JP5043262B2 - 遮水テープ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力ケーブルなどの遮水層に用いて、有用な遮水テープに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、電力ケーブルの絶縁体にあっては、吸水があると、樹脂中に水が樹枝状に凝集した形の水トリーが生じ、これを起点として絶縁破壊が生じ易くなる。このため、絶縁体中にはなるべく水が入らないようにするため、絶縁体の外方(外側)に遮水層を設けるのが一般的に行われている。
【0003】
この遮水層の形成には、通常遮水テープが用いられる。遮水テープは、シース(外皮)を押し出す際、ケーブルコア上に縦添えすると共に、その一部をラップさせ、このラップ部分を熱融着させることで遮水性を得ている。
【0004】
この遮水テープとしては、従来の次のような構造のものが提案されている。
先ず、ベースフィルム(PETフィルムやPVCフィルム)の片面にホットメルト系の樹脂接着層を設ける一方、他方の片面側には、金属箔(鉛箔やアルミニウム箔)を貼り付け、この上に半導電層を設けてある。
【0005】
この構造の遮水テープによると、金属箔層によって優れた遮水性能が得られると同時に、金属箔層は半導電層によって保護され、また、シースの押出時には、押出熱によって、ホットメルト系の樹脂接着層が機能し、縦添えしたケーブルコア側へやラップ部分同士がほぼ自動的に接着されるという機能が得られる。
このため、従来から、この種の構造のものが、多用されてきている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来構造の遮水テープでは、次のような問題点があった。
先ず、その第1として、用いる金属箔の厚さが、通常30〜200μm程度と厚いため、特にアルミニウム箔では、遮水テープ自体が硬くなり、加工し難くなるという問題があった。
【0007】
しかし、金属箔をこれ以上薄くすると、ケーブルのような長尺物に適用する場合、その全長に渡り、金属箔を外傷などから護り、ピンポールなどを発生させることなく貼り付けることは、難しくなるという新たな問題が生じる。
【0008】
一方、第2に、金属箔を貼り付けるラミネート化では、ベースフィルムや金属箔側に接着剤を塗布する工程と、この塗布後は、両者を貼り付ける工程も必要となる。もちろん、接着剤自体も必要とされる。したがって、これらの工程数や材料費がコスト上昇要因となる。
【0009】
本発明は、このような現状に鑑みてなされたものである。
つまり、本発明は、遮水テープにおいて、ベースフィルムの片面側に直接蒸着金属層を設けることで、厚さを自在に(薄く)調整して、テープ自体に適度の可撓性を持たせる一方、金属層の形成が蒸着工程のみでよいことから、従来の遮水テープにおける、金属層形成時のラミネート化に比較して、工程数及び材料費が減るため、コストダウンも可能となる。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、ベースフィルムとこの片面に施された厚さが50〜200オングストロームの蒸着金属層とこの蒸着金属層上に設けた厚さが10〜30μmの保護層と前記ベースフィルムの他方の片面に設けた厚さが15〜50μmで、かつそのベース材料が塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂/オレフィン系共重合体の少なくとも一つから選ばれる接着層とからなることを特徴とする遮水テープにある。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る遮水テープを一実施例を示したものである。
この遮水テープ1において、2はベースフィルム、3はこの片面に施された蒸着金属層、4はこの蒸着金属層3上に設けた保護層、5はベースフィルム1の他方の片面に設けた接着層である。
【0016】
上記ベースフィルム2としては、特に限定されないが、熱可塑性樹脂フィルムである、PETフィルムやPVCフィルムが使用でき、また、その厚さは、10〜200μm程度とする。
【0017】
上記蒸着金属層3の金属としては、特に限定されないが、コスト的な面から、アルミニウムの使用が好ましい。蒸着の厚さは、蒸着時間の調整によって自在に設定できるが、50〜1000オングストローム(Å=10-8cm)程度とする。その理由は、50オングストローム未満では、蒸着密度が不十分で、蒸着ムラが生じ易く、十分な遮水性が得られないことが分かったからである。また、1000オングストロームを越える場合には、十分な遮水性が得られるものの、蒸着に長時間を要し、製造コスト的に好ましくないからである。
【0018】
この蒸着工程は、例えば密閉空間において、適度の真空度下で送り出し側から出てくるフィルム上に金属の蒸着させることで行う。蒸着金属層3は、この蒸着工程のみで製造できるため、従来の金属層形成時におけるラミネート化の場合(接着剤塗布工程とフィルム貼付け工程とが必要)に比較して、工程数及び材料費が減り、コストダウンが可能である。
【0019】
この蒸着金属層3を保護する保護層4も、特に限定されないが、電力ケーブルの遮水テープにあっては、電界緩和効果を有する、半導電材料からなる半導電保護層とすることが好ましい。もちろん、外傷の保護用として、単なる樹脂フィルムの貼り付け層や樹脂の塗布層であってもよい。
【0020】
