JPH04339591A - 焼結材溶接用溶加材 - Google Patents

焼結材溶接用溶加材

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JPH04339591A
JPH04339591A JP3108741A JP10874191A JPH04339591A JP H04339591 A JPH04339591 A JP H04339591A JP 3108741 A JP3108741 A JP 3108741A JP 10874191 A JP10874191 A JP 10874191A JP H04339591 A JPH04339591 A JP H04339591A
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filler
metal
sintered
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高橋英司
Yasuo Murai
村井康生
Hironori Suzuki
鈴木浩則
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として自動車の動力
伝達系等に用いられる多孔質の焼結部品同志或いは焼結
部品と鋼材とを溶融接合する際に用いられる溶加材に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼材同志の接合は、一般のアーク溶接、
或いは電子ビーム、レーザビームなどの高エネルギー密
度ビーム溶接により広く行なわれている。しかしながら
、焼結材の場合には、多孔質であるため、これらの方法
で溶接すると母材の空孔が集合し、大きなブローホール
が溶接金属に形成され、溶接部の強度が確保できなくな
る。このため、従来、焼結材の接合方法として、下記の
方法が提案されているが、それぞれ問題があった。
【0003】■ろう付けによる方法 ろう材の選定、ろう付条件がむずかしく、ろう材の濡れ
性が良すぎると、ろうが母材の空孔に吸収され、接合界
面のろうが不足し、一方、ろう材の濡れ性が悪いと、特
に中、高炭素組成の焼結材に対しては良好な結合が行な
えない。また、ろう付時に接合界面の周辺の空孔が成長
することもあり、安定した強度が得にくい。
【0004】■焼きばめに類する方法 2つの部材の線膨張係数の違いを利用して、焼結時に接
合したり、焼結後焼きばめ或いは冷しばめにより接合す
る方法であるが、このような方法で接合したものは、使
用環境により接合強度が経年劣化し易い。
【0005】■溶浸による方法 2つの部材の接合部に銅等の溶浸材をセットし、溶浸材
を溶融させることによって接合部の空孔を溶融金属で満
たす方法であるが、接合強度は溶浸材に依存するため、
接合部の強度が母材に比べて著しく低くなる。また、こ
の方法では鋼材と焼結材の接合は基本的に不可能である
【0006】■溶浸後高エネルギー密度ビーム溶接を行
なう方法 特開平2−160185号に示されている方法であり、
空孔を溶浸材で満たしたうえで、ビーム溶接することに
より、ブローホールの発生に対しては改善される可能性
があるが、その他の欠陥の発生に対しては対策が施され
ていない。すなわち、通常、焼結材には強度を確保する
ために0.4〜1%程度の炭素が添加されるが、これを
冷却速度の早い高エネルギー密度ビーム溶接で溶接する
と、変態割れ、低温割れが発生する。また、銅を代表と
する溶浸材のため、溶接金属中の銅含有量が増加し、母
材中のS等の不純物とあいまって著しく高温割れ感受性
が高まり、溶接金属の高温割れ(凝固割れ)が避けられ
ない。また溶浸、ビーム溶接と2つの工程が必要であり
、生産性の面でも有利な方法とはいい難い。
【0007】■高Mn溶加材を用いて高エネルギー密度
ビーム溶接を行なう方法 本発明者等が先に提案したように、高MnでかつAl、
Tiを添加した溶加材を用いて高エネルギー密度ビーム
溶接を行なう方法であり、焼結材を溶接する場合に生ず
るすべての欠陥を防止し得る方法である。しかし、1つ
の問題として、溶接金属の硬さが高く、かつ溶接金属の
成分がFe−C−Mn系となるため、靭性に乏しいこと
が挙げられる。
【0008】以上のように、従来の接合方法並びに溶加
材は、欠陥発生防止、接合部の強度、生産性及び接合部
の靭性の点で不十分であり、すべてを満足できる方法並
びに溶加材は見当らないのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】焼結材同志或いは焼結
材と鋼材の接合に対しては、前述の高エネルギー密度ビ
ーム溶接が適用できれば、溶込み深さ、強度、生産性、
歪みの面で有利と考えられる。しかしながら、焼結材は
、通常かなり高いC含有量であること、及び空孔が存在
することから、Cに起因する低温割れや空孔に起因する
ブローホール等の欠陥発生は避けられない。また、高温
割れは、軽微な割れは許容できるものの、大きな割れの
発生は避けるべきである。したがって、これを実用化す
るためには、特に低温割れやブローホールの発生の防止
を図ったうえで、適切な強度の溶接部が得られることが
必要である。更に、溶接そのものが安定して行えなけれ
ば、生産性を極めて重視する分野においては実用化がで
きない。
【0010】本発明は、かゝる要請に応えるべくなされ
たものであって、主として高エネルギー密度ビーム溶接
時に使用する溶加材であって、焼結材の接合において低
温割れやブローホール等の欠陥の発生がない焼結材溶接
用溶加材(フィラーワイヤ)を提供することを目的とす
るものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
、本発明者等が鋭意研究を重ねた結果、溶加材の組成を
規制することによって可能であることを見い出し、ここ
に本発明をなしたものである。
【0012】すなわち、本発明は、多孔質の焼結部品同
志或いは焼結部品と鋼材を溶融接合する際に用いる溶加
材において、その組成が、Cr、Mo及びSiのうちの
少なくとも1種とNi、C及びMnのうちの少なくとも
1種をY≧−(1/3)X+23、Y≧12(但し、X
=Cr(%)+Mo(%)+1.5Si(%)、Y=1
.2Ni(%)+20C(%)+0.8Mn(%))を
満足するように含有し、かつ、Al、Ti、Zr及びV
のうちの少なくとも1種を合計で0.3〜5%含有し、
残部がFe及び不可避的不純物であることを特徴とする
焼結材溶接用溶加材を要旨とするものである。
【0013】また、他の本発明は、溶加材の組成が、C
:0.05〜1%及びMn:15〜30%を含有し、か
つ、Al及びTiのうちの少なくとも1種を合計で0.
