JPH0423144B2 - - Google Patents

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JPH0423144B2
JPH0423144B2 JP57132474A JP13247482A JPH0423144B2 JP H0423144 B2 JPH0423144 B2 JP H0423144B2 JP 57132474 A JP57132474 A JP 57132474A JP 13247482 A JP13247482 A JP 13247482A JP H0423144 B2 JPH0423144 B2 JP H0423144B2
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JP
Japan
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cam surface
camshaft
remelting
hardened
width
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JP57132474A
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JPS5923156A (ja
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Muneya Takagi
Toshiharu Fukumizu
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
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Publication of JPH0423144B2 publication Critical patent/JPH0423144B2/ja
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H53/00Cams ; Non-rotary cams; or cam-followers, e.g. rollers for gearing mechanisms
    • F16H53/02Single-track cams for single-revolution cycles; Camshafts with such cams
    • F16H53/025Single-track cams for single-revolution cycles; Camshafts with such cams characterised by their construction, e.g. assembling or manufacturing features
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21DMODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
    • C21D9/00Heat treatment, e.g. annealing, hardening, quenching or tempering, adapted for particular articles; Furnaces therefor
    • C21D9/30Heat treatment, e.g. annealing, hardening, quenching or tempering, adapted for particular articles; Furnaces therefor for crankshafts; for camshafts

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  • Gears, Cams (AREA)
  • Heat Treatment Of Articles (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、鋳鉄製カムシヤフト及びその製造方
法に係り、更に詳細にはカム面がその全幅に亙り
硬化処理されている鋳鉄製カムシヤフト及びその
製造方法に係る。
[従来の技術] 自動車用エンジンなどに組込まれるカムシヤフ
