JP2785435B2 - 非鉄金属板の製造方法及びその装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、非鉄金属板の製造方法及びその装置に関す
るものである。

［従来の技術］ 通常、アルミ等の非鉄金属板の製造は、モールドを使
用して連続鋳造や半連続鋳造等により製造したスラブ、
及びバッチ式で製造したインゴット等を幅プレス装置に
より幅圧下し、次いで水平圧延機により水平粗圧延およ
び仕上圧延する方法が提案されている。

［発明が解決しようとする課題］ しかしながら、前記非鉄金属スラブは最大厚みが600m
m位もあり、幅圧下に要する力はスラブの厚さに比例す
るため、600mmもの厚さのスラブを幅圧下するには、幅
プレス装置としては非常に大型のものが必要となり、こ
のために設備費が嵩み又スペースを多大に要することに
なる。

又スラブの厚さが厚い場合には、幅圧下量を大きくす
ることができず、種々の幅の非鉄金属板を製造するため
には、幅の異なる多種類のモールドを用意しておく必要
があり、従って運転維持費が高価となり、しかも製造す
べき非鉄金属板の板幅に合わせて度々モールドを交換し
なければならないため、ラインの停止が頻繁になって生
産能率が低下する。

更に非鉄金属スラブの断面形状が矩形であるので、狭
幅スラブほど幅圧下を行うと中央部が盛り上がり次の水
平圧延工程へ搬送中にこの盛り上がり部分にすり傷（搬
送テーブル傷）が付き、不良製品を生ぜしめることにな
って歩留り低下の原因となっていた。このために端部に
比し中央にいくに従い小径となる鼓形状のテーブルロー
ラを用いた特殊な搬送設備を装備せねばならず、設備費
が嵩む。

本発明は、上記事情に鑑み非鉄金属板の製造を効率良
くしかも設備を大型化することなく行い得る非鉄金属板
の製造方法及びその装置を提供することを目的とするも
のである。

［課題を解決するための手段］ 本方法発明は、非鉄金属スラブを、その中央部に比し
幅端部厚みが薄くなるよう形成し、直ちに幅圧下して、
あるいは所要温度に加熱後、幅圧下して非鉄金属スラブ
幅方向両端部に厚さ方向へ突出したドッグボーンを形成
し、水平圧延することを特徴とする非鉄金属板の製造方
法にかかるものである。

又本装置発明は、非鉄金属フラブを、その中央部に比
し幅端部厚みが薄くなるよう鋳造する鋳造機と、両端部
に厚さ方向へ突出したドッグボーンが形成されるよう幅
圧下する幅プレス装置と、該幅プレス装置により幅圧下
された非鉄金属スラブを搬送する搬送用テーブルローラ
群と、該搬送用テーブルローラ群により搬送された非鉄
金属スラブを水平圧延する水平圧延機と、からなること
を特徴とする非鉄金属板の製造装置にかかるものであ
る。

［作用］ 両幅端部の厚みを中央部より薄くした非鉄金属スラブ
を、直ちに幅圧下して、あるいは加熱し幅圧下して両端
部に厚み方向に突出するドッグボーンを形成させ、搬送
して水平圧延を行うので、小さな圧下荷重で幅圧下で
き、しかも搬送傷が生ずることがなくて歩留りが向上す
る。

［実施例］ 本発明の実施例を、非鉄用熱間圧延のレイアウトを示
す第１図を例にとり説明する。

図中１は溶解炉、２は真空炉、３は鋳造機であり、溶
解炉１で非鉄金属材料を溶融し、この非鉄金属材料を真
空炉２で真空溶解し、この真空溶解し不要成分を取除い
た非鉄金属４から所要形状の非鉄金属スラブ５を鋳造機
３で鋳造するようになっている。

前記鋳造機３は、第２図に示す如く非鉄金属４をタン
ディッシュ６から中子７を介し水冷構造のモールド８に
供給し、該モールド８に供給された非鉄金属４をボトム
ブロック９により受け留め該ボトムブロック９を油圧シ
リンダ等のアクチュエータ（図示せず）により所要速度
で降下すると共に、前記モールド８の下側内側からの水
スプレー10と水プール11とによりモールド８に供給され
た非鉄金属４を冷却して非鉄金属スラブ５を鋳造するよ
うになっているものである。

前記モールド８の内部形状は、第３図に示す如く中央
部が所要幅に亘り同一厚みであってこの厚み部分より両
端部の厚みは薄くなっている。

前記の如く構成した鋳造機３の出側に、第１図に示す
如く非鉄金属スラブ５の表面切削を行う面削機12を設置
すると共に、該面削機12の出側に、非鉄金属スラブ５を
所要温度に加熱して加工し易い状態にする均熱炉13を設
置する。

該均熱炉13により所要温度に加熱せる非鉄金属スラブ
５の幅圧下を行う幅圧下用金型15を有する幅プレス装置
14の入側及び出側に、搬送用テーブルローラ群16,17を
配設すると共に、該搬送用テーブルローラ群17により搬
送された非鉄金属スラブ５のエッジングを行うバーチカ
ルエッジャー18出側に水平粗圧延機19を、又該水平粗圧
延機19の出側に水平仕上圧延機20を夫々配設する。

前記水平粗圧延機19の出側と水平仕上圧延機20の入側
との間に、シャー21,22を所要間隔で配設して水平粗圧
延機19により粗圧延した非鉄金属スラブ５のフィッシュ
テールやトングの切断並びに該非鉄金属スラブ５の所望
長さ切断を行い得るようにすると共に、前記水平仕上圧
延機20の出側にテンションリール23を配設して水平仕上
圧延機20により仕上圧延され製品となった非鉄金属板を
巻取り得るようにする。