2〜3%含有し、必要に応じて更にSi:2%以下、C
u:1%以下、Ni:10%以下、Cr:4%以下及び
Mo:2%以下のうちの1種又は2種以上を含有してい
ることを特徴とするものである。
【0014】また、他の本発明は、溶加材が、ステンレ
ス鋼製シース内に金属粉を封入してなるコアドワイヤで
あって、封入する金属粉が、ワイヤ全重量に対して、少
なくともMn:5〜30%を含有すると共に必要に応じ
てC:0.05〜1%を含有し、かつ、Al及びTiの
うちの少なくとも1種を合計で0.2〜3%含有してい
ることを特徴とするコアドワイヤである。
【0015】また、他の本発明は、多孔質の焼結部品同
志或いは焼結部品と鋼材を溶融接合する際に用いる溶加
材において、C:0.05〜1%、Si:2%以下、M
n:5〜30%、Ni:7〜15%及びCr:20%以
下を含有し、AlとTiの少なくとも1種を合計で0.
2〜3%含有し、残部がFe及び不可避的不純物である
ことを特徴とするソリッドワイヤである。
【0016】また、他の本発明は、多孔質の焼結部品同
志或いは焼結部品と鋼材を溶融接合する際に用いる溶加
材において、その組成が、Cr、Mo及びSiのうちの
少なくとも1種とNi、C及びMnのうちの少なくとも
1種をY≧−(1/3)X+18、Y≧7(但し、X=
Cr(%)+Mo(%)+1.5Si(%)、Y=1.
2Ni(%)+20C(%)+0.8Mn(%))を満
足するように含有し、かつ、Al、Ti、Zr及びVの
うちの少なくとも1種を合計で0.2〜5%含有し、残
部がFe及び不可避的不純物であることを特徴とする焼
結材アーク溶接用溶加材である。
【0017】以下に本発明を更に詳述する。
【0018】
【作用】機械部品として用いられる焼結材は、一般に、
強度改善のために、純鉄粉或いは合金粉に0.4〜1%
のCを添加し、焼結助剤として2.5%以下のCuとバ
インダーを混ぜ合わせたうえで圧粉体を形成し焼結され
る。このような焼結材を高エネルギー密度ビーム溶接で
溶接すると、前述の如く、母材の空孔に起因するブロー
ホールが発生すると共に、低温割れ、変態割れ、高温割
れなどが発生する。
【0019】これに対し、本発明の溶加材は以下の作用
を有している。まず、溶接金属のマルテンサイト変態に
起因する低温割れを防止するために、溶加材より所定の
成分を添加して、マルテンサイト変態を抑制し、溶接金
属の組織をオーステナイト或いはオーステナイトとマル
テンサイトの混合組織とするものである。すなわち、C
、Ni、Mn等のオーステナイト形成元素を、Cr、M
o、Siを代表とするフェライト形成元素に対し、所定
の比率以上含有させる。
【0020】一方、ブローホールの発生に対しては、強
力な脱酸剤であるAl、Ti、Zr、V等を所定量添加
することにより、防止する。これらの元素は脱酸剤であ
ると同時に、窒素吸収作用がある。すなわち、焼結材に
おける空孔には酸素のみでなく、当然窒素が含まれるた
め、Mn、Si等の脱酸剤だけではブローホールの発生
防止に対して不充分であることから、上記脱窒兼脱酸剤
を所定量(0.2〜5%)添加することにより、完全に
ブローホールの発生を防止できるのである。
【0021】次に本発明の溶加材の成分限定理由につい
て説明する。
【0022】(低温割れ防止対策)
【0023】C含有量の比較的高い焼結材に対して、溶
加材を供給しながら高エネルギー密度ビーム溶接する場
合、溶接金属全体を溶加材組成とすることは不可能であ
る。溶接金属全体に対する溶加材成分の割合は、ワイヤ
供給安定性等を考慮すると、実用的には50%程度であ
る。このような前提で、溶接金属の組織をオーステナイ
ト或いは或る硬さ以下(低温割れの問題のない硬さ)の
オーステナイトとマルテンサイトの混合組織とするには
、以下の式を満足する必要がある。
【0024】Y≧−(1/3)X+23Y≧12 但し、X=Cr(%)+Mo(%)+1.5Si(%)
Y=1.2Ni(%)+20C(%)+0.8Mn(%
【0025】なお、上記式において、X成分はCr、
Mo、Siのうちの少なくとも1種からなり、Y成分は
Ni、C、Mnのうちの少なくとも1種からなるもので
ある。
【0026】このような基本的思想を図2を参照して説
明する。なお、母材はCを0.7%含有する鉄基焼結材
の場合である。図において、上方の白印又は一点白印の
領域は、低温割れが発生し、且つ、オーステナイト組織
(又は低温割れの発生しない程度にオーステナイト組織
を含有するオーステナイトとマルテイサイト組織の混合
組織)の溶接金属が安定して得られる溶加材成分領域で
あり、一方、下方の黒印又は半黒印の領域は、低温割れ
が発生し、且つ、マルテイサイト組織(又は低温割れが
発生する程度にオーステナイト組織を含有するオーステ
ナイトとマルテイサイト組織の混合組織)の溶接金属が
得られる領域であり、両者の領域の境界はY=−(1/
3)X+23、Y=12である。勿論、焼結材の成分組
