JPH04259560A - インク飛翔記録装置 - Google Patents

インク飛翔記録装置

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JPH04259560A
JPH04259560A JP4128591A JP4128591A JPH04259560A JP H04259560 A JPH04259560 A JP H04259560A JP 4128591 A JP4128591 A JP 4128591A JP 4128591 A JP4128591 A JP 4128591A JP H04259560 A JPH04259560 A JP H04259560A
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JP
Japan
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ink
recording
japanese patent
droplets
barriers
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Pending
Application number
JP4128591A
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English (en)
Inventor
Takashi Kimura
隆 木村
Takuro Sekiya
卓朗 関谷
Mitsuru Shingyouchi
充 新行内
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Publication date
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ノンインパクト記録装
置の一つであるインク飛翔記録装置に関するものである
【0002】
【従来の技術】ノンインパクト記録法は、記録時の騒音
発生が無視できる程度に小さい点で、オフィス用等とし
て注目されている。その内、高速記録可能で、いわゆる
普通紙に特別の定着処理を要せずに記録できる、いわゆ
るインクジェット記録法は極めて有力な方法であり、従
来から種々の方式が提案され、又は既に製品化されて実
用されている。
【0003】このようなインクジェット記録法は、いわ
ゆるインクと称される記録液体の小滴を飛翔させ、被記
録体に付着させて記録を行うもので、記録液体の小滴の
発生法及び小滴の飛翔方向を制御するための制御方法に
より、幾つかの方式に大別される。
【0004】第一の方式は、例えば米国特許第3060
429号明細書に開示されているものである。これはテ
レタイプ(Tele  type)方式と称され、記録
液体の小滴の発生を静電吸引的に行い、発生した小滴を
記録信号に応じて電界制御し、被記録体上にこの小滴を
選択的に付着させて記録を行うものである。より詳細に
は、ノズルと加速電極間に電界を印加して、一様に帯電
した記録液体の小滴をノズルより吐出させ、吐出した小
滴を記録信号に応じて電気制御可能なように構成された
xy偏向電極間を飛翔させ、電界の強度変化によって選
択的に小滴を被記録体上に付着させるものである。
【0005】第二の方式は、例えば米国特許第3596
275号明細書、米国特許第3298030号明細書等
に開示されているものである。これは、スゥイート(S
weet)方式と称され、連続振動発生法により帯電量
の制御された記録液体の小滴を発生させ、この帯電量の
制御された小滴を、一様電界がかけられている偏向電極
間を飛翔させて、被記録体上に記録を行わせるものであ
る。具体的には、ピエゾ振動素子の付設されている記録
ヘッドを構成する一部であるノズルのオリフィス(吐出
口)の前に記録信号が印加されるようにした帯電電極を
所定距離離間させて配置し、前記ピエゾ振動素子に一定
周波数の電気信号を印加することでピエゾ振動素子を機
械的に振動させ、オリフィスより記録液体の小滴を吐出
させる。この時、吐出する小滴には帯電電極により電荷
が静電誘導され、小滴は記録信号に応じた電荷量で帯電
される。帯電量の制御された小滴は、一定電界が一様に
かけられている偏向電極間を飛翔する時に、付加された
帯電量に応じて偏向を受け、記録信号を担う小滴のみが
被記録体上に付着することになる。
【0006】第三の方式は、例えば米国特許第3416
153号明細書に開示されているものである。これは、
ハーツ(Hertz)方式と称され、ノズルとリング状
の帯電電極間に電界をかけ、連続振動発生法によって、
記録液体の小滴を発生霧化させて記録させる方式である
。すなわち、ノズルと帯電電極間にかける電界強度を記
録信号に応じて変調することにより小滴の霧化状態を制
御し、記録画像の階調性を出して記録させるものである
【0007】第四の方式は、例えば米国特許第3747
120号明細書に開示されているものである。これは、
スチーム(Stemme)方式と称され、第一から第三
の方式とは根本的に原理が異なるものである。すなわち
、第一から第三の方式が、何れもノズルより吐出された
記録液体の小滴を、飛翔している途中で電気的に制御し
、記録信号を担った小滴を選択的に被記録体上に付着さ
せて記録を行わせるのに対し、このスチーム方式では、
記録信号に応じて吐出口より記録液体の小滴を吐出飛翔
させて記録するものである。つまり、スチーム方式は、
記録液体を吐出する吐出口を有する記録ヘッドに付設さ
れているピエゾ振動素子に、電気的な記録信号を印加し
てピエゾ振動素子の機械的振動に変え、この機械的振動
に従い吐出口より記録液体の小滴を吐出飛翔させて被記
録体に付着させるものである。
【0008】これらの四方式は、各々に特長を有するが
、同時に解決すべき課題点もある。まず、第一から第三
の方式は、記録液体の小滴を発生させるための直接的エ
ネルギーが電気的エネルギーであり、かつ、小滴の偏向
制御も電界制御による。よって、第一の方式は、構成上
はシンプルであるが、小滴の発生に高電圧を要し、かつ
、記録ヘッドのマルチノズル化が困難で高速記録には不
向きである。また、第二の方式は、記録ヘッドのマルチ
