JP2769962B2

JP2769962B2 - 塗装に適する空気添加型噴霧装置

Info

Publication number: JP2769962B2
Application number: JP5127704A
Authority: JP
Inventors: 秀夫佐久間
Original assignee: アロイ工器株式会社
Priority date: 1993-04-21
Filing date: 1993-04-21
Publication date: 1998-06-25
Anticipated expiration: 2013-06-25
Also published as: JPH06304501A; US5435491A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、塗料等の液体を噴霧す
るための空気添加型噴霧装置に関するものであり、特に
液体および空気を共に著しく低圧のもとに噴出させるに
も拘らず好結果を得ることができる噴霧装置に関し、な
お噴霧を円錐状または扇形状に選択的に形成することこ
とができる噴霧装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の塗装用噴霧装置に適用されている
基本的な噴霧型式としては、大別してエアスプレー型式
とエアレススプレー型式とエア添加スプレー型式とがあ
る。エアスプレー型式は、通常において、円形の噴液口
から著しく低圧のもとに塗料を流出するようにすると共
に、前記噴液口の周囲に形成した環状の噴気口から空気
を比較的高圧のもとに多量に噴射し、この噴射空気流に
より塗料を霧化するようにしており、メタリック塗料を
適用した塗装にも適応し、なお環状の噴気口の周囲に必
要に応じて種々の補助噴気孔を設けて霧化の促進および
噴霧パターンの調整を行うようにしている。またエアレ
ススプレー型式は、数十ｋｇ／ｃｍ^２以上のかなり高圧
に加圧した塗料をオリフィス型の噴液口から噴射し、外
気との衝突により霧化するようにしており、通常は扇形
噴霧を形成する。

【０００３】エア添加スプレー型式は、エアスプレー型
式の長所とエアレススプレー型式の長所とを取り入れた
ものとして開発され、（例えば、特開昭５９−１３９９
５８，特開昭６２−１６０１５６，実開昭６３−５４４
５４参照）実用化が進んでいるが、その特徴は、塗料を
オリフィス型の噴液口から数〜数十ｋｇ／ｃｍ^２程度の
比較的高圧力のもとに噴射して扇形噴霧を形成しつつ、
この噴霧に対してその外方から前記塗料の圧力に比較し
て低圧の霧化促進用の空気を添加するようにし、なお噴
霧を包囲する状態に霧化促進用の空気を添加することに
より、噴霧の飛散を防止して塗着効率を向上し、かつ種
々の補助的空気流を添加して噴霧の改善および整形を図
るようにしている。前記先行技術の他に、例えば特開昭
５８−１０９１５３，特開平４−１８９５２等がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】以前から、環境破壊の
抑止，作業環境の改善，作業の安全管理，省資源，省エ
ネルギー等が叫ばれているが、これらに関する要求が最
近塗装作業において特に厳格に求められており、従って
噴霧塗装に当り、噴霧の飛散を防止して塗着効率を向上
すること、揮発性の希釈溶剤の使用量を抑制すること、
塗料および空気の加圧圧力を低下させるばかりでなく噴
出圧力を極力低下させ、同時に加圧空気の使用量を抑制
すること、等が重要な課題となっている。

【０００５】従来の技術として例示した前記特開および
実開公報の先行技術においては、実施に当り、概ねその
塗料噴出圧力を２０ｋｇ／ｃｍ^２程度以上とし、かつ空
気噴出圧力を５ｋｇ／ｃｍ^２程度以上とすることが重要
であり、その加圧程度を低下させるためには希釈液を増
量して塗料を著しく低粘度にする必要が生じる等、塗料
粘度を維持もしくは増大した状態のもとに噴出圧力を低
下させることは極めて困難であった。

【０００６】噴出圧力特に空気の噴出圧力を低下させる
と、噴霧装置前方の環境に影響を受け易く、即ち噴霧に
対する衝突角度，衝突強度，空気流同士の対称性等、噴
霧に対する空気流の添加状況に異常を来し易く、従って
噴霧粒径が不均斉となり、かつ噴霧パターンの分布が乱
れる等の重大欠陥が生じるばかりでなく、塗料ノズル並
びに空気ノズルを高精度に製作する必要があり、製造コ
ストが著しく高価となる不利がある。

