JPH04129747A - インク飛翔記録方法及びその装置 - Google Patents

インク飛翔記録方法及びその装置

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JPH04129747A
JPH04129747A JP25304490A JP25304490A JPH04129747A JP H04129747 A JPH04129747 A JP H04129747A JP 25304490 A JP25304490 A JP 25304490A JP 25304490 A JP25304490 A JP 25304490A JP H04129747 A JPH04129747 A JP H04129747A
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Shuji Motomura
本村 修二
Masafumi Kadonaga
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、ノンインパクト記録法の一つであるインク飛
翔記録方法及びその装置に関する。
従来の技術 ノンインパクト記録法は、記録時の騒音発生が無視でき
る程度に小さい点で、オフィス用等として注目されてい
る。その内、高速記録可能で、いわゆる普通紙に特別の
定着処理を要せずに記録できる、いわゆるインクジェッ
ト記録法は極めて有力な方法であり、従来から種々の方
式が提案され、又は既に製品化されて実用されている。
このようなインクジェット記録法は、いわゆるインクと
称される記録液体の小滴を飛翔させ、被記録体に付着さ
せて記録を行うもので、記録液体の小滴の発生法及び小
滴の飛翔方向を制御するための制御方法により、幾つか
の方式に大別される。
第1の方式は、例えば米国特許第3060429号明細
書に開示されているものである。これは、Te]、e 
type方式と称され、記録液体の小滴の発生を静電吸
引的に行い、発生した小滴を記録信号に応じて電界制御
し、被記録体上にこの小滴を選択的に付着させて記録を
行うものである。
より詳細には、ノズルと加速電極間に電界をかけて、−
様に帯電した記録液体の小滴をノズルより吐出させ、吐
出した小滴を記録信号に応じて電気制御可能なように構
成されたxy偏向電極間を飛翔させ、電界の強度変化に
よって選択的に小滴を被記録体上に付着させるものであ
る。
第2の方式は、例えば米国特許第3596275号明細
書、米国特許第3298030号明細書等に開示されて
いるものである。これは、Sweet方式と称され、連
続振動発生法により帯電量の制御された記録液体の小滴
を発生させ、この帯電量の制御された小滴を、−様電界
がかけられている偏向電極間を飛翔させて、被記録体上
に記録を行わせるものである。
具体的には、ピエゾ振動素子の付設されている記録ヘッ
ドを構成する一部であるノズルのオリフィス(吐出口)
の前に記録信号が印加されるようにした帯電電極を所定
距離離間させて配置し、前記ピエゾ振動素子に一定周波
数の電気信号を印加することでピエゾ振動素子を機械的
に振動させ、オリフィスより記録液体の小滴を吐出させ
る。この時、吐出する小滴には帯!!電極により電荷が
静電誘導され、小滴は記録信号に応じた電荷量で帯電さ
れる。帯電量の制御された小滴は、一定電界が一様にか
けられている偏向電極間を飛翔する時に、付加された帯
電量に応じて偏向を受け、記録信号を担う小滴のみが被
記録体上に付着することになる。
第3の方式は、例えば米国特許第3416153号明細
書に開示されているものである。これは、Hertz方
式と称され、ノズルとリング状の帯電電極間に電界をか
け、連続振動発生法によって、記録液体の小滴を発生霧
化させて記録させる方式である。即ち、ノズルと帯電電
極間にかける電界強度を記録信号に応じて変調すること
により小滴の霧化状態を制御し、記録画像の階調性を出
して記録させ・るものである。
第4の方式は、例えば米国特許第3747120号明細
書に開示されているものである。これは、S temm
e方式と称され、第1〜3の方式とは根本的に原理が異
なるものである。即ち、第1〜3の方式が、何れもノズ
ルより吐出された記録液体の小滴を、飛翔している途中
で電気的に制御し、記録信号を担った小滴を選択的に被
記録体上に付着させて記録を行わせるのに対し、このS
 temme方式では、記録−信号に応じて吐出口より
記録液体の小滴を吐出飛翔させて記録するものである。
つまり、S temme方式は、記録液体を吐出する吐
出口を有する記録ヘッドに付設されているピエゾ振動素
子に、電気的な記録信号を印加してピエゾ振動素子の機
械的振動に変え、この機械的振動に従い吐出口より記録
液体の小滴を吐出飛翔させて被記録体に付着させるもの
である。
これらの4方式は、各々に特長を有するが、同時に、解
決すべき課題点もある。
まず、第1〜第3の方式は、記録液体の小滴を発生させ
るための直接的エネルギーが電気的エネルギーであり、
かつ、小滴の偏向制御も電界制御による。よって、第1
の方式は、構成上はシンプルであるが、小滴の発生に高
電圧を要し、がっ、記録ヘッドのマルチノズル化が困難
で高速記録には不向きである。
第2の方式は、記録ヘッドのマルチノズル化が可能で高
速記録に向くが、構成上複雑であり、かつ、記録液体の
小滴の電気的制御が高度で困難であり、被記録体上にサ
テライトドツトが生じやすい。
第3の方式は、記録液体の小滴を霧化することにより階
調性に優れた記録が可能ではあるが、他方、霧化状態の
制御が困難である。また、記録画像にカブリが生ずると
か、記録ヘッドのマルチノズル化が困難で高速記録には
不向きであるといった欠点がある。
一方、第4の方式は、比較的多くの利点を持つ。
まず、構成がシンプルである。また、オンデマンドで記
録液体をノズルの吐呂口より吐出させて記録を行うため
に、第1〜第3の方式のように吐出飛翔する小滴の内、
画像記録に要しなかった小滴を回収する必要がない。ま
た、第1,2の方式のように、導電性の記録液体を使用
する必要はなく、記録液体の物質上の自由度が太きいと
いった利点を持つ。しかし、反面、記録ヘッドの加工上
に問題がある、所望の共振周波数を有するピエゾ振動素
子の小型化が極めて困難である等の理由から、記録ヘッ
ドのマルチノズル化が難しい。また、ピエゾ振動素子の
機械的振動という機械的エネルギーによって記録液体の
