JPH05103513A - 移植機における整列苗の移載方法および装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 農作物の移植栽培で、整列苗を苗運搬容器か
ら移植機の苗載置部に移し替える移載方法において、大
きくて重い整列苗でも変形させたり斜めにせずに容易に
移し替えられる移載方法を提供する。 【構成】 整列苗Ｐを載せた苗運搬容器Ｃの開口部Caを
移植機の苗載置部10の苗受入口11に臨ませ、引寄せ装置
40の接当板49を苗運搬容器Ｃに載った整列苗Ｐの後部に
当て、引寄せ装置40を分離部50方向へ移動させて整列苗
Ｐを苗運搬容器Ｃから苗載置部10に移載する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、農作物の移植栽培で、
個々の苗に分離可能に整然と連結した紙筒育苗容器によ
る紙筒苗のような整列苗を使用する移植機において、整
列苗を苗運搬容器から移植機の苗載置部に移し替える移
植機における整列苗の移載方法および装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】紙筒苗のような整列苗を往復横移動と間
欠縦移動により個々の苗に自動的に分離する分離装置
は、本発明者らが先に特願平２−４１４７０３号「整列
苗の分離装置」として提案した。この分離装置は、整列
苗を移動させて一対のローラーに供給して個々の苗に分
離し、その移動のために、整列苗を往復移動する横移動
機構と、横移動機構の移動端で整列苗を縦方向に間欠的
に移動させる縦移動機構を設け、一対のローラーは縦移
動機構の移送に対応してその軸ごと交互に進退して、連
続的に整列苗を分離するようにしていた。

【０００３】紙筒苗のような整列苗を苗運搬容器から移
植機の苗載置部に移し替える方法および装置は、本発明
者らが先に特願平２−１０３８７０号「移植機の苗供給
方法および苗供給装置」として提案した。

【０００４】この方法は、整列苗を載せた苗運搬容器
を、その下面を苗供給コンベア上面に近接させた状態
で、苗供給コンベアの入口から前方へ移送し、整列苗が
動かぬように後ろから押さえながら苗運搬容器を引き抜
き、整列苗を苗運搬容器から苗供給コンベアに移しかえ
るものである。

【０００５】この装置は、苗供給コンベア上に整列苗を
載せた苗運搬容器を移送する移送装置を設け、移送装置
は、苗運搬容器の下面を苗供給コンベア上面に近接させ
た状態で載せ、苗供給コンベアの入口から前方への前後
方向に移動するものである。

【０００６】また実公平２−３６３３０号「多条移植機
の苗載台」には、苗載置台を前部コンベアと後部コンベ
アを１組とした直列のコンベアで構成し、植付時には前
部コンベアの回転と後部コンベアの回転が連動し、苗補
給時には後部コンベアの回転を前部コンベアに伝導しな
い機構とする移植機の苗載台が提案されている。

【０００７】また実開平２−４６５０６号「田植機の苗
供給構造」には、植付装置を備えた走行機体に予備苗を
列状に載置収容する予備苗載台を配備し、苗を列状のま
ま予備苗載台上にスライド移載可能に構成する予備苗載
台が提案されている。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】前記従来の技術の「整
列苗の分離装置」では、一対のローラーに整列苗を横移
動機構により往復横移動させて供給して個々の苗に分離
し、横移動機構上には整列苗を横移動機構の移動方向に
長く載せるから、整列苗の分離される苗列が横移動機構
の移動方向に対して変形していたり斜めになっている
と、分離する一対のローラーに一定に接しないため分離
ミスを発生することがある。

【０００９】また、前記従来の技術の「移植機の苗供給
方法」の、整列苗を載せた苗運搬容器を整列苗が動かぬ
ように後ろから押さえながら引き抜き移しかえるもので
は、整列苗が動かぬように人手で後ろから押さえるので
は局部的に押さえて整列苗を変形させたりすることがあ
るし、苗運搬容器には重い整列苗が載っており、その苗
運搬容器を人手で引き抜くのは大変である。そして、整
列苗を載せた苗運搬容器を苗供給コンベアの入口から前
方へ移送する装置のほかに、整列苗を押さえる装置と苗
運搬容器を引き抜く装置を別に設けるのでは装置が大き
く複雑になる。また、移送装置は苗運搬容器の下面を苗
供給コンベア上面に近接させた状態で載せるから、整列
苗を横移動機構の移動方向に長く載せるものでは、移送
装置は整列苗の長手方向の長さ以上となり現実的でな
い。

