JPH04270710A - 熱可塑性樹脂およびその製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂およびその製造方法

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JPH04270710A
JPH04270710A JP2403290A JP40329090A JPH04270710A JP H04270710 A JPH04270710 A JP H04270710A JP 2403290 A JP2403290 A JP 2403290A JP 40329090 A JP40329090 A JP 40329090A JP H04270710 A JPH04270710 A JP H04270710A
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colloidal silica
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Makoto Matsumoto
誠 松本
Junichiro Watanabe
純一郎 渡辺
Takashi Kurata
貴志 蔵田
Noriaki Ijiyuuin
乗明 伊集院
Kenju Furuyama
古山 建樹
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Momentive Performance Materials Japan LLC
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Toshiba Silicone Co Ltd
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の目的】
【0002】
【産業上の利用分野】本発明は、コロイダルシリカに反
応性不飽和基含有ポリオルガノシロキサンをシロキサン
結合を介して結合させてなる、コロイダルシリカーシリ
コーンコアシェル体にビニルモノマーをグラフト重合さ
せて得られた共重合体を含む耐衝撃性、耐摩耗性、耐候
性などが著しく優れた熱可塑性樹脂およびその製造方法
に関する。
【0003】
【従来の技術】環境保全ないし安全衛生面から注目され
ている水性樹脂塗料から形成される塗膜性能の改質・向
上を目的として、コロイダルシリカを水性樹脂塗料に添
加することが知られている。しかし、添加されたコロイ
ダルシリカは、有機ポリマーエマルジョンとの相互の結
び付きが弱く、その結果として耐久性の面での劣化とい
う欠点を有している。この改善策としてコロイダルシリ
カに有機ポリマーをグラフトさせ、もって界面接着性を
向上させるようとする試みが、コーティング剤分野で広
く検討がなされて来た。
【0004】たとえば、特公昭62−58630公報に
は、反応性不飽和基とアルコキシ基を併せ持つ有機ケイ
素化合物とアクリル系モノマーとの多段乳化重合により
得たアクリル系樹脂に、コロイダルシリカとクロム化合
物を配合した場合、金属表面に高耐食性や塗表下地性を
付与し、密着性、深絞り加工性および耐ブロッキング性
に優れた金属表面処理剤の得られることが記載されてい
る。しかし、このアクリル系樹脂はその製造時に、アル
コキシシリル基が加水分解を受けてシラノ―ル基となり
、さらに場合によっては続く縮合反応でシロキサン(−
SiOSi−) 結合が形成されている。つまり、生成
したアクリル系樹脂においては、シロキサン結合が分子
中に偏在した形を呈している。しかしながら、前記特性
の改善・向上に当っては、添加配合するコロイダルシリ
カとの相互作用の可能な部位がアクリル系樹脂中に均一
に分散していることが望まれるのに対して、シロキサン
結合が分子中に偏在しており、添加するコロイダルシリ
カとの界面部分に全体的に存在しないため、十分な界面
接着性は得られない。
【0005】また、特開昭59−71316公報には、
アクリル系モノマー、スチレン系モノマーおよび反応性
不飽和基とアルコキシ基を併せ持つ有機ケイ素化合物を
コロイダルシリカの存在下、水系媒体中で乳化共重合さ
せることにより、耐久性、耐汚染性に優れた塗膜を形成
し得る水性樹脂分散体が得られる旨開示されている。さ
らに、特開昭61−155474 公報には、アクリル
系モノマーおよび反応性不飽和基とアルコキシ基を併せ
持つ有機ケイ素化合物をコロイダルシリカの存在下で乳
化重合させて得られる水性樹脂分散体と、アルコキシシ
リル基を含有する水溶性もしくは水分散性アクリル共重
合体とを結合剤成分とした、耐久性、難熱性、耐汚染性
、結露防止性などを有する水性被膜組成物が開示されて
いる。
【0006】しかし、上記2つの例はいずれも、コロイ
ダルシリカ存在下で有機ケイ素化合物と有機モノマーと
の乳化共重合を行なっているため、オレフィン部位のラ
ジカル共重合と、アルコキシシリル基とコロイダルシリ
カ表面のSi−OH との縮合反応およびアルコキシシ
リル基どうしの縮合反応が同時に進行する形になってい
る。したがって、目的とするアルコキシシリル基とシリ
カ表面のSi−OH との縮合反応が完結し難いばかり
でなく、縮合反応に関与しないコロイダルシリカが共存
することとなり、有機ポリマーとコロイダルシリカに十
分な界面接着性を付与するに至らない。したがって、こ
れらの手段をより有効に実施するためには、予めコロイ
ダルシリカ表面にラジカル共重合性の高い反応性不飽和
基を含有するシロキシ基を導入し、次いで有機モノマー
を共重合させるというように、2段階にわたって乳化重
合を行なえばよいと考えられるが、これまで何ら検討は
なされていない。
【0007】最近、高機能性高分子材料の開発の一方向
として、有機ポリマーをシリコーンで変性し、シリコー
ンのもつ耐熱性、耐寒性、耐候性、難燃性などの優れた
特性を付与しようという試みがなされている。しかしな
がら、シリコーンはシロキサン骨格から成る特異的なポ
リマーであり、他の一般的なポリマーであるカーボン骨
格から成るポリマーとは相溶性が悪い。したがって、単
純なブレンドでは、得られた組成物にシリコーンの特性
付与の効果が余り現れない。そこで、グラフト化などに
より、シロキサン骨格とカーボン骨格とを化学的に結合
させることが必要になる。
【0008】このような手法として、たとえば、特開昭
50−1092828号公報には、ビニル基またはアリ
ル基含有ポリオルガノシロキサンの存在下にビニルモノ
マーを重合させることにより、グラフト共重合体を形成
させ、衝撃強度を改善することが記載されている。さら
に、特開昭60−252613 号公報、特開昭61−
106614 号公報および特開昭61−136510
 号公報にはアクリル基またはメタクリル基を含有する
ポリオルガノシロキサンのエマルジョン中で、ビニルモ
ノマーを重合させることにより、高いグラフト効率を有
し、衝撃強度に優れたグラフト共重合体を得ることが開
示されている。しかし、得られたグラフト共重合体はゴ
ム成分として強度的に不十分なポリオルガノシロキサン
単味を使用しているため、耐衝撃性などの力学的性質を
十分に改善するには至っていない。また、前記力学的性
質の改善策として、アルキルトリアルコキシシランやテ
トラアルコキシシランなどの3または4官能性架橋剤を
併用してポリオルガノシロキサンの強度を向上させるこ
とも試みられているが限界があって、満足いくものは得
られていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記シリコ―ン変性な
いしコロイダルシリカなど補強剤の添加配合による一般
有機樹脂類の改質・特性改善策における問題点に対して
、次のよな手段が考えられる。つまり、ポリオルガノシ
ロキサンのドメインにシリカなどの補強材を導入すれば
、グラフト共重合体の力学的性質の改善のほか、新たな
特性付与が期待される。しかし、このためには、同一ミ
セル中にポリオルガノシロキサンとシリカの含まれたシ
リコーンエマルジョン、好ましくはコロイダルシリカの
コアをポリオルガノシロキサンのシェルがシロキサン結
合を介して被覆した形のシリカコア−シリコーンシェル
体のエマルジョンが要望される。
【0010】かかるコアシェル体の製造方法として明確
に示された文献などはこれまでのところ見当らないが、
コアシェル体の形成されている可能性のある特許公開公
