JP3014730B2 - インク飛翔記録方法及びその装置 - Google Patents

インク飛翔記録方法及びその装置

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、ノンインパクト記録法の一つであるインク
飛翔記録方法及びその装置に関する。
従来の技術 ノンインパクト記録法は、記録時の騒音発生が無視で
きる程度に小さい点で、オフィス用等として注目されて
いる。その内、高速記録可能で、いわゆる普通紙に特別
の定着処理を要せずに記録できる、いわゆるインクジェ
ット記録法は極めて有力な方法であり、従来から種々の
方式が提案され、又は既に製品化されて実用されてい
る。
このようなインクジェット記録法は、いわゆるインク
と称される記録液体の小滴を飛翔させ、被記録体に付着
させて記録を行うもので、記録液体の小滴の発生法及び
小滴の飛翔方向を制御するための制御方法により、幾つ
かの方式に大別される。
第1の方式は、例えば米国特許第3060429号明細書に
開示されているものである。これは、Tele type方式と
称され、記録液体の小滴の発生を静電吸引的に行い、発
生した小的を記録信号に応じて電界制御し、被記録体上
にこの小滴を選択的に付着させて記録を行うものであ
る。
より詳細には、ノズルと加速電極間に電界をかけて、
一様に帯電した記録液体の小滴をノズルより吐出させ、
吐出した小滴を記録信号に応じて電気制御可能なように
構成されたxy偏向電極間を飛翔させ、電界の強度変化に
よって選択的に小滴を被記録体上に付着させるものであ
る。
第2の方式は、例えば米国特許第3596275号明細書、
米国特許第3298030号明細書等に開示されているもので
ある。これは、Sweet方式と称され、連続振動発生法に
より帯電量の制御された記録液体の小滴を発生させ、こ
の帯電量の制御された小滴を、一様電界がかけられてい
る偏向電極間を飛翔させて、被記録体上に記録を行わせ
るものである。
具体的には、ピエゾ振動素子の付設されている記録ヘ
ッドを構成する一部であるノズルのオリフィス(吐出
口)の前に記録信号が印加されるようにした帯電電極を
所定距離離間させて配置し、前記ピエゾ振動素子に一定
周波数の電気信号を印加することでピエゾ振動素子を機
械的に振動させ、オリフィスより記録液体の小滴を吐出
させる。この時、吐出する小滴には帯電電極により電荷
が静電誘導され、小滴は記録信号に応じた電荷量で帯電
される。帯電量の制御された小滴は、一定電界が一様に
かけられている偏向電極間を飛翔する時に、付加された
帯電量に応じて偏向を受け、記録信号を担う小滴のみが
被記録体上に付着することになる。
第3の方式は、例えば米国特許第3416153号明細書に
開示されているものである。これは、Hertz方式と称さ
れ、ノズルとリング状の帯電電極間に電界をかけ、連続
振動発生法によって、記録液体の小滴を発生霧化させて
記録させる方式である。即ち、ノズルと帯電電極間にか
ける電界強度を記録信号に応じて変調することにより小
滴の霧化状態を制御し、記録画像の階調性を出して記録
させるものである。
第4の方式は、例えば米国特許第3747120号明細書に
開示されているものである。これは、Stemme方式と称さ
れ、第1〜3の方式とは根本的に原理が異なるものであ
る。即ち、第1〜3の方式が、何れもノズルより吐出さ
れた記録液体の小滴を、飛翔している途中で電気的に制
御し、記録信号を担った小滴を選択的に被記録体上に付
着させて記録を行わせるのに対し、このStemme方式で
は、記録信号に応じて吐出口より記録液体の小滴を吐出
飛翔させて記録するものである。
つまり、Stemme方式は、記録液体を吐出する吐出口を
有する記録ヘッドに付設されているピエゾ振動素子に、
電気的な記録信号を印加してピエゾ振動素子の機械的振
動に変え、この機械的振動に従い吐出口より記録液体の
小滴を吐出飛翔させて被記録体に付着させるものであ
る。
これらの4方式は、各々に特長を有するが、同時に、
解決すべき課題点もある。
まず、第1〜第3の方式は、記録液体の小滴を発生さ
せるための直接的エネルギーが電気的エネルギーであ
り、かつ、小滴の偏向制御も電界制御による。よって、
第1の方式は、構成上はシンプルであるが、小滴の発生
に高電圧を要し、かつ、記録ヘッドのマルチノズル化が
困難で高速記録には不向きである。
第2の方式は、記録ヘッドのマルチノズル化が可能で
高速記録に向くが、構成上複雑であり、かつ、記録液体
の小滴の電気滴制御が高度で困難であり、被記録体上に
サテライトドットが生じやすい。
第3の方式は、記録液体の小滴を霧化することにより
階調性に優れた記録が可能ではあるが、他方、霧化状態
の制御が困難である。また、記録画像にカブリが生ずる
とか、記録ヘッドのマルチノズル化が困難で高速記録に
は不向きであるといった欠点がある。
一方、第4の方式は、比較的多くの利点を持つ。ま
ず、構成がシンプルである。また、オンデマンドで記録
液体をノズルの吐出口より吐出させて記録を行うため
に、第1〜第3の方式のように吐出飛翔する小滴の内、
画像記録に要しなかった小滴を回収する必要がない。ま
た、第1,2の方式のように、導電性の記録液体を使用す
る必要はなく、記録液体の物質上の自由度が大きいとい
った利点を持つ。しかし、反面、記録ヘッドの加工上に
問題がある、所望の共振周波数を有するピエゾ振動素子
の小型化が極めて困難である等の理由から、記録ヘッド
のマルチノズル化が難しい。また、ピエゾ振動素子の機
械的振動という機械的エネルギーによって記録液体の小
滴の吐出飛翔を行わせるので、上記のマルチノズル化の
困難さと相俟って、高速記録には不向きなものとなって
いる。
このように、従来法には、構成上、高速記録上、記録
ヘッドのマルチノズル化上、サテライトドットの発生及
び記録画像のカブリ発生等の点において、一長一短があ
り、その長所が発揮される用途にしか適用し得ないとい
う制約を受けるものである。
しかし、このような不都合も本出願人により提案され
た特公昭56−9429号公報に開示のインクジェット記録方
式によればほぼ解消し得る。これは、液室内のインクを
加熱して気泡を発生させて、インクに圧力上昇を生じさ
せ、微細な毛細管ノズルからインクを飛び出させて記録
させるものである。
同様な記録方式として、特公昭61−59914号公報に開
示されたものもある。これは、液体を所定の方向に吐出
させるための吐出口に連通する液路中の液体の一部を熱
して膜沸騰を生起させることにより、吐出口より吐出さ
れる液体の飛翔的液滴を形成し、この液滴を被記録体に
付着させて記録させるものである。具体的には、同公報
中の第1図及び第2図に示されるように、ノズル状の液
路部分に設けられた熱作用部分において、記録液体が急
激な状態変化を受けることにより、その状態変化に基づ
く作用力により、記録液体が吐出口より吐出飛翔するよ
うにしたものである。このような吐出口は、同公報中の
説明によれば、内径100μm、肉厚10μmの円筒状ガラ
スファイバーを熱溶融させることにより、60μm径の吐
出口として形成される。また、吐出口を液路とは別に形
成した後、例えばガラスプレートに電子ビーム加工やレ
ーザ加工等によって穴を形成し、液路と合体させる方式
も記載されている。何れにしても、このような微細な吐
出口を工業的に安定して高精度に形成することは非常に
困難である。また、同公報によれば、別の吐出口を有す
る記録ヘッドが同公報中の第3図、第4図及び第5図に
開示されており、その吐出口の形成方法として、ガラス
板に微細カッティング機により幅60μm、深さ60μm、
ピッチ250μmの溝を形成した溝板を、電気・熱変換体
部の設けられた基板に接着することが記載されている。
しかし、この場合も形成すべき吐出口は非常に微細であ
り、微細カッティング機で溝を形成する際に、欠けやク
ラックが入ることが多々あり、歩留まりの低いものであ
る。また、形成された吐出口も、その欠け等により、そ
の端部を高精度にできないものでもある。さらに、溝形
成後に、溝板を基板上に接着する際に接着剤が吐出口を
詰まらせて、歩留まり低下をきたすものである。
ところで、同公報中の第3図、第4図及び第5図に示
される記録ヘッドの、より具体的な製造方法は、特開昭
55−128471号公報、特公昭59−43314号公報に開示され
ている。特開昭55−128471号公報のものは、細孔からな
る記録液流路を有し、この細孔に通じている吐出口から
記録液流路中にある記録液を小滴にして吐出飛翔させ、
被記録体面上に付着させて記録する記録ヘッドであり、
吐出口を所定数並設させるとともに、これと同数の細孔
を吐出口の配列密度とほぼ同密度で並列に配設させたも
のである。また、特公昭59−43314号公報のものは、記
録液流路となる細孔と、この細孔に通じている所定口径
dの開口と、細孔に沿って設けられた発熱部とを具備し
た液滴噴射記録装置において、発熱部がその開口寄りの
縁が開口位置からdないし50dなる寸法の範囲内に位置
するように配設させたものである。さらには、発熱部が
細孔の長手方向に長尺な面状発熱体よりなることも記載
されている。
ここに、これらの特開昭55−128471号公報、特公昭59
−43314号公報に記載された記録ヘッドの製造方法は、
要約すると、感光性ガラスを用いた細溝を有する部品
と、発熱抵抗体パターンを形成した部品とを、接着する
ことにより吐出オリフィスを形成するものである。即
ち、前述した特公昭61−59914号公報記載のものとは、
感光性ガラスのエッチングにより細溝を形成する点で異
なるが、接着剤による吐出オリフィスの詰まりが発生し
歩留まりが低下する点は同様である。これらの記録ヘッ
ドは、吐出口(オリフィス)を有するという根本的な構
成自体に問題があるからである。
さらに、特開昭55−59974号公報によれば、前述した
特公昭61−59914号公報、特開昭55−128471号公報、特
公昭59−43314号公報中の実施例に示されるようなイン
ク流路溝を有する基板を、発熱体を有する基板に接着す
る際に、三次元網目構造を形成し得る接着剤により接着
するという製造方法が示されている。しかし、接着によ
り吐出オリフィスを形成するという基本構成が、前述し
た3つの公報記載のものと同じである限り、同様の問題
点、即ち、接着剤による吐出オリフィスの閉塞という問
題がある。
一方、特公昭62−59672号公報によれば、前述した特
公昭61−59914号公報、特開昭55−128471号公報、特公
昭59−43314号公報に記載されているような吐出オリフ
ィスの製法の欠点をなくす製法が開示されている。即
ち、これらの公報のように、ガラス板の研削加工による
インク流路の形成法、感光性ガラスのエッチングによる
インク流路の形成法等は、インク流路内壁面が粗く、そ
の内面が液滴吐出のための急激な圧力変化に対して大き
な抵抗となるため、液滴吐出のためのエネルギーを多く
必要とし、省エネルギー化に反し、また、研削の際にガ
ラスに欠け、割れが発生し歩留まりが悪く、液滴吐出の
安定性・均一性を損なう大きな要因となり、かつ、感光
性ガラスによるものは微細加工精度に限界があるととも
に、材料コストが高いものである。この点、特公昭62−
59672号公報では、基板上の所定位置にインクに液滴発
生のためのエネルギーを与えるエネルギー源として発熱
素子、圧電素子等の能動素子を複数個固定的に設置した
後(電極は適宜形成される)、基板表面に所定厚さで感
光性組成物層を塗布法等により形成し、通常のフォトリ
ソグラフィー法により、オリフィス部、作用部、インク
供給路部、インク吐出路部等のインク流路を形成するた
めのインク流路溝を形成し、この後、上蓋を接合させて
記録ヘッドを製造するようにしている。
しかし、同公報記載のヘッド製造法によっても、オリ
フィスが形成される時、即ち、上蓋をインク流路溝の形
成された基板の能動素子側に接合させる際に、依然とし
て、前述した特公昭61−59914号公報、特開昭55−12847
1号公報、特公昭59−43314号公報等の場合と同様な問題
がある。即ち、オリフィスが接着剤により閉塞し、ヘッ
ド製造の歩留まりが著しく低下する点である。仮に、特
公昭62−59672号公報方式において、上蓋を接合させる
際に接着剤を用いずに、感光性組成物層の完全硬化前の
接着性を利用し、熱融着又は熱圧着的な接合を行ったと
しても、この場合には、インク吐出路部、オリフィス部
が変形し、所望の形状が得られないという問題が発生す
る。結局、同公報の場合も、オリフィスを有するという
基本構造による問題が残る。
また、特開昭59−118469号公報によれば、複数個のオ
リフィスと、これらのオリフィス間を分離するための分
離部と、インク貯蔵部用外枠部とを一体的に有するオリ
フィス板を備えた記録ヘッドが示されている。これと目
的は異なるが、同様の構成を持つものとして、特開平1
−152068号公報に示されるものである。これは、同公報
中の第4図等に示されるように、発熱体(抵抗器)を有
する基板と、インク送りチャネル(分離部)と、オリフ
ィス(ノズル)板とよりなる。また、これらの特開昭59
−118469号公報、特開平1−152068号公報記載のノズル
板、ヘッド製造等に適したものは特開昭59−207264号公
報、特開昭62−234941号公報に示されている。さらに、
これらの4つの公報記載のヘツドの組立てに適したもの
