JPH0436063Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、電線の端末に露出した複数本の導線
を結束するためのシームレスの熱収縮チユーブに
関する。

従来、電線の端末の外被を所定長取除いて内部
の導線を露出させたままでは導線が曲つたりほぐ
れたりして接続し難くなるので、露出した導線に
絶縁チユーブを被嵌した上で、電線の外被から絶
縁チユーブにわたつて熱収縮チユーブを被せて加
熱収縮させて結束していた。しかしながら、従来
の熱収縮チユーブで結束すると、露出した導線に
被嵌してあつた絶縁チユーブが加熱収縮作業中に
抜けてしまつたり、結束後も抜け落ち易いという
問題があつた。また、テープ状の収縮フイルムを
巻き付けて絶縁チユーブを固着した状態で、加熱
収縮作業を行ない抜け落ちを防ぐことも試みられ
たが、巻き付け作業が極めて非能率であつた。

本考案は内外層を各々異なる性質を有するエチ
レン−酢酸ビニル共重合体樹脂で構成することに
より上記聞題を解決せんとしたものであり、以
下、添付図面に基いて詳細に説明する。

第１図は本考案の電線端末結束用熱収縮チユー
ブの一例を示す斜視図であり第２図は電線の端末
を結束した様子を示す正面断面図である。

本考案において外層１は、温水架橋されたシリ
コングラフト化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹
脂層である。この樹脂は柔軟性に富みまた温水架
橋により、耐侯性、耐熱性、収縮特性に優れると
ともに内層２と基本的に同種の分子構成を有して
いるので親和性が良く共押出によつて完全に接着
している。また、たとえば電子線架橋により架橋
されたものに比べて電子線照射装置のような特別
な高価な装置を必要としないで容易に製造し得る
という利点がある。

内層２は、架橋剤を含まない無架橋のエチレン
−酢酸ビニル共重合体樹脂層であり、樹脂本来の
有する粘着性や低温接着性が無架橋であるために
そのまま残つている。このため加熱収縮時には、
外被を取り除かれて幾分外方へ広がり気味の露出
導線に被嵌された絶縁チユーブ３が、この内層２
に接触し続けるので、内層２の粘着性によつて絶
縁チユーブ３が抜け落ちるのを防止するものと考
えられる。また加熱収縮時の熱によつて絶縁チユ
ーブ３を接着固定する効果を奏する。この樹脂
は、酢酸ビニル含量が10〜25重量パーセント程度
のエチレン−酢酸ビニル共重合体が、粘着性が大
きく絶縁チユーブの抜け落ちが極めて少なく、か
つ加熱収縮時に溶け出して見苦しくならないので
好ましい。

また、外層１と内層２とは環状の２層ダイから
共押出で成形されたシームレスのものであるか
ら、軸方向の接着部が無い（シームレス）ので加
熱収縮時等に接着部から剥離する危険が全く無
い。またテープ状の収縮チユーブを巻き付ける場
合のように、長い重なり部の一部に弱点が生じ、
この弱点からほどけるという恐れも全くなく、さ
らに同種の樹脂同志の共押出なので両層の接着も
完全に行なわれている。

さらに本考案の熱収縮チユーブでは、外層がシ
リコングラフト化エチレン−酢酸ビニル共重合体
樹脂のため、先に積層し、その後から温水により
外層のみを架橋して延伸性を与え、ひき続き膨張
延伸して外層に収縮性を与えて、初めて理想的な
共押出のシームレスの、しかも熱収縮性のチユー
ブを得られたものである。

本考案の電線端末結束用チューブはその構成の
ため製造上の利点を有する。すなわち、温水架橋
チユーブでは、押出機内おいても幾分架橋するた
めに口金に架橋物が堆積し易くく特にチユーブ状
のものでは、内部の架橋物を取り除くことができ
ず、製造を中断して掃除する必要があつた。この
点、内層２として無架橋のエチレン−酢酸ビニル
共重合体を配したことにより、チユーブ内面に架
橋物が堆積せず、長時間の連続運転が可能とな
る。

以上説明したように本考案の電線端末結束用チ
ユーブは、露出する導線に被せた絶縁チユーブが
抜け落ちることなく電線の端末を結束でき、耐熱
性、耐侯性にも優れたものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の電線端末結束用熱収縮チユー
ブの一例を示す斜視図であり、第２図は電線の端
末を結束した様子を示す正面断面図である。 １……外層、２……内層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外層が温水架橋されたシリコングラフト化エチ
   レン−酢酸ビニル共重合体樹脂層で、内層が架橋
   剤を含まない無架橋のエチレン−酢酸ビニル共重
   合体樹脂層からなり、両層が共押出により積層さ
   れているシームレスの電線端末結束用熱収縮チユ
   ーブ。