【００１０】また、前記従来の技術の「多条移植機の苗
載台」の補給方法では、補給用の苗を苗皿等で運搬して
来て後部コンベアの後部に当てがい苗皿より滑り落し、
ハンドルを回して後部コンベアを独立して回転させて苗
を前方に搬送するものであり、小さくて軽く人手で容易
に扱える苗では良いが、大きくて重い整列苗では採用で
きない。

【００１１】また、前記従来の技術の「田植機の苗供給
構造」の、苗を列状のまま予備苗載台上にスライド移載
可能に載置収容するものでは、マット苗を予備苗載台か
ら植付装置の苗載台に滑り落すのであり、大きくて重い
整列苗では採用できない。

【００１２】本発明は、以上のような問題点を解決し、
大きくて重い整列苗でも変形させたり斜めにせずに、整
列苗を横移動機構の移動方向に長く苗載置部に載せるも
のにも対応し、容易に苗運搬容器から移植機の苗載置部
に移し替えられる移載方法および装置により、連続的に
確実に個々の苗に分離して植付ける高性能・高能率な整
列苗の移植機を提供し、移植栽培を飛躍的に広げること
を目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明の移植機
における整列苗の移載方法は、整列苗Ｐを載せ分離部50
に供給して個々の苗Paに分離して植付ける移植機におい
て、整列苗Ｐを載せた苗運搬容器Ｃの開口部Caを移植機
の苗載置部10の苗受入口11に臨ませ、引寄せ装置40の接
当板49を苗運搬容器Ｃに載った整列苗Ｐの後部に当て、
引寄せ装置40を分離部50方向へ移動させて整列苗Ｐを苗
運搬容器Ｃから苗載置部10に移載するものである。

【００１４】請求項２の発明の移植機における整列苗の
移載装置は、整列苗Ｐを載せ分離部50に供給して個々の
苗Paに分離して植付ける移植機において、苗載置部10に
は苗運搬容器Ｃに載せた整列苗Ｐを苗載置部10に引寄せ
る引寄せ装置40を設け、引寄せ装置40は苗載置部10の苗
受入口11から分離部50方向へ移動可能とし、引寄せ装置
40に整列苗Ｐの後部に接する接当板49を設け、接当板49
を整列苗Ｐの後部に対応する長さと高さとしたものであ
る。

【００１５】請求項３の発明の移植機における整列苗の
移載装置は、苗載置部10には整列苗Ｐを載せて往復移動
して分離部50に供給する横移動機構20を設け、接当板49
は横移動機構20の移動方向D1に平行としたものである。

【００１６】請求項４の発明の移植機における整列苗の
移載装置は、苗載置部10には整列苗Ｐを載せて縦方向に
移動させる縦移動ベルト33，36を設け、縦移動ベルト3
3，36の少なくとも苗受入口11側は苗移載時に整列苗Ｐ
の移動に伴なって回行するものである。

【００１７】請求項５の発明の移植機における整列苗の
移載装置は、整列苗Ｐを載せた苗運搬容器Ｃを載置する
容器載置台60を設け、容器載置台60は苗運搬容器Ｃを横
移動機構20の移動方向D1に移動可能に、苗受入口11方向
には移動しないように載せるものである。

【００１８】

【作 用】請求項１の発明では、整列苗Ｐを載せた苗
運搬容器Ｃの開口部Caを移植機の苗載置部10の苗受入口
11に臨ませ、引寄せ装置40の接当板49を苗運搬容器Ｃに
載った整列苗Ｐの後部に当て、引寄せ装置40を分離部50
方向へ移動させて整列苗Ｐを苗運搬容器Ｃから苗載置部
10に移載するから、整列苗Ｐは接当板49に後部を押され
苗載置部10に引き寄せられて移動する。

【００１９】請求項２の発明では、引寄せ装置40に整列
苗Ｐの後部に接する接当板49を設け、接当板49を整列苗
Ｐの後部に対応する長さと高さとしたから、整列苗Ｐは
接当板49に後部を押されても変形することがない。

【００２０】請求項３の発明では、苗載置部10には整列
苗Ｐを載せて往復移動して分離部50に供給する横移動機
構20を設け、接当板49は横移動機構20の移動方向D1に平
行としたから、整列苗Ｐは接当板49に後部を押されて横
移動機構20の移動方向D1に平行となって移動し、斜めに
なることがない。