ノズル化が可能で高速記録に向くが、構成上複雑であり
、かつ、記録液体の小滴の電気的制御が高度で困難であ
り、被記録体上にサテライトドットが生じやすい。さら
に、第三の方式は、記録液体の小滴を霧化することによ
り階調性に優れた記録が可能ではあるが、他方、霧化状
態の制御が困難である。また、記録画像にカブリが生ず
るとか、記録ヘッドのマルチノズル化が困難で高速記録
には不向きであるといった欠点がある。
【0009】一方、第四の方式は、比較的多くの利点を
持つ。まず、構成が簡易である。また、オンデマンドで
記録液体をノズルの吐出口より吐出させて記録を行うた
め、第一から第三の方式のように吐出飛翔する小滴の内
、画像記録に要しなかった小滴を回収する必要がない。 また、第一・第二の方式のように、導電性の記録液体を
使用する必要はなく、記録液体の物質上の自由度が大き
いという利点を持つ。しかし、反面、記録ヘッドの加工
上に問題がある、所望の共振周波数を有するピエゾ振動
素子の小型化が極めて困難である等の理由から、記録ヘ
ッドのマルチノズル化が難しい。また、ピエゾ振動素子
の機械的振動という機械的エネルギーによって記録液体
の小滴の吐出飛翔を行わせるので、上記のマルチノズル
化の困難さと相俟って、高速記録には不向きなものとな
っている。
【0010】このように、従来法には、構成上、高速記
録上、記録ヘッドのマルチノズル化上、サテライトドッ
トの発生及び記録画像のカブリ発生等の点において、一
長一短があり、その長所が発揮される用途にしか適用し
得ないという制約を受けるものである。
【0011】しかし、このような不都合も本出願人によ
り提案された特公昭56−9429号公報に開示のイン
クジェット記録方式によれば略解消し得る。これは、液
室内のインクを加熱して気泡を発生させて、インクに圧
力上昇を生じさせ、微細な毛細管ノズルからインクを飛
び出させて記録させるものである。同様な記録方式とし
て、特公昭61−59914号公報に開示されたものも
ある。これは、液体を所定の方向に吐出させるための吐
出口に連通する液路中の液体の一部を熱して膜沸騰を生
起させることにより、吐出口より吐出される液体の飛翔
的液滴を形成し、この液滴を被記録体に付着させて記録
させるものである。具体的には、同公報中の第1図及び
第2図に示されるように、ノズル状の液路部分に設けた
熱作用部分において、記録液体に急激な状態変化を受け
ることにより、その状態変化に基づく作用力により、記
録液体が吐出口より吐出飛翔するようにしたものである
。このような吐出口は、同公報中の説明によれば、内径
100(μm)、肉厚10(μm)の円筒状ガラスファ
イバーを熱溶融させることにより、60(μm)径の吐
出口として形成される。また、吐出口を液路とは別に形
成した後、例えばガラスプレートに電子ビーム加工やレ
ーザ加工等によって穴を形成し、液路と合体させる方式
も記載されている。何れにしても、このような微細な吐
出口を工業的に安定して高精度に形成することは非常に
困難である。また、同公報によれば、別の吐出口を有す
る記録ヘッドが同公報中の第3図、第4図及び第5図に
開示されており、その吐出口の形成方法として、ガラス
板に微細カッティング機により幅60(μm)、深さ6
0(μm)、ピッチ250(μm)の溝を形成した溝板
を、電気・熱変換体部の設けられた基板に接着すること
が記載されている。しかし、この場合も形成すべき吐出
口は非常に微細であり、微細カッティング機で溝を形成
する際に、欠けやクラックが入ることが多々あり、歩留
まりの低いものである。また、形成された吐出口も、そ
の欠け等により、その端部を高精度にできないものでも
ある。さらに、溝形成後に、溝板を基板上に接着する際
に接着剤が吐出口を詰まらせて、歩留まり低下をきたす
ものである。
【0012】ところで、同公報中の第3図、第4図及び
第5図に示される記録ヘッドの、より具体的な製造方法
は、特開昭55−128471号公報、特公昭59−4
3314号公報に開示されている。特開昭55−128
471号公報に示されたものは、細孔からなる記録液流
路を有し、この細孔に通じている吐出口から記録液流路
中にある記録液を小滴にして吐出飛翔させ、被記録体面
上に付着させて記録する記録ヘッドであり、吐出口を所
定数並設させると共に、これと同数の細孔を吐出口の配
列密度と略同密度で並列に配設させたものである。また
、特公昭59−43314号公報のものは、記録液流路
となる細孔と、この細孔に通じている所定口径dの開口
と、細孔に沿って設けられた発熱部とを具備した液滴噴
射記録装置において、発熱部がその開口寄りの縁が開口
位置からdないし50dなる寸法の範囲内に位置するよ
うに配設させたものである。さらには、発熱部が細孔の
長手方向に長尺な面状発熱体よりなることも記載されて
いる。
【0013】ここに、これらの特開昭55−12847
1号公報、特公昭59−43314号公報に記載された
記録ヘッドの製造方法は、要約すると、感光性ガラスを
用いた細溝を有する部品と、発熱抵抗体パターンを形成
した部品とを、接着することにより吐出オリフィスを形
成するものである。すなわち、前述した特公昭61−5
9914号公報記載のものとは、感光性ガラスのエッチ
ングにより細溝を形成する点で異なるが、接着剤による
吐出オリフィスの詰まりが発生し歩留まりが低下する点
は同様である。これらの記録ヘッドは、吐出口(オリフ
ィス)を有するという根本的な構成自体に問題があるか
らである。
【0014】さらに、特開昭55−59974号公報に
よれば、前述した特公昭61−59914号公報、特開
昭55−128471号公報、特公昭59−43314
号公報中の実施例に示されるようなインク流路溝を有す
る基板を、発熱体を有する基板に接着する際に、三次元
網目構造を形成し得る接着剤により接着するという製造
方法が示されている。しかし、接着により吐出オリフィ
スを形成するという基本構成が、前述した3つの公報記
載のものと同じである限り、同様の問題点、すなわち、
接着剤による吐出オリフィスの閉塞という問題がある。
【0015】一方、特公昭62−59672号公報によ
れば、前述した特公昭61−59914号公報、特開昭
