JPH0463714B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は竹刀（しない）の割子に関し、特に、
軽量性、曲げ剛性および耐衝撃性に優れた割子に
関する。

竹刀はその名の示す通り、天然の竹材で作られ
ているが、竹製竹刀の欠点は衝撃に対する耐久性
が特に弱いことである。このため、使用時におい
て竹刀の割子にささくれ、ひび、割れ等が生じ、
場合によつては折損による身体の損傷事故をひき
起している。

かような問題を解決すべく、竹刀の割子を各種
の複合材料で構成したものが開発されている。複
合材料による竹刀のうちの或るものは、衝撃に対
する耐久性の点の問題点はほぼ解決できるもので
あるが、残念なことに実際には殆んど使用されて
いないのが実情である。その最大の理由は、複合
材料による竹刀の重量が、通常の竹製竹刀の重量
よりもはるかに大きくなつていまい、実際の使用
感覚が竹製竹刀とは全く異質のものとなつてしま
うことにある。

従つて、実際の使用感覚が天然の竹製竹刀とほ
ぼ同等になるような軽量性をもつと同時に、曲げ
剛性および耐衝撃性に優れた複合竹刀の開発が要
望されている。

複合竹刀において、曲げ剛性および耐衝撃性を
高めるためには何らかの補強部材を使用しなけれ
ばならないが、この補強部材の構成をいかにする
かによつて竹刀の重量に多大の影響を与える。す
なわち、補強部材は、曲げ剛性および耐衝撃性の
向上と、重量の軽減化という二律背反的な問題を
同時に解決できるものでなくてはならない。

本発明の発明者は、かような問題を解決できる
補強部材の最良の構造として、補強部材が割子の
横断面方向から見てボツクス状となる構造にする
のがよいことを見出した。

また、補強部材を包囲する表面保護材および側
面保護材に生じ易い凹みをできる限り減少させる
には、これらの保護材を直接支持するボツクス状
補強部材自体が衝撃により歪まないように補強す
ることが有効であることを見出した。本発明の竹
刀の割子では、補強部材の歪みを防止すべく、ボ
ツクス状補強部材で囲まれる領域内に発泡体を設
けてある。

以下、本発明の竹刀の割子を添付図面に基いて
説明する。

尚、本明細書において使用する「ボツクス状」
なる用語は、図示のごとき完全な閉長方形を形成
する形状のみではなく、４つの角部又は各辺の任
意の箇所に若干の間隙を有する形状のもの、およ
び任意の各辺が若干彎曲している形状のものも含
まれるものとする。

第１図は竹刀１０の斜視図であり、通常、竹刀
１０は４本の割子１２から構成されている。

第２図は本発明の竹刀の割子１２の概略構成を
示す横断面図であり、割子１２には、ボツクス状
の断面構造を有する補強部材１４と、該補強部材
１４を包囲する四方の面の表面保護材１６、表面
保護材１８および裏面材２０とが設けられてい
る。このボツクス状補強部材の横断面形状は、そ
の内面、外面ともにほぼ矩形をなすように構成さ
れている。補強部材１４で囲まれる領域２２内に
は、後述のごとく、補強部材１４を補強するため
の発泡体が設けられる。表面保護材１６、側面保
護材１８および裏面材２０については直接本発明
に関連するものではないが、これらは強度および
軽量性の観点から各種プラスチツク、木材、ゴム
等で作ることができる。竹刀の使用中に相手の竹
刀から受ける衝撃荷重は、表面保護材１６又は側
面保護材１８に直接作用する。

第２図から明らかなように、補強部材１４は割
子の横断面方向から見てボツクス状の構造になつ
ている。補強部材１４は割子の曲げ剛性を高める
ことを主たる目的とするものであるから、縦弾性
係数の大きな材料、例えば繊維強化プラスチツク
（FRP）、軽量金属のシート状物等で作ることが
できるが、保護材１６，１８，２０との接着性、
成形時の容易性等の理由から、カーボン繊維、ガ
ラス繊維等のFRPで作るのがよい。

第３図ａは、ボツクス状の補強部材１４で囲ま
れる領域２２（第２図）内の全域に亘つて発泡体
２４を充填した実施例を示すものである。発泡体
２４は、割子の表面保護材１６や側面保護材１８
に衝撃荷重が作用したときに、これらの部材を支
持するボツクス状補強部材１４が歪むことを防止
し、これにより表面保護材１６や側面保護材１８
の凹みを緩和するためのものであるから、発泡体
といつてもスポンジのごとく軟らかいものではな
く、例えばプラスチツクや硬質ゴムの低倍率発泡
体のごとく硬質の発泡体である。第３図ｂ，ｃは
ボツクス状補強部材１４で囲まれる領域２２内の
一部の発泡体２４、残部に発泡体以外の軽量硬質
体（例えば木材）２６が存在するものである。第
３図ｂの例は特に表面保護材１６に作用する衝撃
に強く、第３図ｃの例は特に側面保護材１８に作
用する衝撃に強いものである。第３図ｄは、ボツ
クス状補強部材１４で囲まれる領域２２内の一部
に発泡体２４が存在し、一部に中空部２８が存在
する例である。一部を中空部とすることによつ
て、割子の重量を一層軽減させることができる。

尚、ボツクス状の補強部材１４は、割子の曲げ
剛性を高めるために、割子の長さ方向の全長に亘
つて設けるのがよいが、場合によつては特に頻度
多く衝撃が作用する割子の先端近くの一定長さの
部分のみに設けてもよい。また、必要箇所以外は
ボツクス状にしなくてもよい。更に、ボツクス状
の補強部材１４を割子の長さ方向の全長に亘つて
設ける場合であつても、発泡体２４や軽量硬質体
２６については割子の先端近くの一定長さの部分
にのみ設けることによつて、割子の重量を一層軽
減できる。

上述した本願発明の構成により、特に衝撃の大
きい前記中央部分の保護材の肉厚を厚くすること
が可能で、耐衝撃強度を向上させることができ、
且つ、補強部材は比重が大きいため、それより比
重の小さい保護材を配置する余地を持つので、軽
量化と耐衝撃性を同時に満足させることができ
る。また、ボツクス状補強部材が衝撃により変形
すると、その耐衝撃強度が低下するため、その変
形阻止のため、ボツクス状補強部材の領域内に軽
量の芯体を配することにより、耐衝撃性および軽
量性を同時に満足させつつ、特にボツクス状補強
部材が衝撃により歪まないように発泡体を設ける
ことによつて割子の表面や側面に生じる凹みや割
れ、裂けを大幅に減少することができる。従つ
て、実際の使用感覚が天然の竹製竹刀とほぼ同等
になるような軽量性をもつと同時に、曲げ剛性お
よび耐衝撃性に優れた複合竹刀を提供することが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は竹刀の概要を示す斜視図である。第２
図は本発明の割子の横断面図である。第３図はボ
ツクス状補強部材および該補強部材内に設けられ
る発泡体の各種構成を示すものである。 １４…ボツクス状補強部材、２４…発泡体。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 竹刀を構成する割子が、少くとも補強部材を
   備えた複合材で形成されており、前記補強部材の
   形状は割子の横断面方向から見てボツクス状をな
   しており、前記ボツクス状の補強部材で囲まれる
   領域内には発泡体が設けてあることを特徴とする
   竹刀の割子。