小滴の吐出飛翔を行わせるので、上記のマルチノズル化
の困難さと相俟って、高速記録には不向きなものとなっ
ている。
このように、従来法には、構成上、高速記録上、記録ヘ
ッドのマルチノズル化上、サテライトドツトの発生及び
記録画像のカブリ発生等の点において、一長一短があり
、その長所が発揮される用途にしか適用し得ないという
制約を受けるものである。
しかし、このような不都合も本出願人により提案された
特公昭56−9429号公報に開示のインクジェット記
録方式によればほぼ解消し得る。
これは、液室内のインクを加熱して気泡を発生させて、
インクに圧力上昇を生じさせ、微細な毛細管ノズルから
インクを飛び出させて記録させるものである。
その後、この原理を利用して多くの提案がなされている
。その一つとして、例えば特公昭59−31943号公
報に示されるものがある。これは、発熱量調整構造を有
するる発熱部を具備する電気熱変換体に階調情報を有す
る信号を印加し、発熱部に信号に応じた熱量を発生させ
ることにより階調記録を可能としたものである。具体的
には、保護層、蓄熱層或いは発熱体層の厚さが徐々に変
化するような構造としたり、或いは、発熱体層のパター
ン幅が徐々に変化するような構造としたものである。
第26図は同公報中に示される電気熱変換体の断面構造
例を示すものである。図中、1は基板、2は蓄熱層、3
は発熱体、4,5は一対の電極、6は保護膜である。同
図(a)は保護膜6を電極4側より電極5側に向けて厚
み勾配を持たせて形成したものである。よって、発熱部
△Qの表面より、この表面に接触している液体に単位時
間当りに作用する発熱量は勾配を持つものとなる。同図
(b)は蓄熱層2の厚みを発熱部ΔQにおいて、Aから
Bに向かって徐々に減少させて発熱体3より発生する熱
の基板1への放熱量に分布を与え、発熱部△Qの表面に
接触している液体へ与える単位時間当りの熱量に勾配を
持たせたものである。同図(c)は発熱体3の厚みに発
熱部△Qにおいて勾配を設けて発熱体3を蓄熱層2上に
形成したもので、AからBに至るまでの各部位における
抵抗の変化によって、単位時間当りの発熱量を制御する
ようにしたものである。
また、第27図も同公報中に示された電気熱変換体の別
個の平面図を示すものである。図中、7は発熱部、8,
9は一対の電極である。同図(a)は発熱部7の平面形
状を矩形状とし、電極8と発熱部7との接続部を、電極
9と発熱部7との接続部より小さくしたものである。同
図(b)(c)は各々発熱部7の中央部を両端よりも細
い平面形状に形成したものである。同図(d)は発熱部
7の平面形状を台形状とし、台形の平行でない対向辺に
対して各々電極8,9を接続したものである。同図(e
)は発熱部7の中央部を両端よりも広い平面形状とした
ものである。何れにしても、この第27図に示す例は、
発熱部7のAからBに向かって電流密度に負の勾配を与
えるように構成したもので、印加する電力レベルを変え
ることによって熱作用部に生ずる急峻な液体の状態変化
を制御することで吐出される液滴の大きさを変え、階調
記録を可能としたものである。
ところが、第26図に示した例のような3次元的構造を
薄膜形成技術で形成することは、事実上不可能に近く、
また、仮に可能であるとしても非常に高コストとなる。
一方、第27図に示した例のようにパターン幅を変えた
ものは、そのパターン幅が最も狭い部分で断線を生じや
すく、削欠性の面から必ずしもよい結果が得られないも
のである。
さらに、特開昭63−42872号公報にも類似の階調
記録技術が開示されている。しかし、これも特公昭59
−31943号公報に示されたものと同様に発熱体層に
3次元構造を持たせたもので、製造が極めて困難である
という欠点を持つ。
その他の階調記録技術としては、特公昭62−4635
8号公報、特公昭62−46359号公報、特公昭62
−48585号公報等に示されるものがある。これらは
、各々1つの流路に配列した複数個の発熱体より、所定
数の発熱体を選択したり、或いは発熱量の異なる複数の
発熱体から1つを選択して、発生する気泡の大きさを変
えたり、複数の発熱体への駆動信号の入力タイミングの
ずれを可変制御して吐出量を変えるものである。しかし
、これらの技術では、複数個の発熱体が1つの流路或い
は吐出口に対応しているため、それら複数個の発熱体に
接続される制御電極の数が増大し、吐出口を高密度に配
列させることが不可能となる。
また、特開昭59−124863号公報、特開昭59−
124864号公報によれば、吐出のための発熱体とは
別の発熱体及び気泡発生部を有して、吐出量制御を行う
ことが示されている。しかし、この場合も気泡発生部の
存在により高密度配列が困難となる。さらに、特開昭6
3−42869号公報によれば、抵抗体に通電する時間
を変えることによって気泡の発生回数を変更して吐出量
を制御することが示されている。しかし、通常のバブル
ジェットにおいては通電時間は数〜十数μsecが限界
であり、それ以上の時間通電すると発熱体が断線してし
まい、耐久性の面で問題がある。
発明が解決しようとする課題 このように従来の種々のインクジェット方式においては
、インクジェット方式の致命的欠点であるごみ、或いは
インクの乾燥によるオリフィス(ノズル)又はスリット
状ノズルの目詰まりの問題がある。また、ヘッドアセン
ブリ上における高精度オリフィス(ノズル)が形成でき
ない問題がある。さらには、アセンブリ上のコストの問
題がある。また、階調記録の実現が困難であり、印写品
質が低いといった問題もある。
つまり、従来のインクジェット記録方式に関しては、目
詰まり等の信頼性の点、ヘッドのコストの点及び階調記
録を含む画質の点に課題がある。
課題を解決するための手段 請求項1記載の発明では、インク液面内に配設されて熱
勾配付与構造を持つエネルギー作用部に画像情報に応じ
て可変された入力エネルギーの駆動信号を入力させて、
このエネルギー作用部で入力エネルギーに応じた熱勾配
を生じさせ、この熱勾配に応じて発生する大きさが変化
する気泡をインク中に生じさせ、この気泡の瞬間的な成
長による作用力に応じた量のインクを前記インク液面か
ら飛翔させ、飛翔したインクを被記録体に付着させるよ
うにした。
また、請求項2記載の発明では、その装置として、イン
ク供給手段と、このインク供給手段により供給されたイ
ンクを保持するインク液面保持手段と、インク液面内に
配設されてインク中に瞬間的に成長する気泡を生じさせ
