JP2889118B2 - 微細パーライト組織化されたレールの中間鋳物溶接法 - Google Patents

微細パーライト組織化されたレールの中間鋳物溶接法

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JP2889118B2 JP6130281A JP13028194A JP2889118B2 JP 2889118 B2 JP2889118 B2 JP 2889118B2 JP 6130281 A JP6130281 A JP 6130281A JP 13028194 A JP13028194 A JP 13028194A JP 2889118 B2 JP2889118 B2 JP 2889118B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、両方のレール端部を囲
む鋳型内へテルミット反応によって生成した溶融鋼を注
入することによる、微細パーライト組織化されたレール
の中間鋳物溶接法に関するものである。
【0002】本発明は特に、溶接継目の両側に隣接した
レールヘッド区域が、微細パーライト組織化されたレー
ルに近い高いレール強度を有しているような、微細パー
ライト組織化されたレールの中間鋳物溶接法に関するも
のである。
【0003】
【従来の技術】列車の運行によって負荷を受ける場合の
レールの摩耗度は実質的にレール強度又は硬度によって
決定される。目下のところ鉄道は、連続的に溶接された
軌道において大部分は900N/mm2の最小引張り強
さを有する自硬性のレールを使用している。その場合レ
ールメーカーはレール強度を得るために合金元素として
炭素及びマンガンを使用している。例えば曲線区におけ
る外側円弧レールにおいて生じるように著しく高い応力
を受ける場合には、付加的にクローム及び/又はバナジ
ウムの添加された1100N/mm2の最小引張り強さ
を有する自硬性の特殊合金も使用される。
【0004】自硬性の特殊合金の使用に代えて、圧延工
程の後にレールに熱処理を施すことによって高い強度を
得ることも可能である。一般には前記熱処理を、レール
の走行面近傍区域に局限するのが普通である。このよう
なレールは、その化学的組成の点でほぼ900N/mm
2の最小引張り強さを有するレールに匹敵しており、こ
の場合パーライト組織は、前記熱処理に基づいて著しく
微細層状を呈し、その結果それ相応に高い硬度又は強度
が得られる。
【0005】ところで本発明は、微細パーライト組織化
されたレールタイプのレールヘッド区域においてテルミ
ット法によって生成した溶接部の硬度経過を改善するこ
とに関わっている。
【0006】溶融溶接法としてのテルミット溶接法によ
って、中間鋳物区域の形で構成される特性的な溶接区域
は、テルミット反応によって生成された鋼と溶融された
レール鋼とから成り、かつ該溶接区域は、中央では両方
のレール端部間に当初存在していた溶接ギャップ内に、
また溶接継目の左右の各熱影響ゾーンにも位置してい
る。
【0007】図1のAでは、微細パーライト組織化され
た(レールヘッドに焼入れの施された)レールの対称平
面を通って一部縦断面して溶接区域が概略的な斜視図で
示されている。この場合符号1は、テルミット反応によ
って生成した鋼と溶融されたレール鋼とから成る中間鋳
物区域である。溶融線2を境界として該中間鋳物区域1
の両側には熱影響ゾーン3が続いており、該熱影響ゾー
ンは、熱影響を受けないレール鋼区域4へ移行してい
る。符号5は微細パーライト組織化されたレールヘッド
区域である。
【0008】列車運行による摩耗挙動にとって前記図1
のAの構成は著しく意味がある。溶接継目の硬度つまり
換言すれば溶接継目の強度、ひいては溶接継目の耐摩耗
性は、急冷速度が規定されている場合、テルミット鋼の
化学的な組成によって極めて正確に影響される。従って
中間鋳物区域の硬度は摩耗上の技術的観点から見ればレ
ール溶接にとって何の問題もない。しかしながら両側の
熱影響ゾーン内では事情は異なっている。ここでは化学
