JPH08246101A - 耐摩耗性・耐損傷性に優れたパーライト系レールおよびその製造法 - Google Patents

耐摩耗性・耐損傷性に優れたパーライト系レールおよびその製造法

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JPH08246101A
JPH08246101A JP4675495A JP4675495A JPH08246101A JP H08246101 A JPH08246101 A JP H08246101A JP 4675495 A JP4675495 A JP 4675495A JP 4675495 A JP4675495 A JP 4675495A JP H08246101 A JPH08246101 A JP H08246101A
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JP
Japan
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rail
hardness
head
steel
temperature
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JP4675495A
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Masaharu Ueda
正治 上田
Hideaki Kageyama
英明 影山
Koichi Uchino
耕一 内野
Kouji Babazono
浩二 馬場園
Ken Kutaragi
献 久多良木
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 重荷重鉄道の急曲線区間レールに要求される
耐摩耗性および耐損傷性を向上させる。 【構成】 C :0.85超〜1.20%、Si:0.10〜1.00%、M
n:0.40〜1.50%を含有し、さらに必要に応じてCr,Mo,
V,Nb,Co,B の1種または2種以上を含む熱間圧延した高
温度の熱を保有する鋼レール、あるいは熱処理する目的
で高温に加熱された鋼レールの頭部において、頭部コー
ナー部をオーステナイト域温度から冷却停止温度 700〜
500 ℃までの間を 1〜10℃/secで加速冷却し、頭部コー
ナー部の硬さが Hv360以上で、かつ、頭頂部の硬さが H
v250〜320 の範囲にあることを特徴とする耐摩耗性・耐
損傷性に優れたパーライト系レールおよびその製造法。 【効果】 本発明レール鋼は従来レール鋼よりも炭素量
を高め、同時に頭部コーナー部と頭頂部に硬度差を設け
ることにより、従来レールよりも摩耗、損傷寿命が向上
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、重荷重鉄道の急曲線区
間レールに要求される耐摩耗性および耐損傷性を改善
し、レール使用寿命を大きく向上させたパーライト系レ
ールおよびその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鉄道輸送の高効率化の手段として、列車
速度の向上や列車積載重量の増加が図られている。この
ような鉄道輸送の効率化はレール使用環境の過酷化を意
味し、レール材質の一層の改善が要求されるに至ってい
る。具体的には、海外の重荷重鉄道の曲線区間に敷設さ
れたレールでは摩耗が急激に増加し、レールの高寿命化
の点で問題視されるようになった。
【0003】しかしながら、最近のレール高強度化熱処
理技術の向上により、共析炭素鋼を用いた微細パーライ
ト組織を呈した下記に示すような高強度(高硬度)レー
ルが開発され、重荷重鉄道の曲線区間のレール寿命を飛
躍的に改善してきた。 頭部がソルバイト組織、または、微細なパーライト組
織の超大荷重用の熱処理レール(特公昭54−2549
0号公報参照)。 Cr,Nbなどの合金を添加し、耐摩耗性ばかりでな
く溶接部の硬度低下を改善した低合金熱処理レールの製
造法(特公昭59−19173号公報参照)。 これらのレールの特徴は、共析炭素含有鋼による微細パ
ーライト組織を呈する横断面内の頭表面硬さが均一な高
強度レールであり、その目的とするところは耐摩耗性を
向上させるところにあった。
【0004】しかし、車輪とレールの接触状態は複雑で
あり、レール頭部の位置によっては車輪との接触環境が
大きく異なっている。たとえば、重荷重鉄道の急曲線部
では頭部コーナー部に作用するすべりが大きく、一方、
頭頂部では接触面圧が最も大きくなる。この結果、横断
面内の頭表面硬さが均一な従来の高強度・耐摩耗レール
では、すべり摩耗状態の頭部コーナー部ではころがり摩