【０００７】更に、オリフィス型の噴霧ノズルを使用し
たエアレススプレーにおいては、実用的円形噴霧が得ら
れ難く、特にリップ状の噴口を有する扇形噴霧ノズルを
使用する型式においては、一旦形成した扇形噴霧に対し
てその扇形の端縁に空気流を吹き付けて円形化するので
あるから、必然的に著しく縮径し、実用的な径の円形パ
ターンが得られないことになる。

【０００８】上記従来技術の特開昭５８−１０９１５３
は、噴出空気を高圧力のもとにおいて効果が得られるの
であるが、対向状態に設ける２対の噴孔同士の軸線が厳
格に一致し、かつその噴孔とノズルチップとの位置関係
が厳格に保たれなければ、扇形噴霧パターンの形状に乱
れが生じ、あるいは扇形噴霧パターンの均一性および噴
霧状態の改善等の所期の目的が達成できない不利があ
り、更にこの技術は基本的にエアレススプレー型に属す
る関係上、エアレススプレーの扇形噴霧のいわゆるテー
ルの発生防止を主目的として、小径な噴孔から比較的高
圧力の空気を扇形噴霧に対して局部的に供給し、しかも
エアレススプレーによる高圧噴霧であるから、当然メタ
リック塗料を適用する場合においては色調不良およびメ
タリックむらが生じる関係上、メタリック塗装には適応
しない不利がある。

【０００９】また、塗料並びに空気圧の低下を実現する
ためのスプレーガンとして、例えば特開平４−１８９５
２公報に記載の技術が発表されているが、この技術にお
いては、塗料ノズルから噴射した扇形状噴霧の両端縁に
外方から空気を衝突させて扇形状噴霧を一旦中央に集中
させた後に、塗料ノズルから噴射した扇形とは角度関係
において９０度ずれた状態に扇形噴霧を形成するのであ
り、従って広角扇形噴霧が得られ難く、広角扇形噴霧を
得るためには扁平化空気を強力に供給する必要がある関
係上、整った扇形噴霧が得られないばかりでなく、噴霧
が著しく飛散して塗着効率が低下する不利があり、しか
も円錐状噴霧についてはその噴霧角が著しく狭く、実用
的な円錐状の噴霧が得られない欠点がある。