るエネルギー作用部と、このエネルギー作用部の一部と
積層されて熱勾配を生じさせる形状の放熱構造体と、前
記エネルギー作用部に画像情報に応じて可変された入力
エネルギーを持つ駆動信号を与える信号入力手段と、前
記エネルギー作用部の近傍に位置してインク液面と略平
行な方向への圧力の分散を阻止するための障壁とにより
構成した。
請求項3記載の発明では、請求項2記載の発明において
、エネルギー作用部が、電気熱変換体層とこの電気熱変
換体層に電気的に接続された一対の電極とよりなり、放
熱構造体がこの一対の電極の一方を兼用するようにした
作用 インク液面内に配設させたエネルギー作用部に画像情報
に応じた駆動信号を入力させ、このエネルギー作用部を
駆動させるとインク中に気泡が生じる。この気泡は瞬間
的に成長するもので、その作用力によりインク液面はエ
ネルギー作用部対応部分が盛り上がり、インク柱状に成
長する。ついで、エネルギー作用部の駆動をオフさせる
と、成長した気泡は破裂することなく、収縮を開始し遂
には消滅する。一方、成長したインク柱状部分はさらに
前進し、基部側では気泡収縮に伴いくびれが生じ、最終
的にはインク液面から分離切断される。よって、インク
はエネルギー作用部対応部分から滴状ないしは柱状とな
って、被記録体に向けて飛翔し、付着することにより記
録される。つまり、オリフィスやスリット状ノズルを用
いることなく、ドツト状の鮮明画像が得られる。この際
、泡の破裂によるインクミストの発生を伴なわないため
、画質の低下もない。ここに、階調記録に際しては、画
像情報に応じて可変された入力エネルギーの駆動信号を
与えて、熱勾配付与構造を持つエネルギー作用部で熱勾
配を生じさせ、発生する気泡の大きさを変え、飛翔する
インク量を変えることにより容易に実現できる。
よって、構造的にみればオリフィスやスリット状ノズル
がないため、目詰まりの問題はない。仮に、インクの乾
燥、紙粉等の異物の付着・混入等があっても、洗浄液に
よる洗浄等によって、本来の飛翔機能を容易に回復・維
持できる。また、オリフィス等を持たず、かつ、その形
成のための接合工程も不要なため、低コストで済み、工
程的にも接合部材が流路を詰まらせたり、あるいは、流
路を変形させたりつぶしたりすることもない。さらに、
熱勾配付与構造をなす放熱構造体等についてもフォトフ
ァブリケーション技術によって形成することができ、高
密度配列が可能となる。
特に、請求項3記載の発明のように、放熱構造体を一方
の電極として兼用させることにより、パターン構成を単
純化でき、低コスト化とともに、熱歪を低減させ耐久性
を向上させることもできる。
実施例 本発明の第一の実施例を第1図ないし第13図に基づい
て説明する。
本実施例は、本出願人により特願平1−225777号
として既に提案されている記録方法及び装置を利用し、
階調記録機能を持たせたものであり、まず、既提案内容
を第4図ないし第8図を参照して説明する。
[基本構造] 既提案例のインクジェット記録ヘッドの構成要素を第4
図ないし第7図により説明する。この記録ヘッド11は
、インク供給管(インク供給手段)12に接続された中
空のインク供給室13を有して台形状に形成されたマニ
ホールド14をベース材として構成されている。マニホ
ールド14頂部にはインク供給室13に連通ずるスリッ
ト15が形成された発熱体基板16が固定されている。
この発熱体基板16上にはスリット15両側に位置させ
て互い違いに櫛歯状の障壁17が形成され、障壁17間
に流路(インク液面保持手段)18が形成されている。
これらの流路18は障壁17とは逆に互い違いに櫛歯状
となってスリット15に連通されている。また、前記発
熱体基板16上には各流路18毎に最奥部側に位置させ
て各々ヒータ部(エネルギー作用部)19が形成されて
いる。
よって、ヒータ部19の平面的な配列を見ると、第5図
のようにスリット両側で千鳥状配列となる。
また、各流路18の途中に位置させて発熱体基板16上
には障壁17と同等の高さの流体抵抗部20が形成され
ている。さらに、発熱体基板16の周囲を覆い枠状の保
持部材21により押え固定される薄膜状導電性リード(
信号入力手段)22がマニホールド14上に設けられて
いる。
ここに、前記ヒータ部19付近の構造例を第7図に示す
。このヒータ部19は発熱体基板16上に蓄熱層23を
形成し、その上に発熱体層(電気熱変換体層)24を制
御電極25、アース電極26とともに形成し、さらに、
インクとの直接的な接触を避けるために表面を保護層2
7、電極保護層28により覆ったものである。各発熱体
層24は前記制御電極25やアース電極26を介してワ
イヤボンディング(図示せず)により薄膜状導電性リー
ド22に電気的に接続されている。この薄膜状導電性リ
ード22は画像情報信号入力手段(図示せず)に接続さ
れている。
[インク飛翔原理の概要] まず、インク供給管12よりインク供給室13に供給さ
れたインク29 (第8図参照)は、毛管現象により微
細なスリット15を通って障壁17により囲まれた櫛歯
状の流路18全域に満たされることになる。なお、スリ
ット15や流路18の寸法によっては、毛管現象だけで
はインク29を十分に流路18全域に供給・保持させる
ことができないが、このような場合には、インク供給管
12の元にあるインクタンク(図示せず)と記録へラド
11との高さを調整することにより、水頭差を利用すれ
ばよい。このように流路18全域にインク29が満たさ
れ、各ヒータ部19もインク29に覆われた状態となる
ように、インク液面の高さを調整した定常状態において
、画像情報に応じて各発熱体層24に対して個別に通電
を行うと、発熱した発熱体層24上でインク液中に気泡
が発生する。この気泡の推進力によりインク29がヒー
タ部19の面(基板面)に略垂直なる方向に飛翔するこ
とになる。
[インク飛翔原理の詳細] 第8図により詳細に説明する。なお、第8図ではヒータ
部19及びその周辺部を拡大して示すが、簡単のため、
電極等は省略しである。
第8図(a)は定常状態を示し、流路18全域にインク
29が満たされ、ヒータ部19上もインク29により覆
われている。ヒータ部19を加熱させると、ヒータ部1
9の表面温度が急上昇し、隣接インク層に沸騰現象が起
きるまで熱せられ、同図(b)に示すように微小な気泡
30が点在した状態となる。ヒータ部19の全面で急激
に加熱された隣接インク層が瞬時に気化して同図(C)
