JPS6212426Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は塗料自体を加圧して噴霧しつつ同時に
この噴霧基端の近傍から加圧空気を霧化促進用と
して供給するようにした形式の気液両加圧供給型
の塗装用噴霧ガンに関するものである。

従来多用されている塗装用噴霧ガンには、塗料
を加圧空気により霧化するエアースプレーガン
と、塗料だけを加圧噴射して霧化するエアレスス
プレーガンとがある。前者即ちエアースプレーガ
ンは、吐出量および噴霧パターンの調整が容易で
あるほか重ね塗りに適しているため作業性がよ
く、かつ塗料の噴出速度が遅いため安全性が著し
く高いという利点がある反面、高粘度塗料の噴霧
に不適であるため溶剤の使用量が多く省資源に反
し、かつ吐出量も比較的少ないため厚膜塗装に不
適当で、作業能率が低く、塗料の付着効率が悪い
という欠点がある。また後者のエアレススプレー
ガンは、大吐出量にも適応し、かつ大きい噴霧パ
ターンを形成することが可能であるので作業能率
がよく、さらに比較的高粘度の塗料の噴霧にも適
応するため溶剤を節約することができる利点があ
る反面、吐出量の調整、噴霧パターンの調整、塗
り重ね等が困難であり作業性がエアースプレーガ
ンに比し劣り、しかも塗料を100〜150Kg／cm²程度
に加圧する場合があるため危険性が高いという欠
点がある。今後の噴霧ガンとしては、省資源並び
に公害の抑止のため溶剤の使用量を減少して塗料
を高粘度化し、かつ塗膜の耐久性を向上するため
厚膜化の傾向にある関係上、高粘度塗料の大吐出
噴霧に適応し、高付着効率を実現し、かつ作業性
がよい塗装用噴霧ガンが要望されており、従つて
前記両スプレーガンの長所を活用すると共に欠点
を補う塗装用噴霧ガンが要望されている。

上記要望に即応する目的の塗装用噴霧ガンとし
て、塗料自体を従来のエアレス式に比較して著し
く低い数十Kg／cm²程度に加圧して噴霧しつつ同時
にこの噴霧基端の近傍から数Kg／cm²の加圧空気を
霧化促進用として供給する気液両加圧供給型の噴
霧ガンが開発され実用化に進みつつある。

本考案は、上記気液両加圧供給型の塗装用噴霧
ガンの改良に関するものであつて、その目的とす
るところは、簡単な構造でかつ小型であり、更に
微粒化やパターン形成に優れたこの種の噴霧ガン
を提供することにある。

また他の目的は、組み立て分解に便利で保守の
容易なこの種の噴霧ガンを提供することにある。

しかして本考案によれば、塗料自体を加圧して
噴霧しつつ同時にこの噴霧基端の近傍から加圧空
気を霧化促進用として供給するようにした形式の
気液両加圧型噴霧ガンであつて、塗料通路と加圧
空気通路とが設けられたガン本体１の先端部寄り
に、塗料流路１０と弁座１１と加圧空気流路１２
とを設けた弁座部材１３を螺合若しくは嵌合する
と共に、弁座１１には適時的に進退させることが
できる弁１４を対設するほか、前記弁座部材１３
の前部には空気流路１５があるキヤツプ状ホルダ
ー部材１６を、その空気流路１５が前記弁座部材
１３における流路１２に連通するように、その外
方から空気噴出口１５がある空気ノズル部材１７
を被せかけた状態のもとにガン本体１に固定し、
かつ前記ホルダー部材１６の先端には、塗料噴出
口１８がある塗料ノズル７を、前記噴出口９内に
塗料ノズル７によつて環状の間隙が形成されるよ
うに設けるほか、この塗料ノズル７の後方におけ
るホルダー部材１６の中心部内腔には、塗料旋回
用コア１９を塗料ノズル７の後方から対接するよ
うに着脱自在に設けてなる塗装用噴霧ガンが提供
される。