【００２１】請求項４の発明では、苗載置部10には整列
苗Ｐを載せて縦方向に移動させる縦移動ベルト33，36を
設け、縦移動ベルト33，36の少なくとも苗受入口11側は
苗移載時に整列苗Ｐの移動に伴なって回行するから、整
列苗Ｐの移動の抵抗とならない。

【００２２】請求項５の発明では、整列苗Ｐを載せた苗
運搬容器Ｃを載置する容器載置台60を設け、容器載置台
60は苗運搬容器Ｃを横移動機構20の移動方向D1に移動可
能に、苗受入口11方向には移動しないように載せるか
ら、苗載置部10が横移動機構20により移動してどの位置
で停止していても、整列苗Ｐを載せた苗運搬容器Ｃの開
口部Caを移植機の苗載置部10の苗受入口11に臨ませら
れ、整列苗Ｐは接当板49に後部を押されて移動しても苗
運搬容器Ｃは容器載置台60上にとどまる。

【００２３】

【実 施 例】以下、本発明の一実施例を図面を参照し
て説明する。

【００２４】個々の苗Paに分離可能な整列苗Ｐとして、
紙筒育苗容器による紙筒苗を示している。この紙筒育苗
容器は、展開すると六角柱状の上下が開口した紙筒を、
整然と配列して水溶性糊で貼り合わせたものである。こ
の紙筒中に培土を詰めて播種して育苗すると苗が生長し
て紙筒苗の整列苗Ｐとなり、移植時には適度の連結強度
を保ち、平面視が長方形を成している。

【００２５】この整列苗Ｐを苗床から圃場まで運搬し移
植機に供給するための苗運搬容器Ｃは、底面と長辺の一
側面が板であり、両短辺の側面に丸棒の取手を設け、上
方が開放され、長辺の一側面が開口部Caとして開放され
ている。底面の開口部Ca側の裏面には、リブCrを長辺方
向に長く設けてある。そして、その底面上に整列苗Ｐを
載せて運搬する。

【００２６】つぎに、この整列苗Ｐを個々の苗Paに分離
して植付ける移植機について説明する。

【００２７】図２において、１は機枠であり、機枠１は
平面視が略長方形の枠体を成している。そして、機枠１
上には苗載置部10を設ける。苗載置部10には横移動機構
20および縦移動機構30を設ける。

【００２８】横移動機構20は、機枠１に沿って設けた一
対のレール21と、レール21に沿って往復移動が可能な一
対の横移動機構枠22と、横移動機構枠22の下方で一対の
レール21の間にレール21と平行に設けた軸26とからな
る。

【００２９】横移動機構枠22は一対のレール21上に設
け、横移動機構枠22のレール21に対応する四方の下面に
はレール21の方向に回転するガイドローラ24を設け、ガ
イドローラ24は自由に回転するよう横移動機構枠22に止
められている。また、軸26には往溝と復溝とが無端の交
叉状に形成された円筒カムが刻まれており、横移動機構
枠22に設けた図示しない突起と噛み合っていて、円筒カ
ムのレール21の方向の長さを整列苗Ｐの幅よりやや長く
して、軸26が回転することにより横移動機構枠22がレー
ル21の方向に図示D1方向に連続的に往復移動するように
なっている。

【００３０】横移動機構20の横移動機構枠22には、横移
動機構20の移動方向D1と直交する方向に移動する縦移動
機構30を設ける。そして、縦移動機構30の縦移動ベルト
33，36上には整列苗Ｐを載せて横移動機構20の移動端で
横移動機構20の移動方向D1と直交する図示D2方向に間欠
的に移動させる。また、横移動機構枠22は縦移動機構30
の移動方向D2に低く傾斜している。

【００３１】縦移動機構30には、横移動機構枠22内に横
移動機構20の移動方向に長く横移動機構枠22の傾斜に沿
った高さで平行にプーリ31，32，34，35を設け、プーリ
31，32の間には縦移動ベルト33をプーリ34，35の間には
縦移動ベルト36を掛け渡す。そして、縦移動ベルト36の
プーリ35上を苗載置部10の苗受入口11とし、縦移動ベル
ト33のプーリ31側に分離部50を設ける。

【００３２】プーリ31には、横移動機構枠22が横方向に
移動し、その移動端でのみ軸26の回転が伝導されるよう
にする。プーリ34は、一方向クラッチを介してプーリ31
とをスプロケットホィールとチェーンで連結し、プーリ
31の回転が伝導されるようにする。そして、横移動機構
20の移動端で整列苗Ｐの苗列の一列分だけ縦移動ベルト
33，36を回行させるようにプーリ31，34を回転させる。
また、苗受入口11側の縦移動ベルト36は一方向クラッチ
により、苗移載時に整列苗Ｐの移動に伴なって回行す
る。