半導電層と場合には、ベースの樹脂材料に適度の導電付与剤(カーボンブラックなど)を添加して、体積抵抗率が、106 (Ω・cm)以下となるように調整する。このベース樹脂材料としては、ポリオレフィン系(PE、EVA、EEAなど及びこれらの組み合わせ)や、軟質などのPVC系が挙げられる。
この半導電組成物を、蒸着金属層3上に塗布してホットメルト層としたり、或いはフィルム化して貼り合わせ層としてもよい。この半導電保護層の厚さは、10〜30μm程度が好ましい。
【0021】
上記接着層5のベース材料としては、特に限定されないが、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂/オレフィン系共重合体、酸変性ポリオレフィンなどから選ばれる少なくとも一つを用いることが好ましい。特に、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂/オレフィン系共重合体では、熱可塑性高分子量形の使用が望ましく、また、ケーブル用テープの場合、縦添えされた遮水テープが、シース材料の押出時の熱により、自動的に接着されるホットメルトタイプのもの使用が望ましい。
そして、その厚さは、15〜50μm程度とするとよい。ここで、厚さを15〜50μm程度とした理由は、15μm未満では、十分な接着性が得られず、また、逆に50μmを越えるようになると、テープ全体の可撓性が損なわれるようになるからである。
【0022】
このようにして得られた、本発明の遮水テープは、その用途は、特に限定されないが、上述したように、電力ケーブルの遮水テープとして用いるとよい。また、通信ケーブル用として用いることもできる。さらに、ケーブル接続部用の遮水テープとして用いることも可能である。
【0023】
〈実施例〉
表1〜表2に示すように、本発明の要件を満たす遮水テープ(実施例1〜2)と、本発明の要件を欠く遮水テープ(比較例1〜4)を、サンプル(試料)として製造した。なお、保護層にあっては、いずれも半導電性とした。そして、これらの各サンプルについて、テープ自体(蒸着金属層)の遮水性、テープ全体の可撓性、接着層の接着性、製造コストの各面からの評価を行った。これらの評価は、同表1に併記した。
【0024】
なお、遮水性については、上記各サンプルの遮水テープを用いて、22KV、400mm2 、絶縁厚さ6mmの電力ケーブルを製造し、遮水テープ層付きシースから試料を1m程度試料として採取し、湿度センサを取り付け、両端を封止して透湿性の度合いを評価した。湿度の上昇から算出される透湿係数が、100×10-8g・cm/cm2 ・day・mmHg以下を合格「○」とし、これを越える場合も不合格「×」とした。
【0025】
また、柔軟性については、上記遮水テープ層付きシースの曲げ試験を行い、皺のないものを合格「○」とし、皺のあるものを不合格「×」として評価した。接着性については、180°背面剥離法により、100mm/minで実施し、10N/15mm幅以上を合格「○」とし、それ未満を不合格「×」として評価した。製造コストについては、工程数や材料費などのコスト面から総合的に評価し、良好を「○」で、不良を「×」で表した。
【0026】
【表1】
Figure 0005043262
【0027】
【表2】
Figure 0005043262
【0028】
上記表1から、本発明の条件を満たす遮水テープ(実施例1〜2)では、遮水性、可撓性、接着性、製造コストのいずれでも、良好であることが分かった。
これに対して、表2から、本発明の要件を欠く遮水テープ(比較例1〜4)では、いずれかの特性において問題があることが分かった。
つまり、比較例1では蒸着金属層が薄過ぎて、十分な遮水性が得られなかった。比較例2では蒸着金属層が厚い分だけ製造に長時間を要し、製造コストが上昇した。比較例3では半導電保護層が薄過ぎて、十分な接着が得られなかった。比較例4では接着層が厚い分だけ可撓性の低下があった。
【0029】
なお、上記の説明では、蒸着金属層の金属として、アルミニウムを用いたが、本発明は、この他にも、銅、金などの金属を蒸着させることも可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る遮水テープによると、ベースフィルムの片面側に直接蒸着金属層を設けるものであるため、その厚さを、自在に調整することが可能となる。したがって、テープの他の部分との兼ね合いで、蒸着金属層の厚さを、所定の範囲(50〜200オングストローム)に調整して、テープ全体の硬さを、適度の可撓性を有するように調節することができる。
【0031】
また、金属層を設けるにおいて、蒸着工程のみの採用でよいため、例えば、従来の遮水テープにおける、金属層形成のラミネート化に比較して、工程数及び材料費(接着剤)の減少が望めるため、コストダウンも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る遮水テープの一実施例を示した縦断面図である。
【符号の説明】
1 遮水テープ
2 ベースフィルム
3 蒸着金属層
4 保護層
5 接着層

Claims (1)

  1. ベースフィルムとこの片面に施された厚さが50〜200オングストロームの蒸着金属層とこの蒸着金属層上に設けた厚さが10〜30μmの保護層と前記ベースフィルムの他方の片面に設けた厚さが15〜50μmで、かつそのベース材料が塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂/オレフィン系共重合体の少なくとも一つから選ばれる接着層とからなることを特徴とする遮水テープ。
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