に示すように沸騰膜を作る。二のように気泡30が成長
した状態において、表面温度は300〜350℃になり
、いわゆる膜沸騰状態にある。また、ヒータ部19の上
部にあるインク29層は、気泡成長の推進力により、図
示の如く、インク液面が盛り上がった状態となる。同図
(cl)は気泡30が最大に成長した状態を示し、イン
ク液面からインク柱31がさらに成長した状態となる。
このような最大気泡となるまでに要する時間は、ヘッド
(発熱体基板16)構造、印加パルス条件等にもよるが
、通常、パルス印加後、5〜30)+sec程度要する
最大気泡となった時点では、ヒータ部19は既に通電さ
れていない状態にあり、ヒータ部19の表面温度は降下
しつつある。気泡30が最大となる時のタイミングは、
電気パルス印加のタイミングから若干遅れたものとなる
。同図(e)は気泡30がインク29等により冷却され
収縮を開始した状態を示す。インク柱31の先端部では
押出された速度を保ちつつ前進し、後端部では気泡30
の収縮に伴ってインク液面にインク29が逆流すること
により、図示の如く、インク柱31にくびれが生ずる。
気泡30がさらに収縮すると、同図(f)に示すように
、ヒータ部19面にインク29が接し、ヒータ部19面
がさらに急激に冷却される状態となる。インク柱31は
インク液面から切断され、被記録体(図示せず)の方向
へ2〜10n/sの速度で飛翔する。なお、この時の飛
翔速度はヘッド(発熱体基板16)構造、インク物性、
印加パルス条件等に依存するが、飛翔速度が比較的遅い
場合(2〜3m/s)にはインク29は滴状となって飛
翔し、比較的速い場合(7〜10+n/s )にはイン
ク29は細長い柱状となって飛翔する。この後、同図(
g)に示すように同図(a)と同様な定常状態に戻り、
流路18全域にインク29が満たされ、気泡30も完全
に消滅した状態となる。
[既提案例の飛翔原理と従来の飛翔原理との違い]各種
従来方式中、例えば特開昭51−132036号公報に
示されるものは、特開昭61−189950号公報と同
一原理のものであり、泡を破裂させることによりインク
の滴状体を放出させるものである。よって、前述したよ
うに泡の破裂によるインクミストの発生が画質低下をも
たらす。
また、例えば特開平1−101157号公報に示される
ものは、記録液を瞬時に煮沸させてミスト状にして飛翔
させ記録を行うもので、これもインクミストによるカブ
リ、画像部れが避けられない。
一方、既提案例の飛翔原理によれば、インク29を飛翔
させるための気泡30は破裂せずに収縮・消滅するため
、泡の破裂によるインクミストの発生が防止され、イン
クミストによる画質低下がない。また、インクをミスト
状にして記録するものと異なり、インク29を滴状又は
細長柱状として(何れにしても、あるインク塊まりとし
て)飛翔させ記録するので、被記録体上では1つのドツ
トとして付着して記録され、鮮明な画像が得られる。
〔本実施例の特徴的構成及び作用〕
上述した原理により、インク飛翔が行われて記録がなさ
れるが、本実施例では、階調記録機能が付加されている
。原理構成としては、第9図に示すようにヒータ部19
における発熱体層24上に熱勾配付与構造を持たせるた
めに放熱構造体32を積層形成し、ヒータ部19への入
力エネルギーの大小によって高温領域が移動するように
したものである。ここに、放熱構造体32は発熱体層2
4の発熱部上の全面に均一に設けられるものではなく、
第9図及び第10図に示すように制御電極25側からア
ース電極26側へいくにつれて発熱体層24を覆う面積
が増えるような平面形状に形成されている。ここでは、
発熱部上を三角形状に覆うように形成され、放熱構造体
32の放熱効果により通電方向に熱勾配を持たせること
を可能としている。
ここに、放熱構造体32を形成する材料としては、一般
に熱伝導率が高く、蒸着、スパッタリング等の薄膜形成
及びフォトエツチング等の微細加工が容易なAQ、Au
等が好ましい。ここでは、放熱構造体32を第9図に示
すような2次元的な平面形状に形成するので、製造面に
おいて、或いは構造面において、容易かつシンプルにで
きるという利点がある。なお、第10図の場合、放熱構
造体32は発熱体層24上に直接接触する状態で積層形
成しているが、この放熱構造体32がアース電極の役割
をしないように、放熱構造体32のパターンはアース電
極26とは接触しないように適当な絶縁層33で絶縁処
理されている。
このような発熱体層24上で熱勾配を持つヘッドに対し
て、本実施例ではさらに画像情報に応じて発熱体層24
に与える入力エネルギーの大きさを変えるようにしてい
る。一般に、発熱体層24上で膜沸騰現象によjノ気泡
30を発生させる際、発熱体層24上の表面温度が瞬時
的にある一定以上の温度になることが必要である。つま
り、膜沸騰が生じるためには、ある臨界温度以上になる
ことが必要なわけであるが、その臨界温度になる領域が
発熱体層24上の任意の位置で形成されれば、発生する
気泡30の太きさも任意に変え得ることを意味する。第
10図(b)にその原理を示す。これは、発生する気泡
30を点線で示すものである。
本実施例では、前述したように発熱体層24上の一部に
積層させた放熱構造体32により発熱体層24上で通電
方向に対して熱勾配を持つため、入力エネルギーを小さ
い値から大きい値に変えてやることにより、膜沸騰によ
る気泡発生の臨界点位置が熱勾配に応じて順次移動し、
第10図(b)中に点線で示すように、小さい気泡30
aから徐々に30b、30c、30dという具合に大き
くなる。よって、発生する気泡30の大きさを変えるこ
とにより、インク液面より飛翔するインク量も可変され
、階調記録が可能となる。
[本実施例の特徴を示す具体的構成及び作用]このよう
な原理に基づき、より具体的には第11図ないし第13
図に示すように構成される。ここでは、説明を簡単にす
るため、障壁17は省略してヒータ部19付近のみを示
す。まず、基板16としてのシリコンウェハを熱酸化す
ることにより、表面にS i O,膜を1.5μ川成長
させて蓄積層23とした。次に、HfB、による発熱体
層24を250OAの膜厚でスパッタリングし、さらに
、その上にAQによる電極層を1.2μmの膜厚でスパ
ッタリング形成した。この後、フォトリソグラフィ法及
びエツチング技法による処理を2回行うことにより、発
熱体層24と電極層との2層構造パターンを形成し、つ
いで、発熱部となる領域の電極層を除去して電極25.