成、溶加材供給速度等々によってはこの境界が若干変動
することは有り得る。しかし、その場合においても、溶
接金属に低温割れが発生しない組織(オーステナイト組
織、又は低温割れの発生しない程度にオーステナイト組
織を含有するオーステナイトとマルテイサイト組織の混
合組織)が得られるように溶加材を成分調整することは
云うまでもない。
【0027】(ブローホール防止対策)
【0028】上
述の如く、Al、Ti、Zr、Vは強力な脱酸剤である
と共に窒素吸収に効果があるため、これらの少なくとも
1種を適量(0.2〜5%)にて添加する。Mn量がか
なり高い場合は、これらの元素の含有量は低くてもよい
が、その場合でも0.2%以上必要であり、5%を超え
て添加してもその効果が飽和する。好ましくは0.3〜
5%である。
【0029】以上の溶加材の成分調整思想に基づき、以
下の態様の溶加材成分組成も可能である。
【0030】(溶加材の成分組成の態様■)まず、溶加
材として、C:0.05〜1%及びMn:15〜30%
を含有し、かつ、Al及びTiのうちの少なくとも1種
を合計で0.2〜3%含有し、必要に応じて、更にSi
:2%以下、Cu:1%以下、Ni:10%以下、Cr
:4%以下及びMo:2%以下のうちの1種又は2種以
上を含有し、かつ、AlとTiの少なくとも1種を合計
で0.2〜3%含有する組成のものが可能である。
【0031】これは、溶接金属のC含有量を母材並み或
いはそれ以上に保持した上で、オーステナイト形成元素
であるMnを所定量含有させたものである。これにより
、マルテンサイト変態が抑制され、溶接金属の組織がオ
ーステナイト或いはオーステナイトとマルテンサイトの
混合組織となり、低温割れが防止できる。また、Mnを
添加することにより、母材に含有するSと結び付き、高
温割れの防止に対しても有効に作用する。更に、Mnは
強力な脱酸剤であることから、ブローホールの発生防止
に対しても寄与する。ここで、Mnが15%未満では溶
接金属中に歩留るMn量が不足し、一方、30%を超え
ても溶加材の供給量を加減することにより接合可能であ
るが、溶加材そのものの製造が困難となると共にその効
果が飽和する。
【0032】Cは、オーステナイト形成元素であり、溶
接金属のオーステナイト化に寄与するが、焼結材のC含
有量が1%程度と極めて高い場合は、C含有量が0.0
5%程度の溶加材で充分溶接金属のオーステナイト化を
図ることができる。一方、通常の機械部品として用いら
れる焼結材は、強度改善のためにCが0.4%程度以上
含有しているため、1%を超えるC含有量とする必要が
ない。したがって、Cの適正含有量を0.05〜1%と
したものである。
【0033】また、Siは脱酸剤として有効であるが、
溶接金属のオーステナイト化を抑制するため、2%以下
に抑制する。Cuは、溶接金属中におよそ3%以上含有
すると柱状晶の粒界に偏析し、高温割れが発生し易くな
り、一方、焼結材には一般にバインダーの役割として1
〜2.5%程度が添加されているので、溶加材へのCu
添加は抑えるべきであるが、許容される量は母材の稀釈
を考慮して1%以下である。Crは溶接金属の耐蝕性向
上に寄与するが、フェライト形成元素であるため溶接金
属のオーステナイト化を阻止するので、本組成(Niを
含まない場合)での許容範囲は4%以下とする。Moは
焼結材の強度を向上させるために1%以下添加するが、
フェライト形成元素であるため、母材の稀釈を考慮して
2%以下とする。
【0034】更に、Al、Tiは上述の如く脱酸剤であ
ると共に窒素吸収に効果を発揮するが、この効果を得る
ためには少なくとも1種以上を0.2%以上必要である
。 しかし、3%を超えて添加してもその効果は飽和する。
【0035】(溶加材の成分組成の態様■)ところで、
溶加材を用いて高エネルギー密度ビーム溶接する場合、
溶込み深さを確保するためには、溶加材の供給量が制限
される。このため、前述のC−高Mn−Al、Ti系の
溶加材では、溶接金属の組織を完全なオーステナイトに
することがむずかしく、かなりの割合のマルテンサイト
が含まれるため、靭性に乏しい溶接金属となり易い。こ
の問題に対しては、上記C−高Mn−Al、Tiの金属
粉をステンレス鋼のシース、好ましくはオーステナイト
系ステンレス鋼のシースに封入することにより解決する
ことができる。一般にオーステナイト系ステンレス鋼に
は、通常7%程度以上のNiが含まれており、シースか
らNiを添加することで、より少ない溶加材の供給量で
溶接金属の組織をオーステナイトにすることができ、優
れた靭性の溶接金属が得られる。またシースのCr成分
も、窒素吸収作用があるため、よりブローホールの発生
防止に有利となる。
【0036】すなわち、溶加材がステンレス鋼製シース
内に金属粉を封入してなるコアドワイヤであって、封入
する金属粉が、ワイヤ全重量に対して、少なくともMn
:5〜30%を含有すると共に必要に応じてC:0.0
