JPH04122284U - 車両用アツパフレームのバルクヘツド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 車両用アッパフレームに溶着する部材の数を
減少させ、生産性を向上させる。 【構成】 筒状のアッパフレーム１のフロントサスペン
ション装置の支持部１ａの内面に固着された連結部１０
ａと、この連結部１０ａの前側縁及び後側縁から延びる
前側閉塞部１０ｂ及び後側閉塞部１０ｃとを備えるバル
クヘッド１０である。このバルクヘッド１０は、支持部
１ａの前側位置と後側位置とを各閉塞部１０ｂ，１０ｃ
で補強する。従って、支持部１ａの前側位置と後側位置
とに別々のバルクヘッドを設ける必要が無くなる。ま
た、各閉塞部１０ｂ，１０ｃがアッパフレーム１内を閉
塞するので、従来必要とされていた、アッパフレーム１
内を閉塞するためのアッパフレームサイレンサを省略す
ることができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、車両のエンジンルームの強度部材であり、フロントサスペンション 装置等の上端を支持するアッパフレーム内に配置され、このアッパフレームのサ スペンション装置支持部の前側及び後側部分を補強する、車両用アッパフレーム のバルクヘッドに関する。

【０００２】

【従来の技術】

車両のサスペンションは、車体の強度部材に取り付けられている。例えば、ス トラット式フロントサスペンション装置の上端は、エンジンルームの強度部材で あるアッパフレームに支持されている。このアッパフレームのサスペンション装 置支持部には、バルクヘッドが設けられており、この部位でのアッパアームの剛 性を向上させている。

【０００３】 図５は、従来のアッパフレームのバルクヘッドを示している。フロントバルク ヘッド４及びリヤバルクヘッド５は、筒状のアッパフレーム１内に設けられ、ア ッパフレームのサスペンション装置支持部（以下単に支持部と記す）１ａの前側 位置及び後側位置に配置されている。各バルクヘッド４，５の外周縁には、それ ぞれフランジが一体に形成されている。これらのフランジをアッパフレーム１の 内面にスポット溶接し、各バルクヘッド４，５は固定される。また、各バルクヘ ッド４，５の中央には、大径の孔がそれぞれ穿設されている。

【０００４】 アッパフレーム１の支持部１ａには、ストラットハウスパネル８が溶着されて いる。このストラットハウスパネル８には、フロントサスペンション装置のスト ラットの上端（図示せず）が取り付けられている。従って、フロントサスペンシ ョン装置からの入力は、ストラットハウスパネル８を介してアッパフレーム１に 伝達される。各バルクヘッド４，５は、アッパフレーム１の断面形状が変化する ことを抑制し、アッパフレーム１の剛性を向上させる。

【０００５】 なお、図中符号７はアッパフレームサイレンサであり、このアッパフレームサ イレンサ７は、アッパフレーム１内の後端近傍位置を閉塞し、アッパフレーム１ 内を介しての騒音及び異臭等の伝達を防止する。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記従来の各バルクヘッド４，５においては、アッパフレーム １の内面に、それぞれ別々に溶着されている。また、各バルクヘッド４，５では アッパフレーム１内を閉塞することができず、アッパフレームサイレンサ７を必 要とする。このため、アッパフレームに溶着する部材の点数が増加すると共に、 生産性に劣る等の問題がある。

【０００７】 本考案は、上述の問題点を解決するためになされたもので、アッパフレームに 溶着される部材の数を減少させることができ、生産性に優れた車両用アッパフレ ームのバルクヘッドを提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために本考案によれば、 車両前後方向に延びてフロントサスペンション装置の上端を支持する筒状のア ッパフレーム内に設けられ、当該アッパフレームのフロントサスペンション装置 の支持部を補強するバルクヘッドにおいて、 車両前後方向に延び、アッパフレームの前記支持部の内面に固着された連結板 部と、 この連結板部の前端及び後端から略車幅方向に延び、周縁がアッパフレームの 内面に溶着されてアッパフレーム内を閉塞する前側補強板部及び後側補強板部と を備えて構成するものである。

