JP2004162106A - 高炭素鋼レールの製造方法 - Google Patents

高炭素鋼レールの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高炭素含有のレール鋼において、初析セメンタイト組織の生成を抑制し、疲労強度や靭性の低下を防止し、さらに、レール頭部の耐摩耗性、レール長手方向の材質の均一性、レール頭部の延性を確保する。
【解決手段】質量%で、C:0.90〜1.20%を含有する鋼レールにおいて、レール形状に熱間圧延終了後、200秒以内に、鋼レールの頭部、柱部および足部をオーステナイト域温度から冷却速度範囲1〜10℃/secで、少なくとも650℃まで加速冷却する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炭素含有のレール鋼において、初析セメンタイト組織の生成を抑制し、疲労強度や靭性の低下を防止し、さらに、レール頭部の耐摩耗性、レール長手方向の材質の均一性、レール頭部の延性を確保することを目的とした高炭素鋼レールの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、海外の石炭や鉄鉱石を輸送する重荷重鉄道や国内の貨物鉄道では、より一層の鉄道輸送の高効率化のために、貨物の高積載化を強力に進めており、特に急曲線のレールでは、G.C.部や頭側部の耐摩耗性が十分確保できず、摩耗によるレール寿命の低下が問題となってきた。このような背景から、現状の共析炭素含有の高強度レール以上の耐摩耗性を有するレールの開発が求められるようになってきた。
【0003】
この問題を解決するため、本発明者らは下記に示すようなレールを開発した。
▲1▼過共析鋼(C:0.85超〜1.20%)を用いて、パーライト組織中のラメラ中のセメンタイト密度を増加させた耐摩耗性に優れたレール(特許文献1)
▲2▼過共析鋼(C:0.85超〜1.20%)を用いて、パーライト組織中のラメラ中のセメンタイト密度を増加させ、同時に、頭部を熱処理することにより硬さを制御した、耐摩耗性に優れたレールおよびその製造法(特許文献2)。
▲3▼過共析鋼(C:0.85超〜1.20%)を用いて、パーライト組織中のラメラ中のセメンタイト密度を増加させ、同時に、頭部や柱部を熱処理することにより硬さを制御した、耐摩耗性に優れたレールおよびその製造法(特許文献3)。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−144016号公報
【特許文献2】
特開平8−246100号公報
【特許文献3】
特開平9−137228号公報
【0005】
これらのレールの特徴は、鋼の炭素量を増加し、パーライトラメラ中のセメタイト相の体積比率を増加させ、さらに、頭部、柱部を熱処理することにより、硬さや組織を制御することにより、パーライト組織の耐摩耗性や靭性を向上させるものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の▲1▼に示されたパーライト組織を呈する発明レール鋼では、高炭素化により耐摩耗性の向上が図れる。しかし、上記の発明レール鋼は、現行の共析炭素含有の高強度レール鋼よりも炭素量が高く、初析セメンタイト組織が生成し易い。
このため、初析セメンタイト組織が疲労き裂や脆性き裂の起点となり、レールの使用寿命が低下するといった問題があった。
【0007】
また、上記の▲2▼、▲3▼に示され熱処理方法では、レール頭部、さらには、柱部を加速冷却することにより、頭部のパーライト組織の硬さ確保や柱部の初析セメンタイト組織の生成抑制は可能である。しかし、レール足部は、上記熱処理方法では、初析セメンタイト組織の生成抑制は困難であった。
さらに、上記の▲2▼、▲3▼に示され熱処理方法は、レールの圧延長さの選択が不適切であると、レール長手方向で材質の均一性が確保されず、品質上大きな問題があった。また、最終圧延温度の選択が不適切であると、レール頭部の延性が大きく低下するといった問題があった。
【0008】
このような背景から、高炭素含有のレール鋼において、レール頭部、柱部、さらには、足部の初析セメンタイト組織の生成を抑制し、疲労き裂や脆性き裂の生成を防止し、同時に、レール頭部の耐摩耗性、レール長手方向の材質の均一性、レール頭部の延性を確保するレールの製造方法の開発が求められていた。