5〜1%を含有し、かつ、Al及びTiのうちの少なく
とも1種を合計で0.2〜3%含有しているものが可能
である。コアドワイヤとすることにより、より少ない供
給量で溶接金属のオーステナイト化が図れる点で優れて
いる。
【0037】ここで、シースをステンレス鋼とする理由
に次のとおりである。軟鋼製のシースにC、Mn、Al
、Tiなどの金属粉を封入したフィラーワイヤを用いて
高エネルギー密度ビーム溶接した場合、溶接金属の組織
を完全なオーステナイトにすることはむずかしく、かな
りの割合のマルテンサイトが含まれるため、靱性に乏し
い溶接金属になり易い。これに対して、シースにステン
レス鋼を用いた場合、ステンレス鋼の必須成分として多
量のCrが含まれており、Crそのものはフェライト形
成元素であることから溶接金属のオーステナイト化を阻
止する元素であるものの、これに見合うC或いはMnを
封入した場合の溶接金属の靱性は、軟鋼製のシースを用
いた場合よりも良好である。また、前述のようにCrも
窒素吸収作用があるため、よりブローホールの発生防止
に有利となる。更に、シースとしてオーステナイト系ス
テンレス鋼を用いると、通常Crと共に7%程度以上の
Niが含まれていることから、より少ないフィラーワイ
ヤの供給量で溶接金属組織をオーステナイトにすること
ができ、優れた靱性の溶接金属が得られる。なお、シー
スをステンレス鋼製にすることにより、ワイヤ表面の錆
の発生を防止し、よりブローホールが発生しにくい溶加
材を提供できる効果もある。
【0038】また、Mnはオーステナイト形成元素であ
ると共に、高温割れ防止及び脱酸剤として重要な役割を
果たすが、金属粉中に含有させるMn量が5%未満では
溶接金属中に歩留るMn量が不足し、高温割れ、低温割
れを防止できない。また溶接金属の硬さが高くなり、靭
性が確保できない。一方、30%を超えてもフィラーワ
イヤの供給量を制限することにより接合可能ではあるも
のの、フィラーワイヤそのものの製造が困難となるばか
りか、その効果は飽和する。したがって、金属粉中のM
n含有量の適正範囲は、ワイヤ全重量に対して5〜30
%である。
【0039】Al、Tiは脱酸剤であると共に、窒素吸
収に効果を発揮するため重要な成分である。その効果を
発揮させるためには少なくとも1種を0.2%以上含有
させることが必要である。しかし、3%を超えて添加し
てもその効果は飽和する。したがって、Al及びTiの
1種又は2種の合計量の適正範囲は、ワイヤ全重量に対
して0.2〜3%である。
【0040】なお、Cはオーステナイト形成元素であり
、溶接金属のオーステナイト化に寄与するので、金属粉
中のC量を規制するのが好ましい。焼結材のC含有量が
0.6%程度以上と高い場合は、C含有量が0.05%
程度の溶加材で十分溶接金属のオーステナイト化が図れ
る。一方、通常の機械部品として用いられる焼結材は、
強度改善のためにCが0.4%程度以上含有されている
ため、1%を超えるC含有量のフィラーワイヤを用いる
と、かえって靭性が低下する。したがって、金属粉中の
C量の適正範囲はワイヤ全重量に対して0.05〜1%
である。
【0041】(溶加材の成分組成の態様■)また、前述
のC−高Mn−Al−Ti系の溶加材の問題点(溶込み
深さの確保のための溶加材供給量の制限に起因する溶接
金属の完全オーステナイト化の困難化)と、コアドワイ
ヤの問題点(供給時のワイヤの指向性、特に低出力ビー
ムに対しビームからのワイヤの離脱し易さ、合わせ目に
起因する製造後長期間放置での内部金属粉の吸湿、安定
供給のためのワイヤ径の細径化の困難性)を解決する溶
加材として、ソリッドワイヤであって、C:0.05〜
1%、Si:2%以下、Mn:5〜30%、Ni:7〜
15%及びCr:20%を含有し、AlとTiの少なく
とも1種を合計で0.2〜3%含有し、残部がFe及び
不可避的不純物である組成のものが可能である。
【0042】ここで、C、Siの限定理由、並びにAl
及びTiの限定理由は、上述の態様■の場合と同様の理
由である。
【0043】Mnはオーステナイト形成元素であると共
に、高温割れの防止及び脱酸剤として重要な役割を果た
すが、5%未満では溶接金属中に歩留るMn量が不足し
、高温割れ、低温割れが防止できない。また溶接金属の
硬さが高くなり、靭性が確保できない。一方、30%を
超えて添加しても溶加材そのものの伸線性が劣り、製造
がむずかしくなるばかりか、その効果は飽和する。した
がって、適正範囲は5〜30%である。
【0044】Niは溶接金属のオーステナイト化の促進
に寄与すると共に、靭性の改善に有効であり、その効果
を発揮させるためには溶接金属の歩留りを考慮すると7
%以上含有させる必要がある。しかし、15%を超えて
添加してもその効果は飽和すると共にワイヤのコストア
ップにつながる。したがって、適正範囲は7〜15%で
ある。
【0045】Crは溶接金属の耐蝕性向上及び窒素吸収
作用によるブローホールの発生防止に寄与するが、フェ