的な組成と急冷速度は共に硬度分布を規定する。レール
の長手方向Xで見て熱影響ゾーン内の硬度は、溶接継目
中心からの距離の増大につれて、熱影響ゾーンと熱影響
を受けないレール鋼区域4との境界における最低値を通
過するまで、レールの長手方向に連続的に低減する。
【0009】ここでは所謂「球状化焼なましゾーン」が
存在している。硬度の減少に伴って耐摩耗性も減少する
ので、列車運行下では、特に熱影響ゾーンにおいて摩耗
が増大することが予測されねばならない。
【0010】熱影響ゾーン内における低硬度は金属物理
学的な要因に帰せられる。中間鋳物区域に隣接した熱影
響ゾーンの大半域においてレール鋼はオーステナイト化
されるのに対して、溶接継目から隔たって位置する熱影
響ゾーン部分ではレール内の最高温度は600〜700
℃に達する。溶接部の冷却中に熱影響ゾーン内では異な
った組織構造が析出される。すなわち: (a)溶融線に沿って、すなわち中間鋳物区域と熱影響
ゾーンとの移行点では例えば硬質の粗粒パーライトが析
出され、また(b)熱影響ゾーンと熱影響を受けないレ
ール鋼との移行点、つまり熱影響ゾーンの末端部では軟
質の一様に成形された球状パーライトが析出される。
【0011】テルミット溶接の急冷速度はレールの化学
的な組成と同様に規定されているので、レール鋼品質に
応じて、レール長手方向で見て熱影響ゾーン内には所定
の組織構造、ひいては所定の硬度分布が生じる。
【0012】要するにレールメーカーによって圧延後に
熱処理の施されなかった自硬性の鋼レールの溶接の場合
には、熱影響ゾーン内における硬度分布は、レール鋼の
化学的組成に関連して生じる。合金元素C,Mn,V,
Crなどは、レール鋼の変態挙動に関して、かつ/又は
炭化物の生成に関して硬度レベルに影響を及ぼす。また
熱影響を受けなかったレールの硬度は同様に、つまり圧
延工程後の冷却中に、前記の2つのメカニズムに関して
だけ制御される。従ってこのような自硬性レールの溶接
時にはレール鋼分析には無関係に、熱影響を受けなかっ
たレールの硬度と熱影響ゾーン内における硬度経過との
間にほとんど常時、等しい差値が生じる。このようなテ
ルミット溶接においては前記の差値は、摩耗技術上の観
点から許容される。
【0013】圧延によって硬度レベルが「人工的に」高
められるところの、熱後処理の施された微細パーライト
組織化されたレールの場合には、より大きな硬度差が生
じる。それというのは、、当初存在していた微細層状の
パーライト組織が破壊され、かつ溶接による熱影響ゾー
ンの硬度分布が、900N/mm2の最小引張り強さを
有する溶接された自硬性レールの場合と同様に自動的に
生じるからである。これは、両方のレール鋼品質の化学
的組成が等しいことに基因している。
【0014】図1のAの概略縦断面図の下部分つまり図
1のBに示した関連硬度線図では、レール走行面におけ
る硬度経過が縦軸に、またレール長手方向距離Xが横軸
にプロットされている。該線図では曲線Iは、微細パー
ライト組織化された(ヘッド焼入れ)レールの溶接部の
硬度経過線に相当し、また曲線IIは、900N/mm
2の最小引張り強さを有する自硬性レールの溶接部の硬
度経過線に相当している。微細パーライト組織化された
レールの走行面は、熱影響ゾーン区域では、溶接材料お
よび熱影響を受けないレールに対比して、自硬性レール
の溶接の場合よりも比較的強い摩耗を受ける。この理由
に基づいて微細パーライト組織化されたレールの溶接技
術に対して高い要求が課されることになる。
【0015】実地では2つのテルミット式中間鋳物溶接
法が特に定評があり賞用されている。この2つの溶接法
とは、ドイツ連邦共和国特許第2208692号明細書
並びにドイツ連邦共和国特許第2161134号明細書
に記載されている溶接方法である。
【0016】ドイツ連邦共和国特許第2208692号
明細書に記載されている溶接法は、次の構成手段の組合
せを特徴としている。すなわち: (a)溶接すべき両レール端部間の溶接ギャップ幅はレ
ールウェブ厚の1乃至2倍に設定される。
【0017】(b)鋳型のキャビティは、溶接ビードの
