JPH0711802Y2 - 内外部混合併用スプレーガン - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、空気流により塗料等を霧化するスプレーガン
に係るものであって、特に低圧の空気によって霧化を十
分に行いうるものとして、噴霧口内での空気混合霧化と
噴霧口外での空気混合霧化を併用したスプレーガンであ
る。

［従来の技術］ 圧縮空気により霧化し吹付を行う、いわゆるエアースプ
レーガンは、その霧化方式により、外部混合方式と内部
混合方式とに大別されている。外部混合方式は、塗料ノ
ズルより噴出した塗料を、３〜5kgf/cm²の圧力により噴
出する圧縮空気によって、スプレーガンの外部にて混合
するもので一般的には吹付空気圧力を高くすると、噴霧
粒子径は細かくなり、また噴霧流に対して、両側からパ
ターン形成用の空気を衝突させることによって噴霧形状
を変化させ、被塗装物に適した大きさのパターンで吹付
を行いうるようになっている。

また、内部混合式スプレーガンは、噴霧口をもつ空気キ
ャップの内部に開口するノズルより噴出した塗料を、こ
の空気キャップ内で混合霧化し、気液混合状態にて空気
キャップより噴出させるものである。したがって噴霧口
の形状によってほぼ噴霧形状が定まり、噴霧粒子径も外
部混合ほどに細かくなり得ないものである。

これらの霧化方式によるスプレーガンは、古くから実用
化されており、その内容は当業者において広く知られて
いるものである。

これらの霧化方式に対して最も大きな問題の一つとされ
ていることは、噴霧粒子の飛散が多いことである。これ
を改善するための手段として、一つは低圧空気による霧
化が考えられ、また液圧による霧化に噴霧制御用空気を
併用したエアーエアレス霧化が考えられ、実用化が進ん
でいる。

低圧空気による霧化は、大容量低圧力の空気により塗料
のはね返りを防止し、周囲への飛散を防止するものであ
るが、塗料の噴出量に限度があり、200cc/分程度までと
少く、実用範囲としての用途範囲が狭くなっている。こ
の種の装置は粒子径の粗さにも問題があるために、温風
を用いることによって少しでも改善しようとした装置
が、実用上は多く用いられている。

また、エアーエアレス霧化の場合、いわゆる高圧塗料を
唇状開口のノズルより噴射して霧化すると共に、その噴
霧流を更に制御すべく圧縮空気を利用したものである。

この種の方式では、エアースプレーと同様唇状の開口を
有する噴霧口内に、同じく唇状の開口を有する液圧霧化
ノズルを配した内部方式と、液圧霧化ノズルを外部に設
け、その噴霧流に対して空気を衝突させる外部方式とが
あり、実用的にはほとんど外部方式が採用されている。

［考案が解決しようとする問題点］ いずれにしても従来の霧化方式においては、それぞれ問
題があり、低圧の空気で吹き付け、粒子径が細かく、パ
ターン形状が塗装に適した範囲に調節できるスプレーガ
ンを得ることができなかった。

すなわち、比較的低圧にしやすい内部混合式スプレーガ
ンにおいては、前述の如くパターン調節ができず、空気
キャップを交換しなければならない問題が生ずる。また
低粘度の塗料吹付においては、長円（楕円）パターンの
中央部が薄くなるパターンとなりやすく、吹付面の仕上
りに悪い影響を及ぼすことになる。

また外部混合式の低圧スプレーガンにおいては、噴出量
を多くすると極端に粒子径が粗くなり、実用上100〜150
cc/分程度以下に限られている。さらにまたエアーエア
レス方式にしても、霧の性状が液圧霧化を基本にしてい
るために、仕上げ塗装において、使用に供せられる程に
細かくなりえず、これに低圧のエアーを加味しても、噴
霧の不均一さを改良する程度であって霧の微粒化までは
望めず、結局のところ高圧空気を必要とし、飛散を助長
する結果になる。