ライト形成元素であるため、溶接金属のオーステナイト
化を阻止し、20%を超えて添加すると溶接金属のオー
ステナイト化が図れなくなる。したがって、適正範囲は
20%以下である。
【0045】(溶加材の成分組成の態様■)なお、前述
の低温割れ防止対策、並びにブローホール防止対策は、
基本的には、TIG、MIG等のアーク溶接の場合にも
適用できることが判明した。但し、アーク溶接の場合は
、前記の低温割れ防止対策のうち、X成分とY成分の関
係並びにY成分の規定量が若干異なり、Y≧−(1/3
)X+18 Y≧7 の式を満足する必要がある。すなわち、アーク溶接の場
合に適用可能な溶加材成分におけるY成分の下限値がレ
ーザ溶接の場合に比べて低くなるのは、アーク溶接の方
が母材の稀釈率を低くできることから、より小さいY値
の溶加材で所望の溶接金属組織が得られるからである。
【0046】(溶接法)本発明の溶加材は、少なくとも
母材の一方が多孔質の焼結材である接合、具体的には、
焼結部品(例、鉄基焼結材)同士、或いは焼結部品と鋼
材を溶融接合する際に用いるが、その溶接方法は高エネ
ルギー密度ビーム溶接、或いはTIG、MIG等のアー
ク溶接であり、前者の高エネルギー密度ビーム溶接であ
る場合に効果が大きく、特に空気中で溶接できるレーザ
ビーム溶接が好適である。高エネルギー密度ビーム溶接
に供給する溶加材の場合は、ワイヤ径を1.6mmφ以
下とする。高エネルギー密度ビーム溶接においてはビー
ム径が小さいため、これを超えるワイヤ径では正常な供
給ができないからであり、安定した供給のためには1m
mφ以下が好ましい。
【0047】次に本発明の実施例を示す。
【0048】
【実施例1】本例は焼結材同士のレーザ溶接の例である
【表1】 に示す化学成分(wt%)及び密度の焼結材(12t×
20w×100l)に対し、種々の化学成分の溶加材を
供給しながら
【表2】 に示す条件でレーザ溶接した。用いた溶加材は1.2m
mφのワイヤであり、
【表3】 に示す化学成分(wt%)のものである。図1に溶接状
況を示す。溶接後、溶接部のX線検査及び断面検査によ
り欠陥の有無を調べた。その結果を表3に併記する。
【0049】図2は本試験結果における溶加材の化学成
分と欠陥の関係を整理したものである。同図より、Yが
−(1/3)X+23以上で、かつ、12以上の化学成
分であって、しかもAl、Ti、Zr及びVのうちの少
なくとも1種を含有し、その合計量が0.2〜5%の範
囲である溶加材を用いることにより、空孔欠陥及び低温
割れともに防止し得ることが明らかである。なお、本試
験における溶加材供給速度は、このレーザ出力及び溶接
速度条件に対し、安定して供給できるほぼ限界の速度に
近いことから、本試験条件で欠陥を防止できない溶加材
は、実用上問題があると判断した。
【0050】
【実施例2】本例は焼結材同士のレーザ溶接の例である
【表4】 に示す化学成分(wt%)及び密度の焼結材(12t×
20w×100l)に対し、表3に示したNo.20並
びにNo.24の溶加材(本発明例)を用いて、
【表5
】 に示す各種溶接条件でレーザ溶接した。
【表6】 に欠陥調査結果を示す。表に示すように、本発明例の溶
加材を用いることにより、種々の溶接条件において欠陥
のない健全な溶接部が得られた。
【0051】
【実施例3】本例は焼結材と鋼材のレーザ溶接の例であ
る。表1に示した焼結材(12t×20w×100l)
とS45Cの鋼材(12t×20w×100l)を突き
合わせ、異材のレーザ溶接試験を行った。溶加材は表3
におけるNo.20のものを用い、レーザ溶接条件は、
溶接速度1.5m/min、出力5KW、ワイヤ供給速
度3m/minとした。溶接後、実施例1の場合と同様
、欠陥の有無を調べた結果、何らの欠陥も認められず、
健全な溶接部が得られた。
【0052】
【実施例4】本例は焼結材と鋼材のレーザ溶接の例であ
る。表1に示した焼結材(12t×20w×100l)
とS48Cの鋼材(12t×20w×100l)を突き
合わせ、異材のレーザ溶接試験を行った。溶加材は表3
におけるNo.11のものを用い、レーザ溶接条件は、
溶接速度1.5m/min、出力7KW、ワイヤ供給速
度4m/minとした。溶接後、実施例1の場合と同様
、X線検査及び断面調査により欠陥の有無を調べた結果
、何らの欠陥も認められず、健全な溶接部が得られた。
【0053】
【実施例5】本例は焼結材同士のレーザ溶接の例である
【表7】 に示す化学成分(wt%)及び密度の焼結材(20t×
20w×100l)に対し、種々の化学成分の溶加材を
供給しながら
【表8】 に示す条件でレーザ溶接した。用いた溶加材は1.2m
mφのワイヤであり、
【表9】 に示す化学成分(wt%)のものである。図1に溶接状
況を示す。溶接後、溶接部のX線検査及び断面検査によ
り欠陥の有無を調べた。その結果を表9に併記する。
【0054】表9において、本発明例No.9〜No.
