JPH051488Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、作業車の伝動構造に関する。

〔従来の技術〕

芝刈機や農用トラクタ等の作業車では、一般
に、車体前部にエンジンを搭載すると共に、車体
後部に走行変速装置を設けることになり、そし
て、その走行変速装置と後輪用の差動装置とを一
体的に接続して、ユニツト化することになる。

ところで、従来では、車軸を制動するための制
動装置を、車輪近くの車軸ケースに内装している
構造のものや、あるいは差動装置等を備えた伝動
ケース内に内装している構造のものが周知であつ
た。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上記従来構造にあつては、車輪
近くの車軸ケースに制動装置を内装する構造では
小型の制動装置を利用しなければならないから、
制動力を高いものにすることが難しいものであ
り、一方、伝動ケース内に制動装置を内装する構
造にすると、比較的大型の制動装置を内装できる
から制動力の高いものにできるものの、制動に伴
う熱の発生量も大きく、そのため、伝動ケース内
が高温状態となり易いものであつて、軸受やギア
等の耐久性を低下させる虞れが高くなるという欠
点があつた。

本考案は、上記実情に鑑みてなされたものであ
つて、制動性能の高い制動装置を、冷却し易く設
けることのできる作業車の伝動構造の提供を目的
とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案にかかる作業車の伝動構造は、上記目的
を達成するために、左右一対の車体フレーム間に
伝動ケースを配設するとともに、前記伝動用ケー
スの左右両側から車軸ケースを左右両側方へ延出
して、かつ、前記伝動ケースには、前記車軸ケー
スに内装された車軸に対して制動力を与えるため
の制動装置を構成する制動用デイスクを前記車体
フレームの間で、かつ、前記伝動ケースから部分
的に露出する状態で設けてあることを特徴構成と
する。

かかる特徴構成による作用・効果は次の通りで
ある。

〔作用〕

すなわち、制動用デイスクを伝動ケースから部
分的に露出する状態で設けてあるから、伝動ケー
スに対して制動用デイスクを大きく構成できて、
制動するための接当面積も大きくできることとな
つて、制動力を大きくできる。そして、制動に伴
つて発生する熱は制動用デイスクの露出部分より
逃がされ易くなつている。また、車体フレームの
間に制動用デイスクが位置することになるから、
その車体フレームによつて制動用デイスクが保護
されることになる。

〔考案の効果〕

従つて、制動装置を大型に構成できて制動力を
高めることができながらも、伝動ケース自体は比
較的コンパクトに構成することができるととも
に、制動用デイスクの冷却性能も高められ伝動ケ
ース内を高温状態にするという不具合も解消でき
て、さらに、伝動ケースや制動用デイスクを保護
していながらも、制動用デイスクに対するメンテ
ナンスも容易になる等の利点がある。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第７図に示すように、芝刈機は、左右一対の前
輪１、左右一対の後輪２を備える車体Ｖを設ける
と共に、車体Ｖの下腹部に、モア３を昇降自在に
備えている。但し、図中、４は運転シート、５は
ステアリングハンドルである。

前記車体Ｖは、左右一対の角筒状メインフレー
ム６が前後方向複数箇所において補助フレームに
て接続された車体フレームＦを備え、その車体フ
レームＦに、諸装置を組付け及び搭載している。

すなわち、エンジン７及びラジエータ８を備え
た原動部Ｇが、車体フレームＦの前部に搭載さ
れ、伝動部Ｍが、車体フレームＦの後部に組付け
られ、さらに、左右前輪１を向き変更自在に支承
し、且つ、前輪駆動用差動装置９ａを収納する前
輪駆動ケース９が、前後方向軸芯Ｘ周りで揺動自
在に車体フレームＦに取付けられている。

