JPH0433521B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の目的］ （産業上の利用分野） 本発明は熱間スラブの連続幅圧下プレス用金型
に関するものである。

（従来の技術） 熱間スラブを圧延するに際し、連続鋳造時のス
ラブ幅の種類を統合し、スラブ圧延時に広い範囲
の幅調整を行なうことにより大きなコスト削減効
果をうることができる。

上述の広範囲の幅調整方法としてＶロール圧下
方式とプレス圧下方式が知られているが、プレス
圧下方式はＶロール圧下方式に比し圧下効率が優
れ、又クロツプ形状制御も可能である長所を有す
るため、幅調整方法としてアプレス圧下方式が採
用されている。

プレス圧下方式においては、通常、少なくとも
熱間スラブの進行方向の入側に、望ましくは更に
出側にも傾斜部を設け、且つ入側傾斜部に引続き
平行部を設けた金型が、使用され、この金型をス
ラブ進行方向と直角な方向に往復動せしめ、金型
間を間歇的に移動するスラブの幅寸法は所定の幅
に幅圧下される。

プレスによる幅圧下は、Ｖロールによる幅圧下
に比し、スラブとの接触長さが極めて大きく、ス
ラブを長い接触長で幅圧下を行うため良好な幅圧
下効果が得られる。

Ｖロール方式ではロールとスラブの接触長さが
短かいため、大幅な幅圧下を行なおうとするとド
ツグホーンが発生するので、これを防止するため
カリバー溝を設けたカリバーＶロールが用いられ
る。

プレス圧下方式もカリバー溝を設けることが提
案されているが、従来行なわれているカリバー溝
は傾斜面の角度90°に近いほぼチヤンネル型の深
い溝であり、品質の低下を招来することなく、ド
ツクボーンを防止しようとすると、カリバー溝の
傾斜面の角度及び幅を、金型の長手方向に沿つて
次第に変化させる必要があり、金型の製作に多く
手間を要とする難点がある。（特開昭59−199101
号公報参照） しかしもこのようなカリバー溝を有する金型を
用いても、フラツト金型を用いた場合と圧下効率
の差はなく、又ロール圧下方式に比しスラブとの
接触長さが大きいので、ドツグボーン防止のため
カリバー溝を設ける必要性に乏しく、プレス圧下
方式においては専らフラツト金型が用いられてい
る。

（発明が解決しようとする問題点） プレス圧下方式で用いる金型は、Ｖロール圧下
方式で用いるロールと同様、金型の温度の上昇、
温度上昇に伴なう過大な熱応力の発生並びに熱応
力による金型の破損を防止するため、水により冷
却する必要がある。

金型の水冷を行なうと、冷却水によりスラブエ
ツジ部も冷却されることとなる。

フラツト金型を用いてプレス方式で幅圧下を行
なう場合、スラブエツジのコーナー部では、冷却
水による冷却効果と空冷による冷却効果とが加算
される結果、コーナー部には過冷却が生じ、圧延
材の種類によつてはコーナー部のみ変態点温度以
下となり、近傍との変形抵抗差を生じ、結果とし
て幅圧下プレス後の最初の平圧延において割れが
誘起され、以後の製品迄の圧延過程においてヘゲ
状表面疵として残存し、製品出荷前に不良部分を
リジエクトする必要が生じ歩止り、納期確保上の
大きな問題点となつていた。

本発明は従来技術の有していた前述の問題点を
解消することを目的とするものである。

［発明の構成］ （問題点を解決するための手段） 本発明は前述の問題点を解決すべなされたもの
であり、プレスにより、熱間スラブ連続幅圧下す
るための、少なくともスラブ進行方向入側に傾斜
部を有し、その傾斜部に引続き平行部を有する金
型であつて、金型のスラブ押圧面を、スラブ側縁
上下に係合する８〜45°の傾斜面を上下に有し、
深さが５〜20mmで且つ溝底の幅L₁と溝開口の幅
L₂とが d₁−15≦L₁≦d₁−５（mm） d₂＋25≧L₂≧d₂＋10（mm） 但し d₁：最小スラブ厚み（mm） d₂：最大スラブ厚み（mm） の範囲を満足する台形状のカリバー溝としたこと
を特徴とする熱間スラブの連続幅圧下プレス用金
型に関するものである。

