JP2525357Y2 - 血圧モニタ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は血圧モニタ装置に関するものである。

従来の技術 生体を圧迫するカフ等の圧迫装置を備え、その圧迫装
置を所定圧まで昇圧させた後、その圧迫装置の圧力の変
化過程で得られるコロトコフ音信号または脈波信号に基
づいてその生体の血圧値を測定し、この血圧測定を予め
設定された所定の周期で繰り返す形式の血圧モニタ装置
が知られている。斯かる血圧モニタ装置においては、手
術中や手術後などのように生体の血圧値を頻繁に把握す
る必要がある場合には血圧測定周期を比較的短く設定
し、一般病棟の患者などのように生体の容態が比較的安
定している場合には血圧測定周期を比較的長く設定する
ことが行われている。

考案が解決しようとする課題 ところで、上記のような手術中や手術後などの緊急時
においては、血圧測定周期を短くするだけでなく、圧迫
装置を速やかに昇圧して各血圧測定サイクル毎に出来る
だけ早く血圧値を測定することが望まれる。

一方、生体の容態が安定していて血圧測定周期が長く
される場合には、各血圧測定サイクル毎に血圧値をそれ
程早く知る必要はないため、圧迫装置をゆっくりと昇圧
して、生体への負担を軽減し且つ圧迫装置の圧迫により
生体表面に鬱血斑が生じるのを防止することが望まれ
る。このことは、特に、一般病棟などにおいて血圧値を
長期間に亘ってモニタする場合には重要なことである。

しかしながら、従来の血圧モニタ装置においては、緊
急時も容態が安定しているときも圧迫装置の昇圧速度は
一定であるため、緊急時や容態の安定時において上記の
要望を共に満たすことは困難であった。

本考案は以上の事情を背景として為されたものであっ
て、その目的とするところは、緊急時においては血圧測
定サイクル毎に早く血圧測定し得るとともに容態安定時
においては生体にそれ程負担を与えたり鬱血斑を生じた
りすることのない血圧モニタ装置を提供することにあ
る。

課題を解決するための手段 上記目的を達成するための本考案の要旨とするところ
は、生体を圧迫する圧迫装置を備え、その圧迫装置を所
定圧まで昇圧させた後、その圧迫装置の圧力の変化過程
でその生体の血圧値を測定し、この血圧測定を予め設定
された所定の周期で繰り返す形式の血圧モニタ装置にお
いて、前記血圧測定の周期が短くなるほど前記圧迫装置
の昇圧速度を速くさせる昇圧速度変更手段を設けたこと
にある。

作用および考案の効果 このようにすれば、血圧モニタに先立って予め設定さ
れた血圧測定周期が短くなるほど、昇圧速度変更手段に
より、生体を圧迫する圧迫装置の昇圧速度が速くされる
ので、手術中や手術後などのような緊急時において血圧
測定周期が比較的短く設定されたときには、圧迫装置の
昇圧速度を比較的速くすることにより、血圧測定時間を
好適に短縮し得、これにより、緊急時において各血圧測
定サイクル毎に血圧値を速やかに知ることができる。こ
の場合において、手術中や手術後の生体は麻酔状態にあ
ることが多く、このような場合には圧迫装置の昇圧速度
を速くしても生体が苦痛を感ずることはないのである。

一方、それ程緊急性がないため血圧測定周期が比較的
長く設定されたときには、圧迫装置の昇圧速度を比較的
遅くすることにより、生体に苦痛を与えたり圧迫装置に
より圧迫される生体表面に鬱血斑を生じたりするのを好
適に防止し得る。この場合において、圧迫装置を昇圧す
るポンプの回転速度を低くすることによりその圧迫装置
の昇圧速度が遅くされる場合には、そのポンプの作動音
が抑制されるため、たとえば、一般病棟において夜間に
ポンプの作動音により睡眠が妨害されるのを防止し得
る。

実施例 以下、本考案の一実施例を図面に基づいて詳細に説明
する。

第２図は本考案が適用された血圧モニタ装置の構成を
示す回路図であって、10は、人体の上腕部等に巻回され
るゴム製袋状のカフである。カフ10には、ポンプ駆動制
御回路12によって回転速度が制御される空気ポンプ16が
配管14を介して接続されている。ポンプ駆動制御回路12
は、後述の出力イタフェース42から出力される駆動信号
に基づいて空気ポンプ16の回転速度をたとえば２段階に
変化させることにより、空気ポンプ16から圧送される空
気によりカフ10内が比較的緩やかな速度で昇圧させられ
たり、或いはカフ10内が比較的速い速度で昇圧させられ
て、カフ10により前記上腕部等が圧迫されるようになっ
ている。本実施例においては、上記カフ10が圧迫装置を
構成している。

