JP3222180B2 - インクジェット記録方法及び記録ヘッド - Google Patents

インクジェット記録方法及び記録ヘッド

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JP3222180B2
JP3222180B2 JP6032092A JP6032092A JP3222180B2 JP 3222180 B2 JP3222180 B2 JP 3222180B2 JP 6032092 A JP6032092 A JP 6032092A JP 6032092 A JP6032092 A JP 6032092A JP 3222180 B2 JP3222180 B2 JP 3222180B2
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信彦 梅澤
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット記録方
法及び記録ヘッドに関し、より詳細には、インクジェッ
トプリンタにおける画素径を変えることを可能とするイ
ンクジェット記録方法及び記録ヘッドに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ノンインパクト記録法は、記録時におけ
る騒音が無視できる程度に極めて小さいという点で、最
近注目されている。その記録法のなかで、高速記録が可
能であり、而も、普通紙に特別の定着処理を必要とする
ことがなく記録できるという、所謂インクジェット記録
手段は極めて有力な記録法であって、これまでにも種々
な方式が提案され、改良が加えられて商品化されたもの
もあれば、現在もなお実用化への努力が続けられている
ものもある。
【0003】このようなインクジェット記録法は、所謂
インクと称される記録液体の小滴(droplet)を
飛翔させ、記録部材(記録紙)に付着させて記録を行う
ものであり、この記録液体の小滴の発生法及び発生され
た記録液体の小滴の飛翔方向を制御する制御方法によっ
て、幾つかの方式に大別される。
【0004】先ず、第1の方式として、例えばUSP3
060429号明細書に開示されている方式(Tele
type方式)がある。これは、記録液体の小滴の発
生を静電吸収的に行い、発生した記録液体の小滴を記録
信号に応じて電界制御し、記録部材上に選択的に付着さ
せて記録を行うものである。これについて、更に詳述す
ると、ノズルと加速電極との間に電界を掛けて、一様に
帯電した記録液体の小滴をノズルより吐出させ、該吐出
した記録液体の小滴を記録信号に応じて電気制御可能な
ように構成されたxy偏向電極間を飛翔させ、電界の強
度変化によって選択的に記録液体の小滴を記録部材上に
付着させて記録を行うものである。
【0005】第2の方式は、例えばUSP359627
5号明細書,USP3298030号明細書等に開示さ
れている方式(Sweet方式)であり、連続振動発生
法によって帯電量の制御された記録液体の小滴を発生さ
せ、この発生された帯電量の制御された記録液体の小滴
を、一様の電界が掛けられている偏向電極間を飛翔させ
ることで記録部材上に記録を行うものである。
【0006】具体的には、ピエゾ振動素子の付設されて
いる記録ヘッドにおけるオリフィス(吐出口)の前に、
記録信号が印加されるように構成した帯電電極を所定距
離だけ離して配置し、前記ピエゾ振動素子に一定周波数
の電気信号を印加して、ピエゾ振動素子を機械的に振動
させ、前記吐出口より記録液体の小滴を吐出させる。こ
のとき、前記帯電電極によって吐出する記録液体の小滴
には電荷が静電誘導され、記録液体の小滴は記録信号に
応じた電荷量で帯電される。帯電量の制御された記録液
体の小滴は、一定の電界が一様に掛けられている偏向電
極間を飛翔するとき、付加された帯電量に応じて偏向を
受け、記録信号を担う記録液体の小滴のみが記録部材上
に付着しうるものである。
【0007】第3の方式は、例えばUSP341615
3号明細書の開示されている方式(Hertz方式)で
あり、ノズルとリング状の帯電電極間に電界を掛け、連
続振動発生法によって、記録液体の小滴を発生し霧化さ
せて記録する方式である。すなわち、この方式では、ノ
ズルと帯電電極間に掛ける電界強度を記録信号に応じて
変調することによって記録液体の小滴の霧化状態を制御
し、記録画像の階調性を出して記録するものである。
【0008】第4の方式は、例えばUSP374712
0号明細書に開示されている方式(Stemme方式)
で、この方式は前記3つの方式とは根本的に原理が異な
るものである。すなわち、前記3つの方式は、何れもノ
ズルより吐出された記録液体の小滴を、飛翔している途
中で電気的に制御し、記録信号を担った記録液体の小滴
を選択的に記録部材上に付着させて記録を行うのに対し
て、この方式では、記録信号に応じて吐出口より記録液
体の小滴を吐出飛翔させて記録するものである。
【0009】つまり、この方式は、記録液体の小滴を吐
出する吐出口を有する記録ヘッドに付設されているピエ
ゾ振動素子に、電気的な記録信号を印加し、この電気的
記録信号をピエゾ振動素子の機械的振動に変え、該機械
的振動に従って前記吐出口より記録液体の小滴を吐出飛
翔させて記録部材上に付着させることで記録を行うもの
である。
【0010】従来のこれ等の4つの方式は、各々特徴を
有するものであるが、その反面、解決を要する点をも有
している。すなわち、前記第1から第3の方式は、記録
液体の小滴の発生の直接的エネルギーが電気的エネルギ
ーであり、また、記録液体の小滴の偏向制御も電界制御
である。そのため、第1の方式は、構成上は簡単である
