JPH0438858B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は建築物、例えば大型建築物や住宅等の
屋根を釘等をほとんど使用することなく簡単に施
工でき、且つ体裁良く葺き上げるようにした建築
物の屋根に関するものである。

＜従来の技術＞ 屋根面に複数本の垂木を平行に設置し、隣り合
う垂木間に屋根板を配設し、この屋根板の側縁外
側を垂木に被着した瓦棒カバーで被覆するように
したものとして、例えば、特開昭57−201455号公
報や特開昭58−204260号公報或は特開昭59−8867
号公報等が知られている。

そして、従来の屋根は、屋根面の傾斜に沿つて
複数の垂木を平行に配設し、左右に隣接する垂木
の間に屋根板の側縁を止着すると共に、傾斜方向
下側に位置する屋根板の後縁で上側に位置する屋
根板の前縁を支持し、上記屋根板の外側側縁を覆
う瓦棒カバーを上記垂木に被着するようしてい
る。また、一部の屋根では屋根板の前後縁を支え
るように支持材を設けたり、屋根板の左右の側縁
を支えるように補助材を設けている。

＜発明が解決しようとする課題＞ しかしながら、従来のこの種の屋根において、
瓦棒カバーは単に垂木に被着されていたり、支持
材に止着されているだけであるので、積雪や作業
員が屋根面に載つた場合等、瓦棒カバーに荷重が
加わると変形して当該瓦棒カバーの側縁下端が広
がつて体裁が悪い。また、瓦棒カバーの側縁下端
が垂木或は支持材に固定されていないので、瓦棒
カバーの下端から雨水が回り込み、屋根の下地等
を腐食させることがある。更に、瓦棒カバーの高
さが低いと屋根板とのバランスが崩れて体裁が悪
い。そこで、瓦棒カバーの高さがなるべく高くな
るように垂木の高さを高く構成すると、垂木を野
地板等に止着する際の作業性が低下する。

従つて、簡単に施工でき且つ体裁良く葺き上げ
ることのできる建築物の屋根が切望されている。

＜課題を解決するための手段＞ 本発明は上記に鑑み提案されたもので、爪片を
有する垂木を屋根面の傾斜に沿つて複数本平行に
設置し、左右に隣り合う垂木間に配設した屋根板
を上記垂木の爪片で止着し、垂木に瓦棒カバーを
被着する建築物の屋根において、上記垂木の上面
に瓦棒カバーの曲面に対応する上片を有する支承
具を設け、屋根板の左右側縁に瓦棒カバーの側縁
が嵌入可能な嵌着溝を有する嵌着部材を長さ方向
に設け、上記垂木に被着する瓦棒カバーの側縁下
端を上記嵌着部材を嵌着溝に嵌着して上記屋根板
の側縁外側を被覆すると共に、支承具の上片で瓦
棒カバーを支持するようにしたものである。

＜実施例＞ 以下、本発明を図面に実施例について説明す
る。

本発明の屋根は概略すると、垂木１、屋根板２
及び瓦棒カバー３並びに嵌着部材１１からなる。
上記した垂木１は、底部の固定片４と、該固定片
４の両側縁から斜めに上方に延出して形成した左
右の支え片５，５と、両支え片５，５の先端を内
向きに延出して形成した受片６，６とからなる上
向きコ字型の金属製長尺部材であつて、固定片４
には幅方向のほゞ中央の長さ方向に延びる隆出部
４′を隆設し、この隆出部４′には止着孔７…を長
さ方向に沿い適宜間隔で穿設し、上記受片６には
爪片８…を長さ方向に沿い適宜間隔で立設する。

屋根板２は、幅方向において下向き凸状に緩く
湾曲するほゞ正方形の板状で、左右の側縁には長
さ方向に沿う係合片９を外向きに延設し、該係合
片９には前記垂木１の爪片８に一致する間隔で複
数（図面では３個）の係合孔１０を穿設する。ま
た、屋根板２の上端縁には上下に隣り合う屋根板
２，２同士を接続する受止片２ａを上向きに設け
ると共に、下端縁には掛止片２ｂを下向きに形成
する。

そして、屋根板２の両端縁の内側には瓦棒カバ
ー３の両端縁を嵌め付ける嵌着部材１１を長さ方
向に沿つて設ける。この嵌着部材１１は上記屋根
板２の長さとほゞ等しく、前記屋根板２の側縁に
設けた係合片９の上面に位置する止着片１２と、
該止着片１２の内側の縁を下向きのＵ字溝状に屈
曲して形成した嵌着溝１３とを有し、上記止着片
１２には係合孔１０に一致する３個の貫通孔１４
を穿設する。