報はある。たとえば、特開昭61−16929公報、特
開昭61−271352 公報および特開昭61−27
2264 公報には、分子末端にヒドロキシルを有する
ポリオルガノシロキサンを酸性コロイド状シリカの存在
下、スルホン酸系乳化剤を用いて縮合させることで、コ
ロイダルシリカで強化されたシリコーン水性エマルジョ
ンの得られることが開示されている。しかし、原料とし
て、比較的重合度の高いポリシロキサンを用いているた
め初期の均質化において、このポリシロキサンとコロイ
ダルシリカを同一ミセル内に含ませることが非常に困難
であり、その結果、目的のコアシェル体のほか、重縮合
に未関与なコロイダルシリカとポリオルガノシロキサン
が共存したエマルジョンが得られてしまう。したがって
、この手法を上記グラフト共重合体製造に適用しても、
コロイダルシリカ導入による効果は現われにくい。また
、特開平1−234468号公報には、重合性不飽和二
重結合とアルコキシ基とを有する有機シラン化合物、必
要に応じそれ以外のアルコキシシランおよびシリカゾル
とを混合し、加水分解してなる放射線や熱により硬化し
て塗膜物性の優れた被膜を与える反応性ミクロゲル組成
物が開示されている。しかしながら、これは有機ポリマ
―にシリコ―ン樹脂の持つ耐熱性、耐寒性、耐候性など
の特性を付与することはできず、かつそのような用途を
目的としておらず、また示唆もしていない。
【0011】こうした問題点に関し、本発明者らは鋭意
検討した結果、コロイダルシリカとシリコーンのコアシ
ェル体を形成し、さらにそのコアシェル体にビニルモノ
マーをグラフト重合することによって、耐衝撃性、耐摩
耗性、耐候性など著しく優れた熱可塑性樹脂が得られる
ことを見い出した。
【0012】
【発明の構成】
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の熱可塑性樹脂は
、 (A)コロイダルシリカのコア  99.9〜 5重量
%と、(B)一般式 R1 p (QO)q SiO(4−p−q)/2  
      …(I)(式中、R1 は同一でも相異な
っても良く炭素数 1〜8 の置換または非置換の一価
の炭化水素基、Qは水素原子または炭素数 1〜6 の
アルキル基、 pは 1〜3 の整数、 qは 0〜2
 の整数かつ (p+q)は 1〜3 の整数である)
で表されるオルガノシロキシ基および/または平均組成
式R2 a SiO(4−a)/2         
  …(II)(式中、R2 は同一でも相異なっても
良く炭素数 1〜8 の置換または非置換の一価の炭化
水素基、 aは 0.8〜3.0の数である)で表され
るポリオルガノシロキサンのシェル(ここでR1 とR
2 の合計のうち、0.02〜100 モル%が反応性
不飽和基を含む基である) 0.1〜95重量%とから
なるシリカコア−シリコーンシェル体(i) に、少な
くとも1種のビニルモノマー(ii)をグラフト重合さ
せて得たグラフト共重合体(iii) を含有すること
を特徴とする。また、本発明の熱可塑性樹脂の製造方法
は、(A)コロイダルシリカのコア  99.9〜 5
重量%と、(B)一般式 R1 p (QO)q SiO(4−p−q)/2− 
     …(I)(式中、R1 、Q、p およびq
 は前記と同様である。)で表されるオルガノシロキシ
基および/または平均組成式 R2 a SiO(4−a)/2          
 …(II)(式中、R2 およびa は前記と同様で
ある。)で表されるポリオルガノシロキサンのシェル(
ここでR1 とR2 の合計のうち、0.02〜100
 モル%が反応性不飽和基を含む基である) 0.1〜
95重量%とからなるシリカコア−シリコーンシェル体
(i) を含有するエマルジョン中で、少なくとも1種
のビニルモノマー(ii)を前記コアシェル体にグラフ
ト重合させる工程を含むことを特徴とする。
【0014】本発明において使用される(A)成分のコ
ロイダルシリカとは、SiO 2 を基本単位とする水
中分散体を指称するものであって、本発明においては 
4〜400nm 、特に好ましくは30〜150nm 
なる平均粒子径を持ったものが適する。しかして、この
コロイダルシリカとしては酸性側とアルカリ性側との双
方があるが、これらは乳化重合時における条件によって
適宜選択することができる。
【0015】本発明に係るシリカコア−シリコーンシェ
ル体 (i) を成す一方の成分、すなわち(B)成分
のオルガノシロキシ基および/またはポリオルガノシロ
キサンのシェルは、反応性不飽和基を含む基をケイ素原
子に結合した有機基の総量に対して、0.02〜100
 %の範囲で併せ持つものである。
【0016】この反応性不飽和基としては、  一般式
:          CH2 =CH−O−(CH2
 ) n −            …(V)一般式
【0017】
【化1】
【0018】一般式:
【0019】
【化2】
【0020】で表わされるものが例示される。その他、
エチレン性不飽和基を含む基として、   一般式:          CH2  =CH−
(CH2 )n −              … 
(VIII) が例示される(ただし、n は0 〜1
0の整数を表わす)。
【0021】上記(V)式で表わされるエチレン性不飽
和を含む基としては、ビニロキシプロピル基、ビニロキ
シエトキシプロピル基、ビニロキシエチル基、ビニロキ
シエトキシエチル基などが例示され、好ましくはビニロ
キシプロピル基、ビニロキシエトキシプロピル基である
【0022】エチレン性不飽和基が上記(VI)式で表
される場合、R6 は水素原子または炭素数1 〜6 
のアルキル基、好ましくは水素原子または炭素数1 〜
2 のアルキル基、さらに好ましくは水素原子またはメ
チル基である。この(VI)式で表される基としては、
ビニルフェニル基、イソプロペニルフェニル基などが例
示され、好ましくはビニルフェニル基である。またこれ
ら(VI)式で表されるエチレン性不飽和基を含む基と
しては、ビニルフェニル基、1−(ビニルフェニル)エ
チル基、2−( ビニルフェニル)エチル基、(ビニル
フェニル)メチル基、イソプロペニルフェニル基、2−
( ビニルフェノキシ)エチル基、3−( ビニルベン
ゾイルオキシ)プロピル基、3−( イソプロペニルベ
ンゾイルアミノ)プロピル基などが例示され、好ましく
はビニルフェニル基、2−( ビニルフェニル)エチル
基、1−( ビニルフェニル)エチル基である。
【0023】エチレン性不飽和基が上記 (VII)式
で表される場合、R7 は水素原子またはメチル基であ
る。またR8 は炭素原子数が1 〜6 個のアルキレ
ン基、−O−,−S− または−N(R9 )R10−
 で示される基であり、ここでR9 は炭素数1 〜6
 個の1価の炭化水素基もしくは(メタ)アクリロイル
基、R10は炭素数  1 〜6 個のアルキレン基で
ある。この(VII) 式で表されるエチレン性不飽和
基を含む基としては、γ− アクリロキシプロピル基、
γ− メタクリロキシプロピル基、N−メタクリロイル
−N− メチル− γ− アミノプロピル基、N−メタ
クリロイル−N− メチル− γ− アミノプロピル基
、N−アクリロイル−N− メチル− γ− アミノプ
ロピル基、N,N−ビス(メタクリロイル) −γ− 
アミノプロピル基、なとが例示され、好ましくはN−メ
タクリロイル−N− メチル− γ− アミノプロピル
基、N−アクリロイル−N− メチル− γ− アミノ
プロピル基である。
【0024】また、エチレン性不飽和基を含む基が上記
(VIII)式で示される場合、n は0 〜10の整
数である。この (VIII) 式で表わされるエチレ
ン性不飽和基を含む基としては、ビニル基、アリル基、
ホモアリル基、5−ヘキセニル基、7−オクテニル基な
どが例示され、好ましくはビニル基、アリル基である。
【0025】反応性不飽和基を含む基の含有量が、ケイ
素原子に結合した有機基の総量に対して、0.02%未
満では、他の有機モノマーとのグラフト重合において、
高いグラフト率が得られない。
【0026】本発明に係るシリカコア−シリコーンシェ
ル体は、上述した(A)成分のコロイダルシリカと、(
B)成分の有機ケイ素化合物(a)単独あるいはこれと
ポリオルガノシロキサン(b)とを、水性媒体中、有効
量の乳化剤または、乳化剤混合物の存在下に重縮合させ
ることによって得られる。
