JP2001503104A - 耐磨耗性のカムシャフトおよびその作製方法 - Google Patents
耐磨耗性のカムシャフトおよびその作製方法Info
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Abstract
(57)【要約】
この発明は耐磨耗性のカムシャフトおよびその作製方法に関する。この方法の応用が可能で有効な対称物は、潤滑摺動磨耗を受ける全ての鋳鉄部品である。耐磨耗性のカムシャフトは鋳鉄から成り、セメンタイト成分の高いレデブライト再溶解層と、その下にあるマルテンサイト焼入区域から成る表面層を有する。この発明よれば、a.再溶解層は壁厚が≦1μmの微細分散したレデブライトのセメンタイトと、マルテンサイトおよび/またはベイナイト、残留オウステナイトおよび薄片の間隔が≦0.1μmの20%以下の微細帯状パーライトの相混合物の金属母材とから成り、b.焼入層はマルテンサイトおよび/またはベイナイト、溶解したパーライトおよび残留オーステナイトの相混合物で形成されている。この発明による耐磨耗性のカムシャフトは高エネルギの表面再溶解処理で作製される。
Description
【発明の詳細な説明】
耐磨耗性のカムシャフトおよびその作製方法
この発明は、鋳鉄製の機械部品の高耐磨耗性のレデブライト表面層の作製に関
する。この部材の応用が可能で有効である対象物は、鋳鉄の潤滑摺動磨耗を受け
る全ての部品である。この発明は、例えばカムシャフト、牽引レバー、揺動レバ
ー、シリンダーのブッシングスリーブ等のような、エンジン部品を作製するため
に特に有利に採用できる。
レデブライト表面層は、流体力学的あるいは混合摩擦条件の下で摺動磨耗する
時に非常に良好な耐磨耗性を示す。
カムシャフトに対するそのような層はWIG(タングステン不活性ガス溶接)
再溶解で作製することが知られている(例えばHeck:Einfluβ der Prozeβ-
著、レデブライト鋳鉄製のカムシャフトの表面層の特性に関する再溶解焼入字に
行う処理の影響、学位論文、ミュンヘン)1983)。このため、WIGバーナーは
約125〜225mm/minで比較的ゆっくりと、しかも移動方向に対して垂直にカムの周
囲に沿って約0.7〜2.2Hzの小さな振動周期で往復案内される。使用する出力密度
は大きく、約3000W/cm2である。従って、約200〜750K/sの加熱速度となる。割れ
を防止するため、約400℃の温度に予備加熱する。
このようにして作製したカムには粗い凝固組織があり、この組織は金属母材内
のかなり粗いレデブライトのセメンタイトとパーライトで形成されている。更に
、初期領域が生じ、この焼鈍領域がWIGバーナーのゆっくりとした往復振動の
ため新たに温度が加わり再溶解組織に望ましくない損傷が生じる特徴がある。
このようにして作製されたカムには耐磨耗性が非常に劣るという欠点である。
磨耗抵抗が小さい原因は、粗い組織構造と、焼鈍領域内の付加的な組織の粗大化
にある。
この方法の主要な欠点は凝固速度が非常に遅い点にある。その原因は比較的ゆ
っくりとした送り速度で処理するために必要な出力密度が低すぎる点にある。
この欠点を除去するため、カムシャフトをレデブライト再溶解するのにレーザ
ービーム再溶解のような最近の高エネルギ表面層再溶解処理(例えば、M.S.