【0009】
すなわち、本発明は、高炭素含有のレール鋼において、熱間圧延終了後、ある一定時間内で、レール頭部、柱部、足部に加速冷却を行い、さらに、頭部の加速冷却速度、圧延時のレール長さ、最終圧延温度の選択の適正化を図り、初析セメンタイト組織の生成抑制より、疲労き裂や靭性き裂の発生を防止し、同時に、レール頭部の耐摩耗性、レール長手方向の材質の均一性やレール頭部の延性を確保することを目的としたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するものであって、その要旨とするところは次の通りである。
(1)質量%で、C:0.90〜1.20%を含有する鋼レールにおいて、レール形状に熱間圧延を終了した後、200秒以内に、鋼レールの頭部、柱部および足部をオーステナイト域温度から冷却速度範囲1〜10℃/secで、少なくとも650℃まで加速冷却することを特徴とする高炭素鋼レールの製造方法。
(2)(1)の製造方法において、鋼レールの頭部のオーステナイト域温度からの冷却速度を3〜15℃/secの範囲とし、少なくとも500℃まで加速冷却することを特徴とする高炭素鋼レールの製造方法。
(3)熱間圧延後のレール長さが、100〜200mの範囲であることを特徴とする(1)(2)の高炭素鋼レールの製造方法。
(4)レール頭部の熱間圧延終了温度が、850〜1000℃の範囲であることを特徴とする(1)〜(3)の高炭素鋼レールの製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
まず、本発明者らは、高炭素含有のレール鋼において、初析セメンタイト組織の生成が抑制可能な熱処理方法を検討した。その結果、熱間圧延後のレールにおいて、頭部、柱部に加えて、足部をオーステナイト域から加速冷却することにより、初析セメンタイト組織の生成が十分に抑制されることが確認された。
【0012】
次に、本発明者らは、実レール製造において、初析セメンタイト組織の生成が抑制可能な製造方法を検討した。その結果、実レール製造では、初析セメンタイト組は、熱間圧延終了後の経過時間とその後の加速冷却速度とのよい相関があり、熱間圧延終了後の経過時間をある一定範囲内とし、加速冷却速度をある一定範囲とし、その冷却終了温度を一定温度以上とすることにより、初析セメンタイト組織の生成が抑制できることを見出した。
【0013】
さらに、本発明者らは、上記の製造方法において、レール頭部の耐摩耗性を確保するレールの製造方法を検討した。その結果、レール頭部、柱部および足部のオーステナイト域からの加速冷却時に、レール頭部の加速冷却速度を、上記の冷却速度範囲よりも高い冷却速度範囲とすることにより、レール頭部の高硬度化が図れ、耐摩耗性が確保できることを見出した。
【0014】
これらの製造方法に加えて、本発明者らは、上記の製造方法において、レール長手方向の材質の均一性を確保するレールの製造方法を検討した。その結果、レール圧延時のレール長さがある一定の長さを超えると、圧延後のレール両端部と内部、さらには、圧延後のレール両端部の温度差やが過大となり、上記のレール製造方法では、レール全長に渡る温度や冷却速度の制御が困難となり、レール長手方向の材質が不均一になることがわかった。そこで、実レールの圧延実験により、材質の不均性が確保される最適な圧延長さを検討した結果、経済性を考慮すると、圧延長さにある一定の範囲が存在することを知見した。
【0015】
さらに、本発明者らは、上記の製造方法において、レール頭部の延性を確保するレールの製造方法を検討した。その結果、レール頭部の延性は熱間圧延終了温度と相関があり、レール頭部の熱間圧延終了温度をある一定範囲に制御することにより、レール頭部の延性が確保され、同時に、レール成形性も確保できることがわかった。
【0016】
したがって、本発明では、高炭素含有のレール鋼において、レール頭部、柱部、さらには、足部の初析セメンタイト組織の生成を抑制するため、熱間圧延終了後、ある一定時間内で、レール頭部、柱部、足部に加速冷却を行うことにより、疲労き裂や脆性き裂の発生に有害な初析セメンタイト組織の生成が抑制可能となり、さらに、頭部の加速冷却速度、圧延時のレール長さ、最終圧延温度の選択の適正化を図ることにより、レール頭部の耐摩耗性、レール長手方向の材質の均一性、レール頭部の延性を確保できることを知見した。
