JPH0450304Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ≪産業上の利用分野≫ この考案はタワークレーンに関し、より具体的
には、横風等によるタワークレーンのブームの横
振れ、振動を防止するタワークレーンの構造に関
する。

≪従来の技術≫ タワークレーンは建築現場等において建築部材
等を所定位置、高さに運搬するのに用いられ、そ
の目的により第５図に示す如く、水平型タワーク
レーンではタワー２の上部の旋回ポスト４から水
平ブーム６が水平に長く延びており、水平ブーム
６の付根から先端までの間をトロリ８が移動可能
となつている。即ち旋回ポスト４の回転及びトロ
リ８の移動によりトロリ８の下方に取付けられた
フツクに吊下された建築部材等を所定位置に運搬
することができる。

起伏型タワークレーン（図示省略）では旋回ポ
ストからブームが長く延びており、ブーム先端に
ワイヤ等を介してフツクが取付けられこのフツク
に建築資材等が吊下される。そしてブームは旋回
ポストへの付根部分において旋回ポストに対して
上下方向に回転可能となつており、旋回ポストの
水平面内における回転と合わせて、ブーム先端の
フツクに吊下された建築資材等を所定位置に運搬
することができるようになつている。

ところでブームは重量を軽くするため、通常、
Ｌ型鋼等を組んで構成されており、ブームの全体
形状は細長い四角柱または三角柱等となつてい
る。そして水平型タワークレーンでは、旋回ポス
ト４の上に柱１０を立脚し、柱１０の上端と水平
ブーム６の先端とをワイヤロープ１１で結ぶこと
によりブームを水平に維持している。また起伏型
タワークレーンでは、旋回ポストの上に立脚され
た柱の上端とブームの先端との間にワイヤロープ
を渡し、そのワイヤロープを巻上げることによ
り、ブームを上下方向に回転させるようにしてい
るが、そのワイヤロープが同時にブームをその回
転位置に維持させている。

≪考案が解決しようとする問題点≫ ブームの構造・形状、ブームの維持方法は上記
の如くであるため、ブームは上から下に作用する
力に対しては高い剛性を示すが、横方向の力に対
しては高い剛性を示さず、例えば横風等の影響に
よりブームの先端等が横振れ（横揺れ）を起こ
し、フツクに吊下げられた建築資材等が横振れし
それらを正しい位置に吊降ろすのに時間がかかり
また熟練を要するという問題点があつた。

特に、本出願人は先に、水平型タワークレーン
による荷役作業を自動化するため、玉掛け装置を
自動化するとともに、第５図に示す如くトロリ８
より下ろされた吊りワイヤの横振れを防ぐ昇降ア
ーム１２を有するタワークレーンを出願したが
（特願昭61−287621）、その出願に係るタワークレ
ーンにおいては玉掛け作業等を遠隔操作等により
行なうものであるため、玉掛け装置の位置決め作
業等は正確に行なわなければならず、ブームの先
端等が横振れを起こすという上記問題点は特に顕
著な問題点として浮かび上がる。

本考案はこのような問題点に鑑みてなされたも
のであつて、その目的とするところは、ブームの
横振れをより防止するようにしたタワークレーン
を提供するにある。

≪問題点を解決するための手段≫ 上記の目的を達成するために、本考案に係るタ
ワークレーンは、旋回ポストの上端においてブー
ムと直交する方向へ水平にアームを突設し、該ア
ームの先端部から該ブームの先端部へロープを張
架した。

≪実施例≫ 第１図は本考案を水平式タワークレーンに適用
した場合の一実施例を示す全体斜視図であり、以
下第１図に基づいて本考案の一実施例を説明す
る。

第１図において、２はタワー、４はタワー２の
上に設置された旋回ポスト、６は旋回ポスト４の
上に配置された水平ブーム、７は水平ブーム６の
反対位置に配置された水平ブーム６と重量バラン
スをとるためのウエイトビームである。

水平ブーム６の下部には長手方向に沿つて走行
可能なトロリ８が支持されており、トロリ８の下
部には昇降アーム１２が配置され、昇降アーム１
２の先端に資材吊下用のフツクが設けられてい
る。

旋回ポスト４の上には柱１０が立脚されてお
り、柱１０の上端と水平ブーム６の先端とをワイ
ヤロープ１１で結ぶことによりブーム６を水平に
維持している。また、柱１０の上端とウエイトビ
ーム７の先端とをワイヤロープ１３で結ぶことに
よりウエイトビーム７を水平に維持している。