Metallen”(金属のレーザー表面改質の基礎と応用)学位論文、クラウスツァー
ル・ツエーレンフェルド(Clausthal-Zellerfeld),1991年;ドイツ特許第43 37
484号明細書)あるいは電子ビーム再溶解(例えばドイツ特許第43 09 870号明細
書)を使用することも知られている。このため、適当な形状にされたエネルギビ
ーム(例えば、長方形;送り方向に別々にした長方形の二つの照射領域;点状の
網目;異なった出力密度の網目)は、カムの全幅にわたって及ぶ一つの溶融池、
あるいは送り方向に急速に僅かに延びた複数の溶融池が生じるように、一定の速
度もしくは局部的な曲率半径に応じた送り速度でカムシャフトの上に案内される
。この場合103〜105W/cm2を使用する。送り速度は500〜2500mm/minである。溶融
区域の割れを避けるため、約360〜550℃の温度で徹底的に予備加熱することが不
可欠であるように思える。これは、通常高価な連続加熱炉で行われる。
再溶解されたカム領域は0.3mm〜中心で約0.8mmの深さの溶融領域から成る。こ
の再溶解領域は金属母材内にレデブライトのセメンタイトとパーライトを含む。
溶融区域の直ぐ下の領域では、オーステナイト温度以上になると、冷却が遅いの
で初期状態の領域より僅かに大きい硬度の新しいパーライト区域が生じる。従っ
て、硬度の低下は溶融体の直ぐ縁部分で生じ、かなり険しい。
このような方法で形成されたカムの欠点は、これ等のカムがレデブライトのセ
メンタイトのそのような微細分散の組織を形成するのに実際に可能な耐磨耗性に
達していない点にある。この原因は、金属母材中のパーライトがセメンタイトよ
り耐磨耗性が少なく、それ故に組織の弱い個所となる点にある。
この方法の欠点は、溶融区域の内部でも、その下の新しいオーステナイト領域
の下でも、パーライトが生じる点にある。この原因は360℃〜550℃の高い予熱温
度のため、冷却速度が約600℃〜450℃の温度範囲で凝固速度が大きくても、残留
オーステナイトが完全に比較的粗いパーライトに分解するように小さいと言うこ
とから生じる。
これに反して、摩擦負荷に対して最適な表面層の構造は摩擦負荷で生じる粘着
性の応力、塑性変形および周期的な弾性・塑性の微細伸びを受け止める表面近く
の薄い層と、その下にありヘルツのプレスのために応力を受け止める支持層とか
ら成る層構造を必要とする。従って、この方法の他の欠点は前記支持層が再溶解
層によってのみ形成される点にある。これに必要な大きな再溶解深さはそれに必
要な小さい送り速度のために経済的な欠点を与える点にある。
磨耗性に更に良好に合わせた表面層構造を持つカムは、欧州特許第0 161 624
号明細書により周知である。カム表面層はセメンタイト成分が多いセンメンタイ
ト層とその下にあるマルテンサイト層で構成されている。その場合、再溶解層の
深さは0.3〜1.5mmの深さで、その下にある焼入区域の厚さは0.3〜2.0mmである。
この方法は、予熱なしにWIGアークでカムを溶融し、次いで自己急冷により
凝固する点にある。以下の特許明細書(欧州特許第194 506号)では、冷却を加
速するため、更にカムシャフトの長手軸に水あるいは水と空気の混合物で中心の
油穴により冷却される点にある。
割れを形成する結果なしに予備加熱を省くことができる。何故なら0.7〜1.0rp
mの非常に低い回転速度で1360〜2600Wの非常に小さい負荷で動作するからである
。これは約80〜130mm/minに相当する。この小さな送り速度では、導入した熱は
再溶解スポットの前を進行し、再溶解の間にカムの中に非常に深く進入する。従
って、急冷速度は割れ形成応力が冷却期間中にもう低下しないほど低減される。
しかし、送り速度により凝固速度も減少し、レーザーあるいは電子ビームで再溶
融したカムのレデブライトのセメンタイトを粗く形成する。
この種により処理されたカムは、冷却速度が遅いにもかかわらず、予熱でWI
G再溶解されたカムと比べてより良い耐磨耗性を示す。これは、金属母材中に形
成されたパーライトが発生した時のより高い冷却速度のために著しく微細に形成
されることにのみある。しかし、微細に分散されたセメンタイトを形成して特性
の改善を可能する潜在性は利用できない。
従って、このように形成されたカムの欠点は、磨耗に対する最適な表面層を有
することにある。この原因は、凝固速度が小さく、急冷領域を形成するので比較
的粗い凝固構造を形成する点にある。
この方法の欠点は、出力密度が小さく、送り速度が遅いので、微細分散組織形
