JPH0448361Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、例えばプロペラが装着される船舶の
船尾管などの軸封に適用される軸封装置の改良に
関するものである。

［従来の技術］ 従来、この種の軸封装置においては、第２図に
例示するように、船体船尾側の互いに図示しない
ボルトにより固定された第１のハウジング１と第
２のハウジング２内に挿通される回転軸であるプ
ロペラ軸３をセグメントシール機構４で軸封して
なる構成を有するものがある。

このようなセグメントシール機構４は、第１の
ハウジング１側に固定されたノツクピン５により
シールリング６を廻り止めし、このシールリング
６の外周をガータースプリング７で保持すること
により、前記プロペラ軸３の軸周に摺接させると
ともに、このシールリング６を前記第２のハウジ
ング２側に設けた保持穴８に一端が挿入保持され
たコンプレツシヨンスプリング９の付勢力により
回転軸３の軸方向に押圧し、前記第１のハウジン
グ１側に密接させているものである。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしながら、上記した従来構造の軸封装置に
あつては、コンプレツシヨンスプリング９自体が
高荷重であつたり、シールリング６と接触するコ
ンプレツシヨンスプリング９の接触端部９ａの研
磨座が粗かつたり、あるいは、長時間使用などに
よる場合、第３図実線矢印で示すように、プロペ
ラ軸３が大きく偏心回転して、シールリング６と
コンプレツシヨンスプリング９の接触部分に大き
な摩擦力が働くと、コンプレツシヨンスプリング
９の接触端部９ａがシールリング６との接触面６
ａに喰い込み、セグメントシール機構の作動性を
低下させるばかりでなく、第２のハウジング２側
に設けた保持穴８とコンプレツシヨンスプリング
９の挿入端部９ｂとが互いに接触し合い、この状
態の長時間の繰返しにより、コンプレツシヨンス
プリング９が疲労破壊等を惹起して破損する恐れ
があり、長期に亘つて安定したシール性能を維持
することができないといつた問題があつた。

［考案の目的］ 本考案は、上記の事情のもとになされたもの
で、その目的とするところは、セグメントシール
機構の作動性を向上させるとともに、コンプレツ
シヨンスプリングの疲労破壊等による破損を防止
し、長期に亘つて安定したシール性能を維持する
ことができるようにした軸封装置を提供すること
にある。

［問題点を解決するための手段］ 上記した問題点を解決するために、本考案は、
周方向に複数個に分割した円弧状のシールリング
をその外周に嵌合したガータースプリングにより
環状に結束して回転軸の軸周に摺接させるととも
に、該シールリングを、ハウジング側に形成した
保持穴に一端が挿入保持されたコンプレツシヨン
スプリングで軸方向に付勢してハウジングの端面
に密接させてなるセグメントシール機構を備え、
前記コンプレツシヨンスプリングの押圧端が、低
摩擦係数の材料からなる有底筒状のホルダに収容
嵌着され、このホルダの外周筒部が、前記保持穴
の開口端部内周に微小な隙間を介して遊嵌されて
なる構成としたものである。

［作用］ すなわち、本考案は、上記の構成とすることに
よつて、回転軸が偏心動作しても、コンプレツシ
ヨンスプリングの押圧端に嵌着した有底筒状のホ
ルダが、シールリングと低摩擦で摺接して径方向
へのシールリングの円滑な追随動作を許容する。
また、回転軸の偏心動作によつて前記ホルダが径
方向へ引きずられても、このホルダの外周筒部
は、コンプレツシヨンスプリングを挿入保持した
ハウジングの保持穴の開口端部内周に微小な隙間
を介して遊嵌されていて殆ど変位しないので、コ
ンプレツシヨンスプリングの径方向変位も規制さ
れ、コンプレツシヨンスプリングと保持穴内面と
の摺動やかじりが防止される。

［実施例］ 以下、本考案を第１図に示す実施例を参照しな
がら説明する。なお、本考案に係る図示の実施例
において、第２図に示す従来構造の軸封装置と構
成が重複する部分は同一符号を用い、その説明は
省略する。

すなわち、本考案は、第１図に示すように、シ
ールリング６を第１のハウジング１の端面へ向け
て軸方向へ付勢するコンプレツシヨンスプリング
９の押圧端９ａを、テフロン等の低摩擦係数の材
料からなる有底筒状のホルダ１０に収容嵌着し、
このホルダ１０の外周筒部を、コンプレツシヨン
スプリング９の挿入端部９ｂが挿入保持された保
持穴８の開口端部内周に微小な隙間を介して遊嵌
してなる構成を有するもので、コンプレツシヨン
スプリング９の押圧端９ａに嵌着したホルダ１０
はシールリング６と低摩擦で摺接するので、回転
軸としてのプロペラ軸３の偏心動作に対するシー
ルリング６の円滑な追随動作が許容され、またホ
ルダ１０の外周筒部は、前記保持穴８の開口端部
内周に微小な隙間を介して遊嵌されていて径方向
には殆ど変位しないので、コンプレツシヨンスプ
リング９の径方向変位も規制され、コンプレツシ
ヨンスプリング９と保持穴８の内面との摺動やか
じりも生じない。

なお、本考案は、上記した実施例には何等限定
されないものであり、本考案の要旨を変えない範
囲で種々変更実施可能なことは勿論である。

［考案の効果］ 以上の説明から明らかなように、本考案によれ
ば、コンプレツシヨンスプリングの押圧端に嵌着
したホルダがシールリングと低摩擦で摺接するの
で、回転軸の偏心動作に対するシールリングの円
滑な追随動作を許容するとともに、このホルダが
外周筒部がスプリング保持穴の開口端部内周に微
小な隙間を介して遊嵌されていることによつて、
コンプレツシヨンスプリングの径方向変位を規制
し、前記保持穴内面に対するコンプレツシヨンス
プリングの摺動やかじりを防止して、その軸方向
伸縮作動性および耐疲労性を良好になすため、セ
グメントシール機構の作動性を向上させることが
でき、しかも、コンプレツシヨンスプリングの疲
労破壊等による破損を確実に防止することがで
き、これによつて、長期に亘つて安定したシール
性能を維持することができるというすぐれた効果
を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る軸封装置の一実施例を要
部拡大して示す概略的断面図、第２図は従来の軸
封装置の要部概略的断面図、第３図は同じく従来
のシールリングへのコンプレツシヨンスプリング
の喰いこみ込み状態を示す要部概略的断面図であ
る。 １……第１のハウジング、２……第２のハウジ
ング、３……回転軸（プロペラ軸）、４……セグ
メントシール機構、５……ノツクピン、６……シ
ールリング、７……ガータースプリング、８……
保持穴、９……コンプレツシヨンスプリング、９
ａ……押圧端、９ｂ……挿入端部、１０……ホル
ダ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 周方向に複数個に分割した円弧状のシールリン
   グをその外周に嵌合したガータースプリングによ
   り環状に結束して回転軸の軸周に摺接させるとと
   もに、該シールリングを、ハウジング側に形成し
   た保持穴に一端が挿入保持されたコンプレツシヨ
   ンスプリングで軸方向に付勢してハウジングの端
   面に密接させてなるセグメントシール機構を備
   え、前記コンプレツシヨンスプリングの押圧端
   が、低摩擦係数の材料からなる有底筒状のホルダ
   に収容嵌着され、このホルダの外周筒部が、前記
   保持穴の開口端部内周に微小な隙間を介して遊嵌
   されてなることを特徴とする軸封装置。