JPH0426642Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、油圧式ラツシユアジヤスタの給油構
造に関するものである。

頭上弁型内燃エンジンの動弁機構においては、
吸排気弁のステムとロツカーアームとの間のクリ
アランスを、油供給源から供給される油の油圧作
用によつて常に自動的にゼロラツシユに調整する
油圧式ラツシユアジヤスタが、該クリアランスの
調整が全く不要でかつエンジンの静粛な運転を可
能とするなどの利点を有する故、近時多用されて
いる。

このラツシユアジヤスタには、上記油供給源か
らの油が、エンジンの主潤滑油通路である主供給
通路を通り、更に該主供給通路のエンジン側方に
開口した端部に連通した供給パイプを介して供給
されるのであるが、該主供給通路或いはこの通路
に至るまでの間等において油中に空気が混入する
のは避けられず、空気を含んだままの油のラツシ
ユアジヤスタへ供給されると、ラツシユアジヤス
タの作動に必要な所定油圧が得られなくなるの
で、ラツシユアジヤスタの調整機能が損われ、吸
排気弁の開度不良や衝撃が発生して、エンジン出
力の低下や騒音の発生を来すことになる。

このため、従来は、例えば主供給通路とラツシ
ユアジヤスタとの間の供給パイプの途中に脱泡装
置を設け、この脱泡装置にて油中の気泡を分離
し、油のみをラツシユアジヤスタへ供給する給油
構造が採られていたが、かかる給油構造では、脱
泡装置という特殊な装置を用いているので、コス
ト高になると共に、装置を配置するためのスペー
スを確保しなければならない等の欠点があつた。

本考案は、上記した従来のものの欠点を除去す
べくなされたものであり、特別な装置を付加する
ことなく、構成簡単かつ低コストにて、気泡を分
離し油のみを供給できる油圧式ラツシユアジヤス
タの給油構造を提供することを目的とする。

本考案による油圧式ラツシユアジヤスタの給油
構造においては、油供給源からの油が通過するク
ランク軸下方でクランク軸方向に延在すると共に
上方に延びるクランク軸受給油通路を備える主供
給通路の下方部から分岐供給通路を分岐させ、こ
の分岐供給通路を経てラツシユアジヤスタに油を
供給する構成となつている。

以下、図面を用いて本考案の一実施例を詳細に
説明する。

第１図において、１は自動二輪車用４サイクル
４気筒ガソリンエンジンであり、このエンジン１
のシリンダヘツド２には、各シリンダ毎に各々２
個の吸気ポート３及び排気ポート４が形成され、
更にこれら吸排気ポート３，４を開閉する吸気弁
５と排気弁６とが開閉自在に嵌装され、圧縮コイ
ルスプリング７により常時閉塞方向に付勢されて
いる。

吸排気弁５，６の各上方の一側に偏してカム８
が枢支され、このカム８を図示せぬチエーン等を
介してクランクシヤフト（クランク軸）９（第３
図に示す）に連結され、このクランクシヤフト９
の回転に同期して回転駆動されるようになつてい
る。このカム８を挾んで吸排気弁５，６と反対側
にこれら弁５，６と略平行にかつ上方に開口して
ラツシユアジヤスタ挿入筒１０が形成され、この
挿入筒１０には油圧式ラツシユアジヤスタ１１が
嵌装されている。しかもラツシユアジヤスタ１１
におけるプランジヤ１２の先端球状軸受１３によ
りロツカーアーム１４の一端が揺動自在に枢支さ
れており、このロツカーアーム１４の中央上面は
カム８に接触し、その他端は吸排気弁５，６の頂
端に接触し得るようになつている。

油圧式ラツシユアジヤスタ１１は、第２図から
特に明らかなように、アジヤスタボデイ１５と、
このアジヤスタボデイ１５内に摺動自在に嵌装さ
れたプランジヤ１２と、このプランジヤ１２を一
定長さ以上に突出させないようにアジヤスタボデ
イ１５の上端に嵌着されたリテイナーキヤツプ１
６と、チエツクボールケース１７を介してプラン
ジヤ１２を上方に付勢するプランジヤスプリング
１８と、プランジヤ１２の下端弁座にチエツクボ
ール１９を圧接させるようにチエツクボールケー
ス１７及びチエツクボール１９間に介装されたチ
エツクボールスプリング２０とにより構成されて
いる。なお、第２図では、水平オイル供給路２１
の閉塞端２１ａ近傍に位置するラツシユアジヤス
タ１１を示しており、このように連通口２２を越
えてオイル供給路２１が設けられている。

