JPH0431886B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 主フレームの前部にエンジン、後部にミツシヨ
ンケースを夫々連結するとともに、ミツシヨンケ
ースの前面に、操向型の前車輪駆動用の出力軸を
設け、かつ、前車輪の平均周速度を後車輪の平均
周速度よりも大にすることが可能な増速機構を備
えてある４輪駆動型のトラクタに関する。

〔従来の技術〕

この種の４輪駆動型トラクタは、圃場端におけ
る小回り旋回性能を高めるために前輪増速できる
ように構成されたものであり、従来では、増速機
構をミツシヨンケースに大改造を加えること無く
容易に増設できるようにするのに、増速機構を内
装する増速ミツシヨンケースを、走行用の主ミツ
シヨン部を内装したミツシヨンケースの下面側に
連結して構成していた。

〔発明が解決しようとする課題〕

そのために、増速ミツシヨンケースが主ミツシ
ヨンケースから下方に突出し、ミツシヨンケース
の最低地上高が低くなる欠点があり、畝が左右車
輪の間に位置するような作業状態では、増速ミツ
シヨンケースが畝や作物に容易に接触するといつ
た具合の不都合が起こり易かつた。

本発明の目的は、増速機構を内装したミツシヨ
ン部を増設するにあたり、ミツシヨンケースの最
低地上高を極力低くしないように構成する点にあ
る。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために本発明は、冒頭に記
載した４輪駆動型のトラクタにおいて、ミツシヨ
ンケース内に配設される前輪用出力軸に連動連結
された入力軸及びこの入力軸と同心状の出力軸よ
りも上方に、これら入力軸と出力軸とを変速用ギ
ヤを介して連動連結する中間軸を配設して前記増
速機構を構成し、この増速機構を内装するととも
に出力軸を前面に備えた前カバーをミツシヨンケ
ースの前面に取付けるに、出力軸を有した大３ケ
ース部分と、これの後面に取付けする第２ケース
部分とから成るとともに増速機構を備える増速ケ
ースと、これの後面に取付けられるとともにミツ
シヨンケースの前面に対して着脱自在な第３ケー
ス部分とから前方カバーを構成し、かつ、ミツシ
ヨンケースと増速ケースの双方に対する軸受け機
能を有した第３ケース部分と、増速ケースとを分
離可能に構成してあることを特徴とする。

〔作用〕

前記特徴構成によれば、増速機構を備えた前カ
バーをミツシヨンケースの下面側ではなく、前面
側に連結することで該前カバーのミツシヨンケー
ス下面側への突出を抑制するものであり、増速機
構を構成する入力軸および出力軸よりも上方にこ
れら入力軸と出力軸とを連動連結する中間軸を配
設してあるから、入力軸を走行用のミツシヨン部
の前輪用出力軸に対してミツシヨンケースの下面
近くで連動連結しても、中間軸部分を覆うケース
部分がミツシヨンケースの下方に突出することが
なく、ミツシヨンケースの最低地上高を大に設定
できるようになる。

そして、前カバーを、増速機構を内装する増速
ケースと第１ケース部分とに分離可能である分割
構成とし、かつ、ミツシヨンケースに対して着脱
可能な第１ケース部分にミツシヨンケースの軸受
け機能と増速ケースの軸受け機能とを兼備させて
あるので、例えば、ミツシヨンケースにそれ専用
の軸受け部を、前カバーにもそれ専用の軸受け部
を備えさせる手段に比べて、ミツシヨンケースと
前カバーとの組付性を低下させることなく軸受け
部の兼用による前後長さの短縮化が図れる。

〔発明の効果〕

その結果、小回り旋回性能の優れた４輪駆動型
のトラクタを、ミツシヨンケース下部と畝とが接
触し易いといつた地上高低さに起因したトラブル
が生じ難く、しかも、ミツシヨンケース全体とし
ての前後長さのコンパクト化が、索いては、機体
の小型化にも寄与可能な有利な状態で提供するこ
とができた。

〔実施例〕

第６図に示すように、左右一対の操向型前車輪
１，１及び非操向型後車輪２，２の夫々を駆動自
在に備えさせ、かつ、エンジン３、ミツシヨンケ
ース４、これらを連結する左右一対の機体主フレ
ーム５，５で機体本体を形成してある走行機体の
後部に、ロータリー耕耘装置等の各種作業装置を
昇降自在に連結するための上下に駆動摺動自在な
リフトアーム６、及び、連結作業装置に伝動する
ための動力取出し軸７を設けて、４輪駆動型の農
用トラクタを構成してある。