【００１０】そこで本発明の目的は、塗料並びに空気の
供給圧力が低い場合であっても、霧化の良好な安定した
パターンの噴霧を容易に得ることができる塗装に適する
空気添加型噴霧装置を安価に提供することにあり、他の
目的は、テールの発生を防止した広角度扇形噴霧を形成
することができる空気添加型噴霧装置を安価に提供する
ことにあり、また他の目的は適用する塗料がソリッド型
であってもメタリック型であっても使用することができ
る空気添加型噴霧装置を提供することにあり、更に空気
供給の選択により実用可能な比較的大径の円錐形噴霧を
形成することができる空気添加型噴霧装置を提供するこ
とにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため、円錐台状のホルダの先端にオリフィス型扇形
噴霧ノズルをその扇形噴霧が縦向きとなる状態に固着し
て、この扇形噴霧ノズルから例えば数ｋｇ／ｃｍ^２程度
以下の低圧力のもとに塗料等の液体を扇形状に噴射する
ようにし、前記ホルダの先端寄り部分の周囲には、中央
先端に截頭円錐筒状部がある空気ノズル部材を適度の間
隙が保たれる状態に共通軸線関係に設け、かつ前記空気
ノズル部材における円錐筒状部内部は扇形噴霧ノズルの
直前の著しく近い軸心位置が頂点となる後方拡開状態の
ほぼ截頭円錐状内面に形成するほか、この内面の前端寄
りの対称上下部分を切り欠いて異形開口部を形成し、前
記ホルダにおける円錐台状外周面と空気ノズル部材にお
ける切欠部がある截頭円錐状内周面とによりほぼ円錐環
状の空気ノズルを構成し、この空気ノズルにより上下の
一部分については収斂させずに、左右両部分が扇形噴霧
ノズルの直前の著しく近い軸心位置に収斂する中央部空
気流を噴出するようにし、前記扇形膜状の噴液にその基
部から包囲する状態のもとに前記噴射液体の噴射圧力よ
りも低い例えば２ｋｇ／ｃｍ^２程度以下望ましくは０．
５〜１ｋｇ／ｃｍ^２の低圧力の空気を衝突添加するよう
にし、かつ前記空気ノズル部材にはその截頭円錐筒状部
の左右両側方に前方突出部を設け、この突出部に前記空
気ノズル部材における切欠部の両端に近い位置において
互いに正面衝突する空気流を噴出するためのテール防止
兼扇形広角化用の２対の補助空気ノズルを内向きに設け
て、これら補助空気ノズルからの噴出空気の衝突により
生成される広角扇形空気流と、前記中央部空気流中の切
欠部から噴出する空気流とが合流して噴霧を上下方向へ
誘導するようにするほか、前記収斂状態の中央部空気流
は扇形噴液に両側から強力に衝突した後その反動で両側
方へ拡開しつつ噴液を霧化するようにし、これにより補
助空気ノズルから空気が噴出しない場合は、比較的広角
なほぼ円錐形の噴霧を形成することができるのであり、
円錐形の噴霧を扇形噴霧に扁平化するための施設とし
て、前記左右両突出部における補助空気ノズルの中間に
側部空気ノズルをその噴出空気が前記円錐状噴霧の両側
部に対して斜め後方から供給するようにし、なお前記中
央部空気ノズルの両側部には僅かに斜め内向きの複数対
の補整空気ノズルを前向きに設けて、側部空気ノズルか
らの空気流に対して進路案内兼拡延用の空気流を斜め後
方から交差する状態のもとに噴出させ、前記補助空気ノ
ズルからの噴出空気の衝突により生成される広角扇形空
気流との協働により噴霧を扁平化並びに霧化するのであ
る。

【００１２】前記エアレス型扇形噴霧ノズルとしては、
実開昭６０−１３２５５，実開昭６０−１３２５６に記
載されているように、両側面が傾斜しているほぼＶ字状
断面の内部溝と外部溝とを十字状となる関係のもとに交
叉させてほぼ鞍形の噴液口を形成した広角噴霧型の扇形
噴霧ノズルを採択するのがよい。

【００１３】

【作用】上記構成において、エアレス型扇形噴霧ノズル
から数ｋｇ／ｃｍ^２程度以下の低圧力のもとに塗料等の
液体を噴射しつつその噴射直後の扁平膜状の部分に対し
て円錐環状の中央部空気ノズルからの収斂傾向の２ｋｇ
／ｃｍ^２程度以下、場合によっては０．５ｋｇ／ｃｍ^２
の空気流を衝触させ、これにより扁平液膜を包囲しつつ
収斂空気流の反動に伴う拡開流により、噴流を効果的に
霧化並びに円錐状化するのであって、特に中央部空気ノ
ズルは上流寄り部分は円錐環状であるが、その噴口は上
下に切欠部がある截頭円錐状であり、従って切欠部に対
応する上下部分については収斂せずに左右両部分が扇形
噴霧ノズルの直前の著しく近い軸心位置に収斂する空気
流が噴出するから、扇形液流の両側面に強力に衝突して
その反動により両側方へ重点的に拡開し、その結果噴流
は効果的に霧化並びに円錐状化して、他に扁平化作用を
加えなければ円形パターンの塗膜が得られる。

【００１４】前記補助空気ノズルから噴射した空気の正
面衝突による広角扇形空気流と、中央部空気ノズルの切
欠部からの空気流との合流空気により、扇形噴霧におけ
るテール生成要素の霧化並びに噴霧の拡開化を助長し、
かつ推進する噴霧に対する両側方からの側部空気流が供
給されて、当初の扇形流と同一の扇形方向のもとに噴霧
が広角のもとに扇形化されると共に、側部空気流の進行
方向には、補整空気ノズルから互いに接近した複数条の
空気流が斜め後方から交差する状態のもとに噴出され、
これにより側部空気流の進行方向が中心方向に規制され
つつ拡幅して噴霧の適切な扁平化に役立つほか、拡幅さ
れた側部空気流は扇形噴霧を包囲する傾向のもとに噴霧
の拡散を抑止して塗着率向上に役立つのである。