ためにレールウェブ厚の2乃至4倍の幅と0.15乃至
0.6倍の深さが生じるように選ばれる。
【0018】(c)予熱トーチのガスフレーム帯幅はレ
ールウェブ厚の1.5乃至2.5倍に設定される。
【0019】この公知のレール溶接実施方式は、両鋳型
半部によって囲まれて互いに溶接すべき両レール端部に
約6乃至10分の予熱時間を必要とする。
【0020】ドイツ連邦共和国特許第2161134号
明細書に記載されている溶接法は、溶接すべき両レール
端部を最大2分以内に最低300℃乃至最高700℃の
温度に予熱し、その場合テルミット混剤の重量を被溶接
レールのメートル当りの重量の0.15部乃至0.25
部に設定することを特徴としている。この公知の溶接法
は短期予熱溶接法(SKV)と呼ばれる。
【0021】該SKV溶接法の短期予熱に伴ってレール
長手方向に生じる急傾斜の温度勾配に基づいて、通常の
予熱による溶接法に対比して比較的小さな熱影響ゾーン
範囲が生じる。これに相応して熱影響ゾーンにおける硬
度低下は、レール長手方向で見て比較的小さな領域に制
限され、これは列車運行下での摩耗挙動に有利に作用す
る。この理由から通常、微細パーライト組織化されたレ
ールを溶接する場合には前記SKV溶接法が殊に賞用さ
れる。調整法として6乃至10分の所要予熱時間の溶接
法を採用する鉄道では、このことは取りも直さず、微細
パーライト組織化されたレール溶接時に狭い熱影響ゾー
ンが所望される以上は第2の方法、つまり短期予熱式の
SKV溶接法を導入すべきであることを意味している。
しかしながら当該SKV溶接法のために必要となる機器
経費は経済的な観点に立てば欠点と見做され、従って長
い予熱時間の溶接法を採用して、しかもその際に欠点を
随伴させないようにして微細パーライト組織化レールを
接合することが望まれている。
【0022】熱影響ゾーンにおける硬度経過の改善は、
また公知のようにレールの溶接領域に付加的に熱処理を
施すことによっても行うことができる。通常はこのよう
な付加的な熱処理は、テルミット溶接法を実施するか、
それともフラッシュバット溶接(火花突合せ溶接)法を
実施するかの如何を問わず、溶接部を周辺温度にか又は
少なくとも700℃以下の温度に急冷した場合、つまり
オーステナイト−パーライト変態の終了した温度に急冷
した場合に行われる。適当なガストーチ装置を用いて当
該溶接部は再びオーステナイト化され、次いで圧縮空
気、圧力空気と水との混合剤又は同等作用の冷却媒体を
加速負荷して急冷される。しかしながら当該公知の方法
は、敷設軌道では実施しにくいばかりでなく、作業現場
に搬送すべき機器の所要経費も高くつくという欠点を有
している。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、冷却
媒体の煩瑣な使用を必要とすることなしに走行面近傍区
域の熱影響ゾーンにおける硬度経過を改善でき、かつで
きるだけ装置経費を少なくして敷設軌道の作業現場で著
しく経済的に実施できるような熱後処理法を提供するこ
とである。
【0024】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の本発明の手段は、溶接部の冷却後に該溶接部及びこれ
に隣接した熱影響ゾーンの走行面を上方から、トーチに
よって迅速に50〜150秒の時間にわたって加熱し、
走行面を前記トーチによって迅速に加熱する際にその都
度少なくとも10000l/hの酸素と3500l/h
のプロパン又はアセチレンを前記トーチに供給し、かつ
トーチヘッドの燃焼面を、使用レールのメートル当りの
重量の数値(測定単位kg)の0.1〜1.0倍に相当
する値(測定単位mm)だけ前記溶接部及び熱影響ゾー
ンの走行面から隔てて位置決めする点にある。
【0025】
【作用】本発明の溶接法は、外的な冷却媒体の使用を断
念して軌道内の溶接部及び熱影響ゾーンのレール走行面
近傍区域の微細パーライト組織化を可能にする。むしろ
オーステナイト化温度の冷却はレール自体によって行な
われる。有利なことには本発明の方法では、微細パーラ
