JPS5835891Y2 - ダストシ−ル - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は互いに偏心を生じやすい回転軸とノ・ウジング
の間に介在するダストシールに関する。

自動車のステアリング装置においては、ステアリングチ
ューブ内で回動するシャフトを支えるベアリング、及び
ステアリングギヤ部へのダストの侵入を阻止するために
特別の手段を講することが必要である。

第１図及び第２図はこの種の手段として従来使用されて
いる例を示し、例えば発泡ウレタン等のゴム状弾性材料
を用いて製作され、略円筒形状を呈するシール部材４が
、外周面をステアリングチューブ２のハウジング部３内
周面と締代を有する嵌合又は接着等の手段によって装着
され、径方向内方に設けられた２条（第１図）又は１条
（第２図）の摺接部５がシャフト１の周面と密封的に摺
動接触して、図上下方に位置するベアリング等に対して
密封作用をなす如く構成されている。

本実施例の如き構成においては、シャフトの回動に対す
る抵抗力を低くおさえるために、シャフト１周面に対す
る摺接部５の締代を大きく取ることが許されず、一方、
チューブ２とシャフト１とが互いに偏心状態となること
も免れることができないので、摺接部５とシャフト１周
面との間に隙間が生じやすく、密封機能が低下しやすい
といつ欠点を有している。

本考案は前記した従来技術の欠点を解消するために、ゴ
ム状弾性材製の略円筒形状のシール部材の内周面軸方向
両端部にシャフト周面と密封摺動するシールリップを設
けるとともに、シール部材内周面の軸方向略中央部に設
けた環状溝内にシャフト局面と摺接する合成樹脂材製の
摺動部材を嵌着させて、シール部材を貫通して摺動部材
に支承されたシャフトとシールリップとが互いに同名に
保たれることによってシール性を保持する如くなすもの
である。

以下、図面に基づいて本考案の実施例について説明する
。

第３図の実施例においてダストシールは、例えば発泡ポ
リウレタン等のゴム状弾性材料によって製作され、略円
筒形状を示すシール部材４及び例えば四弗化エチレン樹
脂等の合成樹脂材料によって製作され、環状をなす摺動
部材７から成り、シール部材４はシャフト１に貫通され
る貫通孔１１の内周面の軸方向両端側に摺動部材７を収
容するための環状溝１２を備え、該環状溝１２から軸方
向両端部へ向って内径寸法を次第に減少させて両端部の
内径寸法は、シール部材４がハウジング部３に嵌装され
ない状態においてシャフト１の外径寸法に比してやや大
きく、かつ近似して製作され、外周面１５は軸方向中央
部から両端部へ向って外径寸法を次第に増大させて、両
端部の外径寸法は、ノ・ウジング部３へ嵌装されない場
合に図上に点線を以って示す如く、ノ・ウジング部３の
内径寸法に比してやや犬なる寸法を示して嵌合部１６を
形成しており、摺動部材７はシャフト１周面と回動可能
に嵌合し得る内径寸法を有し、１箇所に径方向に切目を
入れられて「の」字形状に巻曲げされてシール部材の貫
通孔１１内に挿入され、環状溝１２内へ収容される。

前述の如く組合せられたシール部材４及び摺動部材７が
ハウジング部３に嵌装された場合は、嵌合部１６が外径
寸法を縮小させられてシールリップ１３がシャフト１周
面に対し適当に圧接して密封機能をもたらし、摺動部材
７がシャフト１を支承し、シール部材４の外周面と・・
ウジング部３の内周面の間に外部空所１７が、又、シー
ル部材４の内周面とシャフト１０周面との間に内部空所
１８がそれぞれ形成される。

第４図に示す実施例においては、シール部材４の軸方向
中央部の外周面に例えばガータースプリング等のばね手
段１９を設けて、１箇所に切目を入れられている摺動部
材７が外方に拡張させられて、シャフト１とシールリッ
プの間に偏芯を生ずることが無い様にするものである。

本考案のダストシールが前記した如き構成要件を備えて
いることにより、下記の如き作用効果がもたらされるこ
とができる。

摺動部材がシャフト局面と適当な接触圧を保って互いに
嵌合していることにより、シールリップとシャフト局面
とが互いに同名に保たれるので、シール性能は安定的に
保たれる。

第５図は摺動部材７を挿入した場合と挿入しない場合に
ついて、チューブ２に対するシャフト１の偏芯量δと、
シャフト１によるシール部材４に加えられる軸中心線に
対し直角をなす方向の荷重Ｗとの関係を実験的に求めた
もので図上に破線すを以って示される摺動部材７を用い
ない場合に比し、図上に実線ａを以って示される摺動部
材７を用いた場合の同一荷重に対する撓み量δが小さく
表われ、摺動部材７を用いることによる効果が明瞭に認
められる。

又、シャフトに対するシールリップの接触巾が狭小で締
代も左程犬でないため摺動抵抗が低く、更にシール部材
内周面に形成される空所内にグリース等の潤滑剤を封入
することができるので、此の点からもシャフトの回転に
対する摺動抵抗が低下させられる。

又、シール部材４にはハウジング部３との間に空気を介
した外部空所１７又は、ばね手段１９を介した外部空所
１７を有するから、摺動部材７によって空力弾性的にシ
ャフト１を支持すると共に、外部空所１７を形成する凹
部によってシールリップ１３のシャフト１に対する弾性
的な追随性のある変形を可能にし、シャフトの微小な偏
心に対しても常に密封効果を発揮する。

更に、シールリップ１３は嵌合部１６によって径方向へ
弾性的に支持されているから、シャフト１に対しシャー
プな面圧を形成して密封効果を発揮することが期待でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は従来技術によるダストシールの実施
例を示す断面図、第３図及び第４図は本考案によるダス
トシールの実施例を示す断面図、第５図は本考案のダス
トシールを装着する装置においてシャフトの偏芯量と偏
芯荷重との関係を示す図表である。 １・・・・・・シャフト、２・・・・・・ステアリング
チューフ、３・・・・・・ハウジング部、４・・・・・
・シール部材、５・・・・・・摺接部、７・・・・・・
摺動部材、１１・・・・・・貫通孔、１２・・・・・・
環状溝、１３・・・・・・シールリップ、１５・・・・
・・外周面、１６・・・・・・嵌合部、１７・・・・・
・外部空所、１８・・・・・・内部空所、１９・・・・
・・ばね手段。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 略円筒状を呈して軸方向両端側に嵌着用の嵌合部１６を
   有すると共に少なくとも一方の前記嵌合部１６の略径方
   向に突出したシールリップ１３を有するゴム状弾性材製
   のシール部材４を備え、前記シール部材４をハウジング
   部３とシャフト１との嵌合間に介挿して前記シール部材
   ４の前記内嵌合部１６間に空所１７を設けると共に前記
   空所１７側と反対の周面に嵌着されて相対摺動する対向
   局面と嵌合して接触する合成樹脂材製の摺動部材７を設
   けたダストシール。