次に本発明を更に具体的に説明する。

本発明においては、第３，４図に示すようにス
ラブ２の進行方向の入側に入側傾斜部３を、又入
側傾斜部３に引続く平行部４を設けた金型１を使
用する。

第３図に示すように、スラブ２の進行方向出側
には出側傾斜部５を設けるのが望ましいが、第４
図に示すように傾斜部は入側のみに設けることも
できる。

金型１のスラブ２を押圧する面（スラブ押圧
面）即ち入側傾斜部３、及び平行部４にカリバー
溝６を設ける。カリバー溝６は出側傾斜部５にも
設けるのが望ましい。

カリバー溝の傾斜面の角度θは８〜45°とし、
又カリバー溝の深さは５〜20mmとするのが肝要で
ある。限定の理由は次の通りである。

傾斜面の角度が8°より小さい場合本発明の効果
が充分でなく、又傾斜面の角度が45°を超えると
金型の摩耗が急激に増加し、金型の寿命が著しく
短かくなる。

カリバー溝の深さが５mmより小さいと本発明の
効果が充分でなく、又カリバー溝６からの噛み出
しが発生し易い。カリバー溝６の深さが20mmを超
えると金型の有効厚みが減少し、金型に対する所
要コストが著しく増加する。

又カリバー溝６の溝底の幅L₁及び溝口の幅L₂
は幅圧下されるスラブの厚み、種類に応じて定め
られるが、スラブの最小厚みをd₁、最大厚みをd₂
とし場合、L₁、L₂は夫々 d₁−15≦L₁≦d₁−５（mm） d₂＋25≧L₂≧d₂−10（mm） の範囲とする。なお上記条件を満足するかぎりカ
リバー溝の深さ５〜20mmはスラブの厚みに関係が
ない。カリバー溝６からのスラブの噛み出しを防
止するとともに幅圧下されるすべてのスラブ厚み
種類に対してスラブコーナー部が鋭利なコーナー
形状とはならない幅圧下後のスラブ断面形状を達
成することができる。

本発明金型１を第３図、第４図に示すよう対を
なして使用し、矢印で示すスラブ２の進行方向に
直角な方向に矢印で示すように往復動せしめ、ス
ラブ２を間歇的に移動せしめて、幅圧下を行な
う。金型１及びスラブ２を移動させる方法に特に
限定はなく、公知の方法を適宜使用することがで
きる。

（作用） スラブの側面を傾斜面の角度８〜45°、深さ５
〜20mmのカリバー溝で覆うことにより、スラブを
幅圧下した際にスラブコーナーに鋭利なコーナー
形状が生ずるのを防止し、（第６図参照）スラブ
コーナーの過冷却を防止する。

（実施例） 第５図に示すようなＤ＝10mm、θ＝21.8°、L₁
＝255mm、L₂＝205mmのカリバー溝６を有する一
対の金型１，１を使用し、幅750〜2175mm、厚み
215〜240mmの各種スラブを夫々350枚幅圧下した。
最大幅圧下を350mmとした場合でも、スラブの噛
み出しは発生しなかつた。

上記金型を使用して幅圧下を行なつたスラブの
断面形状は第６図に示すように鋭利なコーナー部
を有せず、コーナー部の過冷却が防止される。

第７図，は夫々低炭材及び中高炭材につい
て本発明カリバー金型及びフラツト金型を用い
て、同条件で幅圧下を行ない、ついで圧延を行な
つた場合の不良品発生率を示すグラフであり、本
発明金型を使用することにより不良品発生率が顕
著に減少することが判る。

（発明の効果） 熱間スラブをプレス圧下方式で幅圧下したスラ
ブを圧延する際の表面疵の発生を防止し、不良品
の発生率を大幅に低減しうる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明金型の平面図、第２図はその側
面図、第３，４図は本発明金型の使用方法を示す
平面図、第５図は本発明金型の実施例を示す説明
図、第６図は本発明金型の使用状態を示す断面
図、第７図は不良品発生率を示すグラフである。 なお図中１は金型、２はスラブ、３は入側傾斜
部、４は平行部、５は出側傾斜部、６はカリバー
溝を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ プレスにより、熱間スラブを連続幅圧下する
   ための、少なくともスラブ進行方向入側に傾斜部
   を有し、その傾斜部に引続き平行部を有する金型
   であつて、金型のスラブ押圧面を、スラブ側縁上
   下に係合する８〜45°の傾斜面を上下に有し、深
   さが５〜20mmで且つ溝底の幅L₁と溝開口の幅L₂
   とが d₁−15≦L₁≦d₁−５（mm） d₂＋25≧L₂≧d₂＋10（mm） 但し d₁：最小スラブ厚み（mm） d₂：最大スラブ厚み（mm） の範囲を満足する台形状のカリバー溝としたこと
   を特徴とする熱間スラブの連続幅圧下プレス用金
   型。