14は、いずれも溶接金属の低温割れ及び高温割れ、ブ
ローホールのすべての欠陥が解決されていることがわか
る。 なお、図3に健全な溶接部が得られた本発明例No.1
2の溶接部の硬さ分布測定結果の例を示すように、充分
な溶接金属硬さを有しており、強度面においても問題の
ないことが確認された。
【0055】
【実施例6】本例は焼結材と鋼材のレーザ溶接の例であ
る。表7に示した記号Aの焼結材(20t×20w×1
00l)とS45Cの鋼材(20t×20w×100l
)を重ね、その突き合わせ面をレーザ溶接した。溶加材
は表9におけるNo.12のものを用い、レーザ溶接条
件は、溶接速度1.5m/min、出力6KW一定とし
、ワイヤ供給速度を0〜5m/minの範囲で変化させ
た。溶接後、実施例1の場合と同様、X線検査及び断面
調査により欠陥の有無を調べた。その結果を
【表10】 に示すように、本発明による溶加材を用いて所定量以上
の速度で供給することにより、健全な溶接部が得られる
ことが確認された。
【0056】
【実施例7】本例はMAG溶接による焼結材同士の溶接
の例である。表7に示した焼結材(20t×20w×1
00l)に対し、表9に示したNo.12の溶加材を用
いてMAG溶接によりビードオンプレート溶接した。溶
接条件は電流170A、電圧25V、溶接速度40cm
/minとし、シールドガスはAr+20%CO2を用
いた。
【0057】溶接後、溶接部の表面及び断面の調査を行
った結果、欠陥は認められず、健全な溶接部が得られて
いることが確認された。なお、溶接金属の硬さはレーザ
溶接の場合に比べて、母材成分の稀釈の影響が少ないこ
とから、Hv200程度と充分ではあるが、やや低い値
となった。
【0058】
【実施例8】本例は焼結材同士のレーザ溶接の例である
【表11】 に示す化学成分(wt%)及び密度の焼結材(20t×
20w×100l)に対し、種々の化学成分の溶加材を
供給しながらレーザ溶接した。用いた溶加材は1mmφ
のワイヤで、
【表12】 に示す化学成分(wt%)のものである。レーザ溶接条
件を
【表13】 に示す。溶接後、溶接部をX線検査及び断面調査して欠
陥の有無を調べると共に、溶接金属の化学成分を調べた
。その結果を
【表14】 に示す。
【0059】表14に示すように、溶接金属の化学成分
において、C含有量が0.3%以上でMn含有量が3%
以上、かつAl及びTiの少なくとも1種の含有量が0
.03%以上の場合に、溶接金属のブローホール、高温
割れ、低温割れのすべての欠陥が防止できることが確認
された。なお、図4に健全な溶接部が得られた本発明例
No.5の溶接部の硬さ分布測定結果を示すように、充
分な溶接金属硬さを有しており、強度面でも問題がない
ことが確認された。
【0060】
【実施例9】本例は焼結材と鋼材のレーザ溶接の例であ
る。表11に示した焼結材(20t×20w×100l
)とS45Cの鋼材(20t×20w×100l)を重
ね、その突き合わせ面をレーザ溶接した。溶加材は表1
2に示した記号1のワイヤを用いた。レーザ溶接条件を
【表15】 に示す。溶接部の評価を実施例8の場合と同様に行った
。その結果を
【表16】 に示す。同表に示すように、焼結材と鋼材の溶接の場合
においても溶接金属の化学成分が実施例8に示した範囲
に制御することにより、健全な溶接部が得られることが
確認された。
【0061】
【実施例10】本例は焼結材同士のレーザ溶接の例であ
る。
【表17】 に示す化学成分(wt%)及び密度の焼結材(12t×
20w×100l)に対し、
【表18】 に示すレーザ溶接条件でレーザ溶接した。用いた溶加材
【表19】 に示す種々の化学成分(wt%)のワイヤであって、シ
ースが軟鋼又はオーステナイト系ステンレス鋼(SUS
304)からなる1.2mmφのコアドワイヤである。 溶接後、溶接部のX線検査及び断面検査により欠陥の有
無を調べると共に溶接金属部の衝撃試験を行った。その
結果を表19に併記する。衝撃試験には焼結材表裏面か
ら同一条件でレーザ溶接したものを10×10×55m
mの試験片(2mmVノッチ)に加工したものを用いた
。衝撃試験における判定は常温での吸収エネルギーが1
.2kgf・m以上得られるものを合格とした。
【0062】表19において、No.10〜No.15
の本発明例はいずれも、溶接金属のブローホール、高温
割れ、低温割れを防止でき、且つ所定の靭性が得られて
いることがわかる。
【0063】
【実施例11】本例は焼結材と鋼材のレーザ溶接の例で
ある。表17に示した記号Aの焼結材(20t×20w
×100l)とS45Cの鋼材(20t×20w×10
0l)を重ね、その突き合わせ面をレーザ溶接した。溶
加材としては表19中のNo.10のワイヤを用い、レ