耗状態の頭頂部と比較して摩耗が促進され、また、頭頂
部では常に頭部コーナー部よりも摩耗の進行が遅く、か
つ、車輪からの接触面圧は常に最大となっている。
【0005】レール頭部の摩耗特性が均一な従来の高強
度・耐摩耗レールでは、上記のような車輪との接触状態
になるため敷設直後の初期摩耗状態においては車輪との
なじみが遅く、局部的な過大接触面圧が長期間作用し、
疲労による内部損傷が発生しやすい。また、これに加え
て、レールと車輪がなじんだ後においても、頭頂部では
常に大きな接触面圧が作用し、これに加えて摩耗が少な
いため塑性変形にともなうころがり疲労層が蓄積し、き
しみ割れなどの表面損傷が発生するといった問題点があ
った。
【0006】この問題に対しては、ころがり疲労層が蓄
積する前にレール頭頂部表層を削正する方法もあるが、
削正には時間と費用がかさむことなどから、下記に示す
ようなレールが開発された。 レール頭部の断面硬度分布において頭部コーナー部の
硬さを頭頂部よりも高くする硬度差を設けることによ
り、頭部コーナー部では横断面の頭表面硬さが均一な従
来の高強度・耐摩耗レールと同等の耐摩耗性の確保と、
頭頂部では低硬度化によって最大面圧の低減(接触面積
の増加)・摩耗促進作用による耐表面損傷性の向上を図
った共析炭素含有鋼による微細パーライト組織を呈する
高強度・耐損傷レールが開発された。(特開平6−17
193号公報参照)。
【0007】しかし、近年、海外の重荷重鉄道ではより
一層の鉄道輸送の高効率化のために、貨物の高軸重化
(列車積載重量の増加)を強力に進めており、上記開発
レールを用いても、特に急曲線部においては頭頂部での
表面損傷の防止は可能であるが、頭部コーナー部では耐
摩耗性が確保できず、摩耗によるレール寿命の低下が大
きな問題となってきた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この問題を解決する方
法としては、レール頭部コーナー部のパーライト組織の
硬さを増加させて耐摩耗性をより一層向上させる方法が
ある。しかし、従来レール鋼の共析炭素含有のパーライ
ト組織では現状の硬さが上限であり、硬さの向上を狙っ
て熱処理冷却速度や合金の添加量を増加させると、パー
ライト組織中に硬いマルテンサイト組織が生成し、レー
ルの靭性と耐摩耗性を低下させるといった問題点があっ
た。
【0009】また、もう一つの解決策としてはパーライ
ト組織より耐摩耗性が高い金属組織を呈した材料をレー
ル鋼として使用する方法が考えられるが、レールと車輪
のようなころがり摩耗環境下では微細パーライト組織よ
りも安価で耐摩耗性に優れた材料は見いだされていない
のが現状である。
【0010】従来レール鋼として用いられてきた共析炭
素成分のパー組織は硬さの低いフェライト組織と板状の
硬いセメンタイト組織の層状構造になっている。本発明
者らはパーライト組織の摩耗機構を観察した結果、まず
はじめに車輪の通過により柔らかなフェライト組織が絞
り出され、その後ころがり面直下に硬いセメンタイトの
みが積み重なり、これに加工硬化が加わって耐摩耗性が
確保されていることを確認した。そこで、本発明者らは
耐摩耗性を得るためにパーライト組織の硬さを向上させ
ると同時に、炭素量を高くしてパーライト組織の耐摩耗
性を確保している板状の硬いセメンタイト組織比率を増
加させ、ころがり面直下でのセメンタイト密度を高める
ことにより靭性および延性を損なわず、耐摩耗性が飛躍
的に向上することを実験により見いだした。
【0011】さらに、本発明者らは上記のような炭素量
を増加させたパーライト組織を呈したレール頭部におい
て、頭部コーナー部の硬さを頭頂部よりも高くする硬度
差を設けることにより、従来の共析炭素含有鋼による頭
部断面内に硬度差を設けた上記レールで問題となってい
た頭部コーナー部の耐摩耗性を向上させ、同時に、頭頂
部の接触面圧の低減、摩耗の促進により初期摩耗状態の
車輪とレールのなじみを促進させ、かつ、ころがり疲労
層の蓄積を防止することが可能であることを実験室的に
確認した。
【0012】すなわち本発明は重荷重鉄道の急曲線区間
レールに要求される耐摩耗性および耐損傷性を改善し、
レール使用寿命を大きく向上させたレールを低コストで
提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するものであって、その要旨とするところは、重量%で C :0.85超〜1.20%、 Si:0.10〜
1.00%、Mn:0.40〜1.50%を含有して、
さらにCr:0.05〜0.60%、 Mo:0.0
1〜0.20%、V :0.02〜0.30%、 N
b:0.002〜0.050%、Co:0.10〜2.