前記伝動部Ｍは、第１図乃至第６図に示すよう
に、原動部Ｇに伝動軸Ｈによつて連動連結される
走行変速用の油圧式無段変速装置１０、後輪駆動
用の差動装置１１を収納する伝動ケース１２、及
び、後輪２を向き変更自在に支承する左右一対の
車軸ケース１３の夫々が、一体的に接続されるも
のであつて、左右の車軸ケース１３の夫々に溶接
した取付部としての取付ブラケツト１４が、車体
フレームＦにおける左右のメインフレーム６に付
設した連結用ブラケツト１５にボルト接続されて
いる。ちなみに、伝動部Ｍは、左右のメインフレ
ーム６に亘つて取付けられるものとなるため、車
体フレームＦの補強枠として機能することにな
る。

前記伝動部の接続構造について説明を加える
と、二つ割形式の伝動ケース１２の前部ケース部
分１２ａが、走行変速装置１０の背面部にボルト
固定されると共に、左右の車軸ケース１３の夫々
に付設した円盤状連結枠１６が、伝動ケース１２
にボルト接続した中継枠１７にボルト接続されて
いる。

前記伝動ケース１２には、後輪用の差動装置１
１の他に、下記の如く諸装置が収納されている。

すなわち、油圧式無段変速装置１０の出力軸１
０Ａと後輪用差動装置１１の入力軸１１ａとを連
動連結する走行用ギヤ伝動装置１８、PTO軸１
９の駆動用のギヤ伝動装置２０、PTO軸１９の
駆動断続用の油圧操作式のPTOクラツチ２１、
及び、前輪駆動用のギヤ伝動装置２２が設けられ
ている。

前記前輪駆動用のギヤ伝動装置２２は、後輪用
の差動装置１１の入力軸１１ａと前輪駆動軸２３
とを連動連結するものであつて、前輪駆動軸２３
は、伝動ケース１２の横外方に突出する部分に支
持されている。ちなみに、この前輪駆動軸２３
は、前輪駆動用の伝動軸２４を用いて前輪用差動
装置９ａに連動連結されることになり、そして、
前記伝動軸２４は、平面視において、車体Ｖの横
一側方に片寄るように配置されるものとなるた
め、モア３の上部入力部３ａとの接当を回避する
のに有効となる。

そして、PTO軸１９とモア入力軸３ａと伝動
軸２５で連動連結しているとともに、後輪用の差
動装置１１の出力軸２７，２７、ひいては後輪用
の車軸と一体回転する制動用デイスク２６，２６
を、伝動ケース１２の左右の側部で、その制動用
デイスク２６，２６の一部を外方に露出した状態
で設けており、この制動用デイスク２６，２６を
制動作用する油圧操作式の制動パツド２８，２８
を伝動ケース１２に設けている。制動用デイスク
２６と制動パツド２８は制動装置を構成するもの
である。さらにＰは諸アクチユエータを駆動する
ための油圧ポンプである。

〔別実施例〕

本考案を実施するに、走行変速装置Ｈ、車軸ケ
ース１３、差動装置１１の夫々を接続する具体構
造を各種変更でき、そして、伝動部Ｍを車体フレ
ームＦに組付ける具体構造も各種変更できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る作業車の伝動構造の実施例
を示し、第１図は伝動部の取付構造を示す切欠背
面図、第２図は同構造を示す側面図、第３図は伝
動部の切欠側面図、第４図は同部の切欠背面図、
第５図は前輪駆動軸の装着部の切欠平面図、第６
図は伝動系を示す概略図、第７図は芝刈機の側面
図である。 ６……車体フレーム、１２……伝動ケース、１
３……車軸ケース、１４……取付部、２６……制
動用デイスク。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 左右一対の車体フレーム６，６間に伝動ケー
   ス１２を配設するとともに、前記伝動用ケース
   １２の左右両側から車軸ケース１３，１３を左
   右両側方へ延出して、かつ、前記伝動ケース１
   ２には、前記車軸ケース１３，１３に内装され
   た車軸に対して制動力を与えるための制動装置
   を構成する制動用デイスク２６，２６を前記車
   体フレーム６，６の間で、かつ、前記伝動ケー
   ス１２から部分的に露出する状態で設けてある
   作業車の伝動構造。 ２ 前記左右一対の車軸ケース１３の夫々に、前
   記車体フレーム６，６への取付部１４が備えら
   れている実用新案登録請求の範囲第１項に記載
   の作業車の伝動構造。