JPH0447022Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は、ステアリングコラムを柔軟且つ摩擦
が少なく支持するために工夫されたステアリング
コラムの支持機構に関するものである。

〔従来技術と問題点〕

従来、自動車のステアリングコラムは、ステア
リングコラムそのものを収納している支持用スリ
ーブ内に取り付けた滑りブツシユ或いはベアリン
グで支持されていた。

然し、斯かる支持手段には二つの欠点がある。
先ず第一に、かなり強い摩擦が起きるので、ステ
アリング機構の回転が悪くなること、第二に、車
が動いている時にステアリングコラムを収納する
スリーブが受ける振動をステアリングコラム及び
ハンドルを通じて全て運転者に伝えてしまうこと
である。

〔考案の目的〕

本考案は斯かる問題点を解決するために為され
たものであり、その目的は、コンパクト、廉価、
軽量そして製造が容易で、走行中に生じる振動を
吸収し且つステアリングコラム自体が摩擦を少な
くして回転できるようにしたステアリングコラム
の支持機構を提供することにある。

〔考案の構成〕

斯かる目的を達成するために、本考案は、ステ
アリングコラムにフイツトする内部リングを備え
たロールベアリングと、該ロールベアリングを貫
通状態で収納する穴を有し、上記ステアリングコ
ラムを貫通状態で収納するスリーブの両端に取り
付けられるプレートと、該プレートと上記ロール
ベアリングとの間に直接エラストマを注入して形
成された弾力性のある環状エラストマ部材からな
り、該環状エラストマ部材は、上記プレートと上
記ロールベアリングとを一体化するとともに該プ
レートにキユアリングで拡散接合されているもの
である。

本考案においては、ステアリングコラムがフイ
ツトするロールベアリングの部位と、これを支持
するプレートとが環状エラストマ部材によつて一
体的且つ弾性的に結合されているから、ステアリ
ングコラムを貫通状態で収納するスリーブの両端
にプレートを固定することによつて、取り付ける
ことができる。又、ステアリングコラムに強い摩
擦を発生させることがなくなり、ステアリングコ
ラム或いはステアリング機構の回転が悪くなる虞
はなくなると共に、車の走行時に受けるステアリ
ングコラムを収納するスリーブの振動も、環状エ
ラストマ部材によつて吸収され、殆ど運転者には
その振動を伝達することがなくなり、安全走行を
可能とすることができる。

〔考案の実施例〕

以下、本考案の実施例を第１図乃至第３図に基
づいて説明する。

図に於て、１は例えば自動車等の公知の乗物
（簡易化のため図示せず）用のステアリングコラ
ムを示している。このステアリングコラム１はハ
ンドル２が取り付けられ、且つ公知の方法で自動
車のボデイに取り付けられるよう設計されたスリ
ーブ３上で、スリーブそのものとステアリングコ
ラム１との間に一対の支持機構４を用いて支持さ
れている。

第２図及び第３図から明らかなように、各支持
機構４は、例えば単列ボールベアリング等の市販
されている公知タイプのロールベアリング
（rolling bearing）５と、弾力性のある環状エラ
ストマ部材６と、例えば圧延型抜きしたシート状
金属から出来た硬い環状プレート７とから構成さ
れている。環状プレート７にはその中央部に穴８
が設けてあり、貫通状態でベアリング５を収納し
ている。そして、ロールベアリング５はステアリ
ングコラム１にフイツトする内部リング９と、こ
の内部リング９と同心の外部リンク１０と、両リ
ング９，１０間に設けた多数のベアリング球１１
から出来ている。ロールベアリング５は気密にな
つているのが好ましく、このためリング９，１０
の間にはベアリング球１１を保護するためのシー
ル部材１２が設けてある。

本実施例では、環状エラストマ部材６はプレー
ト７をロールベアリング５（より正確にはロール
ベアリング５のリング１０）にぴつたり結合して
単一体ユニツトを形成するように設計されてい
る。

更に、具体的に言えば、環状エラストマ部材６
はロールベアリング５と射出成形用金型内に同心
に配置されたプレート７の間に直接例えばゴム等
のエラストマを注入して成形されるので、該ロー
ルベアリング５とプレート７は、注入後キユアさ
れると、拡散接合するエラストマによつてリング
１０の外表面１３及び穴８を形成しているプレー
ト７のエツジ１５を介して自然に結合されること
になる。

