JPH042719B2

JPH042719B2 -

Info

Publication number: JPH042719B2
Application number: JP58151713A
Authority: JP
Priority date: 1983-08-22
Filing date: 1983-08-22
Publication date: 1992-01-20
Also published as: DE3506710A1; JPS6045696A; US4613633A

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は改善されたブリスターパツク適性およ
び印刷適性を有する塗被紙を与える紙塗被組成物
に関するものである。紙および板紙に水性顔料組成物を塗被すること
により光沢、白色度などの光学的な性質が改善さ
れるとともに表面平滑性、インク受理性の改善に
よる印刷適性の向上が達せられる。塗被紙の用途も単なる印刷用から、印刷面をニ
スで被覆して保護したり、商品を包蔵するために
プラスチツク製のカバーを塗被面にヒートシール
し、カバー内に商品を包蔵するブリスターパツク
加工用等へと広がつており、特に板紙に対しては
印刷適性だけでなく、後加工性能としてのブリス
ターパツク適性、糊付性も要求されるようになつ
て来た。紙塗被組成物の結合剤として従来から使
用されているスチレン−ブタジエン系重合体ラテ
ツクスでは、上記の要求性能を充分に満足するこ
とはできず改善が望まれている。本発明者等はこの様な背景に鑑み、印刷適性の
みならず、後加工性能としてのブリスターパツク
適性、糊付性の改善された紙塗被組成物の開発に
努めた結果、特定の異層粒子構造を有する重合体
ラテツクスの使用により、これらの特性が改善さ
れることを見い出し本発明に到つた。本発明は顔料と結合剤を主成分とする水性分散
液から成る紙塗被組成物において、ガラス転移温
度が60℃以上の重合体（）のラテツクスの存在
下に脂肪族共役ジエン20〜70重量％、芳香族系ビ
ニル化合物20〜60重量％、エチレン系不飽和カル
ボン酸0.5〜10重量％、エチレン系不飽和アミド
０〜10重量％、共重合可能な他の単量体０〜30重
量％からなる単量体混合物を乳化重合して得られ
る粒子中の重合体（）の割合が45〜90重量％で
ある異層粒子構造を有する共重合体ラテツクスを
顔料および／または結合剤と共に使用することを
特徴とする紙塗被組成物を提供するものである。本発明に用いる合成重合体ラテツクス粒子は、
本質的にフイルム非形成性の「硬い」重合体部分
と本質的にフイルム形成性の「軟い」重合体部分
から成る異層構造を有している。また、本発明に
用いる異層構造合成重合体ラテツクスは、フイル
ム形成性である。ここで「フイルム形成性」とは
塗被組成物を紙、板紙などの支持体に塗被、乾燥
する工程の温度条件で、合成重合体ラテツクスが
連続被膜を形成する性質をいう。具体的には100
℃以下、のぞましくは60℃以下でフイルム形成す
ることをいう。また「本質的にフイルム形成性」
あるいは「本質的にフイルム非形成性」とは、
夫々の部分の合成重合体組成のものを単独でラテ
ツクスとした場合に、上記の条件でフイルムを形
成するか否かをいう。本発明に用いる合成重合体ラテツクスは、フイ
ルム形成性であることが必須条件である。従つて
本発明に用いる合成重合体ラテツクス粒子はそれ
自体で顔料と同時に結合剤としても機能するの
で、他の結合剤を使用しなくとも良いし、また少
量の結合剤の使用で済むという特徴がある。塗被
後の乾燥工程でフイルムを形成しない場合は、必
要な接着力が得られず本発明の目的には適さな
い。また、合成重合体のラテツクス粒子が異層構
造を有することも、本発明の必須の要件である。
合成重合体を構成する単量体の組成比が本発明と
同一の場合でも異層構造を持たず、単一層構造の
粒子内組成が均一な重合体粒子を用いた場合に
は、本発明の目的であるブリスターパツク適性及
び高い光沢度は得られない。異層粒子構造とは球状のラテツクス粒子が硬い
重合体を核とし、この核を軟らかい重合体が連続
したあるいは不連続の殻で覆つた構造を有するも
の、硬い重合体部分と軟らかい重合体部分が相互
に排他的半球状に境界面で接している構造を有す
るものなどラテツクス粒子中で硬い重合体部分と
軟らかい重合体部分が夫々ドメインを形成してい
るものを意味する。以下では便宜上硬い重合体部
分を核、軟らかい重合体部分を表層と称する。本発明に用いる合成重合体ラテツクス粒子の核
を構成する合成重合体は単独では60℃以下でフイ
ルムを形成しない「硬い」重合体であり、その好
ましい平均粒子径は0.1〜0.45μのものである。粒
子径が0.1μ未満で、ガラス転移温度が60℃未満で