【0027】本発明において使用される(B)(a)成
分の有機ケイ素化合物は、前記(III) 式で表わさ
れる構成単位を有するもので、このような有機ケイ素化
合物としては、たとえば、(ビニロキシプロピル)メチ
ルジメトキシシラン、(ビニロキシエトキシプロピル)
メチルジメトキシシラン、p−ビニルフェニルメチルジ
メトキシシラン、1−(m− ビニルフェニル)メチル
ジメチルイソプロポキシシラン、2−(p− ビニルフ
ェニル)エチルメチルジメトキシシラン、3−(p− 
ビニルフェノキシ)プロピルトリエトキシシラン、3−
(p− ビニルベンゾイロキシ)プロピルメチルジメト
キシシラン、1−(p− ビニルフェニル)エチルメチ
ルジメトキシシラン、1−(o− ビニルフェニル)−
1,1,2− トリメチル−2,2− ジメトキシジシ
ラン、1−(p− ビニルフェニル)−1,1− ジフ
ェニル−3− エチル−3,3− ジエトキシジシロキ
サン、m−ビニルフェニル[3−トリエトキシシリル)
プロピル]ジフェニルシラン、[3−(p− イソプロ
ペニルベンゾイルアミノ)プロピル]フェニルジプロポ
キシシラン、γ− アクリロキシプロピルメチルジエト
キシシラン、γ− メタクリロキシプロピルメチルジメ
トキシシラン、γ− メタクリロキシプロピルトリメト
キシシラン、N−メタクリロイル−N− メチル− γ
− アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−アク
リロイル−N− メチル− γ− アミノプロピルメチ
ルジメトキシシラン、N,N−ビス(メタクリロイル)
 −γ− アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N
,N−ビス(アクリロイル) −γ− アミノプロピル
メチルジメトキシシラン、N−メタクリロイル−N− 
メチル− γ− アミノプロピルフェニルジエトキシシ
ラン、1−メタクリロキシプロピル−1,1,3− ト
リメチル−3,3− ジメトキシジシロキサン、ビニメ
チルジメトキシシラン、ビニルエチルジイソプロポキシ
シラン、ビニルジメチルエトキシシラン、アリルメチル
ジメトキシシラン、5−ヘキセニルメチルジエトキシシ
ラン、γ− オクテニルエチルジエトキシシランなどの
シラン化合物が例示され、これらを単独あるいは2種以
上の混合物として用いる。
【0028】なお、上述した有機ケイ素化合物として好
ましいものは、(ビニロキシプロピル)メチルジメトキ
シシラン、(ビニロキシエトキシプロピル)メチルジメ
トキシシラン、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシ
ラン、2−(p− ビニルフェニル)エチルメチルジメ
トキシシラン、3−(p− ビニルベンゾイロキシ)プ
ロピルメチルジメトキシシラン、1−(p− ビニルフ
ェニル)エチルメチルジメトキシシラン、γ− メタク
リロキシプロピルメチルジメトキシシラン、N−メタク
リロイル−N− メチル− γ− アミノプロピルメチ
ルジメトキシシラン、N−アクリロイル−N− メチル
− γ− アミノプロピルメチルジメトキシシラン、ビ
ニルメチルジメトキシシラン、アリルメチルジメトキシ
シランであり、さらに好ましくはp−ビニルフェニルメ
チルジメトキシシラン、γ− メタクリロキシプロピル
メチルジメトキシシラン、N−メタクリロイル−N−メ
チル− γ− アミノプロピルメチルジメトキシシラン
、ビニルメチルジメトキシシランなどのシラン化合物で
ある。
【0029】本発明において使用される(B)(b)成
分のポリオルガノシロキサンは、前記 (IV) 式で
表わされる構成単位を有し、かつ水酸基を含有しないケ
イ素数 2〜10のものであり、この構造には直鎖状、
分岐状または環状など特に限定はないが、環状構造を有
するポリオルガノシロキサンが好ましい。つまり、ケイ
素原子数10以上では、乳化重合を行なう際、ポリオル
ガノシロキサンミセル中にコロイダルシリカ粒子を取り
込みにくいため、コアシェル体の形成に関与できないも
のが生じ、結果として目的のコアシェル体の他、フリー
な状態のコロイダルシリカおよびポリオルガノシロキサ
ンミセルが共存したエマルジョンが得られる。また水酸
基含有シリコーンでは、初期乳化時に重縮合反応が起き
て、ケイ素原子数10以上のオルガノシロキサンとなり
、上記問題点が生じるので、使用は好ましくない。
【0030】(B)(b)成分のポリオルガノシロキサ
ンの有する置換または非置換の一価の炭化水素基として
は、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、ビニル
基、フェニル基、およびそれらをハロゲン原子またはシ
アノ基で置換した置換炭化水素基などを挙げることがで
きる。また、反応性不飽和基としては、上記のものが挙
げられる。このような(B)(b)成分のポリオルガノ
シロキサンとしては、ヘキサメチルシクロトリシロキサ
ン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチル
シクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシ
ロキサン、1,3,5−トリメチル −1,3,5−ト
リフェニルシクロトリシロキサン、トリス(3,3,3
−トリフルオロプロピル)トリメチルシクロトリシロキ
サン、1,3,5,7−テトラ( ビニロキシプロピル
)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,
7−テトラ(ビニロキシエトキシプロピル)テトラメチ
ルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(
 p−ビニルフェニル)テトラメチルシクロテトラシロ
キサン、1,3,5,7−テトラ〔1−(m− ビニル
フェニル)メチル〕テトラメチルシクロテトラシロキサ
ン、1,3,5,7−テトラ〔2−(P− ビニルフェ
ニル)エチル〕テトラメチルシクロテトラシロキサン、
1,3,5,7−テトラ〔3−(P− ビニルフェノキ
シ)プロピル〕テトラメチルシクロテトラシロキサン、
1,3,5,7−テトラ〔3−(P− ビニルベンゾイ
ロキシ)プロピル〕テトラメチルシクロテトラシロキサ
ン、1,3,5,7−テトラ〔3−(P− イソプロペ
ニルベンゾイルアミノ)プロピル〕テトラメチルシクロ
テトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ( γ− 
アクリロシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキ
サン、1,3,5,7−テトラ( γ− メタクリロシ
プロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,
3,5,7−テトラ( N − メタクリロイル−N−
 メチル −γ−アミノプロピル)テトラメチルシクロ
テトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ( N −
 アクリロイル−N− メチル −γ− アミノプロピ
ル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5
,7−テトラ〔N,N −(メタクリロイル) γ− 
アミノプロピル〕テトラメチルシクロテトラシロキサン
、1,3,5,7−テトラ〔N,N−ビス(アクリロイ
ル) γ− アミノプロピル〕テトラメチルシクロテト
ラシロキサン、1,3,5,7−テトラビニルテトラメ
チルシクロテトラシロキサン、オクタビニルシクロテト
ラシロキサン、1,3,5−トリビニルトリメチルシク
ロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラアリルテト
ラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テ
トラ(5−ヘキセニル)テトラメチルシクロテトラシロ
キサン、1,3,5,7−テトラ(7−オクテニル)テ
トラメチルシクロテトラシロキサンなどの化合物が例示
され、これらは単独または2種以上の混合物として用い
得る。また、他の直鎖状もしくは分岐状のオルガノシロ
キサンを用いてもよい。ただし、直鎖状あるいは分岐状
のオルガノシロキサンの場合、分子鎖末端は、水酸基以
