において、図10に示すヘッドスイッチングパルス
(図中、SW.P)が“H”の期間、すなわち回転ドラ
ム41が前半1/2回転する間(PGパルスに基づいて
検出される)、磁気ヘッドA41・B41により記録が行な
われる。このとき、ディジタルデータDA は、再生増幅
器49で増幅された後、ロータリトランス53を介して
磁気ヘッドA41に与えられ、磁気テープ48に記録され
る。
【0009】一方、ディジタルデータDB は、パイロッ
ト信号発生器57から出力されるパイロット信号Pが加
算器59で加算される。パイロット信号Pは、トラッキ
ング制御に用いられる一定周波数の信号であり、スイッ
チ61を介して加算器59まで転送される。パイロット
信号Pが付加されたディジタルデータDB は、再生増幅
器50で増幅された後、ロータリトランス54を介して
磁気ヘッドB41に与えられ、磁気テープ48に記録され
る。
【0010】続いて、ヘッドスイッチングパルスが
“L”の期間、すなわち回転ドラム41が後半1/2回
転する間、磁気ヘッドA42・B42により記録が行なわれ
る。このとき、ディジタルデータDA は、再生増幅器5
0で増幅された後、ロータリトランス55を介して磁気
ヘッドA42に与えられ、磁気テープ48に記録される。
【0011】一方、ディジタルデータDB は、パイロッ
ト信号発生器58から出力されるパイロット信号Qが加
算器60で加算される。パイロット信号Qは、トラッキ
ング制御に用いられ、パイロット信号Pと異なる一定周
波数の信号であり、スイッチ61を介して加算器60ま
で転送される。パイロット信号Qが付加されたディジタ
ルデータDB は、再生増幅器52で増幅された後、ロー
タリトランス56を介して磁気ヘッドB42に与えられ、
磁気テープ48に記録される。
【0012】再生時、ヘッドスイッチングパルスが
“H”の期間、磁気テープ48に記録されている磁気情
報は、磁気ヘッドA41・B41により読み取られる。磁気
ヘッドA41の再生出力は、ロータリトランス53を介し
て再生増幅器62に与えられ、ここで増幅されて後段の
信号処理系および後述するトラッキング制御系に送出さ
れる。磁気ヘッドB41の再生出力は、ロータリトランス
54を経て再生増幅器63で増幅されて信号処理系に送
出される。
【0013】続いて、ヘッドスイッチングパルスが
“L”の期間、磁気テープ48に記録されている磁気情
報は、磁気ヘッドA42・B42により読み取られる。磁気
ヘッドA42の再生出力は、ロータリトランス55を介し
て再生増幅器64に与えられ、ここで増幅されて信号処
理系および後述するトラッキング制御系に送出される。
磁気ヘッドB42の再生出力は、ロータリトランス56を
経て再生増幅器65で増幅されて信号処理系に送出され
る。
【0014】図11に、上記の磁気記録再生装置による
記録で磁気テープ48に形成されたトラックパターンの
一例を示す。ここで、各コンビネーションヘッド44・
45において、磁気ヘッドA41・A42が先に記録を行な
い、磁気ヘッドB41・B42が続いて記録を行なうとす
る。
【0015】このようなトラックパターンでは、磁気ヘ
ッドA41によりトラックT43が形成され、磁気ヘッドB
41によりトラックT44が形成される。したがって、トラ
ックT44には、パイロット信号Pが付加されたディジタ
ルデータDB が記録されている。また、磁気ヘッドA42
によりトラックT41・T45が形成され、磁気ヘッドB42
によりトラックT42・T46が形成される。したがって、
トラックT42・T46には、パイロット信号Qが付加され
たディジタルデータDB が記録されている。
【0016】また、磁気ヘッドA41・B41・A42・B42
は、ギャップがそれぞれ異なるアジマス角となるように
設定されている。これにより、ガードバンドレス記録が
行なわれ、上記のトラックパターンでは隣接するトラッ
クからのクロストークの影響が受けにくくなっている。
【0017】続いて、本磁気記録再生装置におけるトラ
ッキング制御について説明する。
【0018】図12に、磁気ヘッドA42・B42が磁気テ
ープ48上をトレースする様子を示す。なお、トラック
Pm(mは正の整数)には、パイロット信号Pが付加さ
れたディジタルデータDB が記録されている。そして、
トラックTQn(nは正の整数)には、パイロット信号Q
が付加されたディジタルデータDB が記録されている。
【0019】トラッキングエラーが発生している場合、
同図の左側に示すように、磁気ヘッドA42はトラックT
Q1側にシフトしている。また、磁気ヘッドA42と同一の
ヘッドベース43に固定される磁気ヘッドB42は、トラ
ックTQ1とトラックTP2との間のトラック側にシフトし
ている。
【0020】一方、トラッキングエラーのない場合、同
図の右側に示すように、磁気ヘッドA42はトラックTP2
とトラックTQ2との間のトラック上を正しくトレースし
ている。また、磁気ヘッドB42は、トラックTQ2上を正
しくトレースしている。
【0021】ところで、磁気ヘッドA41・B41・A42
42のアジマス角は、ディジタルデータDA ・DB に対
してクロストークが生じないように設定されるととも
に、ディジタルデータに比べ波長が長いパイロット信号
P・Qに対してクロストークが生じるように設定されて
いる。このため、トラッキングエラーが生じている場
合、ディジタルデータDA には、隣接トラックからのク
ロストークによりパイロット信号P・Q成分が含まれて
いる。
【0022】図13に、トラッキングエラーが生じた場
