JPH0448825Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （従来の技術） 塗料の霧化効果の優れたスプレーガンとして、
塗料を比較的低圧のもとに噴出しつつその周囲の
環状噴気口から前記塗料よりも高圧の加圧空気を
噴出することにより、塗料を霧化するようにした
エアスプレーガンが知られている。このエアスプ
レーガンは、仕上げ塗装に多く使用され、特に自
動塗装ラインでは、正面視扁平状且つ側面視扇形
状に噴霧する扇形噴霧用エアスプレーガンが用い
られている。

前記扇形噴霧用エアスプレーガンは、中心部付
近から噴出される円錐状の噴霧に対して、その両
側外方から空気流を衝触することにより円錐状噴
霧を扁平化して扇形噴霧を形成するようにし、更
に噴霧制御用の空気流を噴出するための噴気孔を
塗料が噴出する噴液口に近い周辺に多数設けて構
成される。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら上記従来のスプレーガンによれ
ば、ガン先端付近の空気は噴霧制御用の空気流の
推進力により誘引されて流動し、一旦微粒化され
て浮遊している粒子を伴なつて循環しながら、ガ
ン先端面即ち噴気口前面に付着堆積するばかりで
なく、第４図に示す如く噴気口の口縁にも付着堆
積塗料Ｔが付着する。この付着堆積塗料Ｔが噴出
空気により引き剥離されて噴霧中に混入し易く塗
膜の品質を著しく低下するという不都合がある。
このため頻繁にガン先端を洗浄するかあるいは交
換する必要があり、特に静電塗装の場合にはアー
スを接続した後にガン先端を交換する必要があ
り、作業性及び生産性が劣つていた。

そこで本考案の目的は、ガン先端の噴気口周辺
への塗料粒子の付着を簡単な構造で防止したスプ
レーガンを提供するにある。

（問題点を解決するための手段） 以上の目的を達成すべく本考案は、塗料噴出用
の噴液口とその周囲の環状噴気口とによる噴霧塗
料を制御する噴霧制御用噴気口を前記環状噴気口
外周に設けるとともに、前記噴霧塗料を扇形状に
扁平化する噴霧扁平化用噴気孔を前方に突出する
突出部に設け、該噴霧扁平化用噴気孔の軸線と前
記噴液口の軸線との交差点より後方で斜め前向き
に軸線が交差し、且つ後方に循環する残余塗料を
噴霧方向に誘導する小径の噴気孔を設けたことを
特徴とする。

（作用） 小径の噴気孔により突出部の基端付近に付着し
易い塗料粒子を扇形噴霧方向へ吹き飛ばすととも
に、前記噴気孔からの空気流による誘引作用で、
スプレーガンの先端面の噴霧制御用噴気口周辺に
付着寸前の塗料粒子を扇形噴霧方向へ誘導するこ
とが出来る。

（実施例） 以下に添付図面を基に実施例を説明する。

第３図は本考案に係る要部正面図、第１図は第
３図のＡ−Ａ線横断平面図、第２図は第３図のＢ
−Ｂ線縦断側面図を示す。

図中１はガン本体を示し、そのガン本体１はそ
の中央前後方向に塗料供給孔１０１、その塗料供
給孔１０１の外側に給気路１２，１２、その給気
路１２，１２の外側に給気路１７，１７を有す
る。

前記ガン本体１の塗料供給孔１０１先端には弁
座部材３が液密に螺着され、その弁座部材３は軸
方向にガン本体１の塗料供給孔１０１と連通する
塗料供給路５を有し、その塗料供給路５の前部に
は弁座２を備え、その弁座２に着座可能な針弁４
が塗料供給路５内に縦通され、この針弁４は図示
しない後方のシリンダ装置により進退作動され
る。尚、１３はガン本体１の給気路１２と連通す
る連通路である。

前記弁座部材３の先端には塗料ノズル部材８が
嵌合され、その塗料ノズル部材８は軸心先端に円
形噴液口６を有し、後部に形成される鰐部８１に
ガン本体１の給気路１２，１２と連通する通気路
７，７を備える。前記塗料ノズル部材８には中心
に噴気孔９を有する空気ノズル部材１０が前方か
ら冠着され、この空気ノズル部材１０の基端部に
係着されるリテーリングナツト１１によるガン本
体１への螺合により、塗料ノズル部材８及び空気
ノズル部材１０がガン本体へ固着される。

前記塗料ノズル部材８の先端部は、空気ノズル
部材１０の噴気孔９内に突出して噴気孔９と塗料
ノズル部材８の前端外周との中間に環状の噴気口
９が形成され、その噴気口９は塗料ノズル部材８
の通気路７に連通される。前記環状噴気口９への
空気供給については、ガン本体１後方からの図示
しない空気供給源から圧送される加圧空気が供給
路１２、連通路１３及び通気路７を経て噴気口９
へ供給される。

更に空気ノズル部材１０にはその両側に前方へ
突出する角状突出部１４，１４が設けられ、この
突出部１４に斜め前向きの噴気孔１５，１５が左
右対称の内向きに穿設され、噴気孔１５に連通す
る通気路１６がガン本体１に穿設された給気路１
７と連通するように設けられる。前記噴気孔９と
噴気孔１５との中間の前端面には噴気孔９に近い
小径前向き噴気孔１８，１８が第３図に示す如く
左右対称に設けられている。同様に噴気孔９に近
い上下両側には、小径の斜め内向きの噴気口１
９，１９が上下対称のもとに前向きに設けられ、
これらの噴気口１８，１９は前記塗料ノズル部材
８の通気路７と連通している。

