JPH0527465B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、スプレーガンのノズルに関するもの
であり、塗料を霧化して被塗装物に吹き付けるた
めに用いられるものである。

（従来の技術） 従来、スプレーチツプに形成した略長円形のオ
リフイスから加圧された液体を押し出すことによ
つて液体を噴霧し、平たいフアン状のスプレーパ
ターンを得られるようにしたスプレーガンのノズ
ルが広く用いられている。このような平たいフア
ン状のスプレーパターンは、円形または楕円形の
スプレーパターンよりも塗装作業を行う上で都合
が良いとされている。しかしながら、略長円形の
オリフイスから加圧された液体を押し出すと、過
剰の液体は、非常に微細な液体の流れとして、ス
プレーパターンの尾部（テイル）に沿つて蓄積さ
れる傾向があり、塗装むらが生じることがあつ
た。

そこで、従来、例えば特開昭58−109153号公報
に開示されているように、略長円形のオリフイス
から加圧された液体を押し出すことによつて液体
を噴霧して、平たいフアン状のスプレーパターン
を得られるようにしたスプレーガンのノズルにお
いて、スプレーパターンの尾部を乱すためにオリ
フイスの長軸の両側に夫々１対の噴孔を設けて、
これらの噴孔から圧縮空気を噴射して、スプレー
パターンの尾部を乱すことが提案されている。

一方、フアン状のスプレーパターンの開き角度
は、液体の噴射圧力を変えることによつては、余
り大きく調整することはできず、しかも、液体の
噴射圧力を変えると噴霧状態が著しく変化すると
いう問題があつた。そこで、前記公報において
は、オリフイスの長軸延長線上に対照的に２個の
噴孔を設け、スプレーパターンの尾部に向けてパ
ターンの広がりを規制するように圧力空気を噴射
することが提案されている。

（発明が解決しようとする問題点） 前記公報に記載された従来例にあつては、スプ
レーパターンの尾部を乱すために、オリフイスの
長軸の両側に夫々１対の噴孔を設け、また、スプ
レーパターンの広がりを規制するために、オリフ
イスの長軸延長線上に対称的に２個の噴孔を設け
る必要があり、また、これらの各噴孔に夫々均等
に圧縮空気を導くための空気通路を形成する必要
があり、ノズルの構成が著しく複雑になるという
問題があつた。

本発明はこのような点に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、簡単な構成であ
りながら、スプレーパターンの尾部の霧化を良好
に行うことができ、また、圧縮空気の流量調整に
よりある程度のパターン調整をも可能としたスプ
レーガンのノズルを提供するにある。

（問題点を解決するための手段） 本発明に係るスプレーガンのノズルにあつて
は、上述のような問題点を解決するために、添付
図面に示されるように、略半球状をなす先端部１
４に略長円形の液体噴射口１７を設けたスプレー
チツプ１０を備え、スプレーチツプ１０の略長円
形の液体噴射口１７とは長軸を垂直とする略長円
形の開口縁３１を、前記スプレーチツプ１０の略
半球状の先端部１４を囲むように配され、この開
口縁３１と前記スプレーチツプ１０との間から圧
縮空気が噴射されるように圧縮空気を導く空気通
路を備えるものである。

（作用） 本発明に係るスプレーガンのノズルを使用する
に際しては、スプレーチツプ１０に加圧した液体
を供給し、略長円形の液体噴射口１７から液体を
噴射して霧化し、平たいフアン状のスプレーパタ
ーンを得るものである。このスプレーパターン
は、略半球状をなすスプレーチツプ１０の先端部
１４と、略長円形をなす開口縁３１との間の隙間
Ｇから噴射される圧縮空気により更に霧化を促進
される。略長円形をなす開口縁３１の長軸は、略
長円形をなす液体噴射口１７の長軸とは垂直とな
つているので、液体噴射口１７の長軸の両側には
比較的強い圧縮空気流が形成される。この比較的
強い圧縮空気流はフアン状のスプレーパターンの
基部において、液体噴射流とぶつかることになる
ので、スプレーパターンの尾部に沿つて液体が蓄
積されることはなく、液体の霧化は完全に行なわ
れる。また、液体噴射口１７の長軸の延長線上に
は、比較的弱い圧縮空気流が形成される。この圧
力空気流は比較的弱いものであるから、フアン状
のスプレーパターンの広がりを余り強く制限し過
ぎることはないが、圧縮空気流の強弱に応じてス
プレーパターンの広がりをある程度規制する作用
を有する。また、この圧力空気流はスプレーパタ
ーンの尾部に直接ぶつかることになるので、尾部
の霧化をより一層促進するものである。