合の磁気ヘッドA42の再生出力に含まれるデータおよび
パイロット信号P・Qのスペクトルを示す。この図に示
すように、パイロット信号P・Qは、データより周波数
が低く、さらにパイロット信号Qがパイロット信号Pよ
り周波数が低く設定されている。また、パイロット信号
P・Qのクロストーク成分を比較すると、上記のように
磁気ヘッドA42がトラックTQ1側にシフトしていること
から、パイロット信号Qのクロストーク成分の方が大き
くなっている。
【0023】本磁気記録再生装置のトラッキング制御系
について説明する。
【0024】図14に示すように、トラッキング制御系
において、第1帯域フィルタ66では、磁気ヘッドA41
・A42の再生出力(ディジタルデータDA )から、パイ
ロット信号Pのクロストーク成分のみが抽出される。ま
た、第2帯域フィルタ67では、同じ再生出力からパイ
ロット信号Qのクロストーク成分のみが抽出される。そ
して、次段の差動増幅器68にて、第1帯域フィルタ6
6の出力と第2帯域フィルタ67の出力との差が増幅さ
れる。差動増幅器68の出力は、トラッキングエラー量
に比例するものであり、誤差信号としてキャプスタン制
御回路69に入力される。
【0025】キャプスタン制御回路69では、入力され
た誤差信号に基づいてキャプスタンモータ70を制御す
るための制御信号が発生する。この制御信号がキャプス
タンモータ70に与えられると、キャプスタンモータ7
0は、キャプスタン71の回転を変化させて、磁気テー
プ48の走行速度および走行位相を調整する。これによ
り、磁気ヘッドA41・B41・A42・B42と磁気テープ4
8との相対位置が変化し、クロストークによるパイロッ
ト信号P・Q成分が変化する。
【0026】記録再生系、トラッキング制御系およびテ
ープ走行系からなる系統は、上記のようなトラッキング
制御を行なう際、トラッキングサーボループとして閉じ
ている。そして、トラッキング制御時には、このループ
においてパイロット信号P・Qのクロストーク成分の差
すなわちトラッキングエラーがなくなるように磁気テー
プ48の走行速度と走行位相とが調整される。このよう
にして、トラッキングエラー量が許容範囲内に入るよう
に制御動作が行なわれる。一般に、上記のような制御方
式は、ATF(Automatic Track Finding)方式と呼ばれ
ている。
【0027】ところで、以上に述べた記録再生動作は、
SPモードで行なわれているが、次に、前述のLPモー
ドで記録再生動作を行なう場合について説明する。
【0028】図15の(a)に、テープ走行速度が標準
速度の1/2に設定されたLPモード(α−LPモー
ド)での記録により形成されたトラックパターンを示
す。また、同図の(b)に、テープ走行速度が標準速度
の1/4に設定されたLPモード(β−LPモード)で
の記録により形成されたトラックパターンを示す。α−
LPモードでは、記録時間がSPモードの2倍となり、
β−LPモードでは、記録時間がSPモードの4倍とな
る。
【0029】なお、同図の(a)および(b)には、比
較のために左側にSPモードでの記録により形成された
トラックパターンを示している。また、同図中に示す矢
印は、それぞれ次のベクトルを示している。 VS :テープ停止時における磁気ヘッドの速度ベクトル V :SPモード時における磁気ヘッドと磁気テープと
の相対速度ベクトル V’:LPモード時における磁気ヘッドと磁気テープと
の相対速度ベクトル VT :磁気テープの速度ベクトル 同図の(a)と(b)の右側に示すように、両LPモー
ドでは、テープ走行速度が標準速度の1/2、1/4で
あるため、相対速度ベクトルV’の磁気テープ48の下
端縁に対する傾きは、SPモードの速度ベクトルVの傾
きと異なる。また、トラックピッチは、α−LPモード
でSPモードの1/2となり、β−LPモードでSPモ
ードの1/4となっている。このため、LPモード用の
磁気ヘッドのトラック幅は、通常、SPモード用の磁気
ヘッドのトラック幅の1/2または1/4に設定され
る。
【0030】一般に、磁気テープ48に記録されるトラ
ックは、回転ドラム41を含む磁気テープ48の走行系
の機械精度、磁気テープ48の走行速度の偏差、記録時
にテープ走行の基準となる磁気テープ48の端縁の直線
性などにより数μm程度曲がっている。このような曲が
りの生じたトラックパターンは、α−LPモードで図1
6の(a)に示すようになっており、β−LPモードで
図16の(b)に示すようになっている。
【0031】なお、同図の(a)では、α−LPモード
用の磁気ヘッドAα・Bαがトラックパターン上を走査
している状態を示している。また、同図の(b)では、
β−LPモード用の磁気ヘッドAβ・Bβがトラックパ
ターン上を走査している状態を示している。
【0032】SPモード用の磁気ヘッドは、上記のよう
な曲がりを許容しうるだけの十分広いトラック幅を有し
ているので、再生出力が低下することはない。しかしな
がら、LPモード用の磁気ヘッドAα・Bα・Aβ・B
βのトラック幅が、上記のようにSPモード用の磁気ヘ
ッドのトラック幅より狭く設定されていると、信号を読
み取る有効トラック幅に対するトラッキングエラー量の
比率が増大して、極端に再生出力が低下するという問題
が生じる。
【0033】ここで、このような問題を解決するため
に、SPモードおよびLPモードによる記録再生が可能
な磁気記録再生装置では、次のような構成が採用されて
いる。
【0034】このような磁気記録再生装置では、図17
に示すように、回転ドラム81を備えている。この回転