以下本考案を、添付図面に例示する態様に基ず
いて詳細に説明する。

第１図は、本考案による静電塗装用手持式噴霧
ガンの一実施態様を示す側面図であつて、把握に
適応する基端柄部とこれらの先端から前方へ延び
る筒状の主部とからなるガン本体１の柄部には、
加圧空気導入管２と高電圧荷電用の導電線３とを
接続し、かつ筒状主部の前端寄り部分には塗料導
入管４を接続する。なお塗料導入管４は、前記加
圧空気導入管２および導電線３と同様に、本体１
の柄部に接続するようにしてもよい。前記筒状主
部の軸心部には弁杆５を配し、引金６により適時
的に進退させて塗料導入管４から供給される加圧
塗料が塗料ノズル７から噴射されるのを制御す
る。前記本体１の後端部には空気開閉調整弁８を
設けて空気導入管２から供給される加圧空気の量
を必要に応じて可変し、前記塗料ノズル７の外周
側に設けた環状の空気噴出口９から噴出する空気
量を調整する。

第２図は、本考案の主要部を示す静電塗装用噴
霧ガンの先端部分の断面側面図であつて、本考案
の特徴は、塗料通路と加圧空気通路とが設けられ
たガン本体１における筒状主部の前部に、塗料流
路１０とこの流路１０の前端に嵌合した弁座１１
と加圧空気流路１２とがある弁座部材１３を固着
して、その弁座１１に前記弁杆５の先端弁１４を
対接させるようにすると共に、この弁座部材１３
の前端には、空気流路１５があるキヤツプ状ホル
ダー部材１６を、その空気流路１５が前記弁座部
材１３における流路１２に連通するように、前記
空気噴出口９がある空気ノズル部材１７をホルダ
ー部材１６に被せかけた状態のもとにガン本体１
の前端部に締め付け固定し、かつ前記ホルダー部
材１６の先端には、比較的小径の塗料噴出口１８
がある塗料ノズル７を圧入嵌合して、前記空気ノ
ズル部材１７における空気噴出口９との中間に環
状の間隙を形成させると共に、塗料ノズル７後方
におけるホルダー部材１６の中心部内腔には、塗
料旋回用コア１９を塗料ノズル７の後方から対接
するように着脱自在に設けることにある。

なお第２図に示すように、前記弁座部材１３に
は、加圧空気流路１２および空気流路１５に連通
する環状溝２０を刻設した方が、弁座部材１３と
キヤツプ状ホルダー部材１６の相対位置関係にか
かわらず、加圧空気流路１２と空気流路１５とを
確実に連通させる上で有利である。また、弁座部
材１３とキヤツプ状ホルダー部材１６との間の塗
料漏れのシールは、両部材１３，１６間にパツキ
ング受部２１を形成して環状パツキング２２を嵌
着させることによつて容易に行なうことができ
る。また、キヤツプ状ホルダー部材１６の外周は
円錐状のテーパー面２３になつており、前記空気
ノズル部材１７の内腔の係合テーパー面２４と協
働して空気流路１５からの加圧空気の漏れを確実
にシールすると共に、前記両部材１６，１７は位
置ずれすることなくキヤツプリテーナー２５によ
つて噴霧ガン本体１に強固に固定される。前記弁
座１１および弁１４、並びにノズル７は通常超硬
合金で製作される。ノズル７の先端は先細りの円
錐形状とし、かつ前記空気噴出口９の外周面も同
様の円錐形状として、環状間隙から先細り状に霧
化促進用空気を噴出させる方が、微細な霧化を行
ないかつ良好な噴霧パターンを得る上で望ましい
が、所望に応じて平行に噴出させてもよい。なお
前記コア１９の構造は、第２図および第３図に詳
示するように、塗料ノズル７の円錐状受面２６に
合致する円錐面２７とこの円錐面２７上に斜め放
射状に刻設した複数の塗料流路２８，２８とを設
けたものが好ましく採用される。第２図に示すよ
うに、コア１９はこれを後方からばね２９により
塗料ノズル７に圧接させるようにするのがよい。

