JPH0511371Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、車体等の母材に溶接されて他の部材
を直接またはクリツプを介して車体等に固定する
のに適したスタツドに関する。

従来の技術 車体等に溶接して他の部材を車体等に固定する
スタツドとして、張出し頭部と円柱軸を持つＴ−
スタツドあるいはねじ山を形成したクリスマスツ
リースタツドが知られている。これらは、その取
付機能において簡単で取付力も強い利点があり多
用されている。

考案が解決しようとする問題点 上記した従来のスタツドは、その断面が円形で
取付部材に対してその回転を止める機能がなく、
特にクリスマスツリースタツドにおいては取付部
材が抜け方向に回転して外れてしまうおそれがあ
り、逆に締付け方向に回転した場合には取付部材
のねじ山が破損するおそれがあつた。また、Ｔ−
スタツドにおいては張出し頭部を有するために取
付部材またはクリツプの留め部の形状を特殊に形
成せねばならない不利がある。 従つて本考案の
目的は、取付けた部材の回転を阻止することので
きるスタツドを提供するにある。

問題点を解決するための手段 かかる目的を達成するため、本考案によれば、
横断面が矩形に形成されて角柱状に延び、少なく
とも一つの側面に係止爪が形成されて成るスタツ
ドが提供され、これにより取付部材またはクリツ
プの回転を防止している。

なお、本考案において、スタツドとは、棒形状
または柱形状であつてその一端が車体等の母材に
スタツド溶接によつて立設するように溶着され且
つその溶着後クリツプ等の部材を取付けるのに使
用するものをいう。

実施例 以下本考案の実施例について図面を用いて詳細
に説明する。第１図ａ，ｂは本考案によるスタツ
ドを示している。図示のように、スタツド１はそ
の横断面が矩形（図示の例では長方形）に形成さ
れて角柱状に延びている。側面の少なくとも一面
には係止爪２が形成され、被取付部材を係止す
る。この爪は被取付部材を係止する限り、少なく
とも１つあればよいが、係止強度を上げるため、
対向する２つの側面に設けるのが好ましく、同様
に、該係止爪２を多段（図示の例では２段）に形
成するのが好ましい。スタツド１の高さは任意に
選択することができ、材料は溶接可能な材料であ
ればよく、代表的な材料は軟質鋼である。

係止爪２は挿入容易で且つ抜け止めできるよ
う、緩斜面と急斜面とで形成される。車体等の母
材に溶接される端部３の面は、スタツド抵抗溶接
が安定して行なわれるように、中央で突出し側方
にやや傾斜するように形成する。スタツド１の、
係止爪２が設けられていない面（長辺側面）には
その中央に係止用の穴４が形成されるのが好まし
く、これにより更に強固に取付部材を係止するこ
とができる。この穴４は凹部として形成されても
よい。また、スタツド１の、取付部材が挿入され
る端部５の面は、その挿入が容易なように角を丸
く形成するのが好ましい。

本考案によるスタツド１は、厚さＴ（第１図ｂ）
を有する軟質鋼板等の平板材を打抜くことによつ
て簡単に加工することができる。従来のＴ−スタ
ツドあるいはクリスマスツリースタツドは円形線
材を切断し、鍛造加工あるいは切削加工の数工程
加工をしており、これに比べると、本考案による
スタツド１ははるかに簡単に加工でき、製造コス
トを低く抑えることができる。本考案によるスタ
ツドは、全体が矩形横断面の角柱形状であるの
で、従来の円形断面のスタツドと同様に自動給送
装置の可撓性送り管の中を通して溶接機に送り込
むことが可能である。

第２図は、車体等の金属製母材７に本考案によ
るスタツド１を溶接して固着させ、このスタツド
１にクリツプ８を介してワイヤハーネス９を取付
ける様子を示している。クリツプ８は第３図ａ〜
ｄに詳細に示されている。クリツプ８はスタツド
取付部１１とワイヤハーネス取付けアーム１２と
を有し、ワイヤハーネス９はアーム１２にテープ
１３等で連結固定される。

スタツド取付部１１は、スタツド１の横断面に
適合した横断面のスタツド挿通孔１５が中央に形
成され、スタツド１の係止爪２に対応して短辺側
に内側面に２段の係止爪１６，１６が形成されて
いる。この係止爪１６も係止できる限り少なくと
も１つあればよく、係止強度に応じて、多段にあ
るいは両側面に形成すればよい。また、長辺側の
側面には係止爪１６，１６に弾性をもたせるよう
スリツト２６が形成されスタツド１に対して挿入
するとき爪１６が外方へ撓む。