トに於ては、長期間に亙りその機能を充分に発揮
させ、またそれが組込まれるエンジンの適正な作
動を確保するためには、そのカム面が耐摩耗性に
優れていなければならない。
かかるカムシヤフトのカム面の耐摩耗性を向上
させる一つの手段として、従来よりカム面の中央
部をTIGアーク、レーザ、電子ビームの如き高密
度エネルギ源により再溶融させ、カムシヤフトの
自己冷却能による急冷によつて表面硬化させる所
謂再溶融表面硬化処理が試みられている。この場
合上述の如き高密度エネルギ源によりカム面をそ
の全幅に亙り再溶融することにより表面硬化処理
することが技術的に非常に困難であるため、一般
にカム面の最も耐摩耗性が要求される部位、例え
ばカム面の実質的に中央部のみが再溶融表面硬化
処理されている。
例えば特開昭54−57010号には、カム面が硬化
されたカムシヤフトであつてカム面の両側縁部が
硬化されていないカムシヤフト、特にカム面の中
央部分のみがカム幅の約2/3の幅にて再溶融表面
硬化処理されカム面の両側縁部に積極的に未硬化
部が残されたカムシヤフトが記載されている。こ
の特開昭54−57010号の明細書に記載された説明
によれば、カム面の両側縁部に未硬化部が残存
し、カムシヤフトの作動中に発生される応力ピー
クが硬化されていない両側縁部に発生するので、
カム面が早期に摩耗することを防止し、またカム
シヤフトの馴染み回転特性を改善することができ
るとされている。
[発明が解決しようとする課題] しかし、本願発明者等が上述の如き従来のカム
シヤフトについて種々の評価試験などを行なつた
ところ、上述の説明はカムシヤフトの使用初期に
ついては正しいが、上述の如き従来のカムシヤフ
トにはカム面の両側縁部に未硬化部が存在するこ
とに起因する以下の如き不具合があることが判明
した。
(1) カムシヤフト及びロツカーアームなどの組付
け精度上の公差及び長期間に亙る使用の結果、
相互にずれを生じ、ロツカーアームなどがカム
面に対し所謂片当り状態になることがある。か
かる状態のままカムシヤフトが長期間使用され
ると、硬化されていないカム面の側縁部にロツ
カーアームなどが当接し摺動することによる異
常摩耗やスカツフイングが発生する。
(2) カム面の両側縁部に再溶融によつても硬化さ
れておらずマルテンサイト変態等によつても硬
化されていない部分を残さなければならないた
め、場合によつては未硬化部の幅に相当する量
だけカムシヤフト粗材のカム幅を増大させる必
要があり、従つてカムシヤフトの重量が増大す
るのみならず、カム間の間隔が小さい場合に
は、カムシヤフトを鋳造するための鋳造砂型の
造型が困難になる。
逆にカム面をその全幅に亙り硬化させるべくカ
ム面をその全幅に亙り再溶融によつて表面硬化処
理する場合には、カム面の両側縁部に溶損や肩だ
れが生じ易いため、再溶融の条件を厳しく管理す
る必要があり、またカム面がその全幅又は全幅に
近い範囲に亙り再溶融表面硬化処理されたカムシ
ヤフトに於てはカム面のピツチングが生じ易いと
いう問題がある。
本願発明者等は、カム面の中央部のみが再溶融
表面硬化処理されカム面の両側縁部に未硬化部が
存在する従来のカムシヤフトに於ける上述の如き
不具合及びカム面を実質的にその全幅に亙り再溶
融表面硬化処理する場合に於ける上述の如き不具
合に鑑み種々の実験的研究を行つた結果、カム面
の中央部のみを所定の範囲に亘り部分的に再溶融
によつて硬化させ、これと同時に再溶融表面硬化
処理された部分の周囲の領域を再溶融による熱影
響によつてマルテンサイト化させカム面の他の部
分をマルテンサイト変態によつて硬化させること
により上述の如き種々の不具合を解消し、従つて
カム面の中央部及び両側縁部の何れの耐摩耗性に
も優れしかも低廉な鋳鉄製カムシヤフトを能率よ
く製造し得ることを見出した。
本発明は、本願発明者等が行つた種々の実験的
研究の結果得られた知見に基づき、カム面の中央
部及び両側縁部両方の耐摩耗性が従来のカムシヤ
フトよりも優れた高性能の鋳鉄製カムシヤフト及
びかかる高性能の鋳鉄製カムシヤフトを低廉に且
能率よく製造することのできる方法を提供するこ
とを目的としている。
[課題を解決するための手段] かかる目的は、本発明によれば、カム面の中央
部がその周縁方向に沿つて前記カム面の全幅の実
質的に2/3〜3/4の範囲に亙り再溶融表面硬化処理
されており、前記再溶融表面硬化処理された部分
の周囲の領域がマルテンサイト変態によつて硬化
されることにより前記カム面の他の部分がマルテ