26を形成するとともに、正方形状に発熱体層24をn
8させて発熱部を形成する。この状態で、制御電極25
とアース電極26との間にパルス状電圧を印加すると、
発熱部はジュール熱により発熱するが、ここにこの記録
ヘッドはインク液面中に位置しており、発熱部がインク
29に接触するので、画電極25゜26間の導通防止と
、インク29による発熱体層24の腐食防止のため、全
面的に保護層27としてS i O,膜をlpmの膜厚
でスパッタリング形成する。さらに、この上に放熱構造
体32を積層形成する。ここでは、八Ωを用い、全面的
に膜r!!−1゜5μmにスパッタリングした後、フォ
トリソグラフィ法及びエツチング技法による処理を施し
、第11図に示すような平面パターン形状とした。即ち
、放熱構造体32として主要な部分は発熱部上に位置し
て、図示の如く、上下外側に向けて放熱作用が大きくな
り、中心部では殆ど放熱作用を生じないようなパターン
形状とされている。放熱構造体32の材料をなすAQが
インク29により腐食されるのを防止するため、放熱構
造体保護層34が1μmの810.膜として全面的にス
パッタリング形成されている。
このような構造により、インク飛翔量が可変される様子
を第1図ないし第3図に示す。第3図は駆動パルス、即
ち発熱体層24に与える入力エネルギーの大きさを示し
、同図(a)から同図(C)に向けて順に駆動パルスが
大きくされている。第2図はこのような駆動パルスの大
きさの違いに対応させて発生する気泡30の領域ないし
は大きさを平面的に示すものであり、第1図はインク柱
31とともに断面構造的に示すものである。即ち、第3
図(a)に示すように駆動パルスが小さい状態では、第
2図(a)及び第1図(a)に示すように、放熱構造体
32により覆われていない部分にのみ対応して分離状態
の小さめの気泡3oが発生し、小さなインク柱31、従
って小さいインク滴にて飛翔することになる。第3図(
b)に示すように駆動パルスが大きくなると、発生する
気泡30の大きさ及び領域も広がり、大きめのインク滴
となって飛翔する。さらに、第3図(C)に示すように
駆動パルスが大きくなると、発生する気泡30も第2図
(c)及び第1図(c)に示すように合体し発熱部上全
体で生ずるものとなり、大きめのインク滴にて飛翔する
なお、第2図では図が複雑になるのを避けるために第1
図中の障壁17は省略した。厳密には、後述する第18
図に示すような障壁17が発熱部層りに形成されている
[構成材料及びその変形例〕 基板16を構成する材料としては、シリコンウェハの他
に、アルミナ等のセラミックス或いはガラスなどを用い
得る。即ち、熱伝導率の高いシリコンは、現時点では入
手の容易さなどの点を考慮すると最も好ましい材料とい
えるが、コスト面などを考慮するとセラミックス、ガラ
ス等を用いてもよいものである。蓄熱層23は、基板1
6としてアルミナを用いた場合にはグレーズ層として知
られるガラス質のものが使用され、基板16としてガラ
スを用いた場合には8108層をスパッタリング形成す
る。もっとも、ガラス自体が蓄熱層の役割を果たすので
、ガラスの場合には、必ずしも別個に蓄熱層を設けなく
てもよい。
発熱体層24を構成する材料としては、例えばタンタル
−3i O,の混合物、窒化タンタル、ニクロム、銀−
パラジウム合金、シリコン半導体、或いは、ハフニウム
、ランタン、ジルコニウム、チタン、タンタル、タング
ステン、モリブデン、ニオブ、クロム、バナジウム等の
金属の硼化物が使用可能である。これらの内、金属の硼
化物が特に好ましく、その中でも、硼化ハフニウムが最
も特性的に好ましく、次いで、硼化ジルコニウム、硼化
ランタン、硼化タンタル、硼化バナジウム、硼化ニオブ
の順に好ましいものとなる。発熱体層24はこのような
材料を用い、電子ビーム法、蒸着法、スパッタリング法
等により形成される。膜厚は単位時間当たりの発熱量が
所望値となるように、その面積、材質、熱作用部分の形
状及び大きさ、実際面での消費電力等に応じて適宜設定
されるが、通常は0.001〜5μm程度、好ましくは
0001〜1μm程度の膜厚とされる。
制御電極25やアース電極26の材料としては、通常の
電極材料と同じでよく、例えば、Afi、 Ag、Au
、Pt、Cu等が用いられる。これらは蒸着法等により
、所定位置に所定の大きさ、形状、膜厚で形成される。
保護層27は発熱体層24で発生した熱を効果的にイン
ク29側に伝達させることを妨げずにインク29による
腐食から発熱体層24を保護するためのものであり、材
料としては、酸化シリコン(S i Oヨ)、窒化シリ
コン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化タン
タル、酸化ジルコニウム等が用いられる。製法は、電子
ビーム法、蒸着法、スパッタリング法等による。膜厚は
、通常0、 01〜10層m、好ましくは0.1〜5μ
m(中でも、0.1〜3μmが最適)とされる。保護層
27はこれらの材料を用いて1層又は複数層構造で形成
されるが、これらの層の他に、気泡30が収縮・消滅す
る際に発生するキャビテーション作用からヒータ部19
を保護するためにTa等の金属層を表面に形成するのが
望ましい。具体的には、Taなとの金属層を膜厚1−0
00〜5000人程度で形成すればよい。なお、このよ
うな耐キヤビテーシヨン層としてTa層を第11図ない
し第13図に示す構造に適用する場合には、Ta層が既
に形成されている放熱構造体32の熱勾配形成作用を妨
げないように形成する必要がある。具体的には、第11
図ないし第13図の例では、放熱構造体保護層34上に
Ta層を設ければ、放熱構造体32と熱的に絶縁されの
で特に問題ない。
放熱構造体32の材料としては、熱伝導率の高い材料、
一般には、パターン形成の容易さも考慮して、電極材料
と同じものが使用される。つまり、AQ、Ag、Au、
Pe、Cu等である。このように電極材料と同一のもの
を使用できるので、後述するように放熱構造体32をア
ース電極26と一体に形成することもできる。これによ
れば、発熱体層24に直接接することによる放熱効率の