【００３３】機枠１の外方で縦移動機構30の移動方向D2
にレール21と平行に規制体枠２を設け、規制体枠２から
上方に規制体軸３を設け、規制体軸３の上端には自由に
回転する一対の苗規制ベルト５を掛け渡す。

【００３４】苗規制ベルト５は、横移動機構20の移動方
向に長くその左右に設け、その苗載置部10側の面は縦移
動ベルト33の搬送終端とほぼ同じ位置とし、左右一対の
苗規制ベルト５の内方の端部間は、整列苗Ｐを分離して
繰り出す一対のローラ52が納まる間隔を開けておく。一
対の横移動機構枠22の苗規制ベルト５側端部から苗規制
ベルト５方向に上下２本のベルト駆動ピンを設け、ベル
ト駆動ピンは苗規制ベルト５の苗載置部10側の面に設け
た孔に通っており、横移動機構20が往復移動すると苗規
制ベルト５の苗載置部10側の面が同じ方向に往復移動す
る。

【００３５】一対の横移動機構枠22の内方で苗規制ベル
ト５側に、整列苗Ｐの横移動機構20の移動方向D1の側面
に接して整列苗Ｐを規制する一対の横規制ベルト37を設
ける。横規制ベルト37は自由に回転するプーリに掛け渡
されており、縦移動ベルト33による整列苗Ｐの移動を妨
げないように回行する。

【００３６】一対の横移動機構枠22の内方で苗受入口11
側には横規制ベルト37に連なる一対の苗案内体38を設
け、縦移動ベルト33，36上の整列苗Ｐを案内する。

【００３７】一対の横移動機構枠22の外方から苗載置部
10上方で苗受入口11側に引寄せ装置40を設ける。

【００３８】引寄せ装置40は、一対の横移動機構枠22の
外方に一対引寄せ装置枠41を設け、引寄せ装置枠41内方
に自由に回転する一対のローラ42を設け、ローラ42は横
移動機構枠22の上面に接し、引寄せ装置枠41はローラ42
に支えられて縦移動機構30の移動方向D2に移動する。引
寄せ装置枠41内方から苗載置部10外に伸びた一対のアー
ム48を設け、アーム48は引寄せ装置枠41側を支点として
自由に回転し、一対のアーム48の先端間に自由に回転す
るよう接当板49を設け、接当板49は横移動機構20の移動
方向D1に平行とする。接当板49は整列苗Ｐの後部に対応
する長さと高さの薄い板であり、その裏面にはたわまな
いように補強部材49a が取付けられている。

【００３９】引寄せ装置40の移動の駆動機構は、一対の
横移動機構枠22の上面下部に沿って縦移動機構30の移動
方向D2に長く歯面を下に向けた一対のラックギヤ39を固
定して設け、引寄せ装置枠41から内方でローラ42の下方
に一対のピニオンギヤ43を設け、ラックギヤ39とピニオ
ンギヤ43を噛み合わせる。引寄せ装置枠41から外方でピ
ニオンギヤ43に対応する位置に一対のスプロケットホィ
ール44を設け、ピニオンギヤ43とスプロケットホィール
44を自由に回転する軸により連結する。引寄せ装置枠41
から外方でスプロケットホィール44の上方に対応する位
置に一対のスプロケットホィール45を設け、一対のスプ
ロケットホィール45間を自由に回転する軸により連結
し、スプロケットホィール44とスプロケットホィール45
の間をチェーン46にて連結する。一対のスプロケットホ
ィール45の外方に同軸で一対のハンドル47を設け、スプ
ロケットホィール45とハンドル47は連結されて一体に回
転する。

【００４０】引寄せ装置40の移動は、図１においてハン
ドル47を右方向に回すことにより、ハンドル47に連結さ
れたスプロケットホィール45が回転し、ピニオンギヤ43
が右方向に回転する。ピニオンギヤ43は横移動機構枠22
に固定されたラックギヤ39に噛み合っており、ピニオン
ギヤ43が取り付けられている引寄せ装置枠41が図示左方
向に移動し、引寄せ装置枠41に取り付けられたアーム48
と接当板49も移動する。

【００４１】機枠１の外方で縦移動機構30の移動方向の
中央部で一対の苗規制ベルト５の内方間から分離部50を
設け、一対の苗規制ベルト５の内方間上方に分離部枠51
を設ける。

