JPH0459024B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、塗装用スプレーガン特に仕上げ塗装
に適するスプレーガンに関するものである。

〔従来技術の問題点〕

前方へ拡開する円錐状の噴出開口部の中心に塗
料噴出口を設けると共に、前記円錐状開口部の周
側にはテーパ付環状スリツトによる空気ノズルを
その噴出空気が前記噴出開口部の軸線の前方へ狭
縮する中空円錐状に形成されるように共通軸線関
係のもとに設け、もつて、空気ノズルからの前方
で集中する中空円錐状空気膜を噴出することによ
り、軸線位置で激突する空気の一部が軸線上で逆
流して塗料噴出口から噴出する塗料を噴出開口部
における円錐面に沿い拡延させて薄膜化しつつ空
気ノズルからの空気膜と衝触した後、随伴されて
前方の軸線位置において集中的に衝突し、これに
より効果的に霧化するようにした先行技術が実公
昭54−5823公報に記載されている。

しかしながら、この種のスプレーガンにおいて
は、塗料の吐出量を調節するには、塗料の供給圧
を変化させるほか、塗料噴出口の口径を選定する
ことにより行われているが、塗料の吐出量を減少
させるため塗料の供給圧を低下させると、塗料噴
出口から噴出する塗料は円錐状開口部全体域に拡
延されることなく下方へ集中的に流下する等、不
均斉等に流れて霧化が不完全となるほか、噴霧パ
ターンが歪む欠点があり、かつ塗料噴出口を小径
にすると、塗料が拡延することなく軸線方向へ集
中し易く、霧化効果が著しく低下する欠点がある
ばかりでなく、ノズル詰まりが生じ易く、かつ色
替え等に際して洗浄能率が低いという不利があ
り、その他空気ノズルを構成する部材が塗料噴出
用円錐状開口部よりも前方に突出している関係
上、霧滴の付着堆積により空気ノズルの噴口が不
均斉に変形する欠点がある。

〔本発明の目的〕

本発明は、塗料噴出口径を縮小することなく塗
料の吐出量を著しく少量に限定することができ、
しかも霧化効果並びに塗着効率を向上し、更に霧
化の均斉化を実現したこの種のスプレーガンを提
供することを主目的とするものである。

〔特徴〕

本発明は、上記目的を達成するため、塗料噴出
口に近い上流に塗料旋回手段を設けて塗料噴出口
から噴出する塗料を空気流による薄膜化に先だつ
て円錐状開口部面に沿う状態のもとに遠心力によ
り積極的に薄膜化するようにし、空気流による薄
膜化と相俟つて塗料を均斉に薄膜化した状態のも
とに空気ノズルからの円錐環状空気流と衝触させ
るようにし、かつ前記空気ノズルから噴出する空
気流中の円筒状空気流により噴霧を包囲するいわ
ゆるエアカーテンを形成して噴霧の飛散を防止す
るようにしたことを主要特徴とするものである。

〔実施例〕

以下、本発明のスプレーガンを図示の実施例に
ついて詳細に説明する。

スプレーガン本体１の前端に塗料ノズル部材２
およびこの塗料ノズル部材２の外側に空気ノズル
部材３をナツト４により共通軸線関係に取り付け
るようにし、前記塗料ノズル部材２の先端寄り前
面には前方に拡開する円錐状開口部５とその中心
部に塗料噴出口６とを形成するほか、塗料噴出口
６の上流には弁座７を設けると共に、この弁座７
に対応する針弁８を進退自在に対設したまま、必
要に応じ針弁８を後退させることにより開弁して
スプレーガン本体１における塗料供給路９から圧
送される塗料を塗料噴出口６から前方へ噴出させ
ることができるようにし、かつ塗料ノズル部材２
における円錐状開口部５の外周側には塗料ノズル
部材２の先端寄り外周部と空気ノズル部材３の先
端寄り内周部との中間に前方へ狭縮するほぼテー
パ付環状の空気ノズル１０を設けたまま、スプレ
ーガン本体１に設けられた通気路１１および塗料
ノズル部材２に穿設された通気路１２を経て供給
される霧化用加圧空気を空気ノズル１０から前方
へ狭縮する中空円錐環状に噴出させることができ
るようにし、もつて、空気ノズル１０から前方軸
線位置に集中する中空円錐状空気流の激突に伴い
反転して生じる逆流空気により塗料噴出口６から
噴出する塗料を開口部５の円錐面に沿つて拡延し
つつ前進させた後、空気ノズル１０から噴出する
空気流に衝触させて、この空気流に随伴された状
態のもとに前方の軸線位置において集中的に衝突
させ、この衝突により効果的に霧化するようにし
たことにおいては従来技術におけると性質的に異
なるところはない。

