JPH0522293Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、偏平な扇形のパターンで噴出する塗
料流に向けて加圧空気を噴出することによりテー
ルの発生を防止するとともにパターン幅を調節す
ることができるようにしたエアレス塗装用スプレ
イガンに関する。

従来の技術及び考案が解決しようとする問題点 上記のようなエアレス塗装用スプレイガンは、
ガン本体の前端に装着したノズルリテーナの外周
面と前端面に、ガン本体の前端面に開口した二つ
の加圧空気供給孔と各別に連通する空気流路を開
口し、リテーナに嵌着したキヤツプの内周に、リ
テーナの外周に開口した一方の空気流路に連通し
て、キヤツプの中央に突出したノズルから扇形の
パターンで噴出する塗料流の両側縁に発生するテ
ールを消滅させる加圧空気を噴出させるテール消
滅用空気噴出孔の入口を開口するとともに、キヤ
ツプの内端面に、リテーナの前端面に開口した他
方の空気流路に連通して、塗料流のパターン幅を
調節する加圧空気を噴出するパターン調節用空気
噴出孔の入口を開口した構造になつていたが、塗
料流の断面形状の長径に対す短径の比を大きくし
て円形に近くするためにパターン調節用空気の噴
出量を大きくすると、塗料流の断面形状に歪が生
じ、塗装むらの原因になることから、塗料流の断
面形状の長径を、調節用空気の無噴射時における
最大値の1/2以下に調節することは困難であつた。

問題点を解決するための手段 本考案はこのような問題点を解決するために、
その原因を追求した結果、キヤツプとリテーナの
嵌合部の隙間を通つてテーブル消滅用の空気とパ
ターン調節用の空気とが互いに流通して影響し合
うことに起因することが判明したため、キヤツプ
に嵌合するリテーナの外周に二つの空気流路の間
を密封するＯリングを嵌着した構成とした。

考案の作用及び効果 本考案は上記構成になり、二つの空気流路の間
がＯリングによつて密封されて空気が互いに流通
し合うのが防止されるため、パターン調節用の空
気流を強くしても塗料流の断面形状に歪が生じ
ず、その断面形状の長径を最大値の1/3程度まで
小さくして断面形状を円に近づけても安定した形
状が保たれ、吹付け幅の広い、均一な塗装を行な
うことができる効果がある。

実施例 以下、本考案の一実施例を添付図面に基づいて
説明する。

図において、１は、ガン本体であつて、その先
端部に、細長い塗料噴出口２を有するノズル３が
キヤツプ５に嵌装したハブナツト６を螺合するこ
とによりリテーナ８を介して固定されていて、ガ
ン本体１に取り付けた引き金９を引くと、リテー
ナ８の塗料流路１０内に設けた常閉式の塗料用開
閉弁１１の長尺の弁杆１２が、その先端に固着し
た球形の弁体１３を弁口１４から離間させつつ圧
縮コイルばね１５の弾力に抗して後退することに
より、塗料用開閉弁１１が開弁し、図示しない塗
料圧送源から加圧されて供給された液体塗料が、
リテーナ８の塗料流路１０と弁杆１２との隙間及
び開放した弁口１４を通り、塗料噴出口２から薄
膜状に吐出して空気との衝突により塗料噴出口２
から少し離れた霧化点ｃにおいて微粒化し、横方
向に偏平な扇形をなすパターンの塗料流ａとなつ
て噴出するようになつているとともに、ガン本体
１の後端部に設けた常閉式の空気用開閉弁１８の
弁杆１９が、その後端部に固着した弁体２０を弁
口２１から離間させつつ圧縮コイルばね２２の弾
力に抗して後退することにより、空気用開閉弁１
８が開弁して、図示しない加圧空気圧送源からグ
リツプ２３の加圧空気導入孔２４内に圧送された
加圧空気が、開放した弁口２１を通り、ガン本体
１に前後方向に形成された加圧空気供給路２５内
に供給されるようになつている。

この加圧空気供給路２５の先端部には、ガン本
体１の左側面に開口する円形の装置孔２８が形成
されて、その内周の一部にガン本体１の円形の連
通溝２６との交わりにより形成された半月状の開
口部２７を介して、ガン本体１とリテーナ８の外
周との間の環形のシール２９により気密に二分さ
れた間隙の一方の間隙３０ａに連通し、この一方
の間隙３０ａが、第１図に示すように、リテーナ
８に形成したテール消滅用空気流路３１、リテー
ナ８とキヤツプ５との間隙３２及びキヤツプ５に
形成した空気導入路３３を介して、キヤツプ５の
上下の突出部５ａ，５ａの内側面に開口して左右
２個ずつ形成されたテール消滅用空気噴出口３５
に連通することによつて、加圧空気供給路２５の
装置孔２８からテール消滅用空気噴出口３５に至
るテール消滅用分岐路３６が構成されており、テ
ール消滅用空気噴出口３５は、ノズル３の塗料噴
出口２の近傍周囲に形成した円錐形の斜面３８で
反射することにより塗料流ａの左右両側縁におけ
る塗料粒子の粗大なテールｂ，ｂの発生する霧化
点ｃ近傍を指向している。