【００４２】分離部枠51から下方に一対の軸を設け、そ
の軸に分離回転体としての弾性体の一対のローラ52をは
め込んで設ける。ローラ52は円筒形のスポンジ体で、ロ
ーラ52は縦移動ベルト33，36に載せられた整列苗Ｐの側
面の上部と下部に接する位置とし、一対のローラ52の対
向面は苗Paの紙筒直径より狭い間隔とし、一対のローラ
52は互いの対向面が整列苗Ｐより遠ざかる方向に同一速
度で回転させ、その周速は横移動機構20の移動速度の約
５倍とする。

【００４３】また、横移動機構20により整列苗Ｐが近付
いてくる側のローラ52より遠ざかる側のローラ52をやや
整列苗Ｐに近く位置させ、遠ざかる側のローラ52の整列
苗Ｐ側の端部を苗規制ベルト５の整列苗Ｐ側の面より整
列苗Ｐからやや遠く位置させる。整列苗Ｐの分離される
苗Paには、先ず分離される苗Paに近付いてくる側のロー
ラ52が接当し、続いて遠ざかる側のローラ52が接当す
る。そして、整列苗Ｐの側面が回転するローラ52に順次
接当することにより連続して個々の苗Paに分離し、分離
された苗Paは一対のローラ52に挾まれて整列苗Ｐの反対
側に立垂状態のまま繰り出す。

【００４４】さらに、ローラ52は、横移動機構枠22が横
方向に移動しその移動端で整列苗Ｐの移動方向が変わる
ため、横移動機構20の移動端で位置を進退させる。

【００４５】ローラ52の苗載置部10の反対側から外方
に、分離部枠41から下方に設けた軸により、一対のロー
ラ52から連ねた一対の平ベルト53を設ける。平ベルト53
はローラ52から分離されて繰り出された個々の苗Paを受
取り、紙筒の中間部を挾んで上下を突出させて移送し、
整列苗Ｐの反対側に繰り出す。

【００４６】平ベルト53の搬送終端から直角方向に、分
離部枠51から下方に設けた軸により、一対の平ベルト54
を設ける。平ベルト54は平ベルト53の搬送終端から繰り
出された個々の苗Paを受取り、紙筒の上部を挾んで搬送
し繰り出す。

【００４７】苗受入口11側の苗載置部10外に整列苗Ｐを
載せた苗運搬容器Ｃを載置する容器載置台60を設け、容
器載置台60は横移動機構10の移動方向D1に長く水平に設
け、縦移動機構30の移動方向D2には上面が横移動機構枠
22の傾斜にならって移動方向D2に低く傾斜している。容
器載置台60の上面および下面にはやや突出した２列のロ
ーラ61を多数設け、ローラ61は横移動機構10の移動方向
D1に自由に回転する。

【００４８】苗運搬容器Ｃはローラ61の上に載せられ、
ローラ61の回転により横移動機構20の移動方向D1に移動
可能とする。苗運搬容器Ｃの底面の裏面に設けたリブCr
に列状に設けた数個のローラ61がはまり込み、苗受入口
11方向には移動しない。

【００４９】容器載置台60の苗載置部10に遠い側には横
移動機構10の移動方向D1に長く軸62を設け、軸62の両端
にはブラケット63を設け、ブラケット63は図示しない機
枠に固定され、軸62はブラケット63に自由に回転するよ
うはめ込まれている。そして、容器載置台60は軸62を中
心に１８０度回転し、回転した容器載置台60a には軸62
に対称に設けた図示しない別の苗載置部10へ整列苗Ｐを
供給する苗運搬容器Ｃを載せる。

【００５０】つぎに、作動を説明する。

【００５１】横移動機構20の横移動機構枠22は所定のそ
の移動端とし、整列苗Ｐを載せた苗運搬容器Ｃを容器載
置台60上に載せる。苗運搬容器Ｃを横移動機構20の移動
方向D1に移動して、整列苗Ｐを載せた苗運搬容器Ｃの開
口部Caを苗載置部10の苗受入口11に臨ませる。このと
き、苗運搬容器Ｃは横移動機構20の移動方向D1に移動可
能に容器載置台60のローラ61の上に載せられているか
ら、軽い力で移動させて開口部Caを苗受入口11に合わせ
られる。