良さ、パターン構成の単純化を図ることができる。
電極保護層28の材料としては、ポリイミド等、具体的
にはポリイミドイソインドロキナゾリンジオン(商品名
: P I Q、 日立化成社製)、ポリイミド樹脂(
商品名: PYRAL I N、デュポン社製)、環化
ポリブタジェン(商品名:JSR−CBR,日本合成ゴ
ム社製)、フォトニース(商品名:東し社製)、その他
の感光性ポリイミド樹脂等が用いられる。ここでは、フ
ォトニースをスピンコーティングにより1.2μmの膜
厚で形成し、通常のフォトリソグラフィ技術によって発
熱部近傍及びリード線と接続するポンディングパッド部
のパターンとを除いて形成した。
ついで、発熱体基板16上にインク液面と略平行な方向
への圧力分散を防止する状態で流路18を形成するため
の障壁17について説明する。形成方法としては、ドラ
イフィルムレジストとして知られている感光性樹脂を発
熱体基板16にラミネートし、通常のフォトリソグラフ
ィ法によって、露光〜現像することによりパターン形成
される。
通常のドライフィルムレジストの使用方法はパターン形
成後、メツキエツチング工程を行うためのマスカントと
して用いられ、その後、除去されるが、ここでは、パタ
ーン形成後、障壁部材としてそのまま発熱体基板16上
に残したままとする。
本実施例では、ドライフィルムレジストの厚さが25μ
mであり、従って、障壁17の高さも25μmとなる。
このようなドライフィルム型のフォトレジストとしては
、例えばパーマネントフォトポリマーコーティングRI
STON(ソルダーマスク)730S(デュポン社製)
、同740S、同730FR1同740FR1同SM、
さらには、P hotecSR−1000(日立化成工
業社製)、同5R−2000、同5R−3000,オー
デイル5E−250(東京応化工業社製)、同5E23
8.同5E−225,同5P−750,同5P−740
゜同S P −725、同5X−350,同5Y−32
5等の商品名で市販されている感光性樹脂がある。
この他、感光性樹脂、フォトレジスト等の通常のフォト
リソグラフィーの分野において使用されている感光性組
成物の多くのものを用い得る。例えば、ジアゾレジン、
P−ジアゾキノン、さらには、例えばビニル千ツマ−と
重合開始剤を使用する光重合型フォトポリマー、ポリビ
ニルシンナメート等と増感剤を使用する三量化型フォト
ポリマーオルソナフトキノンジアジドとノボラックタイ
プのフェノール樹脂との混合物、ポリビニルアルコール
とジアゾ樹脂の混合物、4−グリシジルエチレンオキシ
ドとベンゾフェノンやグリシジルカルコンとを共重合さ
せたポリエーテル型フォトポリマー、N、N−ジメチル
メタクリルアミドと例えばアクリルアミドベンゾフェノ
ンとの共重合体、不飽和ポリエステル系感光性樹脂(例
えば、旭化成社製のAPR1帝人社製のテビスタ、関西
ペイント社製のゾンネ等)、不飽和ウレタンオリゴマー
系感光性樹脂、三官能アクリルモノマーに光重合開始剤
とポリマーとを混合させた感光性組成物、重クロム酸系
フォトレジスト、非クロム系水溶性フォトレジスト、ポ
リケイ皮酸ビニル系フォトレジスト、環化ゴム−アジド
系フォトレジスト等が挙げられる。
ちなみに、本実施例では、東京応化工業社製のオーディ
ル5Y−325を用い、0.6ft/分の速度、1.8
kg/CT11の圧力、105℃なる基板温度の条件で
、ラミネートを行った。露光後の現像は、トリクロロエ
タンのスプレー現像を90秒行うことにより、良好なる
障壁17のパターンが形成されたものである。
第14図及び第15図に変形例を示す。これは、積層順
序を変えたもので、発熱体層24の下側に放熱構造体3
2を形成するようにしたものである。
この場合、放熱体保護層34は熱保護層として放熱構造
体32上に形成される。
つづいて、本発明の第二の実施例を第16図により説明
する。前記実施例で示した部分と同一部分は同一符号を
用いて示す(以下の実施例でも同様とする)。
本実施例は、請求項3記載の発明に相当するもので、放
熱構造体32を電極25.26の内の一方の電極、例え
ばアース電極26として兼用させたものである。これは
、前述したように放熱構造体と電極とはAQ、Auなと
の同一材料、スパッタリング法、エツチング法などの同
一製造法を利用して形成し得るので、一部については、
放熱構造体としての機能と電極としての機能とを同時に
持たせることができるからである。これによれば、パタ
ーン構成の簡略化、低コスト化を図ることができるとと
もに、パターン層の熱歪に起因するライフタイムの低下
を防止することができる。第16図はこのような構造の
製造法の一例を示すものである。まず、同図(a)に示
すように熱酸化膜を形成したシリコンウェハ(基板16
)上に発熱体層24をパターン形成する。ついで、同図
(b)に示すように制御電極25を形成し、一部積層に
より発熱体層24と接続する。さらに、同図(c)に示
すように、アース電極26と接続される部分とリード線
取出し部(ポンディングパッド部)とを残して全面に絶
縁層33としてS i O,膜を形成する。この後、発
熱体層24 (発熱部)上で熱勾配を生じるようなパタ
ーン形状とした放熱構造体兼アース電極35を形成する
。最後に、前述したように保護層、耐キヤビテーシヨン
層、電極保護層を適宜形成する。なお、各部に使用する
材料、膜厚等は前記実施例の場合に準する。
本実施例構造は、前述した変形例、即ち、発熱体層24
の下部側に放熱構造体32を形成する構造の場合でも同
様に適用できる。
さらに、本発明の第三の実施例を第17図により説明す
る。本実施例は、発熱体層24(発熱部)に対する放熱
構造体32のパターン形状を例示するものである。両者
の上下関係は何れでもよいが、図示例は放熱構造体32
側を上とする。同図(a、)は正方形状の発熱体層24
の隅部を露出させる状態に4分割状にパターン形成し、
同図(b)は正方形状の発熱体層24の隅部を覆う状態
に4分割状にパターン形成し、同図(c)は正方形状の
発熱体層24の中心部のみを覆う正方形状にパターン形
