JPH0315576B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は自動車、とりわけ車体前後方向に開閉
するスライドドアを備えた自動車のサイドステツ
プ構造に関する。

従来技術 自動車の中でもバン型車のようにスライドドア
を備えた自動車にあつては、例えば日産自動車株
式会社発行サービス周報第427号キヤラバン・ホ
ーミーP164に示されるように、スライドドアが
取付けられる車体開口部を臨むフロア側部にステ
ツプ部を有段成形し、乗降の際にはこのステツプ
部を利用できるようにしてある。

しかし、このステツプ部はスライドドア閉時に
外部に露出することのないように該ステツプ部の
設定位置が車室内側のスライドドア装着範囲に規
制されるため、ステツプ部までの地上高が比較的
高くならざるを得ず乗降性に欠ける問題があり、
特に老人や幼児では自力で乗降し難く、容易性、
安全性が損われる不具合があつた。

発明の目的 本発明はかかる従来の実状に鑑み、車体の外
観、安全性を損なうことなくステツプ地上高を低
くすることができて乗降性を一段と向上すること
のできる自動車のサイドステツプ構造を提供する
ことを目的とするものである。

発明の構成 前記目的を達成するため、本発明にあつては車
体フロア側部に有段成形したステツプ部の下方
に、ガイドレールを介して該ステツプ部下方の格
納位置から車体の側部外方へ進出するスライドス
テツプを配設すると共に、このスライドステツプ
面上に駆動用のガイドレールを設ける一方、スラ
イドドアの前端下側に車室側に向けて延びるガイ
ドリンクを設け、該ガイドリンク端に軸支したロ
ーラを前記駆動用のガイドレールに係合して、ス
ライドステツプを前記スライドドアの開閉動に連
動して前記進出位置と格納位置とにスライドさせ
る駆動手段を構成し、かつ、前記駆動用のガイド
レールは平面略への字状に屈曲して、屈曲部から
前方斜め内側に延びる前記ガイドリンクの逃げ部
と、屈曲部から後方斜め内側に延びる一般部とで
構成すると共に、前記逃げ部をステツプ部下面に
固設したスライドドアガイド用のロアレールの前
端部の屈曲角度と略同一に形成してある。

実施例 以下、本発明の実施例を図面と共に詳述する。

第１〜４図において、１は車体開口部２に装着
され、図外のアツパガイドレール、ウエストガイ
ドレールおよび後述するロアガイドレールに沿つ
て車体前後方向に開閉されるスライドドアを示
し、前記車体開口部２に臨むフロア３の側部には
ステツプ部４を有段成形してある。前述のアツパ
ガイドレール、ロアガイドレールは周知のように
車体開口部２の上縁および下縁に沿つて形成さ
れ、スライドドア１の閉扉状態では該スライドド
ア１側面が車体側面と面一に整合し、開扉時には
一旦スライドドア１をその厚み寸法以上に車外側
に押出し、そして、該スライドドア１を車体側面
から離間させて後方にスライド移動させるように
なつている。

５はスライドドア１の前端下側部の内側に装着
したロアローラで、該ロアローラ５はブラケツト
６の上面に軸支された水平ローラ５ａと、ブラケ
ツト６下面に軸支された垂直ローラ５ｂとから構
成されている。水平ローラ５ａは車体開口部２の
下縁を構成するステツプ部４の下面に接合した後
述強度メンバに固着した断面チヤンネル形のロア
レール７ａに係合してドア本体１の車幅方向の振
れを規制し、垂直ローラ５ｂは前記ステツプ部４
の下側に車体前後方向に延在する強度メンバ８の
レール部７ｂ上に支持されている。従つて、前述
のロアガイドレール７はこれらロアレール７ａと
レール部７ｂとで構成される。

そして、前記ステツプ部４の下方に一対のガイ
ドレール１０を介して該ステツプ部４下方の格納
位置Ａから車体側部外方の進出位置Ｂに進出する
スライドステツプ１１を配設してあると共に、該
スライドステツプ１１を前記スライドドア１の開
閉動に連動して前記格納位置Ａと進出位置Ｂとに
スライドさせる駆動手段１２を配設してある。前
後のガイドレール１０，１０は断面チヤンネル形
に形成され、後端末においてブリツジ１３により
連結されている。これらガイドレール１０は各一
対のブラケツト１４によつて前記ステツプ部４の
前後縁部に吊持されていると共に、ブリツジ部１
３は複数本のブラケツト１５によつてフロア３下
面に接合した車体前後方向強度メンバ１６に吊持
されている。

