JP3254051B2 - 耐表面損傷性に優れた高強度ベイナイト鋼レールの製造方法 - Google Patents

耐表面損傷性に優れた高強度ベイナイト鋼レールの製造方法

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JP3254051B2
JP3254051B2 JP18166493A JP18166493A JP3254051B2 JP 3254051 B2 JP3254051 B2 JP 3254051B2 JP 18166493 A JP18166493 A JP 18166493A JP 18166493 A JP18166493 A JP 18166493A JP 3254051 B2 JP3254051 B2 JP 3254051B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、重荷重鉄道の直線区間
に敷設されたレール頭頂部ならびに緩曲線区間の頭部コ
ーナー部の耐表面損傷性の改善と、高速旅客鉄道などの
急曲線区間の外軌に敷設されるレールの頭部コーナー部
の耐摩耗性および内軌レール頭部表面の耐表面損傷性の
改善を目的とした高強度ベイナイト鋼レールに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、鉄道輸送のエネルギー効率、輸送
効率が再認識され、その一環として従来以上に高速化指
向および重積載化傾向が強まってきている。重荷重鉄道
においては重積載化に伴う急曲線区間のレール摩耗に対
処するため積極的にレール材の高強度化・高硬度化を図
ってきた。その結果、パーライト組織の微細化により高
強度・高硬度化を達成し、曲線区間のレール摩耗を大幅
に改善するに至った。しかしながら一方ではより一層の
輸送効率の向上が計画され、これに伴って直線区間およ
び緩曲線区間のレール摩耗および表面損傷の増加が問題
となってきた。従来から重荷重鉄道においては、このよ
うな表面損傷に対処するため一定期間毎にレール表面を
グラインディング削正しており、保線に要する経費は益
々増大する傾向を示している。さらに保線の観点から、
高強度化したレールの靭性改善も安全性確保の観点から
重要課題となっており、敷設レールのより一層の省力
化、長寿命化が最大関心事となっている。
【0003】また、鉄道輸送の高速化は新幹線のみなら
ず、在来線についても具体的な計画が打ち出されてお
り、これに伴って直線区間の高速運転区間で発生するレ
ール頭表面の損傷がレール材質の重要な課題となってき
た。一方、従来から旅客鉄道の急曲線区間には、普通炭
素鋼パーライト組織レールを熱処理によって高強度化す
る高強度熱処理レールが使用されてきたが、重荷重鉄道
同様に外軌に敷設されたレール頭部コーナー部に局部的
な摩耗が生成し、摩耗のさほど激しくないレール頭表面
との境界部に剥離性損傷を発生させ騒音・振動の原因と
なり、さらに内軌レールにおいても表面に激しい剥離損
傷が発生する問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】重荷重鉄道のより一層
の重積載化によって顕在化してきた直線区間および緩曲
線区間に敷設されたレールには、表面損傷が多発してお
り、これに伴って実施されているレール表面のグライン
ディングによる削正頻度も頻繁を極め、保線作業の軽減
のためには、表面損傷の生成原因であるころがり疲労層
の自己除去効果すなわち適正な摩耗促進が表面損傷の生
成を抑制し、グラインディング作業を軽減するポイント
となる。一方、比較的荷重の軽い高速旅客鉄道において
も、急曲線区間の外軌レールでは従来からパーライト組
織を微細化した高強度レールが敷設されたきたが、頭部
コーナー部の摩耗を抑制できたものの、その頭頂面側表
面に損傷が生成したり、内軌レールの頭部表面において
も摩耗が抑制されることによって剥離損傷が発生する問
題があった。
【0005】最近開発された高強度でかつ摩耗しやすい
ベイナイト鋼レールは、図1に示すように従来のパーラ
イト鋼レールよりも硬さが高くても摩耗量が多くなる特
徴を有しており、レール頭部に特別な冷却制御を行うこ
となく圧延ままでベイナイト組織を生成させ、直線区間
での車輪の繰り返し接触で蓄積するレール頭部表面の疲
労ダメージ層を摩耗によって除去し、また曲線区間ある
いは高速蛇行運転区間では、車輪フランジがレールコー
ナー部に強く押しつけられるために生成する塑性変形、
塑性フロー起因の表面損傷を防止する高強度・高合金ベ
イナイト鋼レールが開示されている。このレールは、重
量%でC;0.15〜0.45%、Si;0.15〜
1.20%、Mn;0.30〜1.00%、Cr;2.