尚、この嵌着部材１１は屋根板２の左右側縁に
おいて対称となるように形成する。

上記嵌着部材１１は、止着片１２に穿設した貫
通孔１４が屋根板２の係合片９に穿設した係合孔
１０に一致するように予め溶接などで屋根板２の
側縁の内側に固定しておいてもよいし、或いは分
離しておいてもよいが、上記嵌着溝１３は屋根板
２の上面側に位置させる。

前記した瓦棒カバー３は半円形状板材で、上端
縁には係止部１５を設け、下端縁には係合部１６
を設ける。この係合部１６は、当該瓦棒カバー３
の下方に折返しに形成した係合溝１７と、該係合
溝１７から瓦棒カバー３の下端に延びる押え片１
８とからなり、上記係合溝１７は屋根面の傾斜下
方へ向けて開口し、上記押え片１８には通孔１９
を左右に穿設する。

次に、上記のような構成からなる垂木１と屋根
板２と瓦棒カバー３及び嵌着部材１１とを第１図
で示すような支承具２０を使用しながら屋根を葺
く場合を説明する。

この支承具２０は前記した垂木１の受片６，６
の上面とほゞ同じ幅の弧状上片２１と、該上片２
１の両側縁を下向きに延設して形成した脚片２２
と、該両脚片２２の下端を外向きに延設して形成
した突片２３とからなるほゞ門型で、上片２１の
上面には前記した瓦棒カバー３の通孔１９に通す
爪部２４を左右に立設し、また突片２３には前記
した垂木１の爪片８に通す係止孔２５を穿設す
る。また、この上片２１は上記した瓦棒カバー３
の内側に重合可能なように当該瓦棒カバー３の曲
面に対応する曲面形状に形成してある。

このような支承具２０と前記した垂木１と屋根
板２と瓦棒カバー３とを使用して屋根を葺くに
は、傾斜する屋根面の野地板２６上に複数の垂木
１を一定間隔で平行に配置し、垂木１の隆出部
４′に設けた止着孔７から釘等２７を野地板２６
に打設して垂木１を屋根面に止着する。この場
合、支承具２０を設けることにより、垂木１の高
さを低くしても野地板２６から瓦棒カバー３の上
面までの実質的な高さが変らない。従つて、高さ
の低い垂木１を使用することが可能になり、垂木
１の素材の節約と軽量化を図ると共に、垂木１の
取付作業が極めて容易となる。しかも、支承具２
０により瓦棒カバーの高さが不足することもない
ので、屋根板２とのバランスを考慮した円弧状に
形成でき、体裁のよい屋根を提供できる。また、
支承具２０は上片２１が瓦棒カバー３の内面に重
合可能であるので、支持材としてばかりではな
く、瓦棒カバー３の補強材として機能するので極
めて有用である。

次に、隣り合う垂木１，１間に、屋根面の傾斜
上面から下面に向つて屋根板２を並列状に配置
し、屋根板２の一側の係合片９を一方の垂木１の
受片６に被着すると共に、屋根板２の他側の係合
片９を隣り合う他方の垂木１の受片６に被着し、
垂木１の受片６の各爪片８を屋根板２の側縁２の
側縁の係合部９に設けた各係合孔１０に下から通
す。

そして、屋根板２の左右側縁に嵌着部材１１を
個々にあてがい、嵌着部材１１の止着片１２を屋
根板２の係合片９に上から被着して屋根板２の各
爪片８を貫通孔１４に各々通し、嵌着部材１１の
嵌着溝１３を屋根板２の側縁に臨ませる。この場
合、屋根面の傾斜上側に位置する屋根板２の下端
の係合孔１０に通す爪片８と、傾斜下側に位置す
る屋根板２の上端の係合孔１０に通す爪片８とを
共通とする。即ち、屋根面の傾斜に沿つて上下に
隣り合う屋根板２，２同士の下端部分と上端部分
とが重合し、下側の屋根板２０の受止片２ａと上
側の屋根板２の掛止片２ｂとが噛み合うことにな
る。また、各屋根板２の側縁に添設した嵌着部材
１１も、上下の屋根板２，２の重合に伴なつて止
着片１２及び嵌着溝１３が上下端において重合す
る。