ンサイト変態硬化層により形成されている鋳鉄製
カムシヤフト、及びカム面の中央部がその周縁方
向に沿つて前記カム面の全幅の実質的に2/3〜3/4
の範囲に亙り高密度エネルギ源により再溶融さ
せ、これと同時に前記再溶融表面硬化処理された
部分の周囲の領域を前記再溶融による熱影響によ
りマルテンサイト変態させることによつて前記カ
ム面の他の部分をマルテンサイト変態により硬化
させることを含む鋳鉄製カムシヤフトの製造方法
によつて達成される。
[発明の作用及び効果] かかる本発明による鋳鉄製カムシヤフト及びそ
の製造方法によれば、鋳鉄製カムシヤフトの各カ
ムのカム面の中央部がその周縁方向に沿つてカム
面の全幅の実質的に2/3〜3/4の範囲に亙り高密度
エネルギ源により再溶融されチル組織が形成され
ることによつて硬化され、またこれと同時に再溶
融表面硬化処理された部分の周囲の領域が再溶融
処理による熱影響によつてマルテンサイト化され
カム面の他の部分が硬化されるので、カム面をそ
の全幅に亙り再溶融しなくてもカム面をその全幅
に亙り表面硬化させることができる。従つて本発
明のカムシヤフトによれば、カムの両側縁部に未
硬化部が存在することに起因する上述の如き種々
の不具合を生じることがなく、従つてロツカーア
ームなどの片当りなどによる異常摩耗やスカツフ
イングなどの異常摩耗がカム面の縁部に生じるこ
とを確実に防止し、これにより長期間に亙り所要
の機能を発揮させることができる。
また本発明によれば、カム面の中央部以外の他
の部分がマルテンサイト変態硬化層により形成さ
れるよう再溶融処理される部分の周囲の領域がマ
ルテンサイト化され、該領域にはマルテンサイト
変態による膨張によつて十分な圧縮応力が残存す
るので、再溶融により形成され凝固収縮に起因す
る引張り応力が残留するチル組織がその周囲の領
域の残留圧縮応力によつて効果的に圧縮される。
従つてカム面がその全幅に亙り再溶融により表面
硬化処理され、従つてカム面全面に引張り応力が
残存する場合や、再溶融処理される部分の周囲の
領域が例えばカム面の全幅の1/10の範囲の如く僅
かしかマルテンサイト化されない場合に比して、
再溶融処理が行われた部分のカム面の耐ピツチツ
グ性を向上させることができ、このことによつて
もカム面の耐摩耗性を向上させることができる。
また本発明による鋳鉄製カムシヤフトの製造方
法によれば、カム面のうち再溶融によつて表面硬
化処理される部分の周囲の領域をマルテンサイト
化することは、再溶融する領域をカム面の中央部
の特定の範囲に限定すると共に再溶融するために
カムシヤフトのカム面に与えられる熱が有効に利
用して行われるので、カム面をその全幅に亙り再
溶融表面硬化処理する場合に比して必要とされる
熱エネルギの量が少なくてよく、また例えばカム
面の中央部を再溶融によつて表面硬化処理した後
その両側縁部を熱処理することによつてマルテン
サイト化する場合に比して、カム面がその全幅に
亙り硬化されたカムシヤフトを低廉に且能率よく
製造することができ、また再溶融により形成され
たチル組織の部分が熱処理による悪影響を受ける
ことを確実に回避することができる。
更に本発明による鋳鉄製カムシヤフトの製造方
法によれば、冷し金法などによりカム面の全幅に
亙り表面硬化されたカムシヤフトに於けるチル組
織よりもセメンタイト量が多くしかも組織の緻密
な過共晶チル組織を各カムの再溶融部に形成させ
ることができるので、冷し金法などによりカム面
が表面硬化されたカムシヤフトよりも遥かに耐摩
耗性に優れた鋳鉄製カムシヤフトを得ることがで
きる。
尚本発明による鋳鉄製カムシヤフトの製造方法
に於て、再溶融処理される部分の周囲の領域を再
溶融処理による熱影響によつてマルテンサイト変
態させることは、高密度エネルギ源によるカム表
面部への入熱量、高密度エネルギ源の走査速度、
カムシヤフトの予熱温度などを、カムシヤフトの
大きさや材質に応じて適宜に選定することによつ
て達成されてよく、特にカムシヤフトの予熱温度
は処理後のカムシヤフトの表面温度が180℃以下
の温度であることが好ましく、更にカムシヤフト
の材質によつては予熱が省略されてもよい。
[実施例] 以下に添付の図を参照しつつ、本発明の実施例
を従来技術と対比しつつ詳細に説明する。
第1図はカムのカム面の両側縁部に未硬化部が
存在する従来のカムシヤフトの要部をロツカーア
ームと共に示す解図的断面図である。図に於て1
はカムシヤフトであり、そのカム2のカム面3は