第１図及び第３図に示すように、前後輪１，２
に対する変速可能な主ミツシヨン部８を、前記ミ
ツシヨンケース４に内装するとともに、エンジン
３の出力が主クラツチ９及び回転軸１０を介して
入力軸１１に伝達されるように構成し、そして、
増速機構１２を、前記主ミツシヨン部８の前方に
配置したミツシヨンケース前カバー４Ａに内装
し、かつ、入力軸１３を主ミツシヨン部８の前輪
用出力軸１４ａに同芯状に並列させて直結した状
態で前記ミツシヨンケース４に内装するととも
に、増速機構１２の前記前輪用出力軸１４ａと同
芯状に並列させてある出力軸１５を、回転軸１６
を介して前輪用差動機構１７に連動連結して、エ
ンジン３の出力が主ミツシヨン部８において後輪
側と前輪側とに分岐され、後輪側への分岐出力が
ミツシヨンケース４の後部に内装の差動機構（図
外）を介して後輪２に伝達され、前輪側への分岐
出力が増速機構１２を介して前輪１に伝達される
ようにしてある。前記増速機構１２を構成する
に、前記入出力軸１３，１５の上方に、中間軸１
８を常時回動するように入出力軸１３にギアー連
動させた状態で設け、出力軸１５の第１受動ギア
ー１９に咬交させてある中間軸１８の第１遊転伝
動ギアー２０と中間軸１８に一体回転可能に取付
けてある出力輪体２１との間、及び、出力軸１５
の第２受動ギアー２２に咬交させてある中間軸１
８の第２遊転伝動ギアー２３と前記出力輪体２１
との間の夫々に、増速用油圧クラツチ２５又は等
速用油圧クラツチ２４を設けるとともに、これら
クラツチ２４，２５のピストン２４ａ又は２５ａ
に対する圧油室を、中間軸１８の内部油路２６
ａ，２６ｂ、及び、両クラツチ２４，２５を択一
的に入り操作するコントロールバルブ２７を介し
て油圧ポンプ２８に接続した状態で設けてある。
すなわち、コントロールバルブ２７の切換え操作
により、増速用クラツチ２５を入りにすると、主
ミツシヨン部８の回動出力が出力軸１５に増速伝
達され、左右前輪１，１にこれらの平均周速度が
左右後輪２，２の平均周速度より大になるように
伝動する作用状態になり、等速用クラツチ２４を
入りにすると、主ミツシヨン部８の回動出力が出
力軸１５に等速伝達され、左右前輪１，１にこれ
らの平均周速度が左右後輪２，２の平均周速度よ
り極くわずかだけ大となるように伝動する作用解
除状態になるようにしてある。

第２図に示すように、前記コントロールバルブ
２７の操作軸２７ａをケース外に突設するととも
に、運転席２９足元側に設けられた主クラツチ用
フツトペダル３０に並設して増速機構１２操作用
フツトペダル３１を設け、このフツトペダル３１
と前記操作軸２７ａとに夫々設けられた揺動アー
ム３２，３４を連結ロツド３５で連結し、もつ
て、前記フツトペダル３１の踏込みによつて、前
記増速機構１２を作動させるようにしてある。

つまり、前輪１と後輪２がこれら左右の平均周
速度がほぼ同一になる状態で駆動される４輪駆動
状態と、左右前輪１，１の平均周速度が左右後輪
２，２の平均周速度より大となる小廻り旋回用４
輪駆動状態とに切換えられるように、かつ、この
小廻り旋回用状態が、前輪１の操向操作及び操向
用クラツチの制動操作の夫々を行うだけで自動的
に現出されるようにしてある。

前記増速機構１２付きのミツシヨンを構成する
に、第３図及び第４図に示すように、前記油圧ポ
ンプ２８を主ミツシヨン部８の中間軸３３ａによ
つて駆動される状態でミツシヨンケース４に内装
し、かつ、前記コントロールバルブ２７をミツシ
ヨンケース４内に組込む関係上、増速機構１２を
有しない状態に存る主ミツシヨン部８の中間軸３
３ｂ及び前輪用出力軸１４ｂを、油圧ポンプ２８
の連結用中間軸３３ａ、前記入力軸１３の連結用
出力軸１４ａに変更するとともに、ミツシヨンケ
ース前カバー４Ｂに替えて、出力軸１５を有した
第３ケース部分４ｅの後面に、入力軸１１と油圧
ポンプ２８用の第２ケース部分４ｄを取付けて成
る増速ケース４Ｚと、主ミツシヨン部８の軸受け
機能を持つ第１ケース部分４ｃとからなる分割式
の前カバー４Ａを、ミツシヨンケース本体４に取
付けるようにしてある。