は目的とする優れたブリスターパツク適性や高い
光沢度は得られない。又粒子径が0.45μを超える
とラテツクスの製造が困難となる。核を構成する
粒子は公知の乳化重合技術によつて製造される。
用いられる単量体としては、例えば、スチレン、
α−メチルスチレン、２−メチルスチレン、３−
メチルスチレン、４−メチルスチレン、２，４−
ジイソプロピルスチレン、２，４−ジメチルスチ
レン、４−ｔ−ブチルスチレン、５−ｔ−ブチル
−２−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジ
クロロスチレン、モノフルオロスチレン、ヒドロ
キシメチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物；
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸イソプロピル、メタクリル酸フエニル、
メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸２−
クロロエチル、クロルアクリル酸メチル、クロル
アクリル酸エチル、クロルアクリル酸ブチルなど
のメタクリル酸又はクロルアクリル酸のエステ
ル；アクリロニトリル、メタクリロニトルなどの
エチレン系ニトリル化合物；塩化ビニル；及びア
クリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮
酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ブテン
トリカルボン酸、イタコン酸モノブチルエステル
などの不飽和カルボン酸又はその塩などがあり、
これら単量体二種以上を用いても良い。また、そ
の単独重合体がフイルムを形成する単量体、例え
ば１，３−ブタジエン、２−メチル−１，３−ブ
タジエン、２−クロロ−１，３−ブタジエンなど
の脂肪族ジオレフイン、アクリル酸メチル、アク
リル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸２
−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステルも、
共重合した場合に60℃以下でフイルムを形成しな
い範囲で使用することが出来る。また更に要すれ
ば、上記単量体と共にアクリル酸β−ヒドロキシ
エチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロピル、メ
タクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリルアミ
ド、メタクリルアミド、Ｎ−メチロールアクリル
アミド、Ｎ−ブトキシメチルアクリルアミド、ア
クリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、
アクロレイン、アリルアルコールなどの親水性単
量体を用いることも出来る。前記の核を形成する重合体ラテツクスの存在下
に重合を行つて本発明ラテツクスの粒子の表層を
形成する脂肪族共役ジエンとしては例えば１，３
−ブタジエン、２−メチル−１，３−ブタジエ
ン、２，３−ジメチル−１，３−ブタジエン、ハ
ロゲン置換ブタジエン等が挙げられる。表層形成
に使用する全単量体混合物中の脂肪族共役ジエン
系単量体の量は20〜70重量％であり、20重量％未
満ではフイルム形成性がなく表面強度、ブリスタ
ーパツク適性が劣り、70重量％を超えると耐水性
が劣る。好ましくは25〜65重量％である。芳香族系ビニル化合物としてはスチレン、α−
メチルスチレン、４−メチルスチレン、モノクロ
ロスチレン、ヒドロキシメチルスチレンなどが挙
げられる。該全単量体混合物中の芳香族系ビニル
化合物の量は20〜60重量％であり、20重量％未満
では白紙光沢が劣り、60重量％を超えるとブリス
ターパツク適性の向上が期待出来ない。好ましく
は25〜50重量％である。エチレン系不飽和カルボン酸としてはアクリル
酸、メタアクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イ
タコン酸、フマル酸、マレイン酸等が挙げられ
る。該全単量体混合物中のエチレン系不飽和カル
ボン酸の量は0.5〜10重量％であり、0.5重量％未
満では異層構造合成共重合体ラテツクスの機械的
安定性、顔料混合安定性が劣り、10重量％を超え
ると、異層構造合成共重合体ラテツクスの粘度が
高くなり実用的でない。好ましくは0.8〜８重量
％である。エチレン系不飽和アミドとしてはアクリルアミ
ド、メタクリルアミド、Ｎ−メチロールアクリル
アミド、Ｎ−ブトキシメチルアクリルアミド等が
挙げられる。該全単量体混合物中のエチレン系不