00〜4.00%、Mo;0.20〜0.60%、これ
に必要に応じてNb,V,Tiの一種または二種以上を
含有する鋼レールにおいて、圧延後の硬さがHv370
以上を有することを特徴としているが、重荷重鉄道の直
線区間に敷設し、レール頭頂部表面に生成する表面損傷
を防止するためにはほぼ適正な硬度を有しているもの
の、緩曲線もしくはこれに近い運転状況を伴う蛇行区間
では、レール頭部コーナー部の硬さが不足しているた
め、レール頭部コーナー部の表面損傷を完全に防止する
ことができない問題点があり、さらに内軌レールの表面
に生成する剥離性損傷も完全に抑制することができない
という問題点があった。
【0006】一方、高速旅客鉄道の急曲線区間において
も、内軌レールの頭部表面に生成する損傷を完全に防止
するためには、その曲率に合わせて摩耗によって表面損
傷の芽を摘み取る必要があり、適正な硬度による摩耗制
御が要求される。そして、外軌レールにおいては、頭部
コーナー部は摩耗しにくく、レール頭頂面側表面は表面
損傷の完全な防止のために摩耗をある程度促進させてや
る必要がある。このような観点から、超高速旅客鉄道の
急曲線区間のレールとしては、外軌レール頭部コーナー
部は摩耗しにくく、その頭表面側コーナー部表面はある
程度摩耗を促進するために硬度を低めに制御する必要が
ある。
【0007】このような課題に対して、本発明レールは
適正な摩耗を確保することによって表面損傷の原因とな
る、ころがり疲労ダメージを摩耗により除去し、かつレ
ール頭部を高強度化することによって塑性変形によって
もたらされる表面損傷の発生抑制を果たそうとするもの
である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、直線区間に敷
設される重荷重鉄道用レールの頭頂部ならびに頭部コー
ナーの耐表面損傷性の改善と、高速旅客鉄道などの曲線
区間の外軌に敷設されるレールの頭部コーナー部の耐摩
耗性および内軌レール頭部表面の耐表面損傷性の改善を
目的とした高強度ベイナイト鋼レールの製造方法を提供
するもので、その要旨はC ;0.15〜0.45%、
Si;0.15〜1.20%、Mn;0.30〜
2.00%、 Cr;0.50〜3.00%、これに
必要に応じてMo;0.10〜0.60%、 Ni;
0.05〜4.00%、Cu;0.05〜0.50%、
Nb;0.01〜0.05%、V ;0.05〜
0.30%、 Ti;0.01〜0.05%、B ;
0.0005〜0.0050%の一種または二種以上を
含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼で、
熱間圧延を終え、あるいは熱処理する目的で加熱された
オーステナイト域温度以上の熱を保有する高温度レール
を、レール頭部側面から1〜10℃/secで加速冷却し、
500〜350℃間で加速冷却を停止し、その後常温ま
でを1〜40℃/minで冷却し、該レール頭頂部の硬度が
ビッカース硬度Hv300〜400、頭部コーナー部の
硬度がビッカース硬度Hv400以上である耐表面損傷
性に優れた高強度ベイナイト鋼レールの製造方法であ
る。すなわち、本発明は、レール頭頂部の硬さを抑制す
ることにより摩耗を促進させ、レール頭頂面損傷を防止
すると共に、レール頭部コーナー部の硬さをHv400
以上にすることによって曲線区間およびこれに準ずる敷
設環境に敷設されたレール頭部コーナー部の摩耗を抑制
し、かつ表面損傷を防止したレールである。
【0009】本発明が上記のようにそれぞれの化学成分
に限定した理由を以下に説明する。Cは一定の硬さを確
保し、ベイナイト組織を安定的に生成させるための重要
な元素であり、0.15%未満の少い含有量ではレール
鋼の硬さを確保することが難しくなるばかりか、塑性変
形に対して抵抗性の低いフェライト組織が混入してしま
い、また0.45%を超えるとレール頭頂面の耐摩耗性
をかえって向上させ、ころがり疲労損傷ダメージ蓄積に
有害なパーライト組織が生成してしまうため、0.15
〜0.45%に限定した。Siはベイナイト組織中の素
地に固溶することによって強度を上昇させる元素であ
り、0.15%未満ではその効果が期待できず、また
1.20%を超えるとベイナイト組織中に島状のマルテ
ンサイト組織が生成し、靭性を劣化させるため0.15
〜1.20%に限定した。
【0010】MnはC同様に安価にレール硬度を増加さ
