JP3818853B2 - 電子血圧計 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カフ内圧(カフ圧)の減圧過程において血圧測定に利用されない圧力範囲を急速減圧し、血圧の測定時間の短縮を実現する電子血圧計に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カフ内圧(カフ圧)の減圧過程において血圧測定に利用されない圧力範囲を急速減圧し、測定時間の短縮を実現する方法としては、例えば、特開平4−152933号に記載されているように、加圧中にカフ圧力(カフ圧)の信号に含まれる脈波成分を検出し、この脈波成分の大きさに基づいて、血圧測定に利用されない圧力範囲(推定最高血圧値−αと最大脈波の生ずる圧力値+αの区間:αは所定値)を推定し、血圧測定の行われる減圧過程において、この圧力範囲の間、急速に減圧する方法が採用されている。
【0003】
しかし、このように加圧中の脈波成分を用いて、血圧測定に利用されない圧力範囲を正確に推定するためには、加圧過程での脈波成分の測定精度を上げる必要がある。こうして、このような血圧計では、一般に、減圧過程の血圧測定の時間は短縮されるものの、加圧過程では、通常より時間を要することになる。すなわち、加圧時間も含めた、測定に要する全体の時間の短縮は、十分ではない。特に、最高血圧値と最低血圧値の差の大きい高血圧症の患者(被測定者)の場合には、加圧時の患者の負担が軽減できず、測定時間の短縮は不十分である。
【0004】
また、加圧中での脈波成分の検出は、加圧ポンプによる脈動やカフ空気袋の膨張の動きにより突発的に発生するア−チファクト、また、患者の体動等の影響を受け、誤差の発生する可能性が大きい。このように、脈波成分の検出に誤差が発生する場合には、前述の測定時間を短縮する減圧制御では、最低血圧値以下の圧力まで急速に減圧してしまったり、逆に、最低血圧値よりかなり高い圧力までしか急速に減圧されなかったりする。前者の場合には、最低血圧値が測定できなかったり、測定の精度が悪化したりする。後者の場合には、測定時間の短縮の効果があまり期待できない。
【0005】
加圧中に脈波成分を検出する代わりに、最高血圧値を測定した後の急速な減圧中に脈波成分やコロトコフ音の大きさの変化を検出して、血圧測定に利用されない圧力範囲の下限を予測して、その予測される下限まで、急速に減圧を行うこともできるが、急速な減圧過程での脈波成分やコロトコフ音の検出は、加圧中の脈波成分の検出と同様、誤差が大きく、血圧測定に利用されない圧力範囲の正確な下限の予測は困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、誤差の生じやすい加圧過程や急速な減圧過程での脈波成分の検出に依存することなく、加圧過程を含む測定時間の短縮を確実に実現できる電子血圧計を提供することにある。特に、高血圧症の患者(被測定者)に対して、加圧過程を含む測定時間の短縮を確実に実現できる電子血圧計を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(6)の発明により達せられる。
(1)カフと、カフを加圧する加圧手段と、カフ内圧の減圧速度を制御する減圧速度制御手段と、前記カフ内圧を検出する圧力検出手段と、前記カフ内圧の減圧過程で前記圧力検出手段の出力信号に基づいて最高血圧値および最低血圧値を決定する血圧決定手段とを有する電子血圧計において、前記減圧速度制御手段は、減圧過程で測定された最高血圧値に基づいて、減圧速度を変更するか否かを判断する判断手段を備え、前記判断手段が減圧速度を変更すると判断した場合には、前記減圧速度制御手段は、カフ内圧が所定の圧力値になるまで減圧速度を速くすることを特徴とする電子血圧計。
(2)前記判断手段は、最高血圧値が所定の血圧値以上である場合に、減圧速度を変更すると判断することを特徴とする上記(1)記載の電子血圧計。
(3)前記減圧速度制御手段は、減圧過程で最高血圧値を測定するまでの減圧速度と前記所定の圧力値以降の減圧速度を、実質的に等しくすることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の電子血圧計
(4)カフ圧の減圧過程で、カフ圧に基づいて、最高血圧値および最低血圧値を決定する電子血圧計において、前記カフ圧の減圧過程での最高血圧値の測定後、前記測定された最高血圧値が所定の血圧値以上の場合に、前記カフ圧が所定の圧力値になるまで急速に減圧することを特徴とする電子血圧計。
