JPH05115635A - 穴かがりミシン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 布交換を行う作業開始位置を作業者が任意に
指定できるようにして、穴かがり作業全体のサイクルタ
イムを短縮すること。 【構成】 予め選択スイッチ２２により先メスか後メス
かを選択しておく。後メスの場合は布セット、穴かがり
縫い、メス位置への移動、メス作動、布押え解放、縫製
開始位置への移動の順番で作業が行われ（Ｓ６〜Ｓ
３）、先メスの場合は布セット、メス作動、縫製開始位
置への移動、穴かがり縫い、メス位置への移動、布押え
の解放の順序で作業が行われる（Ｓ１１〜Ｓ１０）。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ボタンの穴かがりミシ
ンに関し、特には穴かがりミシンに作業者が布を固定す
るときに、布固定台の位置を任意に指定可能な穴かがり
ミシンに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の穴かがりミシンの構成を図２及び
図３を用いて説明する。ミシンフレーム９は、ミシンベ
ット１２と、ミシンベット１２に対して垂直に立ってい
る脚柱部１０と、脚柱部１０からミシンベット上で横に
張り出したミシンアーム部１１とより構成されている。
脚柱部１０には布７に対して、直線状又は一端に小径の
穴のある鳩目穴状の切り欠きを形成するために、後記カ
ッター刃３と協働するハンマー４が付設されている。ミ
シンアーム部１１の先端部には、布７の穴形成部分をほ
つれないようにかがり縫いするための針棒６が付設され
ている。針棒６には針５が取り付けられている。ミシン
ベット１２上には、固定された布７を針５に対して平面
的に移動可能な布移動台２が付設されている。布移動台
２には上部に布７を固定するための布押え８が取り付け
られている。布移動台２の下には針５と協働してかがり
縫いの縫目を形成するルーパー１と、ハンマー４が作動
したときに布の逃げを防止し下刃の役目を果たすカッタ
ー刃３がミシンベット１２に固定されている。

【０００３】従来の穴かがりミシンの作用を説明する。
従来から、先に布に切れ目を入れてから後で穴かがりを
する先メス方式と、先に穴かがりをしてから後で布に切
れ目を入れる後メス方式とが共に採用されている。両方
式は従来の穴かがりミシンでも一台で任意に選択するこ
とが出来るようになっており、布７の性質から作業者が
適宜切り換えて使用している。

【０００４】先メス方式の場合の作用について図５のタ
イムチャートを参照して説明する。作業者は加工済みの
布を排除して、未加工の布７をハンマー４の真下部にセ
ットする。タイムチャートの区間ＡＢで示す作業であ
る。そして開始スイッチを入れることにより、まずハン
マー４とカッター刃３が布を挟み込んで切れ目を入れ
る。タイムチャートの区間ＣＤで示す作用である。切れ
目の形状は、各々の穴かがりミシンにおいてカッター刃
の形状等で決められており、単純な直線であるか、一端
に小径の穴のある鳩目状かである。次に布移動台２が布
７を動かして、切れ目部が針５の下にくるようにする。
タイムチャートの区間ＤＥで示す作用である。次にかが
り縫い作業にはいる。針５とルーパー１とは同期的に動
かされ、縫目を形成する。その時布移動台２が布７を針
５と同期的に動かして、穴の周囲の布７にかがり縫いを
形成する。タイムチャートの区間ＥＦで示す作用であ
る。かがり縫いが終了すると、布移動台２は布７の切れ
目がハンマー４の真下に来る位置に布７を動かす。タイ
ムチャートの区間ＦＧで示す作用である。これにより穴
かがりミシンは動作を終了し、作業者が布７を外して次
の布７をセットするのを待つ。