また、装置孔２８の孔縁に気密に固着した保持
筒４０には、パターン調節用ねじ４１が、回転に
ともなう螺進可能に、かつ、装置孔２８内の気密
を保つて螺合され、このパターン調節用ねじ４１
の先端部に形成された先細りのテーパ状をなす弁
体４２を、装置孔２８の奥端面の中心に形成した
径の小さい分岐孔４４の孔縁の弁口４５に対応さ
せることにより、パターン調節用の絞り弁４８が
構成されていて、分岐孔４４がパターン調節用連
通孔５０を介して前記したガン本体１とリテーナ
８との間の二分された間隙３０の他方の間隙３０
ｂに連通し、さらに、第２図に示すように、リテ
ーナ８に形成したパターン調節用空気流路５１及
びリテーナ８の前端面とキヤツプ５の後面との間
の間隙５２を介して、キヤツプ５の塗料噴出口２
の左右両側に形成した一対のパターン調節用空気
噴出口５３，５３に連通することによつて、装置
孔２８から前記した絞り弁４８を介してパターン
調節用空気噴出口５３に至るパターン調節用分岐
路５５が構成されており、パターン調節用空気噴
出口５３は、塗料流ａの両側縁の霧化点ｃよりも
前方位置を斜め後方から指向している。

そして、リテーナ８の先端部外周に形成された
溝にＯリングＲが装着されていて、リテーナ８と
キヤツプ５の間の間隙を密封している。

本実施例は上記構成になり、パターン調節用ね
じ４１をそのつまみ部５６を回して螺進させるこ
とによつて絞り弁１８を所定の開度に調節し、引
き金９を引いて塗料流ａを噴出させると、空気用
開閉弁１８が開弁することにより加圧空気供給路
２５に供給された加圧空気が装置孔２８において
分岐し、加圧空気の大部分がテール消滅用分岐路
３６を通つてテール消滅用空気噴出口３５から噴
出して塗料流ａのテールｂ，ｂの発生位置に吹き
付けることにより、粗大な塗料粒子が微粒化され
てテールｂ，ｂが消滅すると同時に、残りの少量
の加圧空気が、絞り弁４８の弁口４５及びパター
ン調節用分岐路５５を通つてパターン調節用空気
噴出口５３から噴出して塗料流ａのテールｂの消
滅した両側縁に挟み付けるように吹き付けること
により、塗料流ａが適正に微粒化され、かつ、一
定のパターン幅に保たれた状態で図示しない被塗
装物に吹き付けられるのであつて、塗料流ａのパ
ターン幅を調節する際には、パターン調節ねじ４
１をその弁体４２が弁口４５に近接するように回
して絞り弁４８の開度を小さくすると、パターン
調節用空気噴出口５３から噴出する加圧空気の流
量が減少することにより、パターン幅が広がると
ともに厚さが薄くなつて、第５図に示すように、
塗料流ａの断面形状が細長くなり、また、パター
ン調節用ねじ４１を上記と逆向きに回して絞り弁
４８の開度を大きくすると、加圧空気の流量が増
大することにより、パターン幅が狭まるととも
に、厚さが増して、同図に示すように、塗料流ａ
の断面形状が円形または円形に近い楕円形となつ
て、塗料流ａが任意のパターン幅に調節されるの
であり、リテーナ８の先端部外周に嵌着されたＯ
リングＲにより、テール消滅用分岐路３６とパタ
ーン調節用空気流路５１とが、完全に隔絶されて
いるから、パターン調節用の加圧空気の流量を増
してパターン幅を最大値の1/3以下にして円に近
づけても、リテーナ８の外周とキヤツプ５の内周
の間の空気の流通によりテール消滅用空気と相互
に影響し合つて塗料流ａの断面形状に歪が生ずる
のが防止され、安定した噴出パターンを維持し
て、吹付け幅の狭い、均一な塗装を行なうことが
できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

添付図面は本発明の一実施例を示し、第１図は
断面図、第２図は第１図のＡ−Ａ線断面図、第３
図は第１図のＢ−Ｂ線断面図、第４図は一部の斜
視図、第５図はパターン調節用加圧空気の流量と
パターン幅及び塗料流の断面形状との関係をあら
わすグラフである。 １……ガン本体、２……塗料噴出口、５……キ
ヤツプ、８……リテーナ、２５……加圧空気供給
路、３５……テール消滅用空気噴出口、３６……
テール消滅用分岐路、４８……絞り弁、５３……
パターン調節用空気噴出口、５５……パターン調
節用分岐路、ａ……塗料流、ｂ……テール、Ｒ…
…Ｏリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ガン本体の前端に装着したノズルリテーナの外
   周面と前端面に、ガン本体の前端面に開口した二
   つの加圧空気供給孔と各別に連通する空気流路を
   開口し、前記リテーナに嵌着したキヤツプの内周
   に、前記リテーナの外周に開口した一方の空気流
   路に連通して、前記キヤツプの中央に突出したノ
   ズルから扇形のパターンで噴出する塗料流の両側
   縁に発生するテールを消滅させる加圧空気を噴出
   させるテール消滅用空気噴出孔の入口を開口する
   とともに、前記キヤツプの内端面に、前記リテー
   ナの前端面に開口した他方の空気流路に連通し
   て、前記塗料流のパターン幅を調節する加圧空気
   を噴出するパターン調節用空気噴出孔の入口を開
   口し、前記キヤツプに嵌合するリテーナの外周に
   前記二つの空気流路の間を密封するＯリングを嵌
   着したことを特徴とするエアレス塗装用スプレイ
   ガン。