が、記録液体の小滴の発生に高電圧を要し、また、記録
ヘッドのマルチノズル化が困難であるので、高速記録に
は不向きである。
【0011】第2の方式は、記録ヘッドのマルチノズル
化が可能で高速記録に適するが、構成が複雑であり、ま
た、記録液体の小滴の電気的制御が高度で困難であるこ
と、記録部材上にサテライトドットが生じ易いこと等の
問題がある。第3の方式は、記録液体の小滴を霧化する
ことによって階調性に優れた画像が記録され得る特徴を
有するが、他方霧化状態の制御が困難であること、記録
画像にカブリが生ずること及び記録ヘッドのマルチノズ
ル化が困難であり、高速記録には不向きであること等の
諸問題を有する。
【0012】第4の方式は、第1乃至第3の方式に比べ
て多くの利点を有している。すなわち、構成が簡単であ
ること、オンデマンド(on−demand)で記録液
体をノズルの吐出口より吐出して記録を行うために、第
1乃至第3の方式のように吐出飛翔する小適のうち、画
像の記録に要しなかった小滴を回収することが不要であ
ること、第1,第2の方式のように、導電性の記録液体
を使用する必要性がなく、記録液体の物質上の自由度が
大であること等の大きな利点を有する。
【0013】しかしながら、他方において、記録ヘッド
の加工上に問題があること、所望の共振数を有するピエ
ゾ振動素子の小型化が極めて困難であること等の理由か
ら記録ヘッドのマルチノズル化が難しく、また、ピエゾ
振動素子の機械的振動という機械的エネルギーによって
記録液体の小滴の吐出飛翔を行うので高速記録には向か
ないこと等の欠点を有する。
【0014】このように従来の液体噴射記録方法には、
構成上、高速記録化、記録ヘッドのマルチノズル化、サ
テライトドットの発生及び記録画像のカブリ発生等の点
において、一長一短があり、その長所を利する用途にし
か適用できないという制約があった。
【0015】しかし、このような不都合については、本
出願人が先に提案した液体噴射記録方法としてのインク
ジェット記録方式を採用することにより略解消すること
ができる。かかるインクジェット記録方式の一つとし
て、特公昭56−9429号公報がある。これは、液室
内のインクを加熱して気泡を発生させてインクに圧力上
昇を生じさせ、微細な毛細管ノズルからインクを飛翔さ
せ、記録部材上に記録させるものである。そして、その
後、この原理を改良した多くの発明がなされた。
【0016】その改良された発明の一つとして、例え
ば、特公昭59−31943号公報がある。これは、発
熱量調整構造を有する発熱部を具備する電気熱変換体に
階調情報を有する信号を印加し、発熱部に信号に応じた
熱量を発生させることにより、記録画素径を変えること
を特徴とするものである。具体的には、保護層、蓄熱
層、あるいは発熱体層の厚さが徐々に変化するような構
造としたり、あるいは発熱体層のパターン巾が徐々に変
化するような構造としたものである。
【0017】電気熱変換体の部分の構成を得るには、薄
膜形成技術で3次元的構造を形成する必要があり、事実
上その構成を得ることは不可能に近く、また、仮にでき
たとしても、非常に高コストになるという欠点を有して
いる。また、発熱部のパターン巾を変えたものにおいて
は、そのパターンが最も狭くなるところで断線が生じや
すく、耐久性の面から必ずしも良い結果は得られないと
いう問題がある。
【0018】一方、特開昭63−42872号公報にも
類似の階調記録技術の開示がある。これも、特公昭59
−31943号公報の技術と同様に、発熱体層の3次元
構造をもたせることを特徴としており、製造が極めて困
難であるという欠点を有している。更に、特開昭63−
42869号公報には、抵抗体に通電する時間を変える
ことよって気泡の発生回数を変更し、吐出量を制御する
技術が開示されている。しかしながら、通常のバブルジ
ェットにおいては、通電時間は数〜十数μsが限界であ
り、それ以上の時間通電すると、発熱体が断線するた
め、この技術は、耐久性の面で事実上実現不可能であ
る。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】以上のように従来技術
においては、画素径を変えるために各種の試みがなされ
てきているが、製造上の面から、耐久性の面から、ある
いは、高密度配列の面からみて必ずしも満足のいく結果
は得られていない。本発明は、前述したような実情に鑑
みてなされたものであり、構成が簡単であり、製造も容
易であるところの画素径を容易に変更できるインクジェ
ット記録方法及び記録ヘッドを提供することを目的とす
るものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達
成するために、インクジェット記録方法として、一つの
吐出口に対して単一のエネルギー作用部を設け、前記吐
出口は断面積の大きさを変化させ、その断面積を変化さ
せた吐出口において形成されるインクメニスカスの位置
を、インク供給手段と吐出口との間の水頭差を変え、単
一の吐出口より質量又は径の異なるインク滴を飛翔させ
ることができることを特徴とするものである。
【0021】
【0022】本発明は、インクジェット記録ヘッドとし
て、インク供給手段と、該インク供給手段からのインク
を導く液室と、該液室から各吐出口にインクを導く流路
と、各流路に沿って配置され、夫々独立に駆動できる単
一のエネルギー作用部又は複数個のエネルギー作用部
と、前記各流路端に設けられた断面積を変化させたイン
クを吐出する吐出口と、前記吐出口に形成されるインク
メニスカスの位置を変える手段とを備えたインクジェッ
ト記録ヘッドにおいて、インクメニスカスの発生位置を