イト組織化にとって特有の冷却速度並びに所望の硬度分
布が、溶接部及び熱影響ゾーンにおいて、従って全処理
区域において生じる。
【0026】熱処理によってレール走行面の耐摩耗性を
高める方法は公知である。冷却媒体を使用しない以上、
この方法は、自硬性の(要するに微細パーライト化され
ていない)レールにおいて実施される方法であり、例え
ば技術専門誌:<Railway Engineering and Maintenanc
e>(「鉄道技術と保守」誌)1937年2月刊、第9
7頁〜第99頁に収録された方法である。この場合硬度
の増大化が得られ、従って摩耗挙動の改善が期待できる
が、選択的な摩耗を随伴する球状化焼なまし部位が熱処
理区域の末端部に同様に再び発生するに違いないことに
ついては全く論及されていない。これは、当初では層状
のパーライトから、一様に成形された球状の軟質パーラ
イトが生成することに基因している。
【0027】ところで微細パーライト組織化されたレー
ルにおけるテルミット溶接の場合、レール走行面に高い
硬度を得ることと共にレール走行面の下位でも、摩耗技
術上の観点から見て充分な深さ部位、つまり走行面レベ
ルから少なくとも10mmの深さ部位まで高い硬度を得
ることが必要である一方、球状パーライトの新たな硬度
谷間の形成がレール長手方向でシフトされることなく、
原則として抑圧され、或いはできるだけ緩和されねばな
らない。冷却媒体の使用を止めることを前提条件とした
上でのこの二重の目的設定は、前掲技術専門誌に収録さ
れた論文では全くなされていない。
【0028】溶接部及びこれに隣接した熱影響ゾーンを
所期のように微細パーライト組織化し、ひいては硬度の
増大化を達成するためには、本発明のように熱をレール
走行面に極めて迅速に導入する必要があることは明らか
である。図2に示したような、ガスフレーム9によって
レールの走行面近傍区域を極めて短時間のうちにオース
テナイト化温度にするような強出力のガストーチ11が
最適である。しかしながら溶接部つまり被溶接レールの
ヘッド、ウェブ及び足部の可成りの部分は冷たい儘であ
る。トーチガスフレームが除かれると即座に、前記冷た
い儘の部分が、オーステナイト化された表面区域から急
速度で熱を抽出する。その結果として、それ相応に高い
耐摩耗性を有する所望の微細パーライト化された組織が
溶接部及び熱影響ゾーンの走行面近傍区域に生じ、その
場合、熱負荷を受けた区域などの縁域で所望されない度
合の硬度低下が改めて発生することはない。更に本発明
の方法を成功させる上で決定的なことは、微細パーライ
ト化ゾーンの深度が、レールの一方の側では列車走行中
の一般的な摩耗のために充分な大きさであるが、レール
の他方の側では制限されることである。つまりオーステ
ナイト化区域がレールヘッド内へ過度に侵入すると、熱
は、残りのレール横断面部分によって充分迅速には抽出
されなくなる。この制約にも拘らず、レールヘッド内で
は摩耗技術上の観点から見て充分な深度で微細パーライ
ト化を有利に行なえることが判った。
【0029】溶接部及び熱影響ゾーンにおいて少なくと
も10mmの深さまで微細層状組織を形成すると同時に
熱処理縁部における高い硬度低下を抑圧するための所期
の急冷速度は、正確に確定された時間にわたって熱を迅
速に導入することによって、ひいては鉛直方向での温度
勾配を規定しかつレール走行面を起点とするオーステナ
イト化の深度を規定することによって得られる。
【0030】トーチの使用ガスとしては殊に有利にはプ
ロパン及び酸素が挙げられる。酸素の作業圧力は、迅速
な給熱を可能にするためにできるだけ高く選ばれねばな
らない。プロパン及び酸素以外に、アセチレンと酸素或
いはガソリンと酸素などのような組合せも考えられる。
【0031】レール13の走行面8に対してガスフレー
ム9を垂直方向に直接供給するのが殊に有利である(図
2参照)。給熱を規定するためには、レール13の走行
面8に対する最適なトーチ間隔aが存在している。本発
明によればトーチヘッドの燃焼面は、使用レールのメー
トル当りの重量の数値(測定単位kg)の0.1〜1.