【０００９】

【作用】

本考案の車両用アッパフレームのバルクヘッドにおいては、連結板部の前端及 び後端に各補強板部が設けられているので、従来のバルクヘッドのように、サス ペンション装置支持部の前側と後側に別々のバルクヘッドをそれぞれ溶着する必 要がなくなる。また、各補強板部がアッパフレーム内を閉塞するので、従来、バ ルクヘッドとは別に必要とされていたアッパフレームサイレンサが省略される。

【００１０】 バルクヘッドの連結板部は、アッパフレームの内面に溶着されてこれを補強す る。また、各補強板部は、アッパフレームのサスペンション装置支持部の前側位 置及び後側位置でアッパフレーム内を閉塞し、アッパフレームの断面形状が変化 するのを抑制する。

【００１１】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。 図１は、本考案に係る車両用アッパフレームのバルクヘッドを適用した車両を 示し、車両のフロントサスペンション装置９は、アッパフレーム１に支持されて いる。そして、このアッパフレーム１内には、図２乃至図４に示すように、バル クヘッド１０が設けられている。

【００１２】 アッパフレーム１は、アッパフレームインナ２及びアッパフレームアウタ３よ り構成されている。アッパフレームインナ２は、断面形状が車幅方向外側に開く 略コ字状をなし、上下両端縁よりそれぞれ上方及び車幅方向外側に向けてフラン ジ２ａ，２ｂが延出している。また、アッパフレームアウタ３は、その断面形状 を、上端より車幅方向外側に延びて略コ字状に折曲された後下方に延びた形状に 設定されている。そして、このアッパフレームアウタ３の上下両端縁よりそれぞ れ上方及び車幅方向外側に向けてフランジ３ａ，３ｂが延出している。

【００１３】 アッパフレームインナ２及びアッパフレームアウタ３は、各フランジ２ａ・３ ａ，２ｂ・３ｂ同士を重ね合わせ、これらをスポット溶接している。これにより 、アッパフレーム１は筒状に成形される。また、各フランジ２ａ・３ａ，２ｂ・ ３ｂ間にはそれぞれ隙間１１，１２が形成される。各隙間１１，１２は、アッパ フレーム１のフロントサスペンション装置支持部（以下単に支持部と記す）１ａ に形成される。

【００１４】 アッパフレーム１の支持部１ａには、ストラットハウスパネル８が溶着されて いる。このストラットハウスパネル８は、アッパフレームインナ２の上面に溶着 されている。ストラットハウスパネル８には、例えば、ストラット式フロントサ スペンション装置９（図１）のストラットの上端が取り付けられる。 バルクヘッド１０は、連結部１０ａ、前側閉塞部１０ｂ、後側閉塞部１０ｃよ り構成され、これらは板材により一体に形成されいてる。

【００１５】 連結部１０ａは、車両前後方向に沿って延びており、その上端縁及び下端縁に は、フランジ１０ｄ，１０ｅが形成されている。連結部１０ａの車両前後方向の 長さは、ストラットハウスパネル８のアッパフレーム１への溶着部分の車両前後 方向の長さと略同じ長さに設定されている。また、連結部１０ａの上下方向の長 さは、アッパフレーム１内の空間の高さと略同じ長さに設定されている。この連 結部１０ａの略上半部は、車幅方向外側に向けて凸となり、アッパフレームアウ タ３の内面に沿う形状とされている。そして、連結部１０ａの外面は、アッパフ レームアウタ３の内面に溶着されている。

【００１６】 連結部１０ａの上端縁のフランジ１０ｄは、上方に延出して前記隙間１１に挿 入される。そしてこのフランジ１０ｄは、アッパフレームインナ２及びアッパフ レームアウタ３の各フランジ２ａ，３ａとともに溶着される。また、連結部１０ ａの下端縁のフランジ１０ｅは、車幅方向外側に延出して前記隙間１２に挿入さ れる。そしてこのフランジ１０ｅは、アッパフレームインナ２及びアッパフレー ムアウタ３の各フランジ２ｂ，３ｂとともに溶着される。

【００１７】 前側閉塞部１０ｂは、連結部１０ａの前側縁より車幅方向内側且つ車両前方に 向けて斜めに延び、内側縁、上端縁及び下端縁には、フランジ１０ｆ〜１０ｈが 形成されている。前側閉塞部１０ｂは、アッパフレーム１の内部空間を閉塞でき る大きさ及び形状に設定されている。各フランジ１０ｆ〜１０ｈは、それぞれ対 向する部位のアッパフレームインナ２の内面に溶着されている。