外の有機基、たとえばアルコキシ基、トリメチルシリル
基、ジメチルビニルシリル基、メチルフェニルビニルシ
リル基、メチルジフェニルシリル基、3,3,3−トリ
フルオロプロピルジメチルシリル基などで封鎖されてい
るものが好ましい。そして、上述したような(B)(a
)成分の有機ケイ素化合物、あるいは(B)(a)成分
の有機ケイ素化合物および(B)(b)成分のポリオル
ガノシロキサンは、本発明に係るシリカコア−シリコー
ンシェル体におけるシリコ−ンシェル部が0.1 〜9
5重量%となり、しかもシリコーンシェル部のケイ素原
子に結合した有機基の総量に対して、反応性不飽和基を
含む基が0.02〜100 %となるように選択ないし
配合される。この選択ないし配合は、たとえば(A)成
分のコロイダルシリカを99.9〜 5重量%、(B)
有機ケイ素化合物(a)単独あるいはこれと(b)成分
のオルガノシロキサンとを0.1 〜95重量%[ただ
し(A)+(B)  (a)+(B)(b)=100 
重量%とする。]のような比率で行なわれる。
【0031】本発明に係るシリカコア−シリコーンシェ
ル体は、上述した(A)成分のコロイダルシリカと(B
)成分の有機ケイ素化合物(a)単独あるいはこれとオ
ルガノシロキサン(b)とを、水性媒体中、乳化剤の存
在下にホモジナイザーなどを用いて剪断混合し、縮合さ
せることによって製造することができる。この乳化剤は
、適量の水および(A)成分との共存下に、(a)成分
単独あるいは(a)成分と(b)成分を乳化させるため
の界面活性剤の役目を果たすと同時に、(a)成分のア
ルコキシ基を加水分解し、さらに重縮合させたり、ある
いは(a)成分の加水分解物または(b)成分の重縮合
反応の触媒の働きをするものであり、アニオン系乳化剤
およびカチオン系乳化剤がある。アニオン系乳化剤とし
ては、脂肪族置換基が炭素原子6 〜18の長さの炭素
連鎖を有する脂肪族置換ベンゼンスルホン酸、脂肪族置
換ナフタレンスルホン酸、脂肪族スルホン酸、シリルア
ルキルスルホン酸、脂肪族置換ジフェニルエーテルスル
ホン酸などが挙げられ、なかでも脂肪族置換ベンゼンス
ルホン酸がより好ましい。また、カチオン系乳化剤とし
ては、アルキルトリメチルアンモニウム塩(たとえば、
オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサ
デシルトリメチルアンモニウムクロリド)型、ジアルキ
ルジメチルアンモニウム塩(たとえば、ジオクタデシル
ジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキサデシルジメチ
ルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニ
ウムクロリド)型、塩化ベンザルコニウム(たとば、オ
クタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ヘ
キサデジシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド)
型などの第4級アンモニウム塩型界面活性剤その他があ
げられる。ただし、これらの第4級アンモニウム塩型界
面活性剤は、種類によっては触媒作用が低いので、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ触媒を加
える必要がある。
【0032】上記において乳化剤の使用量は、(A)成
分、(B)成分の合計量100 重量部に対して、通常
0.1 〜5 重量部、好ましくは0.3 〜3 重量
部程度である。また必要に応じて、ノニオン系の乳化剤
を併用してもよい。
【0033】なお、本発明に係るシリカコア−シリコー
ンシェル体の製造に際し、コロイダルシリカを安定な状
態に保持しておくため、アニオン系乳化剤を用いる場合
は酸性コロイダルシリカを使用し、カチオン系乳化剤を
用いる場合は、アルカリ性コロイダルシリカを使用する
必要がある。またシリカコア−シリコーンシェル体の製
造に当っての水の使用量は、(A)成分および(B)成
分の合計量100 重量部に対して、通常、100 〜
500 重量部、好ましくは200 〜400 重量部
であり、さらに、縮合温度は、通常、5 〜100 ℃
である。なお、上記シリカコア−シリコーンシェル体の
製造に際し、シリコーンシェル部の強度を向上させるた
めに、第4成分として架橋剤を添加することもできる。 この架橋剤としては、たとえばメチルトリメトキシシラ
ン、フェニルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシ
シラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメ
トキシシランなどの3官能性架橋剤、テトラエトキシシ
ランなどの4官能性架橋剤を挙げることができる。この
架橋剤の添加量は、(B)成分の合計量に対して、通常
、10重量%以下、好ましくは5 重量%以下程度であ
る。
【0034】こうして得られるシリカコア−シリコーン
シェル体のエマルジョンは、乳化重合条件によって、酸
性あるいはアルカリ性になっているため、必要に応じて
、アルカリあるいは酸で中和する必要がある。このアル
カリ性物質としては、たとえば水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ト
リエタノールアミン、トリエチルアミンなどが用いられ
、また酸性物質としては、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、し
ゅう酸などが用いられる。また、こうして得られるシリ
カコア−シリコーンシェル体の平均粒子径は 4〜40
0 nmで、かかる平均粒子径を持つシリカコア−シリ
コーンシェル体は、エマルジョンタイプとして次に説明
する有機ポリマーの重合反応系に介在させると容易にグ
ラフト重合に関与して補強された重合体の合成に寄与す
る。
【0035】すなわち上記のようにして得られたシリカ
コア−シリコーンシェル体のエマルジョン中で、ビニル
モノマーをコアシェル体にグラフト重合することにより
、本発明に係るグラフト共重合体から成る所望の熱可塑
性樹脂が得られる。
【0036】本発明において使用されるビニルモノマー
としては、たとえばスチレン、α− メチルスチレン、
ジクロロスチレン、ジブロモスチレン、スチレンスルホ
ン酸ナトリウムなどの芳香族アルケニル化合物;メチル
メタクリレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘ
キシルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アリル
メタクリレートなどのメタクリル酸エステル;メチルア
クリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート
、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエ
チルメタクリレートなどのアクリル酸エステル;アクリ
ロニトリル、メタクリルニトリルなどのシアン化ビニル
化合物;エチレン、プロピレンなどのオレフィン;ブタ
ジエン、イソプレン、クロロプレンなどの共役ジオレフ
ィン;および酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン
、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサ
フルオロプロピレン、トリアリルイソシアヌレート、ア
クリル酸、メタクリル酸、N−フェニルマレイミド、N
−シクロヘキシルマレイミド、無水マレイン酸などが挙
げられ、これらは単独であるいは混合して使用される。 これらのビニルモノマーのうち本発明に係る熱可塑性樹
脂の耐衝撃性をより向上させる目的としては、65〜7
5重量%のスチレンおよび35〜25重量%のアクリロ
ニトリルを含むものが好ましい。
【0037】なおシリカコア−シリコーンシェル体にビ
ニルモノマーをグラフト重合する際の仕込み組成は、シ
リカコア−シリコーンシェル体(i)成分1 〜90重
量%、好ましくは 5〜80重量%、ビニルモノマー(
ii) 成分99〜10重量%、好ましくは95〜20
重量%、[ただし(i)+(ii)=100 重量%]