0倍に相当する値(測定単位mm)だけ溶接部及び熱影
響ゾーンの走行面から隔てて位置決めされる。従って6
0kgのメートル当り重量のレールの場合には、トーチ
ヘッドの燃焼面の間隔は6〜60mmになる。
【0032】微細パーライト組織化を成功させるために
極めて重要なことは、すでに述べたように、その都度使
用されるトーチタイプに調和された給熱時間である。ト
ーチが5バールの酸素と1.5バールのプロパンで稼働
し、トーチヘッド内に夫々1mm直径の78個のガス噴
出孔14を備え、かつ1時間当りの酸素流過量が180
00リットル、1時間当りのプロパン流過量が6000
リットルである場合には例えば10秒の給熱時間は短か
すぎ、オーステナイト化温度は得られない。また極く短
時間でオーステナイト化温度に到達させることも望まし
いことではない。それというのは、レール深部への熱が
少なすぎると急冷速度が過度に高くなり、その結果望ま
しくない焼入れ組織の析出が生じるからである。前記ト
ーチの場合180秒以上の給熱時間もやはり好ましいこ
とではない。それというのは、レール深部への熱が過度
に多量になり、後の冷却が過度に緩慢になるからであ
る。従って有利な給熱時間は使用トーチタイプ及びトー
チ使用ガス又はトーチ使用ガス圧力に応じて決まる。強
出力トーチの場合、この給熱時間は大抵は50〜150
秒である。
【0033】本発明の方法の有利な実施態様では、メー
トル当り重量45〜70kgのレールにおける加熱時間
として80〜120秒が選ばれ、かつ、トーチヘッドの
燃焼面は、レールのメートル当り重量の数値(測定単位
kg)の0.3〜0.7倍に相当する値(測定単位m
m)だけ溶接部及び熱影響ゾーンの走行面から隔てて位
置決めされる。
【0034】中間鋳物区域の組成は、変態挙動を等しく
しかつ硬度分布を均等化するために、溶接すべき微細パ
ーライト組織化されたレールの組成に等しくなければな
らない。要するに溶接部は相応の合金から成っていなけ
ればならない。従って溶接動作は先ず中間鋳物区域で行
われ、該中間鋳物区域の硬度は、900N/mm2の最
小引張り強さを有する自硬性レールとの溶接部にほぼ等
しい。また熱影響ゾーンもこのようなレールの溶接部に
相応している。それというのは、微細パーライト組織化
されたレールの化学的組成は、900N/mm2の最小
引張り強さを有するレールに相応しているからである。
溶接部10を周辺温度に急冷した後に今度はトーチ11
がセットされて点火される。その際にガスフレーム9は
溶接部10及び両熱影響ゾーンに作用し、更にはまた、
溶接部10によって影響を受けないレール13の区域1
2、要するに、図1のBから判る2つの硬度谷間の相互
間隔よりも大きな区域にも作用する(図2参照)。
【0035】作業現場で生じる種々の天候状態が微細パ
ーライト組織化の品質にいかなる影響も及ぼすことがな
いように当該作業現場事情に配慮が払われねばならな
い。特に例えば冷たい烈風は、許容不能に高い急冷速度
を生ぜしめることになる。このような許容不能の急冷速
度は相応の風防フードによって避けることができる。
【0036】いまや前記方式の熱処理法は、微細パーラ
イト組織化されたレールの予熱時間の比較的長いテルミ
ット溶接法の採用も、何ら欠点を惹起することなく可能
にする。それというのは、この場合大きくなる熱影響ゾ
ーンも熱処理に組込まれて焼入れが施されるからであ
る。
【0037】熱処理終縁部に強度の硬度低下が再度発生
しないことは、この領域が600〜700℃の温度範囲
に曝される給熱時間が短いことで説明がつく。これによ
ってパーライト組織は、成形された球状の軟質構造をと
ることができる。これは、短いが迅速な給熱によって可
能になり、この短く迅速な給熱は、それにも拘らず走行
面を起点とする充分に大きな深度の硬化作用を達成す
る。ガス圧力、流動速度、走行面に対するトーチの間隔
及び溶接材料又は溶接部の化学的組成のようなパラメー
タを求める際に、所望の特性を得るための最適の方策が
発見されねばならない。その点に関しては又、レールの
大きさまた質量が重要である。それというのは、レール
が大型になれば、より多量の給熱が必要になり、より小
型のレールの場合には、より少量の給熱が考慮されねば
ならないからである。
【0038】
【実施例】次に図2に基づいて本発明の方法の1例を詳
説する。
【0039】ここで使用されるレール13の微細パーラ
イト組織化された品質の化学的組成物とその重量パーセ