【００５２】引寄せ装置40を苗受入口11側に移動し、接
当板49を整列苗Ｐの後部と苗運搬容器Ｃの側面の板の間
に上方から差し込む。ハンドル47を少し回すと引寄せ装
置40が少し分離部50方向へ移動し、整列苗Ｐは接当板49
に後部を押され苗載置部10方向に少し引き寄せられて移
動し、整列苗Ｐの後部と苗運搬容器Ｃの側面の板の間が
広くなる。この時点で、接当板49の下端が苗運搬容器Ｃ
の底面に当たるまで落とし込み、接当板49を確実に整列
苗Ｐの後部に当てる。

【００５３】ハンドル47を回すと引寄せ装置40が分離部
50方向へ移動し、整列苗Ｐは接当板49に後部を押され苗
載置部10に引き寄せられて移動し、整列苗Ｐを苗運搬容
器Ｃから苗載置部10に移載する。

【００５４】このとき、接当板49を整列苗Ｐの後部に対
応する長さと高さとし、整列苗Ｐは接当板49に後部のほ
ぼ全面を均一に押されるから変形することがない。ま
た、接当板49は横移動機構20の移動方向D1に平行とし、
整列苗Ｐは接当板49に後部を押されて横移動機構20の移
動方向D1に平行となって移動するから、苗運搬容器Ｃに
載せられた整列苗Ｐが多少斜めになっていても、苗載置
部10に移載された整列苗Ｐは正しい向きに修正され、斜
めになることがない。そして、苗載置部10に移載された
整列苗Ｐは、変形したり斜めになることがないので分離
部に一定に供給され、分離ミスを発生させることがな
い。

【００５５】また、整列苗Ｐが苗載置部10に移載される
とき、苗受入口11側の縦移動ベルト36は苗移載時に整列
苗Ｐの移動に伴なって回行し、整列苗Ｐの苗載置部10へ
の移動の抵抗とならないから、大きくて重い整列苗Ｐで
も軽く移動できる。また、整列苗Ｐを変形させたり崩壊
させたりすることもない。

【００５６】また、容器載置台60に載置された苗運搬容
器Ｃは、苗運搬容器Ｃの底面の裏面に設けたリブCrに列
状に設けた数個のローラ61がはまり込み、苗受入口11方
向には移動しないように載せられていて、整列苗Ｐが接
当板49に後部を押されて移動しても苗運搬容器Ｃは容器
載置台60上にとどまり、簡単な機構で苗運搬容器Ｃの移
動を止めることができる。

【００５７】苗載置部10に移載された整列苗Ｐは横移動
機構20上の縦移動機構30としての縦移動ベルト33，36上
に載せられ、縦移動ベルト33，36を回行させてその整列
苗Ｐの前端の分離される苗の列が苗規制ベルト５に接し
て一対のローラ52に接する位置まで送り込む。

【００５８】移植機を進行させると適宜な手段により軸
26などが回転し、横移動機構枠22が横方向に移動すると
整列苗Ｐが横方向に移動し、ローラ52や平ベルト53，54
などが回転する。

【００５９】横移動機構枠22の横方向の移動により、図
９に示すように、整列苗Ｐの最前列の分離される苗の列
は図示右方向に移動し、順次退いたローラ52の前端に接
する。このとき、退いたローラ52の回転方向は整列苗Ｐ
の移動方向に正転して同一であり、その周速は整列苗Ｐ
の移動速度より速くしているから、分離される苗Paは後
続する次の苗列とローラ52との間に挾まれて転動され、
転がりながら整列苗Ｐの移動速度よりも速い速度で動か
されることにより、順次分離される苗Paの次の苗や後続
する次の苗列との連結部を剥されて無理なく個々の苗Pa
に分離される。

【００６０】退いたローラ52により分離されて繰り出さ
れた苗Paは、続いて進み出たローラ52に接触し、進み出
たローラ52は退いたローラ52とは反対方向に回転してい
るので、一対のローラ52の間から挾まれて繰り出され
る。また、万一退いたローラ52により分離されなかった
苗Paも、進み出たローラ52により分離され繰り出され
る。そして、一対のローラ52により挾まれて繰り出され
た苗Paは、そのまま直ちに一対の平ベルト53により挾ま
れてより遠くに繰り出される。

【００６１】一対の平ベルト53から繰り出された苗Pa
は、一対の平ベルト54により搬送され、適宜な植付装置
に供給され圃面に植付けられる。

【００６２】整列苗Ｐの最前列の分離される苗列の分離
が全て終り、横移動機構枠22が移動端に達すると、一対
のローラ52が交互に進退して分離の役割を交代し、ほぼ
同時に整列苗Ｐは縦移動ベルト33，36により苗列の一列
分だけ縦方向に移動し、続いて横移動機構枠22は今まで
と反対方向に整列苗Ｐを横移動させて次の列の分離が開
始される。整列苗Ｐの分離される苗列は苗規制ベルト５
に規制され、分離される苗列と一対のローラ52の相互関
係は正しく保たれ、確実に分離される。

