JPH0726321A - 耐摩耗性に優れた摺動部材の製造方法 - Google Patents

耐摩耗性に優れた摺動部材の製造方法

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JPH0726321A
JPH0726321A JP19424693A JP19424693A JPH0726321A JP H0726321 A JPH0726321 A JP H0726321A JP 19424693 A JP19424693 A JP 19424693A JP 19424693 A JP19424693 A JP 19424693A JP H0726321 A JPH0726321 A JP H0726321A
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JP
Japan
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cam
chill
arc
chilling
wear resistance
Prior art date
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Pending
Application number
JP19424693A
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English (en)
Inventor
Hiroaki Kusuki
弘明 楠木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 割れを生じたり、不必要な部位にチル化が広
がって機械加工の刃具に損傷を与えるのを防止しつつ、
チル層の炭化物を分解させずに金属部分をマルテンサイ
ト変態させて硬度を高め耐摩耗性を向上させる 【構成】 冷し金チル,リメルトチル等によりカム摺動
面にチル層を生成した片状黒鉛鋳鉄製カムシャフト素材
を形成し、そのカム部を完成寸法に対し所定の仕上げ加
工代を残した状態に研削加工した後、カム部の所定範囲
にTIGアーク,レーザービーム等の高密度エネルギー
を照射して、A1変態点以上で融点以下の温度に加熱す
る。そして、アーク照射後、自己冷却によって室温まで
冷却し、その後、完成寸法まで研削する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐摩耗性に優れた摺動部
材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カムシャフト等の鋳鉄製摺動部材におい
ては、摺動部にチル層を生成して硬度を高め耐摩耗性を
向上させるのが普通である。そして、そのチル層を生成
する手段として、鋳型内に予め冷し金をセットして溶湯
を流し込むことで必要部位を急冷凝固させてチル層を生
成する、所謂冷し金チルが知られており、また、切削あ
るいは研削加工を行ったカム摺動面にTIG(タングス
テン・イナート・ガス)アーク、すなわちタングステン電
極を使いシールドガスでシールドされたアーク溶接のア
ークを照射して必要部位を局部的に再溶融させ、その後
直ちに自己冷却により急冷凝固させてチル層を生成す
る、所謂リメルトチルが知られている。このリメルトチ
ルでは、急冷凝固の際に割れが発生しやすいので、割れ
防止のため再溶融前に予熱行程を設けるのが普通であ
る。特開昭60−258421号公報に記載された技術
はこのリメルトチルの一例である。
【0003】ところで、チル層を生成する手段としては
上記冷し金チルあるいはリメルトチルが一般的である
が、これらの手段によりチル層を生成すると、金属部分
の組織はパーライトであって、それ自体、硬度が十分で
ない。また、唯一例外として、モリブデン(Mo),ク
ロム(Cr)等の焼入性向上元素を添加して鋳造した素
材を用い、予熱せずにこれにTIGアーク,レーザービ
ーム等の高密度エネルギーを照射するリメルトチルがあ
って、この場合には金属部分がマルテンサイトとなり、
硬度が高い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、冷し金
チルあるいは通常のリメルトチルによりチル層を生成し
た場合には、金属部分の組織がマルテンサイトであるた
め硬度が十分でない。また、モリブデン等を添加した素
材を用い予熱を加えずに高密度エネルギーを照射する方
法では、金属部分の組織をマルテンサイトに変態させる
ことが可能であるが、この場合には、再溶融したものが
凝固する過程で体積収縮とマルテンサイト化による変態
応力の発生がほぼ同時に起こることによって割れが発生
しやすくて、高面圧下で摺動するカムシャフトのように
特に高い耐摩耗性が要求される摺動部材の場合には、上
記割れがピッチングの起点となる可能性が高いため、こ
のように特に高い耐摩耗性が要求される摺動部材にはこ
のような方法を採用することができない。また、摺動条
件がそれほど厳しくない摺動部材であっても、溶湯の段
階で添加する上記モリブデン等の合金元素は、マルテン
サイト化を促進すると同時にチル化を過剰に促進する作
用があるため、軸部とか端面のように元来チル化させる
必要のない部位にまで炭化物が形成されてしまって、後
の機械加工工程で刃具に損傷を与え工具寿命を低下させ
るなどの問題が発生する。
【0005】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
であって、割れを生じたり、必要部位を越えてチル化が
広がり機械加工の刃具に損傷を与えるのを防止しつつ、
摺動部材の必要部位に生成したチル層の炭化物を分解さ
せずに金属部分をマルテンサイト変態させて硬度を高め
耐摩耗性を向上させることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明では、鋳鉄材料よ
りなる素材の摺動部となる部位に、冷し金チル,リメル
トチル等によってチル層を生成した後、このチル層にT
IGアーク,レーザービーム等の高密度エネルギーを照
射することによって、前記部位を、該素材のA 1変態点
すなわちオーステナイト化温度以上で、融点以下の温度
に加熱し、その後、前記部位を自己冷却させることによ
って耐摩耗性に優れた摺動部材を得るようにした。
【0007】
【作用】本発明によれば、鋳鉄材料よりなる素材は摺動
部となる部位にチル層が生成され、該チル層に高密度エ
ネルギーが照射されて前記部位が該素材のA1変態点以
上で融点以下の温度に加熱され、その後、自己冷却す
る。そして、このようにして必要部位が溶融せずオース
テナイト化可能な程度に加熱されるにより、チル層の金