であり、前記(i)成分が 1重量%未満では衝撃強度
、耐摩耗性などの改質効果が得られず、一方90重量%
を超えると、グラフトするビニルポリマーの割合が減少
し、その結果シリカコア−シリコーンシェル体とビニル
ポリマーとの間に充分な界面接着力が得られず、得られ
る熱可塑性樹脂の強度が低下する。またこのようにして
得られるグラフト共重合体のグラフト率は通常5 重量
%以上好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは2
0重量%以上程度である。このようにグラフト共重合体
のグラフト率が高いとグラフト共重合体と直接グラフト
しなかったビニルポリマーとの間の界面接着力が増大し
、そのためビニルポリマー中にシリカコア−シリコーン
シェル体が均一に、分散し、優れた強度、耐候性、外観
などが得られる。さらに、本発明の熱可塑性樹脂は、こ
のようにして得られるグラフト共重合体のほかに、グラ
フトされていないビニルモノマーの重合体であるビニル
ポリマーを含有するが、通常、グラフト共重合体を5 
重量%以上、好ましくは10重量%以上含有するもので
ある。
【0038】本発明の熱可塑性樹脂を製造するに際して
は、シリカコア−シリコーンシェル体にビニルモノマー
を通常のラジカル重合によってグラフト重合し、グラフ
ト共重合体を含有する組成物として得られる。ラジカル
重合開始剤としては、たとえばクメンハイドロパーオキ
サイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイ
ド、パラメンタンハイドロパーオキサイドなどの有機ハ
イドロパーオキサイド類からなる酸化剤と、含糖ピロリ
ン酸鉄処方、スルホキシレート処方、含糖ピロリン酸鉄
処方/スルホキシレート処方の混合処方などの還元剤と
の組み合わせによるレドックス系の開始剤;過硫酸カリ
ウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;アゾビスイ
ソブチロニトリル、ジメチル−2,2 ′− アゾビス
イソブチレート、2−カルバモイルアザイソブチロニト
リルなどのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ラ
ウロイルパーオキサイドなどの有機過酸化物などを挙げ
ることができ、好ましくはレドックス系の開始剤である
。これらのラジカル重合開始剤の使用量は、使用される
ビニルモノマー 100重量部に対し、通常、0.05
〜5 重量部、好ましくは 0.1〜3 重量部程度で
あり、この際のラジカル重合法としては、乳化重合によ
って実施することが好ましい。乳化重合に際しては、公
知の乳化剤、前記ラジカル開始剤、連鎖移動剤などが使
用される。ここで、乳化剤としては、ドデシルベンゼン
スルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ジフ
ェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、コハク酸ジア
ルカリエステルスルホン酸ナトリウムなどのアニオン系
乳化剤、あるいはポリオキシエチレンアルキルエステル
、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルなどのノ
ニオン系乳化剤の1種または2種以上を挙げることがで
き、ここで乳化剤の使用量は、ビニルモノマーに対して
、通常、0.5 〜5 重量%程度でよい。連鎖移動剤
としては、t−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカ
プタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−ヘキシル
メルカプタンなどのメルカプタン類;四塩化炭素、臭化
エチレンなどのハロゲン化合物が、ビニルモノマーに対
して、通常、0.02〜1 重量%使用される。乳化重
合に際しては、ラジカル重合開始剤、乳化剤、連鎖移動
剤などのほかに、必要に応じて各種電解質、pH調整剤
などを併用して、ビニルモノマー 100重量部に対し
て、前記ラジカル重合開始剤、乳化剤、連鎖移動剤など
を前記範囲内の量使用し、重合温度5 〜100 ℃、
好ましくは50〜90℃、重合時間0.1 〜10時間
の条件で乳化重合される。しかして、前記乳化重合はコ
ロイダルシリカーシリコーンコアシェル体を含有するエ
マルジョンにビニルモノマーおよびラジカル開始剤を加
えることによって進行する。重合工程でのビニルモノマ
ーを反応器へ添加する方法は一括でも分割でも、連続的
添加でもよく、またそれらの併用でもよい。また、本発
明の熱可塑性樹脂は通常の塩凝固法により凝固させ、得
られた粉末を水洗したのち、乾燥することによって精製
される。
【0039】これらの方法で得られた上記グラフト共重
合体を含有する本発明の熱可塑性樹脂は、押し出し機な
どの混練り機でペレット化することができる。この際、
要求される性能に応じて他の既知の重合体を、通常、9
9重量%以下、好ましくは90重量%以下程度適宜ブレ
ンドし、熱可塑性樹脂組成物(以下、単に「熱可塑性樹
脂組成物」という)として用いてもよい。このような重
合体としては、たとえばポリブタジエン、ブタジエンー
スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重
合体、ポリイソプレン、天然ゴムなどのジエン系ゴム;
アクリルゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレ
ン−プロピレン−ジエン共重合体、塩素化ブチルゴム、
塩素化ポリエチレンなどのオレフィン系ゴム;スチレン
−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン
−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−
スチレンラジアルテレブロック共重合体などの芳香族ビ
ニル−共役ジエン系ブロック共重合体;該ブロック共重
合体の水素化物;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ
スチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ゴム
強化ポリスチレン(HIPS) 、アクリロニトリル−
ブタジエン−スチレン樹脂(ABS 樹脂)、アクリロ
ニトリル−エチレンプロピレン−スチレン樹脂(AES
 樹脂)、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン
樹脂(MBS 樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン
−メタクリル酸メチル−スチレン樹脂、アクリロニトリ
ル−n− ブチルアクリレート−スチレン樹脂(AAS
 樹脂)、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリエ
チレンテレフタレート、ポブチレンテレフタレ―ト、ポ
リアセタール、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリフッ化
ビニリデン、ポリスルホン、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、PPS 樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、P
PO 樹脂、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、
スチレン−無水マレイン酸共重合体、ゴム変性PPO 
樹脂、スチレン−マレイミド系共重合体、ゴム変性スチ
レン−マレイミド系共重合体、ポリアミド系エラストマ
ー、ポリエステル系エラストマーなどが挙げられる。な
お、上記ペレット化された熱可塑性樹脂(組成物)は、
圧縮成形、射出成形などの通常の手段により、加工、成
形に適宜供される。
【0040】(作  用)本発明に係る熱可塑性樹脂に
おいては、コロイダルシリカのコアを反応性不飽和基を
含有するオルガノシロキシ基および/またはポリオルガ
ノシロキサンのシェルがシロキサン結合を介して被覆さ
れ、さらにビニルモノマ―がグラフト重合した構成を成