（実施例） 以下、本発明の好ましい実施例を図面と共に説
明する。第１図は本発明の一実施例に係るスプレ
ーガンのノズルの正面図である。略長円形の塗料
噴射孔１７を有するスプレーチツプ１０の周囲を
取り囲むように、圧縮空気噴射用の開口縁３１が
設けられている。この開口縁３１は、塗料噴射孔
１７の長軸方向とは垂直方向に流く形成されてお
り、その長手方向の両端部は略円形をなし、幅方
向の両端部は略直線形をなすように形成されてい
る。

ここで、スプレーチツプ１０は、第３図ａ，ｂ
に示すような形状を有する。スプレーチツプ１０
の外部形状は、同図ｂに示されるように、略円柱
形をなす基部１１と、比較的急な傾斜を有する第
１のテーパ部１２と、比較的緩い傾斜を有する第
２のテーパ部１３と、第２のテーパ部１３の先端
に連続する略半球状の先端部１４とからなる。ま
た、スプレーチツプ１０の内部には、第３図ｂに
示されるように、略円錐状の空洞部１５が形成さ
れており、この空洞部１５は前述の略半球状の先
端部１４に連通している。略半球状の先端部１４
には、断面略Ｖ字状の切溝１６が形成されてい
る。この切溝１６は前記空洞部１５の先端部と連
通するような位置に形成されている。切溝１６と
空洞部１５とが交わる部分は、略長円形の形状と
なり、空洞部１５により導かれた塗料は、この略
長円形の塗料噴射孔１７から塗料シートとして吐
出されるものである。

このスプレーチツプ１０は、第４図に示される
ようなチツプホルダー２０に収容されて、第５図
に示されるような空気キヤツプ３０内に装着され
るものである。チツプホルダー２０の後端部外周
面には、第４図に示されるように、位置決めピン
２１を立設するための穴が設けられている。スプ
レーチツプ１０をチツプホルダー２０を介して空
気キヤツプ３０内に装着した状態を背後から見た
状態を第２図に示す。この第２図に示されるよう
に、チツプホルダー２０に立設された位置決めピ
ン２１は、空気キヤツプ３０の位置決め穴３７に
嵌挿されるようになつている。

第５図は空気キヤツプ３０の構造を示してい
る。空気キヤツプ３０は前面の略中央部に、略長
円形の空気噴射用の開口縁３１を有している。こ
の空気噴射用の開口縁３１の背後には、スプレー
チツプ１０やチツプホルダー２０が収容される空
洞部３２が設けられている。空洞部３２の内壁面
には、６個の圧縮空気通路３３が形成されてい
る。空気キヤツプ３０の前面には、一対のホーン
３４が突設されており、このホーン３４にはパタ
ーン調整用の一対の空気噴射孔３５が設けられて
いる。これらの空気噴射孔３５は、空気流が塗料
の噴射軸方向に向けて集束されるように、内側に
傾斜させて設けてある。したがつて、空気噴射孔
３５から噴射された空気流は、塗料シートの幅方
向両側に噴射され、塗料シートの尾部の拡がりを
規制する作用を有するものである。各空気噴射孔
３５への圧縮空気の供給は、外側空気室５６に連
通する連通孔３６によつてなされる。外側空気室
５６の圧力は、後述のように、パターン調整弁９
０によつて調整可能とされているので、塗料シー
トの尾部の拡がりの規制量は調整可能であり、こ
れによつて、塗装パターンの調整が可能となつて
いる。