【０００５】後メス方式の場合の作用について図６のタ
イムチャートを参照して説明する。作業者は加工済みの
布を排除して、未加工の布７をハンマー４の下部にセッ
トする。タイムチャートの区間ＨＩで示す作業である。
そして開始スイッチを入れることにより、まず布移動台
２が布７を動かして、ボタン穴を形成すべき場所が針５
の下にくるようにする。タイムチャートの区間ＪＫで示
す作用である。そしてかがり縫い作業にはいる。針５と
ルーパー１とは同期的に動かされ、縫目を形成する。そ
の時布移動台２が布７を同期的に動かして、布７のボタ
ン穴を形成すべき場所の周囲に先にかがり縫いを形成す
る。タイムチャートの区間ＫＬで示す作用である。かが
り縫いが終了すると、布移動台２が布７を動かして、か
がり縫いのされた部分がハンマー４の真下に来るように
する。タイムチャートの区間ＬＭで示す作用である。そ
の後、ハンマー４とカッター刃３が布を挟み込んで切れ
目を入れる。切れ目の形状は単純な直線であるか、一端
に小径の穴のある鳩目状かである。タイムチャートの区
間ＭＮで示す作用である。これにより穴かがりミシンは
動作を終了し、作業者が布７を外して次の布７をセット
するのを待つ。このようにどちらの方式でも、作業者が
布７をセットする位置はハンマー４の真下部であった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、後メス
方式の場合は、必ずしも布移動台２がハンマー４の下に
あるときに布７をセットする必要はない。逆にハンマー
４の下で布７をセットすることは、針５を避けながら布
７をセットしなければならず、作業性が悪かった。ま
た、布７をセットした後、開始信号が入力された後で、
布移動台２が針５の下まで移動するため、全体作業のサ
イクルタイムを長くしていた。すなわち先メス方式のサ
イクルタイムは図５に示すように区間ＡＧであり、後メ
ス方式のサイクルタイムは図６に示すように区間ＨＮで
ある。両者は一見同じサイクルタイムとなるように見え
るが、先メスの場合区間ＦＧの布移動の時に、作業者が
平行して布セットを行うことが可能であるため、実際の
サイクルタイムは後メス方式が先メス方式よりも長くな
ってしまう。

【０００７】また両方式共にハンマー部で布７を正確に
位置決めセットすることは作業効率を著しく悪くしてい
る。ハンマー部で布７をセットすることが短時間で容易
に出来る場合には、確かにその後の機械側の作業時間が
短かくできるために全体のサイクルタイムが短くなる。
しかし、ボタン穴位置に正確さが要求される場合には布
７をセットするのに時間がかかり、いくら機械側の作業
時間が短くなっていても、全体のサイクルタイムが長く
なってしまう。ハンマー部で針５を避けながら布のセッ
ト作業を行うことは工業ミシンにおけるボタン穴加工の
生産効率を悪くしていた。

【０００８】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、布をセットする位置を作業者が
指定できる穴かがりミシンを提供することを目的として
いる。

【０００９】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明の穴かがりミシンは、加工布の所定の位置にボ
タンかがり縫いを形成する穴かがりミシンにおいて、ミ
シンベットとミシンベット上に立つ脚柱部と該脚柱部か
ら横に張り出したミシンアーム部より成るミシンフレー
ムと、ミシンアーム部の下方に設けられ、加工布にボタ
ン穴を形成するカッター装置と、ミシンアーム部に上下
可動に設けられ、カッター装置に対して脚柱部とは反対
側に位置する針棒と、ミシンベットにもうけられ、加工
布を保持する布押えを有し、針棒の上下動通路に交差す
る方向に相対的に移動される布移動台と、布押えに加工
布を保持させる作業を行う時の布移動台の停止位置を指
定する作業開始位置指定手段と、穴かがり作業終了後す
ぐに、作業開始位置指定手段により指定された位置に布
移動台を移動し、停止させる制御手段とを有している。

【００１０】ここで、先に布に切れ目を入れてから後で
穴かがりをする先メス方式と先に穴かがりをしてから後
で布に切れ目を入れる後メス方式とを選択する先メス後
メス選択手段が、作業開始位置指定手段を兼用していて
もよい。

【００１１】

【作用】上記の構成を有する本発明の穴かがりミシンに
おいて、各構成要素は以下の作用を行う。ミシンフレー
ムは、ミシンベットとミシンベット上に立つ脚柱部と該
脚柱部から横に張り出したミシンアーム部より成り、脚
柱部にはハンマーが付設され、ミシンアーム部には針棒
が付設されている。ハンマー４はカッター刃３と同期的
に作動し、布７を挟み込んで布７に直線又は鳩目状の切
れ目を形成する。針棒６には針５が取り付けられる。針
５はルーパー１と同期的に動作し、ボタン穴の周辺部分
にかがり縫いを施し、布のほつれを防止する。布移動台
は布押えにより布７を台上に固定し、固定された布のボ
タン穴形成部を所定の場所に移動させる。作業開始位置
指定手段により、作業者は布をセットする作業を行う時
の布移動台の停止位置を指定できる。作業開始位置指定
手段により作業開始位置が選択されると、穴かがり作業
終了後すぐに、作業開始位置指定手段により指定された
位置に前記布移動台を移動し、停止させる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明をはと目穴かがりミシンに具体
化した一実施例を図面を参照して説明する。本実施例の
機械的な構成要素は従来例のものとほぼ同じである。す
なわち図２及び図３に示すように、ミシンフレーム９
は、ミシンベット１２と、ミシンベット１２に対して垂
直に立っている脚柱部１０と、脚柱部１０からミシンベ
ット上で横に張り出したミシンアーム部１１とより構成
されている。脚柱部１０には布７に対して、直線状又は
一端に小径の穴のある鳩目穴状の切り欠き形成するため
のハンマー４が付設されている。ミシンアーム部１１の
先端部には、布７の穴形成部分をほつれないようにかが
り縫いするための針棒６が付設されている。針棒６には
針５が取り付けられている。ミシンベット１２上には、
固定された布７を針５に対して平面的に移動可能な布移
動台２が付設されている。布移動台２には上部に布７を
固定するための布押え８が取り付けられている。布移動
台２の下には針５と協働してかがり縫いの縫目を形成す
るルーパー１と、ハンマー４が作動したときに布の逃げ
を防止し下刃の役目を果たすカッター刃３がミシンベッ
ト１２に固定されている。