【００１５】またエアレス型扇形噴霧ノズルからの噴射
圧力および環状の中央部空気ノズルからの噴出圧力は著
しく低圧であるから、推進速度の遅い扇形噴霧が形成さ
れ、扇形噴霧ノズルの周囲における低圧力の空気流は、
扇形膜状の噴流をその基部から包囲しつつ収斂する過程
において増速傾向のもとに集中的に添加されて効果的な
霧化が実現し、霧化後は拡開しつつその推進速度が低下
するのであって、しかも他の添加空気の噴出圧力も著し
く低く選定することができるから、推進過程の霧滴の飛
散並びに被着面における跳ね反り現象が抑制される。

【００１６】両側面が傾斜しているほぼＶ字状断面の内
部溝と外部溝とを十字状となる関係のもとに交叉させて
ほぼ鞍形の噴液口を形成した扇形噴霧ノズルの採択は、
著しく広角の扇形噴霧が得られる利点があるが、このよ
うな内外両溝のクロスカット型ノズルを使用して得られ
る扇形噴霧は、その噴射圧力が低圧であると、扇形噴霧
両端縁の霧化が著しく困難である。これに対し、前記中
央部空気ノズルから円錐状に収斂する状態に噴射する空
気流による霧化作用と、補助空気ノズルからの噴出空気
の衝突により生成される広角扇形空気流中の一部が扇形
噴流の端縁に衝触する霧化作用とにより、霧化の良好な
広角扇形噴霧が得られる。

【００１７】

【実施例】以下、本発明の塗装用空気添加型噴霧装置を
図示の実施例について詳細に説明する。図１ないし図４
に示すように、スプレーガン本体１の先端寄りの中心部
に弁座とこれに対応して進退する針弁とにより構成され
る開閉弁部２を設け、加圧塗料供給源３から流路４を経
て供給される加圧塗料を開閉弁部２の開通に伴い前方に
送給することができるようにし、かつスプレーガン本体
１の前端には、先端にオリフィス型扇形噴霧ノズル５を
固着したホルダ６をその噴出扇形流が縦向きとなる状態
に共通軸線関係のもとに嵌着するほか、このホルダ６の
先端部分はこれを円錐台状に形成すると共に、ホルダ６
の外周側には空気ノズル部材７を同一軸線関係のもとに
嵌合したまま、ナット８によりスプレーガン本体１に取
り付けるようにし、この空気ノズル部材７にはその中央
寄りの前端付近を截頭円錐筒状部９に形成すると共に、
その内方中心部に截頭円錐状内面１０を形成し、しかも
截頭円錐状内面１０の頂角は数十度程度の急角度を呈す
る後方拡開状態とし、前記截頭円錐筒状部９の前面には
ほぼＵ字もしくはＶ字状断面の上下方向に延びる溝を前
記截頭円錐状内面１０と交叉するように形成して、前記
截頭円錐状内面１０の前端の上下両部分に切欠部１１，
１１を設けて、これら截頭円錐状内面１０と切欠部１
１，１１とにより異形開口部１２を形成し、更に前記ホ
ルダ６の先端寄りの円錐台状部と前記空気ノズル部材７
における截頭円錐状内面１０との間に円錐状の比較的狭
いスリットによる中央部空気ノズル１３を形成し、この
中央部空気ノズル１３に対して加圧空気供給源１４から
流路１５，１５，１６，１６，１７，１７を経て加圧空
気を送給するようにする。

【００１８】中央部空気ノズル１３の噴口は異形開口部
１２とホルダ６の先端寄りの円錐台状部とによる上下に
切欠部がある円錐環状であり、しかもオリフィス型扇形
噴霧ノズル５から噴射される扇形噴霧の基部に著しく近
い位置である関係上、中央部空気ノズル１３からの噴出
空気は扇形噴流の基部に衝触しつつ噴流を包囲する状態
のもとに収斂して増速傾向のもとに集中的に添加され、
これにより扇形液膜と収斂空気流とが衝突して効果的な
霧化が実現すると同時に円錐状に近い噴霧流が形成され
る。