属部分がオーステナイト化しマルテンサイトとなる。し
かも、その過程で炭化物が分解することはない。また、
高密度エネルギーの照射は素材を溶融させない程度のも
のであるため、再溶融させる場合のような凝固時の体積
収縮がなく、したがって、割れが生じない。また、合金
元素を添加するにしても添加量は少量に制限できるの
で、必要部位以外がチル化して機械加工に悪影響が及ぶ
のを防止することができる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の一実施例を説明する。
【0009】図1は、本発明の方法を実施してTIGア
ークを照射したカム摺動部の断面を倍率100で撮影し
た顕微鏡写真であり、図2は同カム摺動部の表面を倍率
3000で撮影した顕微鏡写真である。また、図3は、
TIGアーク照射前の表面組織を示す倍率3000倍の
顕微鏡写真である。
【0010】この実施例は、予め鋳型のカム摺動面に対
応する部位に冷し金をセットして溶湯を流し込むことに
より、カム摺動面をチル化した片状黒鉛鋳鉄製カムシャ
フト素材を形成し、そのカム部を完成寸法に対し例えば
H寸法で0.1mm仕上げ加工代を残した状態に研削加
工し、その後、カムトップ基準(以下同様)で例えばク
ローズ側30゜からカムトップを経てオープン側30゜ま
での範囲をA1変態点以上で融点以下の温度に加熱する
ようTIGアークを照射するものである。TIGトーチ
はカム軸方向にオシレートさせる。そして、アーク照射
後、自己冷却によって室温まで冷却し、その後、完成寸
法まで研削する。
【0011】この実施例によるアーク照射を具体的につ
ぎの条件で実施した試験結果が上記図1および図2の顕
微鏡写真である。
【0012】電流値:40A トーチ移動速度:12m/min 電極先端からワークまでの距離:2.5mm シールドガス流量:7リットル/min 1カムあたりの処理時間:24sec この試験では、上記条件で1本のカムシャフトの半分に
相当する4カム分をアーク処理し、常温まで冷却した後
で、まず、磁気探傷を行った。その結果、割れが生じて
いないことを確認した。そして、その後、全てのカムを
完成寸法まで研削加工したうえで、冶金調査を実施し
た。
【0013】その結果、アークを照射していないカムの
カムトップ部の硬度は4カムの平均値でHv495(1
0Kg荷重)であり、チル層は図3に見られるように炭
化物とパーライトとで構成されていた。
【0014】一方、アークを照射したカムの場合は、チ
ル層の密度はアークを照射していないカムとほぼ同じだ
が、カムトップ部の硬度は4カムの平均値でHv772
(10Kg荷重)であった。そして、そのチル層は図2
に見られるように炭化物とマルテンサイトとで構成され
ていることが確認された。また、炭化物とマルテンサイ
トとで構成された硬化層は図1で全体的に黒く見える部
分であって、最表面から約0.3mmの深度まで存在し
ていた。
【0015】また、金属顕微鏡により倍率50倍でアー
ク照射面全範囲の組織観察を行った結果、一般にはアー
クを照射した場合に炭化物が分解して生成される析出黒
鉛の存在は認められなかった。このことは、この実施例
によるアーク照射の場合、加熱が局部的かつ短時間であ
るため、パーライトがオーステナイト化するには必要十
分であるが、炭化物は分解抵抗が非常に高いためにほと
んど分解されないままA1変態点以下に冷却されるため
であると推定される。
【0016】なお、上記実施例では冷し金チルにより生
成したチル層にTIGアークを照射した例を説明した
が、被処理ワークのチル層は、所謂リメルトチルによっ
て生成されたものであってもよく、その場合も同様の金
属組織変化が得られる。
【0017】また、高密度エネルギー源はTIGアーク
に限定されるものではなく、レーザービーム等でも同様
の効果が得られる。但し、エネルギー密度の小さいもの
では、同一規模のマルテンサイト変態層を得るのに長時
間の加熱が必要となるため、加熱範囲が広がり自己冷却
による冷却速度が遅くなってマルテンサイトが得られな
くなる可能性が増すほか、長時間加熱のために炭化物が
分解し始める可能性もでてくる。そのため、高周波焼入
等は適切でない場合がある。
【0018】
【発明の効果】本発明は以上のよう構成されているの
で、合金元素を添加して予熱抜きで再溶融し凝固させる
場合のような、体積収縮とマルテンサイト化の同時発生
による割れを生じたり、合金元素の添加により必要部位
を越えてチル化が広がり機械加工の刃具に損傷を与える
のを防止しつつ、摺動部材の必要部位に生成したチル層
の炭化物を分解させず金属部分のマルテンサイト変態さ
せて、硬度を高め耐摩耗性を向上させるようにできる。
したがって、例えばエンジン用のカムシャフトであっ
て、負荷面圧が非常に高くて従来の鋳鉄製カムシャフト
では機能上対応できず、焼結等の高級材料を使わざるを
得なかった場合についても、安価でかつ信頼性の高い鋳
鉄製カムシャフトとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の試験結果を示すアーク照射
後のカム摺動部断面の金属組織を示す顕微鏡写真
【図2】本発明の一実施例の試験結果を示すアーク照射
後のカム摺動部表面の金属組織を示す顕微鏡写真
【図3】本発明の一実施例の試験結果を示すアーク照射
前のカム摺動部表面の金属組織を示す顕微鏡写真

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳鉄材料よりなる素材の摺動部となる部
    位にチル層を生成した後、前記チル層に高密度エネルギ
    ーを照射することによって前記部位を該素材のA1変態
    点以上で融点以下の温度に加熱し、その後、前記部位を
    自己冷却させることを特徴とする耐摩耗性に優れた摺動
    部材の製造方法。
JP19424693A 1993-07-10 1993-07-10 耐摩耗性に優れた摺動部材の製造方法 Pending JPH0726321A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6660044B2 (en) 2000-03-31 2003-12-09 Kao Corporation Fiber product-treating agents

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6660044B2 (en) 2000-03-31 2003-12-09 Kao Corporation Fiber product-treating agents

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