している。つまり、反応性不飽和基を有するシリコ―ン
シェルは、ビニルモノマ―と容易にグラフト重合してグ
ラフト率の高いグラフト共重合体を呈しており、前記コ
ロイダルシリカの補強性などが効果的に発揮される。す
なわち、このグラフト共重合体は、それ自体または他の
熱可塑性樹脂にブレンドした場合、すぐれた衝撃強度、
しゅう動特性、耐侯性など呈し、各種成形品、自動車内
の外装部品、電気・電子部品、建築材料などの他、塗料
などにも使用し得る。そして、コロイダルシリカのコア
と反応性不飽和基を含有するオルガノシロキシ基および
/またはポリオルガノシロキサンのシェルからなるコア
シェル体を含有するエマルジョン中で、コアシェル体に
ビニルモノマ―をグラフト重合させることにより容易に
得ることができる。
【0041】(実施例)以下、本発明の実施例を説明す
る。実施例中の部および%は、特に断らない限り重量部
および重量%である。
【0042】また、実施例中、各種試験の測定は、下記
に従った。
【0043】先ず、グラフト率およびグラフト効率は、
以下の方法で求めた。すなわち、グラフト重合生成物の
一定重量(x)をアセトン中に投入し、振とう機で 2
時間振とうし、遊離の共重合体を溶解させ、遠心分離機
を用いて回転機23,000rpm で30分間遠心分
離し、不溶分を得る。次に、真空乾燥機を用いて120
 ℃で1時間乾燥し、不溶分重量(y)を得、次式によ
りグラフト率、グラフト効率を算出した。 次に、物性の評価は下記評価法に従った。*アイゾット
衝撃強度 ASTM−D256, 1/4” ,23℃ノッチ付単
位は kgf・cm/cm である。 *光沢度 ASTM−D523 ,45° 単位は%である。 *しゅう動特性 摩擦摩耗試験は、鈴木式しゅう摺動試験機を使用し、相
手材としては同材またはスチール(S45C) を用い
た。試験片は、外径25.6mm、内径20.0mmの
中空円筒状のものを用い、相手材も同様の形状のものを
用いた。また、動摩擦係数の測定条件は、室温23℃、
湿度50%の雰囲気中で荷重5kg 、走行速度3.7
5cm/ 秒で測定した。
【0044】動摩擦係数は、次式によって算出した。
【0045】
【数1】
【0046】(式中、μは動摩擦係数、Fはロードセル
に与える力、P は荷重、R はロードセルまでのアー
ム長、r 1 は内径、r 2 は外径を表す。)比摩
耗量の測定条件は、室温23℃、湿度50%の雰囲気中
で対同材の場合は荷重5kg 、走行速度3.75cm
/ 秒、12,600回転(走行速度0.24km) 
で測定し、対スチール(S45C) の場合は、荷重1
0kg、走行速度15cm/ 秒、80,000回転(
走行速度6km)で測定した。比摩耗量は、次式によっ
て算出する。 (式中、Aは比摩耗量、△Wはサンプルの重量変化、P
は荷重、l は走行距離、αはサンプルの密度を表す。 )*耐候性試験方法サンシャインウェザーメーター(東
洋理科(株)製、WE−USN−HC 型)を用い、2
00 時間暴露(63℃、雨あり)後、アイゾット衝撃
強度と光沢度を測定した。また、原料となるコロイダル
シリカ、シリカコアーシリコーンシェル体の平均粒子径
は動的光散乱法の採用された大塚電子(株)製、レーザ
ー粒径解析システムLPA−3000S/3100  
を用いて測定した。
【0047】実施例1 酸性コロイダルシリカ(日産化学工業(株)製スノーテ
ックスOZL 、平均粒子径122 nm  、SiO
 2 21.14 %、Na2 O 0.101 %、
PH2.02) (以下の表中A−1 と略記する)1
00 部、蒸留水47部、ドデシルベンゼンスルホン酸
0.84部の混合液中に、P−ビニルフェニルメチルジ
メトキシシラン(以下の表中b−1 と略記する)0.
32部とオクタメチルシクロテトラシロキサン(以下の
表中a−1 と略記する)21部の混合物を加え、ホモ
ミキサーにより予備攪拌した後、ホモジナイザーにより
 300kgf/cm2 の圧力で 2回通すことによ
り、乳化、分散させた。
【0048】この乳化、分散混合液をコンデンサー、窒
素導入口および攪拌機を備えたセパラブルフラスコに移
し、攪拌混合しながら85℃で5 時間加熱し、5 ℃
で48時間冷却することによって縮合を完結させた。次
いで、このポリオルガノシロキサンエマルジョンを炭酸
ナトリウム水溶液でPH7 に中和し、縮合を終了させ
た。得られたポリオルガノシロキサン中のオクタメチル
シクロテトラシロキサンの縮合率  (以下の表中a−
1 の縮合率と略記する)は99.6%であった。なお
、動的光散乱法にもとづく粒径解析および電子顕微鏡観
察により、上記ポリオルガノシロキサンがシリカコア−
シリコーンシェル体(以下の表中シェル体と略記する)
であることが確認できた。すなわち、レーザー粒径解析
システム  (大塚電子(株)製LPA−3000S/
3100) を用いて粒径解析したところ、原料コロイ
ダルシリカの122nm 付近にピークを持つ単一分散
の粒径分布が完全に消失し、175nm 付近にピーク
を持った単一分散の粒径分布が新たに現われた。また、
電子顕微鏡により観察したところ、シリコーン粒子像の
みが確認され、原料シリカ粒子像はまったく観察されな
かった。  次いで、前記コアシェル体エマルジョンを
多量のアセトン中に投入し、コアシェル体を折出させ、
口別後、真空乾燥機で50℃、12時間乾燥し、コアシ
ェル体凝集物を得た。そして、このコアシェル体凝集物
の元素分析、IRおよび1 H,13C,29Si−N
MR分析の結果、シリコーンシェル部の割合は49.2
%、またシリコーンシェル部の有機基中のp−ビニルフ
ェニル基の割合は0.27%であった。次いで、上記で
得たシリカコア− シリコーンシェル体を用いて、ビニ
ル系モノマーとのグラフト共重合体を合成した。すなわ
ち、上記コアシェル体エマルジョンを固形分換算で35
部と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5 
部および蒸溜水140 部を混合し、滴下ロート、コン
デンサ−、チッ素導入口および攪拌機を備えたセパラブ
ルフラスコに移し、さらに全スチレン(以下の表中ST
と略記する)量の34%に相当するスチレン15.81
 部、全アクリロニトリル(以下の表中ANと略記する
)量の34%に相当するアクリロニトリル6.29部、
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.2 部、ソジゥ
ムホルムアルデヒドスルホキシレート0.25部、硫酸
第一鉄0.004 部およびクメンハイドロパーオキサ
イド0.074 部を加え、チッ素を流しながら70℃
まで昇温した。1時間重合後、残りのスチレン30.6
9 部、残りのアクリロニトリル12.21 部、ドデ
シルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.084 部、蒸
留水42部、クメンハイドロパーオキサイド0.12部
およびt−ドデシルメルカプタン0.06部の混合液を
滴下ロートを使用して3時間にわたって添加した。滴下
終了後、1時間重合反応させた後、反応系を冷却した。 上記反応で得たグラフト共重合体ラテックスを、 2部
の塩化カルシウム二水和物を溶解した温水中に投入し、
塩折凝固を行って、グラフト共重合体を含む熱可塑性樹
脂を分離した。しかる後この熱可塑性樹脂をよく水洗し
てから、80℃で16時間乾燥して精製を行い、グラフ
ト率およびグラフト効率を測定した結果を表1に示す。 次いで、この熱可塑性樹脂粉末57%と、スチレンおよ
びアクリロニトリルのモノマー仕込み重量比が75対2
5で乳化重合して得られた共重合体(以下の表中AS樹
脂と略記する)43%とを混合し、熱可塑性樹脂組成物
を調製した。この熱可塑性樹脂組成物を、二軸押し出し
機を使用して、シリンダー温度230 ℃で押し出し加
工し、ペレットを得た。上記で得たペレット状熱可塑性
樹脂組成物を用い、成形加工して得た成形品は、表1に
示すように耐候性、摺動性、耐衝撃性、外観の優れたも
のであった。
【0049】実施例2,3 実施例1において用いた酸性コロイダルシリカ、蒸留水
、ドデシルベンゼンスルホン酸、P−ビニルフェニルメ
チルジメトキシシランおよびオクタメチルシクロテトラ
シロキサンを第1表に示した配合比に変えた以外は、実
施例1の場合と同一条件でポリオルガノシロキサンエマ
ルジョンをそれぞれ得た。上記で得た各ポリオルガノシ