その両側縁部に未硬化部4及び5を残してそれら
の間の中央部6のみがTIGアークにより再溶融表
面硬化処理されている。尚第1図に於て、再溶融
部は符号6Aにて示されている。
かかる従来のカムシヤフト1をそのカム2のカ
ム面3がロツカーアーム7と片当り状態となるよ
う設定して、下記の表1に示す試験条件にてカム
シヤフトの耐久試験を行なつた。
表 1 試験時間[hr] 500 回転数[rpm] 2000 使用オイル 10w/30 オイル交換 40hr毎 スプリング荷重 通常の1.5倍 油温[℃] 90±5 この耐久試験の結果、第2図に示されている如
く、カムシヤフト1のカム面3の未硬化部5の最
も大きな摺特摩擦を受けた部分には異常摩耗8が
発生しており、またカム面3の未硬化部5にはそ
の周縁方向に延びる比較的大きなスカツフイング
9が発生していることが認められた。
従つて、上述の如きロツカーアームなどとの片
当りによる異常摩耗やスカツフイングの発生を防
止するためには、カム面をその全幅に亙り硬化さ
せることが好ましいことが解る。しかしカム面を
その全幅に亙りTIGアークなどの高密度エネルギ
源により再溶融表面硬化処理しようとすれば、そ
のこと自体が技術的に非常に困難であるのみなら
ず、その縁部に肩ダレ、溶損などの不具合を生じ
る。
これに対し本発明によるカムシヤフトの製造方
法に於ては、カム面の中央部がその周縁方向に沿
つてカム面の全幅の実質的に2/3〜3/4の範囲に亙
り高密度エネルギ源により再溶融され、再溶融チ
ル組織が形成されることによつて硬化され、また
これと同時にカム面の他の部分がマルテンサイト
変態硬化層により形成されるよう再溶融処理され
る部分の周囲の領域が再溶融処理による熱影響に
よつてマルテンサイト化され硬化されるので、カ
ム面をその全幅に亙り硬化させることができる。
また膨張変態であるマルテンサイト変態により発
生される圧縮応力により再溶融チル組織の部分に
残存する引張り応力が低減され或いは再溶融チル
組織の部分に圧縮応力が与えられる。
従つてカム面の両側縁部に未硬化部が存在する
場合に生じる異常摩耗やスカツフイングの発生を
確実に防止することができ、またカム面がその全
幅に亙つてTIGアークなどにて再溶融表面硬化処
理される場合や、カム面の中央部のみが再溶融さ
れるがその周囲の僅かな領域にしかマルテンサイ
ト変態が生じない場合に比して、カム面の再溶融
チル組織よりなる部分の耐ピツチング性を向上さ
せることができ、またカムシヤフトを低廉に且能
率よく製造することができる。
比較例 1 第3図及び第4図に示されている如く、フライ
ス加工又は研磨により所定の形状に形成されたカ
ムシヤフト1のカム面3に対し、タングステン電
極10が装着されたTIG溶接機のトーチ11を用
いて下記の表2に示された条件にて再溶融表面硬
化処理を行なつた。この場合カムシヤフト1をそ
の軸線12の周りに回転させつつトーチ11を軸
線12に沿つてオシレートさせることにより、カ
ム面3をTIGアーク13によつてメアンダ状に再
溶融した。
尚第3図及び第4図に示されている如く、表2
に於けるオシレート速度Vzとはトーチ11をカ
ムシヤフト1の軸線12に沿つて移動させる速度
であり、送り速度Vrとはトーチ11の電極10
に対するカムシヤフト1のカム面3の周縁方向の
相対速度である。またオシレート幅Wsとはカム
シヤフトの軸線12に沿う方向のトーチ11の往
復動距離であり、再溶融幅Wrとはカム面3の再
溶融された部分14の軸線12の方向の長さであ
る。またこの比較例に於けるカムシヤフトの材質
は、2.7〜3.6%C、1.7〜2.6%Si、0.3〜1.0%Mn、
1.2〜1.4%Cr、1.0〜1.2%Mo、微量のP及びS、
残部Feなる組成を有する合金鋳鉄であつた。
表 2 溶融電流 100A 溶融電圧 20V オシレート速度Vz 30mm/sec 送り速度Vr 1.0mm/sec ワーク予熱温度 400℃ ワーク/トーチ間距離d 2mm オシレート幅Ws 9.5mm 再溶融幅Wr 12mm カム面全幅Wc 16mm 上述の如く再溶融表面硬化処理されたカムシヤ
フトのカム部を切断し、その断面を観察したとこ
ろ、第5図に示されている如く、再溶融部14の
周りに熱影響部15が形成されてはいたが、カム
面3の両側縁部16及び17はマルテンサイト組
織とはなつておらず、またマルテンサイト変態に
よる圧縮残留応力も生じておらず、従つてこれら