としては、特開昭62−264957号公報に示されるものがあ
る。これは、基板上にポリマ障壁層を形成し、この障壁
層上にノズル板を整列配置した後、障壁層が塑性変形す
るに十分な時間と温度をもって、ノズル板に熱と圧力と
を加え、この後、基板、障壁層及びノズル板を固着する
工程を経て、インクジェットプリンタヘッドを製造する
ようにしたものである。
しかし、これらの特開昭59−118469号公報、特開平1
−152068号公報、特開昭59−207264号公報、特開昭62−
234941号公報及び特開昭62−264957号公報に記載された
ものも、オリフィス(ノズル)板を有することによる問
題点がある。まず、微細なオリフィス(ノズル、吐出
口)を有するオリフィス板を高精度に形成することは技
術的にかなり困難である。また、仮に高精度にオリフィ
ス板を形成したとしても、その製造コストが高く、ヘッ
ドが高価となってしまう。また、前述した公報中、特開
昭62−264957号公報において詳細に記載されているが、
オリフィス板を発熱体を有する基板とフォトレジスト障
壁層(ドライフィルム障壁層、インク送りチャネル)を
介して接合又は接着させる際に、フォトレジスト障壁層
が変形し、又は、接着剤が不要な部分に回り込んでイン
ク送りチャネルを詰まらせたりし、最悪の場合には、微
細なオリフィスをも詰まらせてしまう。これも、オリフ
ィス板を有し、かつ、接合又は接着工程を経るという、
根本的構成、製法に起因する問題点である。
さらに、前述した全ての公報等に共通する別の問題も
ある。即ち、前述したインクジェット記録ヘッドは、何
れも微細なオリフィス(=ノズル又は吐出口)を有し、
このようなオリフィスからインクが噴射又は飛翔して被
記録体に付着することにより記録を行う点で共通する。
ここに、微細なオリフィスは、通常30〜50μm程度の大
きさ(形状的には、必ずしも丸に限らず、角形もある)
であるため、インク中に含まれる不純物、又は、インク
供給系、供給路などから発生するごみ(ヘッド〜インク
供給系製造時に混入したり、摺動部などから微小片が脱
落することによるごみもある)などにより、オリフィス
の孔が詰まってしまう危険性を常に持つ。
ところで、特開昭62−253456号公報、特開昭63−1821
52号公報、特開昭63−197653号公報、特開昭63−272557
号公報、特開昭63−272558号公報、特開昭63−281853号
公報、特開昭63−281854号公報、特開昭64−67351号公
報、特開平1−97654号公報等に記載された記録ヘッド
もある。これらの公報記載のものは個々に検討すると各
々個別の特長を有するが、基本的な構成としては、従来
のオリフィスを有するオリフィス板に代えて、スリット
状の開口が形成されたスリットノズル板を用いた点で共
通する。しかし、これらの場合もスリット幅は例えば特
開昭62−253456号公報中に記載されているように数10μ
m程度と微小であり、従来よりあるインクジェットのオ
リフィス(ノズル)径と実質的に差がなく、スリット状
になったことにより、目詰まりに対して若干有利になっ
た程度であり、インクジェットの致命的欠点である目詰
まりの問題は解消されないものである。また、スリット
方式といっても、スリットノズル板を形成し、接合する
という製法によるため、前述したように従来からあるイ
ンクジェットのオリフィス板を形成して接合するという
ものと製法的に何んら変るところがなく、微細加工を伴
うスリットノズル板の製造にコストがかかり、アセンブ
リ接合(接着)という工程も減るわけではなく、コスト
面での優位性はない。これは、特開昭62−253456号公報
等と同様にスリットノズル板を用いる特開昭61−189950
号公報記載のものでも同様であり、目詰まりの問題が残
る。
また、上記の特開昭62−253456号公報によれば、イン
クの蒸気の泡を形成し、各々の泡が破裂する時に破裂す
る泡の保存運動量によって生ずる作用力により、インク
層から運動する被記録体に向かってインクの滴状体が、
加熱機素及びインク層に垂直な方向に放出されるという
吐出原理が記載されている。このような原理で吐出され
るインクの滴状体は、キャビテーション気泡の崩壊の研
究分野でその存在が認められている液体マイクロジェッ
トと同一のものと考えられている。これは、気泡の崩壊
時に気泡を貫くように柱状のジェットが形成されるとい
うもので、この柱状のジェット(液体マイクロジェッ
ト)をインクジェットに利用したものが、特開昭61−18
9949号公報、特開昭64−30758号公報に示されている。
前述した特開昭61−189950号公報記載のものは、これら
の特開昭61−189949号公報、特開昭64−30758号公報に
示される吐出原理を、スリット状ノズルに適用したもの
と見ることができる。
ところで、この特開昭61−189950号公報記載のもの
は、泡を破裂させるという原理に基づいてインクの滴状
体を放出させているものであり、インクの滴状体による
記録は可能であるものの、泡の破裂によるインクミスト
の発生が画質を著しく乱すという欠点が避けられないも
のである。つまり、同公報記載のものは、前述した特開
昭62−253456号公報等と同様に目詰まりの問題を解決し
ていないだけでなく、さらには、泡の破裂によるインク
ミストの飛散によって画質乱れをも生じてしまうものあ
る。
一方、オリフィスやスリットノズルを持たず、目詰ま
りの問題を解消したものとして、特開昭51−132036号公
報や特開平1−101157号公報に示されるものがある。し
かし、その吐出原理を検討すると、必ずしも満足し得る
画質が得られる吐出原理とはいい難いものである。即
ち、特開昭51−132036号公報の吐出原理は、前述した特
開昭61−189950号公報中に記載のものと同様であり、気
泡の破裂による画質低下の欠点を持つ。特開平1−1011
57号公報における吐出原理は、微小発熱体に通電して記
録液を瞬時に煮沸させてミスト状にして飛翔させ記録を
行うというものであり、記録液をミスト状にするため鮮
明な記録は困難であり、カブリ、地肌汚れを伴い、必ず
しも良好なる画像が得られないものである。
発明が解決しようとする課題 このように従来の種々のインクジェット方式において
は、インクジェット方式の致命的欠点であるごみ、或い
はインクの乾燥によるオリフィス(ノズル)又はスリッ
ト状ノズルの目詰まりの問題がある。また、ヘッドアセ
ンブリ上における高精度オリフィス(ノズル)が形成で
きない問題がある。さらには、アセンブリ上のコストの
問題がある。また、オリフィス(ノズル)が存在するこ
とによる信頼性の維持・回復が困難なる問題がある。ま
た、印字品質が低いといった問題もある。
つまり、従来のインクジェット記録方式に関しては、
目詰まり等の信頼性の点、ヘッドのコストの点及び画質
の点に課題がある。
課題を解決するための手段 請求項1記載の発明は、インク液面内に配設させたエ
ネルギー作用部に画像情報に応じた駆動信号を入力させ
て、このエネルギー作用部でインク中に気泡を生じさ
せ、この気泡の瞬間的な成長による作用力により前記イ
ンク液面からインクを飛翔させ、飛翔したインクを被記
録体に付着させるようにしたインク飛翔記録方法におい
て、前記エネルギー作用部におけるインク液層厚さを気
泡が最大になる時の高さの0.8倍以上とするとともに、
前記インクを柱状に成長させ、この柱状インクの高さを
前記エネルギー作用部におけるインク液層厚さの5倍以
上となるようにし、かつ、前記駆動信号の入力周期の最
小値を、(t+30)μsec以上(ただし、tは入力され
るエネルギーのピーク値の半分の値の時の駆動信号のパ
ルス幅)とした。
請求項2記載の発明は、インク供給手段と、このイン
ク供給手段により供給されたインクを保持するインク液
面保持手段と、インク液面内に配設されてインク中に瞬
間的に成長する気泡を生じさせるエネルギー作用部と、
このエネルギー作用部に画像情報に応じた駆動信号を与
える信号入力手段と、前記エネルギー作用部の近傍に位
置してインク液面と略平行な方向への圧力の分散を阻止
するための障壁とよりなるインク飛翔記録装置におい
て、前記インク液面保持手段又は障壁とインクとの固体
−液体界面で生じるメニスカス保持力により、エネルギ
ー作用部におけるインク液層厚さを、所望する駆動条件
時に盛り上がるインク柱の長さより短く保持させた。
請求項3記載の発明は、インク供給手段と、このイン
ク供給手段により供給されたインクを保持するインク液
面保持手段と、インク液面内に配設されてインク中に瞬
間的に成長する気泡を生じさせる配列方向を短手方向と
した長方形状のエネルギー作用部と、このエネルギー作
用部に画像情報に応じた駆動信号を与える信号入力手段
と、前記各エネルギー作用部の周囲近傍にほぼ等距離位
置に複数個配設されてインク液面と略平行な方向への圧
力の分散を阻止するための障壁ブロックとよりなるイン
ク飛翔記録装置において、前記各エネルギー作用部の配
列方向の障壁の圧力分散阻止能力より各エネルギー作用
部の配列方向に直交する方向の障壁の圧力分散阻止能力
が小さくなるように障壁ブロックを形成した。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明におい
て、障壁の最短幅を障壁の高さの1/3以上に形成した。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明におい
て、隣接する障壁間の最短距離の障壁の高さの1/3以上
に形成した。
請求項6記載の発明は、インクに熱エネルギーを与え
る発熱体と、この発熱体面にほぼ垂直方向にインクを噴
射するインクジェット記録ヘッドを備えたインク飛翔記
録装置において、前記発熱体面からインクメニスカスま
での距離を25μm〜60μmとするとともにインクを柱状
に成長させ、該柱状インクの高さを前記発熱体面からイ
ンクメニスカスまでの距離の5倍以上となるようにした
後、飛翔インク柱として飛翔させて記録するようにし
た。
作用 インク液面内に配設させたエネルギー作用部に画像情
報に応じた駆動信号を入力させ、このエネルギー作用部
を駆動させるとインク中に気泡が生じる。この気泡は瞬
間的に成長するもので、その作用力によりインク液面は
エネルギー作用部対応部分が盛り上がり、インク柱状に
成長する。ついで、エネルギー作用部の駆動をオンさせ
ると、成長した気泡は破裂することなく、収縮を開始し
遂には消滅する。一方、成長したインク柱状部分はさら
に前進し、基部側では気泡収縮に伴いくびれが生じ、最
終的にはインク液面から分離切断される。よって、イン
クはエネルギー作用部対応部分から滴状ないしは柱状と
なって、被記録体に向けて飛翔し、付着することにより
記録される。つまり、オリフィスやスリット状ノズルを
用いることなく、ドット状の鮮明画像が得られる。この
際、泡の破裂によるインクミストの発生を伴なわないた
め、画質の低下もない。
よって、構造的にみればオリフィスやスリット状ノズ
ルがないため、目詰まりの問題はない。仮に、インクの
乾燥、紙粉等の異物の付着・混入等があっても、洗浄液
による洗浄等によって、本来の飛翔機能を容易に回復・
維持できる。また、オリフィス等を持たず、かつ、その
形成のための接合工程も不要なため、低コストで済み、
工程的にも接合部材が流路を詰まらせたり、あるいは、
流路を変形させたりつぶしたりすることもない。
さらに、上記のインク飛翔方法ないしは装置を基本と
して本発明のように、インク液層厚さ、入力信号の駆動
周期、障壁ブロック配置・形状・大きさ、エネルギー作
用部形状等を適正化することにより、より一層安定した
インク飛翔特性、高速印写特性が得られるものとなる。
実施例 本発明の基本原理を第1図ないし第9図に基づいて説
明する。
〔基本構造〕
本実施例のインクジェット記録ヘッドの構成要素を第
2図ないし第5図により説明する。この記録ヘッド1
は、インク供給管(インク供給手段)2に接続された中
空のインク供給室3を有して台形状に形成されたマニホ
ールド4をベース材として構成されている。マニホール
ド4頂部にはインク供給室3に連通するスリット5が形
成された発熱体基板6が固定されている。この発熱体基
板6上にはスリット5両側に位置させて互い違いに櫛歯
状の障壁7が形成され、障壁7間に流路(インク液面保
持手段)8が形成されている。これらの流路8は障壁7
とは逆に互い違いに櫛歯状となってスリット5に連通さ
れている。また、前記発熱体基板6上には各流路8毎に
最奥部側に位置させて各々ヒータ部(エネルギー作用
部)9が形成されている。よって、ヒータ部9の平面的
な配列を見ると、第3図のようにスリット両側で千鳥状
配列となる。また、各流路8の途中に位置させて発熱体
基板6上には障壁7と同等の高さの流体抵抗部10が形成
されている。さらに、発熱体基板6の周囲を覆い枠状の
保持部材11により押え固定される薄膜状導電性リード
(信号入力手段)12がマニホールド4上に設けられてい
る。
ここに、前記ヒータ部9付近の構造例を第5図に示
す。このヒータ部9は発熱体基板6上に蓄熱層13を形成
し、その上に発熱体層14を制御電極15、アース電極16と
ともに形成し、さらに、インクとの直接的な接触を避け
るために表面を保護層17、電極保護層18により覆ったも
のである。各発熱体層14は前記制御電極15やアース電極