変える手段は、吐出口の高さに対してインク供給手段の
高さを変化させる手段であることを特徴とするものであ
る。
【0023】
【0024】
【0025】
【作用】本発明の構成により、単一のエネルギー作用部
を備えたインクジェット記録ヘッドにおいて、吐出口の
高さに対してインク供給手段の高さを変化させて、断面
積の大きさを変化させた吐出口の適所にインクメニスカ
スを形成し、単一の吐出口によって画素径を容易に変更
することができる。また、複数個のエネルギー作用部を
備えたインクジェット記録ヘッドにおいて、そのうちの
少なくとも一個のエネルギー作用部をインクメニスカス
の位置切替え用として作動させ、断面積の大きさを変化
させた吐出口の適所にインクメニスカスを形成し、単一
の吐出口によって画素径を容易に変更することができ
る。
【0026】
【実施例】先ず、本発明が適用されるインクジェットヘ
ッドの一例としてのバブルジェットヘッドの動作を、図
1により説明する。図2は図1に示したバブルジ
ェットヘッドの斜視図、図3は図2のヘッドにおい
て、蓋基板(図3(a))と発熱体基板(図
(b))に分解した斜視図、図4は、図3(a)に
示した蓋基板を裏側から見た斜視図である。図中、1は
蓋基板、2は発熱体基板、3は記録液体流入口、4は吐
出口、5は流路、6は液室を形成するための領域、7は
個別(独立)電極、8は共通電極、9は発熱体(ヒー
タ)、10はインク、11は気泡、12は飛翔インク液
である。
【0027】そこで、図1を参照しながら、バブルジ
ェットによるインク噴射について説明する。(a)は定
常状態であり、吐出口4でインク10の表面張力と外圧
とが平衡状態にある。(b)はヒータである発熱体9が
加熱されて、発熱体9の表面温度が急上昇し、隣接イン
ク層に沸騰現象が起きる迄加熱され、微小気泡11が点
在している状態を示す。
【0028】(c)は発熱体9の全面で急激に加熱され
た隣接インク層が瞬時に気化し、沸騰膜を作り、この気
泡11が成長した状態を示す。この時、ノズル内の圧力
は、気泡が成長した分だけ上昇し、吐出口面での外圧と
のバランスが崩れ、吐出口4よりインク柱が成長し始め
る。(d)は気泡11が最大に成長した状態であり、吐
出口面より気泡の体積に相当する分のインク10が押し
出される。この時、発熱体9には電流が流れていない状
態にあり、発熱体9の表面温度は降下しつつある。気泡
11の体積の最大値は電気パルス印加のタイミングから
やや遅れる。
【0029】(e)は気泡11がインクなどにより冷却
されて収縮を開始し始めた状態を示す。インク柱の先端
部では押し出された速度を保ちつつ前進し、後端部では
気泡11の収縮に伴ってノズル内圧の減少により、吐出
口面からノズル内へインクが逆流して、インク柱にくび
れが生じている。
【0030】(f)は更に気泡11が収縮し、発熱体面
にインクが接し、発熱体面が更に急激に冷却される状態
にある。オリフィス面では、外圧がイズル内圧より高い
状態になるため、メニスカスが大きくノズル内に入り込
んできている。インク柱の先端部は液滴になり、記録紙
の方向へ5〜10m/secの速度で飛翔している。
(g)は吐出口にインクが毛細管現象により再び供給さ
れて(a)の状態に戻る過程であり、気泡は完全に消滅
している。
【0031】図5は上述した液体噴射記録ヘッドの要
部構成を説明するための実施例であり、(a)はバブル
ジェットヘッドの吐出口側から見た正面詳細部分図、
(b)は(a)における一点鎖線x−xで示す部分での
断面部分図である。この図面に示された記録ヘッド13
の構造は、裏面に電気熱変換体14を設けた基板15上
に、所定の線密度で所定の巾と深さの溝を所定数設けら
れている溝付板16を配置接合することによって形成さ
れ、その記録ヘッドの端部には、液体を飛翔させるため
の吐出口17を含む液吐出部18が形成されている。
【0032】液吐出部18は、吐出口17と、電気熱変
換体14より発生される熱エネルギーが液体に作用して
気泡を発生させ、その体積の膨張と収縮による急激な状
態変化を引き起こすところである熱作用部19とを有す
る。熱作用部19は、電気熱変換体14の熱発生部20
の上部に位置し、熱発生部20の液体と接触する面とし
ての熱作用面21をその底面としている。熱発生部20
は、基体15上に設けられた下部層22、該下部層22
上に設けられた発熱抵抗層23、該発熱抵抗層23上に
設けられた上部層である保護層24とで構成される。
【0033】発熱抵抗層23には、熱を発生させるため
に該層23に通電するための電極25,26がその表面
に設けられており、これらの電極間に発熱抵抗層23に
よって熱発生部20が形成されている。電極25は、各
液吐出部18の熱発生部20に共通の電極であり、電極
26は、各液吐出部18の熱発生部20を選択して発熱
させるための選択電極であって、液吐出部18の液流路
に沿って設けられている。
【0034】保護層24は、熱発生部20においては発
熱抵抗層23を、使用する液体から化学的、物理的に保
護するために発熱抵抗層23と液吐出部18の液流路を
満たしている液体とを隔絶すると共に、液体を通じて電
極25,26間が短絡するのを防止し、更に、隣接する
電極間における電気的リークを防止する役目を有してい
る。各液吐出部18に設けられている液流路は、各液吐
出部の上流において、液流路の一部を構成すると共に、
共通液室(不図示)を介して連通されている。各液吐出
部に設けられた電気熱変換体14に接続されている電極
25,26は、その設計上の都合により、前記上部層で
ある保護層24に保護されて熱作用部の上流側におい
て、前記共通液室下を通るように設けられている。