せる元素であり、0.3%未満ではそれらの効果が少な
く、また2.00%を超えるとC同様にレール頭頂面の
ころがり疲労損傷ダメージの蓄積に有害なパーライト組
織が生成してしまうため、0.30〜2.00%に限定
した。Crはベイナイト組織中の炭化物を微細に分散さ
せ強度を確保するために重要な元素であるが、0.5%
未満ではその効果が期待できず、3.00%を超えると
かえって微細な炭化物が耐摩耗性を向上させることにな
り、疲労ダメージの除去に有害となるばかりか、焼入性
が向上してしまい、熱処理が施されるレール頭部コーナ
ー部にマルテンサイト組織が生成してしまうため0.5
0〜2.00%に限定した。
【0011】さらに、本発明は上記のような成分組成に
Mo,Ni,Cu,Nb,V,Ti,Bなどの一種また
は二種以上を必要に応じて添加する。Moはベイナイト
組織の安定的な生成に重要な元素であり、化学成分の組
み合わせあるいは、熱処理条件に応じてベイナイト組織
の安定化のために用いる。その添加量の範囲は、0.1
0〜0.60%で0.10%未満ではその効果が期待で
きず、また、0.60%を超えるとベイナイト変態速度
が極端に低下してしまい、ベイナイト組織中にマルテン
サイト組織が生成してしまうため0.10〜0.60%
に限定した。NiおよびCuもベイナイト組織を安定的
に生成させる元素であり、Ni,Cuともに固溶体硬化
によってベイナイト組織素地の硬さ向上に有効であり、
Cuは0.05%未満ではその効果は少なく、0.50
%を超えると赤熱脆性を生じさせるため0.05〜0.
50%に限定した。NiはCuの赤熱脆性を緩和させる
元素として公知であるが0.05%未満ではその効果お
よび固溶体硬化は期待できず、また4.00%を超える
とオーステナイトの安定化によってベイナイト変態速度
を低下させマルテンサイト組織を生成させるため0.0
5〜4.00%に限定した。
【0012】さらにNb,Tiなどのオーステナイト結
晶粒微細化元素を添加することによってベイナイト組織
を微細化し、レール鋼の靭性および延性を改善すること
ができる。Nbは、オーステナイト再結晶抑制元素とし
て知られており、レール圧延時の制御圧延と組み合わせ
ることによりベイナイト組織を一層微細化することがで
きる。しかし、この作用が期待できる添加下限量は0.
01%以上であり、また0.05%を超えると粗大なN
bの炭窒化物が生成してかえって脆化をもたらすため、
0.01〜0.05%に限定した。Tiはレール圧延時
の加熱時オーステナイト粒を細粒化させる元素として知
られており、このとき有効な下限添加量は0.01%で
あり、0.05%を超えるとTi炭窒化物が粗大化し、
レール頭部内部から生成する疲労き裂の起点となるため
有害である。そこでTiの添加範囲を0.01〜0.0
5%に限定した。VはV(C,N)の析出によってベイ
ナイト組織材を強化する作用を有し、この析出硬化は金
属組織の塑性フローによるレール頭部コーナー部表面に
生成する損傷の防止に効果的であり、この析出硬化は耐
摩耗性向上に寄与しないため、摩耗を促進させてころが
り疲労層の除去を意図したレール頭頂面損傷の生成防止
に好都合な元素である。この効果の期待できる下限添加
量は0.05%であり、0.30%を超えるとV(C,
N)の粗大化によってかえって脆化を生じさせるため、
0.05〜0.30%に限定した。Bはオーステナイト
粒界から生成するフェライトの生成を抑制する効果があ
り、ベイナイト組織を安定的に生成させるためには有効
な元素であり、0.0005%未満ではその効果が弱
く、0.0050%を超えて添加するとBの粗大な化合
物が生成しレール材質を劣化させるため0.0005〜
0.0050%に限定した。
【0013】本発明は上記のような成分組成を有するベ
イナイト鋼レールを、熱間圧延を終え、あるいは熱処理
する目的で加熱されたオーステナイト域温度以上の熱を
保有する高温度から、レール頭部側面に対局した一対の
ノズルにより1〜10℃/secの冷却速度で加速冷却し、
500〜300℃間で冷却を停止した後、その後常温ま
でを1〜40℃/minで冷却し、該レール頭頂部の硬度が
ビッカース硬度Hv300〜400、頭部コーナー部の
硬度がビッカース硬度Hv400以上である耐表面損傷
性に優れた高強度ベイナイト鋼レールを製造する。すな
わち、重荷重鉄道の直線区間で生成するレール頭頂面損
傷を硬度を抑制することによって摩耗を促進させて防止