16を介してワイヤボンディング(図示せず)により薄膜
状導電性リード12に電気的に接続されている。この薄膜
状導電性リード12は画像情報信号入力手段(図示せず)
に接続されている。
〔インク飛翔原理の概要〕
まず、インク供給管2よりインク供給室3に供給され
たインク19(第1図参照)は、毛管現象により微細なス
リット5を通って障壁7により囲まれた櫛歯状の流路8
全域に満たされることになる。なお、スリット5や流路
8の寸法によっては、毛管現象だけではインク19を十分
に流路8全域に供給・保持させることができないが、こ
のような場合には、インク供給管2の元にあるインクタ
ンク(図示せず)と記録ヘッド1との高さを調整するこ
とにより、水頭差を利用すればよい。このように流路8
全域にインク19が満たされ、各ヒータ部9もインク19に
覆われた状態となるように、インク液面の高さを調整し
た定常状態において、画像情報に応じて各発熱体層14に
対して個別に通電を行うと、発熱した発熱体層14上でイ
ンク液中に気泡が発生する。この気泡の推進力によりイ
ンク19がヒータ部9の面(基板面)に略垂直なる方向に
飛翔することになる。
〔インク飛翔原理の詳細〕
第1図により詳細に説明する。なお、第1図ではヒー
タ部9及びその周辺部を拡大して示すが、簡単のため、
電極等は省略してある。
第1図(a)は定常状態を示し、流路8全域にインク
19が満たされ、ヒータ部9上もインク19により覆われて
いる。ヒータ部9を加熱させると、ヒータ部9の表面温
度が急上昇し、隣接インク層に沸騰現象が起きるまで熱
せられ、同図(b)に示すように微小な気泡20が点在し
た状態となる。ヒータ部9の全面で急激に加熱された隣
接インク層が瞬時に気化して同図(c)に示すように沸
騰膜を作る。このように気泡20が成長した状態におい
て、表面温度は300〜350℃になり、いわゆる膜沸騰状態
にある。また、ヒータ部9の上部にあるインク19層は、
気泡成長の推進力により、図示の如く、インク液面が盛
り上がった状態となる。同図(d)は気泡20が最大に成
長した状態を示し、インク液面からインク柱21がさらに
成長した状態となる。このような最大気泡となるまでに
要する時間は、ヘッド(発熱体基板6)構造、印加パル
ス条件等にもよるが、通常、パルス印加後、5〜30μse
c程度要する。最大気泡となった時点では、ヒータ部9
は既に通電されていない状態にあり、ヒータ部9の表面
温度は降下しつつある。気泡20が最大となる時のタイミ
ングは、電気パルス印加のタイミングから若干遅れたも
のとなる。同図(e)は気泡20がインク19等により冷却
され収縮を開始した状態を示す。インク柱21の先端部で
は押出された速度を保ちつつ前進し、後端部では気泡20
の収縮に伴ってインク液面にインク19が逆流することに
より、図示の如く、インク柱21にくびれが生ずる。気泡
20がさらに収縮すると、同図(f)に示すように、ヒー
タ部9面にインク19が接し、ヒータ部9面がさらに急激
に冷却される状態となる。インク柱21はインク液面から
切断され、被記録体(図示せず)の方向へ2〜10m/sの
速度で飛翔する。なお、この時の飛翔速度はヘッド(発
熱体基板6)構造、インク物性、印加パルス条件等に依
存するが、飛翔速度が比較的遅い場合(2〜3m/s)には
インク19は滴状となって飛翔し、比較的速い場合(7〜
10m/s)にはインク19は細長い柱状となって飛翔する。
この後、同図(g)に示すように同図(a)と同様な定
常状態に戻り、流路8全域にインク19が満たされ、気泡
20も完全に消滅した状態となる。
〔本発明の飛翔原理と従来の飛翔原理との違い〕
前述した各種従来方式中、例えば特開昭51−132036号
公報に示されるものは、特開昭61−189950号公報と同一
原理のものであり、泡を破裂させることによりインクの
滴状体を放出させるものである。よって、前述したよう
に泡の破裂によるインクミストの発生が画質低下をもた
らす。また、例えば特開平1−101157号公報に示される
ものは、記録液を瞬時に煮沸させてミスト状にして飛翔
させ記録を行うもので、これもインクミストによるカブ
リ、画像乱れが避けられない。
一方、本発明の飛翔原理によれば、インク19を飛翔さ
せるための気泡20は破裂せずに収縮・消滅するため、泡
の破裂によるインクミストの発生が防止され、インクミ
ストによる画質低下がない。また、インクをミスト状に
して記録するものと異なり、インク19を滴状又は細長柱
状として(何れにしても、あるインク塊まりとして)飛
翔させ記録するので、被記録体上では1つのドットとし
て付着して記録され、鮮明な画像が得られる。
〔発熱体基板構造及びその製造方法の詳細〕
本実施例において、発熱体基板6は重要なパーツの一
つである。まず、発熱体基板6自体は例えばガラス、ア
ルミナ(Al2O3)、シリコン等の材質によるものが用い
られる。スリット5は比較的精度がよく、低コストで加
工できる点でレーザビーム加工法によるのがよい。もっ
とも、基板として単結晶シリコンを用いる場合には、異
方性エッチング加工によっても、非常に高精度にスリッ
ト5を形成できる。
基板6上に形成される蓄熱層13は例えばSiO2層よりな
り、ガラス又はアルミナ基板の場合であればスパッタリ
ング法等の薄膜形成法により形成され、シリコン基板の
場合には熱酸化法によって形成される。蓄熱層13の膜厚
としては1〜5μm程度がよい。
発熱体層14を構成する材料としては、例えばタンタル
−SiO2の混合物、窒化タンタル、ニクロム、銀−パラジ
ウム合金、シリコン半導体、或いは、ハフニウム、ラン
タン、ジルコニウム、チタン、タンタル、タングステ
ン、モリブデン、ニオブ、クロム、バナジウム等の金属
の硼化物が使用可能である。これらの内、金属の硼化物
が特に好ましく、その中でも、硼化ハフニウムが最も特
性的に好ましく、次いで、硼化ジルコニウム、硼化ラン
タン、硼化タンタル、硼化バナジウム、硼化ニオブの順
に好ましいものとなる。発熱体層14はこのような材料を
用い、電子ビーム法、蒸着法、スパッタリング法等によ
り形成される。膜厚は単位時間当たりの発熱量が所望値
となるように、その面積、材質、熱作用部分の形状及び
大きさ、実際面での消費電力等に応じて適宜設定される
が、通常は0.001〜5μm程度、好ましくは0.01〜1μ
m程度の膜厚とされる。
制御電極15やアース電極16の材料としては、通常の電
極材料と同じでよく、例えば、Al,Ag,Au,Pt,Cu等が用い
られる。これらは蒸着法等により、所定位置に所定の大
きさ、形状、膜厚で形成される。
保護層17は発熱体層14で発生した熱を効果的にインク
19側に伝達させることを妨げずに発熱体層14を保護する
ためのものであり、材料としては、酸化シリコン(Si
O2)、窒化シリコン、酸化マグネシウム、酸化アルミニ
ウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム等が用いられ
る。製法は、電子ビーム法、蒸着法、スパッタリング法
等による。膜厚は、通常0.01〜10μm、好ましくは0.1
〜5μm(中でも、0.1〜3μmが最適)とされる。保
護層17はこれらの材料を用いて1層又は複数層構造で形
成されるが、これらの層の他に、気泡20が収縮・消滅す
る際に発生するキャビテーション作用からヒータ部9を
保護するためにTa等の金属層を表面に形成するのが望ま
しい。具体的には、Taなどの金属層を膜厚0.05〜1μm
程度で形成すればよい。
電極保護層18の材料としては、例えばポリイミドイソ
インドロキナゾリンジオン(商品名:PIQ,日立化成社
製)、ポリイミド樹脂(商品名:PYRALIN,デュポン社
製)、環化ポリブタジエン(商品名:JSR−CBR,日本合成
ゴム社製)、フォトニース(商品名:東レ社製)、その
他の感光性ポリイミド樹脂等が用いられる。
〔障壁7の形成方法〕 発熱体基板6上にインク液面と略平行な方向への圧力
分散を防止する状態で流路8を形成するための障壁7の
形成方法を第6図を参照して説明する。第6図では、簡
略化するため、発熱体基板6上にはヒータ部9のみを図
示する。前述したように必要な層が形成された発熱体基
板6上に第6図(a)に示すように、80〜105℃程度に
加熱されたドライフィルムフォトレジスト22を、0.4〜
0.5f/分、1〜3kg/cm2加圧条件下で膜厚10〜100μm程
度にラミネートする。この時、ドライフィルムフォトレ
ジスト22は自己接着性を示し、発熱体基板6表面に融着
して固定され、以後、相当の外力が加わっても発熱体基
板6から剥離することはない。
次いで、同図(b)に示すようにドライフィルムフォ
トレジスト2上に所定のパターン形状を有するフォトマ
スク23を重ね合わせた後、フォトマスク23上方から露光
を行う。この時、ヒータ部9の設置位置とフォトマスク
23のパターンとの位置合わせを周知の方法により正確に
行っておく。
露光工程後に、ドライフィルムフォトレジスト22の未
露光部分をトリクロルエタン等の所定の有機溶剤からな
る現像液により溶解除去すると、同図(c)に示すよう
にヒータ部9に対応して流路8が存在するように障壁7
が残存形成される。残存した露光済みのこの障壁7表面
は、耐インク性向上、ドライフィルムフォトレジスト22
と発熱体基板6との密着力の向上のため、熱硬化処理
(例えば、150〜250℃で30分〜60時間の加熱)、又は紫
外線照射処理(例えば、50〜200mW/cm2或いはそれ以上
の紫外線強度による)を行う。熱硬化処理と紫外線照射
処理との双方を行ってもよい。また、フォトマスク23の
パターン形状を適宜設定することにより、流体抵抗部10
も障壁7と同時に形成される。
なお、障壁7(流体抵抗部10を含む)の形成につき、
フォトレジストとしてドライフィルム型、即ち固体のも
のを利用したが、これに限らず、例えば液状の感光性組
成物を用いてもよい。液体の感光性組成物膜の場合、レ
リーフ画像の製造時に用いられるスキージによる方法、
即ち、所望の感光性組成物膜厚に相当する高さの壁を基
板周囲に置き、スキージによって余分な組成物を除去す
る方法を適用できる。この場合、感光性組成物の粘度は
100〜300cpの範囲が好ましく、壁の高さは感光性組成物
の溶剤分の蒸発による減量を見込んで決定する必要があ
る。
固体の場合には、感光性組成物シートを基板上に加熱
圧着して貼着する。なお、本発明においては、その取扱
い上、厚さの制御が容易かつ正確にできる点などを考慮
すると、前述したように固体のフィルム型のものを利用
するほうが有利である。
このような固体のものとしては、具体的には、例えば
パーマネントフォトポリマーコーティングRISTON(ソル
ダーマスク)730S(デュポン社製)、同740S、同730F
R、同740FR、同SM/等の商品名で市販されている感光性
樹脂がある。この他、感光性樹脂、フォトレジスト等の
通常のフォトリソグラフィーの分野において使用されて
いる感光性組成物の多くのものを用い得る。例えば、ジ
アゾレジン、P−ジアゾキノン、さらには、例えばビニ
ルモノマーと重合開始剤を使用する孔重合型フォトポリ
マー、ポリビニルシンナメート等と増感剤を使用する二
量化型フォトポリマー、オルソナフトキノンジアジドと
ノポラックタイプのフェノール樹脂との混合物、ポリビ
ニルアルコールとジアゾ樹脂の混合物、4−グリシジル
エチレンオキシドとペンゾフェノンやグリシジルカルコ
ンとを共重合させたポリエーテル型フォトポリマー、N,
N−ジメチルメタクリルアミドと例えばアクリルアミド
ベンゾフェノンとの共重合体、不飽和ポリエステル系感
光性樹脂(例えば、旭化社製のAPR、帝人社製のテビス
タ、関西ペイント社製のゾンネ等)、不飽和ウレタンオ
リゴマー系感光性樹脂、二官能アクリルモノマーに光重
合開始剤とポリマーとを混合させた感光性組成物、重ク
ロム酸系フォトレジスト、非クロム系水溶性フォトレジ
スト、ポリケイ皮酸ビニル系フォトレジスト、環化ゴム
−アジド系フォトレジスト等が挙げられる。
〔変形例〕
a.流路8形状について。
第7図(a)は流体抵抗部10を省略した変形例を示
す。インク19の物性、駆動条件を適切に選定すれば、流
体抵抗部10がなくてもインク飛翔を確実に行わせること
ができる。
同図(b)は平面的に見て円形状の流体抵抗部10に代
えて、平面的に見てハート型形状の流体抵抗部24とした
ものである。この場合、図示の如く、ヒータ部9側に向
けてインク19が流れ込みやすく、ヒータ部9側から出に
くい向きとされ、より効率的にインク飛翔されるように
したものである。
同図(c)は、流体抵抗部10を省略するとともに、障
壁7の入口部形状を図示のように絞り形状として、幅狭
の流体抵抗部25を形成することにより、各ヒータ部9毎
に個別化された流路8が形成されるようにしたものであ
る。
同図(d)も同様であり、障壁7の入口部形状を入り
組んだ形状として流体抵抗部26を形成したものである。
これらに例示したように、流路8形状としては種々の
形状とし得る。何れにしても、前述したフォトリソグラ
フィ法により形成できる。
b.障壁7形状について。
障壁7については、第3図に示したように基板6上で
連続的につながっている必要はなく、第8図(a)〜
(e)に例示するように、各々独立した障壁7のブロッ
クとしヒータ部9に対する流路8を形成するようにして
もよい。
c.インク液層厚さについて。