55−128471号公報、特公昭59−43314号
公報に記載されているような吐出オリフィスの製法の欠
点をなくす製法が開示されている。すなわち、これらの
公報のように、ガラス板の研削加工によるインク流路の
形成法、感光性ガラスのエッチングによるインク流路の
形成法等は、インク流路内壁面が粗く、その内面が液滴
吐出のための急激な圧力変化に対して大きな抵抗となる
ため、液滴吐出のためのエネルギーを多く必要とし、省
エネルギー化に反し、また、研削の際にガラスに欠け、
割れが発生し歩留まりが悪く、液滴吐出の安定性・均一
性を損なう大きな要因となり、かつ、感光性ガラスによ
るものは微細加工精度に限界があると共に、材料コスト
が高いものである。この点、特公昭62−59672号
公報では、基板上の所定位置にインクに液滴発生のため
のエネルギーを与えるエネルギー源として発熱素子、圧
電素子等の能動素子を複数個固定的に設置した後(電極
は適宜形成される)、基板表面に所定厚さで感光性組成
物層を塗布法等により形成し、通常のフォトリソグラフ
ィー法により、オリフィス部、作用部、インク供給路部
、インク吐出路部等のインク流路を形成するためのイン
ク流路溝を形成し、この後、上蓋を接合させて記録ヘッ
ドを製造するようにしている。
【0016】しかし、同公報記載のヘッド製造法によっ
ても、オリフィスが形成される時、つまり、上蓋をイン
ク流路溝の形成された基板の能動素子側に接合させる際
に、依然として、前述した特公昭61−59914号公
報、特開昭55−128471号公報、特公昭59−4
3314号公報等の場合と同様な問題がある。すなわち
、オリフィスが接着剤により閉塞し、ヘッド製造の歩留
まりが著しく低下する点である。仮に、特公昭62−5
9672号公報方式において、上蓋を接合させる際に接
着剤を用いずに、感光性組成物層の完全硬化前の接着性
を利用し、熱融着又は熱圧着的な接合を行ったとしても
、この場合には、インク吐出路部、オリフィス部が変形
し、所望の形状が得られないという問題が発生する。結
局、同公報の場合も、オリフィスを有するという基本構
造による問題が残る。
【0017】また、特開昭59−118469号公報に
よれば、複数個のオリフィスと、これらのオリフィス間
を分離するための分離部と、インク貯蔵部用外枠部とを
一体的に有するオリフィス板を備えた記録ヘッドが示さ
れている。これと目的は異なるが、同様の構成を持つも
のとして、特開平1−152068号公報に示されるも
のがある。これは、同公報中の第4図等に示されるよう
に、発熱体(抵抗器)を有する基板と、インク送りチャ
ネル(分離部)と、オリフィス(ノズル)板とよりなる
。また、これらの特開昭59−118469号公報、特
開平1−152068号公報記載のノズル板、ヘッド製
造等に適したものは特開昭59−207264号公報、
特開昭62−234941号公報に示されている。さら
に、これらの四つの公報記載のヘツドの組立てに適した
ものとしては、特開昭62−264957号公報に示さ
れるものがある。これは、基板上にポリマ障壁層を形成
し、この障壁層上にノズル板を整列配置した後、障壁層
が塑性変形するに十分な時間と温度をもって、ノズル板
に熱と圧力とを加え、この後、基板、障壁層及びノズル
板を固着する工程を経て、インク飛翔記録装置の記録ヘ
ッドを製造するようにしたものである。
【0018】しかし、これらの特開昭59−11846
9号公報、特開平1−152068号公報、特開昭59
−207264号公報、特開昭62−234941号公
報及び特開昭62−264957号公報に記載されたも
のも、オリフィス(ノズル)板を有することによる問題
点がある。まず、微細なオリフィス(ノズル、吐出口)
を有するオリフィス板を高精度に形成することは技術的
にかなり困難である。例えば、高精度にオリフィス板を
形成したとしても、その製造コストが高く、ヘッドが高
価となってしまう。また、前述した公報中、特開昭62
−264957号公報において詳細に記載されているが
、オリフィス板を発熱体を有する基板とフォトレジスト
障壁層(ドライフィルム障壁層、インク送りチャネル)
を介して接合又は接着させる際に、フォトレジスト障壁
層が変形し、又は、接着剤が不要な部分に回り込んでイ
ンク送りチャネルを詰まらせたりし、最悪の場合には、
微細なオリフィスをも詰まらせてしまう。これも、オリ
フィス板を有し、かつ、接合又は接着工程を経るという
、根本的構成、製法に起因する問題点である。
【0019】また、前述した全ての公報等に共通する別
の問題もある。すなわち、前述したインクジェット記録
ヘッドは、何れも微細なオリフィス(=ノズル又は吐出
口)を有し、このようなオリフィスからインクが噴射又
は飛翔して被記録体に付着することにより記録を行う点
で共通する。ここに、微細なオリフィスは、一般的には
30〜50(μm)程度の大きさ(形状的には、必ずし
も丸に限らず、角形もある)であるため、インク中に含
まれる不純物、又は、インク供給系、供給路などから発
生するごみ(ヘッド〜インク供給系製造時に混入したり
、摺動部などから微小片が脱落することによるごみもあ
る)などにより、オリフィスの孔が詰まってしまう危険
性を常に持つ。
【0020】ところで、特開昭62−253456号公
報、特開昭63−182152号公報、特開昭63−1
97653号公報、特開昭63−272557号公報、
特開昭63−272558号公報、特開昭63−281
853号公報、特開昭63−281854号公報、特開
昭64−67351号公報、特開平1−97654号公
報等に記載された記録ヘッドもある。これらの公報記載
のものは個々に検討すると各々個別の特長を有するが、
基本的な構成としては、従来のオリフィスを有するオリ
フィス板に代えて、スリット状の開口が形成されたスリ
ットノズル板を用いた点で共通する。しかし、これらの
場合もスリット幅は例えば特開昭62−253456号
公報中に記載されているように数10(μm)程度と微
小であり、従来よりあるインクジェットのオリフィス(
ノズル)径と実質的に差がなく、スリット状になったこ
とにより、目詰まりに対して若干有利になった程度であ
り、インクジェットの致命的欠点である目詰まりの問題