ーザ溶接条件は溶接速度1.5mm/min、出力7K
W一定とし、ワイヤ供給速度を0〜5m/minの範囲
で変化させた。溶接部の欠陥の有無及び溶接金属の硬さ
、靭性を調べた結果を
【表20】 に示す。同表より、本発明の溶加材を用いると、このよ
うな組合せの母材においても、溶加材を所定量以上の速
度で供給することにより、健全且つ優れた機械的性能を
有する溶接部が得られることが確認された。
【0064】
【実施例12】本例は焼結材同士のレーザ溶接の例であ
る。
【表21】 に示す化学成分(wt%)及び密度の焼結材(12t×
20w×100l)に対し、種々の化学成分の溶加材を
供給しながら
【表22】 の条件でレーザ溶接した。用いた溶加材は1mmφのワ
イヤで、
【表23】 にその化学成分を示す。溶接後、溶接部のX線検査及び
断面検査により欠陥の有無を調べると共に、溶接金属部
の衝撃試験を行った。その結果を表23に併記する。な
お、衝撃試験要領及び判定は実施例10の場合と同様で
ある。表23に示すように、いずれの本発明例も、溶接
金属のブローホール、高温割れ、低温割れの欠陥がなく
、かつ優れた靭性が得られていることがわかる。
【0065】
【実施例13】本例はレーザ溶接での溶加材供給安定性
についての例である。表21に示した化学成分で比較的
長尺の焼結材(12t×20w×300l)に対し、溶
加材を用いて
【表24】 の条件でレーザ溶接試験を行い、溶加材供給安定性を比
較した。溶加材としては表23中のNo.11のソリッ
ドワイヤ(1mmφ)及びこれと同等の成分組成のコア
ドワイヤ(1.2mmφ)を用いた。試験は、各種レー
ザ溶接条件に対して所定の供給速度でワイヤを供給しな
がら溶接し、ワイヤの逸脱等、供給不良発生の有無を調
べた。 その結果を表24に併記する。同表に示すように、比較
的低いビーム出力条件において、比較例のコアドワイヤ
は供給不良が発生し易いのに対し、本発明例のソリッド
ワイヤは優れた供給安定性を示している。
【0066】
【実施例14】本例は溶加材の吸湿性についての例であ
る。ソリッドワイヤを吸湿雰囲気に曝したうえでレーザ
溶接に供し、溶接欠陥の発生に及ぼす影響を調べた。比
較として、コアドワイヤについても同様に試験を行った
。母材は実施例12に用いた焼結材を用い、ソリッドワ
イヤは表23におけるNo.11のもの、コアドワイヤ
はこれと同等の化学成分を有する1.2mmφのものを
それぞれ用いた。なお、吸湿性は、恒温恒湿室において
30℃、80%雰囲気で所定の期間放置することにより
行った。溶接条件は溶接速度1.5m/min、出力7
KWとし、ワイヤ供給速度をソリッドワイヤが4m/m
in、コアドワイヤが2.7m/minとした。
【0067】溶接後、溶接部のX線検査及び断面検査に
より欠陥、特にブローホールの有無について調べた。そ
の結果を
【表25】 に示す。同表より、コアドワイヤは2か月以上吸湿雰囲
気に曝すと溶接に悪影響を及ぼすが、ソリッドワイヤの
場合はその影響が極めて少ないことが確認された。
【0068】
【実施例15】本例は焼結材と鋼材のレーザ溶接の例で
ある。表21に示した焼結材(12t×20w×100
l)とS48Cの鋼材(12t×20w×100l)を
突き合わせ、異材のレーザ溶接を行った。溶加材は表2
3におけるNo.11のワイヤを用い、レーザ溶接条件
は溶接速度1.5m/min、出力7KW、ワイヤ供給
速度4m/minとした。溶接後、溶接部のX線検査及
び断面検査により欠陥の有無を調べた結果、何らの欠陥
も認められず、健全な溶接部が得られることが確認され
た。
【0069】
【実施例16】本例は焼結材同士のTIG溶接の例であ
る。表1に示した化学成分(wt%)及び密度の焼結材
(12t×20w×100l)に対し、
【表26】 に示す種々の化学成分の溶加材を供給しながら、溶接電
流:120A(通常100〜150A)、溶接電圧:1
0〜12V(変動するため)、溶接速度:7cm/分(
通常5〜10cm/分)、シールドガス:Arの溶接条
件でTIG溶接した。用いた溶加材は1.2mmφのワ
イヤである。溶接後、溶接部のX線検査並びに断面検査
により欠陥の有無を調べた。その結果を表26に併記す
る。
【0070】図5は本試験結果における溶加材の化学成
分と欠陥の関係を整理したものである。同図より、Yが
−(1/3)X+18以上で、かつ、7以上の化学成分
であって、しかもAl、Ti、Zr及びVのうちの少な
くとも1種を含有し、その合計量が0.2〜5%の範囲
である溶加材を用いることにより、空孔欠陥及び低温割
れともに防止し得ることが明らかである。
【0071】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