以下、非鉄金属板の製造について述べる。

鋳造機３において、タンデッシュ６から中子７を介し
モールド８に注入された溶融状態の非鉄金属４は、断面
形状が第３図に示す如く中央部が所要幅に亘り同一厚み
でこの厚み部分より両端厚みが薄くなるよう形成され、
ボトムブロック９によりモールド８から所要速度で引抜
かれると共に、周囲をモールド８下側内側からの水スプ
レー10及び水プール11により冷却され、中央部の厚みよ
り両端の厚みが薄い非鉄金属スラブ５が鋳造される。こ
の非鉄金属スラブ５は、面削機12に送られ、必要な場合
には表面の切削が行われ、次いで均熱炉13に送られ、必
要な場合には所要温度に加熱され幅プレス装置14に送ら
れる。該幅プレス装置14の金型15により、非鉄金属スラ
ブ５の幅圧下が行われる。この幅圧下時において、非鉄
金属スラブ５は、両端の厚みが中央部の厚みより薄い第
３図に示す如き断面形状であるので、幅圧下時に両端が
容易にプレスされて中央部分よりも盛り上がり、第４図
に示す如く所謂ドッグボーン5aが両端に生じた状態にな
る。

又非鉄金属スラブ５の幅圧下時においては、該非鉄金
属スラブ５は均熱炉13により必要に応じ所要温度に加熱
されていることと相俟って両端部厚みが中央部厚みより
薄い断面形状であるので、大きな圧下荷重を要すること
なく幅圧下を行うことができる。

上記の如く非鉄金属スラブ５は、幅圧下され搬送用テ
ーブルローラ群17に至るが、幅プレス装置14により幅圧
下され両端縁部にドッグボーン5aが生じた形状であるの
で、第５図に示す如く、搬送用テーブルローラ群17のロ
ーラ17aにドックボーン5aの縁部だけが接触した状態で
次工程に送られることになり、従って非鉄金属スラブ５
のドッグボーン5a以外の個所はローラ17aとは非接触状
態にあるので、非鉄金属スラブ５の表面にすり傷が生じ
ることなく、バーチカルエッジャー18でエッジングされ
水平粗圧延機19に送られ粗圧延されて非鉄金属板が製造
され、しかる後にこの非鉄金属板は水平仕上圧延機20に
より、仕上圧延されてテンションリール23に巻取られ
る。

第６図（Ａ）（Ｂ）は非鉄金属スラブ５の他の断面形
状を示すものであり、このような形状の非鉄金属スラブ
５でも前記と同様にして非鉄金属板を製造することがで
きる。

尚本発明は、図示し説明せる実施例にのみ限定される
ことなく、例えば鋳造機３により鋳造された非鉄金属ス
ラブ５の温度が加工に適した温度である場合には均熱炉
13による加熱工程を省くこと、及び非鉄金属スラブ５の
表面形状がよい場合には面削機12による切削工程を省い
てもよいことはいうまでもなく、又断面矩形状にした非
鉄金属スラブ５の両端の上下両面を切削し第６図（Ｂ）
に示す如く加工してから非鉄金属板を製造することは任
意であり、その他本発明の要旨を逸脱しない限り種々の
変更を加え得ることは勿論である。

［発明の効果］ 以上述べたように本発明の非鉄金属板の製造方法及び
その装置によれば、いずれの発明においても、 （ｉ）従来の非鉄金属スラブの幅プレス装置に比し大幅
に小さな幅圧下荷重で幅圧下を行うことができ、従って
小型の幅プレス装置を用いることができて設備のコスト
の低減を図り得る。

（ii）非鉄金属スラブを鋳造段階で中央部厚さに比し幅
端部を薄く形成することにより、従来のように非鉄金属
スラブの幅ピッチを小さくする必要がなく、従って使用
モールド数の削減並びに非鉄金属スラブ幅の集約を図り
得られ、生産能率の向上をなし得る。

（iii）非鉄金属スラブの搬送傷をなくし得て歩留の向
上を図り得る。

等種々の優れた効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の非鉄金属板の製造装置を、非鉄用熱間
圧延のレイアウトに採用した例を示す概要図、第２図は
第１図における鋳造機の構造を示す縦断面図、第３図は
第２図のIII方向よりの拡大矢視図、第４図及び第５図
は第１図のIV方向及びＶ方向よりの拡大矢視図、第６図
（Ａ）（Ｂ）は本発明の非鉄金属板の製造装置の製造過
程における非鉄金属スラブの縦断面図である。 図中３は、鋳造機、５は非鉄金属スラブ、5aはドッグボ
ーン、13は均熱炉、14は幅プレス装置、17は搬送用テー
ブルローラ群、19は水平粗圧延機、20は水平仕上圧延機
を示す。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】非鉄金属スラブを、その中央部に比し幅端
   部厚みが薄くなるよう形成し、直ちに幅圧下して、ある
   いは所要温度に加熱後、幅圧下して非鉄金属スラブ幅方
   向両端部に厚さ方向へ突出したドッグボーンを形成し、
   水平圧延することを特徴とする非鉄金属板の製造方法。
2. 【請求項２】非鉄金属スラブを、その中央部に比し幅端
   部厚みが薄くなるよう鋳造する鋳造機と、両端部に厚さ
   方向へ突出したドッグボーンが形成されるよう幅圧下す
   る幅プレス装置と、該幅プレス装置により幅圧下された
   非鉄金属スラブを搬送する搬送用テーブルローラ群と、
   該搬送用テーブルローラ群により搬送された非鉄金属ス
   ラブを水平圧延する水平圧延機と、からなることを特徴
   とする非鉄金属板の製造装置。