JPH0437030Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、上部ドアヒンジをを中心として開
閉されるガルウイング式のドア装置を備えたよう
な自動車のボデイ構造に関する。

（従来の技術） 従来、上述例の自動車のボデイ構造としては、
例えば、特開昭60−92113号公報に記載の構造が
ある。

すなわち、ガルウイング式のドアを備えた自動
車のボデイ構造において、ドアスイングアツプ時
の開口部を大きくして、乗降性の向上を図るため
に、フロアサイド部にサイドシルアウタとサイド
シルインナとからなるサイドシルを通常のスイン
グドア用ボデイと同様形状で車体前後方向に張架
した構造である。

しかし、上述した従来のボデイ構造では、フロ
アサイド部の剛性が弱いため、充分な車体剛性を
確保するためには、クロスメンバ、ガゼツト等で
補強を行なう必要があつた。

つまり、ガルウイング式ドアを有する自動車に
おいては、車両上部の開口部分が増加するため、
ルーフ部の強度が比較的少なくなり、この分をサ
イドシル部分の曲げ強度の増加により補強する必
要がある。

（考案の目的） この考案は、サイドシル部材の上部に、中空閉
断面を有する補強部材を一体形成して、上下方向
の曲げ強度の大幅な向上を図ると共に、ドア重量
の軽減をも図ることができ、しかも、車両の側突
時には相手車両のバンパ部を上述の補強部材で受
けて、ドアが車室内に侵入するのを確実に防止す
ることがきる自動車のボデイ構造の提供を目的と
する。

（考案の構成） この考案は、上部ドアヒンジを中心として開閉
されるガルウイング式ドアを備えた自動車のボデ
イ構造であつて、上部に補強部材を有し、かつ該
補強部材と一体に押出し成形される軽合金製のサ
イドシル部材を備え、上記補強部材およびサイド
シル部材を、閉断面を有する中空の閉断面構造に
形成すると共に、上記補強部材の中空部内には車
幅方向のリブを一体形成した自動車のボデイ構造
であることを特徴とする。

（考案の効果） この考案によれば、中空閉断面構造のサイドシ
ル部材の上部に押出し成形で中空閉断面構造の補
強部材を一体形成しているので、サイドシルの上
下方向の曲げ強度の大幅な向上を図ることができ
るうえ、押出し成形であるから従来のサイドシル
アウタとサイドシルインナとの両者に相当するサ
イドシル部材と、補強部材とを同一工程で一体成
形することができる効果がある。

またサイドシル部材の上部に中空閉断面構造の
補強部材を一体形成しているので、この補強部材
の上下寸法に相当する長さだけ、ドア全高を短縮
することができ、この結果、ドア重量の軽減を図
ることが可能である。

しかも、サイドシル部材の上部に設けた中空閉
断面構造の補強部材で、側突時における相手車両
のバンパ部からの衝撃を受け、ドアが車室内に侵
入するのを確実に防止することができる効果があ
り、加えて、補強部材の中空部内に一体形成した
車幅方向のリブにより、該補強部材の強度を向上
させているので、上述の側突時において、より一
層良好な効果を発揮する。

（実施例） この考案の一実施例を以下図面に基づいて詳述
する。

図面は自動車のボデイ構造を示し、第１図、第
２図において、ルーフパネル１に上部ドアヒンジ
２を介してガルウイング式のドア３を開閉可能に
取付けている。

このガルウイング式のドア３は自動車車体の車
室４を一側方に開放するスイングアツプドアであ
る。

一方、フロアパネル５の上部にはシート６を配
設すると共に、フロアパネル５のサイド部には車
体の前後方向に延びる中空断面のサイドシル７を
取付けている。

このサイドシル７は、第３図、第４図に示す如
く、上部にベルトライン近傍まで延びる補強部材
８を有し、かつ、該補強部材８と一体に押出し成
形されるアルミニウム・アロイ等の軽合金製のサ
イドシル部材９を備えたサイドシルで、上述のサ
イドシル部材９は閉断面１４を有する中空の閉断
面構造に形成すると共に、このサイドシル部材９
の車室側外側面にはフロアパネル連結突片１０を
一体成形している。

一方、上述の補強部材８の上部内端には上方に
延びるウエザストリツプ１１当接用の当接片１２
を一体成形し、補強部材８の略中間には車幅方向
に延びるビーム１３を一体成形して複数の閉断面
１４……を備えている。つまり、この補強部材８
も上述のサイドシル部材９と同様に、閉断面１４
を有する中空の閉断面構造に形成している。