プレート７は平坦で、ロールベアリング５や環
状エラストマ部材６より薄いことが好ましく、且
つ、部分的に環状エラストマ部材６に埋設されて
おり、更にエツジ１５は環状エラストマ部材６と
プレート７との間をしつかりと密着させるために
環状エラストマ部材６内に一定量嵌入している。

プレート７は支持機構４の強度を増すと同時
に、図示した実施例ではスリーブ３に支持機構４
全体を係合すると言う二重の機能を果たしてい
る。このために、プレート７には放射状に突出し
且つ一体に形成された少なくとも一対の耳状部１
６から成る結合手段が設けられている。そして、
プレート７は第１図に示すように各耳状部１６の
穴１９を通してボルト２０等の結合手段により固
定される。又、環状エラストマ部材６はボルト２
０の固定及び／又は支持機構４を組み付けるため
の位置決め部材を噛み合わせるために、第２図に
示すように耳状部１６上に切欠き部２１を備えて
いるのが好ましい。

斯して構成された本考案の実施例によれば、ス
テアリングコラム１がフイツトするロールベアリ
ング５の部位と、これを支持するプレート７とが
環状エラストマ部材６によつて一体的且つ弾性的
に結合されているから、ステアリングコラム１に
強い摩擦を発生させることがなくなり、ステアリ
ングコラム１或いはステアリング機構の回転が悪
くなる虞はなくなると共に、車の走行時に受ける
ステアリングコラム１を収納するスリーブ３の振
動も、環状エラストマ部材６によつて吸収され、
殆ど運転者にはその振動を伝達することがなくな
り、安全走行を可能にすることが出来る。

又、プレート７に環状エラストマ部材６を形成
するに際し、射出成形用金型内にセツトした状態
でエラストマを注入するので、製造が簡単である
とともにプレート７とロールベアリング５との間
にエラストマを確実に充填出来、弾性支持構造の
形成が確実に出来、以て、プレート７とロールベ
アリング５との一体化が可能となる。

更に、プレート７はスリーブ３の両端に対しボ
ルト２０を介して着脱自在に固定されるため、ス
テアリングコラム１の組付が簡便となる。

〔考案の効果〕

以上のように本考案によれば、一体ユニツトと
して作られるので、ステアリングコラムの組み立
て、取り外しが容易である。更に、環状エラスト
マ部材と強化結合用プレートを組み合わせたこと
により、自動車のステアリングコラムを柔軟且つ
摩擦を少なくして支持することが出来るととも
に、ハンドルに伝わる走行振動の量を減らし、更
にコンパクト、廉価な支持機構の提供を可能にす
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に於ける支持機構を
取り付けたステアリングコラムを示す拡大図、第
２図は第１図に於ける支持部材の正面図、第３図
は第２図の−線に沿う断面図である。 １……ステアリングコラム、２……ハンドル、
３……スリーブ、４……支持機構、５……ロール
ベアリング、６……環状エラストマ部材、７……
環状プレート、８……穴、９，１０……リング、
１１……ベアリング球、１５……エツジ、１６…
…耳状部、１９……穴、２０……ボルト、２１…
…切欠き部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) ステアリングコラムにフイツトする内部リン
   グを備えたロールベアリングと、該ロールベア
   リングを貫通状態で収納する穴を有し、上記ス
   テアリングコラムを貫通状態で収納するスリー
   ブの両端に取り付けられるプレートと、該プレ
   ートと上記ロールベアリングとの間に直接エラ
   ストマを注入して形成された弾力性のある環状
   エラストマ部材とからなり、該環状エラストマ
   部材は、上記プレートと上記ロールベアリング
   とを一体化するとともに該プレートにキユアリ
   ングで拡散接合されていることを特徴とするス
   テアリングコラムの支持機構。 (2) プレートは、平坦で、ロールベアリング及び
   環状エラストマ部材よりも薄いことを特徴とす
   る実用新案登録請求の範囲第１項記載のステア
   リングコラムの支持機構。 (3) プレートは、部分的に環状エラストマ部材の
   中に埋設されていて、ロールベアリングを収納
   する穴を形成しているプレートの内側端部は環
   状エラストマ部材内に一定量嵌入していること
   を特徴とする実用新案登録請求の範囲第２項記
   載のステアリングコラムの支持機構。 (4) 環状エラストマ部材は、ゴムで出来ているこ
   とを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１
   項、第２項又は第３項記載のステアリングコラ
   ムの支持機構。 (5) プレートには支持機構をスリーブの両端に固
   定する手段が備えられていることを特徴とする
   実用新案登録請求の範囲第１項、第２項、第３
   項又は第４項記載のステアリングコラムの支持
   機構。