【0035】図6は、発熱抵抗体を用いる気泡発生部
の構造を説明するための詳細図であり、図中、27は発
熱抵抗体、28は電極、29は保護層、30は電源装置
を示している。発熱抵抗体27を構成する材料として、
有用なものには、例えば、タンタル−SiO2 の混合
物、窒化タンタル、ニクロム、銀−パラジウム合金、シ
リコン半導体、あるいはハフニウム、ランタン、ジルコ
ニウム、チタン、タンタル、タングステン、モリブデ
ン、ニオブ、クロム、バナジウム等の金属の硼化物があ
げられる。
【0036】これらの発熱抵抗体27を構成する材料の
中、殊に金属硼化物が優れたものとしてあげることがで
き、その中でも最も特性の優れているのが、硼化ハフニ
ウムであり、次いで、硼化ジルコニウム、硼化ランタ
ン、硼化タンタル、硼化バナジウム、硼化ニオブの順と
なっている。発熱抵抗体27は、上記材料を用いて、電
子ビーム蒸着やスパッタリング等の手法を用いて形成す
ることができる。発熱抵抗体27の膜厚は、単位時間当
たりの発熱量が所望の値になるように、その面積、材質
及び熱作用部分の形状や大きさ、更には実際面での消費
電力等にしたがって決定されるものであり、通常の場
合、0.001〜5μm、好ましくは0.01〜1μm
とされる。
【0037】電極28を構成する材料としては、通常使
用されている電極材料の多くのものが有効に使用でき、
具体的には、例えば、Al,Ag,Au,Pt,Cu等
があげられ、これらを使用して蒸着等の手段で所定位置
において、所定の大きさ、形状、厚さで設けられる。
【0038】保護層29に要求される特性は、発熱抵抗
体27で発生された熱を記録液体に効果的に伝達するこ
とを妨げず、且つ記録液体より発熱抵抗体27を保護す
るということである。保護層29を構成する材料として
有用なものには、例えば、酸化シリコン、窒化シリコ
ン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化タンタ
ル、酸化ジルコニウム等があげられる。これらは、電子
ビーム蒸着やスパッタリング等の手法を用いて形成する
ことができる。保護層29の膜厚は、通常、0.01〜
10μm,好ましくは0.1〜5μm,最適には0.1
〜3μmに形成されるのが望ましい。
【0039】以上のような原理に基づき、発熱体構成を
備えるバブルジェット技術において、本発明は、図1の
概念図に示すように、インク吐出領域Tと、インク吐出
領域近傍の流路5に設ける発熱体部Sの構成に特徴を有
するものである。すなわち、インク吐出領域Tの形状
は、断面積の小さい吐出口4Aと、該吐出口4Aから外
側に開口した断面積の大きい吐出口4Bとからなり、こ
のインク吐出領域近傍の流路5には、夫々独立して制御
することができる第1の発熱体(吐出用発熱体)9Aと
第2の発熱体(インクメニスカス形成用発熱体)9Bが
流路5に沿って配置されている。図示されていないが、
流路5には、公知のように液室及び該液室にインクを導
入するインク供給手段が接続されており、前記インク吐
出領域T及び発熱体部Sを備えた流路部分と共にインク
ジェットヘッドを構成している。
【0040】吐出インク滴の質量は、インク吐出口のデ
ィメンション(断面積及び吐出口部の長さ)に依存す
る。よって、吐出インク滴の質量を変えるには、インク
吐出口の径を変えればよい。本発明では、吐出インク滴
の質量を変えるために、吐出時におけるインクメニスカ
スの発生位置を、断面積の小さい第1の吐出口4Aの近
傍とするか、断面積の大きい第2の吐出口4Bの近傍と
するかによって、吐出インク滴の質量を変えている。な
お、インクメニスカスの発生位置を変えるための手段に
ついては、後述する。
【0041】図2には、インクメニスカスの位置を、断
面積の小さい第1の吐出口4Aの近傍に発生させた場
合、図3には、インクメニスカスの位置を、断面積の大
きい第2の吐出口4Bの近傍に発生させた場合を示し、
そして、夫々の場合において吐出インク滴12A,12
Bの質量(大きさ)の違いを示している。インクメニス
カスの位置は、第2の発熱体9Bの作用に起因して、第
1の吐出口4A,第2の吐出口4Bに形成することがで
き、吐出口の所定位置に形成されたインクの吐出する際
の原理は、前述の図1で説明したと同様に、第1の発
熱体9Aの作用によるバブルジェットのインク噴射に基
づく動作と同じである。
【0042】次に、本発明に適用されるバブルジェット
ヘッドの製作方法を、図4〜図8に示した製作工程に従
って説明する。ここで示す実施例は、感光性樹脂の硬化
膜から成る吐出口、流路、共通液室に関するものであ
る。図中、31は基板、32はインク吐出圧発生素子、
33は薄膜、34は接着剤層、35はドライフイルムフ
ォトレジスト、36はフォトマスク、37接着剤、38
は平板、39は溝である。
【0043】図4の工程では、シリコン,ガラス,セラ
ミック,プラスチック,或いは金属等の基板31上に発
熱素子やピエゾ素子等のインク吐出圧発生素子32を所
望の個数配設し、更に必要に応じて耐インク性,電気絶
縁性を付与する目的で、SiO2 ,Ta2 5 ,ガラス
等の薄膜33を被覆する。尚、インク吐出圧発生素子3
2には、図示されていないが、信号入力用電極が接続し
てある。
【0044】図5に示す工程では、上記インク吐出圧発
生素子32を有する基板31の表面に接着剤層34を約
1μ〜5μ程度の厚さに形成する。このとき、所望の液
体接着剤を周知の手法、例えば、スピンナーコート法,
ディップコート法,ローラーコート法によって、基板表
面に塗工した後、半硬化させておく。尚、具体的には、
スピンナーコート法の場合、粘度2〜15cpの接着剤