【0017】
すなわち、本発明は、高炭素含有のレール鋼において、初析セメンタイト組織の生成を抑制し、疲労強度や靭性の低下を防止し、さらに、レール頭部の耐摩耗性、レール長手方向の材質の均一性、レール頭部の延性を確保することを目的とした高炭素鋼レールの製造方法に関するものである。
【0018】
次に、本発明の限定理由について詳細に説明する。
(1)鋼レールの化学成分の限定理由
請求項1において、レール鋼の炭素量を上記請求範囲に限定した理由について詳細に説明する。
Cは、パーライト変態を促進させて、かつ、耐摩耗性を確保する有効な元素である。C量が0.90%未満では、パーライト組織中のセメンタイト相の体積比率が確保できず、耐摩耗性が維持できない。また、C量が0.90%未満では、自然冷却においても初析セメンタイト組織の生成量が少なく、本発明の製造方法を適用しても十分な効果が得られない。また、C量が1.20%を超えると、初析セメンタイト組織の生成が促進され、本発明の製造方法を適用しても、初析セメンタイト組織の生成を抑制できず、レールの疲労強度や靭性が低下する。このため、C量を0.90〜1.20%に限定した。
【0019】
上記のような成分組成で構成されるレール鋼は、転炉、電気炉などの通常使用される溶解炉で溶製を行い、この溶鋼を造塊・分塊あるいは連続鋳造し、さらに熱間圧延を経てレールとして製造される。
次に、この熱間圧延した高温度の熱を保有するレール頭部、柱部、足部に上記限定の加速冷却を施すことにより、疲労き裂や脆性き裂の発生に有害な初析セメンタイト組織の生成を抑制することが可能となる。
【0020】
なお、本発明熱処理方法においては、上記の成分組成以外については、特に限定するものではないが、パーライト組織の硬度(強化)の向上、パーライト組織の延性や靭性の向上、溶接部の熱影響部の軟化の防止、レール頭部内部の断面硬度分布の制御、初析セメンタイト組織の生成抑制を図る目的で、必要に応じて、Si、Mn、Cr、Mo、V、Nb、B、Co、Cu、Ni、Ti、Mg、Ca、Al、Zr、N等の元素を1種または2種以上を含有する成分系が望ましい。
【0021】
(2)加速冷却条件の限定理由
請求項1において、熱間圧延終了後の加速冷却開始までの経過時間、加速冷却速度、加速冷却温度範囲を上記特許請求の範囲に限定した理由について詳細に説明する。
まず、熱間圧延終了後の加速冷却開始までの経過時間について説明する。
加熱間圧延終了後の加速冷却開始までの経過時間が200秒を超えると、本成分系では、加速冷却前に初析セメンタイト組織の生成し、レールの疲労強度や靭性を低下させるため、加速冷却開始までの経過時間を200秒以内とした。
【0022】
なお、熱間圧延終了直後のレールは、圧延時のロール抜熱等により、断面内において温度のムラが発生し、このため、加速冷却後のレール断面内の材質が不均一となる。断面内において温度のムラを抑制し、レール断面内の材質を不均一化するには、圧延後、5秒以上経過した後に加速冷却を施すことが望ましい。
【0023】
次に、加速冷却速度の範囲について説明する。
加速冷却速度が1℃/sec未満では、本成分系では、初析セメンタイト組織の生成の抑制が困難となる。また、加速冷却速度が10℃/secを超えると、本成分系では、レール柱偏析部や足部偏析部にマルテンサイト組織が生成し、レールの靭性が大きく低下する。このため、加速冷却速度の範囲を1〜10℃/secの範囲に限定した。
【0024】
なお、上記の加速冷却速度は、加速冷却開始から終了までの平均的な冷却速度であり、冷却途中の冷却速度を示すものではない。したがって、加速冷却開始から終了までの平均的な冷却速度が上記限定範囲内であれば、初析セメンタイト組織の生成の抑制が可能となる。
【0025】
次に、加速冷却温度の範囲について説明する。
650℃を超えた温度で加速冷却を終了すると、加速冷却終了後に、レール内部から過大な復熱が発生する。この結果、温度上昇により、パーライト組織が生成せず、初析セメンタイト組織が生成する。このため、少なくとも650℃まで加速冷却を行うことを限定した。
なお、加速冷却を終了する温度の下限値は特に限定してないが、初析セメンタイト組織の生成を抑制し、かつ、柱偏析部のマルテンサイト組織の生成を防止するには、実質的に500℃が下限となる。
【0026】