第１ケース部分４ｃは、両入力軸１１，１３に
対する軸受け機能も有しており、第２ケース部分
４ｄに、すなわち増速ケース４Ｚから分離可能で
あるとともに、ミツシヨンケース４に対して着脱
自在であり、増速機構１２は増速ケース４Ｚに内
装してある。

つまり、機体主フレーム５，５の後端に、略三
角形状のブラケツト３６を立設し、前記増速機構
１２を有する前カバー４Ａを装着したミツシヨン
ケース４の取付状態から説明すると、ミツシヨン
ケース本体４を前記ブラケツト３６の前端に位置
する上下方向複数個のボルト３８で夫々横側方か
ら固定するように、かつ、前記ブラケツト３６に
直交してミツシヨンケース４側に延出したブラケ
ツト３９とともに前記第１ケース部分４ｃをミツ
シヨンケース本体４にボルト４０固定して、ミツ
シヨンケース４を機体フレームに取付固定するよ
うにしてある。

前記増速機構１２を有しないミツシヨンケース
４を取付ける場合には、同様にミツシヨンケース
本体４を前記ブラケツト３６の後端にボルト３７
止めするとともに、前カバー４Ｂを前記ブラケツ
ト３６及び３９にボルト３８，４０固定するよう
にしてある。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る４輪駆動型のトラクタの実
施例を示し、第１図は操向機構の平面図、第２図
は増速機構の操作構造を示す側面図、第３図は増
速機構を内装したミツシヨンケースの前カバーを
示す縦断側面図、第４図は増速機構を内装してい
ない前カバーを示す縦断側面図、第５図イ，ロは
前カバーの取付状態を示す側面図であつて、イは
増速機構を内装しない前カバー、ロは増速機構を
内装した前カバーを夫々示す。第６図はトラクタ
の側面図である。 １……前車輪、２……後車輪、３……エンジ
ン、４……ミツシヨンケース、４Ａ……前カバ
ー、４ｃ……第１ケース部分、４ｄ……第２ケー
ス部分、４ｅ……第３ケース部分、４Ｚ……増速
ケース、５……主フレーム、１２……増速機構、
１３……入力軸、１４ａ……前輪用出力軸、１５
……出力軸、１８……中間軸、１９，２０，２
２，２３……ギヤー。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 主フレーム５の前部にエンジン３、後部にミ
   ツシヨンケース４を夫々連結するとともに、該ミ
   ツシヨンケース４の前面に、操向型の前車輪１，
   １駆動用の出力軸１５を設け、かつ、前記前車輪
   １，１の平均周速度を後車輪２，２の平均周速度
   より大にすることが可能な増速機構１２を備えて
   ある４輪駆動型のトラクタであつて、前記ミツシ
   ヨンケース４内に配設される前輪用出力軸１４ａ
   に連動連結される入力軸１３及びこの入力軸１３
   と同心状の前記出力軸１５よりも上方に、前記入
   力軸１３と前記出力軸１５とを変速用ギヤー１
   ９，２０，２２，２３を介して連動連結する中間
   軸１８を配設して前記増速機構１２を構成し、こ
   の増速機構１２を内装するとともに前記出力軸１
   ５を前面に備えた前カバー４Ａを前記ミツシヨン
   ケース４の前面に取付けるに、前記出力軸１５を
   有した第３ケース部分４ｅと、これの後面に取付
   けする第２ケース部分４ｄとから成るとともに前
   記増速機構１２を備える増速ケース４Ｚと、これ
   の後面に取付けられるとともに前記ミツシヨンケ
   ース４の前面に対して着脱自在な第３ケース部分
   ４ｃとから前記前カバー４Ａを構成し、かつ、前
   記ミツシヨンケース４と前記増速ケース４Ｚの双
   方に対する軸受け機能を有した前記第３ケース部
   分４ｃと、前記増速ケース４Ｚとを分離可能に構
   成してある４輪駆動型のトラクタ。