【００１９】前記空気ノズル部材７の前端面には、軸線
を含む上下方向の平面を対称面として左右対称に前方突
出部１８，１８を設けてこの突出部１８，１８には、前
記切欠部１１，１１の両端に近い位置において互いに正
面衝突する空気流を噴出するためのテール防止兼扇形化
用の２対の側部補助空気ノズル１９，１９を前記対称面
にほぼ垂直状態のもとに互いに対向したまま前記截頭円
錐筒状部９の円錐面における切欠部１１，１１の外側に
指向するように設けると共に、これら側部補助空気ノズ
ル１９，１９からの噴出空気の衝突により生成される扇
形空気流と中央部空気ノズル１３の切欠部１１，１１か
らの空気流との合流空気により、扇形噴霧におけるテー
ル生成要素の霧化並びに噴霧の拡開化を助長するように
し、更に前記左右両突出部１８，１８における隣接状態
の側部補助空気ノズル１９，１９の中間に扁平化用の側
部空気ノズル２０，２０を設けて、これら側部補助空気
ノズル１９，１９および側部空気ノズル２０，２０に対
して加圧空気供給源２１から流路２２，２２，２３，２
３を経て加圧空気を送給するようにし、その噴出空気が
前記円錐状噴霧の両側部に斜め後方から側部空気を供給
することができるようにし、なお前記中央部空気ノズル
１３の両側部には僅かに斜め内向きの３対等複数対の補
整空気ノズル２４，２４を前向きに設けて、前記中央部
空気ノズル１３に対する供給空気の一部を背後から供給
するようにし、これにより側部空気ノズル２０，２０か
ら噴射される側部空気流に対して進路案内兼拡延用の空
気流を斜め後方から交差する状態のもとに噴出させるよ
うにする。

【００２０】前記オリフィス型扇形噴霧ノズル５として
は、図５ないし図７に例示するように、超硬合金あるい
はセラミック等の超硬質材製のノズル主体２５に、断面
がほぼＶ字形のくさび状の内部溝２６を切り通すことな
くノズル主体２５の周側が残るように後方開放状態に設
けると共に、ノズル主体２５の先端にはＶ字状断面の外
部溝２７を前記内部溝２６に対して十字状に交差させ
て、これにより鞍形の噴液口２８を開設した型式のもの
が望ましいが、噴霧の扇形が広角でなくてもよい場合の
扇形噴霧ノズル５としては、通常多用されている型式の
ノズル即ちドーム状の内部穴とこの先端のドーム部分に
交差する状態のＶ字状断面の外部溝とにより開設される
リップ状のオリフイス型噴液口があるノズルであっても
よい。なお、扇形噴霧ノズル５の最も好ましい構造とし
ては、図８および図９のように、その内部溝２６につい
て、溝底に適度の丸みを付与するほか、外部溝２７につ
いては台形断面に形成するのであって、なお内部溝２６
の両端部に丸みもしくは斜面状の隅肉を付与した撫肩状
に形成してもよい。

【００２１】本発明装置の実施の結果は、粘度がフォー
ドカップ＃４で１６秒のメタリック塗料を４ｋｇ／ｃｍ
^２の圧力のもとに、吹付け距離を２００ｍｍに設定し、
かつ温度が１４℃の室内において、瞬間的に吹付けた場
合の塗膜パターンは、図１０に示すように、中央部空気
ノズル１３および補整空気ノズル２４からの噴射空気圧
力と、側部空気ノズル２０，２０および側部補助空気ノ
ズル１９，１９からの噴射空気圧力との組合せを種々選
定して行い、同図におけるように、テールの発生並びに
塗膜むらがほとんどないパターンが得られ、しかも供給
空気の圧力の選定並びに組合せにより、円形から著しく
長い長円パターンまでの広範囲の塗膜パターンを任意に
かつ容易に得られることが判った。