するとともに、緩和曲線区間などで生ずるレール頭部コ
ーナー表面を高硬度化することによって摩耗を抑制し、
また高速旅客鉄道における急曲線区間においては外軌レ
ール頭部コーナー部の摩耗を抑制し、内軌レール頭頂面
の表面損傷の生成を防止するレールを製造することがで
きる。
【0014】このとき、高温度レール側面を加速冷却す
る冷却速度を1〜10℃/secに限定した理由は、1℃/s
ec未満の遅い冷却速度ではレール頭部コーナー部を目的
とするHv400以上の高硬度とすることができず、ま
た10℃/secを超える速い冷却速度ではレール頭部コー
ナー部表面に過冷却により局部的にマルテンサイト組織
が生成してしまうため1〜10℃/secに限定した。
【0015】ここでレール頭部コーナー部の硬度をHv
400以上に限定した理由は、重荷重鉄道の緩曲線区間
では、車輪がレール頭部コーナー部に押し付けられるた
め生成するレール頭部コーナー部表面損傷をパーライト
組織鋼よりも同一硬度で摩耗が大きいベイナイト組織に
よって防止するためにはHv400以上の硬度が必要で
あり、摩耗速度も問題となるほど大きくない。また比較
的荷重の軽い旅客鉄道で急曲線区間に敷設されたとき、
外軌レール頭部コーナー部に十分な耐摩耗性を発揮させ
るためにはHv400以上の硬さが必要となる。なお、
レール頭頂部の硬度をHv300〜400に限定した理
由は、Hv300未満では硬度不足のため曲線区間の内
軌レール頭頂面に表面損傷が生成するばかりか、波状摩
耗が生成して高速鉄道の速度向上に重要な支障をきた
し、重荷重鉄道の直線区間においても波状摩耗の生成が
懸念される。また、レール頭頂部がHv400を超える
と重荷重鉄道のレール頭頂面損傷の防止を意図したころ
がり疲労層の摩耗による除去が果たされず、早期にレー
ル頭頂面損傷が生成してしまうため、レール頭頂部硬度
範囲をHv300〜400に限定した。
【0016】また、加速冷却後の冷却停止温度を500
〜350℃に限定した理由は、500℃を超える高い温
度で冷却を停止すると、その後のレール頭部内部からの
復熱を受けてレール頭部表面のベイナイト変態温度が上
昇してしまい、レール頭頂部およびコーナー部の硬度を
確保することができなくなる。さらに冷却停止温度が3
50℃未満の低い温度になると、過冷却によりレール頭
部コーナー部表面にマルテンサイト組織が生成するばか
りか、内部にもマルテンサイト組織が生成してしまいレ
ール頭部の靭性を低下させるため冷却停止温度を500
〜350℃の範囲に限定した。
【0017】以上のような熱処理をレール頭部に施すこ
とにより、重荷重鉄道における直線区間に敷設されたレ
ールの頭頂面損傷を防止し、緩曲線区間のレール頭部コ
ーナー部の摩耗を抑制するとともに、適度な摩耗の促進
によりコーナー部表面の損傷発生を防止することができ
る。また新幹線のような高速鉄道の急曲線区間において
問題となる外軌レール頭部コーナー部の摩耗抑制と内軌
レール頭表面の損傷防止を同時に達成する長寿命レール
を提供することができる。
【0018】
【実施例】次に本発明の実施例について説明する。表1
には、本発明鋼の代表的な化学成分と熱処理条件を示
す。図2は、JIS60キロレールの頭部横断面表面位
置の呼称部位を表示したもので、1はレール頭頂部、2
は頭部コーナー部である。図3は本発明の一実施態様例
のレール頭部横断面内の硬度分布を示す。頭頂部の硬度
に対して、頭部コーナー部の硬度が高くなっている。本
発明レールは頭頂部の硬度がビッカース硬度Hv300
〜400、頭部コーナー部の硬度がHv400以上にな
っている。また、図4はレール頭部の各種表面損傷を評
価するための実験評価試験機(特許登録番号11831
62)の概略図を示したもので、表2には本発明ベイナ
イト鋼レールと比較鋼として従来鋼のパーライト組織レ
ールと、比較鋼ベイナイト鋼レールについて所定の熱処
理を施し、図4に示す曲げ加工レール3の頭部に接して
車輪4が回転走行する実験室評価試験において曲線区間
に相当する車輪接触条件下で表面損傷発生寿命を求めた
試験結果について示す。表3は、同様に直線区間に相当
する車輪の接触条件を与えた試験結果を示した。実験室
評価試験は、所定の熱処理を施したレールを頭部を内側
にして6mに曲げ加工し、実際の新幹線で使用されてい
る車輪を用いて行った。試験条件は、レールと車輪の接
触条件を曲線区間の接触条件の再現として車輪に横圧を