成に対して小さい凝固速度が生じる点にある。他の欠点は、組織が巨視的に不均
一で、周期的に粗い組織構造を有する点にある。この原因は、WIGバーナーの
非常に遅い振動運動のために、オーステナイト温度以上に強く冷却した領域に局
部的な温度を加えることある。
この発明の目的は、摺動磨耗により良好に改造されているカムシャフトおよび
その製造方法を提供することにある。
この発明の課題は、流体力学的あるいは混合摩擦条件の下で高負荷応力で摺動
磨耗負荷の導入条件をより良くする、鋳鉄のカムシャフトや同じような負荷の加
わる部品に対する組織形成と表面層構造を提示することにある。更に、微細に分
散した組織にするため高出力密度で動作し、徹底的な予備加熱なしでも割れの形
成を防止でき、同時に600℃〜350℃の間の比較的高い冷却速度で粗いパーライト
の形成を充分抑制できる方法を提示することにある。
上記の課題は、この発明により、表面層が、請求項1と2に示すように、セメ
ンタイト成分が多い、レデブライト再溶解層と、その下にあるマルテンサイト領
域から成る、鋳鉄の耐磨耗性のカムシャフトにより解決されている。
この再溶解層は壁厚が≦1μmの微細分散したレデブライトのセメンタイトと
、マルテンサイトおよび/またはベイナイト、残留オーステナイトおよび薄片間
隔が≦0.1μmの20%より少ない微細条片のパーライトの相混合物の金属母材と
から成る。その下にある硬質層はマルテンサイトおよび/またはベイナイト、溶
融したパーライトおよび残留オーステナイトの層混合物で構成されている。
請求項2に提示する再溶解層の深さtsは、この発明によれば、従来の技術で
知られているものより幾分浅く、それ故、その下にある層の支持作用を経済的に
有利な方法で利用している。
更に、上記の課題は、請求項3〜16項に提示するように、高エネルギ再溶解
方法で耐磨耗性のカムシャフトを作製する方法により解決されている。
二つの短時間温度サイクルT1とT2を請求項3に提示するこの発明により重ね
ることにより、凝固速度と焼入速度が早くない、600℃〜350℃の比較的高い
調節可能な冷却速度の要請と、約300℃以下の低い冷却速度の要請により、今ま
でいつも生じる矛盾を解決することに成功している。
こうして、一方で粗いパーライトの形成を調節可能にしかもかなり強く抑制す
る場合に、微細に分散した凝固構造と微細に分散した固体変換の経過が可能にな
る。他方で、割れの臨界温度範囲で冷却速度が充分に低くなり、割れを防止でき
る。
請求項4の製造方法の構成で有利なことは、再溶解している間に温度変動が大
きすぎるため、焼き戻し領域を防止できる点にある。
請求項5に記載するこの発明の有利な構成は、ビーム振動を早くして、エネル
ギビームの送り方向とそれに垂直な方向の寸法がかなり柔軟に、しかも互いに無
関係に調整でき、振動周期を与えると、焼き戻し領域を避けるため、温度振動が
充分小さくなると言う事実を使用している。これにより、カムの幅が広い場合で
も溶融池の寿命が短くなる。
請求項7の方法の構成で有利なことは、エネルギビームの出力密度がカムの縁
に向けて変化する熱損失条件と溶融体の表面応力の作用を整合させることができ
る点にある。
請求項6および8〜13は、この発明で利用できる好ましいエネルギ源を提示
している。
請求項14と15は、鋳鉄の化学組成のかなり小さな変化により摺動摩擦特性
に重要な組織形成を著しく可変できると言う事実を有利に利用している。
請求項16の方法の構成の利点は、化学組成の上記の小さいな変化をプロセス
に組み込んでも行える点にある。
この発明を以下の実施例に基づきより詳しく説明する。
これに付随する図面には、二つの短時間温度サイクルのこの発明による重なり
(図1)およびこの発明による温度時間経過と従来の技術で知られている温度時
間経過の模式的な比較(図2)が示してある。
例1:
化学組成が2.5...3.2%C;1.6...2.5%Si;0.3...1.0%Mn;≦0.2%P;≦0.1
2%S;≦0.6%Cu;≦0.15%Ti;≦0.2%Ni;≦0.3
%Cr;≦0.3%Mo;SC≦0.9の鋳鉄から成るカムシャフトには最適な耐磨耗性と
経済的に作製できる表面層が設けてある。カムの直径は36mmで、カムの幅は14mm
である。初期組織の硬度は250HV0.05である。グラファイトの形成は薄片状で
、母材は殆ど完全にパーライトである。
図1には実現された温度時間経過が模式的に示してある。温度時間サイクルT
1を発生させる方法としては、誘導エネルギ導入が選択されている。発電機はM