を1000〜5000rpmで塗布する。又、ディップ
コート法の場合は、粘度20〜30cpの接着剤中に基
板1を浸漬した後、20〜50cm/分の一定速度で引
揚げる。更に、ローラーコート法の場合には、粘度10
0〜300cpの接着剤をローラー間速60〜200c
m/分で塗布する。
【0045】ここで使用する接着剤の種類は、所定の接
着力が示されれば、特に限定されないが、本発明におい
ては、とりわけ、光硬化性樹脂接着剤が製造上の便宜か
ら推奨されるものである。この様に、本発明において、
好適な光硬化性樹脂接着剤としては、例えば、不飽和ポ
リエステル樹脂と、分子中に少なくとも1つの不飽和二
重結合を有するモノマー,ダイマー或いはオリゴマー化
合物(メチルメタアクリレート、スチレン、ジアリルフ
タレート等)1又は不飽和ポリエステルと少なくとも1
つの不飽和二重結合を末鎖基或いは主鎖中持つように変
性したシリコン、ウレタン、エポキシ等の樹脂単数或い
はこれと、前記モノマー、ダイマー、オリゴマー等の組
合せ等からなるものである。又、本発明において、これ
らの接着剤の被接着剤界面がSiを基本とする化合物で
形成されている場合は、上記接着剤にシランカップリン
グ剤を混合するか、前もって基板31の表面をシランカ
ップリング剤で処理することも有効である。
【0046】続く図6に示す工程では、図5に示す工程
を経て得られた基板31の接着剤層34の表面を清浄化
すると共に乾燥させた後、接着剤層34に重ねて、80
℃〜100℃程度に加温されたドライフイルムフォトレ
ジスト35(膜厚、約25μ〜100μ)を0.3〜
0.4f/分の速度、1〜3kg/cm2 の加圧条件下
でラミネートする。このとき、ドライフイルムフォトレ
ジスト35は、接着剤層34に融着する。
【0047】この後、使用した接着剤の性状に合わせ
て、接着剤層34を紫外線で照射して本硬化させる。以
後、ドライフイルムフォトレジスト35に相当の外圧が
加わった場合にも、基板31から剥離することはない。
続いて、図6に示すように、基板面に設けたドライフイ
ルムフォトレジスト35上に所定のパターンを有するフ
ォトマスク36を重ね合わせた後、このフォトマスク3
6の上部から露光を行う。
【0048】このとき、インク吐出圧発生素子32の設
置位置と上記パターンの位置合わせを周知の手段で行っ
ておく必要がある。そして、本発明のヘッドにおいて、
吐出口先端部であるインク吐出領域Tは、図1〜3に示
すよに、断面積の小さい第1の吐出口4Aから断面積
の大きい第2の吐出口4Bと、その断面積が一定ではな
いので、上記パターンは前記インク吐出領域の形状に一
致するような形状を用いることとなる。
【0049】図7は、上記露光済のドライフイルムフォ
トレジスト35の未露光部分を、所定の有機溶剤からな
る現像液により溶解除去した工程後の状態を示す説明図
である。次に、基板31に残されたドライフイルムフォ
トレジスト35の露光された部分35Pの耐インク性向
上のため、熱硬化処理(例えば、150〜250℃で3
0分〜6時間加熱)、又は紫外線照射(例えば、50〜
200mw/tm2 、又はそれ以上の紫外線強度で)を
行い、充分に重合硬化反応を強める。上記熱硬化と紫外
線による硬化の両方を併用するのも効果的である。
【0050】ところで、使用した接着剤層34が溝39
内に残存すると、インク中に溶出してインクを変質させ
たり、インク通路を目詰らせたり、或いは、インク吐出
圧発生素子32の機能を損なう恐れがあるので、本発明
においては、ドライフイルムフォトレジスト35に対す
るパターン露光時(図6)に接着剤層34も同時に光硬
化させ、続く、有機溶剤による現像段階で未硬化の接着
剤層34をドライフイルムフォトレジスト35と共に溶
解除去する(図7)。
【0051】図8は、上記のように充分な重合を終えて
硬化したドライフイルムフォトレジスト35Pにより、
インク通路となる溝39の形成された基板31に、天井
を構成するため、平板38を接着するか、単に圧着して
固定した状態を示す図面である。図8に示す工程におい
て、天井を構成するための具体的方法を下記に示す。
1)ガラス,セラミック,金属,プラスチック等の平板
38に、エポキシ系接着剤を厚さ3〜4μだけスピンナ
ーコートした後、予備加熱して接着剤37を、所謂Bス
テージ化させ、これを硬化したドライフイルムフォトレ
ジスト35P上に貼り合わせて前記接着剤を本硬化させ
る。或いは、2)アクリル系樹脂,ABS樹脂,ポリエ
チレン等の熱可塑性樹脂の平板38を硬化したドライフ
イルムフォトレジスト35P上に、直接熱融着させる方
法を用いることができる。
【0052】次に、本発明の断面形状を異にするインク
吐出領域において、インクメニスカスの発生位置を変え
るための手段について説明する。その手段として、ヘッ
ドに係る背圧をコントロールする方法、或いは、ヒータ
ーによって気泡を発生させてコントロールする方法等を
適用することができる。
【0053】先ず、最初に、ヘッドに係る背圧をコント
ロールする方法について説明する。図9はその具体的実
施例であり、記録ヘッドのオリフィス部分とインク供給
手段との関連を示したものである。ヘッドHにおける流
路45,インクを吐出するオリフィス44の部分と、イ
ンク供給手段53との間には、高さhの水頭差による静
圧と、流路45及びオリフィス44における流体抵抗及
びオリフィス44の表面張力によるインクメニスカス保
持力とのバランスがとれて、インクはオリフィス44か
ら流れ出ないようになっている。
【0054】この図9の実施例においても、図面上で明
らかに示されていないが、インクを吐出するオリフィス
44の形状は、図1で示したと同様に、断面積の小さい
