JPH0443207Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案は自動血圧測定装置に関し、特に、その
圧力調節装置の異常を検出する技術に関するもの
である。

従来の技術およびその課題 生体の一部を圧迫する圧迫装置と、その圧迫装
置の圧迫圧力を所定の速度で徐々に降下させる圧
力調節装置とを備え、血圧測定に先立つて上記圧
迫装置の圧迫圧力を生体の最高血圧値より所定圧
高い値まで昇圧させた後、前記圧力調節装置によ
る圧迫装置の降圧過程で得られる脈拍同期波に基
づいて生体の血圧値を自動測定する形式の自動血
圧測定装置が知られている。このような自動血圧
測定装置では、圧力調節装置の異常により、圧迫
装置の徐速排気過程において圧力が全く降下しな
いか或いは極めて僅かにしか降下しない場合があ
り、このような場合には生体の一部が圧迫装置に
より長時間にわたつてしかも最高血圧値付近の高
い圧力で不要に圧迫され続けるため、高圧力での
長時間の圧迫により生体に苦痛を強いるだけでな
く、鬱血を発生させる場合がある。また生体の運
動中における血圧測定に際しては、血圧測定に先
立つて圧迫装置が昇圧される最高加圧点の圧力が
非運動時に比較して生体の最高血圧値より大幅に
高く設定されるようになつているため、このよう
な場合には上記不都合が顕著となる。

本考案は以上の事情を背景として為されたもの
であり、その目的とするところは、圧力調節装置
の異常に起因して生体の一部が圧迫装置により高
圧力で圧迫され続けることが防止される自動血圧
測定装置を提供することにある。

課題を解決するための手段 斯かる目的を達成するための、本考案の要旨と
するところは、生体の一部を圧迫する圧迫装置
と、その圧迫装置の圧迫圧力を所定の速度で徐々
に降下させる圧力調節装置とを備え、血圧測定に
先立つて上記圧迫装置の圧迫圧力を前記生体の最
高血圧値より所定圧高い値まで昇圧させた後、前
記圧力調節装置による圧迫装置の降圧過程で得ら
れる脈拍同期波に基づいて前記生体の血圧値を自
動測定する形式の自動血圧測定装置であつて、(a)
前記圧力調節装置による圧迫圧力の降圧開始時点
から予め設定された設定時間経過時点までの上記
圧迫圧力の降圧量を算出する降圧量算出手段と、
(b)その降圧量算出手段により算出された前記圧迫
圧力の降圧量と予め定められた目標降圧量とを比
較し、圧迫圧力の降圧量が上記目標降圧量に達し
ないとき、前記圧力調節装置の異常と判定する異
常判定手段と、(c)その異常判定手段により前記圧
力調節装置の異常が判定された場合には、前記圧
迫装置内を急速に排圧する急速排圧手段とを、含
むことにある。

作 用 このようにすれば、血圧測定に際して圧迫装置
が生体の最高血圧値より所定圧高い値まで昇圧さ
せられた後、実際に血圧値が決定される過程、す
なわち圧迫調節装置により圧迫装置が徐々に降圧
させられる際には、降圧量算出手段により圧迫圧
力の降圧開始時点から予め設定された設定時間経
過時点までの圧迫圧力の降圧量が算出される一
方、異常判定手段により、前記圧迫圧力の降圧量
と予め定められた目標降圧量とが比較されるとと
もに、圧迫圧力の降圧量が目標降圧量に達しない
ことを以て上記圧力調節装置が異常と判定され
る。そして、急速排圧手段により、上記圧力調節
装置の異常との判定に基づいて圧迫装置内が急速
に排圧される。

考案の効果 従つて、実際の血圧測定の際に徐速排気弁の詰
まりや作動不良などの圧力調節装置の異常に起因
して圧迫装置の降圧量が正常時より得られなくな
つた場合には、圧迫装置内が急速排圧された生体
が直ちに解放される。このため、生体の一部が長
時間にわたつて、しかも非運動時の血圧測定では
生体の最高血圧値付近の高い圧力付近で、また運
動中の血圧測定では最高血圧値より大幅に高い高
圧力付近で不要に圧迫され続けることが防止され
て、高圧力下での長時間の圧迫により生体に苦痛
を強いたり、鬱血を生じさせることが全く解消さ
れる。