本発明においては、前記塗料噴出口６に近い上
流に塗料の旋回手段を付設するのであつて、図示
の実施例においては、塗料ノズル部材２に中空部
１３を形成してその前端即ち前記塗料噴出口６の
背部に、後方へ拡開する円錐面１４および前記塗
料噴出孔６と同径の通孔１５がある受座１６を嵌
設すると共に、この受座１６に対応して、先端に
前記円錐面１４に対接する円錐頭部１７とこの円
錐頭部１７上に「はす」に形成した塗料流路１
８，１８とがある旋回用コア１９をその先端の頭
部１７が前記円錐面１４に圧接するように塗料ノ
ズル部材２に後方から螺挿して塗料旋回手段を構
成し、かつ前記旋回用コア１９にはその後端寄り
部に前記弁座７を固着するほか、この弁座７に対
応する前記針弁８を後方から進退自在に対設し、
なお弁座７から前方へＴ字状流路２０を設けてこ
の流路２０および前記中空部１３内面と旋回用コ
ア１９との中間空隙を経て前記塗料流路１８に塗
料を流過させることができるようにし、これによ
り針弁８の後退による開弁に伴い塗料供給路９か
らの塗料を旋回用コア１９における「はす」に形
成した塗料流路１８に流過させつつその通過する
過程において旋回動を付与し、従つて塗料噴出口
６から噴出する場合に遠心力により放射状に噴出
して前記円錐状開口部５に沿い積極的に拡延薄膜
化し、軸線上において逆流する一部の空気流によ
る拡延作用と相俟つて均斉化した状態のもとに空
気ノズル１０からの円錐環状の空気膜と衝触する
ことができるようにし、この衝触による霧化並び
に前方の軸線上における集中的衝突による霧化に
より、極めて微細に霧化して噴射することができ
るのである。なお塗料に旋回動を付与するための
手段としては、上記構成に限らず他の構造を採択
してもよいこと当然である。

更に本発明においては、前記空気ノズル１０の
形成に当り、塗料ノズル部材２の先端寄り部分の
外周面を円筒面２ａに形成すると共に、先端の外
周縁を面取りしてテーパ面２ｂに形成し、かつ空
気ノズル部材３はこれをその前端面３ａが前記塗
料ノズル部材２の前端にほぼ一致する前後関係の
もとにように配設したまま、前端寄り部分の内周
面３ｂを前方へ漸次狭縮する円錐状に形成すると
共に、この内周面３ｂの先端内周縁の径を前記塗
料ノズル部材２における円筒面２ａの径にほぼ一
致する寸法に選定し、もつて空気ノズル１０の先
端部分の流路１０ａとしては、塗料ノズル部材２
のテーパ面２ｂと空気ノズル部材３における円錐
状の内周面３ｂとにより前方に漸次狭縮する比較
的短いテーパ付環状に形成するほか、この流路１
０ａに隣接する上流の流路１０ｂとしては、内周
側が直円筒で外周側が円錐状の前方へ漸次狭縮す
る比較的長い環状に形成する。

空気ノズル１０を前記のように、前方に漸次狭
縮する短いテーパ付環状の流路１０ａと、そのす
ぐ上流において内周側が直円筒で前方へ漸次狭縮
する長い環状流路１０ｂとから構成し、しかも上
流の流路１０ｂの内周と流路１０ａの先端外周と
の径がほぼ一致している場合には、空気ノズル１
０から噴出する空気流は、第３図のように、空気
ノズル１０に近い軸線上に指向する中空円錐環状
の空気流Ａ１と、前方に指向する円筒状の空気流
Ａ２と、その中間部分の空気流Ａ３とからなり、
前記塗料ノズル部材２における円錐状開口部５に
拡延しつつ流れる塗料膜Ｐと衝触するのは、噴射
空気流中の内周方の空気流Ａ１であり、その衝触
の結果霧化した噴霧流Ｓ１の主流は軸線上に指向
し、軸線上において集中的に衝突した後、効果的
に霧化しつつ前方に拡開して円錐状噴霧流Ｓ２が
形成されるのであるが、この噴霧流Ｓ２は前記噴
射空気流中の外周方の空気流Ａ２およびＡ３の内
方において形成される関係上、噴霧流Ｓ２を空気
流Ａ２およびＡ３が包囲する状態のもとに前方へ
推進し、これにより噴霧の必要以上の飛散を防止
すると同時に塗着効率を著しく向上することがで
きるようにしてなるのである。