このように垂木１の各爪片８に屋根板２の係合
孔１０と嵌着部材１１の貫通孔１４を各々通した
ら、垂木１の上面に各屋根板２に対応するように
前記した支承具２０を取付ける。即ち、支承具２
０は、第３図に示すように、垂木１の両受片６，
６の上面において、例えば屋根板２の側縁のほゞ
中央に位置させ、屋根板２の側縁中央に係合孔１
０に通してある爪片８に係止孔２５を通す。そし
て、各爪片８をハンマーなどで叩いて横に倒す
と、垂木１に屋根板２、嵌着部材１１及び支承具
２０を一連に強く固定することができる。

一方、瓦棒カバー３は屋根面の傾斜上方から下
方に向つて支承具２０間に掛け渡すように固定す
るもので、係合部１６の通孔１９に支承具２０の
爪部２４を下から充分に通したから、各爪部２４
を上から叩いて潰したり、横に倒す。これにより
瓦棒カバー３は支承具２０に固定されるので、傾
斜下側に位置させる瓦棒カバー３の上端の係止部
１５を、傾斜上側に位置して固定の終了している
瓦棒カバー３の係合溝１７の下から充分し差し込
み、この瓦棒カバー３の通孔１９を垂木１に取付
けた支承具２０の爪部２４に嵌め付け、この爪部
２４を叩く。このようにすれば、瓦棒カバー３は
垂木１に沿つて順次固定することができる。この
ようにして固定された各瓦棒カバー３は上端が上
側の瓦棒カバー３の係合溝１７に差し込まれ、下
端が支承具２０の爪部２４に止着されているので
極めて強固である。そして、瓦棒カバー３の左右
側縁の下端は、嵌着部材１１の嵌着溝１３に嵌入
して屋根板２の側縁外側を被覆する。従つて、瓦
棒カバー３及び屋根板２が強固に垂木１に止着さ
れて強風に接して捲れ上がることがない。また、
嵌着部材１１の嵌着溝１３が屋根板２の上面側に
位置しているので、瓦棒カバー３から流下する雨
水は嵌着部材１１の嵌着溝１３にガイドされて屋
根板２の上面に流出でき、屋根板２の側縁から天
井裏に雨水が浸入することもない。しかも、瓦棒
カバー３の下縁が嵌着溝１３に嵌着されているの
で、瓦棒カバー３の下縁が不揃になることがない
ので、作業員による修正が不要となつて施工時の
手間を大幅に削減でき、仕上り時の体裁も極めて
よい。

このように本発明は、垂木１を野地板２６に止
着すれば、屋根板２と瓦棒カバー３とを垂木１の
爪片８と支承具２０の爪部２４とで止着できるた
め、施工が極めて簡単にでき、しかも短時間で能
率的に屋根葺き作業ができる。

また、瓦棒カバー３の側縁が屋根板２の両側縁
外側を被覆するので雨仕舞も良好であり、しかも
屋根板２と瓦棒カバー３とが垂木１の爪片８と支
承具２０の爪部２４に強固に止着されているため
強風により捲れ上らない。

更に、垂木１の爪片８により屋根板２及び瓦棒
カバー３の位置が規制されるので位置決めが極め
て容易であつて敷設に熟練技術を要することがな
く、しかも出来上りの体裁も極めて良好である。

第７図は本発明の瓦棒カバー３の他の実施例を
示すもので、両側縁の下端を内側へ折り返すよう
にして嵌合溝２８を形成し、上面付近に支承具２
０の爪部２４を張め付ける係止口２９を設けたも
のである。

この第７図の瓦棒カバー３を使用するには、前
記したように垂木１に屋根板２と支承具２０とを
固定したら、支承具２０の爪部２４に瓦棒カバー
３の係止口２９を通し、この爪部２４を叩いて潰
したり横倒しにする。そして、上側に取付ける瓦
棒カバー３の下端を、上記固定した瓦棒カバー３
の上端に上から被せながら、嵌合溝２８を、固定
した瓦棒カバー３の上端側縁に嵌め付けると共
に、上端の係止口２９を上側に設けた支承具２０
の爪部２４に通し、この爪部２４を叩いて潰した
り横に倒す。