旋回ポスト４の上部には、水平ブーム６及びウ
エイトビーム７の端部を取付けるための架台１４
が設けられており、本考案では架台１４の両側部
からそれぞれ水平面内でかつブーム６及びウエイ
トビーム７と直交する方向へアーム１６が突設さ
れている。アーム１６は２本の鋼管１８を所定間
隔置いて架台１４の側部に突設し、鋼管１８の先
端部は第２図ｂに示す如く接続部材２０の長さだ
け離して突き合わされた形状となつている。

接続部材２０の中央部には孔がアーム１６の中
心軸に沿つて貫通しており、この孔に滑車２２の
取付棒２４が挿通され、取付棒２４の端部に刻設
された雄ねじにナツト２５がアーム１６の外側か
ら螺合されて取付棒２４は接続部材２０に固着さ
れる。取付棒２４の内端には滑車２２が係着して
おり、滑車２２は２つの鋼管１８の間に挟まれる
形となつており、滑車面は水平になるように調整
される。

水平ブーム６の先端下方部の両側面には第３図
に示す如くフツク２６が固着されている。ウエイ
トビーム７の先端部上方の両側面にも同様にフツ
クが固着されている。

いずれの側面においても水平ブーム６の先端部
に固着されたフツク２６とウエイトビーム７の先
端部に固着されたフツクとの間には滑車２２を介
してロープ２８が架け渡されている。

ロープ２８の材質はワイヤロープの他、炭素繊
維、ガラス繊維を用いたロープ等、一定の張力に
耐え得るものであればよい。

そして、いずれの側面においても、ロープ２８
には、滑車２２とウエイトビーム７の先端部に固
着されたフツクとの間の所定位置においてターン
バツクル３０が介装されており（第４図参照）、
ターンバツクル３０を調整することによりロープ
２８の張力を調節することができるようになつて
いる。

水平ブーム６の先端部に固着されたフツク２６
とウエイトビーム７の先端部に固着されたフツク
との間に滑車２２を介してロープ２８を架け渡し
た後、ターンバツクル３０を回転させてロープ２
８に所定の初期張力を与える。この初期張力は両
側面に張られている２つのロープ２８について等
しくなるように、それぞれのターンバツクル３０
を調整する。両側面に張られている２つのロープ
２８の初期張力を等しくすることにより、水平ブ
ーム６及びウエイトビーム７に曲げモーメント即
ち、水平面内における曲げを生じさせない状態
で、水平ブーム６及びウエイトビーム７の水平面
内における剛性を高めることができる。

所定長さを有するアーム１６の先端に取付けら
れた滑車２２を介して水平ブーム６及びウエイト
ビーム７の先端間にロープを張架したため、水平
ブーム６及びウエイトビーム７の水平面内におけ
る剛性を高めることができ、風等の影響による水
平ブーム６及びウエイトビーム７の横振れをより
防止することができる。

本実施例では、水平ブーム６及びウエイトビー
ム７の先端をアーム１６の滑車２２を介してロー
プで結び、水平アーム６及びウエイトビーム７の
いずれの剛性をも高めたが、本考案の目的を達成
するためには水平ブーム６の剛性を高めればよ
く、その目的のためには、旋回ポスト４の上部に
設けられた架台１４の両側部から突設されたアー
ム１６の先端と水平ブーム６の先端との間にロー
プを張架すればよい（この場合は滑車を設ける必
要はない）。この場合はアーム１６に大きな曲げ
モーメントが作用するため、アーム１６の剛性を
高めアーム１６に作用する曲げモーメントに耐え
得るようにする。

起伏型タワークレーンにおいては、ブームの旋回
ポストへの付根部分において水平かつブ ームと
直交させてアームを突設し、このアームの先端と
ブームの先端との間にロープを張架すればよい。

≪考案の効果≫ 本考案に係るタワークレーンは旋回ポストの上
端においてブームと直交する方向へ水平にアーム
を突設し、アームの先端部からブームの先端部へ
ロープを張架したため、ブームの剛性を高めるこ
とができ、横風等の影響によるブームの横振れを
より防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を水平式タワークレーンに適用
した場合の一実施例を示す全体斜視図であり、第
２図は第１図における部の拡大説明図であり、
同図ａは平面図、同図ｂは立面図、第３図は第１
図における部の拡大図であり、第４図は第１図
における部の拡大説明図であり、第５図はタワ
ークレーンの一例を示す斜視図である。 ４……旋回ポスト、６……水平ブーム、７……
ウエイトビーム、１４……架台、１６……アー
ム、２２……滑車、２８……ロープ、３０……タ
ーンバツクル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 旋回ポストの上端においてブームと直交する方
   向へ水平にアームを突設し、該アームの先端部か
   ら該ブームの先端部へロープを張架したことを特
   徴とするタワークレーン。