ドラム81には、180°対向する位置にアクチュエー
タ82・83が取り付けられている。アクチュエータ8
2には、LPモード用の2個の磁気ヘッドAL1・BL1
らなるコンビネーションヘッド84が固定されている。
一方、アクチュエータ83には、LPモード用の2個の
磁気ヘッドAL2・BL2からなるコンビネーションヘッド
85が固定されている。
【0035】また、回転ドラム81には、コンビネーシ
ョンヘッド84・85と90°の間隔をおいて、かつ1
80°対向する位置に、コンビネーションヘッド86・
87が固定されている。コンビネーションヘッド86
は、SPモード用の2個の磁気ヘッドAS1・BS1からな
り、コンビネーションヘッド87は、SPモード用の2
個の磁気ヘッドAS2・BS2からなっている。
【0036】なお、以降、コンビネーションヘッド84
〜87を単にヘッドと称する。
【0037】アクチュエータ82・83は、前記のAT
Fで用いられるトラッキングエラー信号用いて、ヘッド
84・85をそれぞれ走査方向と垂直になる方向へ駆動
するようになっている。このようなアクチュエータ82
・83の機能により、磁気テープ89と磁気ヘッドAL1
・BL1・AL2・BL2との相対位置が調整される。
【0038】アクチュエータ82・83の駆動制御をも
行なうトラッキング制御系は、図18に示すように、前
述のトラッキング制御系と同様、第1帯域フィルタ6
6、第2帯域フィルタ67、差動増幅器68、キャプス
タン制御回路69およびアクチュエータ制御回路88を
備えている。
【0039】このトラッキング制御系においては、前述
のトラッキング制御系と同様、第1帯域フィルタ66お
よび第2帯域フィルタ67によりパイロット信号P・Q
のクロストーク成分が得られ、差動増幅器68で両成分
の差が増幅される。本トラッキング制御系では、差動増
幅器68の出力がキャプスタン制御回路69に入力され
るだけでなく、アクチュエータ制御回路88にも入力さ
れる。
【0040】アクチュエータ制御回路88では、アクチ
ュエータ82・83を駆動するための制御信号が発生す
る。アクチュエータ82・83は、この制御信号が与え
られると、ヘッド84・85を走査方向と垂直になる方
向へ移動させる。すると、磁気ヘッドAL1・BL1・AL2
・BL2と前述のように曲がっているトラックとの相対位
置が変化し、これに応じてパイロット信号P・Qのクロ
ストーク成分の差が変化する。
【0041】トラッキング制御時、上記のトラッキング
制御系を含むトラッキングサーボループは閉じており、
このループにおいてトラッキングエラーがなくなるよう
にヘッド84・85の移動量が調整される。このように
して、トラッキングエラー量が許容範囲内に入るように
制御動作が行なわれ、トラック曲がりによるトラッキン
グエラーを解消することができる。一般に、上記のよう
な制御方式は、DTF(Dynamic Track Following)方式
と呼ばれている。
【0042】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のSP
モードおよびLPモードに対応する磁気記録再生装置に
おいては、SPモードで記録したデータとLPモードで
記録したデータとをそれぞれ再生すると、ディジタル記
録のため再生信号の質は全く同じである。このため、記
録時間の長いLPモードを選択した方が効率の面で有利
である。
【0043】したがって、LPモードに限定して記録再
生が行なわれるようになると、SPモード用のヘッド8
6・87は記録に関しては使用されなくなる。しかしな
がら、SPモードで記録された磁気テープを再生すると
きには、ヘッド86・87が必要になる。
【0044】このように使用頻度が低くなると予想され
るヘッド86・87を省くと、SPモードで記録された
磁気テープを再生するときにLPモード用のヘッド84
・85が用いられることになる。ところが、クロストー
クにより磁気ヘッドAL1・AL2に読み取られるパイロッ
ト信号P・Q成分の差がなくなるようにテープ走行速度
やヘッド走査位置を調整する従来の方法では、トラッキ
ングエラーを解消することができないという不都合が生
じる。
【0045】例えば、図19の左側に示す例では、磁気
ヘッドAL (AL1・AL2)がトラックTQ1とトラックT
P2との間のトラックのみを走査することになる。このた
め、その両側のトラックTQ1とトラックTP2とからパイ
ロット信号P・Qのクロストーク成分を得ることができ
なくなる。それゆえ、磁気ヘッドBL が2つのトラック
にまたがって走査しているにも関わらず、トラッキング
エラーを検出することができない。
【0046】したがって、このような不都合がある以
上、使用頻度が低くなると予想されても、上記のヘッド
86・87の搭載が必要となる。しかしながら、製品と
しての磁気記録再生装置には小型化、軽量化および低コ
スト化が望まれるのに反し、ヘッド86・87の搭載は
それらを妨げる要素となる。
【0047】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
のであって、技術が進んでヘッドのトラック幅が狭くな
っても、従来のトラックピッチで記録されている磁気テ
ープを互換再生することを目的としている。より具体的
には、LPモード用の磁気ヘッドのみを備えた磁気記録
再生装置により、SPモードで記録された磁気テープを
再生する際に正しくトラッキング制御を行なうことを目
的としている。
【0048】
【課題を解決するための手段】本発明の回転ヘッドドラ
ム式磁気記録再生装置は、上記の課題を解決するため