本考案の場合、エアースプレーにおいて塗料の噴出と圧
縮空気の噴出は共に0.5kgf/cm²から1kgf/cm²程度の圧縮
空気圧力によって、塗料の微粒化を仕上げ塗装に使用で
きる程度に達成し、パターンの調節を可能とした飛散の
少ないスプレーガンを得ることを目的としている。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は上記の問題点を解決する手段として、スプレー
ガン本体１に導入される圧縮空気を握り３の下方の空気
ニップル４に接続するとともに、導入された圧縮空気を
空気弁８と分配弁19を介して先端の霧化部に供給するよ
うにしてなる内外部混合併用スプレーガンにおいて、唇
状の噴霧開口をもつチップキャップ30内に単一円孔塗料
ノズル21を開口させ、該塗料ノズル口21のノズル口22の
下流側を円錐状に拡大した開口部47を形成し、前記チッ
プキャップ30の円筒状の入口部32の後方に拡大する円錐
形のテーパー面35を形成し、前記開口部47は、該テーパ
ー面35に面し、その直径は前記入口部32の内径より同等
以上に形成させ、前記ノズル口22の外周を流れる一次空
気によって混合霧化し、前記噴霧開口より扁平パターン
で噴霧する内部混合霧化ガンに、前記扁平パターンの長
径側と短径側にそれぞれ対向噴射する二次空気噴射口と
しての角ノズル43、噴射口45を設けた角キャップ37を設
け、該二次空気噴射口のそれぞれと連通する二次空気通
路27、28を本体１に設けた分配弁19を介し、独立して形
成し、該二次空気通路27、28への空気量を調節する手段
を本体１内部に設けたものであり、それぞれの二次空気
通路27,28への空気は、いずれか一方から噴出するよう
にしている。

［作用］ 以上の構成からなるスプレーガンによって、塗料はまず
一次空気によって噴霧開口31内で混合霧化され、唇状の
噴霧開口31に依存されてほぼ楕円形状のスプレーパター
ンで噴霧される。次いで二次空気のいずれか一方、すな
わち楕円形扁平パターンの長径側の噴射口45より噴出す
れば扁平パターンはつぶされ、その空気量が増すにした
がってほぼ円形のパターンに近づく。

また、短径側の二次空気噴射口である角ノズル43より噴
出すれば、パターンは次第に広がることになる。それぞ
れの通路を独立して設け、各々の空気量が調節できるこ
とにより、必要とする任意のパターン幅が得られる。

［実施例］ 第１図は、本考案を実施したスプレーガンの全体構成を
示す断面図である。

本体１は銃身２と握り３をもち、握り３の下部に空気ニ
ップル４を付し、上部に設けた空気弁部に通孔５を通っ
て圧縮空気を送り込む構造である。

空気弁部は、銃身２の後部より穿設された空調孔６に挿
入された空調パイプ７の内側に、空気弁８が設けられて
構成されている。空調パイプ７は外側より内側に通じる
孔９があけられ、空調パイプ７の回転により、該孔９と
前記通孔５との合致具合によって空気流量が変化する。
ツマミ10が、この空調パイプ７を回転させるために設け
られている。空気弁８は、ばね11により本体のシート12
に押しつけられて圧縮空気を停止している。空気弁８の
中止部には、銃身２の先端に延びるニードル弁13が貫通
し、その後部にばね14と、これを弾圧保持し、かつニー
ドル弁13の後退量を規制する開度調節ツマミ15が設けら
れている。

空気弁８の前方には、ニードル弁13の外側に空気弁棒17
が設けられており、引金16の操作により空気弁８を後退
させて、圧縮空気を前方の空気分配室18に送り込む。更
に引金16を引くと、空気弁８の後端によって押されニー
ドル弁13が後退するよう構成されている。

空気分配室18は分配弁19が回転自在に嵌合され、外部の
ツマミ29によって回動されるものである。この空気分配
室18より、銃身２の前部に向けて３つの空気通路があっ
て、その１つは一次空気として常時分配室18とつながっ
ている。他の２つの通路は第２図、第３図に示すよう
に、二次空気として分配弁19に設けた凹部20の回動位置
によっていずれか一方が連通し、かつその流通面積が変
化して流量を調節できる構造となっている。したがっ
て、回転接触部における流通面積の変化を分配弁19の凹
部20によって決めてやれば、任意の分配量を制御するこ
とが可能である。

銃身２の先端部には第４図、第５図にも示す霧化装置が
設けられるが、塗料の噴出を行う塗料ノズル21は、本体
の先端部にねじ込まれ、前記ニードル弁13の先端が、塗
料ノズル21のノズル口22の内側に当り、塗料の停止行
う。この塗料ノズル21の外側は本体１と係合し、２つの
通路23,24を区画し、前記した分配弁19によって分けら
れた１次空気通路26と通路23が、２次空気通路のうち一
方の空気通路27と通路24がそれぞれ連通するよう形成さ
れる。

一方塗料ノズル21は、チップキャップ30によって覆わ
れ、ノズル口22は下流側を円錐上に拡大した開口部47を
形成し、チップキャップ30の先端中心に開口する噴霧開
口31の内部に配置される。

噴霧開口31は、円筒形の入口部32と、その先に円錐形も
しくは略球状とし、その中心部に外側よりＶ字状溝33を
形成して、ほぼ唇状の開口部を有している。入口部32の
手前は、テーパー面35として１次空気室40を形成してお
り、該テーパー面35と前記塗料ノズル21の先端外径36と
の間を前記通路23からの圧縮空気が流れるように組み合
わされている。