吐出口と大きい吐出口とからなり、前記水頭差によって
インクメニスカスを形成する位置を変更することができ
る。この図面において、41は蓋基板、42は発熱体基
板、43は記録液体流入口、46は液室を形成するため
の領域、49は発熱体である。
【0055】本発明では、図中に示した矢印Aのよう
に、インク供給手段53はその高さを可変として調整す
ることができる。このように、流路45及びオリフィス
44の側に対してインク供給手段としてのインク容器5
3の高さを可変とすることにより、本発明の記録ヘッド
Hのオリフィス部44におけるインクメニスカスの位置
を容易に変えることができる。
【0056】図9の実施例では、インク供給手段53は
記録ヘッドのオリフィス部側より高い位置となるように
構成されているが、インク供給手段53の位置を記録ヘ
ッドHのオリフィス部よりも低い位置とすることによ
り、オリフィス44におけるインクメニスカスを断面積
の小さい液室46側に後退させることも可能である。
又、上記説明したようにインク供給手段53の高さを可
変にする機構として、インク供給手段を取付保持する部
材に、ソレノイドを連結し、電気的手段でソレノイドを
上下に制御し、インク供給手段の高さを変えることが可
能である。
【0057】次に、本発明の他の実施例として、複数個
のエネルギー作用部として、2個の発熱体9A,9Bを
使用し、これら2個の発熱体9A,9Bを吐出口4近傍
の流路5に沿って配置し、前記吐出口4としては、断面
積の小さい吐出口4Aと断面積の大きい吐出口4Bとか
ら構成し、この2個の発熱体9A,9Bをコントロール
し、吐出口4におけるインクメニスカスの位置を変え、
且つ流路に位置するインクに気泡を発生させて、吐出口
から飛翔させるインク滴の大きさを変化させる場合につ
いて説明する。この実施例を説明するため、吐出口及び
発熱体部分におけるインクの変化が、図10〜図17に
より示されている。図10〜図17の夫々は、上面図
(a),側断面図(b)とからなる。
【0058】図10は定常状態であり、4A,4Bから
なる吐出口4において、インク10の表面張力と外圧と
が平衡状態にある。この場合、インクメニスカスは断面
積の小さい吐出口4Bに位置している。図11では、吐
出口4から離れた流路5に配置されたエネルギー作用部
の一つである第2の発熱体9Bが加熱される。この場
合、第2の発熱体9Bは、図10に位置するインクメニ
スカスの位置を、断面積の小さい第1の吐出口4Aの位
置から断面積の大きい第2の吐出口4Bへ移動させるよ
うに作用し、したがって、インクが吐出口4から吐出し
ない程度の低いエネルギーが与えられ、その低いエネル
ギーによって気泡11Aが発生し、その気泡11Aの圧
力により、インクメニスカスは断面積の大きい第2の吐
出口4Bの近傍まで押し出される。
【0059】その後、図12に示されるように、第1の
発熱体9Aが加熱されて、第1の発熱体9Aの表面温度
が急上昇し、隣接インク層に沸騰現象が起きる迄加熱さ
れ、微小気泡11Bが点在している状態を示す。更に引
き続いて、図13のように、第1の発熱体9Aの全面で
急激に加熱された隣接インク層が瞬時に気化し、沸騰膜
を作り、この気泡11Bが成長した状態を示す。この
時、ノズル内の圧力は、気泡が成長した分だけ上昇し、
吐出口面での外圧とのバランスが崩れ、吐出口4Bより
インク柱が成長し始める。
【0060】図14は気泡11Bが最大に成長した状態
であり、吐出口面より気泡の体積に相当する分のインク
10が押し出される。この時、第1の発熱体9Aには電
流が流れていない状態にあり、第1の発熱体9Aの表面
温度は降下しつつある。気泡11Bの体積の最大値は電
気パルス印加のタイミングからやや遅れる。
【0061】図15は気泡11Bがインクなどにより冷
却されて収縮を開始し始めた状態を示す。インク柱の先
端部では押し出された速度を保ちつつ前進し、後端部で
は気泡11Bの収縮に伴ってノズル内圧の減少により、
吐出口面からノズル内へインクが逆流して、インク柱に
くびれが生じている。
【0062】図16は更に気泡11Bが収縮し、二つの
発熱体9A,9B面にインクが接し、発熱体面が更に急
激に冷却される状態にある。オリフィス面では、外圧が
ノズル内圧より高い状態になるため、メニスカスが大き
くノズル内に入り込んできている。インク柱の先端部は
液滴12になり、記録紙の方向へ5〜10m/secの
速度で飛翔している。図17は吐出口4にインクが毛細
管現象により再び供給されて図10の状態に戻る過程で
あり、気泡は完全に消滅している。なお、気泡11Aは
気泡11Bと同時或いはそれより前に消滅する。
【0063】本発明は、エネルギー作用部として発熱体
を使用する代わりに、電歪振動子(ピエゾ素子)を使用
することも可能であり、電歪振動子を使用したオンデマ
ンド型のインクジェット方式にも適用できる。図18に
は、エネルギー作用部として電歪振動子(ピエゾ素子)
56を使用し、この電歪振動子(ピエゾ素子)56にパ
ルス状の信号電圧を印加し、電歪振動子(ピエゾ素子)
を歪ませ、インク圧力室57の容積を減少させて圧力波
を発生させ、オリフィス58からインク滴59を吐出さ
せる原理を示している。60はインク供給口である。勿
論、インク圧力室及び電歪振動子(ピエゾ素子)を複数
個配列してマルチオリフィスヘッドを構成し、この構成
に本発明を適用できることは当然である。
【0064】本発明において、インクメニスカスの位置
を変える手段として、エネルギー作用部を利用する場合
に、実施例としては、2個のエネルギー作用部を用いて
説明したが、これに限定されるものではなく、複数個の
作用部を組み合わせることによって可能であることを示