に、SPモード用のヘッドより狭いトラック幅であり、
LPモード時に磁気テープにディジタルデータの記録お
よび再生を磁気テープ上で隣接するトラックを走査する
ことにより行なう2個の磁気ヘッドを有するヘッド対
と、磁気テープを走行させる例えばキャプスタンである
テープ走行手段と、磁気ヘッドを磁気テープにおける走
査方向と垂直な方向に変位させるアクチュエータ等のヘ
ッド変位手段と、磁気ヘッドの走査方向が磁気テープの
走行方向に対し傾斜するように磁気ヘッドを回転駆動す
る回転ドラムと、異なる2種類のトラッキング制御用の
パイロット信号を発生する信号発生手段と、記録時にヘ
ッド対における2個の磁気ヘッドに与えられるディジタ
ルデータの一方にのみパイロット信号を付加する付加手
段と、再生時にヘッド対の2個の磁気ヘッドの再生出力
に含まれる同種のパイロット信号を抽出する信号抽出手
段と、信号抽出手段により抽出された2つのパイロット
信号の差を算出する減算手段と、減算手段の出力に基づ
いてトラッキングを補正するようにテープ走行手段を駆
動する走行制御手段と、減算手段の出力が最大値となる
ようにヘッド変位手段を駆動する変位制御手段とを備え
ていることを特徴としている。
【0049】
【作用】上記の構成では、記録に先立って、付加手段に
よりヘッド対における2個のヘッドに与えられるディジ
タルデータの一方にのみパイロット信号が付加される。
これにより、そのままのディジタルデータとパイロット
信号が付加されたディジタルデータとがそれぞれ2個の
ヘッドにより磁気テープに記録される。これにより、磁
気テープ上には、パイロット信号が付加されたディジタ
ルデータが記録されているトラック(以降、付加トラッ
クと称する)と、パイロット信号が付加されなかったデ
ィジタルデータが記録されているトラック(以降、通常
トラックと称する)が形成される。
【0050】再生時にトラッキングエラーが生じている
場合、通常トラックを走査する磁気ヘッドは、走査位置
が隣接する付加トラックへずれて付加トラックの記録信
号を読み取ってしまう。したがって、通常トラックを走
査する磁気ヘッドの再生出力にも隣接する付加トラック
から得られたパイロット信号と同種のパイロット信号が
含まれる。
【0051】これに対し、信号抽出手段により2個の磁
気ヘッドの再生出力から同種のパイロット信号が抽出さ
れる。さらに、減算手段により信号抽出手段で抽出され
た2つのパイロット信号の差が算出される。そして、減
算手段の出力に基づいてトラッキング制御が行なわれ
る。
【0052】トラッキング制御を行なう際、テープ走行
については、走行制御手段により、例えば減算手段の出
力をトラッキングエラー信号として、その直流成分が所
定範囲内に収まるようにテープ走行手段が駆動される。
これにより、磁気テープの走行速度や走行位相が変化
し、トラッキングエラーが補正される。
【0053】また、磁気ヘッドの変位については、変位
制御手段により、トラッキングエラー信号が最大値とな
るようにヘッド変位手段が駆動される。これにより、磁
気ヘッドが走行方向に垂直な方向に変位し、トラッキン
グエラーをなくすように磁気ヘッドと磁気テープとの相
対位置が変化する。
【0054】このようにして、2個の磁気ヘッドの再生
出力から抽出される同種のパイロット信号をトラッキン
グ制御に用いることにより、SPモードで記録された磁
気テープを再生する場合、トラッキングエラーが生じて
いるにも関わらず通常トラックからパイロット信号が得
られないときでも、付加トラックからパイロット信号が
得られるので、そのパイロット信号に基づいてトラッキ
ング制御を行なうことができる。
【0055】
【実施例】本発明の一実施例について図1ないし図7に
基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0056】本実施例に係る磁気記録再生装置は、図2
に示すように、固定ドラム(図示せず)上で矢印L方向
に回転駆動される回転ドラム1を備えている。この回転
ドラム1には、アクチュエータ2・3が180°対向す
る位置にビス4・5にて取り付けられている。また、ア
クチュエータ2・3には、それぞれヘッドベース6・7
が取り付けられている。
【0057】ヘッドベース6には、一対の磁気ヘッドA
1 ・B1 が並んで固定されており、ヘッドベース7に
は、一対の磁気ヘッドA2 ・B2 が並んで固定されてい
る。磁気ヘッドA1 ・B1 は、ヘッド対としてのコンビ
ネーションヘッド8を構成し、磁気ヘッドA2 ・B
2 は、ヘッド対としてのコンビネーションヘッド9を構
成している。以降、コンビネーションヘッド8・9を、
単にヘッド8・9と称する。
【0058】磁気ヘッドA1 ・B1 ・A2 ・B2 は、L
Pモード用にトラック幅(SPモードの1/2)等が設
定された、記録および再生のためのヘッドである。な
お、以降の説明において、磁気ヘッドA1 ・A2 と磁気
ヘッドB1 ・B2 とをそれぞれ総括して指す場合は、単
に磁気ヘッドA・Bと称する。
【0059】ヘッド駆動手段としてのアクチュエータ2
・3は、圧電素子によりヘッド8・9を駆動する構造を
有している。これらのアクチュエータ2・3は、後述す
るアクチュエータ制御回路41により制御信号が与えら
れて、ヘッド8・9をトラック幅方向に駆動するように
なっている。
【0060】また、回転ドラム1のテープ入口側と出口
側とには、それぞれガイドポスト10・11が設けられ
ている。磁気テープ12は、ガイドポスト10・11に
より所定角度(図では、ほぼ180°)回転ドラム1に