の部分は十分な強度に硬化されてはいないことが
認められた。かかる結果を得たのは、ワーク、即
ち再溶融表面硬化処理前のカムシヤフトの予熱温
度が400℃と比較的高い温度であつたため、TIG
アーク13により溶融されたカムシヤフト1の被
処理部がその自己冷却能により冷却される過程に
於て、再溶融処理された部分の周囲の領域がMs
点を通過することができなかつたことによるもの
と考えられる。
比較例 2 上述の比較例1に於てはワークの予熱温度が高
過ぎた点に鑑み、ワークの予熱温度を250℃に変
更した点を除き、上述の比較例1の場合と同様の
要領にて、下記の表3に示す試験条件にてカムシ
ヤフト1のカム面3に対し再溶融表面硬化処理を
行なつた。
表 3 溶融電流 100A 溶融電圧 20V オシレート速度Vz 30mm/sec 送り速度Vr 1.0mm/sec ワーク予熱温度 250℃ ワーク/トーチ間距離d 2mm オシレート幅Ws 9.5mm 再溶融幅Wr 12mm カム面全幅Wc 16mm かくして再溶融表面硬化処理されたカムシヤフ
ト1のカム部を切断し、その断面を観察したとこ
ろ、第6図に示されている如く、熱影響部15は
再溶融部14の周りの約0.5mm程度の領域にしか
発生しておらず、カム面3の両側縁部16及び1
7の全面をマルテンサイト変態によつて硬化させ
るまでには至つていないことが認められた。
実施例 1 上述の比較例1及び比較例2に於てはカムシヤ
フト1のカム面3に対する入熱量が小さ過ぎたこ
とに鑑み、溶融電流、オシレート速度Vz、送り
速度Vr、ワークの予熱温度の見直しを行ない、
下記の表4に示された条件にて比較例1及び比較
例2の場合と同様の要領にてカムシヤフトのカム
面に対し再溶融表面硬化処理を行なつた。
表 4 溶融電流 120A 溶融電圧 20V オシレート速度Vz 20mm/sec 送り速度Vr 0.8mm/sec ワーク予熱温度 150℃ ワーク/トーチ間距離d 2mm オシレート幅Ws 9.5mm 再溶融幅Wr 12mm カム面全幅Wc 16mm 上述の如く再溶融表面硬化処理されたカムシヤ
フトのカム部を切断し、その断面を観察したとこ
ろ、第7図に示されている如く、熱影響部15は
再溶融部14の周りに2.0mmの幅にて発生してお
り、熱影響部15は微細なマルテンサイト組織を
呈しており、カム面3の再溶融部14の側縁部1
6及び17もその全面に亙りマルテンサイト変態
によつて硬化されていることが認められた。
以上の結果より、カムシヤフトの材質やカム部
の形状、大きさなどに応じて再溶融表面硬化処理
の条件を適宜に選定することにより、カム面をそ
の全幅に亙り再溶融表面硬化処理しなくても、再
溶融処理による硬化及びマルテンサイト化による
硬化によりカム面の全面を硬化させ得ることが解
る。
実施例 2 カム面を再溶融表面硬化処理する際の入熱によ
つてカム面の再溶融部両側の側縁部全体をマルテ
ンサイト変態により硬化させる場合に於てカム面
の再溶融幅をカム面の全幅に対し如何なる比率に
まで低減させ得るかについて検討を行なうべく、
カム面の全幅に対するカム面の再溶融幅の比率を
種々の値に設定してカム面の再溶融表面硬化処理
を行なつた。
まずカム面の再溶融幅をカム面全幅の約2/3で
ある10mmに設定して、下記の表5の試験条件にて
再溶融表面硬化処理を行なつた。
表 5 溶融電流 140A 溶融電圧 20V オシレート速度Vz 18mm/sec 送り速度Vr 0.8mm/sec ワーク予熱温度 150℃ ワーク/トーチ間距離d 2mm オシレート幅Ws 7.5mm 再溶融幅Wr 10mm カム面全幅Wc 16mm かくして再溶融表面硬化処理されたカムシヤフ
トのカム部を切断し、その断面を観察したとこ
ろ、第8図に示されている如く、熱影響部15は
再溶融部14の周りに約3.0mmの幅にて発生して
おり、熱影響部15は微細なマルテンサイト組織
を呈しており、カム面の再溶融部両側の側縁部1
6及び17もその全面に亙りマルテンサイト変態
により硬化されていることが認められた。
カム面の再溶融幅をカム面全幅の2/3以下に低
減して熱影響部の幅を大きくさせるべく行なわれ
た他の再溶融表面硬化処理に於ては、溶融電流を
180Aまで上昇させたりオシレート速度Vz及び送
り速度Vrを小さく設定しても、熱影響部の幅は
増大せず、逆に減少した。かかる結果を得たの
は、溶融電流を高く設定したりオシレート速度
Vzや送り速度Vrを小さく設定することにより、