00%、 B :0.0005〜0.005%の1種
または2種以上を含有して、残部が鉄および不可避的不
純物からなる熱間圧延した高温度の熱を保有する鋼レー
ル、あるいは熱処理する目的で高温に加熱された鋼レー
ルの頭部において、頭部コーナー部をオーステナイト域
温度から冷却停止温度700〜500℃までの間を1〜
10℃/secで加速冷却し、該鋼レールの頭部コーナー部
の硬さがHv360以上であり、かつ、頭頂部の硬さが
Hv250〜320であることを特徴とする耐摩耗・耐
損傷性に優れたパーライト系レールおよびその製造法で
ある。
【0014】以下、本発明について詳細に説明する。ま
ず、本発明においてレールの化学成分を上記のように限
定した理由について説明する。Cはパーライト変態を促
進させて、かつ、耐摩耗性を確保する有効な元素であ
り、通常のレール鋼としてはC量0.60〜0.85%
が添加されているが、C量0.85%以下では耐摩耗性
の向上を図るためのパーライト組織中のセメンタイト密
度が確保できない。また、C量1.20%を超えると旧
オーステナイト粒界の初析セメンタイトの量が増加し、
延性および靭性が大きく低下するため、C量を0.85
超〜1.20%に限定した。
【0015】Siはパーライト組織中のフェライト相へ
の固溶体硬化により強度を向上させる元素であるが、
0.10%未満ではその効果が十分に期待できず、ま
た、1.00%を超えるとレールの脆化をもたらし溶接
性も低下するので、Si量を0.10〜1.00%に限
定した。
【0016】MnはC同様にパーライト変態温度を低下
させ、焼き入れ性を高めることによって高強度化に寄与
し、さらに、初析セメンタイトの生成を抑制する元素で
あるが、0.40%未満の含有量はその効果が小さく、
また、1.50%を超えると偏析部にレールの靭性、耐
摩耗性に有害なマルテンサイト組織を生成させ易くする
ためにMn量を0.40〜1.50%に限定した。
【0017】また、上記の成分組成で製造されるレール
は強度、延性、靭性を向上させる目的で以下の元素を必
要に応じて1種類または2種以上を添加する。 Cr:0.05〜0.60%、 Mo:0.01〜
0.20%、V :0.02〜0.30%、 Nb:
0.002〜0.050%、Co:0.10〜2.00
%、 B :0.0005〜0.005%
【0018】次に、これらの化学成分を上記のように定
めた理由について説明する。Crはパーライトの平衡変
態点を上昇させ、結果としてパーライト組織を微細にし
て高強度化に寄与すると同時に、パーライト組織中のセ
メンタイト相を強化することによって耐摩耗性を向上さ
せる元素であるが、0.05%未満ではその効果が小さ
く、0.60%を超える過剰な添加はマルテンサイト組
織を生成させ、鋼を脆化させるため、Cr添加量を0.
05〜0.60%に限定した。
【0019】MoはCr同様パーライトの平衡変態点を
上昇させ、結果としてパーライト組織を微細にして高強
度化に寄与し、耐摩耗性を向上させる元素であるが、
0.01%未満ではその効果が小さく、0.20%を超
える過剰な添加はパーライト変態速度を低下させて靭性
に有害なマルテンサイト組織を生成させるため、Mo添
加量を0.01〜0.20%に限定した。
【0020】Vは熱間圧延時の冷却課程で生成したV炭
・窒化物による析出硬化で塑性変形能を高め、高温度に
加熱する熱処理が行われる際にオーステナイト粒の成長
を抑制する作用によりオーステナイト粒を微細化させ、
冷却後のパーライト組織を強化してレールに要求される
強度と靭性を向上させるのに有効な成分であるが、0.