この流通面積は大きくすると霧化粒子が小さくなること
が明らかになっており、前記開口部に対し、少なくとも
同等以上とするのが良い。

また噴霧開口31の外側は、内側と同様円錐形外面34を形
成し、その外面34に係合し、噴霧軸に対して対称位置に
対向する角を有する角キャップ37を設け、前記チップキ
ャップ30と一体化し、カバー38により本体１の先端に着
脱自在に固定している。

角キャップ37の角部42には斜め方向に向け、扁平気流を
噴出する二次空気噴射口の１つ、角ノズル43が設けられ
ている。実施例においては、噴霧口31と同様の開口形状
をもたせた角ノズルが示されており、その開口部は、噴
霧開口31からの扁平噴霧流に対し、その平面側より同方
向に広がる扁平気流となるようにし、扁平噴霧流のほぼ
全域に噴射流が衝突するようにしている。この角ノズル
43は扁平気流を噴射するため、前記した噴霧口と同様、
円錐形もしくは球状の内面をもつ穴に、外面よりＶ溝を
いれて唇状の開口にしている。第６図にこの角ノズル43
の他の実施例を示している。この場合、分離構造として
別途組み込む方策がとられている。角キャップ37の通路
44を介し、塗料ノズル21の外側とカバー38の内側とで囲
まれた２次空気通路のうち、他方の空気通路25と連通
し、この空気通路25は、前記分配弁19からの他方の空気
通路28と連通している。

一方角キャップ37の角ノズル43と直交する側には、もう
１つの噴射口45が噴霧開口31に対向する位置に設けら
れ、同じく斜め前方に向かって噴射するよう形成されて
いる。すなわち、第２図の如く噴霧流に対し、その長径
側端部にそれぞれ向けて噴射するものであり、噴霧パタ
ーンを縮小する方向に進ものである。この噴射口45は、
前記塗料ノズル21の空気通路24より、チップキャップ30
に設けた通路46を介して連通されている。

したがって分配弁19からの２つの２次通路27,28は、一
方が角ノズル43から、他方が噴射口45から噴出すること
になる。分配弁19によって２次空気はいずれかを連通さ
れ、角ノズル43側に供給された場合は大きな噴霧パター
ンに、噴射口45側に供給された場合は、円形に近い小さ
な噴霧パターンになって噴霧される。

［考案の効果］ 以上の如く本考案のスプレーガンによれば、内部混合に
よる一次空気霧化と、外部混合による二次空気の併用が
可能となり、効率の良い霧化とパターンと調節が可能と
なり、従来のエアースプレーガンに比べ、1/5程度の空
気圧力による吹付塗料を行うことができる。したがっ
て、塗装時の塗料ミスト飛散が大幅に改善され、作業者
の安全衛生の面、環境公害、塗料の節約等において大き
な効果をあげられるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の１実施例を示すスプレーガンの断面図
である。第２図は第１図のII−II断面を第３図は第２図
のIII−III断面をそれぞれ表わしている。第４図は、第
１図のスプレーガンの霧化頭部を正面から見た図、第５
図は、第４図のAOB断面を示している。第６図は本考案
の他の実施例を示すスプレーガンの先端部の断面図であ
る。 ８……空気弁 13……ニードル弁 19……分配弁 26……一次空気通路 27,28……二次空気通路 31……噴霧開口 43……角ノズル 45……噴射射口

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】スプレーガン本体１に導入される圧縮空気
   を握り３の下方の空気ニップル４に接続するとともに、
   導入された圧縮空気を空気弁８と分配弁19を介して先端
   の霧化部に供給するようにしてなる内外部混合併用スプ
   レーガンにおいて、唇状の噴霧開口31をもつチップキャ
   ップ30内に単一円孔塗料ノズル21を開口させ、該塗料ノ
   ズル口21のノズル口22の下流側を円錐状に拡大した開口
   部47を形成し、前記チップキャップ30の円筒状の入口部
   32の後方に拡大する円錐形のテーパー面35を形成し、前
   記開口部47は、該テーパー面35に面しその直径は前記入
   口部32の内径より同等以上に形成させ、前記ノズル口22
   の外周を流れる一次空気によって混合霧化し、前記噴霧
   開口より扁平パターンで噴霧する内部混合霧化ガンに、
   前記扁平パターンの長径側と短径側にそれぞれ対向噴射
   する二次空気噴射口としての角ノズル43と噴射口45を有
   する角キャップ37を設け、さらに、該二次空気噴射口の
   それぞれと連通する二次空気通路27、28を独立して形成
   し、該二次空気通路27、28への空気量を本体１に設けた
   分配弁19を介し、調節する手段を設けてなる内外部混合
   併用スプレーガン。