F(中間周波数)発電機で、10kHzの周波数である。誘導子はコイルの太さが8m
m×8mmの単巻リング誘導子で結合距離は2.0mmである。
温度時間サイクルT2を発生させるエネルギ源としては、5.0kWCO2レーザー
を使用する。レーザービームを焦点距離400mmの軸外放物線ミラーで集束させる
。ほぼ集束したビーム領域内にレーザービームの移動方向に対して垂直にf=20
0Hzの周期で振動する走査ミラーがある。カムの表面は焦点の外30mmにある。振
動振幅は三角形の振動を使用する場合A=6mmである。
カムシャフトを装着した後、カムシャフトを300rpmの回転速度で回転させる。
誘導発電機を70kWの出力に設定する。出力密度p1は4000W/cm2である。次いで、
発電機をt1=1.0sの時間間隔の間動作させる。
に達する。
表面を温度T1min≒550℃に冷却する時間間隔t21=0.9sの後にエネルギ源S2
としてレーザーを作動させる。レーザービームの寸法は16mm×2.5mmであり、こ
れはビーム出口で約l.15・104W/cm2の平均出力密度を与える。レーザーを作動さ
せる直前に、600mm/minのレーザービームの相対送り速度でカムのCNCプログ
ラムされた回転運動と、それに応じた焦点距離を一定に維持するためz軸のバラ
ンス運動と垂直ビーム入射を保証するためy軸のバランス運動を開始させる。
レーザーを止めた後、カムを空気で冷却する。誘導予備加熱の温度領域がレー
ザービーム溶融の開始時点にカムに約3mmだけ侵入することにより、一貫したあ
るいは粗いパーライト形成を抑制するのに自己急冷で充分である。
処理の結果は780HV0.05の平均硬度を持つ厚さが0.4mmのレデブライト層とな
る。この層は約1μmの壁厚の微細分散したセメンタイト、残留オーステナイト
、マルテンサイトおよびベイナイトから成る。パーライトの含有量は20%以下で
ある。この下に厚さか0.65mmのマルテンサイトの支持層が続く。この層の中で、
硬度が連続的に780HV0.05から400HV0.05に低下する。この硬度は主にマルテ
ンサイト、残留オーステナイト、ベイナイトおよび溶融したパーライトから生じ
る。表面層には割れがない。
潤滑摺動磨耗試験の磨耗研究は、炉内で450℃で予熱し、次いで同じパラメー
タでレーザー再溶解させた通常の試料と比べて、耐負荷特性を20%上昇させた。
温度時間サイクルT1の予備加熱時間t1がより長く、またピーク温度T1maxが
より高い温度に変わると、マルテンサイト、オーステナイト、ベイナイトおよび
パーライトの含有量が変わる。つまり、例えば磨耗負担に対するこの発明の構想
を傷つけることなくより高温でパーライトの含有量を高めることもできる。更に
、レーザーの送り速度を早めると、セメンタイトがもっと微細に分散して形成さ
れる。
図2には、この発明による方法が従来の技術と比較されている。炉内予備加熱
による通常のWIG再溶解(短い破線)は、溶融池の比較的長い寿命Δts,凝
トの形成が非常に粗くなる。通常の予熱温度TVに対する温度差が小さいためパ
ーライト形成の領域Mpでの低い冷却速度は粗いパーライトを与える。
予熱を省くことにより、温度領域MpのWIGの再溶解でも粗いパーライトの形
成が抑制される(長い破線)およびMs点を充分早く通過するのでマルテンサイ
ト支持層が得られる。もっとも、この利点は、ゆっくりとした加熱、より長い溶
融池の寿命と、幾分遅い急冷速度の犠牲のもとに得られ、幾分粗いセメンタイト
を形成する。
これに反して、通常の予熱の後のレーザーあるいは電子ビーム再溶解は、非常
に高い加熱速度、短い溶融池の寿命および大きな凝固速度や急冷速度であり、こ
れ等は微細なセメンタイトを形成させる。しかし、通常の予熱温度TVが高いた
め、ここでも温度領域Mpで冷却速度は比較的粗いパーライトが生じるように低く
なる。
これに反して、この発明による温度処理(実線)により、最大の加熱速度、短
い溶融池の寿命および高い急冷速度が温度領域Mpの充分大きな急冷速度と組合わ
さり、最適な耐磨耗性の組織を形成できる。
この発明による処理の組み合わせの他の利点は、
・高価な連続予熱炉および、場合によって、冷却区間も省くことができる。
・組織を広い可変範囲内で作製できる。
・溶融池の短い寿命により、特にカムの先端周囲の角の精度が高くなり、再加
工経費を低減する。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 ナウナッパー・ディートマール