第1図等による説明では、インク液層厚さが、障壁7
及び流体抵抗部10と同一厚さとしたが(この場合、実験
によれば、障壁7及び流体抵抗部10の上面を弗素化合物
により揆水性処理をしてインクに濡れにくくしたほう
が、安定したインク飛翔結果が得られた)、必ずしも同
一厚さである必要はない。第9図は、障壁7及び流体抵
抗部10がインク液面下に沈んでいる変形例を示す。この
ような構成であっても、インク物性、印加パルス条件を
適当に選定することにより、良好に動作する。
d.エネルギー作用部について。
インク19中で気泡20を発生させるエネルギー作用部と
しては、発熱体層14を持つヒータ部9によるジュール熱
加熱法に限らず、例えば、パルスレーザ又は放電を利用
したエネルギー作用方式であってもよい。
例えば、パルスレーザ方式は、特開平1−184148号公
報中の第8図方式等に準じたものでよい。即ち、レーザ
発振器より発生させたレーザ光を、光変調器駆動回路に
入力されて電気的に処理され出力される画情報信号に従
って、光変調器においてパルス変調させる。パルス変調
されたレーザ光を走査器を通し集光レンズにより熱エネ
ルギー作用部の外壁に焦点が合うように集光させ、記録
ヘッドの外壁を加熱し、内部のインク内で気泡を発生さ
せる。或いは、熱エネルギー作用部の外壁を、レーザ光
に対して透過性材料により形成し、集光レンズによって
内部のインクに焦点が合うように集光させてインクを直
接熱して気泡を発生させるようにしてもよい。実際的な
レーザ光を利用する構成としては、同公報中の第9図に
準じて構成すればよい。
また、放電方式も、同公報中の第10図方式に準じたも
のでよい。即ち、熱エネルギー作用部の内壁側に配置さ
せた一対の放電電極に放電装置から高電圧パルスを印加
することにより、インク中で放電を生じさせ、この放電
により発生する熱で瞬時に気泡を発生させるものであ
る。放電電極の形状は、同公報中の第11図ないし第18図
に例示されるような各種形状を適宜用いればよい。
e.インク組成等について。
本発明で使用されるインク19は、所定の熱物性値及び
その他の物性値を有するように、材料の選択と組成成分
の比が調合されること、従来から使用されているインク
と同様に化学的・物理的に安定であること、応答性、忠
実性、曳糸化能に優れていること、液路において固まら
ないこと、液路中を記録速度に応じた素度で流通し得る
こと、記録後に被記録体への定着が速やかであること、
記録濃度が十分であること、貯蔵寿命が良好であるこ
と、等の特性を満足し得るように物性が調整される。
具体的には、上記特開平1−184148号公報の明細書第
34頁ないし第49頁に例示されるような特性のインクを、
本発明でも使用すればよい。
〔具体的実験例〕
実際に印写記録を行った時の条件ないしは噴射実験結
果を示す。
a.具体例1 条件 発熱体層14のサイズ :65μm×65μm ヒータ部9の配列密度 :180dpi ヒータ部9の数 :30個 抵抗値 :31Ω 障壁7の形状 :第7図(a)図示のもの 障壁7のサイズ :幅65μm,奥行き120μm,高さ3
5μm 駆動電圧 :15V パルス幅 :5μsec 連続駆動周波数 :2kHz(ベタ印写時) 使用インク :キャノン社製のBJ130用イン
ク 上記条件で印写記録実験を行ったところ、良好なる記
録画像が得られたものである。記録された画素の平均径
は、被記録体としてNMマットコート紙(三菱製紙社製)
上で、平均値が95μmとあったものである。また、2kHz
連続駆動時のインク飛翔速度は4.5m/sと高速性が確保さ
れたものである。
b.具体例2 条件 発熱体層14のサイズ :65μm×62μm ヒータ部9の配列密度 :150dpiの2列千鳥配列による
300dpi ヒータ部9の数 :50個 抵抗値 :31Ω 障壁7の形状 :第7図(c)図示のもの 障壁7のサイズ :幅65μm,奥向き100μm,高さ2
0μm,最小幅狭部30μm 駆動電圧 :15V パルス幅 :3.6μsec 連続駆動周波数 :4kHz(ベタ印写時) 使用インク :キャノン社製のBJ130用イン
ク 上記条件で印写記録実験を行った場合も、良好なる記
録画像が得られたものである、記録された画素の平均径
は、被記録体としてNMマットコート紙(三菱製紙社製)
上で、90μmとなったものである。また、4kHz連続駆動
時のインク飛翔速度は5m/sと高速性が確保されたもので
ある。
c.具体例3 具体例2の条件中、障壁7の形状を第8図(c)に示
したものとし、他は同一条件として実験したところ、4k
Hz連続駆動時に5.5m/sで安定したインク飛翔が確認され
た。
d.具体例4 具体例3の構造と同一とし、インク液層厚さを第9図
に示したように厚くし障壁7等を沈ませた状態で駆動さ
せたところ、4kHz連続駆動時に5m/sで安定したインク飛
翔が確認されたものである。
請求項1記載の発明の一実施例を第9図及び第10図を
参照して説明する。基本的には、前記実施例に準ずるも
のであるが、特に、ヒータ部9上におけるインク液層厚
さと、その部分に形成させる気泡の高さとの関係につい
ての最適条件を見出したものである。
まず、ここでは第9図に示したヘッド構成において、
ヒータ部9上のインク液層厚さh1を種々変えてインク飛
翔実験を行った(具体例5,6とする)。
具体例5の条件は、具体例2と同様で、 発熱体層14のサイズ :65μm×62μm 抵抗値 :31Ω 駆動電圧 :15V パルス幅 :3.6μsec 連続駆動周波数 :4kHz(ベタ印写時) 使用インク :キャノン社製のBJ130用インク 記録紙 :NMマットコート(三菱製紙社
製) である。また、具体例6の条件は、 発熱体層14のサイズ :110μm×100μm 抵抗値 :65Ω 駆動電圧 :25V パルス幅 :6μsec 連続駆動周波数 :1.25kHz 使用インク :キャノン社製のBJ130用インク 記録紙 :NMマットコート(三菱製紙社
製) である。
具体例5の印写記録によると、インク液層厚さh1を2
0,25,30,40,50,60μmとした時には記録紙上の画素形状
が略円形となる良好なる画像品質が得られたが、厚さh1
を10,15μmとした時には記録紙上の画素形状がミスト
状に飛散して悪いものであった。
同様に、具体例6の印写記録によると、インク液層厚
さh1を25,30,40,50,60,70μmとした時には画素形状が
略円形となる良好なる画像品質が得られたが、厚さh1
10,20μmとした時には画像形成がミスト状に飛散して
悪いものであった。
これらの具体的によると、まず、インク液層厚さh1
薄い場合には、記録画素がミスト状に飛散して極めて画
像品質の悪いものとなることが判る。よって、この厚さ
h1はある程度厚めにしたほうがよいが、第9図によれ
ば、このような層厚さの保持は保持部材11の長さを変更
することで容易に可能である。ちなみに、第1図等のヘ
ッド構成による場合であれば、障壁7(流体抵抗部10を
含んでもよい)の長さを変えればよい。
さらに、これらの具体例5,6において、使用インクを
上記のキャノン社製のBJ130用インクとほぼ同じ物性を
持つ透明なビークルに代えて、駆動信号に同期したスト
ロボによりインク飛翔形状及び気泡の状態を観察したと
ころ、気泡20が最大となる時の高さh2(第10図(d)参
照)は、具体例5のヘッドではh2=25μm、具体例6の
ヘッドではh2=30μmとなったものである。この時の飛
翔形状は、各々第1表に示すようになったものである。
ただし、第1表の飛翔液の安定性の評価は、×が極め
て不安定、○が安定、◎が極めて安定を示す。
第1表の結果によれば、h1/h2≧0.8の時には飛翔形状
が柱状又は滴状となって飛翔するのに対し、h1/h2<0.8
となるとミスト状に飛散してしまうことが判る。よっ
て、ヒータ部9でのインク液層厚さh1を、気泡20の最大
高さh2に対してh1≧0.8h2、より好ましくは、h1≧h2
なるように設定するのがよい。また、柱状又は滴状飛翔
にあっては飛翔速度及び飛翔方向が極めて安定してバラ
ツキのないものとなるが、ミスト状飛翔の場合にはスト
ロボに対して同期がとれず極めて不安定となったもので
ある。
ところで、飛翔形状が柱状又は滴状となって飛翔する
場合、詳細に観察したところ、第1図に準じて示す第10
図のように、気泡20の生成〜成長〜収縮〜消滅という膜
沸騰の過程に応じて、液表面の盛り上がり(第10図
(a))〜液柱の成長(同図(b))〜液柱のくびれ
(同図(c))〜液柱の切断(同図(d))〜定常状態
への復帰(同図(e))というように、液面が破壊され
ることなく飛翔が行われたものである。ちなみに、ミス
ト状飛散の場合には、第47図に示すように、液層が薄い
ため、ヒータ部9の発熱により瞬時に煮沸してミスト状
となって飛散してしまい、結局、特開平1−101157号公
報中の第2図のような現象が生じたものである。
本実施例のように、0.8≦h1/h2≦1とした場合、気泡
20の成長とともに液面が盛り上がり、気泡20が最大とな
った時にはその長さh2が定常状態における液層厚さh1
り長くなるが、液面は表面張力により保持され、ドーム
型の液面となり破裂を生じなかったものである。
このように、液面がノズル孔内に形成され、完全に分
離されており、また、発熱部が液室内或いは流路内に設
けられているため、気泡の膨張に従いその体積にほぼ見
合うメニスカスの生じる従来のようなノズルタイプ、換
言すれば、メニスカスの断面積がほぼノズル面積以下で
あるようなタイプとは異なり、本実施例のように、ヒー
タ部9のインク液面が分離されておらず、数10μmを越
えるような広い領域で液面が形成される構成のヘッドに
おいても、ミスト状に飛散することなく、安定したイン
ク飛翔が可能となる。また、安定した膜沸騰を起こすた
め、高周波数で駆動させることができ、高速印写も可能
となる。
ついで、請求項1記載の発明のさらに詳細を第11図及
び第12図を参照して説明する。本実施例は、特に、高速
記録を可能とする駆動信号の入力周期についての最適条
件を見出したものである。
まず、ここでは具体例7として、第11図に示したヘッ
ド構造において、ピークエネルギーの半値幅tを各々6,
10,20μsecとしたパルス幅を持つ矩形状の駆動信号を、
繰返し周期20,30,40,60,100,500μsec,1msec(周波数で
示せば、各々50,33.3,25,16,7,10,2,1kHz)で印加して
インク飛翔実験を行った。印加電圧はヒータ部9の耐久
以内となるようにした。具体例7のヘッド条件は、具体
例6と同様で 発熱体層14のサイズ:110μm×100μm 抵抗値 :65Ω 使用インク :キャノン社製のBJ130用インク 記録紙 :NMマットコート(三菱製紙社
製) とした。この具体例7において、記録紙上の画像品質を
評価したところ、第2表に示すような結果が得られたも
のである。
また、第11図構成でヘッド条件を 発熱体層14のサイズ :65μm×62μm 抵抗値 :31Ω 使用インク :キャノン社製のBJ130用インク 記録紙 :NMマットコート(三菱製紙社
製) とした具体例8として、半値幅tを各々3,8,20μsecと
したパルス幅を持つ矩形状の駆動信号を、繰返し周期1
0,30,40,50,100,500μsec,1msec(周波数で示せば、各
々100,33.3,20,10,2,1kHz)で印加してインク飛翔実験
を行った。印加電圧はヒータ部9の耐久以内となるよう
にした。この具体例8において、記録紙上の画像品質を
評価したところ、第3表に示すような結果が得られたも
のである。
ただし、画像品質の評価×は悪い、○はよい、◎は極
めて良好を示す。
ただし、画像品質の評価×は悪い、○はよい、◎は極
めて良好を示す。
第2表及び第3表に示す結果によれば、駆動信号の繰
返し周期Tをパルスの半値幅t〔μesc〕+30〔μsec〕
以上、より好ましくは、t+50〔μsec〕以上とした時
に、安定した画像が得られることが判る。
第12図は具体例7,8に示すようなヘッドを用い、使用
インクを上記のキャノン社製のBJ130用インクとほぼ同
じ物性を持つ透明なビークルに代えて、インク飛翔状態
をストロボ観察した結果を示す。まず、同図(a)は気
泡20が最大となり液面よりインク柱21が成長した状態を
示し、同図(b)は気泡20が収縮した状態、同図(c)
は気泡20が完全に消滅した状態を示す。同図(c)の状
態の時、ヒータ部9上の液面は定常状態における液層厚
さh(第11図参照)よりも下がり、ヒータ部9を中心に
液面に波27が生じ、かつ、この波27がヒータ部9を中心
に矢印で示す方向に広がっている。同図(d)は波27が
さらに広がった状態を示し、その後、ヒータ部9の液面
は上昇し、同図(e)に示すように定常状態に復帰す
る。本実施例は、このように観察された現象に着目した
ものである。また、ヒータ部9上の液面は、定常状態の
液層厚さhに対して20〜80%程度となる厚さまで下降す
ることも判明した。さらには、駆動信号パルスがオフし
てから10μsec経過後には気泡20が完全に消滅すること
も判明した。さらに、第2表及び第3表で示した条件で
インク飛翔状態をストロボ観察したところ、繰返し周期
Tが(t+30)μsec以上の時には波27がヒータ部9よ
り十分に離れた所まで広がり、ヒータ部9上の液層はほ
ぼ定常状態における液層厚さhにまで復帰しており(0.