飽和アミドの量は０〜10重量％であり、異層構造
合成共重合体ラテツクスの機械的安定性、顔料混
合安定性を向上させる。10重量％を超えても効果
の増加はない。好ましくは２〜７重量％である。共重合可能な他の単量体としてはアクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、
アクリル酸ブチル等のアクリル酸およびメタクリ
ル酸のアルキルエステル類；アクリロニトリル、
メタクリロニトリル等のエチレン系不飽和ニトリ
ル化合物、更にはアクリル酸−β−ヒドロキシエ
チル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリ
シジル、アクロレイン、アリルアルコール、ジビ
ニルベンゼン；ジアリルフタレート、ジアリルマ
レエート、トリアリルシアヌレート、エチレング
リコールジメタクリレート、アリルアクリレー
ト、ｐ−イソプロペニルスチレン等が挙げられ
る。これらの単量体は全単量体混合物中０〜30重
量％である。異層構造合成共重合体ラテツクス粒子を構成す
る核部分および表層部分の割合はそれぞれ45〜90
重量％および55〜10重量％である。核部分の割合
が45重量％未満では印刷適性およびブリスターパ
ツク適性は改善されず、90重量％を超えると接着
力、ブリスターバツク適性、糊付性が低下する。
好ましくは50〜80重量％、更に好ましくは55〜70
重量％である。本発明に用いる異層構造を有する合成重合体ラ
テツクスは、公知のシード重合技術により製造さ
れる。即ち、核となる合成重合体粒子の存在下で
表層を形成する共重合体単量体成分を乳化重合さ
せる。表層を形成すべき共重合成分が、核の粒子
とは別に粒子を形成せず、異層構造を形成させる
為には水相中に乳化剤のミセルが存在しないよう
な条件で重合を行う必要がある。核となる粒子を生成する段階と、表層を形成す
る段階は別々に行つても良いし、核を生成後引続
き表層を構成する重合を行つても良い。得られた
ラテツクス粒子は本発明の目的を達成する為には
0.1〜0.5μの平均粒子径を有することが好ましい。本発明で使用することができる顔料としては、
異層構造合成共重合体粒子の他にクレイ、炭酸カ
ルシウム、水酸化アルミニウム、チタン白、硫酸
バリウム、サチン白、およびタルクなどの好物性
顔料、ポリスチレンおよびフエノール樹脂などの
有機顔料があるが、中でもクレイ、特にカオリナ
イト系クレイが望ましい。結合剤としては、異層構造合成共重合体ラテツ
クスの他に必要に応じてデンプン、カゼイン、ポ
リビニルアルコール、メチルセルロース、カルボ
キシメチルセルロース、アルギン酸ソーダなどの
水溶性ポリマー、スチレン／ブタジエン共重合
体、メチルメタアクリレート／ブタジエン共重合
体、ポリ酢酸ビニル、アクリル酸エステル共重合
体などの合成ラテツクスなどが使用できる。本発明において異層構造合成共重合体粒子は、
該合成共重合体粒子、顔料および結合剤の合計量
（固型分）に対して３〜40重量％の範囲で用いら
れる。また、本発明の組成物には、水、顔料、結合
剤、異層構造合成共重合体ラテツクスの他に、顔
料分散剤、粘度調整剤、保水剤、耐水化剤、染
料、蛍光染料、滑剤、PH調整剤、消泡剤、界面活
性剤および防腐剤などが必要に応じて用いられ
る。異層構造を有する共重合体ラテツクスを使用し
た場合には、従来から使用されている塗被用合成
共重合体ラテツクスに比較して著しく改善された
ブリスターパツク加工性とともに印刷適性の優れ
た塗被紙、特に板紙を得ることができる。又、異
層構造合成共重合体ラテツクスは顔料の機能とと
もに結合剤としての機能も有しているので、全結
合剤の使用量を減少させることができ、高価なカ
ゼイン配合から廉価な澱粉配合への切換えができ
る等経済的利益も大きい。本発明の塗被組成物は、印刷適性と共に後加工
性能としてのブリスターパツク適性、糊付性が優
れた塗被紙を与えるので、各種印刷用紙、各種板
紙の製造に広く使用することができるが、特に各
種板紙製造用に適した塗被組成物である。以下実施例により本発明を具体的に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例中の部数及び％は全て重量基準であ
る。また、ラテツクスの使用量は固形分換算であ
る。実施例１公知のシード重合の手法を用いて第１表記載の
核組成及び表層組成を持つた異層構造を有する合
成共重合体ラテツクス（１〜10、イ〜ヘ）および
一段重合により均一の粒子構造を有する通常の合
成共重合体ラテツクス（ト）を調製した。なお、
核部の重合体のガラス転移温度は粘弾性測定（測
定周波数100Hz、昇温速度２℃／分）より求めた
損失弾性率（E″）が最大値を示す温度で示した。