は解消されないものである。また、スリット方式といっ
ても、スリットノズル板を形成し、接合するという製法
によるため、前述したように従来からあるインクジェッ
トのオリフィス板を形成して接合するというものと製法
的に何んら変るところがなく、微細加工を伴うスリット
ノズル板の製造にコストがかかり、アセンブリ接合(接
着)という工程も減るわけではなく、コスト面での優位
性はない。これは、特開昭62−253456号公報等
と同様にスリットノズル板を用いる特開昭61−189
950号公報記載のものでも同様であり、目詰まりの問
題が残る。
【0021】また、上記の特開昭62−253456号
公報によれば、インクの蒸気の泡を形成し、各々の泡が
破裂する時に破裂する泡の保存運動量によって生ずる作
用力により、インク層から運動する被記録体に向かって
インクの滴状体が、加熱機素及びインク層に垂直な方向
に放出されるという吐出原理が記載されている。このよ
うな原理で吐出されるインクの滴状体は、キャビテーシ
ョン気泡の崩壊の研究分野でその存在が認められている
液体マイクロジェットと同一のものと考えられている。 これは、気泡の崩壊時に気泡を貫くように柱状のジェッ
トが形成されるというもので、この柱状のジェット(液
体マイクロジェット)をインクジェットに利用したもの
が、特開昭61−189949号公報、特開昭64−3
0758号公報に示されている。前述した特開昭61−
189950号公報記載のものは、これらの特開昭61
−189949号公報、特開昭64−30758号公報
に示される吐出原理を、スリット状ノズルに適用したも
のと見ることができる。
【0022】ところで、この特開昭61−189950
号公報記載のものは、泡を破裂させるという原理に基づ
いてインクの滴状体を放出させているものであり、イン
クの滴状体による記録は可能であるものの、泡の破裂に
よるインクミストの発生が画質を著しく乱すという欠点
が避けられないものである。つまり、同公報記載のもの
は、前述した特開昭62−253456号公報等と同様
に目詰まりの問題を解決していないだけでなく、さらに
は、泡の破裂によるインクミストの飛散によって画質乱
れをも生じてしまうものである。
【0023】さらに、オリフィスやスリットノズルを持
たず、目詰まりの問題を解消したものとして、特開昭5
1−132036号公報や特開平1−101157号公
報に示されるものがある。しかし、その吐出原理を検討
すると、必ずしも満足し得る画質が得られる吐出原理と
はいい難いものである。すなわち、特開昭51−132
036号公報の吐出原理は、前述した特開昭61−18
9950号公報中に記載のものと同様であり、気泡の破
裂による画質低下の欠点を持つ。 特開平1−101157号公報における吐出原理は、微
小発熱体に通電して記録液を瞬時に煮沸させてミスト状
にして飛翔させ記録を行うというものであり、記録液を
ミスト状にするため鮮明な記録は困難であり、カブリ、
地肌汚れを伴い、必ずしも良好なる画像が得られないも
のである。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の種々のインクジェット方式においては、インクジェッ
ト方式の致命的欠点である塵芥やインクの乾燥によるオ
リフィス(ノズル)又はスリット状ノズルの目詰まりの
問題がある。また、ヘッドアセンブリ上における高精度
オリフィス(ノズル)が形成できない問題がある。さら
には、アセンブリ上のコストの問題がある。また、オリ
フィス(ノズル)が存在することによる信頼性の維持や
回復が困難な問題がある。また、印字品質が低いといっ
た問題もある。つまり、従来のインクジェット記録方式
に関しては、目詰まり等の信頼性の点やヘッドのコスト
の点及び画質の点に課題がある。
【0025】ここで、ノズルプレートやスリット状ノズ
ルを要しないことで、上述のような課題を解決したイン
ク飛翔記録装置が本出願人により特願平1−22577
7号等として出願されている。さらに、本出願人が特願
平1−334232号として出願したインク飛翔記録装
置では、インク液面内に障壁を設けてインク液面に高効
率に圧力を集中させることで、インク滴の飛翔特性を改
善している。
【0026】しかし、従来のインク飛翔記録装置には、
上述のような障壁が設けられておらず、その概念も存在
しないため、この障壁を有効に利用する各種条件が現在
では不明である。つまり、現在では上述のように障壁を
設けたインク飛翔記録装置において、インク滴の飛翔特
性を改善して画像品質を向上させる手段の提案が要望さ
れている。
【0027】
【課題を解決するための手段】インク供給手段より供給
されるインクを保持するインク液面保持手段を設け、こ
のインク液面保持手段が保持するインク液面内に位置し
てインクを加熱して瞬間的に成長する気泡を生じさせる
エネルギー作用部を設け、このエネルギー作用部に画像
情報に応じた駆動信号を与える信号入力手段を設け、エ
ネルギー作用部を包囲する位置に互いに所定間隔を介し
て立設されて間隔の総和よりエネルギー作用部と対向す
る部分の長さの総和の方が長い複数の障壁を形成した。
【0028】
【作用】エネルギー作用部を包囲する位置に互いに所定
間隔を介して立設されて間隔の総和よりエネルギー作用
部と対向する部分の長さの総和の方が長い複数の障壁を
形成したことで、エネルギー作用部上で生じる圧力を阻
止する部分の長さが圧力が流出する部分の長さより長い
ので、圧力分散を良好に阻止してインク滴を高効率に飛
翔させることができる。
【0029】
【実施例】本発明のインク飛翔記録装置である記録ヘッ
ド1を図面に基づいて説明する。まず、この記録ヘッド
1は、図2に例示するように、インク供給管(インク供
給手段)2に接続された中空のインク供給室3を有して
台形状に形成されたマニホールド4をベース材として構
成されている。マニホールド4の頂部にはインク供給室
3に連通するスリット5が形成された発熱体基板6が固
定されている。この発熱体基板6上には後述する障壁7
,8が形成されており、この障壁7,8間とスリット5
を包囲する位置とに枠状のインク液面保持手段である保
持部材11が形成されている。また、前記発熱体基板6
上には、互いに所定間隔を介して立設された前記障壁7