【００６３】さらに、横移動機構枠22の反対側の移動端
でも同様に縦移動ベルト33，36が整列苗Ｐを間欠移動さ
せ、連続的に個々の苗Paに分離され植付けられる。

【００６４】苗載置部10の整列苗Ｐが連続的に分離され
植付けられ少なくなると、移植機の進行を止め苗載置部
10に整列苗Ｐを補充する。この整列苗Ｐの補充はほぼ作
業開始時と同様であるが、苗載置部10が横移動機構20に
より移動して不特定の位置で停止している。このとき、
苗載置部10がどの位置で停止していても、苗運搬容器Ｃ
は横移動機構20の移動方向D1に移動可能に容器載置台60
のローラ61の上に載せられていて開口部Caを苗受入口11
に合わせられるから、整列苗Ｐを載せた苗運搬容器Ｃの
開口部Caを苗載置部10の苗受入口11に臨ませられ、容易
に整列苗Ｐを苗載置部10に補充できる。

【００６５】以上の実施例では、整列苗Ｐとして紙筒育
苗容器による紙筒苗のものを示したが、土壌そのものを
所定形状に固めたものや、育苗培地そのものが整然と連
結している無機物繊維や高分子化合物によるものや、個
々の苗Paに分離可能に連結されているものや、個々の苗
Paは連結されておらずに整然と並べられているものでも
良い。

【００６６】また、分離部50として一対のローラ52によ
るものを示したが、分離部50が一定の位置で個々の苗Pa
に分離するものや整列苗Ｐは移動せず分離部50が移動す
るものでも良い。

【００６７】また、引寄せ装置40としてラックギヤ39と
ピニオンギヤ43により駆動し、ハンドル47を回して人力
により移動させるものを示したが、引寄せ装置40は油圧
シリンダーや電動シリンダーや電動モーターなどその他
の駆動機構によりスイッチで操作しても良い。

【００６８】また、苗受入口11側の縦移動ベルト36が一
方向クラッチを介して連結されているものを示したが、
分離部50側の縦移動ベルト33も一方向クラッチを介して
連結されていても良いし、一方向クラッチによらずに電
磁クラッチなどで連結しても良い。

【００６９】また、苗運搬容器Ｃが容器載置台60のロー
ラ61の上に載せられて移動可能にしたものを示したが、
ベルトコンベアに載せられて適宜な駆動機構により搬送
されるようにしても良い。

【００７０】また、苗運搬容器Ｃの底面の裏面に設けた
リブCrに列状に設けた数個のローラ61がはまり込み、苗
受入口11方向には移動しないように載せるものを示した
が、苗運搬容器Ｃの前面を押えるストッパーや、苗運搬
容器Ｃを捕捉するようなものでも良い。

【００７１】

【発明の効果】請求項１の発明によれば、整列苗を載せ
た苗運搬容器の開口部を移植機の苗載置部の苗受入口に
臨ませ、引寄せ装置の接当板を苗運搬容器に載った整列
苗の後部に当て、引寄せ装置を分離部方向へ移動させ、
整列苗は接当板に後部を押され苗載置部に引き寄せられ
て移動し、整列苗を苗運搬容器から苗載置部に移載する
から、大きくて重い整列苗でも変形させたり斜めにせず
に、整列苗を横移動機構の移動方向に長く苗載置部に載
せるものにも対応し、容易に苗運搬容器から移植機の苗
載置部に移し替えらる。

【００７２】請求項２の発明によれば、引寄せ装置に整
列苗の後部に接する接当板を設け、接当板を整列苗の後
部に対応する長さと高さとし、整列苗は接当板に後部を
押されても変形することがないから、苗載置部10に移載
された整列苗Ｐは分離部に一定に供給され、分離ミスを
発生させることがない。

【００７３】請求項３の発明によれば、苗載置部には整
列苗を載せて往復移動して分離部に供給する横移動機構
を設け、接当板は横移動機構の移動方向に平行とし、整
列苗は接当板に後部を押されて横移動機構の移動方向に
平行となって移動し、苗運搬容器に載せられた整列苗が
多少斜めになっていても、苗載置部に移載された整列苗
は正しい向きに修正され斜めになることがないから、苗
載置部に移載された整列苗は分離部に一定に供給され、
分離ミスを発生させることがない。