成し、同図(d)は正方形状の発熱体層24の領域内で
隅部を覆う状態に星型形状にパターン形成し、同図(e
)は円形状の発熱体層24の中心部のみを覆う円形状に
パターン形成したものである。図中の各矢印は、入力エ
ネルギーの大きさを小さいほうから大きいほうへ変化さ
せた場合に発熱体層24における臨界膜沸騰領域が広が
っていく方向、換言すれば、入力エネルギーを大きくす
るにつれて気泡30の発生する領域が広がる方向を示す
これらの内、同図(c)(d)(e)に示すように、発
熱体層24の中心部に向けて放熱領域が広がるようにし
たものは、特に図示しないが、発熱体層24を貫通して
接続される放熱材料が下層に形成されて放熱効率がよく
されている。
ついで、各種変形例ないし具体例について説明する。
まず、障壁17としては第18図及び第19図に示すよ
うに、発熱部の周りをブロック状に囲む4片としてもよ
い。図示例は、第一の実施例(第11図)の構造に準す
るもので、具体的には、発熱体ドツトサイズを40X4
0pm’  (抵抗値30Ω)、駆動電圧を18〜36
V、駆動パルス幅を3 、 2 μsec、連続応答周
波数を4.5kHz、使用インクをキャノン社製のBJ
]30用インク、障壁17形状及びサイズを発熱体から
距離d=5pmずつ離して4個所にwXQXh=30p
mX42μm×25μmなる大きさでドライフィルム製
として形成し、三菱製紙社製のNMマッドコート紙上に
印写実験を行い、この紙上での印写画素径を測定したと
ころ、60pm(18V駆動時)〜15opm(36■
駆動時)なる印写結果が得られたものである。
流路18形状については、第20図に示すようなものが
考えられる。第20図(a)は流体抵抗部20を省略し
た変形例を示す。インク29の物性、駆動条件を適切に
選定すれば、流体抵抗部20がなくてもインク飛翔を確
実に行わせることができる。同図(b)は平面的に見て
円形状の流体抵抗部20に代えて、平面的に見てハート
型形状の流体抵抗部40としたものである。この場合、
図示の如く、ヒータ部19側に向けてインク29が流れ
込みやすく、ヒータ部19側から出にくい向きとされ、
より効率的にインク飛翔されるようにしたものである。
同図(C)は、流体抵抗部20を省略するとともに、障
壁17の入口部形状を図示のように絞り形状として、幅
狭の流体抵抗部41を形成することにより、各ヒータ部
19毎に個別化された流路18が形成されるようにした
ものである。
同図(d)も同様であり、障壁17の入口部形状を入り
組んだ形状として流体抵抗部42を形成したものである
。これらに例示したように、流路18形状としては種々
の形状とし得る。何れにしても、前述したフォトリソグ
ラフィ法により形成できる。
また、障壁17形状についても、第5図に示したように
基板16上で連続的につながっている必要はなく、第1
8図の他に、第21図(a)〜(e)に例示するように
、各々独立した障壁17のブロックとしヒータ部19に
対する流路18を形成するようにしてもよい。
第22図は第21図(b)の障壁17形状に準じて構成
したヘッド構造を示す。
第23図は、インク液面中に気泡30を発生させるため
のエネルギーとして、ヒータ部19構造に代えて、レー
ザ光45を加熱源に用いた例を示す。これは、レーザ発
振源46より発生させたレーザ光45を光変調器47に
おいて、光変調器駆動回路48に入力されて電気的に処
理されて出力される画情報信号に従ってパルス変調され
る。パルス変調されたレーザ光45は走査器49を通り
、集光レンズ50によって熱エネルギー作用部となる壁
51に焦点が合うように集光される。これにより、記録
ヘッド11の壁51を加熱し、内部のインク液面中に気
泡30を発生させる。もっとも、熱エネルギー作用部の
壁51は、レーザ光45に対して透過性を持つ材料で形
成し、集光レンズ50によって内部のインク29に直接
焦点が合うように集光させ、インク29を直接加熱させ
て気泡3oを発生させるようにしてもよい。
ところで、このようなレーザ光45照射を利用した加熱
方式の場合、放熱構造体32のパターン例としては例え
ば第24図に示すように形成すればよい。即ち、エネル
ギー作用部となる壁51のインク29と接する面(気泡
30の発生する部分)にスパッタリング法によりTaを
8000人の膜厚で薄膜形成し、これをフォトリソグラ
フィ&エツチング処理により、第24図に示すように中
心点Oから放射状となるパターンに放熱構造体32を形
成したものである。これによれば、パルス状のレーザ光
45照射により発生した熱は、中心点Oから放射状に移
動していくので、中心点○に対するパルスレーザ光の照
射エネルギー(入力エネルギー)を画像情報(階調情報
)に応じて可変させることにより、発生する気泡30の
大きさを可変できる。よって、インク液面から飛翔する
インク滴の大きさを変え、階調記録が可能となる。
なお、第23図図示例では下部側よりレーザ光45を照
射させるようにしているが、インク液面より斜め上方か
ら、中心点○を狙って照射するような構成であってもよ
い。
このようなレーザ光照射方式は、第25図に示すように
具体化される。ここでは、第22図に図示したような記
録へラド11が用いられるとともに、通常のレーザプリ
ンタの光学系がそのまま用いられる。即ち、レーザ発振
器46より発振されたレーザ光45は、光変調器47に
おいて画情報入力信号に従い強弱の変調を受けて、走査
器49に出射される。この走査器49は例えば偏向ミラ
ー52とビームエキスパンダ53と高速にて定速回転さ
れるポリゴンミラー54とよりなり、ポリゴンミラー5
4の1面により回転走査される。走査されたレーザ光4
5は集光レンズ50をなすfθレンズを通り、記録へラ
ド11の熱エネルギー作用部なる壁51(又は、内部の
インク29)に結像されて順に走査する。よって、障壁
17により仕切られた各熱エネルギー作用部が順に加熱
され、気泡30が発生する。この時の熱はレーザ光45
の照射エネルギーが画情報入力信号に応じて可変されて
いるので、放熱構造体32との相互作用の下に、発生す