(3)頭部加速冷却条件の限定理由
請求項2において、レール頭部の加速冷却速度、加速冷却温度範囲を上記請求範囲に限定した理由について詳細に説明する。レール頭部の加速冷却速度を柱部や足部の冷却速度より速くすることで、レール頭部の耐摩耗性を向上させることが可能となる。
【0027】
まず、加速冷却速度の範囲について説明する。本発明の成分系でレール頭部の加速冷却速度が3℃/sec未満では、レール頭部の高硬度化が十分ではなく、レール頭部の耐摩耗性の確保が困難となる。また、加速冷却速度が15℃/secを超えると、本成分系では、マルテンサイト組織が生成し、レール頭部の靭性が大きく低下する。このため、レール頭部の加速冷却速度の範囲を3〜15℃/secの範囲に限定した。
【0028】
次に、加速冷却温度の範囲について説明する。
500℃を超えた温度でレール頭部の加速冷却を終了すると、加速冷却終了後に、レール内部から過大な復熱が発生する。この結果、温度上昇によりパーライト変態温度が上昇し、パーライト組織の高硬度が図れず、耐摩耗性を確保できない。このため、少なくとも500℃まで加速冷却を行うことを限定した。
なお、レール頭部の加速冷却を終了する温度の下限は特に限定してないが、レール頭部の硬度を確保し、かつ、頭部内部の偏析部等に生成しやすいマルテンサイト組織の生成を防止するには、実質的に400℃が下限となる。
【0029】
(4)熱間圧延後のレール長さの限定理由
請求項3において、熱間圧延後のレール長さを上記範囲内に限定した理由について詳細に説明する。
熱間圧延後のレール長さが200mを超えると、圧延後のレール両端部と内部、さらには、圧延後のレール両端部の温度差やが過大となり、上記のレール製造方法を用いても、レール全長に渡る温度や冷却速度の制御が困難となり、レール長手方向の材質が不均一になる。また、熱間圧延後のレール長さが100m未満になると、圧延効率が低下し、レール製造がコストが増加する。このため、熱間圧延後のレール長さを100〜200mの範囲とした。
なお、製品としてレール長さを100〜200mを確保するには、この圧延長さに切りしろを加えて長さとすることが望ましい。
【0030】
(5)熱間圧延終了温度の限定理由
請求項4において、熱間圧延終了温度を上記範囲内に限定した理由について詳細に説明する。
熱間圧延終了温度が1000℃を超えると、上記の成分系では、レール頭部のパーライト組織が微細化せず、延性が十分に向上しない。また、熱間圧延終了温度が850℃未満では、レールとしての形状を制御することが困難となり、製品形状を満足したレールの製造が困難となる。また、レールの温度が低いため、圧延直後に初析セメンタイト組織が生成し、レールの疲労強度や靭性を低下させる。このため、熱間圧延終了温度を850〜1000℃の範囲とした。
【0031】
ここで、レールの部位について説明する。図1はレール各部位の呼称を示したものである。「頭部」とは、図1に示す主に車輪と接触する部分(符号:1)、「柱部」とは、図1に示すレール頭部よりも下部の断面厚さが薄い部分(符号:2)、「足部」とは、図1に示すレール柱部よりも下部の部分(符号:3)である。
【0032】
レール加速冷却時の冷却速度、加速冷却の温度範囲は、図1に示す頭部(符号:1)、足部(符号:3)のレール幅中央部、柱部(符号:2)のレール高さ中心部に相当する位置において、深さ0〜3mmの範囲を測定すれば、それぞれの部位を代表させることができる。
なお、レール断面内の硬度や組織形態を均一化するには、上記3点の冷却速度をなるべく同一とすることが望ましい。
【0033】
レール圧延時の圧延終了温度は、図1に示す頭部(符号:1)のレール幅中央部において、圧延直後の表面温度を測定すれば、所定の特性が得られる。
また、本製造方法によって製造された鋼レールの頭部の金属組織はパーライト組織であることが望ましいが、成分系、さらには、加速冷却条件の選択によっては、パーライト組織中に微量な初析フェライト組織、初析セメンタイト組織およびベイナイト組織が生成することがある。しかし、パーライト組織中にこれらの組織が微量に生成してもレールの疲労強度や靭性に大きな影響をおよぼさないため、本製造方法によって製造された鋼レールの頭部の組織としては、若干の初析フェライト組織、初析セメンタイト組織およびベイナイト組織の混在も含んでいる。
【0034】