,8に包囲される位置の各々にヒータ部(エネルギー作
用部)9が形成されている。
【0030】ここに、前記ヒータ部9付近の構造例を図
6に例示する。このヒータ部9は、発熱体基板6上に蓄
熱層13を形成し、その上に発熱体層14を制御電極1
5、アース電極16と共に形成し、さらに、インクとの
直接的な接触を避けるために表面を保護層17、電極保
護層18で覆ったものである。各発熱体層14は前記制
御電極15やアース電極16を介してワイヤボンディン
グ(図示せず)により薄膜状導電性リード12に電気的
に接続されている。この薄膜状導電性リード12は画像
情報信号入力手段(図示せず)に接続されている。
【0031】つぎに、インク飛翔原理の概要を説明する
。まず、インク供給管2よりインク供給室3に供給され
たインク19(図5参照)は、毛管現象により微細なス
リット5を通って障壁7,8により囲まれた保持部材1
1内の全域に満たされることになる。なお、スリット5
や保持部材11の寸法によっては、毛管現象だけではイ
ンク19を十分に保持部材11内の全域に供給・保持さ
せることができないが、このような場合には、インク供
給管2の元にあるインクタンク(図示せず)と記録ヘッ
ド1との高さを調整することにより、水頭差を利用すれ
ばよい。このように保持部材11内の全域にインク19
が満たされ、各ヒータ部9もインク19に覆われた状態
となるように、インク液面の高さを調整した定常状態に
おいて、画像情報に応じて各発熱体層14に対して個別
に通電を行うと、発熱した発熱体層14上でインク液中
に気泡20が発生する。この気泡20の推進力によりイ
ンク19がヒータ部9の面(基板面)に略垂直なる方向
に飛翔することになる。
【0032】さらに、インク飛翔原理を図5に従って詳
細に説明する。なお、図5ではヒータ部9及びその周辺
部を拡大して例示するが、簡単のために電極などは省略
してある。図5(a)は定常状態を示し、保持部材11
内の全域にインク19が満たされてヒータ部9上もイン
ク19により覆われている。そこで、この状態でヒータ
部9を加熱させると、その表面温度が急上昇し、隣接イ
ンク層に沸騰現象が起きるまで熱せられ、同図(b)に
示すように微小な気泡20が点在した状態となる。そし
て、このようにしてヒータ部9の全面で急激に加熱され
た隣接インク層が瞬時に気化して同図(c)に示すよう
に沸騰膜を作る。このように気泡20が成長した状態に
おいて、表面温度は300〜350℃になり、いわゆる
膜沸騰状態にある。また、ヒータ部9の上部にあるイン
ク19層は、気泡成長の推進力により、図示するように
、インク液面が盛り上がった状態となる。
【0033】ここで、同図(d)は気泡20が最大に成
長した状態を示し、インク液面からインク柱21がさら
に成長した状態となる。このような最大気泡となるまで
に要する時間は、ヘッド(発熱体基板6)構造、印加パ
ルス条件等にもよるが、通常、パルス印加後、5〜30
(μsec)程度要する。最大気泡となった時点では、
ヒータ部9は既に通電されていない状態にあり、ヒータ
部9の表面温度は降下しつつある。気泡20が最大とな
る時のタイミングは、電気パルス印加のタイミングから
若干遅れたものとなる。同図(e)は気泡20がインク
19等により冷却され収縮を開始した状態を示す。イン
ク柱21の先端部は押出された速度を維持して前進し、
後端部では気泡20の収縮に伴ってインク液面にインク
19が逆流することにより、図示するように、インク柱
21にくびれが生ずる。気泡20がさらに収縮すると、
同図(f)に示すように、ヒータ部9面にインク19が
接し、ヒータ部9面がさらに急激に冷却される状態とな
る。すると、インク柱21はインク液面から切断され、
被記録体(図示せず)の方向へ2〜12(m/s)の速
度で飛翔する。なお、この時の飛翔速度はヘッド(発熱
体基板6)の構造、インク物性、印加パルス条件等に依
存するが、飛翔速度が比較的遅い場合(2〜3(m/s
))にはインク19は滴状となって飛翔し、比較的速い
場合(7〜12(m/s))にはインク19は細長い柱
状となって飛翔する。この後、同図(g)に示すように
同図(a)と同様な定常状態に戻り、保持部材11内の
全域にインク19が満たされ、気泡20も完全に消滅し
た状態となる。
【0034】つぎに、本発明の飛翔原理と従来の飛翔原
理との違いを説明する。まず、前述した各種従来方式中
、例えば特開昭51−132036号公報に示されるも
のは、特開昭61−189950号公報と同一原理のも
のであり、泡を破裂させることによりインクの滴状体を
放出させるものである。よって、前述したように泡の破
裂によるインクミストの発生が画質低下をもたらす。ま
た、例えば特開平1−101157号公報に示されるも
のは、記録液を瞬時に煮沸させてミスト状にしたものを
飛翔させて記録を行うもので、これもインクミストによ
るカブリや画像乱れが避けられない。
【0035】一方、本発明の飛翔原理によれば、インク
19を飛翔させるための気泡20は破裂せずに収縮・消
滅するため、泡の破裂によるインクミストの発生を防止
することができ、インクミストによる画質低下がない。 また、インクをミスト状にして記録するものと異なり、
インク19を滴状又は細長柱状として(何れにしてもイ
ンク塊まりとして)飛翔させて記録するので、被記録体
上では1つのドットとして付着して記録され、鮮明な画
像が得られる。
【0036】つぎに、発熱体基板6の構造及び製造方法
を詳細に説明する。本実施例において、発熱体基板6は
重要なパーツの一つである。まず、発熱体基板6自体は
例えばガラス、アルミナ(Al2O3)、シリコン等の
材質によるものが用いられる。スリット5は比較的精度
がよく、低コストで加工できる点でレーザビーム加工法
によるのがよい。もっとも、基板として単結晶シリコン
を用いる場合には、異方性エッチング加工によっても、
非常に高精度にスリット5を形成できる。
【0037】発熱体基板6上に形成される蓄熱層13は
、例えば、SiO2層よりなり、ガラス又はアルミナ基
板の場合であればスパッタリング法などの薄膜形成法に
より形成され、シリコン基板の場合には熱酸化法によっ
て形成される。なお、蓄熱層13の膜厚としては、1〜