(5)前記所定の圧力値以降の減圧速度は、最高血圧値の測定までの減圧速度に実質的に等しいことを特徴とする上記(4)に記載の電子血圧計
(6)カフ圧の減圧過程で、カフ圧に基づいて、最高血圧値および最低血圧値を決定する電子血圧計において、前記カフ圧の減圧過程での最高血圧値の測定後、前記測定された最高血圧値の値に基づいて、前記カフ圧が所定の圧力値になるまでの減圧速度を変更する否かを判断することを特徴とする電子血圧計。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電子血圧計を、技術の背景と共に、好適実施例に基づいて説明する。
【0009】
本発明の実施例を含む通常の非観血の電子血圧計は、カフを測定部位(腕、手首、指等)に装着して測定部位を加圧して後、徐々に減圧する減圧過程で、血圧値(最高血圧値、最低血圧値)を測定するものであり、この減圧過程で、カフの装着された測定部位の血流によって生じる変化を、測定部位のコロトコフ音の生成・消滅に基づいて検出する(「コロトコフ音方式」)、もしくは、カフからの圧力信号(カフ圧信号)に重畳している脈波成分の変化に基づいて検出する(「オシロメトリック方式」)ことで、血圧値を測定するものである。
【0010】
原理は、次の通りである。まず、測定部位で血流が全く流れない状態まで、カフで測定部位を加圧(この測定部位への圧力は、通常、カフ内部の空気圧と同じと考え、「カフ内圧」もしくは「カフ圧」と呼ぶ)して、減圧を開始して後、初めて、測定部位の血管内圧とカフ圧が等しくなり、血流が開始(再開)されるタイミングでのカフ圧を心臓収縮期の血管内圧の値、すなわち最高血圧値として測定する。また、最高血圧値の測定後、更に、減圧して、測定部位の血管が、カフにより圧閉されなくなるタイミングでのカフ圧を心臓拡張期の血管内圧の値、すなわち最低血圧値として測定する。
【0011】
ところで、このような測定方法では、前述の最高血圧値と最低血圧値の検出のタイミングは心臓の拍動に同期している。従って、精度を上げるためには、拍動間の減圧量を小さくすること、言い換えると、減圧速度を遅くしてゆっくり測定することが必要となる。
【0012】
一方、減圧速度を遅くすると、測定時間が長くなり、患者(被測定者)への負担が増す。すなわち、測定中は、静脈はカフにより圧閉された状態となるため、測定中に末梢に拍出した血流は末梢にプ−リングされ、この量が大きくなることで、鬱血を生じ、苦痛、および、しびれ等の神経障害が発生し、患者の負担増となる。また、このプ−リングにより末梢の血管内圧が上昇して血流が流れにくくなり、血圧測定に必要な測定部位の血流により生じる変化が減弱される結果となり、測定精度の低下を招くおそれがある。
【0013】
従って、前述のような非観血の血圧測定方法を用いる血圧計では、WHO等は、測定精度と患者負担の両要素の妥協点を求める形で、減圧速度としては、2〜3mmHg/秒を推奨値として提示している。
【0014】
しかし、高血圧症で動脈硬化の進んだ、最高血圧値のみ高く、最低血圧値は正常かやや低い、収縮期高血圧症の場合、最高血圧値と最低血圧値との差が100mmHg以上になる場合がある。この場合、2〜3mmHg/秒の減圧速度では、測定時間が長くなりすぎて、患者への負担がかなり大きい。
【0015】
このような問題を解決するため、血圧測定に利用されない圧力範囲、すなわち、測定に不要な最高血圧と最低血圧の間の減圧速度を速くする(急速減圧する)方法が用いられている。
【0016】
すなわち、最高血圧値を測定するまでは、比較的遅い2〜3mmHg/秒の減圧速度で減圧し、最高血圧値を測定して後は、血圧測定に利用されない圧力範囲の区間(例えば、最高血圧値を測定してから最低血圧値の少し高い圧力までの区間)を、30〜50mmHg/秒の比較的速い減圧速度で減圧(急速減圧)し、その期間を過ぎると、もとの2〜3mmHg/秒の減圧速度に戻して減圧し、最低血圧値を測定するものである。
【0017】
この方法を実現するための重要な点は、速い減圧速度を、再び、最低血圧値を測定するための遅い減圧速度に切り換える圧力値、すなわち、血圧測定に利用されない圧力範囲の下限値の設定である。
【0018】