具体的には、上述のサイドシル７は押出し成形
により肉厚約２mmに成形している。

そして上述の補強部材８の外側面にはビス１５
……を用いてサイドシルカバーとしての合成樹脂
製のプロテクタ１６を取付ける一方、この補強部
材８の前端面およびサイドシル部材９の前部に
は、閉断面１７を有する方形枠状断面のフロント
ピラー１８を溶接固定している。

一方、前述のドア３は樹脂製アウタパネル１９
と、樹脂製インナパネル２０とを接着固定して構
成し、インナパネル２０の所定部に前述のウエザ
ストリツプ１１を取付けている。

図示実施例は上記の如く構成するものにして、
以下作用を説明する。

第２図に実線で示す閉状態のガルウイング式ド
ア３を開操作すると、このドア３は上部ドアヒン
ジ２を回動中心として、ガスステー等のダンパ力
により同図に仮想線で示す如く、自動車車体の車
室４を一側方に開放して、スイングアツプする。

ところで、上述のサイドシル７は、中空閉断面
構造のサイドシル部材９の上部に押出し成形で中
空閉断面構造の補強部材８を一体に形成している
ので、サイドシル７（フロアサイド部）の上下方
向の曲げ強度の大幅な向上を図ることができる効
果がある。

加えて、押出し成形であるから、従来のサイド
シルアウタとサイドシルインナとの両者に相当す
るサイドシル部材９と、補強部材８とを同一工程
で一体成形することができる効果がある。

またサイドシル部材９の上部に中空閉断面構造
の補強部材８を一体形成しているので、従来、サ
イドシル上端まで延設させていたドア下端部を、
第３図に示す如く補強部材８上端まで延設すれば
よくなり、ドア３の下端部寸法を大幅に短縮する
ことができ、この結果、ドア３の重量を軽減する
ことができる。

しかも、上述の中空閉断面構造の補強部材８
で、側突時における相手車両のバンパ部からの衝
撃を受け、ドア３が車室４内に侵入するのを確実
に防止することができ、充分な乗員安全の確保が
できる効果があり、加えて、補強部材８の中空部
内に一体形成した車幅方向にビーム１３により、
該補強部材８の強度を向上させているので、上述
の側突時において、より一層良好な効果を発揮す
る。

第５図は他の実施例を示し、前述の補強部材８
内に押出し成形で一体に形成するビーム１３をト
ラス構造とすることで、強度の更なる向上を図つ
ている。

第６図はさらに他の実施例を示し、前述の補強
部材８の上部外端に上方に延びるプロテクタ係止
用の係止部２１を一体形成したものである。

第７図はさらに他の実施例を示し、前述のサイ
ドシル部材９におけるシートスライド機構との対
向面に、離間配置した逆Ｌ字状の一対のガイド片
２２，２２を押出し成形により一体に形成して、
これら一対のガイド片２２，２２で、シート６下
面に取付けたスライドレール２３をボール２４…
…を介して摺動案内すべく構成したものである。

第５図乃至第７図に示す如く構成しても、サイ
ドシル７の作用・効果については先の実施例とほ
ぼ同様であるから、第５図乃至第７図において先
の実施例と同一の部分には同一番号を付して、そ
の詳しい説明を省略する。

なお、第３図に示すプロテクタ１６を省略し
て、ドア３の下端を、補強部材８外側面を覆う位
置まで下方に延ばしてもよいことは勿論である。

この考案の構成と、上述の実施例との対応にお
いて、 この考案の車幅方向のリブは、実施例のビーム
１３に対応するも、 この考案は、上述の実施例の構成のみに限定さ
れるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示し、第１図は自
動車のボデイ構造を示す側面図、第２図は第１図
の−線に沿う概略断面図、第３図は第２図の
要部拡大図、第４図はサイドシルおよびフロント
ピラーの斜視図、第５図はボデイ構造の他の実施
例を示す要部断面図、第６図はボデイ構造のさら
に他の実施例を示す要部断面図、第７図はボデイ
構造にさらに他の実施例を示す要部断面図であ
る。 ２……上部ドアヒンジ、３……ガルウイング式
ドア、８……補強部材、９……サイドシル部材、
１３……ビーム（リブ）、１４……閉断面。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 上部ドアヒンジ２を中心として開閉されるガル
   ウイング式ドア３を備えた 自動車のボデイ構造であつて、 上部に補強部材８を有し、かつ該補強部材８と
   一体に押出し成形される軽合金製のサイドシル部
   材９を備え、 上記補強部材８およびサイドシル部材９を、閉
   断面１４，１４を有する中空の閉断面構造に形成
   すると共に、 上記補強部材８の中空部内には車幅方向のリブ
   １３を一体形成した 自動車のボデイ構造。