このノズルを装着されたスプレーガンの全体構
成を第１０図に示す。また、その要部構成を拡大
して第１１図に示す。スプレーガン１は、グリツ
プ２と、引き金３と、ガンボデイ４と、噴射ヘツ
ド５とを有している。ガンボデイ１の前部には、
第８図に示されるようなベース５２が装着されて
いる。ベース５２には、圧縮空気導入管５３が後
方に向けて突設されており、この圧縮空気導入管
５３に後述するパターン調整弁９０のニードル弁
９１が嵌合されるようになつている。ベース５２
の前部には、第７図に示されるようなバツフルプ
レート５０が装着されて、周方向の１箇所から圧
縮空気導入管５３により導入された圧縮空気がバ
ツフルプレート５０に当たつて緩和され、外側空
気室５６内に均等に導入されるようになつてい
る。

第６図は、スプレーチツプ１０に塗料を供給す
るための弁シート４０の構造を示している。弁シ
ート４０は、中心部に塗料供給路４１を有してい
る。塗料供給路４１の後端部には、第９図に示さ
れるようなニードル弁６１と組み合わされる弁座
４２が設けられている。弁シート４０の前部に
は、六角ナツト状の拡径部４３が設けられてお
り、この拡径部４３には、６個の圧縮空気通路４
４が形成されている。また、拡径部４３の中心部
には塗料吐出管４５が突出している。弁シート４
０における塗料吐出管４５の前端部とスプレーチ
ツプ１０との間には、チツプパツキン２３が設け
られており、塗料の漏れを防止している。

これらの各部品は、キヤツプナツト５４をベー
ス５２に螺着することにより相互の位置関係を固
定されるものである。キヤツプナツト５４の前端
部には内側フランジ５５が設けられている。空気
キヤツプ３０の外周部後端には、前記キヤツプナ
ツト５４の内側フランジ５５に係合される外側フ
ランジ３８が形成されている。空気キヤツプ３０
の後端部は、弁シート４０の拡径部４３に当接し
ている。キヤツプナツト５４を締め付けると、空
気キヤツプ３０から、弁シート４０の拡径部４
３、パツキン５１を介してバツフルプレート５０
がベース５２に圧接されるようになつている。ま
た、空気キヤツプ３０の内側には、第５図ｂ，ｃ
に示すように、チツプホルダー２０の係合面２９
に係合される係合面３９を備えている。第２図と
第５図ｃを見比べれば分かるように、また、第１
０図からも明らかなように、空気キヤツプ３０を
キヤツプナツト５４で締め付けると、係合面２
９，３９の係合により、チツプホルダー２０も空
気キヤツプ３０と共に弁シート４０の側に押し付
けられる。また、チツプホルダー２０は、第３
図、第４図及び第１０図から明らかなように、ス
プレーチツプ１０の第２のテーパ部１３を嵌挿す
る丸孔２７と、スプレーチツプ１０の第１のテー
パ部１２に係合する係合面２８を備えており、チ
ツプホルダー２０が弁シート４０の側に押し付け
られると、スプレーチツプ１０も弁シート４０の
塗料吐出管４５に押し付けられて、チツプパツキ
ン２３が加圧され、塗料の漏れを防止するもので
ある。

塗料は塗料供給部６から供給され、ニードル弁
６１を介して前述のスプレーチツプ１０に導かれ
る。塗料調整弁６０は、弁シート４０の後端部に
押し付けられるニードル弁６１を付勢するスプリ
ング６２を調整螺子６３にて調整することによ
り、塗料の流量を制御している。塗料の通路は第
１２図の破線で示したようになる。

圧縮空気は、圧縮空気供給部７から供給され、
空気量調整弁セツト７０と、空気弁セツト８０並
びに、パターン調整弁９０を介して外側空気室５
６に導かれる。また、パターン調整弁９０におけ
るニードル弁９１の前段から分岐された圧縮空気
は、内側空気室４６に導かれる。空気量調整弁セ
ツト７０は、弁座７１と、ニードル弁７２と、ニ
ードル弁７２を弁座７１に押し付けるスプリング
７３と、スプリング７３の付勢力を調整する空気
量調整螺子７４とを有している。パターン調整弁
９０は、外側空気室５６における圧縮空気の圧力
を調整して、塗料シートと拡がり幅を調整するも
のであり、空気量調整弁セツト７０と同様に、ニ
ードル弁９１と、ニードル弁９１を弁座となる圧
縮空気導入管５３に押し付けるスプリング９２
と、スプリング９２の付勢力を調整する調整螺子
９３とを有している。パターン調整弁９０の１次
側から分岐された圧縮空気は、スプレーチツプ１
０と開口縁３１との間の空〓に連通する内側空気
室４６に導かれる。第１２図の２点鎖線は外側空
気室５６を通る圧縮空気の通路を示しており、１
点鎖線は内側空気室４６を通る圧縮空気の通路を
示している。