【００１３】次に制御装置の構成について図４を用いて
説明する。穴かがりミシンの全体制御は制御装置１３が
行っている。制御装置１３は、全体の制御プログラムを
記憶しているプログラムＲＯＭ２０と、プログラムＲＯ
Ｍ２０から制御プログラムを読みだして演算処理を行い
各駆動部に駆動指令を与えるＣＰＵ１９と、一時的にデ
ータを記憶するＲＡＭ２１とより構成されている。制御
装置１３には、作業開始位置指定スイッチ１４と、先メ
ス後メス選択スイッチ２２が接続されている。また、ハ
ンマー４を駆動するためのハンマー駆動手段１５と、針
棒６とルーパー１とを同期的に駆動させる針棒・ルーパ
ー駆動部１６と、布移動台２を駆動するための布移動台
駆動部１７とが制御装置１３に接続されている。

【００１４】制御の内容について図１を参照して説明す
る。本実施例の穴かがりミシンは先メス方式と後メス方
式とが先メス後メス選択スイッチ２２により選択可能で
ある。電源をＯＮすると、布移動台２が原点であるカッ
ター部へ移動する（Ｓ１）。次の動作は、先メス後メス
選択スイッチ２２の選択により異なる。先メスが選択さ
れているときは従来の穴かがりミシンと同様なのでここ
では説明を省略する。

【００１５】後メスが選択されている場合は、ハンマー
作動（Ｓ９）後、布押えを開放する（Ｓ１０）と同時に
布移動台を縫製開始位置である針位置まで移動する（Ｓ
３）。ここで機械は停止し、作業者が加工済みの布を排
除し未加工の布７をセットする（Ｓ４）。布セット後、
作業者は図示しないスタートスイッチをＯＮする（Ｓ
５）。スタートスイッチがＯＮされると、まず針５とル
ーパー１及び布移動台２とが協働してかがり縫いを行う
（Ｓ６）。かがり縫いが終了すると、布移動台２が布７
のボタン穴位置がハンマー４の真下部である原点位置に
来るように移動する（Ｓ７）。移動と並行して糸切りが
行われる（Ｓ８）。移動後ハンマー４とカッター刃３と
が作動し、かがり縫いを施した中央部にボタン穴が形成
される（Ｓ９）。ハンマー作動後、布押えを開放する
（Ｓ１０）と同時に布移動台を作業開始位置である針位
置まで移動する（Ｓ３）。

【００１６】上記で説明した本実施例の制御を、図７に
示すタイムチャートにより詳細に説明する。作業者は加
工済みの布を排除して、布７を布移動台２の所定の位置
に置いて布押え８により固定する。これが布セット作業
である。タイムチャートの区間ＯＰで示す作業である。
このとき、布移動台２は針５の真下部にある。布セット
終了後、作業者は両手を安全な位置に退避させた後で図
示しないスタートスイッチをＯＮする。スタートスイッ
チがＯＮされると、すぐにかがり縫い作業にはいる。針
５とルーパー１とは、制御装置１３により針棒・ルーパ
ー駆動手段１６を介して同期的に動かされ縫目を形成す
る。その時布移動台２は制御装置１３により針５に対し
て同期的に動かされる。これにより、布７のボタン穴を
形成すべき場所の周囲に先にかがり縫いを形成する。こ
の制御方法は特公昭６２−５４０３４号公報等により周
知であるのでここでは詳説しない。タイムチャートの区
間ＱＲで示す作用である。かがり縫いが終了すると、布
移動台２が布７を動かして、かがり縫いのされた部分が
ハンマー４の真下に来るようにする。タイムチャートの
区間ＲＳで示す作用である。その後、ハンマー４とカッ
ター刃３が布を挟み込んで切れ目を入れる。切れ目の形
状は単純な直線であるか、一端に小径の穴のある鳩目状
かである。タイムチャートの区間ＳＴで示す作用であ
る。ハンマー４の動作が終了すると、布移動台２は穴か
がり部が針５の真下に来るまで移動する。移動と並行し
て糸切りが行われる。これにより穴かがりミシンは動作
を終了する。ここで、作業者はハンマー４の動作が終了
したと同時に布セット作業を開始できる。すなわち、布
移動台２がカッター部より針位置まで移動している時に
並行して布７を外すことができる。これにより、布セッ
トに要する時間ＯＰが短縮でき、全体のサイクルタイム
ＯＵも実質的に短縮できる。