シリンダヘツド２には、各ラツシユアジヤスタ
挿入筒１０を貫通するように吸気ポート３側と排
気ポート４側とにそれぞれ水平オイル供給路２１
がクランクシヤフト９と略平行に穿設され、この
オイル供給路２１に連通するように傾斜オイル供
給路２３が形成され、吸気ポート３側の傾斜オイ
ル供給路２３の中間部に連通するようにラツシユ
アジヤスタオイル供給路２４が形成されている。

第３図において、エンジン１の底部のオイルパ
ン２６には油供給源であるオイルポンプ２５が配
設されており、このオイルポンプ２５はロータと
一体のスプロケツト２７が図示せぬチエーンを介
してクランクシヤフト９に連結されることによ
り、エンジン１の回転速度に同期して回転駆動さ
れるようになつている。オイルポンプ２５の吸入
口２８に金網式オイルストレーナ２９が取り付け
られ、オイルポンプ２５の吐出口は吐出管３０及
び連通路３１を介してオイルフイルター３２に連
通している。オイルフイルター３２の吐出路３３
はクランクケース３４内に幅方向にかつクランク
シヤフト９に略平行に形成された主供給通路３５
に連通している。この主供給通路３５は先述した
ラツシユアジヤスタ１１へ供給される油の通路に
なると共に、クランクシヤフト９の軸受部やコン
ロツド３６との結合部へ潤滑油を供給する潤滑油
通路ともなる。

この主供給通路３５を経た油をラツシユアジヤ
スタ１１へ供給するために、主供給通路３５の下
方からエンジン１の下方に向けて分岐供給通路３
７が分岐されている。この分岐供給通路３７の開
放端には、オイルパイプジヨイント３８によりオ
イル供給パイプ３９の一端が着脱自在に連結され
ている。オイル供給パイプ３９の他端は、第１図
に示すように、オイルパイプジヨイント４０によ
りラツシユアジヤスタオイル供給路２４の開放端
に着脱自在に取り付けられている。

オイルポンプ２５からオイルフイルタ３２を介
して供給される油は、主供給通路３５を経て分岐
供給通路３７及びオイル供給パイプ３９を介して
ラツシユアジヤスタ１１へ供給されるのである
が、油中に混入した空気は当然油よりも比重が軽
いため主供給通路３５中の上方に集中して流れる
ことになり、よつて分岐供給通路３７へは油のみ
が流れ込むことになるのである。

自動二輪車の場合、サイドスタンドを使用した
状態でのエンジン運転のチヤンスがあり、サイド
スタンド使用状態では車体がサイドスタンド側に
傾くので、主供給通路３５内の油に含まれた空気
はサイドスタンドと反対側に集中することにな
る。従つて分岐供給通路３７の主供給通路３５か
らの分岐位置を、第３図に示す如く、エンジン中
心位置よりもサイドスタンド側、本実施例ではサ
イドスタンドが車体の左側に設けられた場合を示
しているのでエンジン中心位置よりも左側に設け
るのが好ましい。なお、第３図は車体後方から見
たエンジン下部の部分断面図を示している。第１
図及び第３図において、４１はシリンダである。

以上説明したように、本考案によれば、油供給
源からの油が通過するクランク軸の下方でクラン
ク軸方向に延在すると共に上方に延びるクランク
軸受給油通路を備える主供給通路の下方部から分
岐供給通路を分岐させ、この分岐供給通路を経て
ラツシユアジヤスタに油を供給するように構成し
たので、特別な装置を付加しなくても油中の空気
を分離し油のみを供給できる、構成簡単にして低
コストの給油構造を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による給油構造を備えたエンジ
ンの上部を示す縦断面図、第２図は第１図におけ
る動弁機構の拡大断面図、第３図は車体後方から
見た上記エンジンの下部を示す部分断面図であ
る。 主要部分の符号の説明、１……エンジン、５…
…吸気弁、６……排気弁、８……カム、９……ク
ランクシヤフト、１１……ラツシユアジヤスタ、
１４……ロツカーアーム、２４…ラツシユアジヤ
スタオイル供給路、２５……オイルポンプ、３２
……オイルフイルタ、３５……主供給通路、３７
……分岐供給通路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内燃エンジンにおける動弁機構の油圧式ラツシ
   ユアジヤスタに、油供給源からの油をクランク軸
   下方でクランク軸方向に延在する主供給通路を経
   て供給する給油構造であつて、前記主供給通路に
   は上方のクランク軸受に連通するクランク軸受給
   油通路と該主供給通路の下方から分岐された分岐
   供給通路を備え、該分岐供給通路を経た油を前記
   ラツシユアジヤスタにのみ供給することを特徴と
   する給油構造。