ロキサンエマルジョンは、動的光散乱にもとづく粒径解
析および電子顕微鏡観察によって単一分散の粒径分布の
シリカコア−シリコーンシェル体であると確認できた。 これらのコアシェル体について、実施例1の場合と同様
に評価した結果を表1に示す。さらに、これらのコアシ
ェル体を用いて、実施例1の場合と同一条件でビニル系
モノマーとのグラフト共重合体とし、次いでAS樹脂と
混合して熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。これら
実施例におけるグラフト率、グラフト効率および熱可塑
性樹脂組成物の物性の結果は表1に示す。
【0050】実施例4〜6 有機ケイ素化合物として、γ−メタクリロキシプロピル
メチルジメトキシシラン(以下の表中b−2 と略記す
る)、N−メタクリロイル−N− メチル− γ− ア
ミノプロピルメチルジメトキシシラン(以下の表中b−
3 と略記する)、ビニルメチルジメトキシシラン(以
下の表中b−4 と略記する)のそれぞれを表1に示し
た割合で使用した他は実施例1の場合と同一条件でポリ
オルガノシロキサンエマルジョンをそれぞれ得た。
【0051】上記で得たこれらのポリオルガノシロキサ
ンは、動的光散乱にもとづく粒径解析および電子顕微鏡
観察によって単一分散の粒径分布のシリカコア− シリ
コーンシェル体であると確認できた。
【0052】また、これら各コアシェル体について、実
施例1の場合と同様に評価した結果を表1に示す。さら
に、これらのコアシェル体を用いて、実施例1の場合と
同一条件でビニル系モノマーとのグラフト共重合体とし
、次いでAS樹脂と混合して熱可塑性樹脂組成物のペレ
ットを得た。これら実施例におけるグラフト率、グラフ
ト効率および熱可塑性樹脂組成物の物性の結果を表1に
示す。
【0053】実施例7 酸性コロイダルシリカとして、スノーテックスOL(日
産化学工業(株)製;平均粒子径84nm、SiO 2
 20.66 %、Na2 O 0.019 %、PH
2.78) (以下の表中A−2 と略記する)を使用
し、実施例1の場合と同一条件でポリオルガノシロキサ
ンエマルジョンを得た。上記により得たポリオルガノシ
ロキサンは、動的光散乱にもとづく粒径解析および電子
顕微鏡観察によって単一分散の粒径分布のシリカコア−
シリコーンシェル体であると確認できた。また、このコ
アシェル体について、実施例1の場合と同様に評価した
結果を表1に示す。さらに、このコアシェル体を用いて
、実施例1の場合と同一条件でビニル系モノマーとのグ
ラフト共重合体とし、次いでAS樹脂と混合して熱可塑
性樹脂組成物のペレットを得た。この実施例におけるグ
ラフト率、グラフト効率および熱可塑性樹脂組成物の物
性の結果を表1に示す。
【0054】実施例8 アルカリ性コロイダルシリカ(日産化学工業(株)スノ
ーテックスZL、平均粒子径110nm 、SiO 2
   40.23 %、Na2 O 0.036 %、
PH9.72)(以下の表中A−3 と略記する) 1
00 部、蒸留水 194部、ジオクタデシルジメチル
アンモニウムクロリド6.5 部、水酸化カリウム1.
5 部の混合液中にP−ビニルフェニルメチルジメトキ
シシラン0.64部とオクタメチルシクロテトラシロキ
サン42部の混合物を加え、ホモミキサーにより予備攪
拌したのち、ホモジナイザーにより300 kgf/c
m2 の圧力で 2回通すことにより、乳化、分散させ
た。この乳化、分散混合液をコンデンサー、窒素導入口
および攪拌機を備えたセパラブルフラスコに移し、攪拌
混合しながら85℃で 5時間加熱し、5 ℃で48時
間冷却することによって縮合を完結させた。 次いで、このポリオルガノシロキサンエマルジョンを塩
酸でPH7 に中和し、縮合を終了させた。得られたポ
リオルガノシロキサン中のオクタメチルシクロテトラシ
ロキサンの縮合率は97.9%であった。得られたポリ
オルガノシロキサンは、動的光散乱にもとづく粒径解析
および電子顕微鏡観察によって単一分散の粒径分布のコ
ロイダルシリカ−シリコーンコアシェル体であると確認
できた。 このコアシェル体について、実施例1の場合と同様に評
価した結果を表1に示す。さらに、これらのコアシェル
体を用いて、実施例1の場合と同一条件でビニル系モノ
マーとのグラフト共重合体とし、次いでAS樹脂と混合
して熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。これら実施
例におけるグラフト率、グラフト効率および熱可塑性樹
脂組成物の物性の結果を表1に示す。
【0055】実施例9 酸性コロイダルシリカ(日産化学工業(株)製、スノー
テックスO 平均粒子径31nm、SiO 2 20.
53 %、Na2 O 0.034 %、PH2.58
) (以下の表中A−4 と略記する)100 部、ド
デシルベンゼンスルホン酸0.43部の混合液中に、p
−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン0.32部を
加え、ホモミキサーにより予備攪拌したのち、ホモジナ
イザーにより300 kgf/cm2 の圧力で 2回
通すことにより、乳化、分散させた。この乳化、分散混
合液をコンデンサー、窒素導入口および攪拌機を備えた
セパラブルフラスコに移し、攪拌混合しながら85℃で
5 時間加熱し、5 ℃で24時間冷却することによっ
て縮合を完結させた。次いでこのエマルジョンを炭酸ナ
トリウム水溶液でPH7に中和し、縮合を終了させた。 得られたエマルジョン中の固形分は21.6%であった
。得られたポリオルガノシロキサンは、動的光散乱にも
とづく粒径解析および電子顕微鏡観察によって単一分散
の粒径分布のシリカコア−シリコーンシェル体であると
確認できた。このコアシェル体について、実施例1の場
合と同様に評価した結果を表1に示す。次いで、このコ
ロイダルシリカ主体のコアシェル体を用いて、実施例1
の場合と同一条件でビニル系モノマーとの共重合を行な
った。ビニル系モノマーの転化率を考慮した。塩析凝固
・乾燥精製後の回収率は98.2%であり、得られた共
重合体中に本コアシェル体がほとんど取り込まれている
ことが確認できた。さらに、このグラフト共重合体を、
実施例1の場合と同一条件でAS樹脂と混合して、熱可
塑性組成物のペレットを得た。上記グラフト共重合体の
グラフト率、グラフト効率および熱可塑性樹脂組成物の
物性の結果を表1に示す。なお、得られた樹脂は、コア
シェル体の粒子径が著しく小さいため透明樹脂であった
【0056】実施例10〜25 グラフト重合するビニルモノマーとして、メチルメタク
リレ―ト(以下の表中MMと略記する)、N−フェニル
マレイミド(以下の表中PMI と略記する)、グリシ
ジルメタクリレ―ト(以下の表中GMと略記する)、メ
タクリル酸(以下の表中MAと略記する)、2−ヒドロ
キシエチルメタクリレート(以下の表中HEMAと略記
する)を、またブレンドする熱可塑性樹脂としてナイロ
ン−6、ポリブチレンテレフタレ―ト樹脂(以下の表中
PBT と略記する)、ポリカ―ボネ―ト樹脂(以下の
表中PCと略記する)、ポリスチレン樹脂(以下の表中
PSと略記する)、ポリ塩化ビニル樹脂(以下の表中 
PVCと略記する)、ポリプロピレン樹脂(以下の表中
PPと略記する)、ポリエチレン樹脂(以下の表中PE
と略記する)、ポリアセタール樹脂(以下の表中POM
 と略記する)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(以下の表
中PVDFと略記する)、ポリフェニレンサルファイド
樹脂(以下の表中PPS と略記する)、ポリフェニレ
ンオキサイド樹脂(以下の表中PPO と略記する)、
ポリエステルエーテルアミドブロック共重合体(以下の
表中PEA と略記する)をそれぞれ表2および表3に
示す組成比に選択した以外は実施例1の場合と同様にし
て熱可塑性樹脂(組成物)を得、これらの特性評価の結
果を表2および表3に示す。
【0057】比較例1 実施例1におけるP−ビニルフェニルメチルジメトキシ
シランを使用しない以外は実施例1の場合と同一条件で
ポリオルガノシロキサンエマルジョンを得た。上記で得
たポリオルガノシロキサンは、動的光散乱にもとづく粒
径解析および電子顕微鏡観察によって単一分散の粒径分
布のシリカコア−シリコーンシェル体であると確認でき
た。このコアシェル体について、実施例1の場合と同様