【００２２】前記液体および空気の圧力については、そ
れぞれ４ｋｇ／ｃｍ^２以下および０．７ｋｇ／ｃｍ^２以
下で所期の目的を充分に達成することができるが、高い
圧力のもとに供給しても好結果が得られるのであり、な
お本発明の噴霧装置に、噴霧に対し静電電荷を印加する
ための施設を付設して静電噴霧装置として使用してもよ
く、また超音波霧化施設の付設により超音波噴霧装置と
して使用してもよく、いずれも霧化能力を著しく向上
し、静電噴霧装置の場合は塗着効率が飛躍的に向上す
る。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
次のような効果が得られる。

【００２４】（ａ）オリフィス型扇形噴霧ノズルから塗
料等の液体を扇形状に噴射するようにするほか、この扇
形液流を包囲する中央部空気流を添加するようにし、特
に中央部空気については、扇形液流の両端縁に対応する
部分を除いた他の部分が扇形噴霧ノズルに著しく近い前
方に収斂する空気流を噴出させてこれを扇形液流に衝触
させるようにしたから、これにより扁平液膜を包囲しつ
つ両側からの収斂空気流の衝触による反動に伴う拡開流
により、噴流を効果的に霧化並びに円錐状化し、比較的
広角な円錐噴霧を形成することができる。（ｂ）扇形噴霧ノズルからの扇形噴流の両端縁に対応す
る位置に切欠部があるほぼ円錐環状の中央部空気ノズル
を構成し、この中央部空気ノズルにおける切欠部から前
方へ噴出する空気流と、２対の側部補助空気ノズルから
噴出して切欠部の両端に近い位置において互いに正面衝
突する空気流とを合流させるようにしたから、これによ
りテールの生成要素を確実に霧化するほか、衝突空気流
は広角のもとに外側へ広がる関係上、中央部空気ノズル
からの噴出空気流との協働作用のもとに噴霧の広角化に
寄与する。

【００２５】（ｃ）収斂する空気流による霧化並びに側
部補助空気ノズルからの正面衝突空気流による端縁部分
の霧化により、霧化作用が著しく向上するから、液体お
よび空気の供給圧力を容易に低下させることができる。（ｄ）補整空気ノズルを設けて、側部空気ノズルからの
噴出空気流の前方にその側部空気流と交差する状態の複
数条の空気流を斜め後方から噴出するようにしたことに
より、側部空気流の進行方向を中心方向に規制しつつ拡
幅して噴霧を適切に扁平化しつつ霧化の均斉化に役立
つ。

【００２６】（ｅ）オリフィス型扇形噴霧ノズルとし
て、両側面が傾斜しているほぼＶ字状断面の内部溝と外
部溝とを十字状となる関係のもとに交叉させてほぼ鞍形
の噴液口を形成した扇形噴霧ノズルを採択することによ
り、広角噴霧を容易に得られるばかりでなく、補助空気
ノズルからの正面衝突空気流による端縁部分の効果的霧
化により、テールの発生を防止することが困難な前記鞍
形噴口型式の扇形噴霧ノズルの採用にも支障を来すこと
がないのである。（ｆ）扇形噴流の基端寄りの両側面に収斂する空気流を
噴出させる中央部空気ノズルの採用により、比較的広角
な円錐状噴霧が得られるようにし、かつ別に側部空気ノ
ズルを設けたから、これら両ノズルに対する空気に選択
的供給並びにその供給圧力の調節により、噴霧の形状お
よび寸法を任意に選ぶことができ、しかもいずれの形状
および寸法においてもテールを発生させることなく、霧
化も良好であり、従って１台の噴霧ガンにより広範囲の
扇形パターン幅の調節が可能で、更に実用的な大きさの
円形パターンに切り替え可能な噴霧装置として至便であ
る。

【００２７】（ｇ）扇形噴霧ノズルから噴出する扇形噴
流に対して添加する諸空気流のほとんどについて、扇形
噴流の扇形角度を狭縮するようには作用しない状態に供
給するようにしたから、広角扇形噴霧を合理的にかつ容
易に得られるばかりでなく、円錐形噴霧についても、従
来に比較して２倍程度の広角に形成することができるの
であり、広面積の塗装を高能率のもとに実施することが
できる。（ｈ）扇形噴液流を中央部空気ノズルおよび側部空気ノ
ズル等からの充分な空気流により包み込んだ状態のもと
に噴霧され、しかも扇形角度が広角即ち噴流の密度が希
薄であることに加え、空気供給圧力が低いから、エア添
加スプレー型式を採用するにも拘らずエアスプレー型式
におけると同様にメタリック塗装に適応し、従って、塗
装ロボットにより自動車を塗装する場合等のように、メ
タリック塗料を含む多色塗料を頻繁に色替えしつつ使用
する色替え塗装に好適である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の噴霧装置の横断平面図である。