前記弁座部材３の塗料供給路５内に設けた針弁
４の後退により、図示しない塗料供給源から圧送
された塗料は、塗料供給孔１０１、塗料供給路５
を経て第４図に示す如く噴液口６から0.5〜数
Kg／cm²程度の比較的低圧のもとに噴出し、この噴
出塗料を環状噴気口９からの１〜数Kg／cm²程度の
比較的高圧の加圧空気による中空状空気流９１に
より誘引しつつ霧化して第４図のＣ−Ｃ断面正面
図である第５図にも示すように円錐状の噴霧F1
を形成するとともに、この円錐状噴霧に対して両
側の噴気孔１５からの空気流１５１を斜め後方か
ら衝触させ、第４図に示す如く円錐状噴霧を押し
潰す状態のもとに第４図のＤ−Ｄ断面正面図であ
る第６図にも示す如く扁平化F2し、正面視扁平
状且つ側面視扇形状の扇形噴霧に変形する。尚、
噴気孔１８，１９からの噴出空気流により、霧化
の促進及び噴霧パターン整形等を行なう。

このとき、噴霧が空気ノズル部材１０の中心付
近から前方へ噴出し、噴気口１８，１９から噴出
される噴霧制御用の空気流１８１がガンに近い前
方の軸心に収約する方向に噴出するため、ガン先
端付近の空気を誘引し、これにより塗料粒子も同
時に引き込まれて循環して空気ノズル部材１０の
先端面に付着する不具合があり、これを防止する
噴気孔２０を空気ノズル部材１０の角状突出部１
４に設ける。

前記塗料の付着を防止する噴気孔２０は、その
軸線２０１が、斜め前向きであつて且つ噴霧扁平
化用噴気孔１５の軸線１５２と前記ガンの軸心１
０２との交差点より後方で該ガンの軸線１０２に
交差して設けられる。更に前記噴気孔２０は通気
路１６に連通される。

即ち、図示の如く突出部１４，１４の基端内方
部分に夫々斜め前向きのもとに小径な噴気孔２
０，２０が、ガン軸心１０２に交差する内向きに
左右対称に設けられる。

このようにスプレーガンを構成したので、噴気
口２０，２０により突出部１４の基端付近に付着
し易い塗料粒子を扇形噴霧方向へ吹き飛ばしつ
つ、しかもこの噴気孔２０からの空気流による誘
引作用で、空気ノズル部材１０の先端面の噴気孔
１８，１９周辺に付着寸前の塗料粒子を扇形噴霧
方向へ誘導することが出来、従つて空気ノズル部
材１０の先端面及び突出部１４基端付近への塗料
粒子の付着を防止することが出来る。

以上において、噴気孔２０の孔径は大き過ぎな
いことが重要で、孔径が大きい場合は塗料の付着
防止効果はある程度認められるが、扇形噴霧のパ
ターンが乱れて広角噴霧の形成に適さないばかり
か微粒化が阻害される傾向があり、従つて噴気孔
２０の流通面積は、扁平化用噴気孔１５の流通面
積の1/10程度が最も良く、実用範囲は1/2〜1/20
である。

また本実施例ではスプレーガンを静電塗装に適
用出来るようにするため、第２図に示すように、
噴液口６の中央から前方へ突出する針心電極２１
が設けられ、この電極２１は、その基端鰐部２２
において前記弁座部材３の前端と塗料ノズル部材
８に挟着された状態で取り付けられる。前記電極
２１に対する電圧の印加は、不図示の高圧電源か
らガン本体１内の安全用高抵抗２３、導線２４，
接続部２５、導線２４及び塗料ノズル部材８を介
して、電極２１に高電圧が印加されるものであ
る。

（考案の効果） 以上のように本考案によれば、スプレーガンの
先端面及び突出部への塗料粒子の付着を簡単な構
造で防止出来、従つて噴霧塗料内に剥離された付
着塗料が混入することがないため、塗膜の品質が
安定し、更にガン先端の洗浄、交換が不要とな
り、極めて高い作業性及び生産性を有するもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は第３図中Ａ−Ａ線横断平面図、第２図
は第３図中Ｂ−Ｂ線縦断側面図、第３図は要部正
面図、第４図は噴霧状態を示す要部断面平面図、
第５図は第４図中Ｃ−Ｃ線断面図、第６図は第４
図中Ｄ−Ｄ線断面図である。 尚、図中６は噴液口、９，１５，１８，１９，
２０は噴気孔、１４は突出部、１０２，１５２，
２０１は軸線である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 塗料噴出用の噴液口と、該噴液口の周囲に形成
   され、噴液口から噴出された塗料を霧化して噴霧
   する環状噴気口と、該環状噴気口の外周近傍に形
   成した噴霧制御用噴気口と該噴霧制御用噴気口よ
   り外方であつて且つ前方に突出した突出部に形成
   される噴霧扁平化用噴気孔とを備え、側面視扇形
   状且つ正面視扁平状に噴霧する塗装用スプレーガ
   ンにおいて、前記突出部の基端内方に斜め前向き
   の小径な噴気孔を、その軸線が前記噴液口の軸線
   と前記噴霧扁平化用噴気孔の軸線との交差点より
   後方で交差する如く設けたことを特徴とする塗装
   用スプレーガン。