JPH0445487Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本考案は穀稈を刈取脱穀するコンバインにおけ
る排藁カバーに関する。

(ロ) 従来技術 一般に、脱穀装置の排桿口の下手側に排藁搬送
体を配設して排藁排出経路に構成したコンバイン
は、安全対策上、排藁排出経路上はもとより、側
面をも上面カバーと側面カバーとで覆う必要があ
る。

そして、上面カバーは詰りを除去するか、又は
排藁搬送体を整備点検するような場合以外は開放
する必要がないが、作業中、排稈の株元部が側方
へ突出して移動するので、側面カバーは株元部の
移動の邪魔にならないように開放状態にしなけれ
ばならない。

従来、前記側面カバーを路上走行及び格納する
場合のような非作業時に閉じる状態と作業時に開
放する状態とに変更すべく、側面カバーの下部を
枢支して起立した閉鎖姿勢と、外方へ倒伏させた
開放姿勢とに切換固定する第１の方法と、側面カ
バーの上部を上面カバーの外側に回動自在に枢着
して垂下させ、排藁排出時には排藁の株元部が側
方へ押し出し、非作業時には垂下姿勢にして固定
する第２の方法が提案された。

(ハ) 考案が解決しようとする問題点 前述の第１の方法は切換固定操作が面倒であ
り、かつ、側面カバーを開放することを忘れて作
業を行なうと、詰りや側面カバーが破損し、ま
た、第２の方法は排藁が穂部側に寄せ送られるよ
うに斜設された排藁搬送チエンと挟持レールとに
より寄せ送られると、株元部から分岐した藁の葉
が側面カバーの下縁に引掛かつて穂側へ無理に引
張るため、側面カバーが破損することがあり、こ
の現象は湿田で穀稈引起刈取時に株が抜き取られ
て株元部に根や土が付着したまま脱穀装置に供給
されると、更に著しく発生する。

(ニ) 問題を解決するための手段 本考案は、排稈口に続く排藁排出経路に、排藁
搬送装置を後部が穂側へ偏位するように斜設し、
その上方に上面カバーを設けたコンバインにおい
て、前記上面カバーの株元側に側面カバーの上部
を回動自在に軸支して吊下げ、弾性体からなりか
つ自由状態で略上下方向に起立する支持板を、前
記上面カバーの外側に立設し、該支持板の上端を
前記側面カバーの内側面に圧接することにより前
記問題点を解決した。

(ホ) 作用 刈取搬送された穀稈が脱穀装置により脱穀され
て排稈になつて排稈口から排出されると、排藁搬
出経路の排藁搬送体に受け継がれて搬出される。

その際、排稈の株元部は側面カバーを外側方へ
押し出す。この時、弾性体からなる支持板は側面
カバーを外方へ押圧付勢しているので、株元部の
押し出し作用により上部を中心として極めて容易
に外側上方へと回動し、それにともなつて前記支
持板の側面カバーに対する当接位置が基部側から
先端側へ離れて枢支点との距離が次第に大になる
ので、支持板自体の押圧力は減少するが枢支点と
の距離が拡大されることにより側面カバーが上昇
回動し、支持板は側面カバーを側方へ張り出した
状態で支持し、排稈の横移動を阻害することがな
く、刈取脱穀作業が終つた時支持板を内方へ軽く
押すだけで支持板は自動的に下降回動して排藁搬
出経路の側面を覆う。

(ヘ) 実施例 本考案の一実施例を図面について説明すると、
１は走行装置を有する機台の一側寄りに搭載した
自脱型の脱穀装置であつて、その前部には刈取装
置２と穀稈搬送装置３とからなる前処理装置４を
上下傾動可能に装着し、後部にはカツター５又は
結束装置等の排藁処理装置が取付けてあり、機台
の他側には前部から順に操作盤６、操縦席７及び
籾処理部８等が配設してある。

また、扱口の外側に沿つてフイードチエン９と
挟扼レール１０を併設し、排稈口１１の後方の排
塵室の天板上には後部が穂側に偏位していて排藁
搬送チエン１２と排藁ベルト１３とからなる排藁
搬送装置で排藁搬出経路を構成して株元部がフイ
ードチエン９と挟扼レール１０により挟持搬送さ
れて排稈口１１から排出された排藁を斜め後方へ
搬出してカツター５により細断する。