更にクリツプ８の長辺側の側面には、スタツド
１の係止穴４に対応した位置に第２の係止爪１７
が形成され、この爪１７に弾性を与えるＵ字状の
スリツト１８が形成されている。なお、クリツプ
８のスタツド挿通孔１５の入口１９は挿入容易な
ようにテーパしている。

従つて、クリツプ８にワイヤハーネス９を固定
した後、第２図の矢印２１の方向に挿入するだけ
で被取付部材であるワイヤハーネス９がクリツプ
８を介して母材７に固着される。この場合、スタ
ツド１が角柱状であり、ワイヤハーネス９は回転
することがない。

第４図は、別のクリツプ３０を用いてワイヤハ
ーネス９をスタツド１に固定し、これによつてワ
イヤハーネス９を母材７に取付ける様子を示して
いる。このクリツプ３０は矢印３１に示すように
スタツド１に対して側方から係止させるようにな
つている。このため、クリツプ３０は第５図ａ〜
ｄに示すように、スタツド取付部３２とアーム３
３とを備え、アーム３３にワイヤハーネス９がテ
ープ等で固定される。スタツド取付部３２はスタ
ツド１を側方から挟持するようにＵ字状に形成さ
れ、スタツド１の係止爪２，２に係止する係止爪
３４，３４は形成され、また穴４に係止する爪３
５が形成されている。従つて、ワイヤハーネス９
をアーム３３に取付けた後クリツプ３０をスタツ
ド１に対して矢印３１の方向に挿入すればクリツ
プ３０がスタツドに固定され、ひいてはワイヤハ
ーネス９が母材７に固定される。

更に本考案によるスタツド１には、クリツプ
８，３０を用いずに、被取付部材を直接取付ける
ことも可能である。この場合において、被取付部
材に、スタツド１の係止爪２に係止する爪または
肩を形成すれば、挿入またはスライドによつてス
ナツプ止めすることができる。

考案の効果 本考案によれば、スタツドが角柱状に形成され
るので、被取付部材の回転を防止することがで
き、被取付部材の取付けも係止爪へのスナツプ止
めによつて極めて簡単に行うことができる。ま
た、スタツドの成形加工も、Ｔ−スタツド等のよ
うに数工程の切断、鍛造（あるいは切削）加工と
いう手間をかけることなく、板状体の打抜き加工
だけで済む利点がある。

さらに、本考案によるスタツドは、全体が矩形
横断面の角柱形状であるので、従来の円形断面の
スタツドと同様に自動給送装置の可撓性送り管の
中を通して溶接機に送り込むことが可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ及びｂは本考案によるスタツドの正面
図及び側面図、第２図は本考案のスタツドにクリ
ツプを介して他の部材を取付ける様子を示す説明
図、第３図ａ〜ｄは第２図の例で用いられるクリ
ツプを示しており、同図ａはクリツプの正面図、
同図ｂは第２図のｂ−ｂ線断面図、同図ｃは第３
図ａのｃ−ｃ線断面図、第３図ｄはスタツド１と
の関係を示す同図ｃと同様の図、第４図は別のク
リツプを用いて他の部材を取付ける様子を示す説
明図、第５図ａ〜ｄは第４図のクリツプの正面
図、平面図、側面図、及び第５図ａのｄ−ｄ線断
面図である。 １……スタツド、２……係止爪、３……溶接端
部、４……係止用穴、７……母材、８，３０……
クリツプ、９……ワイヤハーネス（被取付部材）、
１１，３２……スタツド取付部、１２，３３……
アーム、１６，３４……係止爪、１７，３５……
係止爪。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 一端が中央で突出するように傾斜した形状を
   有し、この一端を車体等の母材に突き立ててス
   タツド溶接することにより前記車体等の母材に
   溶接されるようになつており、他端側から他の
   部材を直接またはクリツプ等を介して取付ける
   ためのスタツドにおいて、横断面が矩形に形成
   されて角柱状に延び、少なくとも一方の側面に
   係止爪が形成されたことを特徴とするスタツ
   ド。 (2) 係止爪が対向する２つの側面にそれぞれ形成
   されている実用新案登録請求の範囲第１項記載
   のスタツド。 (3) 係止爪が係止されていない側面には係止用の
   凹部または穴が形成されている実用新案登録請
   求の範囲第１項または第２項記載のスタツド。 (4) 係止爪が多段に形成されている実用新案登録
   請求の範囲第１項記載のスタツド。 (5) 横断面が長方形であり、その短辺側面に係止
   爪が形成されている実用新案登録請求の範囲第
   １項記載のスタツド。