【図２】空気ノズル部材だけの斜面図である。

【図３】噴霧装置の縦断側面図である。

【図４】噴霧装置の一部破断正面図である。

【図５】扇形噴霧ノズルの縦断側面図である。

【図６】扇形噴霧ノズルの正面図である。

【図７】扇形噴霧ノズルの横断平面図である。

【図８】扇形噴霧ノズルの他の実施例の縦断側面図であ
る。

【図９】扇形噴霧ノズルの他の実施例の横断平面図であ
る。

【図１０】本発明の噴霧装置を使用した場合の塗膜パタ
ーンを例示する図表である。

【符号の説明】

５扇形噴霧ノズル６ホルダ７空気ノズル部材９截頭円錐筒状部１０截頭円錐状内面１１切欠部１２異形開口部１３中央部空気ノズル１８前方突出部１９側部補助空気ノズル２０側部空気ノズル２４補整空気ノズル２６内部溝２７外部溝２８噴液口

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】円錐台状のホルダ（６）の先端にオリフ
ィス型扇形噴霧ノズル（５）をその扇形噴霧が縦向きと
なる状態に固着して、この扇形噴霧ノズル（５）から塗
料等の液体を扇形状に噴射するようにし、前記ホルダ
（６）の先端寄り部分の周囲には、中央に截頭円錐筒状
部（９）がある空気ノズル部材（７）を適度の間隙が保
たれる状態に共通軸線関係に設け、かつ前記空気ノズル
部材（７）には扇形噴霧ノズル（５）に近い前方の軸心
に頂点が位置するほぼ截頭円錐状内面（１０）を形成す
るほか、この内面（１０）の前端寄りの対称上下部分を
切り欠いて異形開口部（１２）を形成し、前記ホルダ
（６）における円錐台状外周面と、空気ノズル部材
（７）における切欠部（１１），（１１）がある截頭円
錐状内周面（１０）とによりほぼ円錐環状の中央部空気
ノズル（１３）を構成し、この中央部空気ノズル（１
３）により上下の一部分については収斂させずに左右両
部分が扇形噴霧ノズル（５）の直前の著しく近い軸心位
置に収斂する中央部空気流を前記噴射液体の噴射圧力よ
りも低圧力のもとに噴出するようにし、かつ前記空気ノ
ズル部材（７）にはその截頭円錐筒状部（９）の左右両
側方に前方突出部（１８），（１８）を設け、この突出
部に前記空気ノズル部材（７）における切欠部（１
１），（１１）の両端に近い位置においてほぼ正面衝突
する空気流を噴出するための２対の側部補助空気ノズル
（１９），（１９）を内向きに設けて、円錐形の噴霧を
形成することができるようにし、更に突出部（１８），
（１８）における側部補助空気ノズル（１９），（１
９）の中間には、側部空気ノズル（２０），（２０）を
その噴出空気が前記円錐状噴霧の両側部に斜め後方から
添加することができるように設けたことを特徴とする塗
装に適する空気添加型噴霧装置。
【請求項２】中央部空気ノズル（１３）の両側部に補
整空気ノズル（２４），（２４）を前向きに設けて、側
部空気ノズル（２０），（２０）から噴出する側部空気
流に対して進路案内兼拡延用の空気流を斜め後方から交
差する状態のもとに噴出させるようにしてなる請求項１
の塗装に適する空気添加型噴霧装置。
【請求項３】オリフィス型扇形噴霧ノズル（５）とし
て、両側面が傾斜しているほぼＶ字状断面の内部溝（２
６）と外部溝（２７）とを十字状となる関係のもとに交
叉させてほぼ鞍形の噴液口（２８）を形成した広角噴霧
型の扇形噴霧ノズルを採択した請求項１または請求項２
の塗装に適する空気添加型噴霧装置。