そして、前記排藁搬送装置の上面は脱穀カバー
に続く上面カバー１４に覆われており、該上面カ
バー１４は第２図に示すように扱口と対向する部
位では、株元側が一体的に垂下しているが排稈口
１１より後方、つまり、排藁排出経路と対応する
部位では同上図に点線で示すように切欠して排稈
の株元部が突出するようになつており、排藁排出
経路の株元側を覆う側面カバー１５はその前部と
後部の上縁部を上面カバー１４の垂下部外側に支
点ピン１６，１６にて上下回動自在に装着し、前
記上面カバー１４の垂下部の後端下部（排稈口と
対応する部位）には第２図及び第３図に示すよう
に上部に折曲部１７ａを有すると共に弾性体で構
成された支持板１７の下部を螺着し、該支持板１
７は自由状態では第３図に点線で示すように略垂
直に起立し、その上端は側面カバー１５の基部寄
り内側面に圧接している。

前述のコンバインにおいて、前処理装置４によ
り刈取搬送されて脱穀装置１に供給された穀稈は
フイードチエン９と挟扼レール１０とにより挟持
搬送されている間に脱穀装置１により脱穀処理さ
れ、前記フイードチエン９の終端まで搬送されて
排稈口１１から排出された排稈は、排藁搬送チエ
ン１２と排藁ベルト１３の始端に継送される。

その時、前記側面カバー１５の前部は後方が次
第に外方へ張り出すように幅広になつているの
で、排稈の株元部により押し出され、第３図に実
線で示すように内側へ押し曲げられている支持板
１７はその復元力により側面カバー１５を押し出
して斜め外側上方へ向かう回動を助長し、側面カ
バー１５が上昇回動するにつれて支持板１７は第
４図に示すＡ位置からＢ位置へ、更に、Ｃ位置へ
と回動するが、支持板１７の上端が側面カバー１
５に当接する部位と支点ピン１６との間隔ｌはl1
→l2→l3へと次第に大になり、支持板１７の弾性
力にともなう押し出し力は起立するにつれ順次弱
くなるが、前記間隔ｌが次第に大になることと支
持板１７の回転軌跡と側面カバー１５の下面との
角度が小さくなつて滑り易くなることとが相俟つ
て、支持板１７が略直立した姿勢に復元し、側面
カバー１５は前記Ｃ位置に保持され、排藁排出経
路の側面が開放状態に保持される。

この実施例では前記支持板１７を上面カバー１
４の前部、即ち、排稈口１１の側方の垂下部１１
ａに螺着したが、上面カバー１４の後端部はカツ
ター５の後部上方に臨んでいて排稈株元部の移動
の障害にならないので、上面カバー１４の側部後
端から板を一体的に垂下させ、この板に前記支持
板１７を前述の実施例と同様に螺着しても同じ作
用が得られる。

(ト) 考案の効果 本考案は、前述のように排稈口１１に続く排藁
排出経路に排藁搬送装置を後部が穂側へ偏位する
ように斜設し、その上方に上面カバー１４を設け
たコンバインにおいて、前記上面カバー１４の株
元側に側面カバー１５の上部を回動自在に軸支し
て吊下げ、弾性体からなりかつ自由状態で略上下
方向に起立する支持板１７を、前記上面カバー１
４の外側に立設し、該支持板１７の上端を前記側
面カバー１５の内側面に圧接したので、路上走行
時又は格納時等の非作業時には、排藁排出経路の
側面を覆つて安全性を確保することができるもの
でありながら、刈取脱穀作業時に排稈の株元部が
側面カバー１５を押し開く時、支持板１７は側面
カバー１５の上昇回動を助長し、それにより側面
カバー１５を自動的に開放作動させることがで
き、側面カバー１５を開放する操作をしなくと
も、側面カバー１５の開放忘れによる藁の詰りや
側面カバー１５の破損を防止することができる。

また、側面カバー１５が一旦開放姿勢になる
と、支持板１７が開放状態に保持するので、湿田
における作業時に穀稈が圃場から株ごと引き抜か
れても側面カバー１５は前記のように開放状態に
保持されていて排稈が穂側へ移動するのを阻害す
ることがなく、円滑な排稈搬送を行なうことがで
きると共に側面カバー１５の破損を防止すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すものであつて、
第１図はコンバインの平面図、第２図は要部の側
面図、第３図は同上横断面図、第４図は支持板の
作用図である。 １……脱穀装置、４……前処理装置、１４……
上面カバー、１５……側面カバー、１６……支点
ピン、１７……支持板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 排稈口１１に続く排藁排出経路に排藁搬送装置
   を後部が穂側へ偏位するように斜設し、その上方
   に上面カバー１４を設けたコンバインにおいて、
   前記上面カバーの株元側に側面カバー１５の上部
   を回動自在に軸支して吊下げ、弾性体からなりか
   つ自由状態で略上下方向に起立する支持板１７
   を、前記上面カバー１４の外側に立設し、該支持
   板１７の上端を前記側面カバー１５の内側面に圧
   接したことを特徴とするコンバインにおける排藁
   カバー。