る気泡30の大きさが変わることになり、飛翔インク滴
の大きさが変えられる。
よって、階調性豊かな高精細な印写画像が被記録体55
上に得られる。
発明の効果 本発明は、上述したように構成したので、請求項1記載
の発明によれば、インク液面内に配設させたエネルギー
作用部に画像情報に応じた駆動信号を入力させ、このエ
ネルギー作用部でインク中に気泡を生じさせ、この気泡
の瞬間的な成長による作用力によりインク液面からイン
クを飛翔させ、飛翔したインクを被記録体に付着させる
ようにしたため、瞬間的に成長し、その後、収縮・消滅
する気泡による作用力でインクをエネルギー作用部対応
位置から飛翔させることができ、よって、オリフィスや
スリット状ノズルを用いることなく、かつ、泡の破裂に
よるインクミストの発生を伴なわないため、カブリ等の
ないドツト状の高画質な鮮明画像を得ることができ、特
に、階調記録に際しては、画像情報に応じて可変された
入力エネルギーの駆動信号を与えて、熱勾配付与構造を
持つエネルギー作用部で熱勾配を生じさせ、発生する気
泡の大きさを変え、飛翔するインク量を変えるだけで容
易に実現できるものである。
そのための構造としても、請求項2記載の発明のように
構成すればよく、微細なオリフィスやスリット状ノズル
がないため、目詰まりの問題はない。仮に、インクの乾
燥、紙粉等の異物の付着・混入等があっても、洗浄液に
よる洗浄等によって、本来の飛翔機能を容易に回復・維
持でき、また、オリフィス等を持たず、かつ、その形成
のため接合工程も不要なため、低コストで済み、工程的
にも接合部材が流路を詰まらせたり、あるいは、流路を
変形させたりつぶしたりすることもなく、さらには、エ
ネルギー作用部、熱勾配付与構造をなす放熱構造体等に
ついてもフォトファブリケーション技術によって形成す
ることができ、高密度・高集積化配列も可能なものであ
る。
また、請求項3記載の発明によれば、放熱構造体を一方
の電極として兼用させたので、パターン構成を単純化で
き、低コスト化とともに、熱歪を低減させ耐久性を向上
させることもできる。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第13図は本発明の第一の実施例を示すも
ので、第1図は異なる大きさの気泡によるインク飛翔状
態を示す断面図、第2図はその気泡の大きさの様子を模
式的に示す概略平面図、第3図はそのための駆動パルス
を示す波形図、第4図は既提案内容を示すヘッドの概略
分解斜視図、第5図はその一部の拡大平面図、第6図は
第5図のA−A線断面図、第7図はヒータ部付近を拡大
して示す断面図、第8図は飛翔原理を順に示す概略断面
図、第9図は本実施例の放熱構造体の原理的構成を示す
平面図、第10図はそのB−B線断面図、第11図はよ
り具体的な放熱構造体の構成を示す平面図、第12図は
そのC−C線断面図、第13図はD−D線断面図、第1
4図は変形例を示す平面図、第15図はそのE−E線断
面図、第16図は本発明の第二の実施例を工程順に示す
模式的平面図、第17図は本発明の第三の実施例を示す
放熱構造体のパターン例の平面図、第18図は障壁の具
体的構成例を示す平面図、第19図はその正面図、第2
0図は障壁形状の各種変形例を示す概略平面図、第21
図は障壁形状等の各種変形例を示す概略平面図、第22
図はその具体的構成例の一例を示す斜視図、第23図は
レーザ光を加熱源として利用した変形例を模式的に示す
断面構造図、第24図はその放熱構造体のパターン例を
示す平面図、第25図はより具体的な構成例を示す模式
的構成図、第26図は従来の電気熱変換体の構成例を示
す断面図、第27図は異なる従来の電気熱変換体の構成
例を示す平面図である。 12・・・インク供給手段、17・・・障壁、18・・
・インク液面保持手段、19・・・エネルギー作用部、
22・・・信号入力手段、24・・・電気熱変換体、2
5゜26・・・電極、29・・・インク、30・・・気
泡、32・・・放熱構造体、35・・・電極兼用放熱構
造体、51・・・エネルギー作用部 出 願 人   株式会社   リ コ−毛 図 7図 昆 3」」 図 1乙図 1」3図 J、 、17 (a) 保 (b) (a) 1ZO図 (b)     ω) (cl) 匹) 、ff、 Z)昆 (b’) (C) 」7哩 又 35ス −N (b) (d) (C) (e)

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1、インク液面内に配設されて熱勾配付与構造を持つエ
    ネルギー作用部に画像情報に応じて可変された入力エネ
    ルギーの駆動信号を入力させて、このエネルギー作用部
    で入力エネルギーに応じた熱勾配を生じさせ、この熱勾
    配に応じて発生する大きさが変化する気泡をインク中に
    生じさせ、この気泡の瞬間的な成長による作用力に応じ
    た量のインクを前記インク液面から飛翔させ、飛翔した
    インクを被記録体に付着させるようにしたことを特徴と
    するインク飛翔記録方法。 2、インク供給手段と、このインク供給手段により供給
    されたインクを保持するインク液面保持手段と、インク
    液面内に配設されてインク中に瞬間的に成長する気泡を
    生じさせるエネルギー作用部と、このエネルギー作用部
    の一部と積層されて熱勾配を生じさせる形状の放熱構造
    体と、前記エネルギー作用部に画像情報に応じて可変さ
    れた入力エネルギーを持つ駆動信号を与える信号入力手
    段と、前記エネルギー作用部の近傍に位置してインク液
    面と略平行な方向への圧力の分散を阻止するための障壁
    とよりなることを特徴とするインク飛翔記録装置。 3、エネルギー作用部が、電気熱変換体層とこの電気熱
    変換体層に電気的に接続された一対の電極とよりなり、
    放熱構造体がこの一対の電極の一方を兼用するようにし
    たことを特徴とする請求項2記載のインク飛翔記録装置
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