ドイツ連邦共和国、D―79206 オーバー
リムジンゲン、ブンデスストラーセ、25
(72)発明者 デュシェク・カルステン
ドイツ連邦共和国、D―01187 ドレスデ
ン、バムベルガー・ストラーセ、43
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.表面層がセメンタイト成分の多いレデブライト再溶解層と、その下にあるマ ルテンサイトの焼入区域から成る鋳鉄製の耐磨耗性のカムシャフトにおいて 、 a.再溶解層が壁厚≦1μmの微細分散したレデブライトのセメンタイトと 、マルテンサイトおよび/またはベイナイト、残留オーステナイトおよ び薄片の間隔が≦0.1μmの20%以下の微細帯状のパーライトの相混合 物の金属母材とから成り、 b.焼入層がマルテンサイトおよび/またはベイナイト、溶融したパーライ ロおよび残留オーステナイトの相混合物から形成されている、 ことを特徴とするカムシャフト。 2.再溶解層は0.25mm≦ts≦0.8mmの深さtsであり、焼入層は0.5mm≦ts≦1.5m mの深さであることを特徴とする請求項1に記載のカムシャフト。 3.高エネルギ表面再溶解法により、請求項1または2の耐磨耗性のカムシャフ トを作製する方法において、 a.再溶解の温度時間経過が異なった二つのエネルギ源S1とS2で異なった 出力密度p1とp2を発生させる二つの重なった短時間の温度時間サイク ルT1とT2から成り、 b.温度時間サイクルT1が560℃≦T1max≦980℃のピーク温度T1max, が8・102W/cm2≦p1≦8・103W/cm2に達し、 c.温度時間サイクルT2がT2max≧Tsのピーク温度T2max,3000K/s≦ ≦Vs≦67mm/sの溶融体の凝固速度Vsを有し、ここでTsが使用する鋳 鉄の溶融温度であり、エネルギ源S2の出力密度p2を0.8・104W/cm2≦ p2≦8・104W/cm2に選び、 d.温度時間サイクルT2を採用する期間t21=t2−t1が0.3s≦t21≦11 sであり、 e.温度時間サイクルを開始する温度T1minがT1min>500℃であり、 f.溶融池の寿命Δtsが0.08s≦Δts≦0.8sの値の範囲内にあり、 g.高エネルギのエネルギ源S2の送り速度vBが600mm/min≦vB≦4000mm/m inの値になる、 ことを特徴とする方法。 4.カムシャフトの全幅を回転させて溶かすことを特徴とする請求項3に記載の 方法。 5.送り方向に垂直に必要な出力密度分布p2は早いビーム振動で発生させ、振動 周期は少なくとも200Hzであることを特徴とする請求項3または4に記載の 方法。 6.高エネルギのエネルギ源S2はレーザーであることを特徴とする請求項3に記 載の方法。 7.早いビーム振動は、異なる周波数f,振幅A,中心点位置A0および周期数n pの多数の高調波振動パケットの時間的に早い周期列で構成され、異なった 振動パケットの数は1〜8の間であり、周期数は1≦np≦20に選んだであ ることを特徴とする請求項3〜6の何れか1項に記載の方法。 8.エネルギ源S1は中間周波数の誘導発電機であることを特徴とする請求項3ま たは6に記載の方法。 9.高エネルギのエネルギ源S2は電子ビームであることを特徴とする請求項3に 記載の方法。 10.エネルギ源S1も電子ビームであることを特徴とする請求項3または9に記 載の方法。 11.エネルギ源S2は高出力ダイオードルーザースタックであることを特徴とす る請求項3に記載の方法。 12.エネルギ源S1も高出力ダイオードレーザースタックであることを特徴とす る請求項3または11に記載の方法。 13.エネルギ源S1はカムシャフトの周りに回転対称に配置された多数の高出力 ダイオードレーザースタックで形成され、カムシャフトは直立法で予熱され ることを特徴とする請求項3,11,12の何れか1項に記載の方法。 14.カムシャフトを鋳造する溶融体にセメンタイトを安定化する元素を添加する ことを特徴とする請求項3に記載の方法。 15.カムシャフトを鋳造する溶融体にオーステナイトを安定化する元素を添加す ることを特徴とする請求項3に記載の方法。 16.セメンタイトを安定化する元素および/またはオーステナイトを安定化する 元素は表面層を再溶解する間に高エネルギのエネルギ源S2で溶融体に添加 されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
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