従つて、この瓦棒カバー３は屋根面の下方即ち
軒先側から上方の棟側に向つて順に固定すること
ができる。また、各瓦棒カバー３の左右側縁が嵌
着部材１１の嵌着溝１３に嵌入して屋根板２の側
縁外側を被覆することになり、瓦棒カバー３から
流下する雨水が嵌着部材１１の嵌着溝１３にガイ
ドされて屋根板２の上面に排出できる。

尚、本発明は特許請求の範囲に則る限りどのよ
うにしても実施することができ、垂木、屋根板及
び瓦棒カバーの取付方法も適宜に変更することが
できる。

＜発明の効果＞ 以上要するに本発明は、爪片を有する垂木を屋
根面の傾斜に沿つて複数本平行に設置し、左右に
隣り合う垂木間に配設した屋根板を上記垂木の爪
片で止着し、垂木に瓦棒カバーを被着する建築物
の屋根において、上記垂木の上面に瓦棒カバーの
曲面に対応する上片を有する支承具に設け、屋根
板の左右側縁に瓦棒カバーの側縁が嵌入可能な嵌
着溝を有する嵌着部材を長さ方向に設け、上記垂
木に被着する瓦棒カバーの側縁下端を上記嵌着部
材の嵌着溝に嵌着して上記屋根板の側縁外側を被
覆すると共に、支承具の上片で瓦棒カバーを支持
するので、屋根板と瓦棒カバーとを垂木の爪片と
支承具の爪片とに止着するだけで、短時間で且つ
熟練技術を要することなく能率的に屋根の施工が
できる。

また、瓦棒カバーの側縁下端を屋根板の側縁に
長さ方向沿つて設けた嵌着部材に嵌着して、屋根
板の側縁外側を被覆するので、瓦棒カバーから流
下する雨水を嵌着部材によつて屋根板の上面に排
出することができ、雨水が瓦棒カバーの内部に回
り込むことがなく雨仕舞が極めて良好である。し
かも、上記嵌着部材によつて、瓦棒カバーの下縁
が不揃になることを防止できるので、体裁がよい
ばかりではなく、瓦棒カバーの修正作業も不要と
なり修正に伴なう時間と労力を削除できる。更
に、嵌着部材により瓦棒カバーの側縁が補強され
るので、積雪や作業員が載つて荷重が加わつても
下縁が広がることなく、体裁に損なうことがな
い。そして、屋根板と瓦棒カバーとは垂木の爪片
と支承具の爪片とにより強固に止着されているた
め、屋根板や瓦棒カバーが強風により捲れ上るこ
とがなく、屋根として著しく実用的価値の高いも
のとなる。

更に、瓦棒カバーの曲面に対応する上片を有す
る支承具を用いているので、高さの低い垂木の使
用が可能になり、素材の節約と軽量化を図ると共
に取付作業が極めて容易となり、しかも瓦棒カバ
ーを屋根板とのバランスを考慮した円弧状に形成
でき、体裁のよい屋根を提供できる。そして、こ
の支承具は瓦棒カバーの支持材としてばかりでは
なく、瓦棒カバーの補強材としても機能するので
極めて有用である。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すもので、第１図は
分解斜視図、第２図は屋根の一部の斜視図、第３
図は垂木に屋根板と支承具とを止着した状態の斜
視図、第４図は屋根の傾斜方向の断面図、第５図
は瓦棒カバーの止着状態を一部拡大した断面図、
第６図は屋根の傾斜方向と直交する方向の断面
図、第７図は瓦棒カバーの他の実施例を示す斜視
図である。 １……垂木、２……屋根板、３……瓦棒カバ
ー、９……爪片、１１……嵌着部材、１３……嵌
着溝、２０……支承具、２１……上片。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 爪片を有する垂木を屋根面の傾斜に沿つて複
   数本平行に配置し、左右に隣り合う垂木間に配設
   した屋根板を上記垂木の爪片で止着し、垂木に瓦
   棒カバーを披着する建築物の屋根において、 上記垂木の上面に瓦棒カバーの曲面に対応する
   上片を有する支承具を設け、屋根板の左右側縁に
   瓦棒カバーの側縁が嵌入可能な嵌着溝を有する嵌
   着部材に長さ方向に設け、上記垂木に披着する瓦
   棒カバーの側縁下端を上記嵌着部材の嵌着溝に嵌
   着して上記屋根板の側縁外側を被覆すると共に、
   支承具の上片で瓦棒カバーを支持することを特徴
   とする建築物の屋根。