8h以上)、気泡20の生成〜成長〜収縮〜消滅という膜沸
騰の過程に応じて、液面の盛り上がり〜インク柱21の成
長〜インク柱21のくびれ〜インク柱21の切断〜液面の定
常状態への復帰という一連の飛翔プロセスが、駆動信号
に応じて安定して繰返されることが判明した。
ところが、繰返し周期Tが(t+30)μsecより小さ
い時には、波27がヒータ部9近傍にあり、液面が復帰し
ない状態、即ちヒータ部9上の液面が定常状態の厚さh
より未だ相当に低い状態で、次の駆動信号が入力される
ため、第48図に示すように、ヒータ部9の発熱により瞬
時に煮沸してミスト状となって飛散してしまい、結局、
特開平1−101157号公報中の第2図のような現象が生じ
たものである。
ちなみに、従来のようなノズルタイプ又はスリットタ
イプの場合であれば、飛翔による波の発生がなく、又は
あってもスリット方向にしか発生せずに、スリットと直
交する方向から容易に液供給が行えること、また、液面
は微細なノズル孔又は非常に狭いスリット内に形成され
るため表面張力によりノズル内又はスリット内に確実に
保持される。このため、メニスカスの復帰が比較的速く
気泡の消滅後、直ちに次の駆動信号が入力されても十分
追従可能であり、画質としてもせいぜいドット径が多少
バラツク程度で、前述したような煮沸によるミスト化が
発生することはない。
即ち、従来タイプでは問題にならないが、本実施例の
前提とするヘッド構造では液相厚さの低下、或いは波27
の発生が、インク飛翔の有無に影響を及ぼすものであ
り、本実施例は駆動信号の周期の最適化によりこの点を
解決したものである。
さらに、本発明の変形例を第13図及び第14図を参照し
て説明する。本実施例は、ヒータ部9におけるインク液
層厚さにつき、インク柱21の長さとの関係で最適条件を
見出したものである。
まず、第13図は前述した実施例方式に準じてインクを
飛翔させた時の様子を示すもので、h1はヒータ部9付近
でのインク液層厚さを示し、h3は所望する駆動条件に従
いインク液面より盛り上がったインク柱21の長さ(切断
された直前の長さ)を示す。
今、ここでは第13図に示したヘッド構成において、厚
さh1を種々変えてインク飛翔実験を行った(具体例9,10
とする)。
具体例9の条件は具体例5と同じとした。ただし、使
用インクはキャノン社製のBJ130用インクと同等の物性
を持つビークルとした。また、具体例10の条件も具体例
6と同じとした。この場合も、使用インクはキャノン社
製のBJ130用インクと同等の物性を持つビークルとし
た。
これらの具体例9,10による結果を第4表に示す。
ただし、飛翔安定性についての評価◎は極めて安定、
○は安定、△はやや不安定を示す。
第4表に示す結果によれば、ヒータ部9での液層厚さ
h1を、インク柱21の長さh3よりも短くすることによりイ
ンク飛翔が良好に行われることが判る。特に、h3≧5h1
に設定すれば、インク飛翔速度が速い状態で安定した飛
翔が得られたものである。
ついで、これらの具体例9,10に対し、第14図に示すよ
うに、ヒータ部9の近傍に障壁7のないヘッド構造とし
て、同様の実験を具体例11,12として行ったところ、第
5表に示すような結果が得られたものである。
この場合も、障壁7を持つ具体例9,10と同じく、ヒー
タ部9での液層厚さh1を、インク柱21の長さh3よりも短
くすることによりインク飛翔が良好に行われ、特に、h3
≧5h1に設定すれば、インク飛翔速度が速い状態で安定
した飛翔が得られることが判る。
また、請求項2記載の発明の一実施例を第15図ないし
第17図により説明する。
まず、第15図では、前述した第一の実施例のインク液
層厚さ保持等で簡単に触れた、インク液面と略平行な方
向への圧力の分散を阻止するための障壁7をインク液面
保持手段とし、この障壁7とインク19との固体−液体界
面で生ずるメニスカス保持力により、ヒータ部9上での
インク液層厚さを一定に維持させたものである。この場
合のインク液層厚さh1は前記実施例で説明したインク柱
21の長さh3よりも短くなるように設定されている。
ついで、第16図では、ヒータ部9から遠く離れた位
置、例えば数10μm以上の位置に、別個に液層厚さ保持
手段としての保持壁28を設け、この保持壁28とインク19
との固体−液体界面で生ずるメニスカス保持力により、
ヒータ部9上でのインク液層厚さを一定(h1<h3)に維
持させたものである。よって、この保持壁28はインク液
面と略平行な方向への圧力の分散を阻止という障壁の役
割は殆どなく、もっぱら液相厚さの保持の役割を果たす
ことになる。
第15図の障壁7や第16図の保持壁28は、前述したよう
にドライフィルムフォトレジストによって容易に形成し
得る。
さらに、これらの第15図及び第16図の考えによれば、
第17図に示すように、障壁7を持つヘッド構造におい
て、その外側離れた位置に保持壁28を形成してもよい。
即ち、ヒータ部9付近での圧力の分散の阻止は障壁7に
受け持たせ、インク液層厚さ保持は保持壁28に受け持た
せるものである。この場合の具体的構成は、例えば第18
図の斜視図に示すように、ヒータ部9周りに障壁7を4
辺で形成し、これらの遠い周囲全体を保持壁28で囲むよ
うにすればよい。従って、第17図は第18図のB−B線断
面構造と見ることができる。
ついで、本発明の変形例を第19図及び第20図により説
明する。
まず、第19図図示例は、インク供給容器29に連通され
たインク供給管30をU字管の原理によりヘッド1中に連
通させたインク液層厚さ設定手段31とし、インク供給容
器29の液面高さがヒータ部9での液層厚さを保持するよ
うにしたものである。
即ち、第19図中に破線で示すように、ヒータ部9での
液層厚さはインク供給容器29中の液面高さと同じとなっ
ており、インク供給容器29を上下方向に微動させること
により、ヒータ部9での液層厚さを容易に可変又は維持
できる。この場合の液層厚さh1も前述した第五の実施例
で説明したインク柱21の長さh3よりも短くなるように設
定されている。
なお、通常の印写において使用されるインクは量的に
それほど多くないので、インク供給容器29を位置固定的
に設けても、印写で消費されるインク減量によりインク
液層厚さはそれほど変らない。しかし、必要に応じて
(インクの消費に応じて)、インク供給容器29を移動さ
せればよい。
また、第20図図示例は、基本的には第19図の場合と同
じであるが、大量にインクが消費されるようなヘッドを
想定し、このような場合にインク液層厚さを一定(
h3)に維持させるように、インク液層厚さ設定手段31を
改良したものである。即ち、本実施例のインク供給容器
32はオーバーフロー型とし、固定容器33、ポンプ34、供
給管35によるインク循環路中に配置させたものである。
そして、インク供給容器32にインクをオーバーフローさ
せ、そのオーバーフロー位置(高さ)が液層厚さとなる
ようにU字管原理が作用するように配置されている。
インク供給容器32をオーバーフローしたインクは容器
33に回収され、ポンプ34によって再び汲み上げられてイ
ンク供給容器32に供給される。このようにインク供給容
器32では常にオーバーフローしており、そのオーバーフ
ロー位置がインク液層厚さを規制するため、印写に伴う
インク消費に関係なく、ヒータ部9での液層厚さは常に
一定に維持される。
第15図ないし第20図に示したこれらの実施例によれ
ば、ヒータ部9でのインク液層厚さh1を、h1<h3なる状
態に維持することが、簡単に達成できる。
本発明の変形例を第21図ないし第26図により説明す
る。本実施例は、前述したような新規な記録ヘツド1構
造、特にその障壁7の作製方法に言及したものである。
即ち、障壁7はインク液面に略平行な方向の圧力分散を
阻止する機能を持つものであり、障壁7により飛翔特性
(飛翔速度、飛翔方向等)が大きく影響を受けるので、
飛翔安定性を発揮し得る作製方法を明確にするものであ
る。
第6図に対応させた第21図によりその作製方法を説明
する。まず、第21図(a)に示すように複数のヒータ部
9を配列ピッチlで形成する。ついで、同図(b)に示
すようにパターンピッチlにて形成されたフォトマスク
23を用いて露光を行い、これを現像することにより、同
図(c)に示すように配列ピッチl′=lの障壁7を形
成するものである。即ち、障壁7の配列密度とヒータ部
9の配列密度とを等しく(厳密に等しくなくてもよく、
ほぼ等しければよい)したものである。この他の点は、
第6図の場合と同様である。
これは、流路8や障壁7の形状を問わず、第7図及び
第8図に対応して示す第22図及び第23図のように、障壁
7の配列ピッチとヒータ部9の配列ピッチとが等しく
(l=l′)される。
本実施例は、例えば第24図及び第25図に示すような記
録ヘッド1構造、即ち、第23図(c)に示すような障壁
7形状にて形成するのが好ましい。
今、具体例13として、 ヒータ部9のサイズ :80μm×80μm ヒータ部9の配列ピッチl :200dpi(=127μm) ヒータ部9の数 :30個 抵抗値 :31Ω 障壁7の形状 :第23図(c)図示のも
の 障壁7のサイズ :幅37μm 奥行き120μm 高さ35μm 障壁7の配列ピッチl′ :200dpi(=127μ
m) 使用インク :キャノン社製のBJ130用イン
ク 記録紙 :NMマットコート紙(三菱製紙
社製) とするヘッドを試作し、駆動条件を 駆動電圧 :15V 駆動周波数 :2kHz(ベタ印写時) 駆動パルス幅 :5μsec インク液面・記録紙間距離:1mm にて印写実験を行なった。
また、具体例14として ヒータ部9のサイズ :40μm×40μm ヒータ部9の配列ピッチl :400dpi(=63.5μm) ヒータ部9の数 :30個 抵抗値 :31Ω 障壁7の形状 :第23図(c)図示のも
の 障壁7のサイズ :幅15μm 奥行き60μm 高さ15μm 障壁7の配列ピッチl′ :400dpi(=63.5μ
m) 使用インク :キャノン社製のBJ130用イン
ク 記録紙 :NMマットコート紙(三菱製紙
社製) とするヘッドを試作し、駆動条件を 駆動電圧 :15V 駆動周波数 :2kHz(ベタ印写時) 駆動パルス幅 :3.6μsec インク液面・記録紙間距離:1mm にて印写実験を行なった。
さらに、 比較例1 ヒータ部9の配列ピッチl :200dpi 障壁7の配列ピッチl′ :100dpi(=254μm) (他は、具体例13と同じ) 比較例2 ヒータ部9の配列ピッチl :200dpi 障壁7の配列ピッチl′ :50dpi(=508μm) (他は、具体例13と同じ) 比較例 ヒータ部9の配列ピッチl :400dpi 障壁7の配列ピッチl′ :200dpi(=127μm) (他は、具体例14と同じ) 比較例4 ヒータ部9の配列ピッチl :400dpi 障壁7の配列ピッチl′ :100dpi(=254μm) (他は、具体例14と同じ) なる記録ヘッドも試作し、同様に印写実験を行った。
これらの具体例13,14及び比較例1〜4による結果
は、第6表に示すようになったものである。
さらに、詳細に評価するため、前述した具体例13、比
較例1、比較例2の試作ヘッドについて、使用インク
を、キャノン社製BJ130用インクと略同一物性を持つビ
ークルに代えて、全てのヒータ部9(30個)を同時に駆
動させ、駆動信号に同期したストロボにより観察したと
ころ、具体例13によるものでは第26図に示すようなイン
ク飛翔状態が得られたのに対し、比較例1によるもので
は第49図、比較例2によるものでは第50図に示すような
インク飛翔状態が得られたものである。即ち、第26図に
示す具体例13によるものでは、全てのヒータ部9におい
てインク柱21がほぼ同じ速度で成長し、発熱体基板6に
対してほぼ垂直に成長しているのに対し、比較例1,2の
ヘッドによると、第49図、第50図に示すように障壁7側
にインク柱21が成長し、かつ、飛翔方向も発熱体基板6
に対して垂直方向から大きくずれてしまうものである。
特に、比較例2にあっては、障壁7を有していない中央
側のヒータ部9b,9cで気泡による圧力が分散されてしま
い、第50図(a)に示すようにインク液面が盛り上がる
のみで、インク柱の成長・飛翔には至らない。また、図
示例で、4つのヒータ部9a〜9d間には障壁がないため、
障壁7に隣接したヒータ部9a,9dでのインク飛翔に伴っ
て発生したインク液面の波の影響を大きく受け、インク
液面が大きく振動する。よって、インク液面が下降した
状態でヒータ部9を駆動した時には、同図(b)に示す
ように特開平1−101157号公報中の煮沸現象によりミス
ト状のインク飛散が発生してしまう。これらが、第6表
中に示した比較例の画素位置精度の悪さ、ミスト状飛
散、ドット抜けの原因となり、極めて劣悪な画像品質と
なったものである。
具体例13のヘッドでは、ヒータ部9の配列密度と障壁
7の配列密度とがほぼ同じになるように形成されている
ため、全てのヒータ部9でヒータ部9と障壁7との位置
関係が等しくなり(例えば、全てのヒータ部9・障壁7
間距離が等しくなる)、全てのヒータ部9で同様のイン
ク飛翔特性を得ることができたものである。また、両者
の配列密度がほぼ等しいため、第21図(b)に示した障
壁7の形成時にフォトマスク23の位置合わせが若干ずれ
たとしても、全てのヒータ部9に対して同等となるた
め、飛翔方向が発熱体基板6に対して垂直方向から若干
ずれても全てのインク滴が同様にずれ、全てのインク滴
の飛翔方向は平行であり、狙いとする画素ピッチの記録