実施例 以下、本考案の一実施例を示す図面に基づいて
詳細に説明する。

第１図は本考案が適用された自動血圧測定装置
の制御回路を示す図である。図において、１０
は、本実施例の圧迫装置を構成するものであつ
て、被測定者の上腕部等に巻回されるゴム製袋状
のカフである。カフ１０には、圧力センサ１２、
空気ポンプ１４、徐速排気用の絞り１６および電
磁弁１８、急速排気用の電磁弁２０が配管２２を
介してそれぞれ接続されている。本実施例におい
ては、徐速排気用の絞り１６および電磁弁１８が
圧力調節装置を構成する。圧力センサ１２はカフ
１０内の圧力を表す圧力信号SPを図示しない増
幅器により増幅して静圧弁別回路２４へ供給す
る。静圧弁別回路２４は、圧力信号SPに含まれ
る定常的な圧力を表す信号を弁別することによ
り、カフ１０内の圧力Ｐ（静圧）を表すカフ圧信
号SKをＡ／Ｄ変換器２６を介してCPU２８へ供
給する。

カフ１０にはマイクロフオン３０が取り付けら
れている。マイクロフオン３０は、カフ圧Ｐの変
化に伴つて被測定者の上腕部等から心拍に同期し
て発生する脈音（コロトコフ音、以下、Ｋ音とい
う）を検出し、Ｋ音信号SOを帯域フイルタ３２
へ供給する。したがつて、本実施例においては、
この脈音が脈拍同期波に相当している。帯域フイ
ルタ３２は、たとえば30〜80Hz程度の周波数成分
を有する信号を通過させるものであつて、通過し
たＫ音信号SOをＡ／Ｄ変換器３４を介してCPU
２８へ供給する。

CPU２８は、データバスラインを介してROM
３６、RAM３８、血圧表示器４０、および出力
インタフエース４２とそれぞれ連結されており、
ROM３６に予め定められたプログラムに従つて
RAM３８の記憶機能を利用しつつ信号処理を実
行し、空気ポンプ１４および電磁弁１８，２０へ
出力インタフエース４２を介して駆動信号を出力
するとともに、一連の血圧測定動作を実行し、前
記Ｋ音信号SOおよびカフ圧信号SK等に基づいて
血圧値を決定し且つその血圧値を血圧表示器４０
に表示させる。また、CPU２８は、前記データ
バスラインを介して表示器４４と接続されてお
り、血圧測定時に前記圧力調節装置を異常と判定
したときには、その旨の所定の表示を表示器４４
に表示させる。

以下、本実施例の作動を第２図のフローチヤー
トに従つて説明する。

電源が投入されると、ステツプＳ１の初期処理
が実行されるとともに、ステツプＳ２が実行され
て、測定開始押ボタンスイツチ４６が操作された
か否かに基づいて血圧測定が開始されたか否かが
判断される。この判断が否定された場合にはステ
ツプＳ２が繰り返し実行されて待機状態とされる
が、ステツプＳ２の判断が肯定された場合には続
くステツプＳ３が実行されて、両電磁弁１８，２
０が閉じられるとともに空気ポンプ１４が駆動さ
れることにより、カフ１０内の昇圧が開始され
る。続くステツプＳ４においては、カフ圧Ｐが予
め定められた一定の目標カフ圧Pmを超えたか否
かが判断される。この目標カフ圧Pmは被測定者
の最高血圧値よりも充分に高い圧力であつて、運
動中における血圧測定に際してはたとえば前回測
定された最高血圧値より50mmHg程度高い値に設
定される。カフ圧Ｐが目標カフ圧Pmを未だ超え
ていないときにはステツプＳ３およびＳ４が繰り
返し実行されるが、カフ圧Ｐが目標カフ圧Pmを
超えたときにはステツプＳ５が実行されることに
より、空気ポンプ１４が停止させられるとともに
電磁弁１８が開かれて、カフ１０内が予め定めら
れた所定の速度にて降圧させられる。