空気弁セツト８０は、引き金３の引き動作に連
動して圧縮空気の供給を開始するものであり、前
端部が引き金３に当接する連結棒８１の後端部に
は、弁体８２が装着されている。この弁体８２
は、スプリング８３の付勢力により、常時は弁座
８４に押し付けられている。引き金３の引き動作
を行うと、連結棒８１が後退することにより弁体
８２が弁座８４から離れ、圧縮空気の通過が可能
とされる。引き金３の引き動作を解除すると、ス
プリング８３の付勢力により連結棒８１が前進
し、再び弁体８２が弁座８４に押し付けられて圧
縮空気の通過が阻止される。引き金３は、ニード
ル弁６１のプランジヤ６４とも連動しており、引
き金３を引くことにより、プランジヤ６４が後退
すると、それに伴つてニードル弁６１も後退し、
塗料の通過が可能となる。ニードル弁６１とガン
ボデイ４との接触面には、ニードルパツキン６５
が配されており、このニードルパツキン６５はパ
ツキン螺子６６によつてガンボデイ４に装着され
ている。

なお、パターン調整弁９０は必要に応じて設け
れば良く、本発明におけるスプレーチツプ１０と
開口縁３１との間から噴射される圧縮空気流を調
整することによつても、ある程度のパターン調整
は可能である。

（発明の効果） 本発明に係るスプレーガンのノズルにあつて
は、上述のように、略半球状をなすスプレーチツ
プの先端部と、略長円形をなす開口縁との間から
圧縮空気が噴射されるので、比較的強い圧縮空気
流と比較的弱い圧縮空気流とがそれぞれ１対ずつ
対称的に形成されるものであり、しかも、液体噴
射口と略長円形の開口縁とは長軸を垂直とするの
で、比較的強い圧縮空気流は液体噴射口の長軸の
両側に形成されて、フアン状のスプレーパターン
の基部において、液体噴射流とぶつかることにな
るので、スプレーパターンの尾部に沿つて液体が
蓄積されることはなく、液体の霧化は完全に行な
われるという利点がある。また、比較的弱い圧縮
空気流は液体噴射口の長軸の延長線上に形成さ
れ、圧縮空気流の強弱に応じてスプレーパターン
の広がりをある程度規制すると共に、この圧力空
気流はスプレーパターンの尾部に直接ぶつかるこ
とになるので、尾部の霧化をより一層促進すると
いう効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例に係るスプレーガン
のノズルの正面図、第２図は同上の背面図、第３
図ａは同上に用いるスプレーキヤツプの平面図、
同図ｂは同上の要部破断正面図、第４図ａは同上
に用いるチツプベースの平面図、同図ｂは同上の
要部破断正面図、第５図ａは同上に用いる空気キ
ヤツプの要部平面図、同図ｂは同上の縦断面図、
同図ｃは同上の背面図、第６図ａは同上に用いる
弁シートの平面図、同図ｂは同上の要部破断正面
図、第７図ａは同上に用いるバツフルプレートの
平面図、同図ｂは同上の要部破断正面図、第８図
ａは同上に用いるヘツドの平面図、同図ｂは同上
の縦断面図、第９図は同上に用いる弁シート、第
１０図は同上の実施例のノズルを用いたスプレー
ガンの縦断面図、第１１図は同上の要部拡大断面
図、第１２図は同上の塗料と圧縮空気の通路を示
す断面図である。 １０はスプレーチツプ、１４は先端部、１７は
液体噴射口、３１は開口縁である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 略半球状をなす先端部に略長円形の液体噴射
   口を設けたスプレーチツプを備え、スプレーチツ
   プの略長円形の液体噴射口とは長軸を垂直とする
   略長円形の開口縁を、前記スプレーチツプの略半
   球状の先端部を囲むように配され、この開口縁と
   前記スプレーチツプとの間から圧縮空気が噴射さ
   れるように圧縮空気を導く空気通路を備えて成る
   ことを特徴とするスプレーガンのノズル。