多孔質で且つ中、高炭素の焼結部品同士或いは焼結部品
と鋼材の接合において、従来法では得られなかった健全
な溶接部が得られると共に、特に高エネルギー密度ビー
ム溶接が可能となるため、生産性のみならず信頼性の高
い接合技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レーザ溶接の要領及び溶接状況を示す説明図で
ある。
【図2】溶加材の化学成分(X成分及びY成分)と欠陥
(低温割れ、空孔欠陥)の関係を示す図である。
【図3】実施例で得られた溶接部の硬さ分布測定結果の
例を示す図である。
【図4】実施例で得られた溶接部の硬さ分布測定結果の
例を示す図である。
【図5】アーク溶接用溶加材の化学成分(X成分及びY
成分)と欠陥(低温割れ、空孔欠陥)の関係を示す図で
ある。
【符号の説明】
1  母材 2  溶加材 3  レーザ取出しノズル 4  レーザビーム 5  ガスシールドノズル 6  溶接ビード

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  多孔質の焼結部品同志或いは焼結部品
    と鋼材を溶融接合する際に用いる溶加材において、その
    組成が、重量%で(以下、同じ)、Cr、Mo及びSi
    のうちの少なくとも1種とNi、C及びMnのうちの少
    なくとも1種をY≧−(1/3)X+23、Y≧12(
    但し、X=Cr(%)+Mo(%)+1.5Si(%)
    、Y=1.2Ni(%)+20C(%)+0.8Mn(
    %))を満足するように含有し、かつ、Al、Ti、Z
    r及びVのうちの少なくとも1種を合計で0.2〜5%
    含有し、残部がFe及び不可避的不純物であることを特
    徴とする焼結材溶接用溶加材。
  2. 【請求項2】  多孔質の焼結部品同志或いは焼結部品
    と鋼材を溶融接合する際に用いる溶加材において、その
    組成が、C:0.05〜1%及びMn:15〜30%を
    含有し、かつ、Al及びTiのうちの少なくとも1種を
    合計で0.2〜3%含有していることを特徴とする焼結
    材溶接用溶加材。
  3. 【請求項3】  更に、Si:2%以下、Cu:1%以
    下、Ni:10%以下、Cr:4%以下及びMo:2%
    以下のうちの1種又は2種以上を含有している請求項2
    に記載の溶加材。
  4. 【請求項4】  多孔質の焼結部品同志或いは焼結部品
    と鋼材を溶融接合する際に用いる溶加材において、ステ
    ンレス鋼製シース内に金属粉を封入してなるコアドワイ
    ヤであって、封入する金属粉が、ワイヤ全重量に対して
    、少なくとも、Mn:5〜30%と、Al及びTiのう
    ちの少なくとも1種を合計で0.2〜3%含有している
    ことを特徴とする焼結材溶接用コアドワイヤ。
  5. 【請求項5】  前記シースがオーステナイト系ステン
    レス鋼からなり、封入する金属粉の成分組成が、ワイヤ
    全重量に対して、C:0.05〜1%、Mn:5〜30
    %を含有すると共に、Al及びTiのうちの少なくとも
    1種を0.2〜3%含有し、残部がFe及び不可避的不
    純物からなる組成である請求項4に記載のコアドワイヤ
  6. 【請求項6】  多孔質の焼結部品同志或いは焼結部品
    と鋼材を溶融接合する際に用いる溶加材において、C:
    0.05〜1%、Si:2%以下、Mn:5〜30%、
    Ni:7〜15%及びCr:20%以下を含有し、Al
    とTiの少なくとも1種を合計で0.2〜3%含有し、
    残部がFe及び不可避的不純物であることを特徴とする
    焼結材溶接用ソリッドワイヤ。
  7. 【請求項7】  溶加材が高エネルギー密度ビーム溶接
    時に用いるものである請求項1〜6のいずれかに記載の
    溶加材。
  8. 【請求項8】  多孔質の焼結部品同志或いは焼結部品
    と鋼材を溶融接合する際に用いる溶加材において、その
    組成が、Cr、Mo及びSiのうちの少なくとも1種と
    Ni、C及びMnのうちの少なくとも1種をY≧−(1
    /3)X+18、Y≧7(但し、X=Cr(%)+Mo
    (%)+1.5Si(%)、Y=1.2Ni(%)+2
    0C(%)+0.8Mn(%))を満足するように含有
    し、かつ、Al、Ti、Zr及びVのうちの少なくとも
    1種を合計で0.2〜5%含有し、残部がFe及び不可
    避的不純物であることを特徴とする焼結材アーク溶接用
    溶加材。
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