[従来の技術]に記載した、特開平4−152933号では、この下限値は、加圧時に最大の脈波成分が検出される圧力PM´に所定値αを加えたPM´+αに設定されている。この出願では、血圧値のタンミングの決定に最大脈波成分の振幅値を必要とするオシロメトリック方式を採用していることから、血圧測定に利用されない圧力範囲の下限値は、最低血圧値を基準とするものではなく、最大脈波が検出される圧力値(平均血圧値)を基準としている。しかし、減圧過程で最大脈波を検出することなく血圧値を測定するオシロメトリック方式を採用したり、コロトコフ音方式を採用する場合には、血圧測定に利用されない圧力範囲の下限値として、平均血圧値よりも低い最低血圧値を基準とすることができ、更に、測定時間の短縮ができる。
【0019】
この場合には、例えば、カフの加圧過程の加圧速度を、2〜3mmHg/秒の減圧速度より速いが比較的ゆっくりした速度に制御し、加圧中の測定部位の血流により発生する脈波成分の振幅値の変化を検出し、オシロメトリック方式により最低血圧値を推定(予測)し、この推定値(予測値)+α[ここで、αは所定値]を、減圧過程で速い減圧速度から遅い減圧速度に切り換える圧力値、すなわち、血圧測定に利用されない圧力範囲の下限値として設定することになる。しかし、このような場合においても、加圧過程で、脈波成分を正確に抽出する必要から、加圧ポンプを十分に高速で駆動することはできないことから、加圧時間が長くなり、加圧過程も含めた測定時間の短縮は、十分ではない。特に、最高血圧値と最低血圧値の差の大きい高血圧症の患者(被測定者)の場合には、測定時間の短縮は不十分である。また、最高血圧値を測定した後の速い減圧速度の減圧過程で、脈波成分やコロトコフ音の変化を検出して最低血圧値を推定(予測)し、この推定値(予測値)+αを血圧測定に利用されない圧力範囲の下限値として予測して設定することもできる。しかし、この場合には、速い減圧速度の減圧過程で脈波成分もしくはコロトコフ音を抽出するために、誤差が大きく、血圧測定に利用されない圧力範囲の正確な下限値の予測は困難である。
【0020】
本発明は、臨床データを考慮することで、以上述べたような測定時間の短縮に関する問題を解決するものである。
【0021】
すなわち、阿部圭志等のよるJ−MUBA(Japanese Multicenter Study on Barnidipine with ABPM)研究会の大規模臨床試験J−MUBA最終成績として発表された論文[Therapeutic Research vol.20 No.9, 1999 に掲載]、「長時間作用型Ca拮抗薬塩酸バルニジピンの血圧日内変動に及ぼす効果」中のABPM(Ambulatory Blood Pressure Monitoring:自由行動下24時間血圧測定)デ−タ処理法の個々の実測値の取捨の中での、「最低血圧値として存在する圧力範囲は、30mmHg以上130mmHg以下である」という趣旨の報告に基づくものである。
【0022】
従って、本発明の好適実施例の電子血圧計では、最低血圧値を130mmHgより大きい範囲で見出す場合には、それはアーチファクト等のノイズによる誤った値である可能性が高いとの判断を基に、前述の血圧測定に利用されない圧力範囲の最低血圧値を基準とする下限値を(130+α)mmHgに設定するものである。より具体的には、αを5に設定して、血圧測定に利用されない圧力範囲の下限値を135mmHg(所定の圧力値)としている。
【0023】
以下、添付図面をもとに好適実施例を説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施例の電子血圧計による血圧測定の状況でのカフ圧の時間変化を示す図である。
【0025】
図1にみるように、本発明の好適実施例の電子血圧計の加圧と減圧の制御は、加圧過程では加圧ポンプ全速で測定部位を加圧し、あらがじめ設定した最高血圧値より高いカフ圧力値(設定圧力)で加圧を停止して後、2〜3mmHg/秒の比較的遅い所定の減圧速度(第1の減圧速度)で減圧し最高血圧値を測定する。最高血圧値の測定終了後は、減圧速度を30〜50mmHg/秒の速い所定の減圧速度(第2の減圧速度)(急速減圧)に切り換え、カフ圧が135mmHgに達すると、再び、2〜3mmHg/秒の通常の減圧速度に戻して、最低血圧値を測定するものである。
【0026】