画像が得ることができる。
なお、本実施例ではヒータ部9間に設ける障壁7につ
いてのみ配列密度を同じにするようにしたが、第23図に
示す流体抵抗10等についても等しい配列密度とすれば、
より高品質の画像を得ることができる。
本発明の変形例を第27図及び第28図により説明する。
本実施例は、ヒータ部等のエネルギー作用部36周りに設
けられて圧力分散を阻止するための障壁を工夫したもの
である。第27図はこの要旨を説明するための簡略図であ
り、1つのエネルギー作用部36に対して2個の障壁ブロ
ック37a,37bを設けた例を示す。簡略図であり、発熱体
層構造、通電のための電極等のエネルギー作用部の詳細
は図示が省略されている。また、図中、Oはエネルギー
作用部36の中心点を示す。エネルギー作用部36に対して
同一形状、同一大きさの2つの障壁ブロック37a,37bを
対向配置させた3例を示す第27図(a)〜(c)では、
各々中心点Oからの距離がa1=a2,b1=b2,c1=c2なる関
係にある。また、図示例は何れも2つの障壁ブロック37
a,37bが中心点Oに対して点対称の関係に配置されてい
る。さらに、同図(a)図示例では、中心点Oからの距
離a1′もa1′=a1=a2とされ、中心点Oを通り障壁ブロ
ック37a,37bの長手方向に平行な直線ly又は垂直な直線l
xに対して障壁ブロック37a,37bの位置が線対称ともされ
ている。要は、これらの障壁ブロック37a,37bの配設例
は、同一のものをエネルギー作用部36の中心点Oからほ
ぼ等距離位置に対称的に配置させるというものである。
よって、例えば第28図(a)に示すように鉤状(L字
状)の2つの障壁ブロック38a,38bによるもの、同図
(b)に示すように4個の障壁ブロック37a〜37dを第27
図(b)に準じて配設させたもの、第28図(c)に示す
ように半円弧状の2つの障壁ブロック39a,39bによるも
の、或いは同図(d)に示すような円弧状の3つの障壁
ブロック40a〜40cによるものが考えられる。
何れにしても、同一形状の障壁ブロックがエネルギー
作用部36の中心点Oからほぼ等距離位置に対称的に設け
られているため、圧力分散阻止が各障壁ブロックで均等
に行われるため、インク飛翔が安定したものとなる。
本発明の変形例を第29図及び第30図により説明する。
本実施例も、前記実施例と同様にヒータ部等のエネルギ
ー作用部36周りに設けられて圧力分散を阻止するための
障壁を工夫したものである。
まず、第29図にあっては1個のエネルギー作用部36に
対してその中心点Oを挾んで相対する2つの障壁ブロッ
ク41a,41bの圧力分散を阻止する部分の形状、大きさが
等しくない場合を示す。即ち、一方の障壁ブロック41a
は略コ字状に形成された密閉形とされ、他方の障壁ブロ
ック41bは障壁ブロック41aの開口側に配置されて両側か
らインクが自由に流れ得るものとされている。このよう
な障壁ブロック41a,41b構造にあっては、これらを中心
点Oから等距離位置に配置させるとその圧力分散阻止能
力が異なるために不都合が生ずる。従って、本実施例で
はこのような障壁ブロック41a,41bによる圧力分散阻止
能力の違いを補償するために、各々の中心点Oからの距
離a1,a2がa1≠a2(ここでは、a1>a2)なる関係位置に
配置させたものである。これにより、安定したインク飛
翔特性が得られる。
また、第30図にあっては1個のエネルギー作用部36に
対してその中心点Oを挾んで相対する2つの障壁ブロッ
ク42a,42bの圧力分散を阻止する部分の大きさが等しく
ない、即ちx1≠x2の場合を示す。この場合も、各障壁ブ
ロック42a,42bの圧力分散阻止能力が異なるので、これ
を補償するため、中心点Oからの距離b1,b2がb1≠b
2(ここでは、b1>b2)なる関係位置に配置させたもの
であ。これにより、安定したインク飛翔特性が得られ
る。なお、第30図では障壁ブロック42a,42b、エネルギ
ー作用部36の両側にも2つの障壁ブロック42c,42dが設
けられているが、これらは同一形状であり、中心点Oに
対して等距離位置に配置されている。
請求項3記載の発明を第31図により説明する。本実施
例は、ヒータ部等のエネルギー作用部36の形状は、その
周りに設けられて圧力分散を阻止するための障壁との関
連で工夫したものである。
まず、複数のエネルギー作用を同時駆動させる場合を
考察する。従来のようにノズルを有する型のヘッドにあ
っては、エネルギー作用部、例えば発熱部は、隣接する
発熱部とは流路によって隔てられており、十分に離れた
共通液室にて連通しているだけである。よって、複数の
発熱部を同時駆動させた場合でも隣接発熱部の圧力は共
通液室を介して伝達されるため相当軽減されたものとな
る。ところが、前述したような本発明によるノズルを持
たないヘッド構成にあっては、発熱部の極めて近傍にお
いて隣接発熱部とインク液面とが連通している。このた
め、複数の発熱部を同時駆動させた場合、隣接発熱部に
よる圧力の影響を大きく受け、インク飛翔方向、飛翔速
度が著しく変動したり、インク液面の高さがばらついて
しまうことになる。この結果、飛翔滴(又は、柱)の大
きさが変化してしまい、場合によっては、飛翔不能とな
り、印写画像品質を劣化させてしまう。
このため、例えば第30図に示したタイプの例で考える
と、第51図(a)に示すように、隣接する発熱部(エネ
ルギー作用部)36の配列方向に位置する障壁ブロック43
a,43b,43cの長さl1を長くし、圧力の影響(発熱部36間
の相互干渉)を軽減しなければならない。しかし、解像
度、即ち発熱部36のピッチの点から、発熱部配列方向に
直交する位置の障壁ブロック43d,43e,43f,43gの長さl4
は限られてしまう。この結果、第51図(a)に示すよう
に配列方向に位置する障壁ブロック43a〜43cは長く、こ
れに直交する方向に位置する障壁ブロック43d〜43gは短
い構造となる。ところが、第51図(a)に示すように発
熱部36の配列方向に直交する方向に位置する障壁ブロッ
ク43d〜43gの位置を変えずに障壁ブロック43a〜43cの長
さl1を長くすると、各障壁ブロック43間の隙間44が狭く
なる。この隙間44は各発熱部36にインク19を供給させる
ための供給路となるため、インク供給量、供給速度が減
少・低下し、飛翔不能となったり飛翔応答性(飛翔周波
数)が劣化するという不都合を生ずる。また、障壁ブロ
ック43は厚さ数十μmでドライフィルム・フォトレジス
トや液状フォトレジストにより形成すれば、歩留まりが
よく低コストで微細パターンを形成し得るが、第51図
(a)に示すような構造のように隙間44が狭いと各障壁
ブロック43間がつながってしまう、という不都合も生ず
る。
よって、これらの点を考慮して、高精細、高速、高画
質の印写を行なわせるためには、必然的に第51図(b)
に示すような障壁ブロック43構造・配置となると考えら
れる。即ち、障壁ブロック43d〜43gを離して配置させ、
隙間44を広げることになる。
本実施例は、このような前掲の基に、飛翔エネルギー
効率の向上をも考慮し、第31図に示すように、発熱部45
を長尺状、ここでは長方形状に形成したものである。即
ち、第51図に示すような発熱部36形状に代えて、その面
積を増すような形状の発熱部45形状として効率アップを
図ったものである。長方形としたのは、発熱部36の周囲
近傍に位置する4つの障壁ブロック、例えば43a,43d,43
b,43eにより囲まれた圧力作用部の形状に合わせるため
である。よって、発熱部45はその短手方向が配列方向と
される。発熱部45側から見れば、その周囲に障壁ブロッ
ク43a,43b,43d,43eの距離a,bがほぼ等距離となるように
配設されている。
いま、具体例15として、 発熱部45の長手方向長さl3 :110μm その短手方向長さl3 :30μm 各発熱部45間に位置する障壁 ブロックの長さl1 :130μm 発熱部45の長手方向両側に位 置する障壁ブロックの長さl4 :34μm 発熱部45の配列ピッチ :63.5μm(=400dpi) 発熱部45の抵抗値 :120Ω 使用インク :キャノン社製のBJ130用イン
クと略同一物性値を持つビークル 記録紙 :NMマットコート紙(三菱製紙
社製) とするヘッドを試作し、駆動条件を 駆動電圧 :26V 駆動周波数 :2kHz 駆動パルス幅 :7.2μs にて飛翔実験を行ない、かつ、僅かに着色したビークル
を用いた印写実験を行なった。
比較例5として、第51図(b)構造で、発熱部36の大
きさを30μm×30μmとしたヘッドを試作し(周囲の障
壁ブロック43の各サイズl1,l4等の他の条件は上記具体
例15と同じ)、駆動電圧を15Vとし、駆動周波数、駆動
パルス幅は上記具体例15と同じとして同様の実験を行な
ったところ、ドット径バラツキは191、ドット位置バラ
ツキは160なる結果となり(なお、これらのバラツキは1
000回駆動時の印写ドットの平均値から±10%以上外れ
た印写ドットの個数を示す)、画像品質もミスト状飛散
やドット抜けがあり極めて悪いものとなったものであ
る。
これは、障壁ブロック43のみを考慮した比較例の構造
の場合、発熱部36と障壁ブロック43との間の距離a,bの
差が大きくなり、発熱部36で生成した気泡20の反射圧力
(障壁ブロック43に当って戻ってくる圧力)の大きさ、
時間に差が生じてしまうためである。即ち、このような
場所による差によって、気泡の振動、液面の乱れが発生
し、飛翔速度、飛翔滴(又は、柱)の大きさにバラツキ
を生じ、さらには、液面高さ不足により煮沸現象が生じ
て、第48図に示した場合と同様にミスト状に飛散した
り、又は、逆に液面高さが高くなりすぎて飛翔不能にな
ったりするためである。
これに対して、本実施例の具体例15によれば、ドット
径、ドット位置にバラツキのない良好なる画像品質の印
字が行なわれたものである。即ち、発熱部45とその周囲
の障壁ブロック43との間の距離がどの位置でもほぼ同等
であるため、ミスト状に飛散することなく安定したイン
ク飛翔を行なわせることができる。また、十分な隙間44
の確保により高密度な障壁形成を可能にして、インク供
給速度も速くして各発熱部45に対し十分なインク供給が
可能となり、飛翔応答性に優れたものとすることができ
る。
なお、発熱部45の形状としては第31図に示したような
長方形状の長尺形状に限らず、例えば第32図(a)に示
すように角取りした長尺形状の発熱部46としてもよく、
或いは、同図(b)に示すように鼓状とした長尺形状の
発熱部47としてもよい。これは、一般に発生する気泡は
発熱部形状よりも大きくなり、図中に破線48で示す最大
気泡の大きさのように、それ程大きな差が出ないからで
ある。
請求項3記載の発明の変形例を第52図ないし第54図を
参照しつつ、第33図により説明する。本実施例は、前記
実施例をさらに改良したものである。まず、障壁の構成
としては、第52図に示すように正方形状のエネルギー作
用部36に対して同一寸法・形状の障壁ブロック49a,49b,
〜を等距離位置に配設することが考えられる。これによ
れば、エネルギー作用部36で気泡を発生させた場合、そ
の気泡によて生ずるインク中の圧力がエネルギー作用部
36の平面とほぼ平行方向に逃げることを防止する圧力分
散阻止能力が、エネルギー作用部36の配列方向の障壁49
a,49b,49c,〜によるものと、配列方向に直交する方向の
障壁49d,49e,49f,49g,〜によるものとは、等しくなる。
ここに、この第52図に示すようなエネルギー作用部36と
同等の圧力を発生させつつ、より高密度な配列を可能と
するためには、第53図に示すように配列方向に直交する
方向に長くした形状、例えば長方形状としたエネルギー
作用部45とし、その面積を第52図の正方形状のエネルギ
ー作用部36の面積と等しくすることが考えられる。この
ようなエネルギー作用部45に対して障壁ブロックを同一
寸法・形状で等距離位置に配設すると第54図に示すよう
になる。即ち、第31図に示した前記実施例のものに相当
する。ところが、例えば長方形状のエネルギー作用部45
の場合、障壁ブロック43a,43b,43c,〜側に作用するイン
ク圧力と、障壁ブロック43d,43e,43f,43g,〜側に作用す
るインク圧力とは異なる。にも拘らず、これらの障壁ブ
ロック43を同一寸法・形状にて等距離位置に配設しただ
けでは、効果的な圧力分散阻止が行われない。よって、
圧力分散阻止能力の改良された障壁が必要となる。
まず、配列方向に直交する方向に長くした長方形状の
エネルギー作用部45の場合、各エネルギー作用部45で発
生する気泡によるインク圧力も、配列方向のほうが、配
列方向に直交する方向よりも大きい。そこで、このよう
な圧力の大きさの違いに対応させて、本実施例では、第
33図に示すように、配列方向の障壁ブロック43a,43b,43
c,〜による圧力分散阻止能力と、配列方向に直交する方
向の障壁ブロック43d,43e,43f,43g,〜による圧力分散阻
止能力とを異ならせ、後者のほうが小さくなるようにし
たものである。具体的には、配列方向に直交する方向の
障壁ブロック43d,43e,43f,43g,〜の長さを短めとして圧
力分散阻止能力を弱めたものである。よって、本実施例
によれば、高密度配設可能なエネルギー作用部45にし
て、均一な圧力分散阻止の下に、インク飛翔させて記録
を行わせることができる。
請求項4記載の発明を第34図ないし第36図により説明
する。本実施例は、前述した請求項10記載の発明対応の