コア１９の後方には、ばね２９の内部空隙を利
用してフイルター３０を、前記弁座１１に接続す
る中央流路とこれから横方向に分岐する複数のス
リツト流路とがあるフイルター受け３１の外周側
に嵌合した後、ナツト３２により遊動しないよう
に保持したまま、その基端部において前記弁座部
材１３前端に形成された環状突縁３３の内部に挿
装する。

また前記ガン本体１における筒状主部には空気
開閉調整弁８からの空気を弁座部材１３における
流路１２に供給する空気流路３４を設ける。

以上の構成のもとに、塗料導入管４から供給さ
れる20〜30Kg／cm²程度の加圧塗料は、弁１４の開
通に伴ない塗料旋回用コア１９において旋回させ
られた後、塗料ノズル７の噴出口１８から円錐状
の噴霧として噴出させられると共に、加圧空気導
入管２を経て導入される２Kg／cm²程度の加圧空気
は、開閉調整弁８から流路３４、弁座部材におけ
る流路１２、環状溝２０、ホルダー部材における
流路１５を経て空気ノズル部材１７における環状
の噴出口９から前記塗料噴霧の外周面に接触する
ように噴出されて霧化を促進すると同時に、噴霧
パターンの大きさや形状を所望の形に整える。

また前記コア１９の前端には、塗料ノズル７の
中央を貫通して前方へ突出する針状の荷電電極３
５を設け、前記導電線３から順次にガン本体１に
おける筒状主部内に設けた抵抗器３６、弁座部材
１３に埋設した導線３７、ホルダー部材１６に埋
設した導線３８を経て塗料ノズル７およびこれに
導通している針状電極３５に高電圧を印加する。
なお、針状電極３５を設ける代わりに、塗料ノズ
ル７の先端を尖鋭化させて針状電極の代わりにし
てもよい。また、塗料として水性塗料のような導
電性塗料を使用する場合には、塗料流路の塗料を
介して針状電極３５に高電圧を印加するようにし
てもよい。

霧化促進のためには加圧空気を旋回させるのが
よく、殊に塗料の旋回方向とは逆方向への旋回を
付与すると霧化促進上著効があり、これがための
構成としては例えば第２図のように空気ノズル部
材１７における噴出口９に近く固定の案内羽根３
９，３９を設け、あるいはホルダー部材１６にお
ける流路１５を流過空気の旋回に適応するように
ホルダー部材１６の軸線に対し捩れ傾向に設ける
のがよい。

前記空気ノズル部材１７には前向きの角状突出
部４０，４０を対称的に設け、この突出部４０に
流路４１，４１およびこの流路４１に連通する斜
め内向きの空気ノズル４２，４２を形成し、更に
前記ガン本体１には前記加圧空気導入管２に通じ
る空気開閉調整弁４３とこの弁４３を経て流路４
１に連通する流路４４を設けて、以つて調整弁４
３の開度に応じて２Kg／cm²程度の加圧空気を空気
ノズル４２，４２から円錐状噴霧を挾む状態のも
とに吹き付けることにより塗料噴霧を必要に応じ
扇形状に扁平化するようにする。

塗料を旋回させるためのコア１９としては、前
記態様に限ることなく、第４図および第５図の態
様または第６図および第７図の態様のように、カ
ツプ状または浅形盆状の旋回室４５があるコア１
９にその旋回室４５に接線状流入路４６を設けて
このコア１９を塗料ノズル７にばね２９により圧
接するようにしてもよい。