5(μm)程度にするとよい。
【0038】さらに、発熱体層14を構成する材料とし
ては、例えば、タンタル−SiO2の混合物、窒化タン
タル、ニクロム、銀−パラジウム合金、シリコン半導体
、或いは、ハフニウム、ランタン、ジルコニウム、チタ
ン、タンタル、タングステン、モリブデン、ニオブ、ク
ロム、バナジウム等の金属の硼化物が使用可能である。 これらの内、金属の硼化物が特に好ましく、その中でも
、硼化ハフニウムが最も特性的に好ましく、次いで、硼
化ジルコニウム、硼化ランタン、硼化タンタル、硼化バ
ナジウム、硼化ニオブの順に好ましいものとなる。発熱
体層14はこのような材料を用い、電子ビーム法や蒸着
法又はスパッタリング法等で形成される。膜厚は単位時
間当たりの発熱量が所望値となるように、その面積、材
質、熱作用部分の形状及び大きさ、実際面での消費電力
等に応じて適宜設定されるが、通常は0.001〜5(
μm)程度、好ましくは0.01〜1(μm)程度の膜
厚とされる。
【0039】また、制御電極15やアース電極16の材
料としては、通常の電極材料と同じでよく、例えば、A
l,Ag,Au,Pt,Cu等が用いられる。これらは
蒸着法等により、所定位置に所定の大きさ、形状、膜厚
で形成される。
【0040】保護層17は発熱体層14で発生した熱を
効果的にインク19側に伝達させることを妨げずに発熱
体層14を保護するためのものであり、材料としては、
酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン、酸化マグネ
シウム、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化ジルコ
ニウム等が用いられる。製法は、電子ビーム法、蒸着法
、スパッタリング法等による。そして、その膜厚は、通
常0.01〜10(μm)が好ましく、0.1〜5(μ
m)(中でも、0.1〜3(μm)が最適)とされる。 保護層17はこれらの材料を用いて1層又は複数層構造
で形成されるが、これらの層の他に、気泡20が収縮・
消滅する際に発生するキャビテーション作用からヒータ
部9を保護するためにTa等の金属層を表面に形成する
のが望ましい。具体的には、Taなどの金属層を膜厚0
.05〜1(μm)程度で形成すればよい。
【0041】電極保護層18の材料としては、例えばポ
リイミドイソインドロキナゾリンジオン(商品名:PI
Q,日立化成社製)、ポリイミド樹脂(商品名:PYR
ALIN,デュポン社製)、環化ポリブタジエン(商品
名:JSR−CBR,日本合成ゴム社製)、フォトニー
ス(商品名:東レ社製)、その他の感光性ポリイミド樹
脂等が用いられる。
【0042】さらに、インク液面と略平行な方向への圧
力分散を防止する障壁7,8の形成方法を図7を参照し
て説明する。なお、図7では、簡略化するため、発熱体
基板6上にはヒータ部9のみを図示する。前述したよう
に必要な層が形成された発熱体基板6上に同図(a)に
示すように、80〜105(℃)程度に加熱されたドラ
イフィルムフォトレジスト22を、0.4〜0.5(f
/分)、1〜3(kg/cm2)加圧条件下で膜厚10
〜100(μm)程度にラミネートする。この時、ドラ
イフィルムフォトレジスト22は自己接着性を示し、発
熱体基板6表面に融着して固定され、以後、相当の外力
が加わって発熱体基板6から剥離することはない。
【0043】次いで、同図(b)に示すようにドライフ
ィルムフォトレジスト22上に所定のパターン形状を有
するフォトマスク23を重ね合わせた後、フォトマスク
23上方から露光を行う。この時、ヒータ部9の設置位
置とフォトマスク23のパターンとの位置合わせを周知
の方法により正確に行っておく。
【0044】そして、このような露光工程後に、ドライ
フィルムフォトレジスト22の未露光部分をトリクロル
エタン等の所定の有機溶剤からなる現像液により溶解除
去すると、同図(c)に示すようにヒータ部9に対応し
て所定形状に障壁7,8が残存形成される。このように
して残存した露光済みの障壁7,8表面は、耐インク性
の向上、ドライフィルムフォトレジスト22と発熱体基
板6との密着力の向上のため、熱硬化処理(例えば、1
50〜250(℃)で30分から60時間の加熱)を行
なうか、又は、紫外線照射処理(例えば、50〜200
(mW/cm2)或いはそれ以上の紫外線強度による)
を行う。熱硬化処理と紫外線照射処理との双方を行って
もよい。
【0045】ここで、上述のようにして形成する本実施
例の障壁7,8等の形状を示す平面図を図1に例示する
。同図に例示するように、本実施例の記録ヘッド1では
、ヒータ部9が長短の矩形の障壁7,8に長方形状に包
囲された形態となっており、これらの障壁7,8の前記
ヒータ部9と対向する部分の長さl1〜l4の総和と間
隔g1〜g4の総和とが“l1+l2+l3+l4≧g
1+g2+g3+g4”の関係を満足するようになって
いる。つまり、この記録ヘッド1では、ヒータ部9上で
生じる圧力を阻止する障壁7,8の長さの総和が、圧力
が流出する障壁7,8の間隔の総和より長いので、圧力
分散が良好に阻止されてインク滴が高効率に飛翔するよ
うになっている。
【0046】なお、障壁7,8の形成につき、フォトレ
ジストとしてドライフィルム型、即ち固体のものを利用
したが、これに限らず、例えば液状の感光性組成物を用
いてもよい。液体の感光性組成物膜の場合、レリーフ画
像の製造時に用いられるスキージによる方法、即ち、所
望の感光性組成物膜厚に相当する高さの壁を基板周囲に
置き、スキージにより余分な組成物を除去する方法を適
用できる。この場合、感光性組成物の粘度は100〜3
00(cp)の範囲が好ましく、壁の高さは感光性組成
物の溶剤分の蒸発による減量を見込んで決定する必要が
ある。
【0047】また、固体の場合には感光性組成物シート
を基板上に加熱圧着して貼着する。なお、本発明におい
ては、その取扱い上、厚さの制御が容易かつ正確にでき
る点などを考慮すると、前述したように固体のフィルム
型のものを利用するほうが有利である。例えば、このよ
うな固体のものとしては、具体的には、例えばパーマネ
ントフォトポリマーコーティングRISTON(ソルダ
ーマスク)730S(デュポン社製)、同740S、同