【００７４】請求項４の発明によれば、苗載置部には整
列苗を載せて縦方向に移動させる縦移動ベルトを設け、
縦移動ベルトの少なくとも苗受入口側は苗移載時に整列
苗の移動に伴なって回行し、整列苗の移動の抵抗となら
ないから、大きくて重い整列苗でも軽く移動でき、容易
に苗運搬容器から移植機の苗載置部に移し替えられる。
また、整列苗を変形させたり崩壊させたりすることもな
い。

【００７５】請求項５の発明によれば、整列苗を載せた
苗運搬容器を載置する容器載置台を設け、容器載置台は
苗運搬容器を横移動機構の移動方向に移動可能にし、苗
載置部が横移動機構により移動してどの位置で停止して
いても、苗運搬容器は横移動機構の移動方向に移動可能
に容器載置台の上に載せられていて開口部を苗受入口に
合わせられるから、整列苗を載せた苗運搬容器の開口部
を苗載置部の苗受入口に臨ませられ、容易に苗運搬容器
から移植機の苗載置部に移し替えられる。

【００７６】また、容器載置台は苗運搬容器を苗受入口
方向には移動しないように載せられていて、整列苗が接
当板に後部を押されて移動しても苗運搬容器は容器載置
台上にとどまるから、簡単な機構で苗運搬容器の移動を
止めることができ、整列苗を容易に苗運搬容器から移植
機の苗載置部に移し替えられる。

【図面の簡単な説明】

【図１】移植機における整列苗の移載装置の一実施例を
示す側面図である。

【図２】そのＡ矢視図である。

【図３】その正面図である。

【図４】図１の一部を切り欠いた作動状態を示す部分図
である。

【図５】図１の一部を切り欠いた作動状態を示す部分拡
大図である。

【図６】図２の部分拡大図である。

【図７】図１の部分拡大図である。

【図８】図２の一部を切り欠いた部分拡大図である。

【図９】図２の一部を切り欠いた作動状態を示す部分拡
大図である。

【図１０】図４の整列苗の移載装置の作動状態を示す。

【図１１】図１０に同じ。

【図１２】図１０に同じ。

【図１３】苗運搬容器に載せられた整列苗の平面図であ
る。

【図１４】苗運搬容器に載せられた整列苗の正面図であ
る。

【符合の説明】

10 苗載置部 11 苗受入口 20 横移動機構 33，36 縦移動ベルト 40 引寄せ装置 49 接当板 50 分離部 60 容器載置台 Ｃ 苗運搬容器 Ca 開口部 D1 横移動機構の移動方向 Ｐ 整列苗 Pa 苗

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 整列苗を載せ分離部に供給して個々の苗
   に分離して植付ける移植機において、整列苗を載せた苗
   運搬容器の開口部を移植機の苗載置部の苗受入口に臨ま
   せ、引寄せ装置の接当板を苗運搬容器に載った整列苗の
   後部に当て、引寄せ装置を分離部方向へ移動させて整列
   苗を苗運搬容器から苗載置部に移載する移植機における
   整列苗の移載方法。
2. 【請求項２】 整列苗を載せ分離部に供給して個々の苗
   に分離して植付ける移植機において、苗載置部には苗運
   搬容器に載せた整列苗を苗載置部に引寄せる引寄せ装置
   を設け、引寄せ装置は苗載置部の苗受入口から分離部方
   向へ移動可能とし、引寄せ装置に整列苗の後部に接する
   接当板を設け、接当板を整列苗の後部に対応する長さと
   高さとした移植機における整列苗の移載装置。
3. 【請求項３】 苗載置部には整列苗を載せて往復移動し
   て分離部に供給する横移動機構を設け、接当板は横移動
   機構の移動方向に平行とした請求項２記載の移植機にお
   ける整列苗の移載装置。
4. 【請求項４】 苗載置部には整列苗を載せて縦方向に移
   動させる縦移動ベルトを設け、縦移動ベルトの少なくと
   も苗受入口側は苗移載時に整列苗の移動に伴なって回行
   する請求項２記載の移植機における整列苗の移載装置。
5. 【請求項５】 整列苗を載せた苗運搬容器を載置する容
   器載置台を設け、容器載置台は苗運搬容器を横移動機構
   の移動方向に移動可能に、苗受入口方向には移動しない
   ように載せる請求項３記載の移植機における整列苗の移
   載装置。