次に、ステツプＳ６が実行されると、カフ１０
の降圧開始直後のカフ圧Paが読み込まれるとと
もに、ステツプＳ７が実行されることにより、タ
イマカウンタＴが予め定められた一定値Ａに達し
たか否かが判断される。この一体値Ａは、圧力調
節装置の異常を一層確実に判定し得るように且つ
圧力調節装置の異常に伴う被測定者の上腕部等の
圧迫による苦痛をなるべく早期に解除し得るよう
に、前記運動中における血圧測定に際してはたと
えば20秒程度の時間に相当する値に設定される。
当初は一定値Ａに達しないので、続くステツプＳ
８が実行されてタイマカウンタＴの計数内容に１
が加えられるとともに、ステツプＳ９の血圧値測
定ルーチンが実行される。この血圧値測定ルーチ
ンにおいては、カフ圧Ｐの降圧過程において前記
Ｋ音信号SOが逐次採取されるとともに、そのＫ
音信号SOとＫ音信号SOが採取されたときのカフ
圧信号SK等に基づいて最高血圧値および最低血
圧値などを決定するための良く知られた血圧値決
定ルーチンが実行されることにより、最高血圧値
および最低血圧値などが決定される。次いで、ス
テツプＳ１０においては、血圧測定が完了したか
否かが判断される。血圧測定が完了したと判断さ
れた場合には、続くステツプＳ１１が実行され
て、最高血圧値および最低血圧値などが血圧表示
器４０に表示されるとともに、電磁弁２０が開か
れてカフ１０内が速やかに排圧される。次に、ス
テツプＳ１２が実行されて前記タイマカウンタＴ
の計数内容がクリアされた後、ステツプＳ２にリ
ターンさせられて測定待機状態とされる。一方、
ステツプＳ１０において血圧測定が未だ完了して
いないと判断された場合には、ステツプＳ１０の
判断が肯定されるまで上記ステツプＳ７乃至Ｓ１
０が繰り返し実行される。

上記ステツプＳ７において、タイマカウンタＴ
の計数内容が前記一定値Ａに達したと判断された
場合には、ステツプＳ１３が実行されることによ
り、そのときのカフ圧Pbが読み込まれるととも
に、続くステツプＳ１４においてタイマカウンタ
Ｔの計数内容がクリアされる。次に、ステツプＳ
１５が実行されると、前記カフ圧PaとPbとの差
が算出されて、一定時間Ａ当たり（本実施例にお
いては20秒当たり）の圧力Ｐの降圧量ΔPが求め
られる。したがつて、本実施例においては、この
ステツプＳ１５が降圧量算出手段に相当する。次
いで、ステツプＳ１６が実行されることにより、
その降圧量ΔPが予め定められた目標降圧量ΔPm
より小さいか否かが判断される。この目標降圧量
ΔPmは、前記一定時間が20秒である場合におい
ては、たとえば40mmHg程度の値である。ステツ
プＳ１６の判断が否定された場合には、カフ圧Ｐ
の降圧開始時点からＡ時間経過経過時点までの降
圧量ΔPが正常であると判断されて、上記ステツ
プＳ９およびＳ１０が実行される。すなわち圧力
調節装置である絞り１６および電磁弁１８が正常
に作動していると判断されるのである。この場合
において、血圧測定が完了していない場合には、
タイマカウンタＴの計数内容が前記一定値Ａに達
するまだ再びステツプＳ７乃至Ｓ１０が繰り返し
実行されるとともに、タイマカウンタＴの計数内
容が一定値Ａに達したときには上述の場合と同様
にステツプＳ１３以降が実行される。一方、ステ
ツプＳ１６の判断が肯定された場合には、カフ圧
Ｐの降圧開始時点からＡ時間経過経過時点までの
降圧量ΔPが異常に小さいと判断されてステツプ
Ｓ１７が実行される。すなわち圧力調節装置であ
る絞り１６および電磁弁１８の異常と判断された
のであり、この場合にはステツプＳ１７において
圧力調節装置の異常を示す所定の表示が表示器４
４に表示される一方、その時点で血圧測定が終了
させられるとともに電磁弁２０が開かれてカフ１
０内が速やかに排圧される。したがつて、本実施
例においては、ステツプＳ１６が異常判定手段に
相当し、ステツプＳ１７が急速排圧手段に相当す
る。