実施例のように、同時駆動時の隣接エネルギー作用部間
のクロストークの軽減等を目的とし、障壁の幅と飛翔特
性とが密接な関係にあることを見出し、これを解決する
最適条件を見出したものである。ここに、圧力分散を阻
止するという障壁の役割をより効果的に達成するには、
障壁の高さとしては、安定飛翔を維持できる範囲内で、
できるだけ高いほうがよく、通常は、10μm以上、数10
0μm以下であることが望ましい。しかしながら、エネ
ルギー作用部の配列密度の点から、障壁の幅はあまり大
きくとれず、また、エネルギー作用部及び飛翔部が露出
しているという本発明独自のヘッド構造のための障壁が
細すぎてもヘッド作製時に接触により折れてしまった
り、印写中に記録紙との接触により折れてしまうという
不具合が生ずる。
今、本実施例では、第25図に示したような記録ヘッド
構造(障壁構造を第8図(c)としたもの)で、下記の
具体例16,17、比較例6,7条件のものを試作し、第34図に
示す障壁7の幅(最短幅)dと高さhとを種々変えて印
写実験を行い、画像品質を評価した。なお、インク液面
の高さは障壁7の高さhで規定され(即ち、障壁7のメ
ニスカス保持力で規定され)、具体例16では30μm、具
体例17では50μmである。
具体例16 ヒータ部9のサイズ :65μm×65μm ヒータ部9の配列密度 :180dpi ヒータ部9の数 :64個 抵抗値 :31Ω 障壁7の幅d :65μm,50μm,30μm,20μm,
15μm,10μm 障壁7の高さh :30μm 駆動電圧 :15V パルス幅 :5μsec 連続駆動周波数 :4kHz 使用インク :キャノン社製BJ130用イン
ク 具体例17 ヒータ部9のサイズ :110μm×110μm ヒータ部9の配列密度 :96dpi ヒータ部9の数 :30個 抵抗値 :65Ω 障壁7の幅d :80μm,65μm,50μm,30μm,
20μm 障壁7の高さh :50μm 駆動電圧 :25V パルス幅 :6μsec 連続駆動周波数 :1.25kHz 使用インク :キャノン社製BJ130用イン
ク 比較例6 障壁7の幅d :8μm 障壁7の高さh :30μm (他は、具体例16と同じ) 比較例7 障壁7の幅d :15μm 障壁7の高さh :50μm (他は、具体例17と同じ) なお、印写実験に際しては、何れも記録紙としてNMマ
ットコート紙(三菱製紙社製)を用い、インク液面・記
録紙間距離を1mmに設定し、全ヒータ部9を同時駆動し
て画像品質を評価したものである。第7表にその結果を
示す。
第7表によれば、障壁7について、幅dと高さhとの
比d/hが1/3以上の場合には、良好なる画像品質が得られ
たものの、d/h<1/3の場合には、ドットのバラツキが大
きく劣悪なる画像品質となったことが判る。
より詳細に評価するため、幅d=15μmとした具体例
16のヘッドと、幅d=8μmとした比較例5のヘッドと
につき、使用インクを、キャノン社製BJ130用インクと
略同一物性を持つビークルに代えて、全てのヒータ部9
(30個)を同時に駆動させ、駆動信号に同期したストロ
ボにより観察したところ、具体例16によるものでは第35
図に示すようなインク飛翔状態が得られたのに対し、比
較例6によるものでは第55図に示すようなインク飛翔状
態となったものである。即ち、具体例16による場合、第
35図に示すように全ての液柱が発熱体基板6面に対して
ほぼ垂直に成長して飛翔しているのに対し、比較例6に
よる場合、第55図に示すように液柱が発熱体基板6面に
対して垂直方向から大きく傾き、ドットのバラツキが生
じ得ることが判る。また、具体例16の場合、液柱が成長
したとき、障壁7が露出し、インク液面が障壁7によっ
て分離されるのに対し、比較例6の場合には液面が障壁
7によって分離されず連続した状態ともなってしまう。
さらに、具体例16の場合、1つのヒータ部9のみを駆動
させたところ、第36図に示すように気泡20が発生して液
面が盛り上がる(a)〜気泡20が最大となり液柱が成長
し液面が下がり、障壁7により液面が分離される(b)
〜気泡20が収縮し液柱が分離して飛翔する(c)〜液面
が復帰する(d)、という経過を示し、液面振動による
波は、障壁7により液面が分離されることで、隣接する
ヒータ部9側へは伝わりにくくなっており、かつ、障壁
7の幅dが十分に厚いため、障壁7を越えた波は障壁7
上で減衰し、隣接するヒータ部9側へは殆ど伝わらなか
ったものである。一方、比較例6の場合には、第56図に
示すように障壁7の幅dが液面高さに比して薄いため、
発生した波は殆ど減衰されずに隣接するヒータ部9側に
伝わってしまったものである。即ち、この波がクロスト
ークを引き起こし、同時駆動した時の飛翔方向のバラツ
キを起こす原因となったものである。
また、これらの障壁7を作製する時、全てのヒータ部
9に対して第25図に示すような平面形状に完全に作製で
きた障壁7(使用可能なヒータ部9の数で判断)は、障
壁7の高さhが30μmの場合では、幅dが8μm(比較
例6)では現像時に流れてしまった障壁パターンがある
のに対し、幅dが10μm以上であれば全ての障壁7を良
好に作製できたものである。また、障壁7の高さhを50
μmとした場合には、幅dが15μm(比較例7)では現
像時に流れてしまった障壁パターンがあるのに対し、幅
dが20μm以上であれば全ての障壁7を良好に作製でき
たものである。また、比較例6の場合、そのヘッド作製
時に手や組付け治具などに接触すると折れてしまう障壁
7が発生し得るが、具体例16の場合には吐出部が露出し
ているために起こりやすいヘッド作製時の障壁折れや印
写中の記録紙接触による障壁折れといった損傷を起こり
にくいものとなったものである。
請求項5記載の発明を第37図ないし第39図により説明
する。本実施例は、障壁間の最短距離に着目して、その
最適条件を見出したものである。
まず、隣接するヒータ部9間に設けられる障壁7はヒ
ータ部9より長くして隣接するヒータ部9からの圧力の
影響、即ち、クロストークを軽減する必要がある。しか
し、隣接ヒータ部間の障壁7を長くすると、ヒータ部配
列方向に直交する方向の障壁7との間隔が狭くなってし
まう。この間隔は、ヒータ部9に対してインクを供給す
る供給路となるため、インク供給量が減少し、インク飛
翔が不安定となり、場合によっては飛翔不能となってし
まう。また、障壁7はドライフィルムフォトレジストや
液状レジスト等の感光性樹脂によって作製することが歩
留まりよく、低コストで微細なパターンを大量に形成す
るためには有効であるが、障壁間の間隔が狭いと、障壁
間がつながっててしまう場合も生じてしまう。
第37図及び第38図に本実施例の記録ヘッド1の構造を
示す。このような構造にて、下記の具体例18,19条件の
ものを試作し、第38図に示す障壁7間の距離(最短距
離)Dと高さhとを種々変えて印写実験を行い、画像品
質を評価した。
具体例18 ヒータ部9のサイズ :65μm×65μm ヒータ部9の配列密度 :180dpi ヒータ部9の数 :64個 抵抗値 :31Ω 障壁7間の距離D :8μm,10μm,15μm,20μm,3
0μm,50μm 障壁7の高さh :30μm 駆動電圧 :15V パルス幅 :5μsec 連続駆動周波数 :4kHz 使用インク :キャノン社製BJ130用イン
ク 具体例19 ヒータ部9のサイズ :110μm×110μm ヒータ部9の配列密度 :96dpi ヒータ部9の数 :30個 抵抗値 :65Ω 障壁7間の距離D :10μm,15μm,20μm,30μm,
50μm,65μm 障壁7の高さh :50μm 駆動電圧 :25V パルス幅 :6μsec 連続駆動周波数 :1.25kHz 使用インク :キャノン社製BJ130用イン
ク なお、印写実験に際しては、何れも記録紙としてNMマ
ットコート紙(三菱製紙社製)を用い、インク液面・記
録紙間距離を1mmに設定し、全ヒータ部9を同時駆動し
て画像品質を評価したものである。第8表にその結果を
示す。
第8表によれば、障壁7の高さhと障壁間距離Dとの
比D/h≧1/3の場合には良好なる画像品質が得られたが、
D/h<1/3の場合にはミスト状に飛散し劣悪な画像品質と
なったものである。
より詳細に評価するため、距離D=20μmとした具体
例18のヘッドと、距離D=8μmとした具体例18のヘッ
ドとにつき、使用インクを、キャノン社製BJ130用イン
クと略同一物性を持つビークルに代えて、全てのヒータ
部9(64個)を同時に駆動させ、駆動信号に同期したス
トロボにより観察したところ、距離D=20μmとしたヘ
ッドにあっては常に一定の安定した液滴が飛翔したのに
対し、距離D=8μmとしたヘッドにあっては飛翔後に
インク液面が下がり、その後、十分にインク液面が回復
しない状態で(即ち、インク供給が十分になされない状
態で)、次の駆動が開始し、ミスト状に飛散し、遂には
第48図に示したようにインク不足による煮沸現象が生じ
たものである。これに対して、距離D=20μmのヘッド
の場合、ヒータ部9は横方向への圧力分散を阻止する障
壁7により囲まれており、そのインク飛翔は第39図に示
すような経過をとる。即ち、気泡20が発生しその成長と
ともに液面が盛り上がる(a)〜気泡20が最大となり液
柱が成長し(b)〜気泡20が収縮し液柱が分離し液滴と
なって飛翔するとともにヒータ部9上の液面が下がり
(c)〜障壁7間からインクが供給されて液面が復帰す
る(d)、という安定した経過をとる。この点、距離D
=8μmのヘッドでは、第39図(c)の過程で液面が下
がった後、インク供給が十分になされないので、同図
(d)の状態に回復せず、同図(c)の状態のまま次の
気泡が発生し、煮沸現象を生じたものである。また、障
壁7を高くすると、それだけ障壁7に囲まれた部分の領
域は大きくなり、飛翔量も増大し、その分、大量のイン
クを供給しなければならない。
ちなみに、前述した具体例18,19のヘッドでは、最大
飛翔周波数(=安定して連続飛翔できる最大周波数)を
調べたところ、第9表に示すような結果となり、D/h≧1
/3で2kHz以上の高周波飛翔が可能となったものである。
このように、障壁7間の距離Dを障壁7の高さhに対
して1/3以上にすることで、速やかにインク供給を行わ
せることができるが、あまり広すぎると、ヒータ部9に
て発生した圧力が逃げ、本来の圧力分散阻止能力が低下
するため、効率が下がってしまう。よって、D/h≧1/3と
はするが、通常は、D/h≦20、好適にはD/h≦10、最適に
はD/h≦5とするのがよい。
また、このような障壁7は通常、感光性樹脂を用いて
形成されるが、D/h≧1/3とすることで障壁作製時に障壁
間がつながりインク供給が阻止されてしまうというよう
な不都合も生じない。よって、歩留まりよく作製でき
る。もっとも、より一層の歩留まり向上を図ろうとする
場合は、D/h≧1/2とするのがよい。
なお、ヒータ部9周りに配設される障壁形状は前述し
た実施例等に示されるものの他、例えば第40図(a)
(b)に示されるようなものであってもよく、図示部分
の障壁間距離Dが高さhとの関係で、D/h≧1/3を満足す
ればよい。
本発明の改良された一実施例を第41図ないし第43図に
より説明する。本実施例は、ヒータ部9で生じた作用力
をインク飛翔方向に集中させ、かつ、インク飛翔方向が
ヒータ部9に垂直であり、かつ、インク供給が速やかに
行えるような障壁形状、配置としたものである。ここで
は、ヒータ部9周りに配設された障壁7の一部に流体ダ
イオード特性を持たせたものである。
具体的には、第42図に示すようにヒータ部9の周囲
を、インク液面保持を兼ねた障壁7で囲い、その障壁7
の少なくとも1ヶ所に、流体ダイオード特性を有したイ
ンク供給路50を形成したものである。障壁7は多角形状
(図示のように、四角形状の他、例えば三角形状)に配
設することで、ヘッドの高集積化が可能で、作製も容易
となる。このようにヒータ部9の周りに障壁7を配設す
ることで、インク液面と略平行な方向への圧力分散が阻
止され、かつ、ヒータ部9の周辺の圧力分布が均一とな
り、効率よく液滴飛翔方向に圧力を集中させることがで
きる。このため、ヒータ部9での状態変化が、効率よく
瞬時に液滴生成に用いられ、高速に液滴が飛翔し、記録
紙に対する着弾位置が安定するため、印写品質も安定し
たものとなる。また、圧力分布が均一であるため、イン
ク飛翔方向がヒータ部9に対して垂直かつ安定したもの
となる。ところで、本実施例にいう「流体ダイオード特
性」とは、隣合う障壁7間の間隙(インク供給路50)を
ぬってインクがヒータ部9へ供給される際に、この間隙
の上流から下流にいくに従い、その開口面積が徐々に小
さくなるようにテーパ状に形成することによって、イン
クがヒータ部9へ流れやすく、かつ、逆戻りしにくいよ
うな作用をいう。
インク飛翔時にはヒータ部9の周辺の圧力が、障壁7
の外側の圧力よりかなり高くなるため、インクは障壁7
の外側に流出しようとする。このとき、上述のように形
成された流体ダイオード特性を持つインク供給路50は、
インクが障壁7の外部へ流出するのを防ぎ、圧力の減少
を抑えることができ、効率的なインク飛翔が期待でき
る。一方、インク飛翔後、障壁7内部のインクが減る
と、ヒータ部9近傍にインクが速やかに移動し、しか
も、流体ダイオード作用によって効率よくインク供給を
行わせることができる。よって、高速印写が可能とな
る。
ところで、このような流体ダイオード特性を持つイン
ク供給路50は、可能な限り、ヒータ部9を中心に対称配
設するのが好ましい。対称配設にすれば、ヒータ部9周