上記配管14には、圧力センサ18,急速排気弁20,および
徐速排気弁22がそれぞれ並列に接続されている。圧力セ
ンサ18は、カフ10内の圧力を表す圧力信号SPを静圧弁別
回路24へ供給する。静圧弁別回路24はローパスフィルタ
を備えており、圧力信号SPに含まれる定常的な圧力を表
すカフ圧信号SKを弁別してそのカフ圧信号SKをA/D変換
器26を介してCPU28へ供給する。

カフ10には、更に、マイクロフォン30が設けられてい
る。マイクロフォン30は、被測定者の上腕部等から発生
する脈音（コロトコフ音）を検出し、そのコロトコフ音
を表すコロトコフ音信号SOを帯域フィルタ32へ供給す
る。帯域フィルタ32は、たとえば30〜80Hz程度の周波数
成分を有する信号を通過させるものであって、通過した
コロトコフ音信号SOをA/D変換器34を介してCPU28へ供給
する。CPU28には、血圧モニタに先立って血圧測定の周
期を設定するための設定器35が接続されており、この設
定器35から血圧測定周期を表す周期信号STがCPU28へ供
給されるようになっている。

CPU28は、データバスラインを介してROM36,RAM38,表
示器40,および出力インタフェース42と連結されてお
り、RAM38の記憶機能を利用しつつROM36に予め記憶され
たプログラムに従って入力信号を処理し、ポンプ駆動制
御回路12や、急速排気弁20および徐速排気弁22をそれぞ
れ駆動するための図示しない駆動回路へ出力インタフェ
ース42から駆動信号をそれぞれ出力することにより、空
気ポンプ16,急速排気弁20,および徐速排気弁22を制御す
る一方、一連の血圧測定動作を実行し、コロトコフ音信
号SOおよびカフ圧信号SK等に基づいて血圧値を決定し且
つその血圧値を表示器40に表示させる。

次に、以上のように構成された血圧モニタ装置の作動
を第１図のフローチャートに従って説明する。

電源が投入されると、初期処理（図示せず）が実行さ
れた後、ステップS1が実行されて図示しない起動スイッ
チがON操作されたか否かが判断される。この判断が否定
されると待機状態とされるが、肯定された場合には、ス
テップS2が実行されて血圧の測定周期Tmが設定されてい
るか否かが判断される。ステップS2の判断が否定された
場合には待機状態とされるが、肯定された場合にはステ
ップS3が実行される。このステップS3においては、設定
された測定周期Tmがたとえば10分以上であるか否かが判
断される。この判断が肯定された場合には、カフ10内の
昇圧をゆっくりと行うためにステップS4にて第１昇圧速
度が選択された後ステップS6が実行されるが、ステップ
S3の判断が否定された場合には、カフ10内の昇圧を速や
かに行うためにステップS5にて第１昇圧速度よりも速い
第２昇圧速度が選択された後ステップS6が実行される。

上記ステップS6においては、急速排気弁20および徐速
排気弁22が共に閉状態とされるとともに、ステップS4ま
たはS5で選択された昇圧速度となるように空気ポンプ16
がポンプ駆動制御回路12によって駆動されることによ
り、カフ10内の昇圧が開始される。したがって、本実施
例においては、上記ステップS3乃至ステップS5および上
記ポンプ駆動制御回路12が昇圧速度変更手段に対応す
る。次に、ステップS7が実行されることにより、カフ10
の昇圧開始後の経過時間を計数するために、図示しない
タイマの計数がスタートさせられる。ステップS8におい
ては、カフ10内の圧力が予め定められた一定の目標カフ
圧（たとえば180mmHg）に達したか否かが判断され、未
だ達しない場合にはステップS8が繰り返し実行される
が、目標カフ圧に達すると続くステップS9が実行され
る。ステップS9においては、空気ポンプ16が停止させら
れ且つ徐速排気弁22が開状態とされて、カフ10内の緩や
かな降圧が開始される。次いで、ステップS10が実行さ
れて、カフ10内の徐速降圧過程でコロトコフ音信号SOが
検出されたか否かが判断される。この判断が否定された
場合にはステップS10が繰り返し実行されるが、肯定さ
れた場合には、検出されたコロトコフ音信号SOの大きさ
がその時のカフ圧を表すカフ圧信号SKの大きさと共にRA
M38に記憶された後、ステップS11の血圧値決定ルーチン
が実行される。

上記血圧値決定ルーチンにおいては、コロトコフ音の
発生および消滅に基づいて最高血圧値および最低血圧値
などの血圧値を決定するための良く知られた血圧値決定
アルゴリズムが実行され、これにより、最高血圧値およ
び最低血圧値などの血圧値が決定される。続くステップ
S12においては、血圧測定が完了したか否かが判断され
る。未だ完了していない場合には、上記ステップS10乃
至ステップS12が繰り返し実行されるが、血圧測定が完
了した場合には、ステップS13が実行されて、測定され
た血圧値が表示器40に表示されるとともに急速排気弁20
が開かれた後、ステップS14が実行される。