以上説明したように、本考案によれば、加圧塗
料を旋回させつつ塗料ノズルから円錐状に噴射さ
せるようにしたことにより、塗料自体の圧力によ
る推進効果と遠心力による推進効果との相剰効果
により霧化を促進するばかりでなく、その周囲か
ら霧化用空気を供給するようにしたから、霧化作
用を著しく向上し、従つて高粘度塗料を使用する
にかかわらず吐出量を増加して厚膜塗装をする場
合にも好適に適応でき、更に良好な噴霧パターン
の形成、制御を適確に行なうことができる。また
ガン本体の先端寄りの機構についてこれをガン本
体とは別体に弁座部材、塗料ノズル、ホルダー部
材、空気ノズル部材、塗料旋回用コア等により構
成し、しかもそれぞれ分解自在に嵌合若しくは螺
合したから、これにより装備を比較的小型かつ軽
量に製作することができるばかりでなく、清掃点
検並びに部品交換等保守が著しく容易であり、か
つ部品交換についても限られた部分だけの交換で
足るほか作業が容易である等の効果がある。

なお、本実施例においては、静電塗装用の手持
式噴霧ガンについてのみ説明したが、本考案は、
静電、非静電に限らず、また自動式、手持式に限
られることなく、種々の塗装用噴霧ガンに適用で
きることが理解されるべきである。

【図面の簡単な説明】

図面において、第１図および第２図はそれぞれ
一実施態様における本考案塗装用静電噴霧ガンの
側面図および要部の縦断側面図、第３図はコアだ
けの斜面図、第４図は他の態様におけるコア部付
近だけの縦断側面図、第５図は第４図中の線−
における縦断正面図、第６図は更に他の態様に
おけるコア部付近だけの縦断側面図、また第７図
は第６図中の線−における縦断正面図であ
る。 １……ガン本体、７……塗料ノズル、９……噴
出口、１０……塗料流路、１１……弁座、１２…
…空気流路、１３……弁座部材、１４……弁、１
５……空気流路、１６……ホルダー部材、１７…
…空気ノズル部材、１８……塗料噴出口、１９…
…旋回用コア、２６……受面、２７……円錐面、
２８……塗料流路。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 塗料自体を加圧して噴霧しつつ同時にこの噴
   霧基端の近傍から加圧空気を霧化促進用として
   供給するようにした形式の気液両加圧型噴霧ガ
   ンであつて、塗料通路と加圧空気通路とが設け
   られたガン本体１の先端部寄りに、塗料流路１
   ０と弁座１１と加圧空気流路１２とを設けた弁
   座部材１３を螺合若しくは嵌合すると共に、弁
   座１１には適時的に進退させることができる弁
   １４を対設するほか、前記弁座部材１３の前部
   には空気流路１５があるキヤツプ状ホルダー部
   材１６を、その空気流路１５が前記弁座部材１
   ３における流路１２に連通するように、その外
   方から空気噴出口９がある空気ノズル部材１７
   を被せかけた状態のもとにガン本体１に固定
   し、かつ前記ホルダー部材１６の先端には、塗
   料噴出口１８がある塗料ノズル７を、前記噴出
   口９内に塗料ノズル７によつて環状の間隙が形
   成されるように設けるほか、この塗料ノズル７
   の後方におけるホルダー部材１６の中心部内腔
   には、塗料旋回用コア１９を塗料ノズル７の後
   方から対接するように着脱自在に設けてなる塗
   装用噴霧ガン。 ２ 塗料ノズル７の後端に円錐状受面２６を設け
   ると共に、これに対する旋回コア１９には、受
   面２６に合致する円錐面２７と、この円錐面上
   に斜め放射状に形成した複数の塗料流路２８と
   を設けてなる実用新案登録請求の範囲第１項に
   記載の塗装用噴霧ガン。 ３ 塗料ノズル７およびコア１９を超硬合金製と
   した実用新案登録請求の範囲第１項または第２
   項に記載の塗装用噴霧ガン。 ４ 噴霧ガンの先端部に噴霧塗料荷電用の荷電電
   極を具備してなる実用新案登録請求の範囲第１
   項または第３項に記載の塗装用噴霧ガン。 ５ 加圧空気噴出口９を前方へ漸次狭縮する円錐
   状とした実用新案登録請求の範囲第１項または
   第４項に記載の塗装用噴霧ガン。