巻き付けられており、キャプスタン13により一定速度
(標準モードの1/2の速度)で矢印M方向に送られる
ようになっている。
【0061】テープ走行手段としてのキャプスタン13
は、キャプスタンモータ14の回転軸に直結されてお
り、キャプスタンモータ14により回転駆動される。ま
た、磁気テープ12を間においてキャプスタン13と対
向する位置には、回転自在に設けられたピンチローラ1
5が配されている。このピンチローラ15は、磁気テー
プ12をキャプスタン13に押圧してキャプスタン13
の搬送力を磁気テープ12に作用させるようになってい
る。
【0062】上記のような構成では、磁気テープ12に
対し、磁気ヘッドA1 ・A2 が先に走査し、磁気ヘッド
1 ・B2 が続いて走査するようになっている。このた
め、磁気ヘッドA1 (A2 )と磁気ヘッドB1 (B2
とは、ヘッドベース6・7上での高さが異なるように配
されている。
【0063】図3に示すように、本磁気記録再生装置
は、上記のヘッド8・9に記録信号を与えるとともに、
ヘッド8・9から読み取った再生信号を後段の回路に伝
達するための記録再生部を備えている。この記録再生部
における記録側では、磁気ヘッドA1 ・B1 ・A2 ・B
2 がロータリトランス16〜19を介して記録増幅器2
0〜23の出力にそれぞれ接続されている。ロータリト
ランス16〜19は、回転ドラム1と固定ドラムとの両
側に設けられ、両ドラム間で信号の伝達を行なうように
なっている。記録増幅器21・23の入力には、それぞ
れ付加手段としての加算器24・25が設けられてい
る。そして、加算器24・25には、スイッチ26の出
力端子が接続されている。
【0064】スイッチ26は、2個の入力端子がそれぞ
れパイロット信号発生器27・28に接続されている。
このスイッチ26は、図4に示すヘッドスイッチングパ
ルス(図中、SW.P)が“H”の期間にパイロット信
号発生器27を加算器24・25に接続する一方、ヘッ
ドスイッチングパルスが“L”の期間にパイロット信号
発生器28を加算器24・25に接続するようになって
いる。
【0065】なお、ヘッドスイッチングパルスは、PG
パルス(図中、PG)の立ち上がりで反転するパルスで
ある。また、PGパルスは、図示しないパルスジェネレ
ータから回転ドラム1の1回転当たり2回出力されるパ
ルスである。
【0066】信号発生手段としてのパイロット信号発生
器27は、一定周波数のパイロット信号Pを発生するよ
うになっている。また、信号発生手段としてのパイロッ
ト信号発生器28は、パイロット信号Pの周波数と異な
る一定周波数のパイロット信号Qを発生するようになっ
ている。
【0067】一方、記録再生部における再生側では、磁
気ヘッドA1 ・B1 ・A2 ・B2 がロータリトランス1
6〜19を介して再生増幅器29〜32の入力にそれぞ
れ接続されている。また、再生増幅器29〜32の出力
は、それぞれ図示しない信号処理系に接続されるととも
に、さらに後述するトラッキング制御系に接続されてい
る。
【0068】図1に示すように、トラッキング制御系
は、スイッチ33・34、第1帯域フィルタ35・3
6、第2帯域フィルタ37・38、差動増幅器39、キ
ャプスタン制御回路40およびアクチュエータ制御回路
41を備えている。
【0069】スイッチ33は、2個の出力端子がそれぞ
れ第1帯域フィルタ35と第2帯域フィルタ36とに接
続されており、磁気ヘッドA1 ・A2 の再生出力を両フ
ィルタ35・36に切り替えて出力するようになってい
る。スイッチ34は、2個の出力端子がそれぞれ第1帯
域フィルタ37と第2帯域フィルタ38とに接続されて
おり、磁気ヘッドB1 ・B2 の再生出力を両フィルタ3
7・38に切り替えて出力するようになっている。
【0070】スイッチ33・34は、前記のヘッドスイ
ッチングパルスが“H”の期間に、入力端子を第1帯域
フィルタ35・37側の出力端子に接続する一方、ヘッ
ドスイッチングパルスが“L”の期間に、入力端子を第
2帯域フィルタ36・38側の出力端子に接続するよう
になっている。
【0071】第1帯域フィルタ35と第2帯域フィルタ
36とは、それぞれ磁気ヘッドA1・A2 の再生出力に含
まれるパイロット信号P・Qのクロストーク成分のみを
通過させるように周波数特性が設定されている。一方、
第1帯域フィルタ37と第2帯域フィルタ38とは、そ
れぞれ磁気ヘッドB1 ・B2 の再生出力に含まれるパイ
ロット信号P・Qのみを通過させるように周波数特性が
設定されている。
【0072】減算手段としての差動増幅器39は、第1
帯域フィルタ35・37の出力の差または第2帯域フィ
ルタ36・38の出力の差を増幅する増幅器である。こ
の差動増幅器39の出力は、次段のキャプスタン制御回
路40およびアクチュエータ制御回路41に与える誤差
信号となる。
【0073】キャプスタン制御回路40は、上記の誤差
信号が最大となるように、前述のキャプスタン13の回
転を制御するための制御信号を発生する回路である。こ
の制御信号は、キャプスタン13を駆動するキャプスタ
ンモータ14に与えられる。一方、アクチュエータ制御
回路41は、上記の誤差信号が最大となるように前述の
アクチュエータを制御するための制御信号を発生する回
路である。この制御信号は、アクチュエータ2・3に与
えられる。
【0074】上記のように構成される磁気記録再生装置
の動作について説明する。
【0075】まず、回転ドラム1が1回の回転におい
て、前半1/2回転する間、ディジタルデータDA は、