03%未満ではその効果が期待できず、その反対に0.
30%を超えて含有させてもそれ以上の効果が期待でき
ないことから、V量を0.03〜0.30%に限定し
た。
【0021】NbはVと同様にNb炭・窒化物を形成し
てオーステナイト粒を細粒化する有効元素であり、その
オーステナイト粒成長抑制効果もVよりも高温度(12
00℃近傍)まで効果を示し、レールの延性と靭性を改
善する。その効果は、0.002%未満の少ない含有量
では期待できず、また、0.050%を超える過剰な含
有はそれ以上の効果が期待できない。従って、Nb量を
0.002〜0.050%に限定した。
【0022】Coはパーライトの変態エネルギーを増加
させて、パーライト組織を微細にすることにより強度を
向上させる元素であるが、0.10%未満の少ない含有
量ではその効果が期待できず、また、2.00%を超え
る過剰な添加では強化の効果が飽和域に達するため、C
o量を0.10〜2.00%に限定した。
【0023】Bは旧オーステナイト粒界から生成する初
析セメンタイトを抑制する効果があり、パーライト組織
を安定的に生成させるためには有効な元素である。しか
し、0.0005%未満ではその効果が弱く、0.00
50%を超えて添加するとBの粗大な化合物が生成し、
レール材質を劣化させるため0.0005〜0.005
0%に限定した。
【0024】上記のような成分組成で構成される鋼は、
転炉、電気炉などの通常使用される溶解炉で溶製を行
い、この溶鋼を造塊・分塊法あるいは連続鋳造法、さら
に熱間圧延を経てレールとして製造される。次に、この
熱間圧延した高温度の熱を保有するレール、あるいは熱
処理する目的で高温に加熱されたレール頭部において、
頭部コーナー部を加速冷却し、頭部コーナー部のパーラ
イト組織の硬さを向上させる。
【0025】次に、本発明においてレール頭部の硬さ分
布を上記のように限定した理由を説明する。はじめに、
図1に本発明の耐摩耗性・耐損傷性に優れたレールの頭
部断面表面位置の呼称を示す。レール頭部は、頭頂部
1、頭部コーナー部2を有しており、頭部コーナー2の
一部の一方は車輪と主に接触するゲージコーナー(G.
C.)部である。
【0026】まず、レール頭部コーナー部の硬さをHv
360以上に限定した理由について説明する。硬さがH
v360未満では、本成分系において重荷重鉄道の急曲
線区間レールの頭部コーナー部に要求されている耐摩耗
性を確保することが困難であり、さらに、G.C.部に
おいてレールと車輪の強い接触により金属塑性フローが
生成し、これにともないきしみ割れやフレーキングなど
の表面損傷が発生するため、レール頭部コーナー部の硬
さをHv360以上に限定した。
【0027】次に、レール頭頂部の硬さをHv250〜
320に限定した理由について説明する。硬さがHv2
50未満では、接触面圧の低減および摩耗の促進による
ころがり疲労層の蓄積防止は可能であるが、頭頂部の強
度が著しく不足し、摩耗によってころがり疲労層が除去
される前にきしみ割れなどの塑性変形起因の損傷が大き
く進展し、さらに、波状摩耗を誘発するため頭頂部の硬
さをHv250以上に限定した。また、硬さがHv32
0を超えるとレール頭頂部の接触面圧の低減および摩耗
の促進が不十分となり、頭頂部にころがり疲労層が蓄積
するため頭頂部の硬さをHv250〜320に限定し
た。
【0028】ここで、頭部コーナー部および頭頂部の硬
度については頭表面硬度のみについて限定しているが、
レールの摩耗による使用寿命を考慮すると、レール内部
については各部の表面を起点として少なくとも20mmの
範囲が所定の硬度を有することが望ましい。
【0029】次に、各冷却停止温度範囲および加速冷却
速度を上記のように限定した理由を詳細に説明する。ま
ず、オーステナイト域温度から冷却停止温度700〜5
00℃の範囲に限定した理由を説明する。700℃を超
える温度で加速冷却を停止すると、加速冷却直後にパー
ライト変態が開始し、粗大で、かつ、硬さの低いパーラ
イト組織が生成する。レール頭部コーナー部の硬さがH
v360以下になるためには700℃以下にする必要が
ある。また、500℃未満まで加速冷却を行うと、偏析