上述のように、本実施例の血圧測定装置によれ
ば、実際の血圧測定に際して絞り１６の詰まりや
電磁弁１８の作動不良などの圧力調節装置の異常
に起因してカフ１０の降圧量が正常時より得られ
なくなつた場合には、カフ１０内が急速排圧され
て生体が直ちに解放される。このため、生体の一
部が長時間にわたつて、しかも非運動時の血圧測
定では生体の最高血圧値付近の高い圧力付近で、
また運動中の血圧測定では最高血圧値より大幅に
高い高圧力付近で不要に圧迫され続けることが防
止されて、高圧力下での長時間の圧迫により生体
に苦痛を強いたり、鬱血を生じさせることが全く
解消される。

また、本実施例では、ステツプＳ１５により求
められた圧迫圧力の降圧開始から予め設定された
所定時間Ａが経過した時点までの圧迫圧力の降圧
量と、予め定められた一定の目標降圧量ΔP_nとが
ステツプＳ１６において比較されることにより圧
力調節装置の異常が判断されるので、カフ圧の微
分波形に基づいてカフ圧変化速度が異常であるか
否かを判断する場合に比較して、カフ圧信号に含
まれる脈波やノイズの影響を受け難く、異常判定
の高い信頼性が得られる。

以上、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
したが、本考案はその他の態様においても実施さ
れ得る。

たとえば、前述の実施例においては、一個のタ
イマカウンタを使用して一定時間経過後毎に圧力
調節装置の異常の有無を判断するように構成され
ているが、必ずしもその必要はなく、たとえば、
複数のタイマカウンタを使用し、各一定時間が互
いに重複するように所定時間ずれた状態で各タイ
マカウンタをそれぞれ作動させ、各タイマカウン
タの満了毎に圧力調節装置の異常の有無を判断す
るようにしても良い。この場合においては、前記
異常の有無を一層早期に判断し得る利点がある。

また、前記圧力調節装置は、弁機構を含まず所
定のオリフイス機構のみから成るものであつても
良い。

また、前述の実施例では、圧力調節装置が異常
と判断された場合に表示器４４にその旨の表示が
為されるように構成されているが、かかる異常表
示は必ずしも必要なものではなく、削除しても本
考案の効果が得られる。

また、前述の実施例では、脈拍同期波として脈
音を採用する所謂Ｋ音方式による自動血圧測定装
置に本考案が適用された場合について説明した
が、脈拍同期波として脈波を採用する所謂オシロ
メトリツク方式の自動血圧測定装置においても本
考案を適用し得ることは勿論である。

その他、本考案はその趣旨を逸脱しない範囲に
おいて種々変更が加えられ得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案が適用された自動血圧測定装置
の制御回路の要部を示す図である。第２図は第１
図の装置の作動を説明するためのフローチヤート
である。 １０……カフ（圧迫装置）、｛１６……絞り、１
８……電磁弁｝（圧力調節装置）、ステツプＳ１５
……（降圧量算出手段）、ステツプＳ１６……
（異常判定手段）、ステツプＳ１７……（急速排圧
手段）。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 生体の一部を圧迫する圧迫装置と、該圧迫装置
   の圧迫圧力を所定の速度で徐々に降下させる圧力
   調節装置とを備え、血圧測定に先立つて該圧迫装
   置の圧迫圧力を前記生体の最高血圧値より所定圧
   高い値まで昇圧させた後、前記圧力調節装置によ
   る圧迫装置の降圧過程で得られる脈拍同期波に基
   づいて前記生体の血圧値を自動測定する形式の自
   動血圧測定装置であつて、 前記圧力調節装置による圧迫圧力の降圧開始時
   点から予め設定された設定時間経過時点までの該
   圧迫圧力の降圧量を算出する降圧量算出手段と、 該降圧量算出手段により算出された前記圧迫圧
   力の降圧量と予め定められた目標降圧量とを比較
   し、該圧迫圧力の降圧量が該目標降圧量に達しな
   いとき、前記圧力調節装置を異常と判定する異常
   判定手段と 該異常判定手段により前記圧力調節装置の異常
   が判定された場合には、前記圧迫装置内を急速に
   排圧する急速排圧手段と、 を含むことを特徴とする自動血圧測定装置。