記録増幅器20で増幅された後、ロータリトランス16
を介して回転ドラム1側に伝送され、磁気ヘッドA1
より磁気テープ12に記録される。また、このとき、ヘ
ッドスイッチングパルスが“H”であるとすれば、パイ
ロット信号発生器27からのパイロット信号Pが、スイ
ッチ26を介して加算器24に入力され、ここでディジ
タルデータDB に加算される。パイロット信号Pが付加
されたディジタルデータDB は、再生増幅器21で増幅
された後、ロータリトランス17を介して伝送され、磁
気ヘッドB1 により磁気テープ12に記録される。
【0076】続いて、回転ドラム1が後半1/2回転す
る間、ディジタルデータDA は、再生増幅器22で増幅
された後、ロータリトランス18を介して伝送され、磁
気ヘッドA2 により磁気テープ12に記録される。ま
た、このとき、ヘッドスイッチングパルスが“L”であ
るため、パイロット信号発生器28からのパイロット信
号Qが、スイッチ26を介して加算器25に入力され、
ここでディジタルデータDB に加算される。パイロット
信号Qが付加されたディジタルデータDB は、記録増幅
器23で増幅された後、ロータリトランス19を介して
伝送され、磁気ヘッドB2 により磁気テープ12に記録
される。
【0077】このように、ヘッド8とヘッド9とが回転
ドラム1が1回転する間に入れ替わって磁気テープ12
を走査することにより、磁気テープ12には4本のトラ
ックが形成される。そして、このような動作が順次繰り
返されることにより、磁気テープ12には、連続するト
ラックパターンが形成される。また、磁気ヘッドB1
より形成されたトラックにはパイロット信号Pが含ま
れ、磁気ヘッドB2 により形成されたトラックにはパイ
ロット信号Qが含まれている。
【0078】再生時、磁気テープ12の記録情報は、ヘ
ッド8により読み取られた後、それぞれロータリトラン
ス16・17を介して再生増幅器29・30に与えられ
る。さらに、ヘッド8の再生出力は、再生増幅器29・
30で増幅された後、信号処理系およびトラッキング制
御系に送出される。続いて、ヘッド9の再生出力は、そ
れぞれロータリトランス18・19を経て再生増幅器3
1・32で増幅された後、信号処理系およびトラッキン
グ制御系に送出される。
【0079】トラッキング制御系においては、ヘッドス
イッチングパルスが“H”のとき、再生増幅器29・3
0からのヘッド8の再生出力が、それぞれスイッチ33
・34を介して第1帯域フィルタ35・37に入力され
る。このとき、トラックずれが生じていて磁気ヘッドA
1 の再生出力にパイロット信号Pのクロストローク成分
が含まれている場合、第1帯域フィルタ35でそのクロ
ストーク成分が抽出される。一方、磁気ヘッドB1 の再
生出力からは、第1帯域フィルタ37でパイロット信号
Pのみが抽出される。
【0080】また、ヘッドスイッチングパルスが“L”
のとき、再生増幅器31・32からのヘッド9の再生出
力が、それぞれスイッチ33・34を介して第2帯域フ
ィルタ36・38に入力される。このとき、磁気ヘッド
2 の再生出力にパイロット信号Qのクロストローク成
分が含まれている場合、第2帯域フィルタ36でそのク
ロストーク成分が抽出される。一方、磁気ヘッドB2
再生出力からは、第2帯域フィルタ38でパイロット信
号Qのみが抽出される。
【0081】そして、差動増幅器39にてヘッド8の2
つのの再生出力の差またはヘッド9の2つの再生出力の
差が増幅される。差動増幅器39の増幅出力は、トラッ
キングエラー量に比例するものであり、誤差信号として
キャプスタン制御回路40およびアクチュエータ制御回
路41に与えられる。
【0082】キャプスタン制御回路40では、誤差信号
に基づいて制御信号が生成され、この制御信号がキャプ
スタンモータ14に与えられる。これにより、キャプス
タン13の回転速度および回転位相が変化して、磁気テ
ープ12の走行が調整される。また、アクチュエータ制
御回路41でも、誤差信号に基づいて制御信号が生成さ
れ、この制御信号がアクチュエータ2・3に与えられ
る。これにより、磁気ヘッドA・Bがヘッド走査方向に
垂直な方向に移動して磁気テープ12における走査位置
が調整される。
【0083】このように、再生時は、テープ走行系、記
録再生系およびトラッキング制御系により、トラッキン
グサーボループが形成され、このループにおいてトラッ
キングエラーがなくなるように磁気ヘッドA・Bと磁気
テープ12との相対位置が調整される。この制御動作
は、トラッキングエラー量が許容範囲内に入るまで行な
われる。
【0084】ここで、SPモードで記録された磁気テー
プ12を本磁気記録再生装置により再生する場合につい
て説明する。
【0085】この場合、図5に示すように、磁気ヘッド
A・Bのトラック幅がトラックT1・T2 ・…のトラッ
クピッチの1/2となっている。また、パイロット信号
P・Qの再生出力と磁気ヘッドA・Bの磁気テープ12
における走査位置との間には、図6に示すような相関関
係がある。この図では、磁気ヘッドBがトラックT6
走査する場合について表されている。
【0086】図5に示すように磁気ヘッドA・Bが正し
くトラックT1 ・T2 ・…上を走査しているとき、図6
の(a)に示すように、磁気ヘッドBの走査中心がトラ
ックT6 の中心から一定の範囲内にあるためパイロット
信号再生出力が最大となる。一方、磁気ヘッドAの再生
出力には、磁気ヘッドAと磁気テープ12における走査
位置とで決まるパイロット信号P・Qのクロストーク成
分が含まれている。したがって、磁気ヘッドA・Bのパ