部などにレールの靭性・耐摩耗性に有害なマルテンサイ
ト組織が生成するため500℃以上に限定した。
【0030】次に、加速冷却速度を1〜10℃/secに限
定した理由を説明する。加速冷却速度が1℃/sec未満に
なると、加速冷却途中でパーライト変態が開始し、粗大
で、かつ、硬さの低いパーライト組織が生成し、レール
頭部コーナー部の硬さがHv360未満となることや、
頭部コーナー部にレールの靭性および延性に有害な初析
セメンタイトが多く生成するため1℃/sec以上に限定し
た。また、10℃/sec超で加速冷却を行うと、頭部コー
ナー部にレールの靭性、耐摩耗性および耐表面損傷性に
有害なベイナイトやマルテンサイトなどの異組織が生成
するため、1〜10℃/secに限定した。
【0031】従って、レール頭部コーナー部にHv36
0以上のパーライト組織を安定して生成させるには、粗
大で、かつ、硬さの低いパーライト組織および靭性、耐
摩耗性および耐表面損傷性に有害なマルテンサイトやベ
イナイト組織を生成しないように、頭部コーナー部をオ
ーステナイト域温度から冷却停止温度700〜500℃
までの間を1〜10℃/secで加速冷却し、低温度域で硬
さの高いパーライト組織を安定的に生成させる必要があ
る。
【0032】頭頂部の冷却については特に冷却速度を限
定していないが、硬度差を付与するため頭頂部の冷却速
度が頭部コーナー部よりも遅くなる冷却をすることが望
ましい。また、このような冷却を行うには、頭頂部と頭
部コーナー部に指向する冷却ノズルを用いて、ノズルと
レールとの距離およびノズルから出る冷媒の量を個別に
制御することにより製造することが可能である。
【0033】さらに、レールの金属組織としてはパーラ
イト組織であることが望ましいが、レールの冷却方法や
素材の偏析状態によってはパーライト組織中に微量な初
析セメンタイトが生成する場合がある。しかし、パーラ
イト組織中に微小な初析セメンタイトが生成してもレー
ルの強度、靭性、延性および耐摩耗性に大きな影響をお
よぼさないため、本パーライト系レールの組織としては
若干の初析セメンタイト組織の混在も含んでいる。
【0034】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。表
1に本発明レール鋼と比較レール鋼の化学成分を示す。
また、表2にレール頭部コーナー部の加速冷却速度、加
速冷却後の頭部コーナー部と頭頂部の硬さを示す。ここ
で、図2に本発明レールの頭部断面硬度分布の一例(符
号:H)を示す。
【0035】さらに、表2には図3に示すレールおよび
車輪の形状を1/4に縮尺加工した円盤試験片3,4に
よる水潤滑ころがり疲労試験装置でのレール試験片の頭
部コーナー部の最大摩耗量および頭頂部での表面損傷発
生の有無を併記した。また、図4に本発明レール鋼と比
較レール鋼の頭部コーナー部の最大摩耗量を比較して示
す。
【0036】なお、レールの構成は以下のとおりであ
る。 ・本発明レール(10本)符号:A〜J :上記成分範囲で、該鋼レールの頭部コーナー部の硬さ
がHv360以上で、かつ、頭頂部の硬さがHv250
〜320の範囲の頭部コーナー部に加速冷却を施した熱
処理レール。 ・比較レール(6本)符号:K〜P :共析炭素含有鋼による比較レール。また、ころがり疲
労試験の条件は次のとおりとした。 ・試験機 :ころがり疲労試験機(図3参照) ・試験片形状:円盤状試験片(外径:200mm、レール
材断面形状:136ポンドレールの1/4モデル) ・試験荷重 ラジアル荷重:2.0トン スラスト荷重:0.5トン ・ねじれ角 :0.5゜(急曲線再現) ・雰囲気 :乾燥+水潤滑(60cc/min) ・回転数 :乾燥;100rpm、水潤滑;300r
pm ・繰返し回数:0〜5000回まで乾燥状態、その後水
潤滑により100万回まで試験実施。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】表1に示したように本発明レール鋼は比
較レール鋼よりも炭素量を高め、同時に熱処理により図
2に示すように断面硬度分布において頭部コーナー部の
硬さを頭頂部よりも高くする硬度差を設けることによ
り、比較レールよりも頭部コーナー部の最大摩耗量が少
