JPH0464716B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は竹刀（しない）の割子に関し、特に、
軽量性、曲げ強度および耐衝撃性に優れた割子に
関する。

竹刀はその名の示す通り、天然の竹材でつくら
れているが、竹製竹刀の欠点は衝撃に対する耐久
性が特に弱いことである。このため、使用時にお
いて竹刀の割子にささくれ、ひび、割れ等が生
じ、場合によつては折損による身体の損傷事故を
ひき起している。

かような問題を解決すべく、竹刀の割子を各種
の複合材料で構成したものが開発されている。複
合材料による竹刀のうちの或るものは、衝撃に対
する耐久性の点の問題点はほぼ解決できるもので
あるが、残念なことに実際には殆ど使用されてい
ないのが実情である。その最大の理由は、複合材
料による竹刀の重量が、通常の竹製竹刀の重量よ
りもはるかに大きくなつてしまい、実際の使用感
覚が竹製竹刀とは全く異質のものになつてしまう
ことにある。

従つて、実際の使用感覚が天然の竹製竹刀とほ
ぼ同等になるような軽量性と、耐曲げ性および耐
衝撃とを備えた複合竹刀の開発が要望されてい
る。

竹刀により剣道の練習および試合を行う場合、
竹刀の割子は、互いに相手の竹刀から、割子の表
面に衝撃荷重を受けると同時に割子の側面にも衝
撃荷重を受ける。この場合、衝撃荷重が作用する
接触面積については、割子の側面の方が表面より
も小さいため、衝撃圧力は割子の側面の方が大と
なり、従つて割子の側面の方が凹みや割れ、裂け
が生じ易い。

本発明の竹刀は、ボツクス状の補強部材を設け
ることによつて、割子全体の曲げ剛性を高めると
共に、ボツクス状の補強部材で囲まれる領域内に
管状体からなる芯体を設けることによつてボツク
ス状補強部材の歪み変形を阻止し、割子の表面保
護材や側面保護材の凹みや割れ、裂けの発生を減
少させることができるものである。

以下、本発明の竹刀の割子を添付図面に基づい
て説明する。

尚、本明細書において使用する「ボツクス状」
なる用語は、図示のごとき完全な閉長方形を形成
する形状のみではなく、４つの角部又は各辺の任
意の箇所に若干の間隙を有する形状のもの、およ
び任意の各辺が若干彎曲している形状のものも含
まれるものとする。

第１図は、竹刀１０の斜視図であり、通常、竹
刀１０は４本の割子１２から構成されている。

第２図は、本発明の竹刀の割子１２の概略構成
を示す横断面図であり、割子１２には、ボツクス
状の断面構造を有する補強部材１４と、該補強部
材１４を包囲する四方の面の表面保護材１６、側
面保護材１８および裏面材２０とが設けられてい
る。このボツクス状補強部材の横断面形状は、そ
の内面、外面ともにほぼ矩形をなすように構成さ
れている。また、補強部材１４で囲まれる領域２
２には、後述のごとき構成による中空管状体から
なる芯体が設けられている。表面保護材１６、側
面保護材１８、および裏面材２０については直接
本発明に関連するものではないが、これらは強度
および軽量性の観点から、各種プラスチツク、木
材、ゴム等で作ることができる。

第３図は、本発明の特徴であるボツクス状補強
部材１４、およびこの補強部材１４によつて囲ま
れる領域２２（第２図）内に設けられる芯体２６
の各種構成例を示すものである。補強部材１４は
引張強度に優れた材料、例えば、繊維強化プラス
チツク（FRP）、軽量金属のシート状物等で作る
ことができるが、保護材１６，１８，２０との接
着性、成形時の容易性等から、カーボン繊維、ガ
ラス繊維等のFRPで作るのがよい。芯体２６は
薄肉の中空管状体又は第４図に示すようなハニカ
ム構造体とする。芯体２６の材料としては、
FRP、軽量金属、強化紙等を用いることができ
る。

第３図ａは、補強部材１４によつて囲まれる領
域２２内の全域に亘つて管状の芯体２６が存在す
るものであり、管状芯体２６は割子の幅方向（水
平方向）に延びているため、特に割子の側面に作
用する衝撃荷重に対して優れた強度をもつものと
することができる。第３図ｂは、第３図ｂと同様
に、領域２２内の全域に亘つて管状の芯体２６が
存在するものであるが、管状芯体２６は割子の高
さ方向（垂直方向）に延びているため、特に割子
の表面に作用する衝撃荷重に対して優れた強度を
もつものとすることができる。第３図ｃも、第３
図ａ，ｂと同様に、領域２２の全域に亘つて管状
芯体が存在するものであるが、管状芯体２６は割
子の幅方向および高さ方向に延びるように配設さ
れているため、割子の側面および表面の両方向に
作用する衝撃荷重に対して優れた強度をもつもの
とすることができる。第３図ｄ，ｅは、領域２２
内の一部にのみ管状芯体２６が存在し、他部に
は、管状体以外の材料２８が存在するものであ
る。材料２８としては、任意の軽量材を使用で
き、例えば発泡プラスチツク等が望ましい。

尚、ボツクス状の補強部材１４は、割子１２の
曲げ剛性を高めるために、割子１２の長さ方向の
全長に亘つて設けるのがよいが、場合によつては
特に頻度多く衝撃が作用する割子の先端近くの一
定長さの部分のみに設けてもよいし、必要個所以
外はボツクス状にしなくてもよい。また、補強部
材１４を割子の長さ方向の全長に亘つて設ける場
合であつても、芯体２６については割子の先端近
くの一定長さの部分にのみ設けることにより、割
子全体の重量を更に軽減できる。また、割子の長
手方向に沿う数個所に補強部材１４および表面保
護材等との接着性の優れた材料（例えば発泡プラ
スチツク）を配置することもできる。上述した本
願発明の構成により、特に衝撃の大きい前記中央
部分の保護材の肉厚を厚くすることが可能で、耐
衝撃強度を向上させることができ、且つ、補強部
材は比重が大きいため、それより比重の小さい保
護材を配置する余地を持つので、軽量化と耐衝撃
性を満足させることができる。また、ボツクス状
補強部材の領域内に軽量の芯体を配することによ
り、耐衝撃性および軽量性を同時に満足させつ
つ、特に管状体からなる芯体を設けることによつ
てボツクス状補強部材の歪み変形を阻止し、割子
の表面保護材や側面保護材の凹みや割れ、裂けの
発生を減少させることができる。従つて、実際の
使用感覚が天然の竹製竹刀とほぼ同等になるよう
な軽量性と、耐曲げ性および耐衝撃性とを備えた
複合竹刀を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は竹刀の概要を示す斜視図である。第２
図は本発明の割子の横断面図である。第３図はボ
ツクス状補強部材および該補強部材内に設けられ
る芯体の各種構成を示すものである。第４図は管
状体としての一態様であるハニカム構造体を示す
ものである。 １４……ボツクス状補強部材、２６……管状芯
体。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 竹刀を構成する割子が、少なくとも補強部材
   を備えた複合材で形成されており、前記補強部材
   の形状は割子の横断面方向から見てボツクス状を
   なしており、前記ボツクス状の補強部材で囲まれ
   る領域内には管状体からなる芯体が設けてあるこ
   とを特徴とする竹刀の割子。