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明する。
表1に供試レール鋼の化学成分を示す。
表2は、表1に示す供試レール鋼を用いて、本発明の製造方法で製造したレールの最終圧延温度、圧延長さ、圧延終了後から加速冷却開始までの経過時間、レール頭部、柱部、足部の加速冷却条件、ミクロ組織、さらに、落重試験結果、頭部硬さ、頭部引張試験の全伸び値の値を示す。
【0035】
表3は、表1に示す供試レール鋼を用いて、比較製造方法で製造したレールの最終圧延温度、圧延長さ、圧延終了後から加速冷却開始までの経過時間、レール頭部、柱部、足部の加速冷却条件、ミクロ組織、さらに、落重試験結果、頭部硬さ、頭部引張試験の全伸び値の値を示す。
【0036】
なお、レールの構成は以下のとおりである。
・本発明熱処理レール(8本) 符号A〜H
上記成分範囲内のレール鋼を、上記限定範囲内の製造条件で製造したレール。・比較熱処理レール(8本) 符号I〜P
上記成分範囲内のレール鋼を、上記限定範囲外の製造条件で製造したレール。
【0037】
各種試験条件は下記のとおり。
Figure 2004162106
【0038】
Figure 2004162106
【0039】
表2、表3に示すように、表1に示した高炭素含有のレール鋼において、レール頭部、柱部、足部に、熱間圧延終了後、ある一定時間内で、加速冷却を行う本発明製造方法で製造したレール(符号:A〜H)は、比較製造方法で製造したレール(符号:I〜P)と比べて、初析セメンタイト組織の生成を抑制し、疲労強度や靭性の低下が防止できた。
さらに、表2、表3に示すように、レール頭部の加速冷却速度の制御、圧延長さの適正化、最終圧延温度の制御を行うことにより、レール頭部の耐摩耗性、レール長手方向の材質の均一性、レール頭部の延性を確保することができた。
【0040】
上記のように、高炭素含有のレール鋼において、レール頭部、柱部、さらには、足部の初析セメンタイト組織の生成を抑制するため、熱間圧延終了後、ある一定時間内で、レール頭部、柱部、足部に加速冷却を行うことにより、疲労き裂や脆性き裂の発生に有害な初析セメンタイト組織の生成が抑制可能となり、さらに、頭部の加速冷却速度、圧延時のレール長さ、最終圧延温度の選択の適正化を図ることにより、レール頭部の耐摩耗性、レール長手方向の材質の均一性、レール頭部の延性を確保できた。
【0041】
【表1】
Figure 2004162106
【0042】
【表2】
Figure 2004162106
【0043】
【表3】
Figure 2004162106
【0044】
【発明の効果】
高炭素含有のレール鋼において、初析セメンタイト組織の生成を抑制し、疲労強度や靭性の低下を防止し、さらに、レール頭部の耐摩耗性、レール長手方向の材質の均一性、レール頭部の延性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レール各における部位の呼称を示す図。
【符号の説明】
1:頭部
2:柱部
3:足部

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.90〜1.20%を含有する鋼レールにおいて、レール形状に熱間圧延終了後、200秒以内に、鋼レールの頭部、柱部および足部をオーステナイト域温度から冷却速度範囲1〜10℃/secで、少なくとも650℃まで加速冷却することを特徴とする高炭素鋼レールの製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法において、鋼レールの頭部のオーステナイト域温度からの冷却速度を3〜15℃/secの範囲とし、少なくとも500℃まで加速冷却することを特徴とする高炭素鋼レールの製造方法。
  3. 熱間圧延後のレール長さが、100〜200mの範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の高炭素鋼レールの製造方法。
  4. レール頭部の熱間圧延終了温度が、850〜1000℃の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高炭素鋼レールの製造方法。
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