スライドステツプ１１はその両側縁の後部と中
央部にガイドローラ１７を備え、該ガイドローラ
１７を前記ガイドレール１０に接合して該ガイド
レール１０に沿つてスライド移動できるようにな
つている。ガイドローラ１７は、ブラケツト１８
の上面に軸支されてガイドレール１０の上縁下面
に接合したインナレール１０ａに係合し、スライ
ドステツプ１１の車体前後方向の振れを規制する
水平ローラ１７ａと、ブラケツト１８下面に軸支
されてガイドレール１０の下縁に支持される垂直
ローラ１７ｂとで構成している。また、このガイ
ドレール１０の上縁にスライドステツプ１１の上
がり止め兼用のステイフナ１０ｂを接合してあ
る。

駆動手段１２は本実施例では、スライドドア１
の前端下側の外側に固設し、該ドア下縁を廻り込
んで車室側に延びるガイドリンク２０と、スライ
ドステツプ１１の上面に固設されて前記ガイドリ
ンク２０の先端部下面に軸支したローラ２０ａが
係合するガイドレール２１とで構成している。こ
のガイドレール２１は平面略への字状に屈曲さ
れ、屈曲部２１ａからスライドステツプ１１の前
側斜め内側に延びるガイドリンク２０の逃げ部２
１ｂと、屈曲部２１ａからスライドステツプ１１
の後側斜め内側に延びる一般部２１ｃとから構成
されている。前記逃げ部２１ｂはステツプ部４下
面に固設したスライドドア１のガイド用ロアレー
ル７ａの前端部の屈曲角度と略同一に形成され、
スライドドア１の開、閉扉時に該スライドドア１
の車幅方向の挙動に対してガイドリンク２０が該
逃げ部２１ｂ内を滑動するだけで、スライドステ
ツプ１１が車幅方向に移動しないようにしてあ
る。なお、このガイドレール２１は、スライドス
テツプ１１面に直接ガイド溝として形成して、該
ステツプ１１面上の突起感をなくすようにしても
よい。

以上の実施例構造によれば、第５図および第２
図実線で示すようにスライドドア１が閉扉してい
る状態から、該スライドドア１を開扉する場合、
該スライドドア１はその後方スライド移動に先立
つてロアローラ５とロアレール７前端部とのガイ
ド作用によつて一旦、車体側部外方へ押動される
が、この時、ガイドリンク２０のローラ２０ａは
スライドステツプ１１面上のガイドレール２１の
前側逃げ部２１ｂ内を滑動して屈曲部２１ａに至
る。従つて、このスライドドア１の車体側部外方
への移動時にはスライドステツプ１１は不動でス
テツプ部４下方の格納位置Ａにあり、該スライド
ステツプ１１の外方への急激な飛び出しを回避し
てスライドドア１近傍に居る人がスライドステツ
プ１１の干渉によつて怪我を負うのを未然に防止
できる。

そして、スライドドア１を後方へスライド移動
させると、ガイドレール一般部２１ｃが屈曲部２
１ａからスライドステツプ１１の後側斜め内側に
延在しているため、ガイドリンク２０の後方移動
に伴つてスライドステツプ１１がガイドレール２
１に沿つて車体側部外方に進出し、スライドドア
１の全開によつて第６図および第２図鎖線で示す
進出位置Ｂで停止する。従つて、乗員はフロア側
部のステツプ部４よりも地上高の低いスライドス
テツプ１１および前記ステツプ部４を利用して容
易に乗降することができ、特に老人や幼児にあつ
てもスライドステツプ１１の地上高が低いため自
力で乗降することができ安全対策の上でも非常に
有利となる。

スライドドア１を全開状態から閉扉する時は、
スライドステツプ１１は前記進出位置Ｂから後退
し、ガイドリンク２０が屈曲部２１ａに至つて格
納位置Ａに戻る。この時点ではスライドドア１は
車体開口部２より車外側に位置しており、該スラ
イドドア１が車体開口部２に収まつて車体側面と
面一に整合する過程ではガイドリンク２０のロー
ラ２０ａはガイドレール２１の逃げ部２１ｂを滑
動してスライドステツプ１１の動きはなく、前記
スライドドア１の車室内側への車幅方向挙動の追
随を逃げることができる。