730FR、同740FR、同SM/等の商品名で市販
されている感光性樹脂がある。この他、感光性樹脂、フ
ォトレジスト等の通常のフォトリソグラフィーの分野に
おいて使用されている感光性組成物の多くのものを用い
得る。例えば、ジアゾレジン、P−ジアゾキノン、さら
には、例えばビニルモノマーと重合開始剤を使用する光
重合型フォトポリマー、ポリビニルシンナメート等と増
感剤を使用する二量化型フォトポリマー、オルソナフト
キノンジアジドとノポラックタイプのフェノール樹脂と
の混合物、ポリビニルアルコールとジアゾ樹脂の混合物
、4−グリシジルエチレンオキシドとペンゾフェノンや
グリシジルカルコンとを共重合させたポリエーテル型フ
ォトポリマー、N,N−ジメチルメタクリルアミドと例
えばアクリルアミドベンゾフェノンとの共重合体、不飽
和ポリエステル系感光性樹脂(例えば、旭化成社製のA
PR、帝人社製のテビスタ、関西ペイント社製のゾンネ
等)、不飽和ウレタンオリゴマー系感光性樹脂、二官能
アクリルモノマーに光重合開始剤とポリマーとを混合さ
せた感光性組成物、重クロム酸系フォトレジスト、非ク
ロム系水溶性フォトレジスト、ポリケイ皮酸ビニル系フ
ォトレジスト、環化ゴム−アジド系フォトレジスト等が
挙げられる。
【0048】つぎに、本発明のインク飛翔記録装置の変
形例を以下に説明する。まず、ここでは本発明の特徴で
ある障壁7,8の各種の変形例を図8に例示する。同図
(a)に例示するものは、上述の実施例で例示した障壁
7,8の形状である。また、同図(b)に例示するもの
は、短い障壁8を省略して二個の長い障壁7でヒータ部
9を両側から包囲するようにした変形例である。同図(
c)に例示するものは、短い障壁8を平面的に見て円形
状の障壁24に替えた変形例である。同図(d)に例示
するものは、短い障壁8を平面的に見てハート型形状の
障壁25に替えた変形例であり、これはインク19がヒ
ータ部9側に向けて流入しやすいと共に、ヒータ部9側
から流出しにくいので、効率的なインク飛翔を実現する
ことができる。なお、同図(c),(d)に例示した円
形とハート型との障壁24,25においてヒータ部9と
対向する部分の長さとは、圧力を直接に受ける部分の長
さを意味しており、ここでは他の変形例と共に図中に太
線で記載している。また、同図(e)に例示するものは
、短い障壁8を省略すると共に、両端部が拡開した長い
障壁26で流体抵抗が大きい幅狭で流路をヒータ部9の
両側に形成した変形例である。さらに、同図(f)に例
示するものは、L型の二個の障壁27でヒータ部9を包
囲するようにした変形例であり、同様に、同図(f)に
例示するものは、円弧状の二個の障壁28でヒータ部9
を包囲するようにした変形例である。これらの変形例に
例示したように、このインク飛翔記録装置の障壁7,8
,24〜28としては、包囲するヒータ部9と対向する
部分の長さの総和が間隔の総和より長ければ種々の形状
が実施可能であり、何れにしても前述したフォトリソグ
ラフィ法により形成できる。
【0049】さらに、図5などによる説明では、インク
液面の高さを障壁7,8と同一高さ(この場合、実験に
よれば、障壁7,8の上面を弗素化合物等により揆水性
処理をしてインクに濡れにくくしたほうが、安定したイ
ンク飛翔結果が得られた)としたが、これは必ずしも同
一高さである必要はない。つまり、図9に例示するよう
に、障壁7,8がインク液面下に沈んでいる変形例も実
施可能であり、このような構成であっても、インク物性
や印加パルス条件等を適当に選定することで良好な動作
を実現することができる。
【0050】また、インク19中で気泡20を発生させ
るエネルギー作用部としては、発熱体層14を持つヒー
タ部9によるジュール熱加熱法に限らず、例えば、パル
スレーザ又は放電を利用したエネルギー作用方式であっ
てもよい。このパルスレーザ方式は、特開平1−184
148号公報中の第8図方式等に準じたものでよい。即
ち、レーザ発振器より発生させたレーザ光を、光変調器
駆動回路に入力されて電気的に処理され出力される画情
報信号に従って、光変調器においてパルス変調させる。 パルス変調されたレーザ光を走査器を通し集光レンズに
より熱エネルギー作用部の外壁に焦点が合うように集光
させ、記録ヘッドの外壁を加熱し、内部のインク内で気
泡を発生させる。或いは、熱エネルギー作用部の外壁を
、レーザ光に対して透過性材料により形成し、集光レン
ズによって内部のインクに焦点が合うように集光させて
インクを直接熱して気泡を発生させるようにしてもよい
。実際的なレーザプリンタ構成としては、同公報中の第
9図に準じて構成すればよい。
【0051】さらに、放電方式も、同公報中の第10図
方式に準じたものでよい。即ち、熱エネルギー作用部の
内壁側に配置させた一対の放電電極に放電装置から高電
圧パルスを印加することにより、インク中で放電を生じ
させ、この放電により発生する熱で瞬時に気泡を発生さ
せるものである。放電電極の形状は、同公報中の第11
図ないし第18図に例示されるような各種形状を適宜用
いればよい。
【0052】また、インクの組成等についても各種のこ
とが考えられ、本発明で使用されるインク19は、所定
の熱物性値及びその他の物性値を有するように、材料の
選択と組成成分の比が調合されること、従来から使用さ
れているインクと同様に化学的・物理的に安定であるこ
と、応答性、忠実性、曳糸化能に優れていること、液路
において固まらないこと、液路中を記録速度に応じた速
度で流通し得ること、記録後に被記録体への定着が速や
かであること、記録濃度が十分であること、貯蔵寿命が
良好であること、等の特性を満足し得るように物性が調
整される。具体的には、上記特開平1−184148号
公報の明細書第34頁ないし第49頁に例示されるよう
なインクを、本発明でも使用すればよい。
【0053】つぎに、本出願人が実際に記録ヘッド1を
製作して印写記録を行った際の噴射実験結果を諸条件と
共に以下に示す。
【0054】 a.具体例1   条件   ヒータ部9のサイズ          :65×
65μm  ヒータ部9の配列密度        :
180dpi  ヒータ部9の数          
    :32個  抵抗値            