辺の圧力分布が均一になり、飛翔方向が安定するからで
ある。また、同様の理由から、障壁7自体もヒータ部9
を中心に対称配設するのがよい。
この場合、第44図に示すように、インク供給路50の障
壁外部開口部にさらに流体ダイオード特性を持つ例えば
三角形状の障壁51を形成してもよい。これによれば、液
滴飛翔時における障壁7からのインクの逃げが、障壁51
によってさらに抑えられ、エネルギーが液滴飛翔方向に
集中しやすくなる。よって、液滴の速度が速くなり、一
層高速印写が可能となる。
本発明の改良された別の一実施例を第45図及び第46図
により説明する。本実施例は、障壁7間に形成されたイ
ンク供給路52の開口部の上流側(外側)の角が、丸み53
を持つように障壁7を形成したものである。前述した実
施例等におけるインク供給路52は、第57図に示すよう
に、上流側の角が角張っている。すると、同図中に矢印
で示すようにインクが移動するとき、その開口部では圧
力損失が生ずる。ところが、本実施例では、上流側の開
口部が丸み53を持っているため角張っている場合に比し
て圧力損失が小さい状態でインクが移動する。よって、
これを利用して供給路周辺の圧力分布を制御できる。例
えば、障壁7の下流側(内側)の開口部は角張らせ、上
流側(外側)の開口部は丸み53を持たせると、インクが
障壁7の内部から外部へ流出するときには内側開口部で
大きな圧力損失が起こり外側へ流れにくくなる。逆に、
障壁7の外部から内部へインクが流入するときには外側
開口部が丸み53を持つため圧力損失が抑えられ、流出時
より流れやすくなる。よって、本実施例によってもイン
ク供給路51に流体ダイオード特性が与えられ、インクの
飛翔、供給が速やかに行われる。
本実施例の場合、前記実施例と組合せると、一層効果
的である。即ち、第46図に示すように流体ダイオード特
性を持たせたインク供給路50の外側開口部の角に丸み53
を形成すれば、流体ダイオード特性が強められ、インク
の逃げが抑えられ、エンルギーが液滴飛翔方向に集中し
やすくなる。かつ、インク供給も、より速やかに行われ
る。
発明の効果 本発明は、上述したように構成したので、請求項1記
載の発明によれば、エネルギー作用部におけるインク液
層厚さを気泡が最大になる時の高さの0.8倍以上とし、
インクを柱状に成長させ、この柱状インクの高さをエネ
ルギー作用部におけるインク液層厚さの5倍以上となる
ようにしたので、安定した膜沸騰を生じさせ、ミスト状
となることのない安定した高品質印写が高速駆動で可能
となり、また、駆動信号の入力周期の最小値を、(t+
30)μsec以上としたので、ミスト状に飛散することの
ない高速応答性が得られ、安定したインク飛翔により印
写させることができる。
また、請求項2記載の発明によれば、エネルギー作用
部におけるインク液層厚さを、所望する駆動条件時に盛
り上がるインク柱の長さより短くしたので、飛翔速度の
速い状態で安定したインク飛翔特性を得ることができ、
この際、このようなインク液層厚さの設定・維持を簡単
に達成できる。
さらに、請求項3記載の発明によれば、対となる障壁
ブロックの形状等に応じた配置であり、圧力分散阻止能
力が均等となり、又は不均等が補償され、安定したイン
ク飛翔特性が得られ、また、エネルギー作用部と障壁ブ
ロックとの双方について工夫し、エネルギー作用部形状
を長方形状とし、その周囲に障壁ブロックをほぼ等距離
位置に配設させたので、障壁ブロック間に隙間を確保し
つつ飛翔エネルギー効率のよい状態とし、高密度な障壁
ブロックの形成を可能にしてインク供給速度の高速度を
図り、十分なインク供給を可能として飛翔応答性に優れ
たものとし、かつ、圧力作用のバランスによりミスト状
飛散等のない安定したインク飛翔を可能とすることがで
き、この際、エネルギー作用部の配列方向に直交する方
向の障壁の圧力分散阻止能力のほうが小さくなるように
したので、高密度化を図ったエネルギー作用部の形状に
起因する圧力分散の大小に応じた阻止能力発揮となり、
結果的に、エネルギー作用部での圧力を均一化させるこ
とができ、高画質・高効率の印写が可能となる。
請求項4記載の発明によれば、障壁の最短幅を障壁の
高さの1/3以上として形成したので、複数のエネルギー
作用部を同時駆動させた場合であっても液面波の影響を
軽減し、各エネルギー作用部の相互干渉を軽減でき、か
つ、気泡の成長による圧力や液面振動、さらには作製時
の接触等に対して十分耐え得る作製しやすい障壁とな
る。
また、請求項5記載の発明によれば、隣合う障壁間の
最短距離を障壁の高さの1/3以上としたので、インク飛
翔記録後のエネルギー作用部に対するインク供給を速や
か、かつ、十分なものとし、高周波数駆動可能な高速機
とすることができる。
さらに、請求項6記載の発明によれば、インクに熱エ
ネルギーを与える発熱体と、この発熱体面にほぼ垂直方
向にインクを噴射するインクジェット記録ヘッドを備え
たインク飛翔記録装置において、前記発熱体面からイン
クメニスカスまでの距離を25μm〜60μmとし、インク
を柱状飛翔させて記録するようにしたので、飛翔インク
が飛散しないため、紙面上で地肌汚れなどが発生せず、
高画質記録ができる。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第9図は本発明の原理を示すもので、第1
図は飛翔原理を順に示す概略断面図、第2図はヘッドの
概略分解斜視図、第3図はその一部の拡大平面図、第4
図は第3図のA−A線断面図、第5図はヒータ部付近を
拡大して示す断面図、第6図は流路形成工程を順に示す
概略断面図、第7図は障壁形状の各種変形例を示す概略
平面図、第8図は障壁形状等の各種変形例を示す概略平
面図、第9図はインク液層厚さについての変形例を示す
概略断面図、第10図は請求項1記載の発明の一実施例を
示す概略断面図、第11図及び第12図は請求項1記載の発
明のさらに詳細な一例を示す概略断面図、第13図及び第
14図は本発明の変形例を示す概略断面図、第15図ないし
第18図は請求項2記載の発明の一実施例を示すもので、
第15図ないし第17図は各々異なる例の概略断面図、第18
図は第17図の場合の概略斜視図、第19図及び第20図は本
発明の変形例を示す概略断面図、第21図ないし第26図は
本発明の他の変形例を示すもので、第21図は障壁形成工
程を順に示す概略断面図、第22図は障壁形状の各種変形
例を示す概略平面図、第23図は障壁形状等の各種変形例
を示す概略平面図、第24図は具体的ヘッド構成例を示す
概略平面図、第25図はその概略断面図、第26図はそのイ
ンク飛翔状態を示す概略断面図、第27図及び第28図は本
発明の他の変形例を示す簡略平面図、第29図及び第30図
は本発明のさらに他の変形例を示す簡略平面図、第31図
は請求項3記載の発明の一実施例を示す簡略平面図、第
32図はその変形例を示す簡略平面図、第33図は請求項3
記載の発明の変形例を示す簡略平面図、第34図ないし第
36図は請求項4記載の発明の一実施例を示すもので、第
34図は概略断面図、第35図はそのインク飛翔状態を示す
概略断面図、第36図はインク飛翔工程を順に示す概略断
面図、第37図ないし第39図は請求項5記載の発明の一実
施例を示すもので、第37図は具体的ヘッド構成例を示す
概略平面図、第38図はその概略断面図、第39図はそのイ
ンク飛翔工程を順に示す概略断面図、第40図はその変形
例を示す簡略平面図、第41図ないし第43図は本発明の改
良された一実施例を示すもので、第41図は概略平面図、
第42図はその一部を拡大して示す平面図、第43図はその
正面図、第44図はその変形例を示す平面図、第45図及び
第46図は本発明の改良された別の一実施例を示す概略平
面図、第47図及び第48図はミスト状飛散例を示す概略断
面図、第49図及び第50図は請求項6対応の比較例による
インク飛翔状態を示す概略断面図、第51図は比較例を示
す簡略平面図、第52図ないし第54図は請求項3の変形例
対応の前提内容を示す簡略平面図、第55図は請求項4対
応の比較例によるインク飛翔状態を示す概略断面図、第
56図は請求項4対応の比較例によるインク飛翔工程を順
に示す概略断面図、第57図は概略平面図である。 2……インク供給手段、7……障壁、8……インク液面
保持手段、9……エネルギー作用部、12……信号入力手
段、19……インク、28……インク液面保持手段、29……
インク供給容器、30……インク供給手段、31……インク
液層厚さ設定手段、32……インク供給容器、36……エネ
ルギー作用部、37〜43……障壁ブロック、45〜47……エ
ネルギー作用部
フロントページの続き (72)発明者 渡辺 好夫 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 本村 修二 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 鈴木 栄子 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 山口 隆行 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 門永 雅史 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (56)参考文献 特開 昭61−189950(JP,A) 特開 昭63−247059(JP,A) 特開 平1−118443(JP,A) 特開 昭62−249747(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/05

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】インク液面内に配設させたエネルギー作用
    部に画像情報に応じた駆動信号を入力させて、このエネ
    ルギー作用部でインク中に気泡を生じさせ、この気泡の
    瞬間的な成長による作用力により前記インク液面からイ
    ンクを飛翔させ、飛翔したインクを被記録体に付着させ
    るようにしたインク飛翔記録方法において、前記エネル
    ギー作用部におけるインク液層厚さを気泡が最大になる
    時の高さの0.8倍以上とするとともに、前記インクを柱
    状に成長させ、この柱状インクの高さを前記エネルギー
    作用部におけるインク液層厚さの5倍以上となるように
    し、かつ、前記駆動信号の入力周期の最小値を、(t+
    30)μsec以上(ただし、tは入力されるエネルギーの
    ピーク値の半分の値の時の駆動信号のパルス幅)とした
    ことを特徴とするインク飛翔記録方法。
  2. 【請求項2】インク供給手段と、このインク供給手段に
    より供給されたインクを保持するインク液面保持手段
    と、インク液面内に配設されてインク中に瞬間的に成長
    する気泡を生じさせるエネルギー作用部と、このエネル
    ギー作用部に画像情報に応じた駆動信号を与える信号入
    力手段と、前記エネルギー作用部の近傍に位置してイン
    ク液面と略平行な方向への圧力の分散を阻止するための
    障壁とよりなるインク飛翔記録装置において、前記イン
    ク液面保持手段又は障壁とインクとの固体−液体界面で
    生じるメニスカス保持力により、エネルギー作用部にお
    けるインク液層厚さを、所望する駆動条件時に盛り上が
    るインク柱の長さより短く保持させたことを特徴とする
    インク飛翔記録装置。
  3. 【請求項3】インク供給手段と、このインク供給手段に
    より供給されたインクを保持するインク液面保持手段
    と、インク液面内に配設されてインク中に瞬間的に成長
    する気泡を生じさせる配列方向を短手方向とした長方形
    状のエネルギー作用部と、このエネルギー作用部に画像
    情報に応じた駆動信号を与える信号入力手段と、前記各
    エネルギー作用部の周囲近傍にほぼ等距離位置に複数個
    配設されてインク液面と略平行な方向への圧力の分散を
    阻止するための障壁ブロックとよりなるインク飛翔記録
    装置において、前記各エネルギー作用部の配列方向の障
    壁の圧力分散阻止能力より各エネルギー作用部の配列方
    向に直交する方向の障壁の圧力分散阻止能力が小さくな
    るように障壁ブロックを形成したことを特徴とするイン
    ク飛翔記録装置。
  4. 【請求項4】障壁の最短幅を障壁の高さの1/3以上に形
    成したことを特徴とする請求項3記載のインク飛翔記録
    装置。
  5. 【請求項5】隣接する障壁間の最短距離を障壁の高さの
    1/3以上に形成したことを特徴とする請求項3記載のイ
    ンク飛翔記録装置。
  6. 【請求項6】インクに熱エネルギーを与える発熱体と、
    この発熱体面にほぼ垂直方向にインクを噴射するインク
    ジェット記録ヘッドを備えたインク飛翔記録装置におい
    て、前記発熱体面からインクメニスカスまでの距離を25
    μm〜60μmとするとともにインクを柱状に成長させ、
    該柱状インクの高さを前記発熱体面からインクメニスカ
    スまでの距離の5倍以上となるようにした後、飛翔イン
    ク柱として飛翔させて記録することを特徴とするインク
    飛翔記録装置。
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