ントは次の通りである。すなわち: C…………0.78 Mn………1.06 Si………0.28 P…………0.01 S…………0.01 Cr………0.04 Ni………0.03 V…………0.005 残りはFe及び溶融条件のための不純物 前記レール13は345HVの平均的な走行面硬度を有
している。熱処理は、溶接部10を周辺温度に冷却した
後に、すでに述べたように酸素とプロパンとを稼働ガス
とするトーチを用いて上からレール走行面8に対して施
される(作業条件:酸素作業圧力5バール、プロパン作
業圧力1.5バール、夫々1mm直径の78個のガス噴
出孔14を備えたトーチヘッド11、時間当りの酸素流
過量18000リットル、時間当りのプロパン流過量6
000リットル)。トーチヘッド11とレール走行面8
との間隔aは25mm、給熱時間は100秒である。オ
ーステナイト化された走行面8は次いでカバーフードの
保護下で冷却される。
【0040】図3に示した線図は、本発明による熱処理
の結果として生じる、溶接部及び熱影響ゾーンの走行面
の硬度を示すものであり、この場合縦軸には硬度が、ま
た横軸には溶接部の中心からのレール長手方向距離Xが
プロットされている。すでに述べたSKV溶接法に基づ
いて高合金部を使用して製作されねばならない従来技術
の、熱処理の施されていない溶接部(曲線III)に対
比して、本発明の方法では熱処理に基づいて、曲線IV
が示す通り著しく緩和された硬度谷間が生じるにすぎな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】微細パーライト組織化された(レールヘッドに
焼入れの施された)レールの対称平面を通って一部縦断
面して溶接区域を概略的に示した斜視図(A)と関連硬
度線図(B)である。
【図2】本発明の熱処理法を実施するためのトーチ構成
の斜視図である。
【図3】処理結果を示す従来技術による硬度と本発明に
よる硬度との比較特性線図である。
【符号の説明】
1 中間鋳物区域、 2 溶融線、 3 熱影響
ゾーン、 4 熱影響を受けないレール鋼区域、 5
微細パーライト組織化されたレールヘッド区域、
8 レール走行面、 9 ガスフレーム、 10
溶接部、 11 トーチ、 12 溶接部によっ
て影響を受けないレール区域、 13レール、 14
ガス噴出孔、 a レール走行面に対するトーチ間
隔、X レール長手方向距離
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−93838(JP,A) 特開 平1−197093(JP,A) 特開 昭54−161558(JP,A) 特開 昭59−116322(JP,A) 特開 平4−202626(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23K 23/00 B23K 31/00 B23K 9/038 B23K 9/00 C21D 1/38 C21D 9/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両方のレール端部を囲む鋳型内へテルミ
    ット反応によって生成した溶融鋼を注入することによ
    る、微細パーライト組織化されたレールの中間鋳物溶接
    法において、溶接部の冷却後に該溶接部及びこれに隣接
    した熱影響ゾーンの走行面を上方から、トーチによって
    迅速に50〜150秒の時間にわたって加熱し、走行面
    を前記トーチによって迅速に加熱する際にその都度少な
    くとも10000l/hの酸素と3500l/hのプロ
    パン又はアセチレンを前記トーチに供給し、かつトーチ
    ヘッドの燃焼面を、使用レールのメートル当りの重量の
    数値(測定単位kg)の0.1〜1.0倍に相当する値
    (測定単位mm)だけ前記溶接部及び熱影響ゾーンの走
    行面から隔てて位置決めすることを特徴とする、微細パ
    ーライト組織化されたレールの中間鋳物溶接法。
  2. 【請求項2】 メートル当り重量45〜70kgのレー
    ルにおける加熱時間として80〜120秒を選び、か
    つ、トーチヘッドの燃焼面を、レールのメートル当りの
    重量の数値(測定単位kg)の0.3〜0.7倍に相当
    する値(測定単位mm)だけ前記溶接部及び熱影響ゾー
    ンの走行面から隔てて位置決めする、請求項1記載の中
    間鋳物溶接法。
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