また、上述の、比較的遅い減圧速度から速い減圧速度への切り換えは、測定される最高血圧値が170mmHg(所定の血圧値)以上の場合にのみ行うものである。すなわち、測定時間を短縮する制御は、測定時間が長くなることによる負担の軽減が最も望まれる高血圧者(最高血圧値が170mmHg以上の患者)にのみ適用する。これは、最高血圧値が低い患者では、通常、最高血圧値と最低血圧値の圧力差が小さく、測定時間の短縮はわずかであり、結果として負担軽減の効果があまり期待できないためである。また、同時に、最高血圧値が170mmHgより小さい患者(被測定者)を対象にしないことで、血圧計の仕様設計が容易となる。
【0027】
図2は、本発明に実施例の電子血圧計のエア−系と測定系を示すブロック図である。
【0028】
カフには、血管阻血専用の大カフ1と脈波検出専用の小カフ2の2つがある。大カフ1はチュ−ブ11を介して加圧ポンプ3と減圧制御バルブ(電磁弁)4に接続されている。また、大カフ1は、振動ノイズを低減または遮断するメカニカルフィルタである流体抵抗13を介して圧力センサ5に接続している。また、小カフ2は大カフ1のほぼ中央に位置し、チュ−ブ12を介して圧力センサ5に接続している。これらのダブルカフを用いる血圧測定については、同一出願人による先願、特開2000−79101号と特開2000−287945号に詳述されている。
【0029】
圧力センサ5は半導体圧力ゲ−ジを使用したダイヤフラムタイプの圧力−電気変換器等が使用される。
【0030】
圧力センサ5の出力信号(圧力信号)は増幅器6で増幅され、ロ−パスフィルタ7を介して、A/D変換器(コンバータ)8でデジタル変換されCPU9に入力される。ロ−パスフィルタ7では、出力信号の周波数帯域を制限し、ポンプノイズ等の不要高周波ノイズをカットしている。カットオフ周波数は10〜30Hzに設定されている。
【0031】
加圧ポンプ3および減圧制御バルブ(電磁弁)4は、CPU9により制御される。特に、減圧制御バルブ(電磁弁)4は、CPU9からのPWM信号(オン・オフのパルス信号)により、開閉が制御(PWM制御)され、完全「閉」から完全「開」まで、PWM信号のDutyをかえることにより、開口オリフィス面積を連続的に制御される。
【0032】
更に、CPU9は、A/D変換器(コンバータ)8からデジタルに変換した圧力信号(カフ圧信号)を周期的に取り込み、カフ圧信号からそれに重畳している脈波信号(脈波成分)を分離して、脈波信号から脈波振幅値を算出し、この脈波振幅値とカフ圧(信号)から最高血圧値と最低血圧値を決定する機能を備えている。また、このようにして、決定された血圧値を表示用LCD10に表示する機能をも備える。
【0033】
図3は、本発明に実施例の電子血圧計の具体的な処理動作を示すフロ−チャ−トである。
【0034】
電子血圧計の測定の開始SW(スイッチ)をONする(ST1)と減圧制御バルブ4が完全「閉」(ST2)となり、CPU9の制御により、加圧ポンプ3の駆動が開始(ON)される(ST3)。加圧ポンプ3が駆動されるとカフ圧の読み込みが開始され(ST4)、読み込んだカフ圧があらかじめ設定された最高血圧値より十分に高い圧力値(設定圧力)になったか否か判断される(ST5)。カフ圧が設定圧力になるまで、加圧ポンプは駆動され、カフ圧が設定圧力になると加圧ポンプ3の駆動が停止(OFF)される(ST6)。
【0035】
その後、減圧制御バルブ4はCPU9の制御により、減圧速度を、第1の減圧速度、例えば2〜3mmHg/秒の減圧速度での減圧が開始される(ST7)。この減圧過程で、CPU9により、カフ圧が読み込まれ(ST8)、脈波成分が抽出され(ST9)、脈波成分より脈波振幅値が算出され、脈波振幅値に所定以上の変化があった場合に、その時のカフ圧の値を最高血圧値として測定し記憶する(ST10)。
【0036】
次に、測定された最高血圧値が170mmHg以上か否か判断される(ST11)。
【0037】
最高血圧値が170mmHg以上と判断される場合には、減圧速度を第2の減圧速度(急速減圧の速度)、例えば30〜50mmHg/秒に変える(ST12)。その後、カフ圧の読み込みを行い(ST13)、カフ圧力が135mmHgになったか否か判断され(ST14)、135mmHgになると、減圧速度を第1の減圧速度に戻す(ST15)。すなわち、測定された最高血圧値が170mmHg以上の場合には、カフ圧力が135mmHgになるまで、急速減圧を行う。そして、CPU9により、再び、カフ圧の読み込みを行い(ST16)、脈波成分の抽出を行い(ST17)、脈波振幅値を算出し、脈波振幅値に所定値以上の変化があった場合に、その時のカフ圧の値を最低血圧値と測定し記憶する(ST18)。