負荷し、レール頭部コーナー部に車輪フランジを押し付
けてレール頭部コーナー部表面に生成する損傷の評価試
験を、また直線区間再現としてレール頭頂面と車輪中央
を接触させ、頭頂面損傷発生特性の評価を行った。な
お、損傷発生寿命の表示は、実際に鉄道で行われている
列車の累積通過トン数で表示した。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、上記実施例からもわか
るようにレール頭部コーナー部の硬さをHv400以上
にすることによって、コーナー部表面の損傷発生寿命を
比較鋼と比べ大幅に改善でき、さらにレール頭頂面の硬
さをHv300〜400に制御することによってレール
頭頂面の表面損傷の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】西原式摩耗試験機における摩耗量と、レール材
組織および硬さの関係を示した図。
【図2】レール頭部横断面表面位置の呼称部位を表示し
た図。
【図3】本発明の実施例の頭部横断面硬度分布を示した
図。
【図4】実レールの曲げ加工レールの表面損傷評価試験
機の概略図である。
【符号の説明】
1 レール頭頂部 2 レール頭部コーナー部 3 曲げ加工レール 4 車輪
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−330175(JP,A) 特開 平2−282448(JP,A) H.ICHINOSE et.a l.”AN INVESTIGATIO N ON CONTACT FATIG UE AND WEAR RESIST ANCE BEHAVIOUR IN RAIL STEELS”HEAVY HAUL RAILWAYS CONF ERENCE SESSION307 (1978) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 9/04 C22C 38/00 - 38/60

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で C ;0.15〜0.45% Si;0.15〜1.20% Mn;0.30〜2.00% Cr;0.50〜3.00% を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼
    で、熱間圧延を終え、あるいは熱処理する目的で加熱さ
    れたオーステナイト域温度以上の熱を保有する高温度レ
    ールを、レール頭部側面から1〜10℃/secで冷却し、
    500〜350℃間で加速冷却を停止し、その後常温ま
    でを1〜40℃/minで冷却し、該レール頭頂部の硬度が
    ビッカース硬度Hv300〜400、頭部コーナー部の
    硬度がビッカース硬度Hv400以上であることを特徴
    とする耐表面損傷性に優れた高強度ベイナイト鋼レール
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 重量%で C ;0.15〜0.45% Si;0.15〜1.20% Mn;0.30〜2.00% Cr;0.50〜3.00% を含有し、さらに Mo;0.10〜0.60% Ni;0.05〜4.00% Cu;0.05〜0.50% Nb;0.01〜0.05% V ;0.05〜0.30% Ti;0.01〜0.05% B ;0.0005〜0.0050% の一種または二種以上を含有し、残部が鉄および不可避
    的不純物からなる鋼で、熱間圧延を終え、あるいは熱処
    理する目的で加熱されたオーステナイト域温度以上の熱
    を保有する高温度レールを、レール頭部側面から1〜1
    0℃/secで冷却し、500〜350℃間で加速冷却を停
    止し、その後常温までを1〜40℃/minで冷却し、該レ
    ール頭頂部の硬度がビッカース硬度Hv300〜40
    0、頭部コーナー部の硬度がビッカース硬度Hv400
    以上であることを特徴とする耐表面損傷性に優れた高強
    度ベイナイト鋼レールの製造方法。
JP18166493A 1993-02-26 1993-07-22 耐表面損傷性に優れた高強度ベイナイト鋼レールの製造方法 Expired - Lifetime JP3254051B2 (ja)

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