カムシヤフトのカム部に与えられた熱量が増大し
たのに対し、カムシヤフトの自己冷却能による冷
却効果がそれに追従し得ず、その結果必ずしも適
正にマルテンサイト変態が行なわれなかつたこと
によるものと考えられる。
またカム面に於ける再溶融チル層両側のマルテ
ンサイト変態硬化層の合計の幅Wtと再溶融チル
層の表面残留応力との関係を測定し調査したとこ
ろ、第12図に示された結果が得られた。第12
図に示されている如く、マルテンサイト変態硬化
層の合計の幅Wtが約4mm未満及び約7mmを越え
る範囲(カム面の全幅Wcに対する合計の幅Wtの
比が約1/4未満及び約7/16を越える範囲)に
於ては、再溶融チル層の表面残留応力は引張り応
力であ。従つて再溶融チル層の表面残留応力を圧
縮応力にするためには全幅Wcに対する合計の幅
Wtの比は約1/4〜7/16の範囲になければな
らないことが解る。
また再溶融チル層の表面残留応力の相違による
耐ピツチング性の相違を調査すべく、下記の表6
に示された試験条件にて耐ピツチング性試験を行
つた。その結果を第13図に示す。
表 6 試験時間[hr] 500 回転数[rpm] 3000 使用オイル 10w/30 オイル交換 40hr毎 スプリング荷重 通常の3倍 油温[℃] 90±5 尚第13図は、摺動されたカム面に全くピツチ
ングが認められなかつた場合の評点を10とし、摺
動されたカム面の全面にピツチングが発生した場
合を1とする10段階の評点にて耐ピツチング性を
示している。
第13図より、再溶融チル層の耐ピツチング性
を十分に向上させるためには、カム面の全幅Wc
に対するマルテンサイト変態硬化層の合計の幅
Wtの比は1/4以上であることが好ましいこと
が解る。
尚以上の実験的再溶融表面硬化処理と同様の再
溶融表面硬化処理をねずみ鋳鉄及び球状黒鉛鋳鉄
にて構成されたカムシヤフト及び大きさの異なる
種々のカムシヤフトについても行なつてみたとこ
ろ、上述の結果と同様の結果が得られた。
以上の実験的再溶融表面硬化処理の結果より、
カムシヤフトのカム面の再溶融のための入熱量が
増大されれば、再溶融部の周りの熱影響部の領域
は増大するが、マルテンサイト変態により硬化す
る領域は逆に減少し、従つてカムシヤフトの材質
やカム面幅の大きさなどに拘らず、カム面の再溶
融幅はカム面全幅の実質的に2/3以上に設定され、
カム面の全幅Wcに対するマルテンサイト変態硬
化層の合計の幅Wtの比は1/3以下に設定され
る必要があることが解る。
またカム面の中央部を再溶融表面硬化処理する
際の入熱の熱影響によつてカム面の両側縁部をマ
ルテンサイト変態させることにより硬化させ、ま
たカムの両側縁部に肩だれや溶損などが発生する
ことを防止し、更にはマルテンサイト化された部
分に残存する圧縮応力によつて再溶融表面硬化処
理された部分を十分に圧縮し、これにより再溶融
チル組織の耐ピツチング性を十分に向上させるた
めには、カム面の再溶融幅の最大値はカム面全幅
の実質的に3/4以下に設定され、カム面の全幅Wc
に対するマルテンサイト変態硬化層の合計の幅
Wtの比は約1/4以上に設定され、これにより
カム面の再溶融された部分の両側の側縁部全体が
マルテンサイト変態硬化層により形成されること
が好ましいことが解る。
実施例 3 上述の各実施例に於ては、TIG力接機のアーク
を熱源として用い再溶融表面硬化処理を行なつた
が、この実施例に於ては電子ビーム溶接機の電子
ビームを熱源として用い、球状黒鉛鋳鉄(3.5〜
3.9%C、2.4〜2.8%Si、0.2〜0.4%Mn、0.01〜
0.02%P、0.01〜0.02%S、0.03〜0.05%Mg、残
部Fe)にて構成されたカムシヤフトのカム面
(カム面全幅Wc=20mm)の全面を硬化させた。
図には示されていないが、カムシヤフトを電子
ビーム溶接機の真空チヤンバ内に設置し、真空下
にてカムシヤフトをその軸線の周りに回転させつ
つ、3.8mAのY偏向にて焦点ずれ60kV、21mA
の電子ビームをカム面に照射することにより、カ
ム面に対し乱80秒の処理時間に等しい15cm/min
の相対速度にてカム面を再溶融表面硬化処理し
た。また電子ビームのオシレート速度は1.0m/
minであり、電子ビームのカム面に於けるビーム
径は5.5mmであつた。この場合カム面の再溶融部
の幅は15mmであり、深さは1.6mmであり、この再
溶融表面硬化処理を第9図に示されている如く、
その再溶融ビードが相互に2.5mm重なり合うよう