【0038】
最高血圧値が170mmHgより小さいと判断される場合には、減圧速度は第1の減圧速度のままで、カフ圧の読み込みを行い(ST16)、脈波成分の抽出を行い(ST17)、脈波振幅値を算出し、脈波振幅値に所定値以上の変化があった場合に、その時のカフ圧の値を最低血圧値と測定し記憶する(ST18)。すなわち、急速減圧は行わない。
【0039】
最低血圧値の測定後は、減圧制御バルブを全開(完全「開」)にしてカフ圧を大気圧に戻す(ST19)。そして、CPU9の制御により、記憶した最高血圧値と最低血圧値をLCD10に表示する(ST20)。
【0040】
以上、本発明の好適実施例を基に説明したが、本発明は、実施例に限定されるものではない。特に、実施例では、血圧値の測定方法は、脈波成分の振幅値に基づく「オシロメトリック方式」を用いているが、これに限定されるものではなく、コロトコフ音に基づく「コロトコフ音方式」であっても差し支えない。
【0041】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の電子血圧計は、測定時間を短縮するために、減圧過程で速い減圧速度(急速減圧)に制御する圧力範囲(血圧測定に利用しない圧力範囲)の下限値として、臨床データを考慮した値を用いることで、加圧時、または、急速減圧時の最低血圧値の予測等によって前記下限値の予測を行う必要がないことから、加圧時間を少なくできると共に、ア−チファクトや体動等の影響による予測の不安定性(誤差)を回避でき、確実に、加圧過程を含む測定時間の短縮を実現できる。
【0042】
また、測定時間の短縮の減圧速度制御を、負担の軽減が最も望まれる高血圧の患者(被測定者)の場合にのみ行うことで、簡単な仕様で、患者の負担に応じた効率のよい減圧速度制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の電子血圧計による血圧測定の状況でのカフ圧の時間変化を示す図である。
【図2】本発明に実施例の電子血圧計のエア−系と測定系を示すブロック図である。
【図3】本発明に実施例の電子血圧計の処理動作を示すフロ−チャ−ト図である。
【符号の説明】
1…大カフ
2…小カフ
3…加圧ポンプ
4…減圧制御バルブ
5…圧力センサ
6…増幅器
7…ローパスフィルタ
8…A/Dコンバータ
9…CPU
10…LCD
11、12…チューブ
13…流体抵抗

Claims (6)

  1. カフと、カフを加圧する加圧手段と、カフ内圧の減圧速度を制御する減圧速度制御手段と、前記カフ内圧を検出する圧力検出手段と、前記カフ内圧の減圧過程で前記圧力検出手段の出力信号に基づいて最高血圧値および最低血圧値を決定する血圧決定手段とを有する電子血圧計において、
    前記減圧速度制御手段は、減圧過程で測定された最高血圧値に基づいて、減圧速度を変更するか否かを判断する判断手段を備え、
    前記判断手段が減圧速度を変更すると判断した場合には、前記減圧速度制御手段は、カフ内圧が所定の圧力値になるまで減圧速度を速くすることを特徴とする電子血圧計。
  2. 前記判断手段は、最高血圧値が所定の血圧値以上である場合に、減圧速度を変更すると判断することを特徴とする請求項1記載の電子血圧計。
  3. 前記減圧速度制御手段は、減圧過程で最高血圧値を測定するまでの減圧速度と前記所定の圧力値以降の減圧速度を、実質的に等しくすることを特徴とする請求項1または2に記載の電子血圧計
  4. カフ圧の減圧過程で、カフ圧に基づいて、最高血圧値および最低血圧値を決定する電子血圧計において、
    前記カフ圧の減圧過程での最高血圧値の測定後、前記測定された最高血圧値が所定の血圧値以上の場合に、前記カフ圧が所定の圧力値になるまで急速に減圧することを特徴とする電子血圧計。
  5. 前記所定の圧力値以降の減圧速度は、最高血圧値の測定までの減圧速度に実質的に等しいことを特徴とする請求項4に記載の電子血圧計
  6. カフ圧の減圧過程で、カフ圧に基づいて、最高血圧値および最低血圧値を決定する電子血圧計において、
    前記カフ圧の減圧過程での最高血圧値の測定後、前記測定された最高血圧値の値に基づいて、前記カフ圧が所定の圧力値になるまでの減圧速度を変更する否かを判断することを特徴とする電子血圧計。
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