イロット信号再生出力の差は、同図の(b)に示すよう
に最大となる。
【0087】しかし、磁気ヘッドBの走査中心が上記の
範囲から遠ざかるにつれてパイロット信号再生出力が低
下する一方、磁気ヘッドAの再生出力に含まれるクロス
トーク成分も図6の(a)に示す特性で変化するので、
上記のパイロット信号再生出力差も低下する。したがっ
て、トラッキングエラーが生じたときは、前述のように
パイロット信号再生出力差が最大となるまで、トラッキ
ングサーボループにより、磁気ヘッドA・Bと磁気テー
プ12との相対位置が調整される。
【0088】ここで、図7に示すように、トラックパタ
ーンにトラック曲がりが生じている場合のトラッキング
制御について述べる。
【0089】トラックが曲がっていると、仮に磁気ヘッ
ドA・BがトラックTの中心上を走査するときであって
も、磁気ヘッドA・Bが走査を開始するS点から走査を
終了するE点までの間にトラッキングエラー量が変化す
る。
【0090】通常、キャプスタン制御回路40の制御帯
域は、高速に回転する回転ドラム1の速度に対して低速
であるテープ走行速度を制御するため、数十kHz程度
に設定されている。したがって、キャプスタン制御回路
40は、S点からE点までの間に発生するトラッキング
エラーの直流成分が許容範囲内に収まるようにトラッキ
ング制御を行なう。
【0091】一方、上記のようなトラック曲がりにより
生じるトラッキングエラーの交流成分に対しては、比較
的制御帯域を広く設定できるアクチュエータ制御回路4
1によりトラッキング制御を行なう。磁気ヘッドA・B
の磁気テープ12上の走査位置とパイロット信号再生出
力差とが前述したような関係にあるため、アクチュエー
タ制御回路41では、パイロット信号再生出力差が最大
となるようにアクチュエータ2・3を制御する。
【0092】以上述べたように、本実施例の磁気記録再
生装置では、磁気ヘッドA・Bの再生出力に含まれる同
一種のパイロット信号P・Qの差が最大となるようにト
ラッキング制御が行なわれる。これにより、LPモード
用の磁気ヘッドA・BでSPモードにて記録された磁気
テープを再生する場合においてトラッキング制御を行な
う際、磁気ヘッドA・Bの双方からパイロット信号P・
Qを得ることができる。それゆえ、磁気ヘッドAが正規
のトラック上を走査する一方、磁気ヘッドBがトラック
ずれを起こしているような場合でも、確実にトラッキン
グ制御を行なうことができる。
【0093】したがって、SPモード用の磁気ヘッドを
備える必要がなく、磁気ヘッドの削減や回転ドラム1の
外径を小さくすることができる。また、磁気ヘッドの数
を少なくできることから、回転ドラム1内においてアク
チュエータ2・3を搭載するためのスペースを大きくす
ることができ、高精度化された大型のアクチュエータ2
・3の採用が可能になる。
【0094】なお、本実施例においては、2組のヘッド
8・9が回転ドラム1に180°対向する位置に配され
た構成について説明したが、本願発明はこのような構成
に限定されるものではない。例えば、3組のコンビネー
ションヘッドが120°間隔で回転ドラム1に配され、
磁気テープ12の回転ドラム1への巻付け角を120°
程度に設定されている構成も本願発明に適用可能であ
る。あるいは、1組のコンビネーションヘッドが回転ド
ラム1に設けられ、磁気テープ12の回転ドラム1への
巻付け角を180°程度に設定されている構成も本願発
明に適用可能である。
【0095】また、トラックピッチよりもトラック幅の
広いいわゆる幅広ヘッドを採用して、この磁気ヘッドに
より、消去ヘッドを用いることなく重ね書きを行なうと
ともに再生も行なうという構成であっても、本実施例の
磁気記録再生装置と同様の効果を発揮することができ
る。
【0096】さらに、本実施例では、2種類のパイロッ
ト信号P・Qを用いているが、8mmVTR等で規格化
されている4種類の周波数の異なるパイロット信号を用
いたトラッキングシステムも本願発明の適用が可能であ
る。
【0097】
【発明の効果】本発明の回転ヘッドドラム式磁気記録再
生装置は、以上のように、SPモード用のヘッドより狭
いトラック幅であり、LPモード時に磁気テープにディ
ジタルデータの記録および再生を磁気テープ上で隣接す
るトラックを走査することにより行なう2個の磁気ヘッ
ドを有するヘッド対と、磁気テープを走行させるテープ
走行手段と、磁気ヘッドを磁気テープにおける走査方向
と垂直な方向に変位させるヘッド変位手段と、磁気ヘッ
ドの走査方向が磁気テープの走行方向に対し傾斜するよ
うに磁気ヘッドを回転駆動する回転ドラムと、異なる2
種類のトラッキング制御用のパイロット信号を発生する
信号発生手段と、記録時にヘッド対における2個の磁気
ヘッドに与えられるディジタルデータの一方にのみパイ
ロット信号を付加する付加手段と、再生時にヘッド対の
2個の磁気ヘッドの再生出力に含まれる同種のパイロッ
ト信号を抽出する信号抽出手段と、信号抽出手段により
抽出された2つのパイロット信号の差を算出する減算手
段と、減算手段の出力に基づいてトラッキングを補正す
るようにテープ走行手段を駆動する走行制御手段と、減
算手段の出力が最大値となるようにヘッド変位手段を駆
動する変位制御手段とを備えている構成である。
【0098】このように、2個の磁気ヘッドの再生出力
から抽出される同種のパイロット信号をトラッキング制
御に用いるので、SPモードで記録された磁気テープを
再生する場合、上記のパイロット信号の再生出力差が最
大となるようにトラッキング制御を行なえばよい。
【0099】これにより、LPモード用の磁気ヘッドの