前記構成によれば、被塗装面上には円環状塗膜
パターンが現出するが、長円塗膜パターンを得る
ためには円錐状噴霧を空気流により扁平化して扇
形状にすればよく、これがための装備としては、
図示のように空気ノズル部材３の前端面３ａにお
ける外周寄りの対向２カ所に前向きの突出部２
１，２１を対称的に形成すると共に、この突出部
２１には前後方向の流路２２およびこの流路２２
に連通する斜め内向きの扁平化用空気ノズル２
３，２４を前向き傾向に設け、かつ前記スプレー
ガン本体１には前記流路２２に連通する空気供給
流路２５を設け、もつて必要に応じ比較的低圧の
加圧空気を空気ノズル２３，２４から円錐状噴霧
が挟まれる状態に吹き付けることにより扇形状噴
霧に変形するようにすればよい。

また、本発明のスプレーガンを静電塗装に適応
させるためには、スプレーガン本体１および空気
ノズル部材３を貫通する導電線２６および２７を
途中の接続部の介在のもとに設けてその導電線２
７の先端を針状電極２８としてこれを空気ノズル
部材３における一方の突出部２１の先端から斜め
内向きに突出させて噴霧の基端近くに配置し、こ
の針状電極２８に対し高圧電源２９から安全用高
抵抗３０および導電線２６，２７を経て高電圧を
印加することにより、噴霧に高圧電荷を荷電する
ようにすればよく、あるいは、導電線２７および
針状電極２８を省略してこれに代え、塗料ノズル
部材２を金属製とすると共に、この塗料ノズル部
材２と導電線２６とを電気的に接続し、塗料ノズ
ル部材２の先端を荷電電極に充当するようにして
もよく、霧化効率および塗着効率を一層向上する
ことができるのである。

以上の構成のもとに、使用に当つては、通常に
おいて塗料の供給圧力を0.2〜0.7Kg／cm²程度と
し、また空気の供給圧力を１〜３Kg／cm²程度に選
定するのであり、それらの供給圧の選定により塗
料の粘度および性状に合致させるばかりでなく、
噴霧パターンの大きさを規定することができ、な
お上記圧力の数値はこれに限ることなく適度に変
更することができること当然である。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明によれば、次のよ
うな作用効果が得られる。

(a) 前方へ拡開する円錐状の噴出開口部の中心に
塗料噴出口を設けると共に、噴出開口部の周側
にはテーパ付環状スリツトを備えた空気ノズル
をその噴出空気が前方へ狭縮する中空円錐状に
形成されるように共通軸線関係のもとに設けた
型式を採択したから、これにより空気ノズルか
ら前方軸線位置に集中する中空円錐状空気流の
激突に伴い反転して生じる逆流空気により塗料
噴出口から噴出する塗料を噴出開口部の円錐面
に沿つて拡延しつつ前進させた後、空気ノズル
から噴出する空気流に衝触させて、この空気流
に随伴された状態のもとに前方の軸線位置にお
いて集中的に衝突させ、この衝突により効果的
に霧化するすることができる。

(b) 塗料噴出口に近い上流に塗料旋回手段を設け
て塗料噴出口から噴出する塗料を前記円錐状の
噴出開口部に沿う状態のもとに積極的に薄膜化
するようにしたから、この薄膜化作用と、軸線
上において逆流する一部の空気流による拡延作
用とが相俟つて均斉化した状態のもとに空気ノ
ズルからの円錐環状の空気膜と衝触し、この衝
触による霧化並びに前方の軸線上における集中
的衝突による霧化により、極めて微細に霧化す
ると共に、均斉な霧滴のもとに均整なパターン
の噴霧を形成することができ、仕上げ塗装に好
適である。