【００１８】 後側閉塞部１０ｃは、連結部１０ａの後側縁より車幅方向内側且つ車両後方に 向けて斜めに延び、内側縁、上端縁及び下端縁には、フランジ１０ｊ，１０ｋ， １０ｍが形成されている。後側閉塞部１０ｃは、アッパフレーム１の内部空間を 閉塞できる大きさ及び形状に設定されている。各フランジ１０ｊ，１０ｋ，１０ ｍは、それぞれ対向する部位のアッパフレームインナ２の内面に溶着されている 。

【００１９】 なお、連結部１０ａ、前側閉塞部１０ｂ及び後側閉塞部１０ｃに形成された各 フランジ１０ｄ〜１０ｈ，１０ｊ，１０ｋ，１０ｍは、連続して形成されている 。 本考案のバルクヘッド１０は、アッパフレーム１のアッパフレームインナ２と アッパフレームアウタ３とを溶着する際、アッパフレーム１内に溶着される。前 側閉塞部１０ｂ及び後側閉塞部１０ｃは、連結部１０ａの前後両端に設けられて いるので、図５に示す従来のフロントバルクヘッド４及びリヤバルクヘッド５の ように、それぞれ別の部材をアッパフレーム１内に配置して溶着する必要がなく なる。

【００２０】 また、前側閉塞部１０ｂ及び後側閉塞部１０ｃがそれぞれアッパフレーム１内 を閉塞しているので、図５に示すアッパフレームサイレンサ７が省略される。 さらに、バルクヘッド１０の連結部１０ａは、アッパフレームアウタ３の内面 に溶着されており、アッパフレームアウタ３を補強する。また、各閉塞部１０ｂ ，１０ｃは、支持部１ａの前側位置及び後側位置でアッパフレーム１内を閉塞し 、アッパフレーム１の断面形状が変化するのを抑制する。

【００２１】 なお、必ずしも、バルクヘッド１０の連結部１０ａをアッパフレームアウタ３ の内面に溶着させ、且つ、各閉塞部１０ｂ，１０ｃを車幅方向内側に向けて斜め に延ばさなくとも良い。即ち、バルクヘッド１０の連結部１０ａを、略垂直な板 材で成形したがこれに限るものではない。例えば、バルクヘッドの連結部を略水 平な板材で成形すると共に、当該連結部をアッパフレーム内の下面に溶着させ、 さらに、連結部の前端縁及び後端縁より前側閉塞部及び後側閉塞部を上方に延ば しても良い。

【００２２】

【考案の効果】

以上説明したように本考案によれば、車両用アッパフレームのバルクヘッドを 上述のように構成したので、アッパフレームに溶着される部材の数を減少させる ことができ、生産性の向上を図ることができるという優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る車両用アッパフレームのバルクヘ
ッドを適用した車両の一部切欠側面図である。

【図２】本考案を適用した車両用アッパフレームのバル
クヘッドの一実施例を示す斜視図である。

【図３】図２の矢線III −III に沿う断面図である。

【図４】図２の矢線IV−IVに沿う断面図である。

【図５】従来の車両用アッパフレームのバルクヘッドの
斜視図である。

【符号の説明】

１ アッパフレーム １ａ フロントサスペンション装置支持部 １０ バルクヘッド １０ａ 連結部 １０ｂ 前側閉塞部 １０ｃ 後側閉塞部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両前後方向に延びてフロントサスペン
   ション装置の上端を支持する筒状のアッパフレーム内に
   設けられ、当該アッパフレームのフロントサスペンショ
   ン装置の支持部を補強するバルクヘッドにおいて、車両
   前後方向に延び、アッパフレームの前記支持部の内面に
   固着された連結板部と、この連結板部の前端及び後端か
   ら略車幅方向に延び、周縁がアッパフレームの内面に溶
   着されてアッパフレーム内を閉塞する前側補強板部及び
   後側補強板部とを備えることを特徴とする車両用アッパ
   フレームのバルクヘッド。