みでも、SPモードで記録された磁気テープの安定した
再生が可能になる。このため、SPモード用の磁気ヘッ
ドを備える必要がなくなり、回転ドラムにおける磁気ヘ
ッドの搭載数を減らすことができ、種々の利点を獲得す
ることができる。例えば、回転ドラムの小径化を図るこ
とができる。また、回転ドラムにおけるヘッド駆動機構
を搭載するスペースを大きくすることができ、高精度化
された大型のヘッド駆動機構の搭載が可能になる。
【0100】したがって、本発明を採用すれば、SPモ
ードとLPモードとの記録再生の互換性を保持すること
ができるだけでなく、小型・軽量かつ低価格の回転ヘッ
ドドラム式磁気記録再生装置を提供することができると
いう効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る回転ヘッドドラム式磁
気記録再生装置のトラッキング制御系を示すブロック図
である。
【図2】上記回転ヘッドドラム式磁気記録再生装置のテ
ープ走行系を示す平面図である。
【図3】上記回転ヘッドドラム式磁気記録再生装置の記
録再生部を示す回路図である。
【図4】上記回転ヘッドドラム式磁気記録再生装置にお
いて磁気ヘッドの出力の切り替え動作を示すタイムチャ
ートである。
【図5】上記回転ヘッドドラム式磁気記録再生装置のL
Pモード用の磁気ヘッドがSPモードでの記録により形
成されたトラックを正しく走査している状態を示す説明
図である。
【図6】図5の走査により得られるパイロット信号再生
出力およびパイロット信号再生出力差と磁気ヘッド走査
位置との関係を示す説明図である。
【図7】トラック曲がりが生じたトラックパターンを示
す説明図である。
【図8】従来の回転ヘッドドラム式磁気記録再生装置の
回転ヘッドドラムの構成を示す平面図である。
【図9】従来の回転ヘッドドラム式磁気記録再生装置の
記録再生部を示す回路図である。
【図10】従来の回転ヘッドドラム式磁気記録再生装置
において磁気ヘッドの出力の切り替え動作を示すタイム
チャートである。
【図11】従来の回転ヘッドドラム式磁気記録再生装置
による記録で形成されるトラックパターンを示す説明図
である。
【図12】図11のトラックパターン上でトラッキング
エラーが生じている状態およびトラッキングエラーのな
い状態を示す説明図である。
【図13】従来の回転ヘッドドラム式磁気記録再生装置
における磁気ヘッドの再生出力のスペクトルを示すグラ
フである。
【図14】図8の回転ヘッドドラムを有する磁気記録再
生装置におけるトラッキングサーボループを示す構成図
である。
【図15】LPモード用の磁気ヘッドにより形成された
トラックパターンを示す説明図である。
【図16】図15のトラックパターンに曲がりが生じて
いる状態を示す説明図である。
【図17】LPモード用の磁気ヘッドを備えた従来の回
転ヘッドドラム式磁気記録再生装置の回転ヘッドドラム
の構成を示す平面図である。
【図18】図17の回転ヘッドドラムを有する磁気記録
再生装置のトラッキング制御系を示すブロック図であ
る。
【図19】図17の回転ヘッドドラムを有する磁気記録
再生装置による再生時にトラックパターン上でトラッキ
ングエラーが生じている状態およびトラッキングエラー
のない状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 回転ドラム 2 アクチュエータ(ヘッド駆動手段) 8・9 コンビネーションヘッド(ヘッド対) 13 キャプスタン(テープ走行手段) 24・25 加算器(付加手段) 27・28 パイロット信号発生器(信号発生手段) 35・37 第1帯域フィルタ(信号抽出手段) 36・38 第2帯域フィルタ(信号抽出手段) 39 差動増幅器(減算手段) 40 キャプスタン制御回路(走行制御手段) 41 アクチュエータ制御回路(変位制御手段)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】テープ走行速度が標準速度に設定されたス
    タンダードプレーモード用のヘッドより狭いトラック幅
    であり、テープ走行速度が標準速度より低く設定された
    ロングプレーモード時に磁気テープにディジタルデータ
    の記録および再生を磁気テープ上で隣接するトラックを
    走査することにより行なう2個の磁気ヘッドを有するヘ
    ッド対と、 磁気テープを走行させるテープ走行手段と、 磁気ヘッドを磁気テープにおける走査方向と垂直な方向
    に変位させるヘッド変位手段と、 磁気ヘッドの走査方向が磁気テープの走行方向に対し傾
    斜するように磁気ヘッドを回転駆動する回転ドラムと、 異なる2種類のトラッキング制御用のパイロット信号を
    発生する信号発生手段と、 記録時にヘッド対における2個の磁気ヘッドに与えられ
    るディジタルデータの一方にのみパイロット信号を付加
    する付加手段と、 再生時にヘッド対の2個の磁気ヘッドの再生出力に含ま
    れる同種のパイロット信号を抽出する信号抽出手段と、 信号抽出手段により抽出された2つのパイロット信号の
    差を算出する減算手段と、 減算手段の出力に基づいてトラッキングを補正するよう
    にテープ走行手段を駆動する走行制御手段と、 減算手段の出力が最大値となるようにヘッド変位手段を
    駆動する変位制御手段とを備えていることを特徴とする
    回転ヘッドドラム式磁気記録再生装置。
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