          :31Ω  障壁7,8の形状 
           :図1に図示したもの  長い
障壁7のサイズ(l1,l3):幅40μm,長さ12
0μm,高さ35μm  短い障壁8のサイズ(l2,
l4):幅40μm,長さ50μm,高さ35μm  
障壁7,8の間隔  (g1〜g4):30μm,60
μm,80μm,100μmの四種類  駆動電圧  
                  :15V  パ
ルス幅                    :5
μsec  連続駆動周波数            
  :2kHz(べた印字時)  使用インク    
              :キャノン社製のBJ1
30用インクb.具体例2   条件   ヒータ部9のサイズ          :65×
65μm  ヒータ部9の配列密度        :
180dpi  ヒータ部9の数          
    :32個  抵抗値            
          :31Ω  障壁7,8の形状 
           :図1に図示したもの  長い
障壁7のサイズ(l1,l3):幅40μm,長さ70
μm,高さ20μm  短い障壁8のサイズ(l2,l
4):幅40μm,長さ40μm,高さ20μm  障
壁7,8の間隔  (g1〜g4):20μm,35μ
m,55μm,100μmの四種類  駆動電圧   
                 :15V  パル
ス幅                    :5μ
sec  連続駆動周波数             
 :2kHz(べた印字時)  使用インク     
             :キャノン社製のBJ13
0用インク
【0055】上述のような記録ヘッドを利用
して三菱製紙株式会社製のIJマットコート紙NMに印
刷を行ない、その画像品質を評価した。その結果を表1
に示す。
【0056】
【表1】
【0057】なお、上述の表1に記載した評価結果にお
いては、「極めて良好」とは画素径のバラツキが10%
以下であることを意味しており、「良好」とは画素径の
バラツキが20%以下であることを意味している。そし
て、上述の表1からも自明であるように、実験の結果、
障壁のヒータ部と対向する部分の長さの総和が間隔の総
和より長い場合は、各素子が全ての駆動パルスに応答し
てドット抜けが無いと共に、画素径のバラツキも少なく
、印刷品質が良好であることが確認された。
【0058】ここで、具体例1の障壁の間隔が30(μ
m)と短い記録ヘッドと、具体例2の障壁の間隔が10
0(μm)と長い記録ヘッドとで、駆動信号に同期した
ストロボ下でインク滴の飛翔の様子を観察したところ、
具体例1の障壁の間隔が30(μm)の記録ヘッドでは
ストロボの位相を順次変化させることで図5に例示した
プロセスが実際に確認できた。これは、記録ヘッドの動
作がストロボに同期していると云うことなので、その動
作が極めて安定していることになる。さらに、飛翔する
インク滴がインク液面から500(μm)の位置に到達
する時間を測定して飛翔速度を算出したところ、これは
8(m/s)と高速で印刷品質の向上に寄与することが
確認された。一方、具体例2の障壁の間隔が100(μ
m)の記録ヘッドでは、ストロボ下でのプロセスの確認
が困難で動作が不安定であることが判明した。これは、
気泡の成長による圧力がインク液面と平行な方向に流出
してインク滴を生成する効率が低いことを意味している
【0059】上述のように、インク滴を飛翔させる圧力
を発生するヒータ部を、これと対向する部分の長さの総
和の方が間隔の総和より長い複数の障壁で包囲すること
で、極めて高品質な印刷を実現できることが実証された
【0060】
【発明の効果】本発明は上述のように、インク供給手段
より供給されるインクを保持するインク液面保持手段を
設け、このインク液面保持手段が保持するインク液面内
に位置してインクを加熱して瞬間的に成長する気泡を生
じさせるエネルギー作用部を設け、このエネルギー作用
部に画像情報に応じた駆動信号を与える信号入力手段を
設け、エネルギー作用部を包囲する位置に互いに所定間
隔を介して立設されて間隔の総和よりエネルギー作用部
と対向する部分の長さの総和の方が長い複数の障壁を形
成したことにより、これらの障壁でエネルギー作用部上
で発生する圧力の分散を良好に阻止することができ、イ
ンク滴を極めて安定に飛翔させて高品質な印刷を実現す
ることができる等の効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す要部の拡大平面図である
【図2】記録ヘッド構造の概要を示す分解斜視図である
【図3】記録ヘッドの全体的な平面図である。
【図4】記録ヘッドの断面図である。
【図5】記録ヘッドの動作説明図である。
【図6】ヒータ部付近を拡大して示す断面図である。
【図7】障壁の製作工程を示す概略断面図である。
【図8】障壁の形状の各種変形例を示す概略平面図であ
る。
【図9】インク液面高さについての変形例を示す概略断
面図である。
【符号の説明】
1                  インク飛翔記
録装置7,8,24〜28  障壁

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  インク供給手段より供給されるインク
    を保持するインク液面保持手段を設け、このインク液面
    保持手段が保持するインク液面内に位置してインクを加
    熱して瞬間的に成長する気泡を生じさせるエネルギー作
    用部を設け、このエネルギー作用部に画像情報に応じた
    駆動信号を与える信号入力手段を設け、前記エネルギー
    作用部を包囲する位置に互いに所定間隔を介して立設さ
    れて前記間隔の総和より前記エネルギー作用部と対向す
    る部分の長さの総和の方が長い複数の障壁を形成したこ
    とを特徴とするインク飛翔記録装置。
JP4128591A 1991-02-13 1991-02-13 インク飛翔記録装置 Pending JPH04259560A (ja)

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