【００１７】以上の実施例では、後メス方式の時に強制
的に作業開始位置を針位置にしているが、作業開始位置
を作業者に任意に指定させるとよい。この場合、従来の
穴かがりミシンと大きく異なる点は、作業開始位置指定
スイッチ１４が設けられていることである。作業者は、
作業開始位置指定スイッチ１４を操作することにより、
穴かがりが終了した後の布移動台２の停止位置を自分の
布セット作業が効率よくできる位置に任意に指定するこ
とが出来る。すなわち、先メス後メス選択スイッチ２２
により後メス方式を選択している場合、従来の穴かがり
ミシンでは作業開始位置が画一的にハンマー４の真下部
であった。しかし、本実施例の穴かがりミシンでは、作
業開始位置指定スイッチ１４により作業開始位置として
針棒の下部を指定することにより、後メス方式であって
も針５の下で布７の交換作業を行うことが出来る。

【００１８】以上の実施例では布移動台２の停止位置を
カッター部と針位置との２カ所に限定していたが、針位
置よりも作業者側に第三の停止位置を設けてもよい。そ
して、先メス方式でも後メス方式でも、作業者が任意に
作業開始位置として該第三の停止位置を指定できるよう
にするとよい。それにより、例えばボタン穴位置正度が
厳格に要求されているような場合でも、カッター部や針
位置を避けた場所で布交換、布セット作業を開始できる
ので、全体のサイクルタイムを短縮することができると
いう効果がある。

【００１９】

【発明の効果】以上説明したことから明かなように、本
発明の穴かがりミシンにおいては、布交換を行う作業開
始位置を作業者が任意に指定できるようにしたので、後
メス方式の場合でも布セット作業を針位置で行うことが
でき、また、布セット作業を機械作業と並行して行うこ
とができる。これにより、穴かがり作業の全体のサイク
ルタイムを短縮することができ、穴かがり作業の生産効
率を高くすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施例の穴かがりミシンの動作を示すフロー
チャートである。

【図２】穴かがりミシンの機械的構成を示す側面図であ
る。

【図３】穴かがりミシンの機械的構成を示す平面図であ
る。

【図４】本実施例の穴かがりミシンの制御装置の構成を
示すブロック図である。

【図５】先メス方式における穴かがりミシンの動作を示
すタイムチャートである。

【図６】従来の後メス方式における穴かがりミシンの動
作を示すタイムチャートである。

【図７】本実施例の後メス方式における穴かがりミシン
の動作を示すタイムチャートである。

【符号の説明】

１ ルーパー ２ 布移動台 ３ カッター刃 ４ ハンマー ５ 針 ６ 針棒 １４ 作業開始位置指定スイッチ ２２ 先メス後メス選択スイッチ

フロントページの続き (72)発明者 柴田 淳 名古屋市瑞穂区苗代町15番１号 ブラザー 工業株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 加工布の所定の位置にボタンかがり縫い
   を形成する穴かがりミシンにおいて、 ミシンベットとミシンベット上に立つ脚柱部と該脚柱部
   から横に張り出したミシンアーム部より成るミシンフレ
   ームと、 前記ミシンアーム部の下方に設けられ、加工布にボタン
   穴を形成するカッター装置と、 前記ミシンアーム部に上下可動に設けられ、前記カッタ
   ー装置に対して前記脚柱部とは反対側に位置する針棒
   と、 前記ミシンベットにもうけられ、前記加工布を保持する
   布押えを有し、前記針棒の上下動通路に交差する方向に
   相対的に移動される布移動台と、 前記布押えに加工布を保持させる作業を行う時の前記布
   移動台の停止位置を指定する作業開始位置指定手段と、 穴かがり作業終了後すぐに、前記作業開始位置指定手段
   により指定された位置に前記布移動台を移動し、停止さ
   せる制御手段とを有することを特徴とする穴かがりミシ
   ン。
2. 【請求項２】 請求項１に記載するものにおいて、 先に加工布に切れ目を入れてから後で穴かがりをする先
   メス方式と先に穴かがりをしてから後で加工布に切れ目
   を入れる後メス方式とを選択する先メス後メス選択手段
   が、前記作業開始位置指定手段を兼用していることを特
   徴とする穴かがりミシン。