に評価した結果を表3に示す。さらに、このコアシェル
体を用いて、実施例1の場合と同一条件でビニル系モノ
マーとのグラフト共重合体とし、次いでAS樹脂と混合
して熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。この実施例
におけるグラフト率、グラフト効率および熱可塑性樹脂
組成物の物性の結果を表3に示す。
【0058】比較例2 実施例9においてP−ビニルフェニルメチルジメトキシ
シランを使用しない以外は実施例9の場合と同一条件で
、コロイダルシリカの加熱および冷却処理を行なった。 次いで、このコロイダルシリカを用いて、実施例1と同
一条件でビニル系モノマーの共重合を行なった。ビニル
系モノマーの転化率を考慮した塩析凝固・乾燥精製後の
回収率は48.6%であり、得られた樹脂中にコロイダ
ルシリカがほとんど取り込まれていないことが確認でき
た。
【0059】比較例3 実施例4において、コア―シエル体エマルジョン組成に
おける(A)成分を使用しない以外は実施例4の場合と
同様にして熱可塑性樹脂組成物を得た。上記調製した熱
可塑性樹脂組成物について評価した結果を表3に示した
。実施例4の場合に比べてアイゾット衝撃強度の劣って
いることが認められる。(以下余白)
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【発明の効果】上記説明から分るように、本発明の熱可
塑性樹脂はコロイダルシリカのコアをポリオルガノシロ
キサンのシェルがシロキサン結合を介して覆ったものに
ビニルモノマーをグラフト重合して成るものであり、コ
ロイダルシリカの補強性を十分に引き出すことができる
。また、シリコーンシェルにおけるシロキサン側鎖には
、反応性不飽和基が結合しているので、このコアシェル
体と他の有機モノマーとのグラフト重合により、グラフ
ト率のより高いグラフト共重合体を成している。さらに
、本発明においては、シリカコア− シリコーンシェル
体にグラフト重合させるモノマーとして、ブレンドしよ
うとする重合体に相溶系である重合体のモノマーを用い
ることにより、従来、コロイダルシリカおよび/または
ポリオルガノシロキサンと非相溶系であった他の重合体
とも、相溶化することができるため、新たな特性に着目
した熱可塑性樹脂組成物を得ることが可能となる。また
、このことは他の重合体にコロイダルシリカおよび/ま
たはポリオルガノシロキサンの特性を付与できることを
意味しており、衝撃強度、摺動特性、耐候性などを向上
させた重合体を得ることができる。かくして、本発明は
シリカコア− シリコーンシェル体に所要のモノマーを
容易に効率よくグラフト共重合し得ることと相挨ってい
わゆるポリマーアロイ化技術に大きく貢献するもので、
その工業的意義は極めて大きいものといえる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  (A)コロイダルシリカのコア   
         99.9〜 5重量%と (B)一般式 R1 p (QO)q SiO(4−p−q)/2− 
         …(I)(式中、R1 は同一でも相異なっ
    ても良く炭素数 1〜8 の置換または非置換の一価の
    炭化水素基、Qは水素原子または炭素数 1〜6 のア
    ルキル基、 pは 1〜3 の整数、 qは 0〜2 
    の整数かつ (p+q)は 1〜3 の整数である)で
    表されるオルガノシロキシ基および/または     
     平均組成式 R2 a SiO(4−a)/2          
     …(II)(式中、R2 は同一でも相異なっても良
    く炭素数 1〜8 の置換または非置換の一価の炭化水
    素基、 aは 0.8〜3.0の数である)で表される
    ポリオルガノシロキサンのシェル(ここでR1 とR2
     の合計のうち、0.02〜100 モル%が反応性不
    飽和基を含む基である) 0.1〜95重量% とからなるシリカコア−シリコーンシェル体 (i) 
    に、少なくとも1種のビニルモノマー(ii)をグラフ
    ト重合させて得たグラフト共重合体(iii) を含有
    することを特徴とする熱可塑性樹脂。
  2. 【請求項2】  コアシェル体のコアが水分散性コロイ
    ダルシリカに起因するシリカである請求項1記載の熱可
    塑性樹脂。
  3. 【請求項3】  コアシェル体のシェルが一般式R3 
    b Si(OR4 )4−b       …(III
    )(式中、R3 は同一でも相異なっても良く炭素数 
    1〜8 の置換または非置換の一価の炭化水素基、R4
     は炭素数 1〜6 のアルキル基、 bは 1〜3 
    の整数である)で表される有機ケイ素化合物(a)の加
    水分解物あるいは縮合物、またはこの有機ケイ素化合物
    (a)と平均組成式R5 c SiO(4−c)/2 
                      …(IV)(式
    中、R5 は同一でも相異なっても良く炭素数 1〜8
     の置換または非置換の一価の炭化水素基、 cは 0
    .8〜3.0の数を示す。)で表される構成単位を有し
    、かつ水酸基を含有しないケイ素原子数 2〜10のポ
    リオルガノシロキサン(b)との縮合物からなるポリオ
    ルガノシロキサンである請求項1記載の熱可塑性樹脂。
  4. 【請求項4】  (A)コロイダルシリカのコア   
         99.9〜 5重量%と (B)一般式 R1 p (QO)q SiO(4−p−q)/2− 
         …(I)(式中、R1 、Q、p およびq
     は前記と同様である。)で表されるオルガノシロキシ
    基および/または      平均組成式 R2 a SiO(4−a)/2          
     …(II)(式中、R2 およびa は前記と同様で
    ある。)で表されるポリオルガノシロキサンのシェル(
    ここでR1 とR2 の合計のうち、0.02〜100
     モル%が反応性不飽和基を含む基である)0.1〜9
    5重量%とからなるシリカコア−シリコーンシェル体(
    i) を含有するエマルジョン中で、少なくとも1種の
    ビニルモノマー(ii)を前記コアシェル体にグラフト
    重合させる工程を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂の
    製造方法。
  5. 【請求項5】  (A′)コロイダルシリカを固形分と
    して  100 重量部と、 (B′)一般式 R3 b Si(OR4 )4−b       …(
    III)(式中、R3 は、R4 および bは前記と
    同様である)で表される有機ケイ素化合物(a)単独、
    もしくはこの有機ケイ素化合物(a)と平均組成式 R5 c SiO(4−c)/2          
             …(IV)(式中、R5 および 
    cは前記と同様である)で表される構成単位を有し、か
    つ水酸基を含有しないケイ素原子数 2〜10のポリオ
    ルガノシロキサン(b)との混合物(ここでR3 とR
    5 の合計のうち、0.02〜100 モル%が反応性
    不飽和基を含む基である)1〜1900重量部と、(C
    )乳化剤前記(A′)成分および(B′)成分の合計量
     100重量部あたり 0.1〜 5重量部と、 (D)水前記(A′)成分および(B′)成分の合計量
     100重量部あたり 100〜500 重量部 とを乳化し、この乳化とともに有機ケイ素化合物(a)
    を加水分解および重縮合させるか、またはこの有機ケイ
    素化合物(a)の加水分解生成物とポリオルガノシロキ
    サン(b)とを共重縮合させてなるシリカコア−シリコ
    ーンシェル体を含有するエマルジョン中で、少なくとも
    1種のビニルモノマー(ii)を前記コアシェル体にグ
    ラフト重合させる工程を含むことを特徴とする請求項4
    記載の熱可塑性樹脂の製造方法。
  6. 【請求項6】  コロイダルシリカが水分散性コロイダ
    ルシリカである請求項4記載の熱可塑性樹脂の製造方法
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