上記ステップS14においては、前記タイマの計数内容
Ｔが前記測定周期Tmに達したか否かが判断され、未だ達
していない場合にはステップS14が繰り返し実行される
が、測定周期Tmに達した場合には続くステップS15にお
いてタイマがリセットされた後、ステップS16が実行さ
れる。ステップS16においては、起動スイッチがOFF操作
されたか否かが判断され、この判断が肯定された場合に
は終了させられるが、否定された場合には、血圧測定を
再び行うために上記ステップS2以下が再び実行される。
これにより、血圧測定が前記測定周期Tm毎に連続的に行
われ且つ測定された血圧値が表示器40に逐次表示される
こととなる。

このように本実施例によれば、手術中や手術後などの
ような緊急時において血圧測定周期Tmが10分より短く設
定された場合には、前記第１昇圧速度が選択されてカフ
10内の昇圧速度が比較的速くされるため、血圧測定に要
する時間が好適に短縮され、これにより、緊急時におい
て各血圧測定サイクル毎に血圧値を速やかに測定するこ
とができる。この場合において、手術中や手術後の生体
は麻酔状態にあることが多く、このような場合にはカフ
10の昇圧速度を速くしても生体が苦痛を感ずることはな
いのである。一方、それ程緊急性がないため血圧測定周
期Tmが10分以上に設定された場合には、前記第２昇圧速
度が選択されてカフ10の昇圧速度が比較的遅くされるた
め、カフ10の圧迫により生体に苦痛を与えたり生体表面
に鬱血斑を生じたりするのを好適に防止することができ
る。

また、本実施例によれば、緊急性がなく血圧測定周期
が比較的長く設定される場合には、空気ポンプ16の回転
速度を低くすることによりカフ10の昇圧速度が遅くされ
るので、空気ポンプ16の作動音が抑制される。これによ
り、たとえば、一般病棟において夜間に空気ポンプ16の
作動音により睡眠が妨害されるのを好適に防止すること
ができる。

なお、前述の実施例では、カフ10の昇圧速度は血圧測
定周期10分を境にして２段階に変更されるように構成さ
れているが、昇圧速度変更の境となる血圧測定周期は10
分以外の周期であってもよいし、あるいは、血圧測定周
期に応じて昇圧速度を３段階以上に変更するように構成
することもできる。

また、前述の実施例では、カフ10の昇圧速度を変更す
るためのポンプ駆動制御回路12によって空気ポンプ16の
回転速度を変更するように構成されているが、必ずしも
その必要はなく、たとえば、配管14と空気ポンプ16との
間に昇圧速度を変更するための流量調節弁を設け、その
流量調節弁の開閉に基づいてカフ10の昇圧速度を変更す
るように構成されても差し支えない。

また、前述の実施例では、カフ10の降圧過程で得られ
るコロトコフ音信号に基づいて血圧値が測定されている
が、必ずしもその必要はなく、たとえば、カフ10内を比
較的低い予め定められた圧力まで第１昇圧速度あるいは
第２昇圧速度にて昇圧し、その後さらに所定速度で昇圧
する際に得られるコロトコフ音信号に基づいて血圧値を
測定するように構成することもできる。

また、前述の実施例では、コロトコフ音方式で血圧測
定する形式の血圧モニタ装置について説明したが、カフ
圧の降圧過程で逐次採取される脈波の大きさの変化に基
づいて血圧値を決定する所謂オシロメトリック方式の血
圧モニタ装置においても本考案を適用し得ることは勿論
である。

その他、本考案はその趣旨を逸脱しない範囲において
種々変更が加えられ得るものである。

【図面の簡単な説明】 第１図は第２図の血圧モニタ装置の作動を説明するため
のフローチャートである。第２図は本考案が適用された
血圧モニタ装置の構成を示す回路図である。 10:カフ（圧迫装置） ｛ステップS3〜S5,12:ポンプ駆動制御回路｝：昇圧速度
変更手段

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】生体を圧迫する圧迫装置を備え、該圧迫装
   置を所定圧まで昇圧させた後、該圧迫装置の圧力の変化
   過程で該生体の血圧値を測定し、該血圧測定を予め設定
   された所定の周期で繰り返す形式の血圧モニタ装置にお
   いて、 前記血圧測定の周期が短くなるほど前記圧迫装置の昇圧
   速度を速くさせる昇圧速度変更手段を設けたことを特徴
   とする血圧モニタ装置。