なく、また、頭部コーナー部の硬さが頭頂部よりも高い
従来の比較レールと同等の頭頂部での耐表面損傷性を有
している。このように本発明によれば、重荷重鉄道の急
曲線区間レールにおいても耐摩耗性および耐損傷性に優
れたレールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レール頭部断面表面位置の呼称を示す図。
【図2】本発明の実施例のレール頭部断面硬度分布の一
例を示した図。
【図3】ころがり疲労試験機の概略図。
【図4】ころがり疲労試験機における頭部コーナー部の
硬さと最大摩耗量の関係を示す図。
【符号の説明】
1:頭頂部 2:頭部コーナー部 3:レール円盤試験片 4:車輪試験片 5:モーター(レール側) 6:モーター(車輪側) 7:水潤滑装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 馬場園 浩二 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 久多良木 献 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C :0.85超〜1.20%、 Si:0.10〜1.00%、 Mn:0.40〜1.50%を含有して、残部が鉄およ
    び不可避的不純物からなる鋼レールで、該鋼レールの頭
    部コーナー部の硬さがHv360以上であり、かつ、頭
    頂部の硬さがHv250〜320であることを特徴とす
    る耐摩耗・耐損傷性に優れたパーライト系レール。
  2. 【請求項2】 重量%で、 C :0.85超〜1.20%、 Si:0.10〜1.00%、 Mn:0.40〜1.50%を含有して、さらにCr:
    0.05〜0.60%、 Mo:0.01〜0.20%、 V :0.02〜0.30%、 Nb:0.002〜0.050%、 Co:0.10〜2.00%、 B :0.0005〜0.005%の1種または2種以
    上を含有して、残部が鉄および不可避的不純物からなる
    鋼レールで、該鋼レールの頭部コーナー部の硬さがHv
    360以上であり、かつ、頭頂部の硬さがHv250〜
    320であることを特徴とする耐摩耗・耐損傷性に優れ
    たパーライト系レール。
  3. 【請求項3】 重量%で、 C :0.85超〜1.20%、 Si:0.10〜1.00%、 Mn:0.40〜1.50%を含有して、残部が鉄およ
    び不可避的不純物からなる熱間圧延した高温度の熱を保
    有する鋼レール、あるいは熱処理する目的で高温に加熱
    された鋼レールの頭部において、頭部コーナー部をオー
    ステナイト域温度から冷却停止温度700〜500℃ま
    での間を1〜10℃/secで加速冷却し、該鋼レールの頭
    部コーナー部の硬さがHv360以上であり、かつ、頭
    頂部の硬さがHv250〜320であることを特徴とす
    る耐摩耗・耐損傷性に優れたパーライト系レールの製造
    法。
  4. 【請求項4】 重量%で、 C :0.85超〜1.20%、 Si:0.10〜1.00%、 Mn:0.40〜1.50%を含有して、さらにCr:
    0.05〜0.60%、 Mo:0.01〜0.20%、 V :0.02〜0.30%、 Nb:0.002〜0.050%、 Co:0.10〜2.00%、 B :0.0005〜0.005%の1種または2種以
    上を含有して、残部が鉄および不可避的不純物からなる
    熱間圧延した高温度の熱を保有する鋼レール、あるいは
    熱処理する目的で高温に加熱された鋼レール頭部におい
    て、頭部コーナー部をオーステナイト域温度から冷却停
    止温度700〜500℃までの間を1〜10℃/secで加
    速冷却し、該鋼レールの頭部コーナー部の硬さがHv3
    60以上であり、かつ、頭頂部の硬さがHv250〜3
    20であることを特徴とする耐摩耗・耐損傷性に優れた
    パーライト系レールの製造法。
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