カム面に対しその周縁方向に沿つて行なつた。尚
カムシヤフトの予熱温度は150℃であつた。
かくして再溶融表面硬化処理されたカムシヤフ
トのカム部を切断し、その断面を観察したとこ
ろ、第10図に示されている如く、熱影響部15
は再溶融部14の周りに約2.6mmの幅にて発生し
ており、熱影響部15は微細なマルテンサイト組
織を呈しており、カム面の再溶融部14の両側の
側縁部16及び17はその全面に亙りマルテンサ
イト変態硬化により形成されていることが認めら
れた。
実施例 4 熱源としてレーザ光線を用いて、合金鋳鉄
(2.8〜3.2%C、1.8〜2.4%Si、0.3〜0.6%Mn、0.5
〜0.7%Cr、1.8〜2.5%Mo、0.08〜0.1%P、残部
Fe)にて構成されたカムシヤフトのカム面に対
し再溶融表面硬化処理を行なつた。
カムシヤフトをそのカム面に対しレーザ光線が
垂直に照射されるようレーザ再溶融装置にセツト
し、下記の表7に示される再溶融条件にてカム面
の再溶融表面硬化処理を行なつた。
表 7 レーザ出力 3kWH レーザビーム径 4mm レーザビーム走査速度 10mm/sec ワーク予熱温度 150℃ オシレート幅Ws 10.5mm 再溶融幅Wr 12mm カム面全幅Wc 16mm 溶融部深さ 1.6mm かくして再溶融表面硬化処理されたカムシヤフ
トのカム部を切断し、その断面を観察したとこ
ろ、第11図に示されている如く、熱影響部15
は再溶融部14の周りに約2.6mmの幅にて発生し
ており、熱影響部15は微細なマルテンサイト組
織を呈しており、カム面の再溶融部14の両側の
側縁部16及び17はその全面に亙りマルテンサ
イト変態硬化層により形成されていることが認め
られた。
以上に於ては本発明を幾つかの実施例について
詳細に説明したが、本発明はこれらの実施例に限
定されるものではなく、本発明の範囲内にて種々
の実施例が可能であることは当業者にとつて明ら
かであろう。
【図面の簡単な説明】
第1図は従来技術によるカムシヤフトの要部を
ロツカアームと共に示す解図的部分断面図、第2
図は従来技術によるカムシヤフトの耐久試験後に
於ける状態を示す解図的部分斜視図、第3図及び
第4図はそれぞれTIGアークによるカム面の再溶
融表面硬化処理工程を示す解図的正面図及び側面
図、第5図乃至第8図は再溶融表面硬化処理処理
後に於けるカムシヤフトのカム部の断面を示す解
図的部分断面図、第9図は電子ビームにより再溶
融表面硬化処理されたカムシヤフトのカム面を示
す解図的部分斜視図、第10図及び第11図はそ
れぞれ電子ビーム及びレーザにより再溶融表面硬
化処理されたカムシヤフトのカム部の断面を示す
解図的部分断面図、第12図はカム面に於ける再
溶融チル層両側のマルテンサイト変態硬化層の合
計の幅Wtと再溶融チル層の表面残留応力との関
係を示すグラフ、第13図はカム面の全幅Wcに
対するマルテンサイト変態硬化層の合計の幅Wt
の比と再溶融チル層の耐ピツチング性との関係を
示すグラフである。 1……カムシヤフト、2……カム、3……カム
面、4,5……未硬化部、6……カム面の中央
部、7……ロツカアーム、8……異常摩耗、9…
…スカツフイング、10……電極、11……トー
チ、12……軸線、13……TIGアーク、14…
…再溶融部、15……熱影響部、16,17……
カム面の縁部。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 カム面の中央部がその周縁方向に沿つて前記
    カム面の全幅の実質的に2/3〜3/4の範囲に亙り再
    溶融表面硬化処理されており、前記再溶融表面硬
    化処理された部分の周囲の領域がマルテンサイト
    変態によつて硬化されることにより前記カム面の
    他の部分がマルテンサイト変態硬化層により形成
    されている鋳鉄製カムシヤフト。 2 カム面の中央部をその周縁方向に沿つて前記
    カム面の全幅の実質的に2/3〜3/4の範囲に亙り高
    密度エネルギ源により再溶融させ、これと同時に
    前記再溶融表面硬化処理された部分の周囲の領域
    を前記再溶融による熱影響によりマルテンサイト
    変態させることによつて前記カム面の他の部分を
    マルテンサイト変態により硬化させることを含む
    鋳鉄製カムシヤフトの製造方法。
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