したものである。
【0065】次に、本発明の具体例について説明する。 具体例1 図1の形状を有するインクジェットヘッドにおいて、断
面積の小さい第1の吐出口4Aから断面積の大きい第2
の吐出口4Bからなるインク吐出領域は、第1の吐出口
4Aの長さaを32μm、第2の吐出口4Bの長さbを
50μmとし、第1のヒーター9Aのサイズを30μm
×100μmとし、その抵抗値を120Ωとした。
【0066】このような条件を有するインクジェットヘ
ッドにおいて、インクメニスカスの位置は断面積の小さ
い第1の吐出口4Aの部分にあり、この状態において、
第1のヒーター9Aのみを、駆動電圧を25V、パルス
幅を6μs、連続駆動周波数を4kHzの条件で駆動し
た。この条件によって、記録された画素の平均径は、φ
95μm(n=10の平均値)であった。
【0067】前記具体例1において、前述したと同様に
第1のヒーター9Aに加えて、サイズ:30μm×10
0μmとし、その抵抗値:120Ωからなる第2のヒー
ター9Bを図1に示すように設けた。そして、インクメ
ニスカスの位置は断面積の小さい第1の吐出口4Aの部
分にある状態において、先ず、第2のヒーター9Bを、
次の条件により駆動した。 駆動電圧:20V、パルス幅:5μs、連続駆動周波
数:4kHz
【0068】その後、第2のヒーター9Bの駆動後、3
0μsecを経過した後に、第1のヒーター9Aを、次
の条件で駆動した。 駆動電圧:25V、パルス幅:6μs、連続駆動周波
数:4kHz このように、第2のヒーター9B、第1のヒーター9A
の駆動により、吐出口から吐出された画素の平均径は、
φ140μm(n=10の平均値)であった。また、こ
の例におけるインクメニスカスの位置は、断面積の小さ
い第1の吐出口4Aの部分から断面積の大きい第2の吐
出口4Bの部分に移動していることが観察された。
【0069】具体例2 具体例1と同様の第1のヒーター9A、第2のヒーター
9Bを使用し、第2のヒーター9Bは下記に示す表1の
条件で駆動し、この第2のヒーター9Bの駆動後、表1
に示す時間の経過した後に、第1のヒーター9Aを具体
例1と同様の駆動条件で駆動した場合において、表1に
示すような画素径を有する画素が得られた。
【表1】
【0070】具体例3 図9の実施例に関するものであり、図19に示す具体例
において、断面積の小さい第1の吐出口4Aから断面積
の大きい第2の吐出口4Bからなるインク吐出領域は、
第1の吐出口4Aの長さaを32μm、第2の吐出口4
Bの長さbを50μmとし、インク吐出領域の長さLを
50μmとし、吐出口の端部とヒーター49との間の距
離Tを160μmとした。そして、ヒーター49のサイ
ズを30μm×100μmとし、その抵抗値:120Ω
とした。そして、ヒーター49には、連続駆動周波数:
4kHzを与えた。
【0071】この具体例3では、吐出口44の中心から
インク供給タンク53のインク面までの距離をhとし、
供給タンク53を図示の位置から前記距離hの上方への
移動を正で表し、下方への移動を負で表し、その移動量
に基づく画素の径は表2に示すように変化した。
【表2】
【0072】具体例4 この例では、エネルギー作用部として、ピエゾ素子を使
用している。図20に示されるように、インク吐出領域
として、流路の端部には、断面積の小さい第1の吐出口
4Aの部分の長さaを42μm、断面積の大きい第2の
吐出口4Bの部分の長さbを60μmとした。そして、
流路において、第1の吐出口4Aに近い部分に1.5m
m(y)×4mm(x)の第1のピエゾ素子56Aが配
置されている。
【0073】そして、インクメニスカスの位置が断面積
の小さい第1の吐出口4Aの部分にあるインクに対し
て、第1のピエゾ素子56Aのみを次の駆動条件により
駆動した。 駆動電圧:45V、パルス幅:6μs、最大駆動周波
数:3.2kHz この条件により、第1のピエゾ素子56Aが駆動された
結果、記録された画素の平均径は、φ135μm(n=
10の平均値)となった。
【0074】前記具体例4において、エネルギー作用部
には、前記第1のピエゾ素子56Aの他に、第2のピエ
ゾ素子56Bが吐出領域と反対側の流路5に沿って配置
される。その第2のピエゾ素子56Bの大きさは1.5
mm(y)×2mm(x)である。そこで、インクメニ
スカスの位置が断面積の小さい第1の吐出口4Aの部分
にあるインクに対して、先ず、第2のピエゾ素子56B
が、駆動電圧:30V、パルス幅:5μs、最大駆動周
波数:3.2kHzで駆動された。
【0075】そして、第2のピエゾ素子56Bが駆動さ
れてから、40μsec経過した後、第1のピエゾ素子
56Aが、駆動電圧:26.5V、パルス幅:6μs、
最大駆動周波数:3.2kHzで駆動された。この結
果、記録された画素の平均径は、φ162μm(n=1
0の平均値)となった。また、第2のピエゾ素子56B
の作用により、インクメニスカスの位置が断面積の小さ
い第1の吐出口4Aの部分から断面積の大きい第2の吐
出口4Bの部分に移動していることが観察された。
【0076】
【発明の効果】本発明の構成により、インクジェットプ
リンタ等における各種のインクジェット記録手段におい
て、インク吐出領域の断面形状を変化させ、インクメニ
スカスの位置をエネルギー作用部の作用により又は吐出
口の中心からインク供給タンクの高さを変化させること
により変えることができ、1つの吐出口から質量,径の
異なるインク滴を吐出することができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録手段におけるイン
ク吐出領域と発熱体部との構成を概略的に説明する図面