(c) 空気ノズルとしては、その先端部分の流路を
前方に漸次狭縮する比較的短いテーパ付環状に
形成するほか、この流路に隣接する上流の流路
を内周側が直円筒で外周側が円錐状の前方へ漸
次狭縮する比較的長い環状に形成したから、こ
れにより空気ノズルから噴出する空気流は、空
気ノズルに近い軸線上に指向して円錐状開口部
において拡延しつつ流れる塗料膜と衝触する中
空円錐環状の空気流の他に、前方に指向する円
筒状の空気流が形成され、この円筒状の空気流
によるいわゆるエアカーテンにより、前方に拡
開して形成される円錐状噴霧流を包囲した状態
のもとにこれを随伴して前方へ推進し、従つて
単一の空気ノズルの設置にも拘らず、効果的な
霧化作用を発揮させるほか、噴霧の不必要な飛
散を効果的に防止し、噴霧パターンを整えるこ
とができると同時に、塗着効率を著しく向上す
ることができるのである。

(d) 空気ノズルから噴出する最外周の円筒状エア
カーテンにより噴霧の飛散が防止されること、
および空気ノズル部材の前端面が塗料ノズル部
材よりも前方へ突出していないこととが相俟つ
て、空気ノズル部材の前端面に対する霧滴の付
着が防止され、従つて空気ノズルのスリツト先
端部に対する塗料の堆積が生じないから、スプ
レーガン先端の外部を洗浄することなく、長期
にわたり使用することができる。

(e) 霧化効率を著しく向上して高粘度塗料の噴霧
にも適応するから、塗料の供給圧力並びに空気
の供給圧力を低下させることができ、これによ
り加圧のための装備および動力を節約すること
ができる。

(f) 塗料並びに空気の供給圧力を低下させること
ができるから、これにより霧滴の推進速度を低
下して被塗装面からのリバウンドを確実に防止
し、空気ノズルからのエアカーテンによる霧滴
の飛散防止作用と相俟つて、塗着効率を著しく
向上することができる。

(g) 塗料噴出口を小径にすることなく低吐出量の
噴霧に適応させることができるから、ノズル詰
まりを防止し、かつ洗浄性が良好である。

【図面の簡単な説明】

図面は一実施例を示す本発明のスプレーガンで
あつて、第１図は縦断面図、第２図は旋回用コア
の先端頭部の斜面図、また第３図は要部の拡大縦
断面図である。 ２……塗料ノズル部材、２ａ……円筒面、２ｂ
……テーパ面、３……空気ノズル部材、３ａ……
前端面、３ｂ……内周面、５……噴出開口部、６
……塗料噴出口、１０……空気ノズル、１０ａ…
…流路、１０ｂ……流路。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 前方へ拡開する円錐状の噴出開口部５の中心
   に塗料噴出口６を設けると共に、前記噴出開口部
   ５の周側にはテーパ付環状スリツトを備えた空気
   ノズル１０をその噴出空気が前方へ狭縮する中空
   円錐状に形成されるように共通軸線関係のもとに
   設けた型式のスプレーガンであつて、前記塗料噴
   出口６に近い上流に塗料旋回手段を設けて塗料噴
   出口６から噴出する塗料を前記円錐状の噴出開口
   部５に沿う状態のもとに積極的に薄膜化するよう
   にし、更に前記空気ノズル１０としては、塗料ノ
   ズル部材２の先端寄り部分の外周面と空気ノズル
   部材３の前端寄り部分の内周面とにより形成する
   ようにし、前記塗料ノズル部材２の先端寄り部分
   の外周面はこれを円筒面２ａに形成すると共に、
   先端の外周縁を面取りしてテーパ面２ｂに形成
   し、かつ空気ノズル部材３はこれをその前端面３
   ａが前記塗料ノズル部材２の前端に一致する前後
   関係に配設したまま、前端寄り部分の内周面３ｂ
   を前方へ漸次狭縮する円錐状に形成すると共に、
   内周面３ｂの先端内周縁の径を前記塗料ノズル部
   材２における円筒面２ａの径に一致する寸法に選
   定し、もつて空気ノズル１０の先端部分の流路１
   ０ａを、塗料ノズル部材２のテーパ面２ｂと空気
   ノズル部材３における円錐状の内周面３ｂとによ
   り前方に漸次狭縮する比較的短いテーパ付環状に
   形成するほか、この流路１０ａに隣接する上流の
   流路１０ｂを内周側が直円筒で外周側が円錐状の
   前方へ漸次狭縮する比較的長い環状に形成したこ
   とを特徴とするスプレーガン。