【表】

【表】第１表記載の合成共重合体ラテツクスを用い、
第２表の配合処方により固形分濃度40％の塗被用
組成物を作成した。

【表】

【表】この組成物をコート白ボール用原紙（350ｇ／
m²）に塗被量が片面15±0.5ｇ／m²となるように
ワイヤーバーを用いて塗被し、塗被直後に150℃
の熱風で2.0秒乾燥した。３％硫酸亜鉛水で耐水
化処理後、60℃、線圧100Kg／cmの条件で１回ス
ーパーカレンダー処理を行つて塗被紙を得た。こ
の紙を用いて下記の試験を行い、第３表に示した
結果を得た。＜ブリスターパツク適性＞白紙及び印刷を施した塗被紙にブリスターパツ
ク用接着剤＃11とＬジユーサー（トルエン／酢酸
エチル＝４／１重量比）（いずれも荒川塗料工業
者製品）の１：１混合液をコーテイングロツドで
均一の厚さに塗布し、100℃の熱風で10秒間乾燥
した。この面に一定面積のブリスターパツク用硬
質塩化ビニルシート片を抄紙方向に平行及び直角
に重ね、裏面よりヒートシーラーにより150℃で
５秒間圧着した。白紙面（平行、直角）×５枚、印刷面（平行、
直角）×５枚の計20枚の試験片より塩化ビニルシ
ートを剥ぎ取り、５点法により、各試験片の塗被
面と塩化ビニルシート片の接着強さを判定し、20
枚の試験片の評点の合計点を以つてブリスター適
性とした。なお印刷面は後記するRIテスターでオフセツ
ト用墨インキでベタ刷りした面である。＜糊付性＞塗被紙表面にライフボンドAV−65（日栄化工
社製）及びモビニール＃645（ヘキスト合成社製）
を幅５mm、長さ50mm、厚さが0.1mmとなる様にス
ペーサーを用いて塗布し、この面に同紙の非塗被
面（但しコート高級板紙の場合は塗被面）が体面
する様に重ね、線圧100ｇ／cmのローラーを用い
て３回圧着し、除圧後、20℃、65％R.H.の恒温
恒湿下に24時間放置する。しかる後、剥ぎとり、
接着強さを破壊状態の観察より５点法〔５（原紙
層からの完全破壊）→１（塗被層あるいは塗被層
表面からの剥離）〕で評価し、糊付性として表示
した。＜インク転移性＞ RIテスター（明製作所製）を使用し、モルト
ンロールで紙面に水を塗布し、オフセツト用墨イ
ンクでベタ刷りを行う。印刷後20℃、60％R.H.
の恒温恒湿中に１昼夜放置後、インクの転移濃度
を肉眼で判定し５点法〔５（優）→１（劣）〕で表
示した。＜Ｋ＆Ｎインク受理性＞Ｋ＆Ｎインク塗布後２分でふきとり、白色度の
低下率を測定した。＜ドライピツク＞ RIテスターによりオフセツト用インクを使用
して６回重ね刷りを行い、紙むけの程度を肉眼で
判定し、５点法〔５（優）→１（劣）〕により示し
た。

【表】

【表】実施例２第１表のテテツクス番号１のラテツクスを用
い、第４表の配合処方により固形分濃度40％の塗
被組成物を作成し、コート高級板紙用原紙（300
ｇ／m²）に実施例１と同じ条件で塗被した。実施
例１と同じ試験を行い、結果を第５表に示した。

【表】

Claims

【特許請求の範囲】

１顔料と結合剤を主成分とする水性分散液から
成る紙塗被組成物において、ガラス転移温度が60
℃以上の重合体（）のラテツクスの存在下に、
脂肪族共役ジエン20〜70重量％、芳香族系ビニル
化合物20〜60重量％、エチレン系不飽和カルボン
酸0.5〜10重量％、エチレン系不飽和アミド０〜
10重量％、共重合可能な他の単量体０〜30重量％
からなる単量体混合物を乳化重合して得られる粒
子中の重合体（）の割合が45〜90重量％である
異層粒子構造を有する共重合体ラテツクスを顔料
および／または結合剤と共に使用することを特徴
とする紙塗被組成物。