である。
【図2】本発明のインクジェット記録手段においてイン
クメニスカスの位置と飛翔インク滴との関連を示し、
(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図3】本発明のインクジェット記録手段において他の
インクメニスカスの位置と飛翔インク滴との関連を示
し、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図4】本発明に適用されるバブルジェットヘッドの製
作方法の第1段階を示す説明図である。
【図5】本発明に適用されるバブルジェットヘッドの製
作方法の第2段階を示す説明図である。
【図6】本発明に適用されるバブルジェットヘッドの製
作方法の第3段階を示す説明図である。
【図7】本発明に適用されるバブルジェットヘッドの製
作方法の第4段階を示す説明図である。
【図8】本発明に適用されるバブルジェットヘッドの製
作方法の最終段階を示す説明図である。
【図9】本発明の一実施例を説明するための概略断面図
に関し、記録ヘッドに係る背圧をコントロールし、断面
積を変化させた吐出口におけるインクメニスカスの位置
を変える手段を示す。
【図10】本発明の二つの熱エネルギー作用部を使用
し、インクメニスカスの位置を変え、インク滴を飛翔さ
せるための説明図である。
【図11】本発明の二つの熱エネルギー作用部を使用
し、インクメニスカスの位置を変え、インク滴を飛翔さ
せるための説明図である。
【図12】本発明の二つの熱エネルギー作用部を使用
し、インクメニスカスの位置を変え、インク滴を飛翔さ
せるための説明図である。
【図13】本発明の二つの熱エネルギー作用部を使用
し、インクメニスカスの位置を変え、インク滴を飛翔さ
せるための説明図である。
【図14】本発明の二つの熱エネルギー作用部を使用
し、インクメニスカスの位置を変え、インク滴を飛翔さ
せるための説明図である。
【図15】本発明の二つの熱エネルギー作用部を使用
し、インクメニスカスの位置を変え、インク滴を飛翔さ
せるための説明図である。
【図16】本発明の二つの熱エネルギー作用部を使用
し、インクメニスカスの位置を変え、インク滴を飛翔さ
せるための説明図である。
【図17】本発明の二つの熱エネルギー作用部を使用
し、インクメニスカスの位置を変え、インク滴を飛翔さ
せるための説明図である。
【図18】本発明を適用することができる電歪振動子を
使用したオンデマンド型のインクジェット方式の概略を
示す説明図である。
【図19】図9の実施例を具体例として説明するための
説明図であり、(a)は上面図、(b)は側面図であ
る。
【図20】図18の電歪振動子(ピエゾ素子)を使用し
た具体例を説明するための説明図である。
【図21】(a)〜(g)は本発明が適用されるバブル
ジェットヘッドの動作説明図である。
【図22】図21に示したバブルジェットヘッドの斜視
図である。
【図23】(a),(b)は図2のヘッドにおいて、蓋
基板と発熱体基板に分解した斜視図である。
【図24】図23(a)に示した蓋基板を裏側から見た
斜視図である。
【図25】液体噴射記録ヘッドの要部構成を説明するた
めの図面であり、(a)は吐出口側から見た正面詳細部
分図、(b)は(a)図の一点鎖線x−xで示す部分で
の断面部分図である。
【図26】記録ヘッドにおいて発熱抵抗体を用いる気泡
発生部の構造を説明するための断面図である。
【符号の説明】
4A 断面積の小さい吐出口 4B 断面積の大きい吐出口 5 流路 9 発熱体(ヒータ) 9A 第1の発熱体(吐出用発熱体) 9B 第2の発熱体(インクメニスカス形成
用発熱体) 10 インク 11 気泡 12 飛翔インク滴 49 発熱体 53 インク容器(インク供給手段) 56A 第1の電歪振動子(ピエゾ素子) 56B 第2の電歪振動子(ピエゾ素子)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−251150(JP,A) 特開 平3−213346(JP,A) 特開 平3−146349(JP,A) 特開 平3−81154(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/05 B41J 2/205

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一つの吐出口に対して単一のエネルギー
    作用部を設け、前記吐出口は断面積の大きさを変化さ
    せ、その断面積を変化させた吐出口において形成される
    インクメニスカスの位置を、インク供給手段と吐出口と
    の間の水頭差を変え、単一の吐出口より質量又は径の異
    なるインク滴を飛翔させることができることを特徴とす
    るインクジェット記録方法。
  2. 【請求項2】 インク供給手段と、該インク供給手段か
    らのインクを導く液室と、該液室から各吐出口にインク
    を導く流路と、各流路に沿って配置され、夫々独立に駆
    動できる単一のエネルギー作用部又は複数個のエネルギ
    ー作用部と、前記各流路端に設けられた断面積を変化さ
    せたインクを吐出する吐出口と、前記吐出口に形成され
    るインクメニスカスの位置を変える手段とを備えたイン
    クジェット記録ヘッドにおいて、インクメニスカスの発
    生位置を変える手段は、吐出口の高さに対してインク供
    給手段の高さを変化させる手段であることを特徴とする
    インクジェット記録ヘッド。
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