また、スライドドアが全開されると、ウエスト
ガイドレールあるいはロアガイドレール後端部に
設けられた全開ストライカ１ｂに、スライドドア
に設けられ、かつ、スライドドア開閉時に操作さ
れるドアハンドル１ａと連動する全開フツクが係
合されるようになつた公知のスライドドア全開ス
トツパ装置（詳細は図示せず）が設けられている
ため、スライドドアが全開されると、スライドド
アが動かなくなる。これにより、スライドドアと
連動しているスライドステツプも進出した位置で
固定された状態に保たれるのでスライドステツプ
に特別なストツパを設けなくても良い。

なお、スライドドア閉時はドアハンドルを操作
すると、前記スライドドアに設けられている全開
フツクは、全開ストライカから係脱し、スライド
ドアを動かすことができる。

さらに、全閉時はスライドドアがスライドドア
ロツク装置（図示せず）により車体に係合される
ため、スライドステツプも後退位置で固定された
状態に保たれる。

他にレールの形状を第４図ｂのようにしておけ
ば、荷重を受けるローラ機能と、水平方向のガイ
ド機能とを持たせることができるので原価の低減
を図ることができる。

発明の効果 以上のように本発明によれば、乗降の際にはス
ライドドアの開扉によつてフロア側部のステツプ
部の下方より、該ステツプ部よりも地上高の低い
位置にスライドステツプが車外側に進出位置され
るため、乗員はこのスライドステツプおよびフロ
ア側部のステツプ部を利用して乗降を容易に、か
つ安全に行えて乗降性を一段と向上できるのであ
る。また、このスライドステツプはスライドドア
の閉扉によつて自動的に前記ステツプ部の下方に
格納されて車体側方に突出することはないので外
観および安全性を損なうこともない。とりわけ、
駆動手段を構成する駆動用のガイドレールは平面
略への字状に屈曲していて、屈曲部から前側の部
分は前方斜め内側に延びるガイドリンクの逃げ部
としてあつて、しかも、この逃げ部をステツプ部
下面に固設したスライドドアガイド用のロアレー
ルの前端部の屈曲角度と略同一に形成してあるの
で、スライドドアの開、閉扉時に該スライドドア
の車幅方向の挙動に対して、ガイドリンクは逃げ
部内を滑動するだけで、スライドステツプが車幅
方向に移動することがなく、従つて、特にスライ
ドドア開扉時に該スライドドアがロアレールのガ
イド作用により一旦外方へ押動された場合に、ス
ライドステツプの不意な突出による危険感をなく
すことができて、安全性をより一層高められると
いう実用上多大な効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の構造を採用した自動車の外観
斜視図、第２図は第１図の−線に沿う断面
図、第３図はスライドステツプ配設状態を示す透
視斜視図、第４図ａは第３図の−線に沿う断
面図、第４図ｂはガイドレールの異なる例を示す
断面図、第５，６図はスライドステツプの格納
時、使用時をそれぞれ示す斜視図である。 １…スライドドア、２…車体開口部、３…フロ
ア、４…ステツプ部、７ａ…スライドドアガイド
用のロアレール、１０…ガイドレール、１１…ス
ライドステツプ、１２…駆動手段、２０…ガイド
リンク、２０ａ…ガイドリンクのローラ、２１…
駆動用のガイドレール、２１ａ…屈曲部、２１ｂ
…ガイドリンクの逃げ部、２１ｃ…一般部、Ａ…
格納位置、Ｂ…進出位置。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ スライドドアが取付く車体開口部に臨むフロ
   ア側部にステツプ部を有段成形した構造にあつ
   て、前記ステツプ部の下方にガイドレールを介し
   て該ステツプ部下方の格納位置から車体の側部外
   方へ進出するスライドステツプを配設すると共
   に、このスライドステツプ面上に駆動用のガイド
   レールを設ける一方、スライドドアの前端下側に
   車室側に向けて延びるガイドリンクを設け、該ガ
   イドリンク端に軸支したローラを前記駆動用のガ
   イドレールに係合して、スライドステツプを前記
   スライドドアの開閉動に連動して前記進出位置
   と、格納位置とにスライドさせる駆動手段を構成
   し、かつ、前記駆動用のガイドレールは平面略へ
   の字状に屈曲して、屈曲部から前方斜め内側に延
   びる前記ガイドリンクの逃げ部と、屈曲部から後
   方斜め内側に延びる一般部とで構成すると共に、
   前記逃げ部をステツプ部下面に固設したスライド
   ドアガイド用のロアレールの前端部の屈曲角度と
   略同一に形成したことを特徴とする自動車のサイ
   ドステツプ構造。